液体収納容器および液体収納容器の液体残量検知方法
【課題】 液体収容容器内の液体の残量の検出方式は各種存在しているが、検出方式によっては液体収納容器の置かれた状況や検出装置の精度によって残量検出に誤差が生じる。
【解決手段】 液体収納容器を容積の異なる2室構成とし、大容量の室の液体が使用された後、小容量の室の液体が使用されることをきっかけに残量検出を開始することにより、液体残量の検出誤差を小さくする。
【解決手段】 液体収納容器を容積の異なる2室構成とし、大容量の室の液体が使用された後、小容量の室の液体が使用されることをきっかけに残量検出を開始することにより、液体残量の検出誤差を小さくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱交換可能な液体収納容器内の液体残量を誤差を少なく把握できる構成を採用した液体収納容器および液体収納容器の液体残量検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られている液体収納容器には、発泡体や繊維交絡体を液体保持部材として内部に収容し液体を充填した液体収納容器や、液体収納容器のある空間に直接液体を収容した構成などがある。
【0003】
後者は液体保持部材を用いないため、外部へ供給できずに内部に残ってしまう液体が少なくなる利点がある。そして、この構成に液漏れしにくくするための負圧をもたせたものとしては、図15(A)、(B)、(C)に示した特許文献1に記載された技術がある。
【0004】
特許文献1は、インクジェットプリンタで使用されるインクタンクの構成を開示したものである。可撓性のインク袋1の内部にバネ部材3と板状部材4を配置してあるので、インク袋内のインクが外部へ供給されると袋は縮もうとするが、一方圧縮状態のバネ部材3が袋を押し広げ復元しようとすることで、内部に負圧を発生させるものである。この可撓性をもったインク袋1の配置の仕方は図15(B)に限定されず、図15(C)に示すように1面を固定したものであっても良い。
【0005】
また類似の構成としては、図16(特許文献2)に記載された液体収納容器がある。先の図15の構成では液体収容空間内部に大気を導入することなく液体を外部へ供給するために、内容積が減少可能な可撓性の袋を用いていた。しかし、この図16の構成では、液体収容空間内部へ大気を取り込むことによって、見合う体積の液体を外部へ供給する点が大きく異なっている。
【0006】
したがって、後者の構成では剛性のある筐体内部空間(図15で仮想的に言えば本体6と蓋7で構成される空間)に直接液体を収容可能であり、収容効率が高いメリットがある。
【0007】
反面、負圧は、液体に接する部位に大気の取り入れ口18を設け、そのメニスカス力を利用するため、外部へ液体が漏れる懸念がある。さらにまた、内部へ取り込んだ大気の、環境変化(気温・気圧)に伴う膨張収縮がもたらす負圧の変動(場合によっては正圧になる)の懸念もある。
【0008】
これらの課題に対しては、図16に示すように、液漏れに対しては疎水性の気体透過膜19で、大気の膨張収縮に対しては11、13、14で構成されるバッファ機構で解決する構成となっている。
【0009】
また、基本的な供給動作中の負圧を図17に示す。図15の技術ではバネ定数と変位量からほぼ比例の関係(図17中の符号801で示されるライン)となるが、図16の技術ではメニスカス破壊圧力(バブルポイント圧)と水頭からほぼ一定の負圧(図17中符合803で示される負圧で符号802で示されるライン)となるように動作する。
【0010】
図15の構成も図16の構成も、適切な設計により負圧を安定的に発生できるため、インクジェット記録ヘッドへ収納インクを供給する用途にも一般的に採用されているものである。
【0011】
ここで、これらの液体収納容器における液体残量検知手技術について説明する。図16の構成の液体収納容器では、液体の外部への供給に伴って液面が低下していく。そのため、たとえば図18(特許文献3)のように、ある部位に電極ピン25、26を配置しておき、液体の電気伝導度を利用して、電極ピン位置に液体があるかないかを容易に検出することが可能である。同様に、図19(特許文献4)に示した構成は、液体収納容器の内部に板状の1対の電極版を対向させて配置し、液面低下による静電容量の変化を検出することで液体残量をアナログ的に知ることができる技術である。
【0012】
一方、図14の構成の液体収納容器では大気の取り込みがないために液面が低下していく状態が存在しない。このため、たとえば図20(特許文献5)に示したように、可撓性の液体収容袋20とともに移動する板状部材30に設けた庇31が反射光路を遮ることにより、板状部材の移動量、すなわち液体収容袋の縮み量を検出することで残量検知を行うなどの工夫がなされている。
【特許文献1】特開平6−183023号
【特許文献2】特開2003−191488号
【特許文献3】特開平8−197749号
【特許文献4】特開平8−197749号
【特許文献5】特開2002−301828号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図15や図16に示した構成の液体収納容器では、一般的に直方体状の容器形状のうち、最大面積Sをもつ1対の対向面間で変位するように構成し、変位域を短くする(最大面積面間の距離は他の辺に比べ長さが短いことによる)ことで負圧特性をフラットに近づけ負圧の安定化を図るようにするのが望ましい。このため、液体収容袋とともに移動する板状部材30の傾きや、検出変位量のわずかな検出誤差△dが大きな液体量の誤差△Vを生むことになる。(△V=S*△d、ここでS>>0)
本発明は、外部に液体を漏らすことがない簡便な構成の液体収納容器であって、液体収納容器内の液体残量を精度よく検出する手段、特に液体がなくなる間際の残量検知精度を簡便に向上させる手段を備えた液体収納容器および液体収納容器の液体残量検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための液体収納容器は、記録装置に使われる、外部よりエアを取り込むことなく収容空間の容積を減じることによって外部へ液体供給可能な直方体状の液体収納容器であって
仕切り壁によって液体を収容可能な2つの区画が形成され、
第1の区画には可撓性フィルムと弾性変形部材によって、区画内に収容された液体を負圧維持しながら保持可能に構成される第1の液体収容空間を備えるとともに、前記第1の液体収容空間の対向する2面にはそれぞれ導電性の板状電極が対応するように設けられ、その1対の電極は液体収納容器外面に設けられた外部への1対の電気接続端子に接続されるとともに、第2の区画には可撓性フィルムによって液体を収容可能な第2の液体収容空間を備えており、
第1の区画には、前記第1の液体収容空間と外部とを連通し液体を供給する液体供給口が設けられるとともに、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第1の大気連通口を備え、
第2の区画には、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第2の大気連通口を備え、
前記第1の液体収容空間と第2の液体収容空間は、前記仕切り壁の1領域に設けられた貫通連通路を介して互いに連通しており、
前記第2の大気連通口には外部から非接触で開閉可能な弁機構が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、前記構成が採用された液体収納容器の液体残量検知方法は、前記第1および第2の液体収納空間に収容された合算液体量を元に消費される液体の量を係数して残量検出を行う第1の残量検出ステップと、
第1の残量検出ステップと並行して、第1の液体収容空間の静電容量を検出し、前記消費される液体の量の値に対する前記静電容量の増加率が予め設定された値に達したことを検出する第1の液体収容空間1次エンド検出ステップと、
前記第1の液体収容空間1次エンド検出を受け、第2の大気連通口に設けられた前記開放弁を開放するステップと、
前記開放ステップと並行して第1の液体収容空間の静電容量を検出し、単位時間あたりの前記静電容量の減少率が予め設定された値に達したことを検出する第2の液体収容空間エンド検出ステップと、
前記第2の液体収容空間エンド検出を受け、前記第1の残量検出ステップにおける前記消費される係数された液体の量を一旦リセットし、第2の液体収容空間に使用開始前に収容されていた液体量を元に改めて前記消費される液体の量の係数して残量検出を行う第2の残量検出ステップとを含み、
前記のステップ手順で液体収納容器の液体残量検知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、残量そのものを検知するという従来の発想を改め、ユーザーが求めるインクタンクのLow〜End状態での検知に特に的を絞る着想に基いて成されたものである。つまり、(1)インクLowのタイミングを見かけ上インクEndの状態で作りだし、(2)その状態を負圧の急激な変化点として内圧調整弁に感知させ、(3)その後一定量のインクを別室より送り込み、そのインク量、すなわちLow〜End状態でインクの残量検知を行なえるようにした。これによって、着脱交換可能な液体収納容器内の液体残量を誤差が少なく把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0018】
(第一の実施形態)
図1および図2に示した液体収納容器100は、直方体状の筐体をなしており、対向する最大面積面間をつなぐように設けられた仕切り壁103によって、大小2つの区画に区画されている。
【0019】
大きな区画は、第1の液体収容区画105であり、内部には公知のスプリングバッグ方式の負圧発生機構等を備える。すなわち、第1の液体収容区画105内には、電気絶縁性を備えた可撓性フィルム141で包まれた袋状第1の液体収容空間195がある。そして、可撓性フィルムがケース101の最大面積面と平行に内部容積を減少可能なように配されている。1対の樹脂製板状部材121a、121b(不図示)とそれらを押し広げようとする圧縮バネ(弾性変形部材との称する)120(図1ではコイルスプリングであるがこれに限定されない)が、前記第1の液体収容空間195内部に第1の可撓性フィルム141と一体的に設けられている。
【0020】
第1の液体収容空間195の外面には、第1の可撓性フィルム141をはさんで板状補強板121a、121bに対応して、導電性の電極板161a、161bが設けられている。(161bは不図示)そして、液体収納容器外面には、1対の電極板と導通する電気接続端子162a,162bが設けられ、その間をそれぞれ導通させるリード線163a,163bが第1の液体収容区画105内にたるみをもって接続されている。
【0021】
そして、第1の液体収容区画105には、大気連通口108が設けられ、第1の液体収容空間195の外部と連通するとともに、第1の液体収容空間195の内底部には外部への液体導出口107が設けられ、インク供給口110へとつながっている。
【0022】
この第1の液体収容空間195に収容された液体は、基本動作として、エアを導入することなくコイルスプリングが発生する負圧を保ちながら外部へインク供給可能な構成となっている。
【0023】
本発明の構成のポイントは、第1の液体収容空間195が独立した空間ではなく、後述したような構成になっている点にある。以下順を追って説明する。
【0024】
前述した第2の液体収容区画106には、その半分の高さの位置の内壁143に固定された可撓性フィルム142が、143の上方では内壁とはフリーの状態で液体を収容して自立している。
【0025】
そして第2の液体収容区画106内の、第2の液体収容空間196の外領域は、ごくわずかにエアが存在する領域であるが、蓋部材102と大気連通口に設けられた弁130によって通常密封されている。また、第1の液体収容区画105内に配置された第1の液体収容空間195を形成する可撓性フィルム141と、第2の液体収容区画106内に配置された第2の液体収容空間196を形成する可撓性フィルム142の下方空間とは、仕切り壁103を貫通する連通路104によって液体連通している。
【0026】
ここで、すでに説明した斜視図に加え、断面図を用いてその構成を説明する。図3は切断位置700I〜700VIIIを説明する図であり、図4(I)〜(VIII)は対応する各断面図を示したものである。121a、121bは、図1、図2では不図示であった補強板であり、第1の可撓性フィルム141の内面に固定されている。
【0027】
またフィルムをはさんで補強板に対向するフィルム外面には、電極板161a、161bが固定されている。
【0028】
外部への液体導出口107内に設けられた111は、液体供給先から接続される中空供給針500(不図示)を受け入れる弾性シール部材である。
【0029】
以上のように構成される液体収納容器の動作を特定のタイミング(a)〜(h)で捉えて説明する。
【0030】
なお、以下の実施例の図面の説明においては、(a)〜(h)は上記特定のタイミングのときの液体収納容器の状態を模式的な図面として示すもので、説明によっては欠番が存在していることを事前に断っておく。
【0031】
以下に図5(a)乃至(e)を用いて液体収納容器の動作を説明する。なお、図5(a)はタイミングaを、図5(b)はタイミングbを、図5(c)はタイミングcを、図5(d)はタイミングfを、図5(e)はタイミングhを夫々示している。また、内部の状態が理解しやすいように、蓋部材102を取り外してある。図5で理解上、注意すべき点は、左側の大きな区画(第1の液体収容区画105)は蓋部材102に設けられた大気連通口108を介して外気と連通状態にあるが、右側の小さな区画(第2の液体収容区画106)は大気連通口109に設けられた弁130により密封状態にあることである。この点は、以下の説明の中でも改めて補足解説する。
【0032】
本発明の液体収納容器100の初期状態は、使用時姿勢において図5(a)のようになっている。すなわち、1対の最大面積面と平行に配され可撓性フィルム141と、それと一体化された補強板121とが形成する第1の液体収容空間195は、直方体状の内空間を持つ第1の液体収容区画105内いっぱいに広がっている。そしてまた、直方体状の内空間を持つ第2の液体収容区画106の上半分の領域には、可撓性フィルム142が領域いっぱいに広がり、下半分の領域とともに第2の液体収容空間196を形成している。
【0033】
ここで初期状態時に、第1の液体収容空間内に収容されている液体量をV1、第2の液体収容空間内に収容された液体量をV2とする。V1の液体量を収容した第1の液体収容空間は、補強板121a−121b間距離doを維持しているが、外部への液体導出口107を介して液体供給口110より液体を供給すると、液体の供給に見合う分だけ第1の液体収容空間195の容積は減る。約半分(液量(V1/2))供給した時を模式的に表わしたのが図5(b)であり、この時の補強板121a−121b間距離はバネ部材120を圧縮し、dh≒do/2となる。
【0034】
さらに液体を供給するとやがて補強板同士がぶつかり合う状態(dk≒0))となり、第1の液体収容空間195内の液体は枯渇寸前となる。ぶつかり合う直前までは、背景技術のところでも述べたように、図16の負圧特性801のような挙動を示す。しかし、さらに液体を外部へ供給し続けると、可撓性フィルム141同士の干渉抵抗やバネ部材の畳み込み時の干渉抵抗などにより、後述するが図8(A)の(b)〜(c)のように、第1の液体収容空間195分の液体供給終末になると急激な負圧の低下が起こる。
【0035】
並行して、電極板が最接近し電極板161a−161b間にわずかに液体が残っている状態に近づくにつれ、電極板間の静電容量は電極板距離の2乗に反比例するため急激な上昇が起こる。
【0036】
ここで、第1の液体収容空間195の静電容量の急激な上昇(図8)(B)で示す傾き351)は、まさに第1の液体収容区間内の液体枯渇状態直前状態を示すものであり、得られた検出結果をもって、蓋部材102の第2の大気連通路に設けられた弁130を開放させる。
【0037】
大気連通口109が開放となると、液体連通している第2の液体収容空間から内圧が急激に低下していた第2の液体収容空間へと、連通路104を介して速やかに液体が移動する。第2の可撓性フィルム142には、別段補強板もバネ部材も設けられていなく、ほとんど抵抗も生じることなく、第2の可撓性フィルム142は、内壁への固定点143を折り返し点として裏返しになりながら、大気を第2の液体収容区画106へ取り込み、底部に向かって上下反転状態になる。
【0038】
第2の液体収容空間内の液体量V2が全量、第1の液体収容空間に移動した様子を模式的に表わしたのが図5(d)である。このとき、補強板121a−121b間距離は、移動してきた液体量V2分だけ、dk(≒0)からdLに増加している。
【0039】
第1の液体収容空間195と第2の液体収容空間196とは、連通路104を介して液体連通しているので、負圧により速やかに液体移動が完了し、静電容量が再び低下(急激な上昇分復帰)ことを確認して、弁130を閉じ大気連通口109は密封される。また、遅れて大気連通口109が密封されるとしても、第1の液体収容空間195に大気が入り込んでしまうといった問題は生じない。これは第2の可撓性フィルム142により、第1の液体収容空間と大気連通口109領域とは遮断されているからである。
【0040】
以上説明したように本発明のポイントの1つ目は、液体End状態を仮想的に作り出すことで負圧(内圧)の急激な低下を利用して内圧調整弁を作動させ、一定量の液体を移動させることにある。そして第2の発明のポイントは、この液体移動開始のタイミングおよび移動完了のタイミングを静電容量により検知すること、第3のポイントはそこでドットカウント方式のカウントをリセットし、新たに液体量をV2ないしはそれに相当する量をセットすることにある。
【0041】
これにより、(V1+V2)の合算液体量でドットカウント残検する従来技術に比べ、液体の残りが少なくなった時点で、ドットカウントをリセットし、V2(ないしはその相当値)から再度ドットカウントを始めることで、累積誤差の少ない、液体供給終了間際により高い残量検知精度を実現できる。
【0042】
本発明の効果を有効に引き出すためには、第2の液体収容空間内に収容される液量は少ない方が望ましい。本発明の液体収納容器を搭載する装置の稼動形態やユーザー要望によるが、合算液体量(V1+V2)の5〜25%が望ましい範囲である。すなわち、V1:V2で表現するならば、およそ20(19):1〜3:1が好適な範囲である。
【0043】
以上の動作ステップを別の模式図6を用いて説明する。なおここでも使用するカッコ内の符号は、図8のグラフないしチャートのa〜hと対応させてある。
【0044】
図6(a)〜(h)に示した概略図は、タイミングa〜hにおける動作状態と、不図示であった弁130の動作が説明しやすいように縦断面図として表してある。
【0045】
なお、ここで注意が必要であるが、第1の液体収容空間195は図5に示したように液体収納容器幅方向に移動するため、縦断面図では収容されている液体量の状態を表現できない。したがって、図6においては模擬的に、第1の可撓性フィルムの変位は上下方向に、また内部に収容される液体量は高さ方向で表現している。
【0046】
図6(a)は図5(a)と対応する初期状態であり、第1の液体収容空間195には液体量V1が、第2の液体収容空間196には液体量V2が収容されている。この第1の液体収容空間195は、第1の可撓性フィルム141により閉じられた空間であり、唯一液体収納容器100の底部と仕切り壁103とにおいて、それぞれ外部への液体導出口107および連通路104において固定され、隣接領域と連通している。
【0047】
不図示の装置に本液体収納容器100を装着すると、不図示の中空液体供給針500量がインク供給口110内に配置された弾性密封部(通称ゴム栓)111を貫通し、外部への液体導出口107を経て第1の液体収容空間195内に露出する。
【0048】
外部への液体供給が行われると、第1の可撓性フィルムにより閉じられた空間は内容積の減少分小さくなり、その容積減少分の大気600が大気連通口108から進入する。図6(b)は、およそ(V1)/2の量の液体を供給したときの様子を示したものである。改めて述べるが、第1の液体収容空間195は上下方向にその空間を移動させるわけではなく、断面図の手前−奥方向に移動するものであることを再度付け加えておく。これは、図6の(a)〜(h)の第1の液体収容空間195に対してすべて共通する事項である。
【0049】
さらにおよそ(V1)/2量の液体供給が行われると、図6(c)に示したように第1の液体収容空間195内には液体が枯渇寸前の状態に近づく。そして監視している静電容量値から変化率(傾き)が所定の設定値を超えた瞬時に、図6(d)に示したように、大気連通口109に配置された弁130を閉⇒開と作動させ、第2の液体収容区画106が大気に開放される。すると速やかに、急激に低下した第1の液体収納空間内の負圧に引っ張れるように、第2の液体収容空間196内の液体(液体量はV2)が移動を始める。
【0050】
第2の液体収容空間196から第1の液体収容空間195に移動してきた液体は、可撓性フィルムで閉じられた空間を押し広げようと付勢しているバネ部材120の復元力を借りながら、その内容積を拡大し、図6(e)の状態を経て図6(f)の状態に移行する。この時、第1の液体収容空間195には液体量V2が、第2の液体収容空間196は液体量実質ゼロとなる。
【0051】
液体移動が完了した時点で、監視している静電容量値から変化率(傾き)が所定の設定値に戻っていることが確認できるので、この時点で弁130を再度作動させ、大気連通口109は密封される。
【0052】
使用開始の初期状態(総液体量V1+V2)からドットカウント方式(公知の技術であり、記録装置が使用した量を積算して液体残量を求める方式。インクジェット記録装置においては、吐出や吸引回復等の各動作ごとに使用量を積算していく。)により、液体残量を得ることができるが、前記静電容量の大きな変化が生じたタイミングに対応して、ドットカウント値をリセットし改めて液体残量をV2(ないしは若干の補正量を加味したV2相当量)とする。
【0053】
図6(f)以降の液体供給は、第2の液体収容空間内に液体200が存在するか否かに関わらず、図6(b)〜(d)と同様に液体供給が行われる。
【0054】
続いて、図7(A)〜(C)を用いて弁130について簡単に補足する。図7(A)に液体収納容器全体を、図7(B)に弁構成を拡大して示している。弁130は、図7(B)に示されるとおり、薄いリング状の永久磁石の上面をS極とし、裏面(N極面)に弾性密封部材132(低弾性ゴムや独立気泡タイプの発泡フォームなど)が貼り付けてある。さらにシャフト133と一体化され、圧縮付勢ばね134によって、通常閉となるように構成されている。
【0055】
図7(C)に示すとおり、第2の大気連通口109の上方にN極を対向させて磁石を近づけると、N極−S極が引き合い、弁130が上方に変位し、大気600が通過可能なように大気連通口が開放となる。
【0056】
なお、N極、S極の配置は限定されたものではなく、逆でもよく、さらにまた一方は磁性体であってもよい。磁石330の磁力、近接距離等を考慮しなければならないが、コストの面からは、交換可能な液体収納容器側の131は磁石でなく磁性体とし、装置側の330は磁石とするのが望ましい。装置側の330も永久磁石に限ることはなく、電磁石でも良い。
【0057】
続いて、図5および図6で説明してきた動作の総括を模式的に表した図8について説明する。図8(A)のグラフは、液体収納容器の初期状態(a)から使い終わり(h)までの、第1の液体収容空間195内の圧力変化を示したものである。詳細は説明が重複するので割愛するが、第1の液体収容空間内の液体が枯渇寸前に急激に内圧が低下する。
【0058】
図8(B)は、静電容量の変化を、図8(A)と対応させて説明したものである。ポイント静電容量の急激な上昇をとらえて弁を制御するように構成されている。なお静電容量自身の設定値で判断するのは設計公差・製造上のバラツキ等からむずかしいが、その変化は急峻なため、変化率(傾き)を捉えることで動作バラツキを懸念する必要はない。
【0059】
図8(C)は、弁を制御するタイミングを示すチャートであり、図8(D)はドットカウントリセットについて、図8(A)(B)との対応で説明したものである。いずれも説明済の内容なので詳細は割愛する。
【0060】
(第二の実施形態)
図9(A)には第一の実施形態を、図9(B)には第ニの実施形態を示した。樹脂製補強板121a、121bと導電性電極板161a、161bとを、それぞれ一体化して、第1の可撓性フルム141の内面に配置した例である。このように構成することにより、部品点数の削減が図れるとともに、電極間同士がより近接する(最近接時は、絶縁被覆分を無視すれば距離が実質ゼロ)ので、より急激な静電容量の上昇を検出できるメリットがある。
【0061】
なお、電極板が液体中に浸るため、導電性液体や腐食性液体を収容する場合には、絶縁被覆が必要なのでその対応を忘れてはならない。
【0062】
(第三の実施形態)
図10には第三の実施形態を示す。図1ないし図2で示してきた第一の実施形態は、1対の最大面積面に対向した可撓性フィルムの2面がともに液体収納容器の幅方向中心に向かって移動する構成であったが、図9に示すように、一方が固定であってもよい。
【0063】
これを断面図で示したのが図11(A)であるが、図11(B)(C)に示すような引っ張りバネによる構成であってもよい。
【0064】
ここで補足説明すると、第2の液体収容空間が、液面を低下させながら連通路を介して液体を移動させるように構成されていることが重要であり、第1の負圧発生機構の詳細には限定されない。
【0065】
(第四の実施形態)
図12(a)〜(h)には第四の実施形態を示した。第2の液体収納空間の構成が第一の実施形態と異なるだけで基本動作は同じである。またカッコ内の符号a〜hも対応させてある。
【0066】
第一の実施形態では、第2の液体収容空間の固定点(固定線)143より上方領域は、第2の可撓性フィルム142により、下方領域は仕切り壁103とケース101の内壁のより構成されていたが、本実施例では、底部を除き第2の可撓性フィルムのみで構成されている。
【0067】
この実施例では、第2の可撓性フィルムが折り畳まれて図12(f)の状態を作り出すため、柔軟性があってできるだけ薄いフィルムが望ましい。第一の実施形態の形態を採用するか、第一の実施形態の形態を採用するかは、液体量V2、液体収納容器の幅内寸、高さなど形状因子から決めるのがよい。高さがある液体収納容器では、第一の実施形態の構成の方が望ましいだろう。
【0068】
(第五の実施形態)
図13(a)〜(d)には第四の実施形態を示した。図13(a)はタイミングaを、図13(b)はタイミングdを、図13(c)はタイミングfを、図13(d)はタイミングhの時の状態を夫々示している。基本構成は第一の実施形態と同様であるが、第2の大気連通口109には、弁可動部に黒色に塗られた形状記憶合金を用いた作動弁190が設けられている。図13(c)のステップで、磁石330によるマグネットバルブ130の作動ではなく、半導体レーザ371による半導体レーザモジュール370による作動としたものである。
【0069】
(第六の実施形態)
第六の実施形態を図14に示した。これは、第2の液体収納空間が移動する方向は鉛直下向きに限定されないことを示したものである。第1の液体収容空間内の液体は高さ方向が低下することなく、幅方向にその内容積を減じていくだけである。したがって、連通路104を上方に配置しても、第1の液体収納空間の内圧に引っ張られて、第2の液体収納空間は下方から上方に向かって移動しながら液体移動を行うように作用する。
【0070】
従来のエア導入を行わないスプリングバッグ方式のインクタンクでは液面低下を伴わないため、簡便でかつ精度の高い残量検知手段がなかった。実用的に採用されているドットカウント方式は、簡便ではあるが、総インク量に対しカウントするため、インクEnd検出精度を高めるのがむずかしかった。
【0071】
本発明では、残量そのものを検知するという従来の発想を改め、ユーザーが求めるインクタンクのLow〜End状態での検知に特に的を絞っている。つまり、(1)インクLowのタイミングを見かけ上インクEndの状態で作りだし、(2)その状態を静電容量の急激な変化点として検出し弁を作動させ、(3)その後一定量のインクを別室より送り込むことにより、インク残量の正確な検知を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る液体収納容器について、その内部を透過して示す模式的な斜視図である。
【図2】図1に示される液体収納容器の蓋を取り外して内部の構成を示した模式的な斜視図である。
【図3】図4に示す模式的断面図の切断位置を示す模式的な外観図である。
【図4】(I)〜(VIII)は図3に示された液体収納容器の切断個所に対応した切断面を示す模式的な断面図である。
【図5】(a)〜(e)は液体収納容器から液体が消費される際の動作状態を蓋を取り外して模式的に示す斜視図である。
【図6】(a)〜(h)は液体収納容器から液体が消費される際の動作状態をより細分化して模式的に示す側断面図である。
【図7】(A)〜(C)は液体収納容器の内圧調整弁の構成を模式的に示す概略図である。
【図8】(A)〜(D)はそれぞれ液体収納容器内の圧力変化を示す図、静電容量変化を示す図、内圧調整弁の動作を示す図、ドットカウントリセットを示す図である。
【図9】本発明の第二の実施形態に係る液体収納容器を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態に係る液体収納容器について、その内部を透過して示す模式的な斜視図である。
【図11】(A)〜(C)はそれぞれ図10に示される液体収納容器の水平断面を示す模式的な断面図、内部構成変形例の水平断面を示す模式的な断面図である。
【図12】(a)〜(h)は第四の実施形態の液体収納容器から液体が消費される際の動作状態を細分化して模式的に示す側断面図である。
【図13】(a)〜(d)は第五の実施形態の液体収納容器から液体が消費される際の動作状態を細分化して模式的に示す側断面図である。
【図14】本発明の第六の実施形態に係る液体収納容器について、その内部を透過して示す模式的な斜視図である。
【図15】(A)〜(C)は従来例の液体収納容器の一例を示す模式的な分解斜視図及び断面図である。
【図16】従来例の液体収納容器の他の例を示す模式的な断面図である。
【図17】従来例の負圧状態を示す図である。
【図18】従来例のインク残量検出構成の一例を示す概略図である。
【図19】従来例のインク残量検出構成の他の例を示す概略図である。
【図20】従来例のインク残量検出構成の別の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0073】
100 液体収納容器
104 連通路
105 第1の液体収容区画
106 第2の液体収容区画
107 液体収容室からの液体導出口
108 第1の液体収容室の大気連通口
109 第2の液体収容室の大気連通口
110 外部への液体供給口
150 外部への液体供給口
161a,b 電極板
162 電気接続端子
163 リード線
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱交換可能な液体収納容器内の液体残量を誤差を少なく把握できる構成を採用した液体収納容器および液体収納容器の液体残量検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られている液体収納容器には、発泡体や繊維交絡体を液体保持部材として内部に収容し液体を充填した液体収納容器や、液体収納容器のある空間に直接液体を収容した構成などがある。
【0003】
後者は液体保持部材を用いないため、外部へ供給できずに内部に残ってしまう液体が少なくなる利点がある。そして、この構成に液漏れしにくくするための負圧をもたせたものとしては、図15(A)、(B)、(C)に示した特許文献1に記載された技術がある。
【0004】
特許文献1は、インクジェットプリンタで使用されるインクタンクの構成を開示したものである。可撓性のインク袋1の内部にバネ部材3と板状部材4を配置してあるので、インク袋内のインクが外部へ供給されると袋は縮もうとするが、一方圧縮状態のバネ部材3が袋を押し広げ復元しようとすることで、内部に負圧を発生させるものである。この可撓性をもったインク袋1の配置の仕方は図15(B)に限定されず、図15(C)に示すように1面を固定したものであっても良い。
【0005】
また類似の構成としては、図16(特許文献2)に記載された液体収納容器がある。先の図15の構成では液体収容空間内部に大気を導入することなく液体を外部へ供給するために、内容積が減少可能な可撓性の袋を用いていた。しかし、この図16の構成では、液体収容空間内部へ大気を取り込むことによって、見合う体積の液体を外部へ供給する点が大きく異なっている。
【0006】
したがって、後者の構成では剛性のある筐体内部空間(図15で仮想的に言えば本体6と蓋7で構成される空間)に直接液体を収容可能であり、収容効率が高いメリットがある。
【0007】
反面、負圧は、液体に接する部位に大気の取り入れ口18を設け、そのメニスカス力を利用するため、外部へ液体が漏れる懸念がある。さらにまた、内部へ取り込んだ大気の、環境変化(気温・気圧)に伴う膨張収縮がもたらす負圧の変動(場合によっては正圧になる)の懸念もある。
【0008】
これらの課題に対しては、図16に示すように、液漏れに対しては疎水性の気体透過膜19で、大気の膨張収縮に対しては11、13、14で構成されるバッファ機構で解決する構成となっている。
【0009】
また、基本的な供給動作中の負圧を図17に示す。図15の技術ではバネ定数と変位量からほぼ比例の関係(図17中の符号801で示されるライン)となるが、図16の技術ではメニスカス破壊圧力(バブルポイント圧)と水頭からほぼ一定の負圧(図17中符合803で示される負圧で符号802で示されるライン)となるように動作する。
【0010】
図15の構成も図16の構成も、適切な設計により負圧を安定的に発生できるため、インクジェット記録ヘッドへ収納インクを供給する用途にも一般的に採用されているものである。
【0011】
ここで、これらの液体収納容器における液体残量検知手技術について説明する。図16の構成の液体収納容器では、液体の外部への供給に伴って液面が低下していく。そのため、たとえば図18(特許文献3)のように、ある部位に電極ピン25、26を配置しておき、液体の電気伝導度を利用して、電極ピン位置に液体があるかないかを容易に検出することが可能である。同様に、図19(特許文献4)に示した構成は、液体収納容器の内部に板状の1対の電極版を対向させて配置し、液面低下による静電容量の変化を検出することで液体残量をアナログ的に知ることができる技術である。
【0012】
一方、図14の構成の液体収納容器では大気の取り込みがないために液面が低下していく状態が存在しない。このため、たとえば図20(特許文献5)に示したように、可撓性の液体収容袋20とともに移動する板状部材30に設けた庇31が反射光路を遮ることにより、板状部材の移動量、すなわち液体収容袋の縮み量を検出することで残量検知を行うなどの工夫がなされている。
【特許文献1】特開平6−183023号
【特許文献2】特開2003−191488号
【特許文献3】特開平8−197749号
【特許文献4】特開平8−197749号
【特許文献5】特開2002−301828号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図15や図16に示した構成の液体収納容器では、一般的に直方体状の容器形状のうち、最大面積Sをもつ1対の対向面間で変位するように構成し、変位域を短くする(最大面積面間の距離は他の辺に比べ長さが短いことによる)ことで負圧特性をフラットに近づけ負圧の安定化を図るようにするのが望ましい。このため、液体収容袋とともに移動する板状部材30の傾きや、検出変位量のわずかな検出誤差△dが大きな液体量の誤差△Vを生むことになる。(△V=S*△d、ここでS>>0)
本発明は、外部に液体を漏らすことがない簡便な構成の液体収納容器であって、液体収納容器内の液体残量を精度よく検出する手段、特に液体がなくなる間際の残量検知精度を簡便に向上させる手段を備えた液体収納容器および液体収納容器の液体残量検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための液体収納容器は、記録装置に使われる、外部よりエアを取り込むことなく収容空間の容積を減じることによって外部へ液体供給可能な直方体状の液体収納容器であって
仕切り壁によって液体を収容可能な2つの区画が形成され、
第1の区画には可撓性フィルムと弾性変形部材によって、区画内に収容された液体を負圧維持しながら保持可能に構成される第1の液体収容空間を備えるとともに、前記第1の液体収容空間の対向する2面にはそれぞれ導電性の板状電極が対応するように設けられ、その1対の電極は液体収納容器外面に設けられた外部への1対の電気接続端子に接続されるとともに、第2の区画には可撓性フィルムによって液体を収容可能な第2の液体収容空間を備えており、
第1の区画には、前記第1の液体収容空間と外部とを連通し液体を供給する液体供給口が設けられるとともに、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第1の大気連通口を備え、
第2の区画には、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第2の大気連通口を備え、
前記第1の液体収容空間と第2の液体収容空間は、前記仕切り壁の1領域に設けられた貫通連通路を介して互いに連通しており、
前記第2の大気連通口には外部から非接触で開閉可能な弁機構が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、前記構成が採用された液体収納容器の液体残量検知方法は、前記第1および第2の液体収納空間に収容された合算液体量を元に消費される液体の量を係数して残量検出を行う第1の残量検出ステップと、
第1の残量検出ステップと並行して、第1の液体収容空間の静電容量を検出し、前記消費される液体の量の値に対する前記静電容量の増加率が予め設定された値に達したことを検出する第1の液体収容空間1次エンド検出ステップと、
前記第1の液体収容空間1次エンド検出を受け、第2の大気連通口に設けられた前記開放弁を開放するステップと、
前記開放ステップと並行して第1の液体収容空間の静電容量を検出し、単位時間あたりの前記静電容量の減少率が予め設定された値に達したことを検出する第2の液体収容空間エンド検出ステップと、
前記第2の液体収容空間エンド検出を受け、前記第1の残量検出ステップにおける前記消費される係数された液体の量を一旦リセットし、第2の液体収容空間に使用開始前に収容されていた液体量を元に改めて前記消費される液体の量の係数して残量検出を行う第2の残量検出ステップとを含み、
前記のステップ手順で液体収納容器の液体残量検知を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、残量そのものを検知するという従来の発想を改め、ユーザーが求めるインクタンクのLow〜End状態での検知に特に的を絞る着想に基いて成されたものである。つまり、(1)インクLowのタイミングを見かけ上インクEndの状態で作りだし、(2)その状態を負圧の急激な変化点として内圧調整弁に感知させ、(3)その後一定量のインクを別室より送り込み、そのインク量、すなわちLow〜End状態でインクの残量検知を行なえるようにした。これによって、着脱交換可能な液体収納容器内の液体残量を誤差が少なく把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0018】
(第一の実施形態)
図1および図2に示した液体収納容器100は、直方体状の筐体をなしており、対向する最大面積面間をつなぐように設けられた仕切り壁103によって、大小2つの区画に区画されている。
【0019】
大きな区画は、第1の液体収容区画105であり、内部には公知のスプリングバッグ方式の負圧発生機構等を備える。すなわち、第1の液体収容区画105内には、電気絶縁性を備えた可撓性フィルム141で包まれた袋状第1の液体収容空間195がある。そして、可撓性フィルムがケース101の最大面積面と平行に内部容積を減少可能なように配されている。1対の樹脂製板状部材121a、121b(不図示)とそれらを押し広げようとする圧縮バネ(弾性変形部材との称する)120(図1ではコイルスプリングであるがこれに限定されない)が、前記第1の液体収容空間195内部に第1の可撓性フィルム141と一体的に設けられている。
【0020】
第1の液体収容空間195の外面には、第1の可撓性フィルム141をはさんで板状補強板121a、121bに対応して、導電性の電極板161a、161bが設けられている。(161bは不図示)そして、液体収納容器外面には、1対の電極板と導通する電気接続端子162a,162bが設けられ、その間をそれぞれ導通させるリード線163a,163bが第1の液体収容区画105内にたるみをもって接続されている。
【0021】
そして、第1の液体収容区画105には、大気連通口108が設けられ、第1の液体収容空間195の外部と連通するとともに、第1の液体収容空間195の内底部には外部への液体導出口107が設けられ、インク供給口110へとつながっている。
【0022】
この第1の液体収容空間195に収容された液体は、基本動作として、エアを導入することなくコイルスプリングが発生する負圧を保ちながら外部へインク供給可能な構成となっている。
【0023】
本発明の構成のポイントは、第1の液体収容空間195が独立した空間ではなく、後述したような構成になっている点にある。以下順を追って説明する。
【0024】
前述した第2の液体収容区画106には、その半分の高さの位置の内壁143に固定された可撓性フィルム142が、143の上方では内壁とはフリーの状態で液体を収容して自立している。
【0025】
そして第2の液体収容区画106内の、第2の液体収容空間196の外領域は、ごくわずかにエアが存在する領域であるが、蓋部材102と大気連通口に設けられた弁130によって通常密封されている。また、第1の液体収容区画105内に配置された第1の液体収容空間195を形成する可撓性フィルム141と、第2の液体収容区画106内に配置された第2の液体収容空間196を形成する可撓性フィルム142の下方空間とは、仕切り壁103を貫通する連通路104によって液体連通している。
【0026】
ここで、すでに説明した斜視図に加え、断面図を用いてその構成を説明する。図3は切断位置700I〜700VIIIを説明する図であり、図4(I)〜(VIII)は対応する各断面図を示したものである。121a、121bは、図1、図2では不図示であった補強板であり、第1の可撓性フィルム141の内面に固定されている。
【0027】
またフィルムをはさんで補強板に対向するフィルム外面には、電極板161a、161bが固定されている。
【0028】
外部への液体導出口107内に設けられた111は、液体供給先から接続される中空供給針500(不図示)を受け入れる弾性シール部材である。
【0029】
以上のように構成される液体収納容器の動作を特定のタイミング(a)〜(h)で捉えて説明する。
【0030】
なお、以下の実施例の図面の説明においては、(a)〜(h)は上記特定のタイミングのときの液体収納容器の状態を模式的な図面として示すもので、説明によっては欠番が存在していることを事前に断っておく。
【0031】
以下に図5(a)乃至(e)を用いて液体収納容器の動作を説明する。なお、図5(a)はタイミングaを、図5(b)はタイミングbを、図5(c)はタイミングcを、図5(d)はタイミングfを、図5(e)はタイミングhを夫々示している。また、内部の状態が理解しやすいように、蓋部材102を取り外してある。図5で理解上、注意すべき点は、左側の大きな区画(第1の液体収容区画105)は蓋部材102に設けられた大気連通口108を介して外気と連通状態にあるが、右側の小さな区画(第2の液体収容区画106)は大気連通口109に設けられた弁130により密封状態にあることである。この点は、以下の説明の中でも改めて補足解説する。
【0032】
本発明の液体収納容器100の初期状態は、使用時姿勢において図5(a)のようになっている。すなわち、1対の最大面積面と平行に配され可撓性フィルム141と、それと一体化された補強板121とが形成する第1の液体収容空間195は、直方体状の内空間を持つ第1の液体収容区画105内いっぱいに広がっている。そしてまた、直方体状の内空間を持つ第2の液体収容区画106の上半分の領域には、可撓性フィルム142が領域いっぱいに広がり、下半分の領域とともに第2の液体収容空間196を形成している。
【0033】
ここで初期状態時に、第1の液体収容空間内に収容されている液体量をV1、第2の液体収容空間内に収容された液体量をV2とする。V1の液体量を収容した第1の液体収容空間は、補強板121a−121b間距離doを維持しているが、外部への液体導出口107を介して液体供給口110より液体を供給すると、液体の供給に見合う分だけ第1の液体収容空間195の容積は減る。約半分(液量(V1/2))供給した時を模式的に表わしたのが図5(b)であり、この時の補強板121a−121b間距離はバネ部材120を圧縮し、dh≒do/2となる。
【0034】
さらに液体を供給するとやがて補強板同士がぶつかり合う状態(dk≒0))となり、第1の液体収容空間195内の液体は枯渇寸前となる。ぶつかり合う直前までは、背景技術のところでも述べたように、図16の負圧特性801のような挙動を示す。しかし、さらに液体を外部へ供給し続けると、可撓性フィルム141同士の干渉抵抗やバネ部材の畳み込み時の干渉抵抗などにより、後述するが図8(A)の(b)〜(c)のように、第1の液体収容空間195分の液体供給終末になると急激な負圧の低下が起こる。
【0035】
並行して、電極板が最接近し電極板161a−161b間にわずかに液体が残っている状態に近づくにつれ、電極板間の静電容量は電極板距離の2乗に反比例するため急激な上昇が起こる。
【0036】
ここで、第1の液体収容空間195の静電容量の急激な上昇(図8)(B)で示す傾き351)は、まさに第1の液体収容区間内の液体枯渇状態直前状態を示すものであり、得られた検出結果をもって、蓋部材102の第2の大気連通路に設けられた弁130を開放させる。
【0037】
大気連通口109が開放となると、液体連通している第2の液体収容空間から内圧が急激に低下していた第2の液体収容空間へと、連通路104を介して速やかに液体が移動する。第2の可撓性フィルム142には、別段補強板もバネ部材も設けられていなく、ほとんど抵抗も生じることなく、第2の可撓性フィルム142は、内壁への固定点143を折り返し点として裏返しになりながら、大気を第2の液体収容区画106へ取り込み、底部に向かって上下反転状態になる。
【0038】
第2の液体収容空間内の液体量V2が全量、第1の液体収容空間に移動した様子を模式的に表わしたのが図5(d)である。このとき、補強板121a−121b間距離は、移動してきた液体量V2分だけ、dk(≒0)からdLに増加している。
【0039】
第1の液体収容空間195と第2の液体収容空間196とは、連通路104を介して液体連通しているので、負圧により速やかに液体移動が完了し、静電容量が再び低下(急激な上昇分復帰)ことを確認して、弁130を閉じ大気連通口109は密封される。また、遅れて大気連通口109が密封されるとしても、第1の液体収容空間195に大気が入り込んでしまうといった問題は生じない。これは第2の可撓性フィルム142により、第1の液体収容空間と大気連通口109領域とは遮断されているからである。
【0040】
以上説明したように本発明のポイントの1つ目は、液体End状態を仮想的に作り出すことで負圧(内圧)の急激な低下を利用して内圧調整弁を作動させ、一定量の液体を移動させることにある。そして第2の発明のポイントは、この液体移動開始のタイミングおよび移動完了のタイミングを静電容量により検知すること、第3のポイントはそこでドットカウント方式のカウントをリセットし、新たに液体量をV2ないしはそれに相当する量をセットすることにある。
【0041】
これにより、(V1+V2)の合算液体量でドットカウント残検する従来技術に比べ、液体の残りが少なくなった時点で、ドットカウントをリセットし、V2(ないしはその相当値)から再度ドットカウントを始めることで、累積誤差の少ない、液体供給終了間際により高い残量検知精度を実現できる。
【0042】
本発明の効果を有効に引き出すためには、第2の液体収容空間内に収容される液量は少ない方が望ましい。本発明の液体収納容器を搭載する装置の稼動形態やユーザー要望によるが、合算液体量(V1+V2)の5〜25%が望ましい範囲である。すなわち、V1:V2で表現するならば、およそ20(19):1〜3:1が好適な範囲である。
【0043】
以上の動作ステップを別の模式図6を用いて説明する。なおここでも使用するカッコ内の符号は、図8のグラフないしチャートのa〜hと対応させてある。
【0044】
図6(a)〜(h)に示した概略図は、タイミングa〜hにおける動作状態と、不図示であった弁130の動作が説明しやすいように縦断面図として表してある。
【0045】
なお、ここで注意が必要であるが、第1の液体収容空間195は図5に示したように液体収納容器幅方向に移動するため、縦断面図では収容されている液体量の状態を表現できない。したがって、図6においては模擬的に、第1の可撓性フィルムの変位は上下方向に、また内部に収容される液体量は高さ方向で表現している。
【0046】
図6(a)は図5(a)と対応する初期状態であり、第1の液体収容空間195には液体量V1が、第2の液体収容空間196には液体量V2が収容されている。この第1の液体収容空間195は、第1の可撓性フィルム141により閉じられた空間であり、唯一液体収納容器100の底部と仕切り壁103とにおいて、それぞれ外部への液体導出口107および連通路104において固定され、隣接領域と連通している。
【0047】
不図示の装置に本液体収納容器100を装着すると、不図示の中空液体供給針500量がインク供給口110内に配置された弾性密封部(通称ゴム栓)111を貫通し、外部への液体導出口107を経て第1の液体収容空間195内に露出する。
【0048】
外部への液体供給が行われると、第1の可撓性フィルムにより閉じられた空間は内容積の減少分小さくなり、その容積減少分の大気600が大気連通口108から進入する。図6(b)は、およそ(V1)/2の量の液体を供給したときの様子を示したものである。改めて述べるが、第1の液体収容空間195は上下方向にその空間を移動させるわけではなく、断面図の手前−奥方向に移動するものであることを再度付け加えておく。これは、図6の(a)〜(h)の第1の液体収容空間195に対してすべて共通する事項である。
【0049】
さらにおよそ(V1)/2量の液体供給が行われると、図6(c)に示したように第1の液体収容空間195内には液体が枯渇寸前の状態に近づく。そして監視している静電容量値から変化率(傾き)が所定の設定値を超えた瞬時に、図6(d)に示したように、大気連通口109に配置された弁130を閉⇒開と作動させ、第2の液体収容区画106が大気に開放される。すると速やかに、急激に低下した第1の液体収納空間内の負圧に引っ張れるように、第2の液体収容空間196内の液体(液体量はV2)が移動を始める。
【0050】
第2の液体収容空間196から第1の液体収容空間195に移動してきた液体は、可撓性フィルムで閉じられた空間を押し広げようと付勢しているバネ部材120の復元力を借りながら、その内容積を拡大し、図6(e)の状態を経て図6(f)の状態に移行する。この時、第1の液体収容空間195には液体量V2が、第2の液体収容空間196は液体量実質ゼロとなる。
【0051】
液体移動が完了した時点で、監視している静電容量値から変化率(傾き)が所定の設定値に戻っていることが確認できるので、この時点で弁130を再度作動させ、大気連通口109は密封される。
【0052】
使用開始の初期状態(総液体量V1+V2)からドットカウント方式(公知の技術であり、記録装置が使用した量を積算して液体残量を求める方式。インクジェット記録装置においては、吐出や吸引回復等の各動作ごとに使用量を積算していく。)により、液体残量を得ることができるが、前記静電容量の大きな変化が生じたタイミングに対応して、ドットカウント値をリセットし改めて液体残量をV2(ないしは若干の補正量を加味したV2相当量)とする。
【0053】
図6(f)以降の液体供給は、第2の液体収容空間内に液体200が存在するか否かに関わらず、図6(b)〜(d)と同様に液体供給が行われる。
【0054】
続いて、図7(A)〜(C)を用いて弁130について簡単に補足する。図7(A)に液体収納容器全体を、図7(B)に弁構成を拡大して示している。弁130は、図7(B)に示されるとおり、薄いリング状の永久磁石の上面をS極とし、裏面(N極面)に弾性密封部材132(低弾性ゴムや独立気泡タイプの発泡フォームなど)が貼り付けてある。さらにシャフト133と一体化され、圧縮付勢ばね134によって、通常閉となるように構成されている。
【0055】
図7(C)に示すとおり、第2の大気連通口109の上方にN極を対向させて磁石を近づけると、N極−S極が引き合い、弁130が上方に変位し、大気600が通過可能なように大気連通口が開放となる。
【0056】
なお、N極、S極の配置は限定されたものではなく、逆でもよく、さらにまた一方は磁性体であってもよい。磁石330の磁力、近接距離等を考慮しなければならないが、コストの面からは、交換可能な液体収納容器側の131は磁石でなく磁性体とし、装置側の330は磁石とするのが望ましい。装置側の330も永久磁石に限ることはなく、電磁石でも良い。
【0057】
続いて、図5および図6で説明してきた動作の総括を模式的に表した図8について説明する。図8(A)のグラフは、液体収納容器の初期状態(a)から使い終わり(h)までの、第1の液体収容空間195内の圧力変化を示したものである。詳細は説明が重複するので割愛するが、第1の液体収容空間内の液体が枯渇寸前に急激に内圧が低下する。
【0058】
図8(B)は、静電容量の変化を、図8(A)と対応させて説明したものである。ポイント静電容量の急激な上昇をとらえて弁を制御するように構成されている。なお静電容量自身の設定値で判断するのは設計公差・製造上のバラツキ等からむずかしいが、その変化は急峻なため、変化率(傾き)を捉えることで動作バラツキを懸念する必要はない。
【0059】
図8(C)は、弁を制御するタイミングを示すチャートであり、図8(D)はドットカウントリセットについて、図8(A)(B)との対応で説明したものである。いずれも説明済の内容なので詳細は割愛する。
【0060】
(第二の実施形態)
図9(A)には第一の実施形態を、図9(B)には第ニの実施形態を示した。樹脂製補強板121a、121bと導電性電極板161a、161bとを、それぞれ一体化して、第1の可撓性フルム141の内面に配置した例である。このように構成することにより、部品点数の削減が図れるとともに、電極間同士がより近接する(最近接時は、絶縁被覆分を無視すれば距離が実質ゼロ)ので、より急激な静電容量の上昇を検出できるメリットがある。
【0061】
なお、電極板が液体中に浸るため、導電性液体や腐食性液体を収容する場合には、絶縁被覆が必要なのでその対応を忘れてはならない。
【0062】
(第三の実施形態)
図10には第三の実施形態を示す。図1ないし図2で示してきた第一の実施形態は、1対の最大面積面に対向した可撓性フィルムの2面がともに液体収納容器の幅方向中心に向かって移動する構成であったが、図9に示すように、一方が固定であってもよい。
【0063】
これを断面図で示したのが図11(A)であるが、図11(B)(C)に示すような引っ張りバネによる構成であってもよい。
【0064】
ここで補足説明すると、第2の液体収容空間が、液面を低下させながら連通路を介して液体を移動させるように構成されていることが重要であり、第1の負圧発生機構の詳細には限定されない。
【0065】
(第四の実施形態)
図12(a)〜(h)には第四の実施形態を示した。第2の液体収納空間の構成が第一の実施形態と異なるだけで基本動作は同じである。またカッコ内の符号a〜hも対応させてある。
【0066】
第一の実施形態では、第2の液体収容空間の固定点(固定線)143より上方領域は、第2の可撓性フィルム142により、下方領域は仕切り壁103とケース101の内壁のより構成されていたが、本実施例では、底部を除き第2の可撓性フィルムのみで構成されている。
【0067】
この実施例では、第2の可撓性フィルムが折り畳まれて図12(f)の状態を作り出すため、柔軟性があってできるだけ薄いフィルムが望ましい。第一の実施形態の形態を採用するか、第一の実施形態の形態を採用するかは、液体量V2、液体収納容器の幅内寸、高さなど形状因子から決めるのがよい。高さがある液体収納容器では、第一の実施形態の構成の方が望ましいだろう。
【0068】
(第五の実施形態)
図13(a)〜(d)には第四の実施形態を示した。図13(a)はタイミングaを、図13(b)はタイミングdを、図13(c)はタイミングfを、図13(d)はタイミングhの時の状態を夫々示している。基本構成は第一の実施形態と同様であるが、第2の大気連通口109には、弁可動部に黒色に塗られた形状記憶合金を用いた作動弁190が設けられている。図13(c)のステップで、磁石330によるマグネットバルブ130の作動ではなく、半導体レーザ371による半導体レーザモジュール370による作動としたものである。
【0069】
(第六の実施形態)
第六の実施形態を図14に示した。これは、第2の液体収納空間が移動する方向は鉛直下向きに限定されないことを示したものである。第1の液体収容空間内の液体は高さ方向が低下することなく、幅方向にその内容積を減じていくだけである。したがって、連通路104を上方に配置しても、第1の液体収納空間の内圧に引っ張られて、第2の液体収納空間は下方から上方に向かって移動しながら液体移動を行うように作用する。
【0070】
従来のエア導入を行わないスプリングバッグ方式のインクタンクでは液面低下を伴わないため、簡便でかつ精度の高い残量検知手段がなかった。実用的に採用されているドットカウント方式は、簡便ではあるが、総インク量に対しカウントするため、インクEnd検出精度を高めるのがむずかしかった。
【0071】
本発明では、残量そのものを検知するという従来の発想を改め、ユーザーが求めるインクタンクのLow〜End状態での検知に特に的を絞っている。つまり、(1)インクLowのタイミングを見かけ上インクEndの状態で作りだし、(2)その状態を静電容量の急激な変化点として検出し弁を作動させ、(3)その後一定量のインクを別室より送り込むことにより、インク残量の正確な検知を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る液体収納容器について、その内部を透過して示す模式的な斜視図である。
【図2】図1に示される液体収納容器の蓋を取り外して内部の構成を示した模式的な斜視図である。
【図3】図4に示す模式的断面図の切断位置を示す模式的な外観図である。
【図4】(I)〜(VIII)は図3に示された液体収納容器の切断個所に対応した切断面を示す模式的な断面図である。
【図5】(a)〜(e)は液体収納容器から液体が消費される際の動作状態を蓋を取り外して模式的に示す斜視図である。
【図6】(a)〜(h)は液体収納容器から液体が消費される際の動作状態をより細分化して模式的に示す側断面図である。
【図7】(A)〜(C)は液体収納容器の内圧調整弁の構成を模式的に示す概略図である。
【図8】(A)〜(D)はそれぞれ液体収納容器内の圧力変化を示す図、静電容量変化を示す図、内圧調整弁の動作を示す図、ドットカウントリセットを示す図である。
【図9】本発明の第二の実施形態に係る液体収納容器を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態に係る液体収納容器について、その内部を透過して示す模式的な斜視図である。
【図11】(A)〜(C)はそれぞれ図10に示される液体収納容器の水平断面を示す模式的な断面図、内部構成変形例の水平断面を示す模式的な断面図である。
【図12】(a)〜(h)は第四の実施形態の液体収納容器から液体が消費される際の動作状態を細分化して模式的に示す側断面図である。
【図13】(a)〜(d)は第五の実施形態の液体収納容器から液体が消費される際の動作状態を細分化して模式的に示す側断面図である。
【図14】本発明の第六の実施形態に係る液体収納容器について、その内部を透過して示す模式的な斜視図である。
【図15】(A)〜(C)は従来例の液体収納容器の一例を示す模式的な分解斜視図及び断面図である。
【図16】従来例の液体収納容器の他の例を示す模式的な断面図である。
【図17】従来例の負圧状態を示す図である。
【図18】従来例のインク残量検出構成の一例を示す概略図である。
【図19】従来例のインク残量検出構成の他の例を示す概略図である。
【図20】従来例のインク残量検出構成の別の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0073】
100 液体収納容器
104 連通路
105 第1の液体収容区画
106 第2の液体収容区画
107 液体収容室からの液体導出口
108 第1の液体収容室の大気連通口
109 第2の液体収容室の大気連通口
110 外部への液体供給口
150 外部への液体供給口
161a,b 電極板
162 電気接続端子
163 リード線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録装置に使われる、外部よりエアを取り込むことなく収容空間の容積を減じることによって外部へ液体供給可能な直方体状の液体収納容器であって
仕切り壁によって液体を収容可能な2つの区画が形成され、
第1の区画には可撓性フィルムと弾性変形部材によって、区画内に収容された液体を負圧維持しながら保持可能に構成される第1の液体収容空間を備えるとともに、前記第1の液体収容空間の対向する2面にはそれぞれ導電性の板状電極が対応するように設けられ、その1対の電極は液体収納容器外面に設けられた外部への1対の電気接続端子に接続されるとともに、第2の区画には可撓性フィルムによって液体を収容可能な第2の液体収容空間を備えており、
第1の区画には、前記第1の液体収容空間と外部とを連通し液体を供給する液体供給口が設けられるとともに、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第1の大気連通口を備え、
第2の区画には、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第2の大気連通口を備え、
前記第1の液体収容空間と第2の液体収容空間は、前記仕切り壁の1領域に設けられた貫通連通路を介して互いに連通しており、
前記第2の大気連通口には外部から非接触で開閉可能な弁機構が設けられていることを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記液体収納容器は、最大面積面を有する対向する2面を区画するように前記仕切り壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記第1の液体収容空間に収容可能ないしは収容された液体量と、第2の液体収容空間に収容可能ないしは収容された液体量とは、20:1乃至3:1の範囲となるよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記第2の液体収容空間は、前記連通路を介して第1の液体収容空間への液体供給に伴い、前記仕切り壁とほぼ平行であって、該液体収納容器の使用時姿勢における鉛直方向に前記第2の液体収容空間を減少させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3に記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記第2の大気連通口に設けられた弁機構は、磁力により開閉するマグネットバルブないしは、半導体レーザ光の照射による光エネルギ−熱エネルギ変換に伴って開閉動作する形状記憶弁であることを特徴とする請求項4に記載の液体収納容器。
【請求項6】
前記第1の液体収容空間は、外部への液体供給に伴い、前記対向する最大面積面間でのほぼ平行移動によって第1の液体収容空間を減少させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5に記載の液体収納容器。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の液体収納容器の液体残量検知方法において、
前記第1および第2の液体収納空間に収容された合算液体量を元に消費される液体の量を係数して残量検出を行う第1の残量検出ステップと、
第1の残量検出ステップと並行して、第1の液体収容空間の静電容量を検出し、前記消費される液体の量の値に対する前記静電容量の増加率が予め設定された値に達したことを検出する第1の液体収容空間1次エンド検出ステップと、
前記第1の液体収容空間1次エンド検出を受け、第2の大気連通口に設けられた前記開放弁を開放するステップと、
前記開放ステップと並行して第1の液体収容空間の静電容量を検出し、単位時間あたりの前記静電容量の減少率が予め設定された値に達したことを検出する第2の液体収容空間エンド検出ステップと、
前記第2の液体収容空間エンド検出を受け、前記第1の残量検出ステップにおける前記消費される係数された液体の量を一旦リセットし、第2の液体収容空間に使用開始前に収容されていた液体量を元に改めて前記消費される液体の量の係数して残量検出を行う第2の残量検出ステップとを含み、
前記のステップ手順で液体収納容器の液体残量検知を行うことを特徴とする液体収納容器の液体残量検知方法。
【請求項1】
記録装置に使われる、外部よりエアを取り込むことなく収容空間の容積を減じることによって外部へ液体供給可能な直方体状の液体収納容器であって
仕切り壁によって液体を収容可能な2つの区画が形成され、
第1の区画には可撓性フィルムと弾性変形部材によって、区画内に収容された液体を負圧維持しながら保持可能に構成される第1の液体収容空間を備えるとともに、前記第1の液体収容空間の対向する2面にはそれぞれ導電性の板状電極が対応するように設けられ、その1対の電極は液体収納容器外面に設けられた外部への1対の電気接続端子に接続されるとともに、第2の区画には可撓性フィルムによって液体を収容可能な第2の液体収容空間を備えており、
第1の区画には、前記第1の液体収容空間と外部とを連通し液体を供給する液体供給口が設けられるとともに、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第1の大気連通口を備え、
第2の区画には、前記可撓性フィルムにより隔離された、液体を収容しない空間と連通する第2の大気連通口を備え、
前記第1の液体収容空間と第2の液体収容空間は、前記仕切り壁の1領域に設けられた貫通連通路を介して互いに連通しており、
前記第2の大気連通口には外部から非接触で開閉可能な弁機構が設けられていることを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記液体収納容器は、最大面積面を有する対向する2面を区画するように前記仕切り壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記第1の液体収容空間に収容可能ないしは収容された液体量と、第2の液体収容空間に収容可能ないしは収容された液体量とは、20:1乃至3:1の範囲となるよう構成されていることを特徴とする請求項1ないし2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記第2の液体収容空間は、前記連通路を介して第1の液体収容空間への液体供給に伴い、前記仕切り壁とほぼ平行であって、該液体収納容器の使用時姿勢における鉛直方向に前記第2の液体収容空間を減少させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3に記載の液体収納容器。
【請求項5】
前記第2の大気連通口に設けられた弁機構は、磁力により開閉するマグネットバルブないしは、半導体レーザ光の照射による光エネルギ−熱エネルギ変換に伴って開閉動作する形状記憶弁であることを特徴とする請求項4に記載の液体収納容器。
【請求項6】
前記第1の液体収容空間は、外部への液体供給に伴い、前記対向する最大面積面間でのほぼ平行移動によって第1の液体収容空間を減少させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5に記載の液体収納容器。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載の液体収納容器の液体残量検知方法において、
前記第1および第2の液体収納空間に収容された合算液体量を元に消費される液体の量を係数して残量検出を行う第1の残量検出ステップと、
第1の残量検出ステップと並行して、第1の液体収容空間の静電容量を検出し、前記消費される液体の量の値に対する前記静電容量の増加率が予め設定された値に達したことを検出する第1の液体収容空間1次エンド検出ステップと、
前記第1の液体収容空間1次エンド検出を受け、第2の大気連通口に設けられた前記開放弁を開放するステップと、
前記開放ステップと並行して第1の液体収容空間の静電容量を検出し、単位時間あたりの前記静電容量の減少率が予め設定された値に達したことを検出する第2の液体収容空間エンド検出ステップと、
前記第2の液体収容空間エンド検出を受け、前記第1の残量検出ステップにおける前記消費される係数された液体の量を一旦リセットし、第2の液体収容空間に使用開始前に収容されていた液体量を元に改めて前記消費される液体の量の係数して残量検出を行う第2の残量検出ステップとを含み、
前記のステップ手順で液体収納容器の液体残量検知を行うことを特徴とする液体収納容器の液体残量検知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−952(P2008−952A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−171507(P2006−171507)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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