説明

液体吐出装置

【課題】容易にテストパターンを明示させることを可能する。
【解決手段】プリンタは、インクを吐出するインクジェットヘッドと、無色透明な画質向上液を吐出する画質向上ヘッドと、感熱紙を搬送する搬送機構と、これらを制御する制御装置とを含んでいる。画質向上液には、感熱紙の感熱層に含まれる酸性の顕色剤を中和するアルカリ性の中和剤が、画質向上液が付着した感熱紙の付着領域にある顕色剤を中和できる濃度以上含まれている。そして、制御装置は、感熱紙を搬送するとともに感熱紙に画質向上液を吐出させてテストパターンを形成するように、搬送機構及び画質向上ヘッドを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口から液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、感熱紙に無色透明のインクを吐出し、当該感熱紙を所定温度範囲内で加熱することで感熱紙のインク着弾領域を発色させて、目視で吐出状態を検査するインクジェット記録ヘッドの吐出検査方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−208336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、感熱紙を加熱する温度制御を非常に精度良く行う必要があり、感熱紙が所定温度範囲を超えて加熱されると、インク着弾領域の周囲も変色する。すると、インク着弾状態が不明瞭となり、吐出状態を目視で検査することができなくなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、容易にテストパターンを明示させることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、色素成分が含まれた第1液体を吐出する複数の第1吐出口が形成された第1液体吐出ヘッドと、前記第1液体中の色素成分を凝集又は析出させる成分を含有する無色透明な第2液体を吐出する複数の第2吐出口が形成された第2液体吐出ヘッドと、記録媒体に前記第1及び第2液体を吐出して画像を形成するように、前記搬送機構、前記第1及び第2液体吐出ヘッドを制御する制御手段とを備えている。そして、前記第2液体には、感熱紙の感熱層に含まれる酸性の顕色剤を中和するアルカリ性の中和剤が、前記第2液体が付着した前記感熱紙の付着領域にある前記顕色剤を中和できる濃度以上含まれており、前記制御手段は、前記搬送機構によって搬送されてきた前記感熱紙に前記第2液体を吐出させてテストパターンを形成するように、前記第2液体吐出ヘッドを制御する。
【0007】
これによると、感熱紙にテストパターンが形成されると、感熱層のテストパターンが形成された領域にある顕色剤が中和されるため、当該領域を加熱しても変色しない。このため、感熱層のテストパターンが形成されていない領域が変色する温度以上に、感熱紙を加熱するだけで、感熱紙のテストパターン以外の領域を変色(例えば、黒く変色)させて、容易にテストパターンを明示させることが可能となる。
【0008】
本発明において、前記搬送方向に関して、前記第2液体吐出ヘッドよりも下流に設けられ、記録媒体を加熱する加熱機構をさらに備えている。そして、前記制御手段は、前記テストパターンが形成された前記感熱紙を、前記感熱層の前記テストパターンが形成されていない領域が変色する最低温度以上に加熱するように前記加熱機構を制御することが好ましい。これにより、感熱紙のテストパターン以外の領域が変色し、テストパターンが明示された状態で装置から排出される。このため、装置とは別の加熱機構で、テストパターンが形成された感熱紙を加熱する必要がなくなる。
【0009】
また、本発明において、前記搬送方向に関して、前記加熱機構よりも下流に設けられ、前記感熱紙に形成された前記テストパターンを読み取る読取部と、前記読取部によって読み取られた読取データに基づいて前記第2吐出口から前記第2液体が吐出されているか否かを判定する吐出判定部とをさらに備えていることが好ましい。これにより、第2吐出口から第2液体が吐出されているか否かを精度良く判定することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、すべての前記第2吐出口から前記第2液体を強制的に排出させる排出手段をさらに備えている。そして、前記制御手段は、前記吐出判定部によって複数の前記第2吐出口から前記第2液体が吐出されていないと判定された場合に、前記すべての第2吐出口から液体を排出させるように、前記排出手段を制御することが好ましい。これにより、第2液体吐出ヘッドの吐出不良を回復することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記制御手段は、前記吐出判定部によって判定された前記第2液体が吐出されていない前記第2吐出口の数が第1の所定数以上であって第2の所定数未満の場合に前記すべての第2吐出口から排出される液体量が、前記第2液体が吐出されていない前記第2吐出口の数が前記第2の所定数以上の場合に前記すべての第2吐出口から排出される液体量よりも少なくなるように、前記排出手段を制御することが好ましい。これにより、第2液体が吐出されていない第2吐出口の数に応じて、排出する液体量を変えることができる。このため、第2液体の無駄な消費を抑制できる。
【0012】
また、本発明において、前記制御手段は、記録媒体に前記第1液体を吐出させて前記テストパターンを形成するように、前記搬送機構及び前記第1液体吐出ヘッドを制御し、前記吐出判定部は、前記読取部によって読み取られた前記テストパターンの読取データに基づいて前記第1吐出口から前記第1液体が吐出されているか否かを判定するとき、前記テストパターンの読取データを判定するための判定データの情報を反転させた反転データを用いて、記録媒体に形成された前記テストパターンの読取データを判定することが好ましい。これにより、1つの判定データの情報を反転させるだけで、第1及び第2液体吐出ヘッドの吐出不良の有無を判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液体吐出装置によると、感熱紙にテストパターンが形成されると、感熱層のテストパターンが形成された領域にある顕色剤が中和されるため、当該領域が加熱しても変色しない。このため、感熱層のテストパターンが形成されていない領域が変色する温度以上に、感熱紙を加熱するだけで、感熱紙のテストパターン以外の領域を変色(例えば、黒く変色)させて、容易にテストパターンを明示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の液体吐出装置の一実施形態によるインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】図1のプリンタに含まれるインクジェットヘッドの流路ユニット及びアクチュエータユニットを示す平面図である。
【図3】図2の一点鎖線で囲まれた領域を示す拡大図である。
【図4】図2に示すインクジェットヘッドの部分断面図である。
【図5】図1に示す制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示すテストパターン印刷部により印刷されたテストパターンを示す図である。
【図7】プリンタの制御装置が実行する吐出検査の制御内容を示すフロー図である。
【図8】パージ動作、及び、ワイピング動作を説明するための動作状況図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
先ず、図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態に係るインクジェットプリンタ101の全体構成について説明する。
【0017】
プリンタ101は、直方体形状の筐体101aを有する。筐体101aの天板上部には、排紙部15が設けられている。筐体101aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間A,Bには、給紙ユニット101bから排紙部15に至る用紙搬送経路が形成されている。空間Aでは、用紙Pへの画像形成と、用紙Pの排紙部15への搬送が行われる。空間Bでは、用紙Pの搬送経路への給紙が行われる。空間Cからは、空間Aの4つのインクジェットヘッド1に対してインクが供給され、空間Aの画質向上ヘッド2に対して画質向上液が供給される。
【0018】
空間Aには、4つのインクジェットヘッド1(第1液体吐出ヘッド:以下、ヘッド1と称する)、画質向上ヘッド2(第2液体吐出ヘッド:以下、ヘッド2と称する)、用紙Pを搬送方向(図1中左方から右方に向かう方向)に搬送する搬送機構16、用紙Pをガイドするガイド部、用紙Pを加熱する加熱部(加熱機構)31、画像センサ(読取部)30、ヘッド昇降機構33(図5参照)、ワイパユニット36(図5参照)、クリーナユニット37、及び、制御装置100等が配置されている。
【0019】
4つのヘッド1は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインク滴をそれぞれ吐出する。ヘッド2は、4つのヘッド1よりも搬送方向上流に配置されており、画質向上液の液滴を吐出する。これら4つのヘッド1及びヘッド2は、同一構造を有しており、副走査方向に所定ピッチで並び、ヘッドホルダ35を介して筐体101aに支持されている。各ヘッド1,2の下面は、複数の吐出口(第1及び第2吐出口)108(図3参照)が配列された吐出面1a,2aとなっている。ヘッドホルダ35は、ヘッド1,2の吐出面1a,2aと搬送ベルト8との間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド1,2を保持している。
【0020】
搬送機構16は、2つのベルトローラ6、7と、搬送ベルト8と、テンションローラ10と、プラテン18と、ニップローラ4と、剥離プレート5とを有している。搬送ベルト8は、両ローラ6、7の間に巻回されたエンドレスのベルトであり、テンションローラ10によってテンションが付加されている。プラテン18は、5つのヘッド1,2に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。ベルトローラ7は、図示しないモータによって図1中時計回りに回転される駆動ローラであって、搬送ベルト8を走行させる。ベルトローラ6は、搬送ベルト8が走行することによって回転する従動ローラである。搬送ベルト8の外周面には、弱粘着性のシリコン層が形成されている。ニップローラ4は、給紙ユニット101bから搬送されてきた用紙Pを搬送ベルト8の外周面に押さえ付ける。押さえ付けられた用紙Pは、シリコン層によって搬送ベルト8に保持される。剥離プレート5は、搬送ベルト8によって搬送されてきた用紙Pを、搬送ベルト8から剥離する。
【0021】
ガイド部は、搬送方向に関して、搬送機構16を挟んで配置された上流側ガイド部及び下流側ガイド部を有している。上流側ガイド部は、ガイド13a,13bと送りローラ対14を有し、給紙ユニット101bと搬送機構16とを繋ぐ。画像形成用の用紙Pが、搬送機構16に向けて搬送される。下流側ガイド部は、ガイド29a,29bと2つの送りローラ対28を有し、搬送機構16と排紙部15とを繋ぐ。画像形成後の用紙Pが、排紙部15に向けて搬送される。
【0022】
空間Bには、給紙ユニット101bが配置されている。給紙ユニット101bは、給紙トレイ11及び給紙ローラ12を有する。このうち、給紙トレイ11が、筐体101aに対して着脱可能となっている。給紙トレイ11は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収納可能である。給紙ローラ12は、給紙トレイ11内で最も上方にある用紙Pを送り出す。
【0023】
ここで、副走査方向とは搬送機構16で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
【0024】
空間Cには、タンクユニット101cが筐体101aに対して着脱可能に配置されている。タンクユニット101cは、4つのインクタンク17a及び1つの画質向上液タンク17bが着脱可能に装着されている。各インクタンク17aは、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのインク(第1液体)がそれぞれ貯留されており、対応するヘッド1にチューブ(不図示)及びポンプ32(図5参照)を介して接続されている。同様に、画質向上液タンク17bは、無色透明な画質向上液(第2液体)が貯留されており、ヘッド2にチューブ(不図示)及びポンプ32(図5参照)を介して接続されている。なお、各ポンプ32は、対応するヘッド1,2にインクや画質向上液を強制的に送るとき(すなわち、パージ動作や液体の初期導入が行われるとき)だけ制御装置100によって駆動される。
【0025】
一般的に、顔料インクに対しては顔料色素を凝集させる画質向上液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させる画質向上液が使用される。画質向上液の材料は、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等、適宜に選択可能である。かかる画質向上液とインクとが混ざると、多価金属塩等がインクの着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。
【0026】
また、画質向上液には、アルカリ性の中和剤が含まれている。本実施形態における中和剤としては、アミンが採用されているが、これ以外にアルカリ性の無機水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)を採用することが可能である。また、画質向上液には、中和剤が、画質向上液の液滴が感熱紙に付着したとき、当該付着領域の感熱層に含まれる酸性の顕色剤を中和できる濃度以上含まれている。
【0027】
次に、制御装置100について説明する。制御装置100は、プリンタ101各部の動作を制御してプリンタ101全体の動作を司る。制御装置1pは、外部装置(プリンタ101と接続されたPC等)から供給された画像データに基づいて、画像形成動作を制御する。具体的には、制御装置100は、用紙Pの供給・搬送・排出動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。制御装置100はまた、ヘッド1,2に対するメンテナンス動作を制御する。さらに、制御装置100は、ヘッド1,2の吐出状態の検査(すなわち、吐出検査)も実行する。なお、吐出検査において、ヘッド1を検査する場合は、感熱紙又は普通紙にテストパターンを形成する。一方、ヘッド2を検査する場合は、感熱紙にテストパターンを形成する。吐出検査のより詳細については、後述する。
【0028】
制御装置100は、外部装置から受信した記録指令に基づいて、給紙ユニット101b、搬送機構16、各送りローラ対14,28等を駆動する。給紙トレイ11から送り出された用紙Pは、上流側ガイド部によりガイドされ搬送機構16に送られる。搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pは、ヘッド2のすぐ下方を通過する際に、制御装置100によってヘッド2が制御され、用紙P上の画像が形成される領域に画質向上液滴が吐出される。その後、当該用紙Pが、4つのヘッド1のすぐ下方を通過する際に、制御装置100によってヘッド1が制御され、用紙P上の画質向上液が付着した領域に、各ヘッド1から各色のインク滴が順に吐出される。これにより、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。このとき、用紙P上の画質向上液上にインク滴が着弾すると、画質向上液がインク滴の色素成分を凝集又は析出させるため、用紙Pにおけるインク滲みが防止される。なお、画質向上液及びインクの吐出動作は、用紙Pの先端を検知する用紙センサ(不図示)からの検知信号に基づいて行われる。そして、画像が形成された用紙Pは、剥離プレート5によって搬送ベルト8から剥離された後、下流側ガイド部によりガイドされて、筐体101a上部の開口22から排紙部15に排出される。
【0029】
制御装置100は、メンテナンス動作によって、ヘッド1,2のインク吐出特性の回復・維持を行う。メンテナンス動作には、パージ動作、吐出面1a,2aのワイピング動作、吐出面1a,2aのキャッピング動作等が含まれる。
【0030】
パージ動作では、ポンプ32が駆動されて、全ての吐出口108からインクが強制的に排出される。ワイピング動作では、吐出面1a,2aがワイパ36a(図8参照)によって払拭される。ワイピング動作は、パージ動作後に行われ、吐出面1a,2a上の残留インクや異物が取り除かれる。キャッピング動作では、キャップ(不図示)により吐出空間(吐出面1a,2aと対向する空間)が外部空間から隔離される。
【0031】
パージ動作は、ワイピング動作を伴い、ヘッド1,2内の異物や吐出口108近傍の増粘インクが排出される。そして、吐出口108の吐出特性が回復され、吐出面1a,2aが清浄化される。キャッピング動作は、メニスカスの乾燥を抑制する。なお、パージ動作は、例えば、プリンタ1の電源投入直後、搬送経路内での紙ジャム(詰まり)時、所定期間以上継続した画像形成後、所定時間以上継続した非吐出後等に行われる。また、パージ動作及びワイピング動作は、吐出検査の判定結果によっても実行される。キャッピング動作は、例えば、プリンタ1の停止時や休止時に行われる。
【0032】
次に、図2〜図4を参照しつつ各ヘッド1,2について詳細に説明する。なお、両ヘッド1,2は、同一の構造であるため、ヘッド1について説明し、ヘッド2の説明を省略する。図3では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で描いている。
【0033】
ヘッド1は、図2に示すように、流路ユニット9の上面9aに4つのアクチュエータユニット21が固定された積層体である。アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のユニモルフ型のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する。なお、図示はしないが、ヘッド1,2は、流路ユニット9に供給されるインク(又は画質向上液)を貯留するリザーバユニット、アクチュエータユニット21に駆動信号を供給するフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)、FPCに実装されたドライバICを制御する制御基板等を含んでいる。
【0034】
流路ユニット9は、図4に示すように、ステンレス製の9枚の金属プレート122〜130を積層した積層体である。流路ユニット9の上面9aには、図2に示すように、リザーバユニットに連通する計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の内部には、図2〜図4に示すように、インク供給口105bを一端とするマニホールド流路105、及び、マニホールド流路105から分岐した複数の副マニホールド流路105aが形成されている。さらに、流路ユニット9の内部には、各副マニホールド流路105aの出口から圧力室110を介して吐出面1aの吐出口108に至る複数の個別インク流路132が形成されている。吐出面1aに形成された多数の吐出口108は、マトリクス状に配置されており、主走査方向に関して主走査方向解像度である600dpiの間隔で配列されている。
【0035】
流路ユニット9におけるインクの流れについて説明する。図2〜図4に示すように、リザーバユニットからインク供給口105bに供給されたインクは、マニホールド流路105(副マニホールド流路105a)に流入する。副マニホールド流路105a内のインクは、各個別インク流路132に分配され、アパーチャ112及び圧力室110を介して吐出口108に至る。
【0036】
ポンプ32は、対応するヘッド1及びヘッド2において、リザーバユニットを介して流路ユニット9に液体(インク又は画質向上液)を強制的に供給する。なお、図5においては1つのポンプ32が示されているが、プリンタ101は、各ヘッド1及びヘッド2に対応する5つのポンプ32を有している。
【0037】
加熱部31は、搬送方向に関してヘッド1,2よりも下流であってガイド29bの構成部材として設けられている。加熱部31は、ヒータ及び加熱面31aを有する。加熱面31aは、ガイド29bの内面の一部である。ヒータが、制御装置100の制御によって通電されることで、加熱面31aが感熱紙の印刷面(感熱層)を所定温度(画質向上液が付着していない感熱層部分が変色する最低温度)以上に加熱する。これにより、感熱紙の画質向上液が付着した領域以外では、感熱層が変色する。一方、感熱紙の画質向上液が付着した領域は、変色しない。
【0038】
変形例として、加熱部31が、ヒートローラ対及びプルローラ対で構成されていても良い。用紙Pは、ヒートローラ対により加熱され、プルローラ対により排紙部方向に引っ張られながら冷やされる。これによって、用紙Pの加熱によるカール現象が軽減される。
【0039】
感熱紙は、一般的に、基紙上に感熱層が形成されている。感熱層は、保持剤の中に、発色剤及び顕色剤を含んで構成されている。発色剤は主にロイコ染料であり、顕色剤は主に酸性のフェノール化合物である。その他、感熱層には、増感剤なども含まれる。そして、感熱紙が発色する基本原理としては、感熱層が所定温度以上に加熱されることにより、発色剤、顕色剤等が溶解し、発色剤が顕色剤と反応することで発色する。なお、感熱紙としては、例えば、ブラザー工業社製のPA−C−412、コクヨ社製のFAX−1010、シャープ社製のWP−4AS6、及び、三洋電機社製のFXP−A4T100を採用することが可能である。
【0040】
画像センサ30は、搬送方向に関して加熱部31よりも下流であって、ガイド29bに設けられている。また、画像センサ30は、略用紙幅の検知領域を有したラインセンサである。検知面30aは、印刷面と対向し、主走査方向に複数のセンサ要素が配列されている。これにより、画像センサ30は、少なくとも画像の主走査方向の最大幅を読み取り可能である。各センサ要素は、光を用紙Pに照射する発光部と、用紙Pから反射した光を受光する受光部とを有している。そして、画像センサ30は、画像が形成された用紙Pから各受光部が検出した受光量を読取データとして制御部100に出力する。
【0041】
また、主走査方向において、センサ要素同士の間隔は、各ヘッド1,2の吐出口108同士の間隔と同じである。つまり、画像センサ30は、各ヘッド1,2の主走査方向における印字解像度と同じ解像度で、用紙P上に形成された画像を読み取ることができる。そのため、各ヘッド1,2から吐出された画質向上液及びインクが着弾した1ドット領域毎に検出することが可能である。
【0042】
ヘッド昇降機構33は、ヘッドホルダ35を昇降させ、5つのヘッド1,2が印刷位置と退避位置の間で移動する。印刷位置では、5つのヘッド1,2が搬送ベルト8と印刷に適した間隔で対向する。退避位置では、5つのヘッド1,2が搬送ベル8から印刷位置以上の間隔で離隔する。退避位置では、5つのヘッド1,2と搬送ベルト8との間の空間を、ワイパユニット36が移動可能である。
【0043】
ワイパユニット36は、各吐出面1a,2aを払拭する5つのワイパ36a(図8参照)を有している。ワイパ36aは、ゴムなどの板状弾性部材である。なお、図8においては、1のワイパ36aのみ示している。ワイパユニット36は、ワイパ36aを、ヘッド1、2の吐出面1a,2aに接触させつつ主走査方向に沿って移動させることによって、吐出面1a,2aを払拭する。
【0044】
クリーナユニット37は、洗浄液塗布部材37aとブレード37bとを有し、搬送ベルト8の外周面をクリーニングする。クリーナユニット37は、図1に示すように、搬送ベルト8の右下方であって、ベルトローラ7に対向して配置されている。洗浄液塗布部材37aは、洗浄液を保持する多孔質体(例えば、スポンジ)とこれを支持する支持部材から構成され、多孔質体が搬送ベルト8の全幅に亘って接触可能である。洗浄液は、図示しない洗浄液タンクより供給される。ブレード37bは、ゴムなどの板状弾性部材で構成され、搬送ベルト8の走行方向に関して、多孔質体のすぐ下流側に配置されている。ブレード7bも、多孔質体と同様に、搬送ベルト8の全幅に亘って接触可能である。
【0045】
洗浄液塗布部材37a及びブレード37bは、図示しない移動機構によって、当接位置と離隔位置とを選択的に取る。当接位置では、多孔質体及びブレード37bは、当接位置で搬送ベルト8の外周面と当接し、離隔位置で外周面から離隔する。後述するクリーニング動作において、クリーナユニット37は、洗浄液塗布部材37a及びブレード37bを当接位置に移動させる。このとき、搬送ベルト8が時計回りに回転して、多孔質体から搬送ベルト8の外周面に洗浄液が塗布され、ブレード37bにより外周面の汚れが洗浄液と共に掻き取られる。ブレード37bが掻き取った洗浄液は、図示しない廃液タンクに流れ込む。
【0046】
次に、図5を参照しつつ、制御装置100について説明する。制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御装置100を構成する各機能部は、これらハードウェアとROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。図5に示すように、制御装置100は、搬送制御部131と、画像データ記憶部132と、ヘッド制御部133と、パージ制御部134と、ヘッド昇降制御部135と、ワイパ制御部136と、クリーナ制御部137と、テストパターン印刷部138と、吐出判定部139とを有している。
【0047】
搬送制御部131は、用紙Pが給紙ユニット101bから排紙部15まで搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び搬送機構16を制御する。画像データ記憶部132は、外部装置から転送された用紙P上に形成される画像(テストパターン含む)にかかる画像データを記憶する。
【0048】
ヘッド制御部133は、画像データ記憶部132に記憶された画像データに基づいて、ヘッド2のアクチュエータユニット21を駆動することによって、画質向上液滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させると共に、各ヘッド1のアクチュエータユニット21を駆動して、所望の体積のインク滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。
【0049】
パージ制御部134は、各ヘッド1,2の吐出口108から、液体(インク及び画質向上液)が排出されるように、各ポンプ32を駆動する。パージ制御部134は、吐出判定部139(後述する)が検出した吐出口108の数が第1の所定数(例えば、1)以上であって第2の所定数(例えば、10)未満であると判定した場合に、液体の排出量が第1の所定量となるように、ポンプ32を駆動する。また、パージ制御部134は、吐出判定部139が検出した吐出口108の数が第2所定数以上であると判定した場合には、液体の排出量が第1の所定量よりも多い第2の所定量となるように、ポンプ32を駆動する。
【0050】
ヘッド昇降制御部135は、5つのヘッド1,2が印刷位置と退避位置の間で移動するように、ヘッド昇降機構33によるヘッドホルダ35の昇降動作を制御する。ワイパ制御部136は、ワイピング動作において、各吐出面1a,2aがワイパ36aに払拭されるように、ワイパユニット36を制御する。
【0051】
クリーナ制御部137は、メンテナンス動作において、ワイパ36aが吐出面1a,2aの払拭を始めると同時に、搬送制御部131を介して搬送ベルト8を時計回りに走行させる。さらに、クリーナ制御部137は、洗浄液塗布部材37a及びブレード37bを当接位置に移動させる。これにより、搬送ベルト8の外周面に洗浄液が塗布され、外周面上のインク及び画質向上液が、洗浄液と共にブレード37bに掻き取られる。
【0052】
テストパターン印刷部138は、ユーザからの吐出検査指令に基づいて、ヘッド制御部133及び搬送制御部131を介して、ヘッド1,2にテストパターン91,92を印刷させる。図6には、テストパターンの一例が示されている。ヘッド1は普通紙及び感熱紙のいずれの用紙Pにテストパターン91を形成してもよいが、ヘッド2は感熱紙にテストパターン92を形成する。例えば、ヘッド1によりテストパターン91を形成する場合、テストパターン印刷部138は、主走査方向に等間隔で並ぶ吐出口108から、吐出させるべき吐出口108を一方から2つ飛びで順に選ぶ。インク滴の吐出は、選択された全ての吐出口108で同時に行われる。これにより、搬送方向に所定長の直線状パターンが、主走査方向に並んで形成される。テストパターン印刷部138は、このような吐出動作を、選択すべき吐出口108を一方側から他方側に1つずつ変えながら、3回繰り返す。本実施の形態では、3つの直線状パターン群が、主走査方向に吐出口108と同じ等間隔でズレながら搬送方向に順に並ぶ。テストパターン92を形成する場合も、同様である。特にこのとき、テストパターン印刷部138は、テストパターン92の形成に伴って、加熱部31を制御して、加熱面31aを加熱する。これにより、感熱紙の感熱層が所定温度以上に加熱され、後述するように画質向上液が付着した付着領域92a以外が発色(例えば、黒く発色)する。図6(b)に示すように、テストパターン92が、発色領域における白抜き部分として明示されることになる。なお、加熱前のテストパターン92は、無色透明の画質向上液で形成されていることから、付着領域92aはそれ以外の領域と識別できない。
【0053】
吐出判定部139は、用紙Pに形成されたテストパターン91,92を画像センサ30に読み取らせ、その読み取り結果から、テストパターン91,92の各直線を検出する。そして、吐出判定部139は、予め記憶されたテストパターンのデータ(判定データ)と、検出データとを比較することで、不吐出の吐出口108を検出する。検出に際し、不吐出の吐出口108の数が2つの閾値(第1の所定数及び第2の所定数)と比較され、ヘッド1,2における吐出不良の程度が判定される。このとき、吐出判定部139は、テストパターン91に対する判定データとして、テストパターン92に対する判定データの情報を反転させた反転データを用いる。これは、ヘッド2によって描かれるテストパターン92は、ヘッド1によって描かれるテストパターン91を反転させた画像となるからである。
【0054】
続いて、ヘッド2の吐出検査方法について、図7及び図8を参照しつつ以下に説明する。ヘッド2の吐出検査をする際は、予めユーザが給紙ユニット101bに用紙Pとして感熱紙をセットする。そして、図7に示すように、プリンタ101は、まず、外部装置からヘッド2の吐出検査指令を受信する(S1)。吐出検査指令を受信すると、ステップ2(S2)において、テストパターン印刷部138が、感熱紙が搬送されるように、搬送制御部131を介して給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び、搬送機構16を制御する。また、このとき、テストパターン印刷部138は、搬送されてきた感熱紙にテストパターン92が形成されるように、ヘッド制御部132および加熱部31を制御する。これにより、感熱紙上にテストパターン92のパターンで画質向上液の付着領域92aが形成される。付着領域92aでは、感熱層の顕色剤が画質向上液の中和剤によって中和される。このため、付着領域92aには、発色剤との反応に供される顕色剤が無くなり、加熱部31によって所定温度以上に加熱されても発色剤は発色しない。したがって、付着領域92aは加熱前の色目がそのまま維持され、付着領域92a以外の領域が発色する。
【0055】
次に、ステップ3(S3)において、感熱紙上のテストパターン92が、画像センサ30によって読み取られる。そして、ステップ4(S4)において、吐出判定部139が、読み取り結果からテストパターン92の各直線を検出し、当該検出データと判定データとを比較して、画質向上液滴の不吐出を起こしている吐出口108を検出する。このとき、不吐出の吐出口108がある場合はステップ5(S5)に進み、ない場合はステップ11(S11)に進む。
【0056】
ステップ5においては、制御装置100が、不吐出の吐出口108の数が第2の所定数以上であるか否かを判定し、第2の所定数以上の場合はステップ6(S6)に進み、第2の所定数未満の場合はステップ7(S7)に進む。ステップ6においては、図8(a)に示すように、パージ制御部134が、ヘッド2に対応するポンプ32を制御して、すべての吐出口108から第2の所定量の画質向上液を排出する(強パージ動作)。一方、ステップ7においては、図8(a)に示すように、パージ制御部134が、ヘッド2に対応するポンプ32を制御して、すべての吐出口108から第1の所定量の画質向上液を排出する(弱パージ動作)。これにより、ヘッド2の吐出不良を回復することが可能となる。また、不吐出を起こしている吐出口108の数に応じて、排出する画質向上液量を変えることができる。このため、画質向上液の無駄な消費を抑制できる。
【0057】
ステップ6又はステップ7の後に、ヘッド昇降制御部135が、ヘッド昇降機構33を制御して、図8(b)に示すように、5つのヘッド1,2を印刷位置からワイピング位置に移動させる。ワイピング位置は、退避位置よりも印刷位置に近いであってワイパユニット36を主走査方向に移動させるだけでワイパ36aの先端と吐出面2aとを接触させることが可能な位置である。そして、ワイパ制御部136が、ワイパユニット36を制御して、吐出面2aをワイパ36aで払拭する(ワイピング動作:ステップ8(S8))。こうして、吐出面2aに付着した画質向上液を除去することができる。
【0058】
本実施形態では、ステップ8において、クリーナ制御部137が、搬送制御部131を介して搬送ベルト8の走行を開始し、クリーナユニット37を搬送ベルト8の外周面に当接させる。このとき、クリーナ制御部137は、搬送ベルト8の走行速度を画像形成時よりも遅くする。これにより、パージ動作やワイピング動作で外周面に付着した廃液が確実に除去される。搬送ベルト8の走行は、ワイピング動作完了後も数回転行われ、クリーナユニット37による外周面の清浄化が継続される。この後、クリーナ制御部137は、クリーナユニット37を離隔位置に戻す。
【0059】
ステップ8の後、ヘッド昇降制御部152がヘッド昇降機構33を制御して、ワイピング位置から退避位置に5つのヘッド1,2を移動させ、ワイパ制御部136が、ワイパユニット36を制御して、ワイパ36aを元の位置(ワイパ36aの待機位置)に戻す(ステップ9:S9)。これにより、ワイパ36aを吐出面2aに当接させずに、元の位置に戻すことができる。ステップ9の後に、ヘッド昇降制御部152が、ヘッド昇降機構33を制御して、図8(c)に示すように、5つのヘッド1,2を印刷位置に移動させる(ステップ10:S10)。
【0060】
ステップ10の後に、制御装置100が各ヘッド1,2の吐出面1a,2aを図示しないキャップでキャッピングする(キャッピング動作:ステップ11。こうして、印刷待機状態となり、ヘッド2の吐出検査が終了する。
【0061】
続いて、ヘッド1の吐出検査方法について以下に説明する。ヘッド1の吐出検査は、ヘッド2の吐出検査とほぼ同様であり、用紙Pを加熱しないだけである。つまり、ヘッド1から吐出されたインクによって用紙Pにテストパターン91を形成し、その用紙Pを加熱せずに画像センサ30で読み込み、ヘッド2の吐出検査と同様に、必要に応じてパージ動作を行う。
【0062】
具体的には、ヘッド1の吐出検査をする際は、プリンタ101は、まず、外部装置からヘッド1の吐出検査指令を受信する(ステップ1)。吐出検査指令を受信すると、ステップ2において、テストパターン印刷部138が、用紙P(普通紙又は感熱紙)が搬送されるように、搬送制御部131を介して給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び、搬送機構16を制御する。また、このとき、テストパターン印刷部138は、搬送されてきた用紙Pにテストパターン91が形成されるように、ヘッド制御部132を制御する。これにより、用紙P上にテストパターン91が形成される。
【0063】
次に、ステップ3において、用紙P上のテストパターン91が、画像センサ30によって読み取られる。そして、ステップ4において、吐出判定部139が、読み取り結果からテストパターン91の各直線を検出し、当該検出データと判定データとを比較して、インクの不吐出を起こしている吐出口108を検出する。このとき、吐出判定部139は、ヘッド2に対する吐出検査用の判定データの情報を反転させた反転データを用いて、各吐出口108の吐出状態を検出する。これにより、1つの判定データの情報を反転させるだけで、ヘッド1及びヘッド2の吐出不良の有無を判定することが可能となる。
【0064】
そして、不吐出の吐出口108がある場合はステップ5に進み、ない場合はステップ11に進む。なお、この後の処理ステップ5〜ステップ11は、ヘッド2の吐出検査と同様である。こうして、ヘッド1の吐出検査が終了する。
【0065】
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ101によると、ヘッド2の吐出検査をする際に、感熱紙にテストパターン92が形成されると、感熱層のテストパターン92が形成された領域(すなわち、画質向上液が付着した付着領域92a)にある顕色剤が中和されるため、当該領域を加熱しても変色しない。このため、感熱層のテストパターン92が形成されていない領域が変色する温度以上に、感熱紙を加熱するだけで、感熱紙のテストパターン92以外の領域を変色(例えば、黒く変色)させて、容易にテストパターン92を明示させることが可能となる。本発明においては、感熱層が変色する温度未満における狭い温度範囲で温度制御を行う必要がない。このため、容易な温度制御の下で、精度良くテストパターン92を明示させることが可能となる。
【0066】
また、プリンタ101に加熱部31が設けられていることで、感熱紙のテストパターン92以外の領域が変色し、テストパターン92が明示された状態でプリンタ101から排出される。このため、プリンタ101とは別の加熱機構で、テストパターン92が形成された感熱紙を加熱する必要がなくなる。また、プリンタ101に画像センサ30が設けられていることで、ヘッド2の吐出口108から画質向上液が吐出されているか否かを精度良く判定することが可能となる。
【0067】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、加熱部31及び画像センサ30を設けなくてもよい。この場合は、プリンタ101とは別の加熱機構(例えば、ドライヤー)を用いて、テストパターン92が印刷された感熱紙を温めることで、テストパターン92を明示させることができる。そして、テストパターン92が明示された感熱紙をユーザが目視チェックすることで、吐出口108に吐出不良が生じているか否かを判断することが可能となる。また、画像センサ30を設けずに、テストパターン92をユーザによる目視確認で行う際、テストパターン92が白抜き部分の領域によって構成されるため(すなわち、テストパターンの形成箇所が反転しているため)、ユーザによるテストパターン92の目視確認が極めて容易となる。つまり、簡単にパターンの抜けを見つけることが可能となる。
【0068】
また、不吐出を起こしている吐出口108の数が1以上あれば、その数によらず、所定量の液体を当該ヘッドから排出させればよい。また、パージ動作を行うためのポンプ32が設けられていなくてもよい。画質向上液を吐出しないヘッド1の吐出検査をしなくてもよい。
【0069】
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。また、液滴を吐出するため圧電方式のアクチュエータを用いているが、他の方式(例えば、抵抗加熱方式・静電方式等)であってもよい。
【0070】
さらに、ヘッド1からインク以外の色素成分が含まれた第1液体を吐出させ、ヘッド2から画質向上液以外の第1液体中の色素成分を凝集又は析出させる成分を含有する無色透明な第2液体を吐出させることで記録を行う液体吐出装置にも適用可能である。ヘッド2の吐出検査のときだけ感熱紙を用いれば、これ以外の記録媒体としては、特に用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。また、ヘッド1は、1〜3、及び、5以上設けられていてもよい。また、ヘッド2は、2以上設けられていてもよい。また、ヘッド2は、搬送方向に関してヘッド1よりも下流に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 インクジェットヘッド(第1液体吐出ヘッド)
2 画質向上ヘッド(第2液体吐出ヘッド)
16 搬送機構
30 画像センサ(読取部)
31 加熱部(加熱機構)
32 ポンプ
91,92 テストパターン
100 制御装置(制御手段)
101 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
108 吐出口
139 吐出判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
色素成分が含まれた第1液体を吐出する複数の第1吐出口が形成された第1液体吐出ヘッドと、
前記第1液体中の色素成分を凝集又は析出させる成分を含有する無色透明な第2液体を吐出する複数の第2吐出口が形成された第2液体吐出ヘッドと、
記録媒体に前記第1及び第2液体を吐出して画像を形成するように、前記搬送機構、前記第1及び第2液体吐出ヘッドを制御する制御手段とを備えており、
前記第2液体には、感熱紙の感熱層に含まれる酸性の顕色剤を中和するアルカリ性の中和剤が、前記第2液体が付着した前記感熱紙の付着領域にある前記顕色剤を中和できる濃度以上含まれており、
前記制御手段は、前記搬送機構によって搬送されてきた前記感熱紙に前記第2液体を吐出させてテストパターンを形成するように、前記第2液体吐出ヘッドを制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記搬送方向に関して、前記第2液体吐出ヘッドよりも下流に設けられ、記録媒体を加熱する加熱機構をさらに備えており、
前記制御手段は、前記テストパターンが形成された前記感熱紙を、前記感熱層の前記テストパターンが形成されていない領域が変色する最低温度以上に加熱するように前記加熱機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記搬送方向に関して、前記加熱機構よりも下流に設けられ、前記感熱紙に形成された前記テストパターンを読み取る読取部と、
前記読取部によって読み取られた読取データに基づいて前記第2吐出口から前記第2液体が吐出されているか否かを判定する吐出判定部とをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
すべての前記第2吐出口から前記第2液体を強制的に排出させる排出手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記吐出判定部によって複数の前記第2吐出口から前記第2液体が吐出されていないと判定された場合に、前記すべての第2吐出口から液体を排出させるように、前記排出手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記吐出判定部によって判定された前記第2液体が吐出されていない前記第2吐出口の数が第1の所定数以上であって第2の所定数未満の場合に前記すべての第2吐出口から排出される液体量が、前記第2液体が吐出されていない前記第2吐出口の数が前記第2の所定数以上の場合に前記すべての第2吐出口から排出される液体量よりも少なくなるように、前記排出手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、記録媒体に前記第1液体を吐出させて前記テストパターンを形成するように、前記搬送機構及び前記第1液体吐出ヘッドを制御し、
前記吐出判定部は、前記読取部によって読み取られた前記テストパターンの読取データに基づいて前記第1吐出口から前記第1液体が吐出されているか否かを判定するとき、前記テストパターンの読取データを判定するための判定データの情報を反転させた反転データを用いて、記録媒体に形成された前記テストパターンの読取データを判定することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−176562(P2012−176562A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41239(P2011−41239)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】