説明

液体吐出装置

【課題】保湿によってノズルの目詰まりを防止し、目詰まりしたノズルの回復を図るだけでなく、ノズルから吐出したインク等の液体や保湿液を再利用できるようにする。
【解決手段】インク吐出ノズル32を有するヘッドモジュール30と、インク吐出ノズル32の周囲を閉鎖可能なヘッドキャップ50とを備え、ヘッドキャップ50は、インク吐出ノズル32と対向する部分に配置され、インク吐出ノズル32から吐出されたインクを収容可能なインク吸収体53と、インク吸収体53以外の部分に配置され、閉鎖空間内を加湿するための保湿液を収容可能な保湿液保持体54と、インクと保湿液とが混合しないようにインク吸収体53と保湿液保持体54との間を仕切り、インク吐出面21との間に空間が形成される高さの仕切り壁52とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出するためのノズル列が形成された液体吐出ヘッドの液体吐出面をキャップする液体吐出装置に係るものである。そして、詳しくは、ノズルの目詰まりを防止するとともに、目詰まりしたノズルの回復を図ることができるようにした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドに形成された複数のノズルからインク(液体)を吐出し、記録用紙に画像等を形成している。そのため、液体吐出ヘッドの液体吐出面が汚れていたり、液体吐出面にゴミ、ホコリ、紙粉等が付着した状態で画像等を形成すると、印画品質が低下してしまう。
【0003】
そこで、従来から液体吐出ヘッドの液体吐出面をヘッドキャップで保護するようにしている。すなわち、ヘッドキャップは、インクが吐出されるノズル付近を開閉可能なものである。そして、印画が行われない液体吐出ヘッドの待機中は、液体吐出面に対向した位置に配置され、ノズル付近を密閉して保護するが、液体吐出ヘッドの印画時は、インクの吐出に支障がないように、液体吐出面が開放されるようにする。これにより、待機中におけるインクの乾燥や、ホコリ、紙粉等の付着を防止して、ノズルに目詰まりが生じにくいようにしている。また、近年では、このようなヘッドキャップ内でインクの空吐出やインクの吸引を行い、液体吐出ヘッド内の流路やノズル付近に蓄積された気泡、増粘したインク等を能動的に排出できるようにしたものが主流となっている。
【0004】
一方、ノズル内のインクが増粘し、ノズルに固着してしまったインクに対しては、そのインクを軟化させることによってノズルを回復させる技術も知られている。すなわち、キャップ内に配備した多孔質体に水溶性インクを吐出する等して含浸させ、液体吐出面に対向させる。そして、キャップ内を気化した水分で充満させ、固着したインクを溶解してメンテナンスを行うものである。このようにしてキャップ内を保湿状態に維持すれば、液体吐出面の乾燥が予め抑制され、キャップをしたまま長期間放置した場合のノズルの目詰まりを予防することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−170553号公報
【0005】
また、液体吐出ヘッドに、インクを吐出するためのインク吐出ノズルとは別に、保湿液を吐出するための保湿液吐出ノズルを設ける技術も開示されている。そして、保湿液として、安価で入手が容易な水やアルコール類が使用されており、本来、印画に使用されるべきインクが加湿や保湿目的で無駄に消費されることを防止している。
【0006】
このような技術としては、キャップ内の底部に設けられたスポンジ等からなる保湿材に対して、洗浄ノズルから洗浄液を噴射してキャップ内に洗浄液の供給を行う技術が知られている。そして、保湿材に含浸させた洗浄液により、キャップによって覆われた液体吐出ヘッドのノズルの周囲を高湿度雰囲気に保持するようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献2】特開2001−253081号公報
【0007】
また、保湿液を貯留する保湿液タンクがキャリッジに搭載され、キャリッジの移動に対応してキャッピング手段内に保湿液が吐出されるようにした技術も知られている。そして、バルブ手段の開弁時間等によって保湿液の量を制御し、キャッピング手段の内部空間が保湿液によって湿潤状態に保持されるようにすることで、ノズルからのインクの蒸発を効果的に抑制している(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献3】特開2001−18408号公報
【0008】
さらにまた、複数有する液体吐出ヘッドのうちの少なくとも1つは、浸透剤及び保湿剤の少なくとも一方を含む溶剤を吐出するものとし、液体吐出ヘッドの各々に対応して設けられるキャップ内に浸透剤及び保湿剤の少なくとも一方を供給する技術もある。そして、封止部内を高湿度に保ち、封止部内における固形物の堆積・成長を制御する(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献4】特開2005−199458号公報
【0009】
さらに、キャップの凹部内を第1液受け部と第2液受け部とに分割し、両者を壁体で連通可能に区画する技術が知られている。そして、第2液受け部に吸引口があり、第1液(インク)と第2液(インク用の定着液)との排出が時間差を持って行われるようにすることで、吸引の際の第1液と第2液との混合をできるだけ回避している(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献5】特許第3841170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1から特許文献4に記載の技術では、インクの空吐出やインクの吸引等のメンテナンスに利用され、排出されたインクと、キャップ内の加湿・保湿目的で排出された水やアルコール類とが同一のキャップ内に収容される。すると、両者がキャップ内で混ざり合うこととなる。そのため、その混合液体は、再利用が不可能な廃液として処理せざるを得ない。
【0011】
特に、ラインヘッドを備えるライン方式のインクジェットプリンタの場合には、ヘッドを移動させて印画を行うシリアル方式に比べ、空吐出や吸引に利用するインクの量が大量になる。そして、このような大量のインクに、さらに水やアルコール類が混入すれば、より大量の廃液がメンテナンスのたびに発生し、非効率的なものとなる。
【0012】
また、特許文献5に記載の技術は、第1液受け部と第2液受け部とに分割されているものの、両者が連通可能となっている。そのため、第1液(インク)と第2液(インク用の定着液)との排出を時間差を持って行ったとしても、第1液や第2液の再利用が可能になるわけではない。これはそもそも、特許文献5に記載の技術では、液体の再利用が意図されていないからである。
【0013】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、液体吐出面の保湿によってノズルの目詰まりを防止し、目詰まりしたノズルの回復を図るだけでなく、ノズルから吐出したインク等の液体や保湿液を再利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下の解決手段により、上述の課題を解決する。
本発明の請求項1に記載の発明は、液体を吐出するための複数の液体吐出ノズルと、各前記液体吐出ノズルを一方向に配列した液体吐出ノズル列が形成された液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドの液体吐出面に当接することによって前記液体吐出ノズル列の周囲を閉鎖可能であり、前記液体吐出面から離間することによって前記液体吐出ノズル列を開放可能なキャップ部材とを備え、前記キャップ部材は、前記液体吐出面に当接したときに前記液体吐出ノズル列と対向する部分に配置され、各前記液体吐出ノズルから吐出された液体を収容可能な液体収容部と、前記液体収容部以外の部分に配置され、前記キャップ部材が前記液体吐出面に当接することによって形成される閉鎖空間内を加湿するための保湿液を収容可能な保湿液収容部と、前記液体収容部に収容された液体と前記保湿液収容部に収容された保湿液とが混合しないように前記液体収容部と前記保湿液収容部との間を仕切り、前記キャップ部材が前記液体吐出面に当接したときに前記液体吐出面との間に空間が形成される高さの仕切り壁とを有する液体吐出装置である。
【0015】
(作用)
上記の請求項1に記載の発明は、液体吐出ヘッドの液体吐出面に当接することによって液体吐出ノズル列の周囲を閉鎖可能であり、液体吐出面から離間することによって液体吐出ノズル列を開放可能なキャップ部材を備えている。そして、キャップ部材は、液体吐出ノズルから吐出された液体を収容可能な液体収容部と、保湿液を収容可能な保湿液収容部とを有している。そのため、ノズルから吐出された液体と保湿液とは、別々の場所に収容されることとなる。
【0016】
また、キャップ部材は、液体と保湿液とが混合しないように液体収容部と保湿液収容部との間を仕切る仕切り壁を有している。そのため、液体と保湿液とが混合した廃液が発生することはない。そして、仕切り壁は、液体吐出面との間に空間が形成される高さとなっているので、保湿液が気化すれば、仕切り壁を越えて液体吐出面に行き渡る。
【発明の効果】
【0017】
上記の発明によれば、ノズルから吐出された液体と保湿液とが別々の場所に収容され、仕切り壁により、両者の混合が防止される。そのため、ノズルから吐出された液体や保湿液を再利用できるようになり、効率的なものとなる。また、気化した保湿液が仕切り壁を越えて液体吐出面に行き渡るので、ノズルの目詰まりが防止され、目詰まりしたノズルの回復を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、本発明の液体吐出装置として、吐出する液体がインクであるインクジェットプリンタ10を例に挙げて説明する。そして、このインクジェットプリンタ10は、印画幅分(例えば、A4サイズ)のラインヘッド20(本発明における液体吐出ヘッドに相当するもの)を備えるライン方式のものであり、フルカラー対応となっている。
【0019】
図1は、本実施形態のインクジェットプリンタ10の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、記録用紙11に対して印画を行うものである。そして、給紙部(図示せず)から搬送された記録用紙11を給紙する給紙ローラ12と、給紙された記録用紙11を略水平に支持する印画テーブル13と、印画が行われた記録用紙11をペーパトレイ(図示せず)に排紙する排紙ローラ14とを備えている。
【0020】
また、インクジェットプリンタ10は、印画テーブル13上の記録用紙11に対し、インク吐出面21(本発明における液体吐出面に相当するもの)からインクを吐出して画像を形成するラインヘッド20を備えている。そして、ラインヘッド20は、保湿液(L)と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のインクを吐出する5つのヘッドモジュール30によって構成されている。
【0021】
さらにまた、インクジェットプリンタ10は、ラインヘッド20のインク吐出面21を保護するためのヘッドキャップユニット40を備えている。このヘッドキャップユニット40は、キャップベース41と、5つのバネ42と、5つのヘッドモジュール30に対応する5つのヘッドキャップ50(本発明におけるキャップ部材に相当するもの)とを有している。そして、各ヘッドキャップ50は、各バネ42により、それぞれ独立してキャップベース41に弾性的に支持されている。
【0022】
さらに、インクジェットプリンタ10は、ラインヘッド20を図1に示す垂直方向の矢印のように昇降させる昇降手段と、ヘッドキャップユニット40を図1に示す水平方向の矢印のように移動させる移動手段とを有している。この昇降手段及び移動手段は、例えば、駆動回転されるギヤ、ベルト、カム、ピストン、又はこれらの組合せ等によって構成される。
【0023】
したがって、ラインヘッド20は、昇降手段により、インク吐出面21が印画テーブル13の直上まで下降して記録用紙11に画像を形成する印画位置(図1に示す位置)と、上昇させてインク吐出面21をヘッドキャップユニット40で保護できるようにする上昇位置との間を昇降する。
【0024】
また、ヘッドキャップユニット40は、ラインヘッド20が上昇位置にあるときに、移動手段によって移動する。すなわち、インク吐出面21から離間することによって各ヘッドモジュール30を開放する退避位置(図1に示す位置)と、インク吐出面21の直下のキャッピング位置との間を変位する。そのため、印画が行われない待機中は、ヘッドキャップユニット40がインク吐出面21の直下に移動し、各ヘッドキャップ50がインク吐出面21に当接することにより、各ヘッドモジュール30を閉鎖する。一方、印画の際には、退避位置に移動して各ヘッドモジュール30を開放し、インク吐出面21を露出させる。
【0025】
図2は、図1に示すインクジェットプリンタ10のラインヘッド20の平面図であり、インク吐出面21側から見た図である。
図2に示すように、ラインヘッド20は、ヘッドフレーム22と、ヘッドフレーム22に保持された複数のヘッドモジュール30とから構成されている。すなわち、各ヘッドモジュール30は、ヘッドフレーム22の長手方向(用紙幅方向)に2個直列に接続されてヘッドフレーム22に挿入されている。そして、その2個のヘッドモジュール30で、印画可能な最大サイズの記録用紙の用紙幅(例えば、A4の横幅)の長さをカバーして1色を印画するようになっている。
【0026】
また、直列に接続された2個のヘッドモジュール30が平行に5ライン(合計10個)設けられている。すなわち、保湿液(L)を吐出する1ラインと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のインクを吐出する4ラインとが整列して配置されている。そして、Y,M.C.Kの4ラインによってフルカラー画像を形成する。
【0027】
さらにまた、各ヘッドモジュール30は、それぞれ複数のヘッドチップ31を備えている。すなわち、各ヘッドモジュール30には、ヘッドチップ31が千鳥状に、4個×2列で合計8個配置されている。そして、各ヘッドチップ31には、インク吐出ノズル32(保湿液吐出ノズル33)が一方向に配列され、インク吐出ノズル列32a(保湿液吐出ノズル列33a)を構成している。そのため、インク吐出ノズル列32a(保湿液吐出ノズル列33a)は、各ヘッドモジュール30について千鳥状の2列に並列しているだけでなく、ラインヘッド20の全体として、10列に並列した配置となっている。なお、インク吐出ノズル32(保湿液吐出ノズル33)の相互の間隔は、千鳥状に隣接する部分を含めて、すべて等間隔となっている。また、インク吐出ノズル32と保湿液吐出ノズル33とは、吐出するものがインクであるか保湿液であるかの違いだけであり、構造的な違いはない。
【0028】
図3は、本実施形態のインクジェットプリンタ10におけるラインヘッド20とヘッドキャップユニット40との位置関係を示す斜視図である。
ラインヘッド20とヘッドキャップユニット40とは、図3に示すような相対的な位置関係にある。そして、前述した通り、ラインヘッド20が上昇位置にあるときに、ヘッドキャップユニット40がインク吐出面21と平行に移動し、インク吐出面21の直下のキャッピング位置(図3に示す位置)まで変位する。
【0029】
ここで、ヘッドキャップユニット40には、ヘッドキャップ50が長手方向に2個直列に接続されている。そして、この2個直列のヘッドキャップ50が平行に5ライン(合計10個)設けられている。すなわち、保湿液(L)を吐出するヘッドモジュール30(図2参照)の1ラインと、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のインクを吐出するヘッドモジュール30の4ラインとに沿って、各ヘッドキャップ50が整列して配置されている。
【0030】
したがって、図3に示すキャッピング位置にあるヘッドキャップユニット40に対し、ラインヘッド20を下降させれば、各ヘッドキャップ50がインク吐出面21に当接するようになる。すると、図2に示す各ヘッドモジュール30のインク吐出ノズル列32a及び保湿液吐出ノズル列33aの周囲が各ヘッドキャップ50によって閉鎖される。そのため、インク吐出面21に付着したインクミストやインク溜まり等が隣接するインク吐出ノズル列32a又は保湿液吐出ノズル列33aに浸入し、混色が生じることを防止できる。なお、保湿液(L)のラインに対応するヘッドキャップ50は、必ずしも必要なものではないが、保湿液吐出ノズル列33aの周囲も閉鎖することにより、ゴミやホコリ等の付着を防止できる。
【0031】
図4は、図3に示すヘッドキャップユニット40のヘッドキャップ50の上面図及び縦断面図である。
ヘッドキャップ50は、図2に示すラインヘッド20のインク吐出面21に当接することにより、インク吐出ノズル列32a及び保湿液吐出ノズル列33aの周囲を閉鎖可能なものである。そして、インク吐出ノズル32及び保湿液吐出ノズル33の乾燥や目詰まりを防止するようになっている。
【0032】
ここで、ヘッドキャップ50は、図4に示すように、インク収容部50a(本発明における液体収容部に相当するもの)と、保湿液収容部50bとを有している。すなわち、外周縁51の内側において、ヘッドキャップ50(外周縁51)がインク吐出面21(図2参照)に当接したときにインク吐出ノズル列32a(図2参照)と対向する部分に配置されるのがインク収容部50aであり、インク収容部50a以外の部分に配置されるのが保湿液収容部50bである。そのため、インク収容部50aは、インク吐出ノズル列32aに合わせ、千鳥状に、4箇所×2列で合計8箇所配置されている。
【0033】
このインク収容部50aは、インク吐出ノズル32(図2参照)から吐出されたインクを収容可能なものである。すなわち、インク収容部50aは、インクの空吐出やインクの吸引等の吐出回復メンテナンスで排出されるインクをインク吐出ノズル列32a(図2参照)の至近で受け入れて回収する。一方、保湿液収容部50bは、保湿液を収容可能なものであり、保湿液吐出ノズル33(図2参照)から吐出された保湿液を受け入れて回収する。
【0034】
また、外周縁51は、ヘッドキャップ50が図2に示すインク吐出ノズル列32a及び保湿液吐出ノズル列33aの周囲を閉鎖し、密閉するときに、直接インク吐出面21と接触する部分である。すなわち、外周縁51がインク吐出面21に当接することによって閉鎖空間が形成されることとなる。そして、閉鎖空間の密閉性を確保するため、外周縁51は、軟質ゴムの薄いリップ状の部分で構成され、硬質樹脂で形成されたフレームに一体成形されている。なお、外周縁51を構成する軟質ゴムを硬質樹脂のフレームに接着するようにしてもよい。
【0035】
さらにまた、外周縁51の内側において、インク収容部50aと保湿液収容部50bとの間は、仕切り壁52によって仕切られている。すなわち、仕切り壁52は、インク収容部50aに収容されたインクと保湿液収容部50bに収容された保湿液とが混合しないように仕切るものである。そのため、インク及び保湿液は、同一のヘッドキャップ50内に受け入れられるが、このインクと保湿液とは、仕切り壁52によって完全に分離されたまま収容されることとなる。
【0036】
このような仕切り壁52は、外周縁51がインク吐出面21(図2参照)に当接したときにインク吐出面21との間に空間が形成されるように、外周縁51よりも低い高さになっている。そのため、保湿液収容部50bに収容されている保湿液が気化すれば、仕切り壁52の上方の空間を介して、隣接するインク収容部50aの上方に気化した保湿液が流入するようになる。その結果、外周縁51がインク吐出面21に当接することによって形成される閉鎖空間内が気化した保湿液によって充満され、加湿される。
【0037】
また、インク収容部50aには、インクの吸収性を高めるため、連続気孔の多孔質体からなるインク吸収体53(本発明における液体収容体に相当するもの)が収容されている。一方、保湿液収容部50bには、保湿液の保持性を高めるため、連続気孔の多孔質体からなる保湿液保持体54が収容されている。すなわち、インク収容部50aの空間を埋めるようにしてインク吸収体53が配置され、保湿液収容部50bの空間を埋めるようにして保湿液保持体54が配置されている。そして、インク吸収体53及び保湿液保持体54は、インクや保湿液に対して耐性を持つポリビニルアルコール(PVA)等のスポンジ状の素材で形成されている。なお、インク吸収体53及び保湿液保持体54となる材料の物性や気孔径は、使用するインクや保湿液の特性に応じて適宜選択される。
【0038】
さらにまた、ヘッドキャップ50は、インク収容部50aに収容されたインクを外部に排出するためのインク排出口55(本発明における液体排出口に相当するもの)と、保湿液収容部50bに収容された保湿液を外部に排出するための保湿液排出口56とを有している。これは、インク及び保湿液の再利用を可能にするためである。すなわち、インク収容部50aと保湿液収容部50bとの間は、仕切り壁52により、インク収容部50aに収容されたインクと保湿液収容部50bに収容された保湿液とが混合しないように仕切られている。そのため、インク排出口55からインク収容部50aのインクを排出し、保湿液排出口56から保湿液収容部50bの保湿液を排出すれば、そのまま廃棄することも、再利用することもできるようになる。なお、各インク収容部50aのインクを1箇所のインク排出口55から排出し、各保湿液収容部50bの保湿液を1箇所の保湿液排出口56から排出できるように、流路で接続されている。
【0039】
図5は、ヘッドキャップユニット40によるメンテナンス動作の開始時を示す模式図である。
図5に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ10において、ラインヘッド20のメンテナンスを行うには、最初に、印画等のために印画テーブル13の直上まで下降していたラインヘッド20を上昇させる。そして、インク吐出面21の下方を大きく開放させる。
【0040】
次に、上昇位置にあるラインヘッド20に対し、ヘッドキャップユニット40をインク吐出面21に向けて移動させる。すなわち、キャップベース41を移動させ、ヘッドキャップ50がヘッドモジュール30の下方を通過するようにする。なお、ヘッドモジュール30は、ヘッドキャップ50に近い側から順に、保湿液(L)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各インクを吐出するように配置されている。
【0041】
図6は、ヘッドキャップユニット40によるメンテナンス動作において、保湿液(L)の最初の吐出時を示す模式図である。
図6に示すように、ヘッドキャップユニット40をインク吐出面21に向けて移動させると、最初に、ブラック(K)のヘッドモジュール30に対応するヘッドキャップ50が保湿液(L)を吐出するヘッドモジュール30の下方を通過する。
【0042】
この際、保湿液(L)のヘッドモジュール30は、ブラック(K)のヘッドキャップ50に向けて、保湿液(本実施形態では、純水)を0.3cc程度吐出する。なお、保湿液の吐出は、図4に示すヘッドキャップ50の保湿液保持体54だけに着弾するように制御される。
【0043】
図7は、ヘッドモジュール30による保湿液の吐出状況を示す縦断面図である。
図7に示すように、ヘッドモジュール30は、保湿液供給口35及び保湿液循環口37を有しており、保湿液供給口35から供給された保湿液が保湿液循環口37から排出されるようになっている。そして、ヘッドモジュール30内の保湿液は、保湿液吐出ノズル33から吐出される。
【0044】
ここで、ヘッドモジュール30の下方を通過するヘッドキャップ50は、インク吸収体53及び保湿液保持体54を有している。そのため、このヘッドモジュール30は、保湿液吐出ノズル33の直下に保湿液保持体54が位置するときにだけ、保湿液を吐出するように制御される。その結果、保湿液は、保湿液保持体54に向けて吐出され、保湿液保持体54によって保持される。
【0045】
また、保湿液保持体54に保持された保湿液は、仕切り壁52により、インク吸収体53との相互浸入が防止されている。そのため、保湿液保持体54の保湿液とインク吸収体53のインクとが混じり合うことはない。さらにまた、吐出された保湿液の量が保湿液保持体54の保持限界量を越えた場合には、その保湿液が保湿液排出口56から排出される。その結果、保湿液保持体54には、常に適正量の保湿液が保持されることとなる。
【0046】
図8は、本実施形態のインクジェットプリンタ10における保湿液の循環及び再利用を示す模式図である。
図8に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ10は、カートリッジ15に貯留されている保湿液を使用する。カートリッジ15内の保湿液は、サブタンク16を介して保湿液供給口35からヘッドモジュール30内に供給される。そして、保湿液吐出ノズル33からヘッドキャップ50の保湿液保持体54に吐出される。
【0047】
また、ヘッドモジュール30内の保湿液は、保湿液循環口37から排出され、循環ポンプ17によってカートリッジ15に戻される。そのため、カートリッジ15に貯留された保湿液は、保湿液吐出ノズル33から吐出される分だけ消費され、その他は循環ポンプ17によって循環する。なお、吐出によって保湿液がなくなった場合には、新しい(保湿液が貯留された)カートリッジ15と交換する。
【0048】
ここで、保湿液吐出ノズル33から吐出された保湿液は、ヘッドキャップ50の保湿液保持体54に吸収され、保持される。そして、仕切り壁52(図7参照)により、インク吸収体53に吸収されたインクとの混合が防止される。しかしながら、保湿液保持体54の保持量には限界がある。そのため、ヘッドキャップ50から保湿液が溢れ出さないように、保持量の限界を越えた保湿液は、吸引ポンプ18によって保湿液排出口56から吸引される。
【0049】
このように、本実施形態のインクジェットプリンタ10では、保湿液保持体54に吐出され、保湿液排出口56から排出された保湿液の回収が可能となっている。そして、回収された保湿液は、インクの混合のないものなので、フィルタ19によって不純物を取り除いた後、カートリッジ15に戻される。そのため、保湿液排出口56から排出された保湿液も循環し、廃液として捨てられることなく再利用される。すなわち、保湿液が効率的に有効活用されることとなる。また、保湿液保持体54の保持量の調節も可能となり、適正量に維持できる。
【0050】
図9は、ヘッドキャップユニット40によるメンテナンス動作において、保湿液(L)の最後の吐出時を示す模式図である。
保湿液(L)のヘッドモジュール30は、ヘッドキャップユニット40の移動にともない、最初に、ブラック(K)のヘッドモジュール30に対応するブラック(K)のヘッドキャップ50に保湿液を吐出する。同様に、保湿液(L)のヘッドモジュール30は、シアン(C)のヘッドキャップ50及びマゼンタ(M)のヘッドキャップ50に順次、保湿液を吐出する。
【0051】
このようにして、最後は、図9に示すように、保湿液(L)のヘッドモジュール30がイエロー(Y)のヘッドキャップ50に保湿液を吐出する。そのため、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のヘッドモジュール30に対応するヘッドキャップ50内に保湿液が保持される。なお、保湿液(L)のヘッドキャップ50に対しても、保湿液を吐出するようにしてもよい。
【0052】
図10は、ヘッドキャップユニット40によるメンテナンス動作において、キャッピングした状態を示す模式図である。
図10に示すように、ヘッドキャップユニット40がラインヘッド20の直下まで移動し、キャッピングに到達すると、ラインヘッド20が下降する。そのため、各ヘッドキャップ50がインク吐出面21に当接するようになる。
【0053】
また、各ヘッドキャップ50は、5つのヘッドモジュール30に対応して設けられているので、それぞれのヘッドモジュール30を個別にキャッピングする。そして、この際、各ヘッドキャップ50がバネ42によって付勢されていることから、インク吐出面21には、適度な押圧力が作用する。そのため、インクジェットプリンタ10の待機中におけるインクの乾燥や、ホコリ、紙粉等の付着が防止される。さらに、ノズルの目詰まりも生じにくくなる。
【0054】
図11は、ヘッドモジュール30をヘッドキャップ50でキャッピングし、保湿液で加湿した状態を示す縦断面図である。
また、図12は、インク吐出ノズル32の周辺部を拡大して示す縦断面図である。
図11に示すように、ヘッドキャップ50がインク吐出面21に当接すると、外周縁51により、ヘッドモジュール30とヘッドキャップ50との間に閉鎖空間が形成される。すると、すべてのインク吐出ノズル32の周囲が外周縁51によって閉鎖されるようになる。
【0055】
さらに、インク吸収体53と保湿液保持体54との間を仕切る仕切り壁52は、ヘッドキャップ50がインク吐出面21に当接したときにインク吐出面21との間に空間が形成される高さとなっている。そのため、保湿液保持体54に保持されている保湿液が気化すると、気化した保湿液は、仕切り壁52を越えて拡散し、閉鎖空間内の全体が加湿されるようになる。また、保湿液排出口56からの排出により、保湿液保持体54には、常に適正量の保湿液が保持されるので、安定した加湿状態が維持される。
【0056】
ここで、図12(a)に示すように、ヘッドモジュール30のインク吐出ノズル32に乾燥や増粘したインクがあり、目詰まりしていることがある。このインク吐出ノズル32は、ヘッドキャップ50のインク吸収体53と対向しているが、保湿液保持体54から気化した保湿液は、仕切り壁52を越えてインク吸収体53側に到達し、インク吐出ノズル32を湿潤させる。すると、乾燥や増粘したインクが溶解され、軟化するようになる。
【0057】
したがって、インク吐出ノズル32にある乾燥インクや増粘インクは、図12(b)に示すように、軟化インクとなって滴下する。その結果、インク吐出ノズル32の目詰まりが解消される。すなわち、長期間に渡って使用されていなかったり、何らかの事情によってインク吐出面21が外気に長時間露出してしまい、インク吐出ノズル32の大部分が乾燥インクや増粘インクで目詰まりした場合であっても、インク吐出ノズル32の目詰まりを短時間で回復できる。なお、インク吐出ノズル32から滴下した軟化インクは、インク吸収体53に吸収される。
【0058】
図13は、ヘッドモジュール30をヘッドキャップ50でキャッピングし、インクを空吐出した状態を示す縦断面図である。
インク吐出ノズル32の目詰まりを解消した後は、図13に示すように、インクを空吐出させて吐出機能を回復させることができる。すなわち、ヘッドモジュール30は、インク供給口34及びインク循環口36を有しており、インク供給口34から供給されたインクがインク循環口36から排出されるようになっている。そして、ヘッドモジュール30内のインクは、インク吐出ノズル32から吐出される。
【0059】
ここで、ヘッドキャップ50には、インク吐出ノズル32と対向する部分にインク吸収体53が配置されている。そのため、インク吐出ノズル32から空吐出されたインクは、インク吸収体53に向けて吐出されることとなり、インク吸収体53に収容される。そして、インク吸収体53に吸収されたインクは、仕切り壁52により、保湿液保持体54との相互浸入が防止される。そのため、インク吸収体53のインクと保湿液保持体54の保湿液とが混じり合うことはない。
【0060】
また、空吐出されたインクの量がインク吸収体53の吸収限界量を越えた場合には、そのインクがインク排出口55から排出される。そして、インク排出口55から排出されたインクは、インク循環口36から排出されたインクと同様に循環し、再利用される。すなわち、図8に示すように、インクは、保湿液と同様のカートリッジ15に貯留されており、サブタンク16を介してインク供給口34からヘッドモジュール30内に供給されるようになっている。
【0061】
さらにまた、ヘッドモジュール30内のインクは、インク循環口36から排出され、循環ポンプ17によってカートリッジ15に戻される。そのため、カートリッジ15に貯留されたインクは、インク吐出ノズル32から吐出される分だけ消費され、その他は循環ポンプ17によって循環する。なお、吐出によってインクがなくなった場合には、新しい(インクが貯留された)カートリッジ15と交換する。
【0062】
一方、インク吐出ノズル32から吐出されたインクは、保湿液と混じり合わない状態で、吸引ポンプ18によってインク排出口55から吸引される。そして、このインクは、フィルタ19によって不純物を取り除いた後、カートリッジ15に戻される。そのため、インク排出口55から排出されたインクも循環し、廃液として捨てられることなく再利用される。
【0063】
したがって、図13に示すようなインクの空吐出によってインク吐出ノズル32の吐出機能を回復しても、インクが効率的に有効活用されることとなる。また、インクを空吐出した後、使用されずに長期間に渡って放置された場合であっても、保湿液保持体54に保持された保湿液の気化によってヘッドキャップ50内が加湿されている。そのため、インク吐出ノズル32の目詰まりが効果的に予防される。
【0064】
以上、説明したように、本実施形態のインクジェットプリンタ10によれば、保湿液吐出ノズル33から保湿液(純水)をヘッドキャップ50に向けて吐出することにより、インク吐出面21を加湿することが可能である。そのため、インク吐出ノズル32が湿潤された状態となるので、乾燥や増粘したインクが軟化し、目詰まりが解消される。そして、ヘッドキャップ50によってキャッピングされていれば、インクジェットプリンタ10が長期間使用されない場合であっても、気化した保湿液がヘッドキャップ50内を満たしているので、インク吐出ノズル32のインクの乾燥を能動的に防止できる。
【0065】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ10は、印画目的で使用するインクと、ヘッドキャップ50内の加湿・保湿目的で使用する保湿液とを使い分けているので、印画用のインクを加湿・保湿目的で大量に消費する無駄をなくすことができる。しかも、空吐出で排出されたインクと、加湿・保湿目的で排出された保湿液とが混ざり合うことなく分離されているので、インク及び保湿液の再利用が可能となり、経済的効果が大きい。なお、インクと保湿液とが仕切り壁52によって分離されていても、気化した保湿液は、ヘッドキャップ50内の全体に充満するので、保湿性能に支障をきたすことはない。
【0066】
さらにまた、本実施形態のインクジェットプリンタ10は、1つのヘッドキャップ50内にインク収容部50aと保湿液収容部50bとを配置している。そして、このヘッドキャップ50のキャッピングにより、加湿・保湿と空吐出とが可能となっている。そのため、インクジェットプリンタ10を小型化及び低価格化することができる。
【0067】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形等が可能である。すなわち、
(1)本実施形態は、ラインヘッド20を備えるライン方式のインクジェットプリンタ10としているが、これに限らず、ヘッドを記録用紙の幅方向に移動させて印画を行うシリアル方式のプリンタにも適用できる。また、プリンタの他、複写機、ファクシミリ等にも適用できる。
【0068】
(2)本実施形態では、ヘッドキャップ50内を加湿・保湿する保湿液として純水を使用したが、それに限定するものではなく、インクを溶融し、揮発しても固形物が残存しないもの(例えば、アルコール類等)であれば、保湿液として適用可能である。また、保湿液は、保湿液吐出ノズル33から吐出して保湿液収容部50bに収容するのではなく、予め保湿液収容部50b内に収容しておいたり、保湿液排出口56から逆に供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態のインクジェットプリンタの全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタのラインヘッドの平面図であり、インク吐出面側から見た図である。
【図3】本実施形態のインクジェットプリンタにおけるラインヘッドとヘッドキャップユニットとの位置関係を示す斜視図である。
【図4】図3に示すヘッドキャップユニットのヘッドキャップの上面図及び縦断面図である。
【図5】ヘッドキャップユニットによるメンテナンス動作の開始時を示す模式図である。
【図6】ヘッドキャップユニットによるメンテナンス動作において、保湿液(L)の最初の吐出時を示す模式図である。
【図7】ヘッドモジュールによる保湿液の吐出状況を示す縦断面図である。
【図8】本実施形態のインクジェットプリンタにおける保湿液の循環及び再利用を示す模式図である。
【図9】ヘッドキャップユニットによるメンテナンス動作において、保湿液(L)の最後の吐出時を示す模式図である。
【図10】ヘッドキャップユニットによるメンテナンス動作において、キャッピングした状態を示す模式図である。
【図11】ヘッドモジュールをヘッドキャップでキャッピングし、保湿液で加湿した状態を示す縦断面図である。
【図12】インク吐出ノズルの周辺部を拡大して示す縦断面図である。
【図13】ヘッドモジュールをヘッドキャップでキャッピングし、インクを空吐出した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
20 ラインヘッド(液体吐出ヘッド)
21 インク吐出面(液体吐出面)
30 ヘッドモジュール
32 インク吐出ノズル(液体吐出ノズル)
32a インク吐出ノズル列(液体吐出ノズル列)
33 保湿液吐出ノズル
33a 保湿液吐出ノズル列
34 インク供給口(液体供給口)
35 保湿液供給口
50 ヘッドキャップ(キャップ部材)
50a インク収容部(液体収容部)
50b 保湿液収容部
52 仕切り壁
53 インク吸収体(液体収容体)
54 保湿液保持体(保湿液収容体)
55 インク排出口(液体排出口)
56 保湿液排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するための複数の液体吐出ノズルと、
各前記液体吐出ノズルを一方向に配列した液体吐出ノズル列が形成された液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドの液体吐出面に当接することによって前記液体吐出ノズル列の周囲を閉鎖可能であり、前記液体吐出面から離間することによって前記液体吐出ノズル列を開放可能なキャップ部材と
を備え、
前記キャップ部材は、
前記液体吐出面に当接したときに前記液体吐出ノズル列と対向する部分に配置され、各前記液体吐出ノズルから吐出された液体を収容可能な液体収容部と、
前記液体収容部以外の部分に配置され、前記キャップ部材が前記液体吐出面に当接することによって形成される閉鎖空間内を加湿するための保湿液を収容可能な保湿液収容部と、
前記液体収容部に収容された液体と前記保湿液収容部に収容された保湿液とが混合しないように前記液体収容部と前記保湿液収容部との間を仕切り、前記キャップ部材が前記液体吐出面に当接したときに前記液体吐出面との間に空間が形成される高さの仕切り壁と
を有する液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記液体吐出ヘッドは、前記液体吐出ヘッドの内部に液体を供給するための液体供給口を有し、
前記キャップ部材は、前記液体収容部に収容された液体を前記キャップ部材の外部に排出するための液体排出口を有しており、
前記液体排出口から排出された液体を前記液体供給口に供給可能である
液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記液体吐出ヘッドは、前記保湿液収容部に向けて保湿液を吐出するための保湿液吐出ノズルを有する
液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置において、
前記液体吐出ヘッドは、前記液体吐出ヘッドの内部に保湿液を供給するための保湿液供給口を有し、
前記キャップ部材は、前記保湿液収容部に収容された保湿液を前記キャップ部材の外部に排出するための保湿液排出口を有しており、
前記保湿液排出口から排出された保湿液を前記保湿液供給口に供給可能である
液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記液体吐出ヘッドは、異なる種類の液体を吐出するための複数のヘッドモジュールから構成されており、
前記キャップ部材は、各前記ヘッドモジュールごとに設けられている
液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記液体収容部には、連続気孔の多孔質体からなる液体収容体が収容され、
前記保湿液収容部には、連続気孔の多孔質体からなる保湿液収容体が収容されている
液体吐出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体吐出装置において、
前記液体収容体は、液体に対して耐性を持つ素材で形成され、
前記保湿液収容体は、保湿液に対して耐性を持つ素材で形成されている
液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−285982(P2009−285982A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140767(P2008−140767)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】