説明

液体噴射ヘッドの製造方法

【課題】ウェットエッチングを行うエッチング溶液が、封止したリザーバ部の開口部から漏れてしまい、リザーバ形成基板に形成された接続配線を損傷し、断線などに至る場合がある。
【解決手段】第1流路としてのリザーバ部31が形成された第1基板としてのリザーバ形成基板用ウェハ130と、リザーバ形成基板用ウェハ130の一方側に接合され、第2流路としての連通部13が形成された第2基板としての流路形成基板用ウェハ110と、リザーバ部31と連通部13とを区切る分離層としての金属層92と、を備えた基板群を準備する準備工程と、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110と反対側に、粘着層によって封止膜としてのフィルム1を粘着し、リザーバ部31を封止する封止工程と、封止工程の後に、金属層92を除去する除去工程と、を含み、除去工程では、リザーバ部31の圧力が外部の圧力より低い状態で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体をノズル開口から吐出する液体噴射ヘッドは、例えば、少なくともノズル開口に連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、リザーバの一部を有するリザーバ形成基板とを具備し、振動板とこの振動板上に設けられた積層膜とを貫通する貫通部を介してリザーバを形成したものがある。例えば、特許文献1では、リザーバをウェットエッチングによって貫通させてリザーバを形成し、貫通させる際に加工カスなどが発生しないよう提案がなされている。
【0003】
特許文献1では、リザーバの一部が形成されたリザーバ形成基板と、貫通部が形成される領域に配線層が形成された流路形成基板とを接合し、流路形成基板の配線層と反対側の面から配線層が露出するまでウェットエッチングすることによって流路を形成する。次に、少なくとも圧力発生室及び貫通する予定の流路に保護層を形成する。そして、配線層との密着力が、配線層と保護層との密着力より大きい剥離層をCVD法などによって形成し、流路形成基板の配線層と反対側の面からウェットエッチングすることによって剥離層と共に保護層を除去し、さらに、流路形成基板の配線層と反対側の面からウェットエッチングすることによって配線層を除去し、貫通することでリザーバが形成される。
【0004】
このとき、ウェットエッチングを行う液体が、貫通部からリザーバ形成基板側に浸入し、リザーバ形成基板の流路形成基板とは反対側の面に形成された接続配線を損傷する場合がある。このため、特許文献1では、リザーバ部の接続配線側をPPS(ポリフェニレンサルファイド)などのフィルムによって封止することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−88665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ウェットエッチングを行うエッチング溶液が、封止したはずのリザーバ部の開口部から漏れてしまい、リザーバ形成基板に形成された接続配線を損傷し、断線などに至る場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]第1流路が形成された第1基板と、前記第1基板の一方側に接合され、第2流路が形成された第2基板と、前記第1流路と前記第2流路とを区切る分離層と、を備えた基板群を準備する準備工程と、前記第1基板の前記第2基板と反対側に、粘着層を用いて封止膜を粘着することによって、前記第1流路を封止する封止工程と、前記封止工程の後に、前記分離層を除去する除去工程と、を含み、前記除去工程は、前記第1流路内の圧力が外部の圧力より低い状態で前記分離層を除去することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【0009】
この構成によれば、除去工程では、第1流路内の圧力が外部の圧力より低い状態で分離層を除去する。これにより、除去工程において、封止膜が第1流路内に引き込まれようとする力が生じるため、第1流路を封止する封止膜の密着性が向上する。そのため、除去工程における分離層を除去するためのエッチング溶液が第1流路から漏れることが抑制され、第1基板に形成された接続配線がエッチング溶液によって損傷され、断線などに至ることが抑制される。
【0010】
[適用例2]前記封止工程の前に、前記基板群を所定の温度以上に加熱する加熱工程を含み、前記除去工程は、前記所定の温度以下で前記分離層を除去することを特徴とする上記液体噴射ヘッドの製造方法。
【0011】
この構成によれば、封止膜によって密閉された第1流路内は、封止工程における温度から、除去工程における温度に降下する。そのため、除去工程では、第1流路内の圧力が外部の圧力より低い状態となる。これにより、除去工程において、封止膜が第1流路内に引き込まれようとする力が生じるため、第1流路を封止する封止膜の密着性が向上する。
【0012】
[適用例3]前記封止工程の後に、前記基板群の温度を前記所定の温度から降下させる温度降下工程を含むことを特徴とする上記液体噴射ヘッドの製造方法。
【0013】
この構成によれば、さらに、封止膜によって密閉された第1流路内の温度は、封止工程における温度と除去工程における温度との差が大きくなる。これにより、除去工程の前の時点で、封止膜が第1流路内に引き込まれようとする力がさらに増すため、第1流路を封止する封止膜の密着性がさらに向上する。
【0014】
[適用例4]前記温度降下工程では、前記基板群を常温で放置することを特徴とする上記液体噴射ヘッドの製造方法。
【0015】
この構成によれば、さらに、封止膜によって密閉された第1流路内の温度は、封止工程における温度と除去工程における温度との差が大きくなる。これにより、除去工程の前の時点で、封止膜が第1流路内に引き込まれようとする力がさらに増すため、第1流路を封止する封止膜の密着性がさらに向上する。
【0016】
[適用例5]前記封止工程は、第1の圧力環境で前記第1流路を封止し、前記除去工程は、前記第1の圧力環境よりも高い圧力である第2の圧力環境で前記分離層を除去することを特徴とする上記液体噴射ヘッドの製造方法。
【0017】
この構成によれば、除去工程では、封止膜によって密閉された第1流路内の圧力が外部の圧力より低い状態で行うことができる。これにより、除去工程において、封止膜が第1流路内に引っ張られようとする力が生じるため、第1流路を封止する封止膜の密着性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る製造方法によって製造されるインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図1と図2に図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
【0019】
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。連通部13は、後述するリザーバ形成基板30の流路となるリザーバ部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100の一部を構成する。もちろん、リザーバ形成基板30のリザーバ部31のみをリザーバとして利用することも可能である。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
【0020】
ここで、流路形成基板10の圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14の内壁表面には、耐液体性(耐インク性)を有する材料、例えば、五酸化タンタル(Ta25)などの酸化タンタルからなる保護膜15が、約50nmの厚さで設けられている。なお、ここで言う耐液体性(耐インク性)とは、インクなどの液体によって流路形成基板10が溶解することを防ぐためである。また、本実施形態では、流路形成基板10の圧力発生室12などが開口する側の表面、すなわち、ノズルプレート20が接合される接合面にも保護膜15が設けられている。勿論、このような領域には、インクが実質的に接触しないため、保護膜15は設けられていなくてもよい。
【0021】
なお、このような保護膜15の材料は、酸化タンタルに限定されず、使用する液体(例えば、インク)のpH値によっては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ニッケル(Ni)及びクロム(Cr)などを用いてもよい。
【0022】
流路形成基板10の保護膜15が形成された面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルムなどによって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板またはステンレス鋼などからなる。
【0023】
一方、このような流路形成基板10のノズルプレート20とは反対側の面には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜51が形成されている。さらに、この絶縁体膜51上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300のいずれか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされたいずれか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。いずれの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
【0024】
また、このような各圧電素子300の上電極膜80には、密着層91及び金属層92からなる配線層190であるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。また、詳しくは後述するが、連通部13の開口周縁部に対応する領域の絶縁体膜51上にも、このリード電極90と同一の層である密着層91及び金属層92からなる配線層190が存在している。
【0025】
さらに、流路形成基板10の圧電素子300側の面には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有するリザーバ形成基板30が接合されている。本実施形態では、流路形成基板10とリザーバ形成基板30とを接着剤35を用いて接合した。リザーバ形成基板30のリザーバ部31は、弾性膜50及び絶縁体膜51に設けられた貫通孔52を介して連通部13と連通され、これらリザーバ部31及び連通部13によってリザーバ100が形成されている。
【0026】
また、リザーバ形成基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子300は、この圧電素子保持部32内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。なお、圧電素子保持部32は、密封されていてもよいし密封されていなくてもよい。このようなリザーバ形成基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂などが挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0027】
また、リザーバ形成基板30の流路形成基板10の接合面とは反対側の面上には、所定パターンで形成された接続配線200が設けられ、この接続配線200上には圧電素子300を駆動するための駆動IC210が実装されている。そして、各圧電素子300から圧電素子保持部32の外側まで引き出された各リード電極90の先端部と、駆動IC210とが駆動配線220を介して電気的に接続されている。
【0028】
さらに、リザーバ形成基板30のリザーバ部31に対応する領域上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属などの硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)など)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0029】
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動IC210からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、圧電素子300及び振動板をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインクが吐出する。
【0030】
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図3〜図8を参照して説明する。なお、図3〜図8は、インクジェット式記録ヘッドの製造工程を示す圧力発生室の長手方向の断面図である。
【0031】
まず、本実施形態における準備工程について説明する。
図3(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜53を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、厚さが約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
【0032】
次に、図3(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜53)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜51を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜53)上に、例えば、スパッタ法などによりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜51を形成する。
【0033】
次いで、図3(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜51上に積層することにより下電極膜60を形成した後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。次に、図4(a)に示すように、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などからなる圧電体層70と、例えば、イリジウムからなる上電極膜80とを流路形成基板用ウェハ110の全面に形成し、これら圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。また、圧電素子300を形成後に、絶縁体膜51及び弾性膜50をパターニングして、流路形成基板用ウェハ110の連通部(図示なし)が形成される領域に、これら絶縁体膜51及び弾性膜50を貫通して流路形成基板用ウェハ110の表面を露出させた露出部152を形成する。
【0034】
なお、圧電素子300を構成する圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの強誘電性圧電性材料や、これにニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、ビスマスまたはイットリウムなどの金属を添加したリラクサ強誘電体などが用いられる。その組成は、圧電素子300の特性、用途などを考慮して適宜選択すればよいが、例えば、PbTiO3(PT)、PbZrO3(PZ)、Pb(ZrXTi1-X)O3(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbTiO3(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O3−PbTiO3(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O3−PbTiO3(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3−PbTiO3(PSN−PT)、BiScO3−PbTiO3(BS−PT)、BiYbO3−PbTiO3(BY−PT)などが挙げられる。勿論、この他に鉛を含まない強誘電体材料を圧電体層70の材料として用いても良い。
【0035】
また、圧電体層70の形成方法は、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成した。
【0036】
次に、図4(b)に示すように、リード電極90を形成する。具体的には、まず流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って密着性を確保するための密着層91を介して金属層92を形成し、密着層91と金属層92とからなる配線層190を形成する。このとき、配線層190は、露出部152内の流路形成基板用ウェハ110上にも形成され、露出部152は配線層190によって封止される。そして、この配線層190上に、例えば、レジストなどからなるマスクパターン(図示なし)を形成し、このマスクパターンを介して金属層92及び密着層91を圧電素子300毎にパターニングすることによりリード電極90を形成する。また、露出部152内の流路形成基板用ウェハ110上に設けられた配線層190は、リード電極90とは不連続となるように残しておく。
【0037】
ここで、リード電極90を構成する金属層92の主材料としては、比較的導電性の高い材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)が挙げられ、本実施形態では金(Au)を用いている。また、密着層91の材料としては、金属層92の密着性を確保できる材料であればよく、具体的には、チタン(Ti)、チタンタングステン化合物(TiW)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)またはニッケルクロム化合物(NiCr)などが挙げられ、本実施形態ではチタンタングステン化合物(TiW)を用いている。
【0038】
次に、図4(c)に示すように、リザーバ形成基板用ウェハ130を、流路形成基板用ウェハ110上に接着剤35によって接着する。ここで、このリザーバ形成基板用ウェハ130には、リザーバ部31、圧電素子保持部32などが予め形成されており、リザーバ形成基板用ウェハ130上には、上述した接続配線200が予め形成されている。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130は、流路形成基板用ウェハ110に接合されることで、流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することができる。
【0039】
次いで、図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで研磨した後、更に弗化硝酸によってウェットエッチング、例えば、スピンエッチングすることにより流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みにする。次いで、図5(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110上に、マスク膜54を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図5(c)に示すように、このマスク膜54を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチング(ウェットエッチング)して、流路形成基板用ウェハ110に少なくとも圧力発生室12の液体流路を形成する。ここでは、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14の液体流路を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム(KOH)水溶液などのエッチング液によって弾性膜50及び密着層91(金属層92)が露出するまでエッチングすることより、圧力発生室12、連通部13及びインク供給路14を同時に形成する。
【0040】
このとき、露出部152は密着層91及び金属層92からなる配線層190によって封止されているため、露出部152を介してリザーバ形成基板用ウェハ130側にエッチング液が流れ込むことがない。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられている接続配線200にエッチング液が付着することがなく、断線などの不良の発生を防止することができる。また、リザーバ部31内にエッチング液が浸入してリザーバ形成基板用ウェハ130がエッチングされる虞もない。
【0041】
なお、このような圧力発生室12などを形成する際、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110側とは反対側の表面を、耐アルカリ性を有する材料、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などからなる封止フィルムでさらに封止するようにしてもよい。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられた配線の断線などの不良をより確実に防止することができる。
【0042】
次に、図6(a)に示すように、露出部152内の配線層190の一部を連通部13側からウェットエッチング(ライトエッチング)することにより除去する。すなわち、ライトエッチングによって、連通部13側に露出されている密着層91と、密着層91が拡散された金属層92の一部とを除去する。これにより、後の工程で配線層190上に形成される保護膜15と配線層190との密着力を弱めて、保護膜15を配線層190から剥離し易くしている。
【0043】
次に、流路形成基板用ウェハ110表面のマスク膜54を除去し、図6(b)に示すように、耐液体性(耐インク性)を有する材料、例えば、酸化タンタルからなる保護膜15を、例えば、CVD法によって形成する。このとき、露出部152は金属層92によって封止されているため、露出部152を介してリザーバ形成基板用ウェハ130の外面などに保護膜15が形成されることがない。これにより、リザーバ形成基板用ウェハ130の表面に設けられている接続配線200などに保護膜15が形成されることなく、駆動IC210などの接続不良などの発生を防止することができると共に、余分な保護膜15を除去する工程が不要となって製造工程を簡略化して製造コストを低減することができる。
【0044】
次に、図6(c)に示すように、保護膜15上に高応力材料からなる剥離層16を、例えば、CVD法によって形成する。この剥離層16は、酸化物または窒化物からなり、その応力によって金属層92上の保護膜15を金属層92から剥離するものである。このため、剥離層16は、その内部応力が圧縮応力であるのが好ましい。また、剥離層16は、保護膜15との密着力が保護膜15と金属層92との密着力よりも大きな材料を用いるのが好ましい。このように高応力材料からなると共に保護膜15との密着力が高い剥離層16を保護膜15上に形成することにより、その応力によって金属層92上に形成された保護膜15が剥がれ始める。
【0045】
以上、説明した準備工程により、第1流路としてのリザーバ部31が形成された第1基板としてのリザーバ形成基板用ウェハ130と、リザーバ形成基板用ウェハ130の一方側に接合され、第2流路としての連通部13が形成された第2基板としての流路形成基板用ウェハ110と、リザーバ部31と連通部13とを区切る分離層としての金属層92と、を備えた図6(c)の基板群が準備される。
【0046】
次に、リザーバ部31を封止する封止工程について説明する。
まず封止工程の前には、基板群を所定の温度以上に加熱する加熱工程を実施する。加熱工程では、図7(a)に示すように、加熱されている台2に基板群を置く。台2は、流路形成基板用ウェハ110に接する側が平面になっており、所定の温度に設定されている。本実施形態では、後述の第1のウェットエッチング工程で使用する第1のエッチング溶液の温度より高く、かつ、後述の第2のウェットエッチング工程で使用する第2のエッチング溶液の温度より高い60℃に台2の温度を設定する。すると、基板群は台2によって加熱され、リザーバ部31内の温度が上昇する。この設定された温度は、第1のエッチング溶液の温度より高く、かつ、第2のエッチング溶液の温度より高いので、十分な時間が経過すれば、リザーバ部31内の温度も第1のエッチング溶液の温度より高く、かつ、第2のエッチング溶液の温度より高くなる。
【0047】
次に、封止工程として図7(a)に示すように、台2に、接続されたリザーバ形成基板用ウェハ130と流路形成基板用ウェハ110を置いた状態で、粘着層を介してフィルム1を粘着することによって、リザーバ部31の接続配線200側を封止する。さらに、フィルム1を、接続配線200を覆うようにしてリザーバ形成基板用ウェハ130の接続配線200側の表面に貼り付ける。
【0048】
フィルム1は、耐エッチング液性を有する材料、例えば、PE(ポリエステル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPTA(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などからなる。また、粘着層はフィルムをはがすときに、基板群に傷を付けず、かつ基板群に残らずにきれいにはがれるものが望ましい。かかるフィルム1および粘着層としては、フィルムに粘着層が積層されたものを用いることが望ましく、例えばイクロステープ(商標)が用いられる。なお、リザーバ形成基板用ウェハ130上に粘着層を形成した後に、ファイルムを粘着しても良い。
【0049】
次に、温度降下工程を実施する。具体的には、台2から接続されたリザーバ形成基板用ウェハ130と流路形成基板用ウェハ110を離れた位置に置くことにより、リザーバ形成基板用ウェハ130と流路形成基板用ウェハ110の温度が下降し、リザーバ部31内の温度も下降するので、リザーバ部31内に閉じ込められた空気の体積が減少する。すると、図7(b)に示すように、フィルム1は、リザーバ部31内に引き込まれて、配線層190側に湾曲した形状になる。
【0050】
このとき、リザーバ部31の開口部において、フィルム1の粘着力や弾性力によって、図面上側に押し上げようとする力とリザーバ部31の内部圧力との和が、リザーバ部31の外部圧力である大気圧と同じ状態となる。従って、リザーバ部31の内部圧力は、リザーバ部31の外部圧力である大気圧より小さい状態となる。これにより、フィルム1には、リザーバ部31の内部に引き込まれようとする力が生じる。そのため、リザーバ部31の開口部となるリザーバ形成基板用ウェハ130のエッジ3部分に、フィルム1が密着する。
【0051】
次に、除去工程について説明する。
除去工程では、第1のウェットエッチング工程と第2のウェットエッチング工程により、金属層92を除去する。第1のウェットエッチング工程として、第1のエッチング溶液を用いて、剥離層16をウェットエッチングにより除去することで、図8(a)に示すように、金属層92上の保護膜15を剥離層16と共に完全に除去する。なお、本実施形態では、前述した工程で露出部152に設けられた配線層190の連通部13側の一部、すなわち、密着層91及び密着層91が拡散した金属層92が除去されているため、配線層190と保護膜15との密着力が弱く、保護膜15を金属層92から容易に剥離することができる。
【0052】
次に、図8(b)に示すように、第2のウェットエッチング工程として、第2のエッチング溶液を用いて、金属層92を連通部13側からウェットエッチングすることによって除去して貫通孔52を形成する。このとき金属層92上には保護膜15が形成されておらず、保護膜15が金属層92のウェットエッチングを邪魔することなく、容易にウェットエッチングにより貫通孔52を形成することができる。この貫通孔52によってリザーバ部31と連通部13とが連通される。
【0053】
このとき、金属層92が除去され、リザーバ部31内が大気圧と同じになるので、連通部13側に引き込まれていたフィルム1は、フィルム1の弾性力によって、図面下側に湾曲した形状から、図8(b)に示す直線に近い断面形状になる。
【0054】
除去工程の後に、基板群を第2のエッチング溶液が入った液槽から取り出し、フィルム1及び粘着層をリザーバ形成基板用ウェハ130から除去する。なおこのとき、加熱等によって粘着層を発泡や変質をさせて、除去しやすくしても良い。
【0055】
なお、このような方法でリザーバ100を形成した場合、リザーバ100内に露出している配線層190の表面には保護膜15が形成されないことになる。このため、配線層190がインクによって浸食される虞はあるが、その量は非常に少なく、ヘッドの寿命としては全く問題ない程度のものである。また、図示しないが、リザーバ部31の内面には、リザーバ形成基板用ウェハ130を熱酸化することによって二酸化シリコン膜が形成されているため、保護膜15を設ける必要はない。
【0056】
このようにリザーバ100を形成した後は、リザーバ形成基板用ウェハ130に形成されている接続配線200上に駆動IC210を実装すると共に、駆動IC210とリード電極90とを駆動配線220によって接続する(図2参照)。その後、流路形成基板用ウェハ110及びリザーバ形成基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシングなどにより切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110のリザーバ形成基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、リザーバ形成基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、これら流路形成基板用ウェハ110などを、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10などに分割することによって上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
【0057】
以上、本実施形態で説明した液体噴射ヘッドの製造方法では、第1流路としてのリザーバ部31が形成された第1基板としてのリザーバ形成基板用ウェハ130と、リザーバ形成基板用ウェハ130の一方側に接合され、第2流路としての連通部13が形成された第2基板としての流路形成基板用ウェハ110と、リザーバ部31と連通部13とを区切る分離層としての金属層92と、を備えた基板群を準備する準備工程と、リザーバ形成基板用ウェハ130の流路形成基板用ウェハ110と反対側に、粘着層を有する封止膜としてのフィルム1によって、リザーバ部31を封止する封止工程と、封止工程の後に、金属層92を除去する除去工程と、を含み、除去工程では、リザーバ部31の圧力が外部の圧力より低い状態で行う。
【0058】
この構成によれば、除去工程では、リザーバ部31内の圧力が外部の圧力より低い状態で行う。これにより、除去工程において、フィルム1がリザーバ部31内に引き込まれようとする力が生じるため、リザーバ部31を封止するフィルム1の密着性が向上する。そのため、除去工程における金属層92を除去するためのエッチング溶液がリザーバ部31から漏れることが抑制され、リザーバ形成基板用ウェハ130に形成された接続配線がエッチング溶液によって損傷され、断線などに至ることが抑制される。
【0059】
また、準備工程と封止工程の間に、基板群を所定の温度以上に加熱する加熱工程を含み、除去工程では、所定の温度以下で行う。
【0060】
この構成によれば、フィルム1によって密閉されたリザーバ部31内において、封止工程における温度から、除去工程における温度に降下する。そのため、除去工程では、リザーバ部31内の圧力が外部の圧力より低い状態となる。これにより、除去工程において、フィルム1がリザーバ部31内に引き込まれようとする力が生じるため、リザーバ部31を封止する封止膜の密着性が向上する。
【0061】
(実施形態2)
実施形態2では、封止工程において、基板群の温度を所定の温度から降下させる温度降下工程を含む場合について説明する。準備工程では、実施形態1で説明したように、図6(c)の第1流路としてのリザーバ部31が形成された第1基板としてのリザーバ形成基板用ウェハ130と、リザーバ形成基板用ウェハ130の一方側に接合され、第2流路としての連通部13が形成された第2基板としての流路形成基板用ウェハ110と、リザーバ部31と連通部13とを区切る分離層としての金属層92と、を備えた基板群を準備する。
【0062】
封止工程では、実施形態1で図7(a)を用いて説明したように、フィルム1によって、リザーバ部31の接続配線200側を封止する。温度降下工程では、台2から基板群を離し、フィルム1によって、リザーバ部31の接続配線200側を封止した状態で、所定の時間だけ冷却槽に放置する。
【0063】
そして、基板群を常温まで冷却した後に、実施形態1で図8(a)を用いて説明した、金属層92に形成された剥離層16と保護膜15とを除去する第1のウェットエッチング工程を行い、図8(b)を用いて説明した、金属層92を除去する第2のウェットエッチング工程を行う。
【0064】
次に、基板群を第2のエッチング溶液が入った液槽から取り出し、フィルム1をリザーバ形成基板用ウェハ130から剥がす。
【0065】
このように、実施形態2では、フィルム1によって、リザーバ部31を封止する封止工程において、基板群を台2から離して、冷却槽に放置することにより、基板群の温度を所定の温度から降下させる温度降下工程を含む。
【0066】
この構成によれば、フィルム1によって密閉されたリザーバ部31内の温度は、封止工程における温度と除去工程における温度との差が大きくなる。これにより、除去工程の前の時点で、フィルム1がリザーバ部31内に引き込まれようとする力がさらに増すため、リザーバ部31を封止する封止膜の密着性がさらに向上する。
【0067】
本実施形態では、温度降下工程において常温まで温度を降下させたが、常温まで温度を降下させなくてもよい。
【0068】
(実施形態3)
実施形態1、実施形態2では、封止工程において加熱工程を含む場合について説明したが、実施形態3では、封止工程を除去工程に比べて減圧環境で行う場合について説明する。
【0069】
準備工程では、実施形態1で説明したように、図6(c)の第1流路としてのリザーバ部31が形成された第1基板としてのリザーバ形成基板用ウェハ130と、リザーバ形成基板用ウェハ130の一方側に接合され、第2流路としての連通部13が形成された第2基板としての流路形成基板用ウェハ110と、リザーバ部31と連通部13とを区切る分離層としての金属層92と、を備えた基板群を準備する。
【0070】
図9は、実施形態3における減圧環境を説明する図である。減圧室401には、配管402を介して、例えば、ロータリーポンプなどの真空ポンプ403が接続される。
【0071】
封止工程では、図9に示すように、準備工程で準備した基板群400を減圧室401の内部に備える。次に、真空ポンプ403を動作させて、減圧室401内を大気圧より低い減圧環境にする。
【0072】
図10は、準備工程で準備した基板群におけるリザーバ形成基板用ウェハ130に、封止膜としてのフィルム1を貼った状態での基板群の断面図である。図10は、実施形態1で説明した図7(a)から台2を取り除いた図である。封止工程において、次に、図10に示すように、減圧環境にある減圧室401内で、粘着層を有するフィルム1によって、リザーバ部31の接続配線200側を封止し、さらに、フィルム1を、接続配線200を覆うようにしてリザーバ形成基板用ウェハ130の接続配線200側の表面に貼る。
【0073】
封止工程において、次に、減圧室401内を大気圧に戻し、基板群400を、減圧室401から取り出す。このとき、フィルム1によって封止されたリザーバ部31内の圧力は、外部の圧力より低い状態にある。従って、フィルム1は、実施形態1で説明した図7(b)に示すように、フィルム1がリザーバ部31内に引き込まれるように、図面下側に湾曲した形状になる。
【0074】
除去工程では、実施形態1で説明したように、第1のウェットエッチング工程と第2のウェットエッチング工程により、金属層92を除去する。そして、基板群を第2のエッチング溶液が入った液槽から取り出し、フィルム1をリザーバ形成基板用ウェハ130から剥がす。なお、封止工程は大気圧環境で実施をし、除去工程は高圧環境下で実施するなど、他の圧力環境でも良い。
【0075】
以上、本実施形態で説明した液体噴射ヘッドの製造方法において、封止工程は、除去工程よりも気圧が低い環境下で実施する。
【0076】
この構成によれば、除去工程では、封止膜としてのフィルム1によって密閉された第1流路としてのリザーバ部31内の圧力が外部の圧力より低い状態で行うことができる。これにより、除去工程において、フィルム1がリザーバ部31内に引きこまれようとする力が生じるため、リザーバ部31を封止するフィルム1の密着性が向上する。
【0077】
(変形例)
上記実施形態では、流路形成基板用ウェハ110に存在する液体流路として連通部13を設けていたが、この連通部13が存在せずに、リザーバ形成基板用ウェハ130のリザーバ部31から流路形成基板用ウェハ110の連通部13以外の他の液体流路に直接液体が流れ込む場合でも、本発明は実施可能である。
【0078】
さらに、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタなどの画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレーなどのカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)などの電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】記録ヘッドの分解斜視図。
【図2】記録ヘッドの平面図及び断面図。
【図3】製造方法を示す断面図。
【図4】製造方法を示す断面図。
【図5】製造方法を示す断面図。
【図6】製造方法を示す断面図。
【図7】製造方法を示す断面図。
【図8】製造方法を示す断面図。
【図9】実施形態3における減圧環境を説明する図。
【図10】封止膜としてのフィルムを貼った状態での基板群の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路が形成された第1基板と、前記第1基板の一方側に接合され、第2流路が形成された第2基板と、前記第1流路と前記第2流路とを区切る分離層と、を備えた基板群を準備する準備工程と、
前記第1基板の前記第2基板と反対側に、粘着層を用いて封止膜を粘着することによって、前記第1流路を封止する封止工程と、
前記封止工程の後に、前記分離層を除去する除去工程と、を含み、
前記除去工程は、前記第1流路内の圧力が外部の圧力より低い状態で前記分離層を除去することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記封止工程の前に、前記基板群を所定の温度以上に加熱する加熱工程を含み、前記除去工程は、前記所定の温度以下で前記分離層を除去することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記封止工程の後に、前記基板群の温度を前記所定の温度から降下させる温度降下工程を含むことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記温度降下工程では、前記基板群を常温で放置することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法であって、
前記封止工程は、第1の圧力環境で前記第1流路を封止し、前記除去工程は、前記第1の圧力環境よりも高い圧力である第2の圧力環境で前記分離層を除去することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−255536(P2009−255536A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21216(P2009−21216)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】