説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】コストの低減を図ると共に、高密度化を容易に達成し得る液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口21に連通する圧力発生室12が形成された流路形成基板10と、圧力発生素子300と、前記圧力発生素子300に接続されたリード電極90と、保持部材110と、支持部材400と、前記リード電極90に接続されると共に前記支持部材400に設けられた可撓性の配線基板410とを具備し、前記支持部材400と前記保持部材110とが接着剤120を介して接着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えばノズル開口に連通する圧力発生室とこの圧力発生室に連通する連通部とが形成される流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合されて圧電素子を保持するための圧電素子保持部を有する保護基板とを具備したものが知られている。ここで、保護基板上には、圧電素子を駆動するための駆動回路であるICが載置されている。また、駆動回路と圧電素子とは、圧電素子の一方の電極から引き出されたリード電極を介して導電性ワイヤーからなる接続配線によりワイヤーボンディング法により接続されている。
【0003】
保護基板は、相対向する2列の圧力発生室に対応させて配設した2列の圧電素子を保護するものもあり、この種の保護基板にはその中央部に前記接続配線が挿通される貫通孔が形成してある。かかるインクジェット式記録ヘッドでは、前記貫通孔部分で前記リード電極と接続配線とを接続している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−148813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においてはワイヤーボンディング法により駆動回路と圧電素子とを接続しているので、コストの高騰を招来するとともに、高密度化が困難であるという問題を有している。また、駆動回路は保護基板に平面的に配設しているので、圧電素子を含むアクチュエーター部分の面積の増大を生起する結果、この点でもコストの高騰を招来している。
【0006】
なお、このような問題はインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、コストの低減を図ると共に、高密度化を容易に達成し得る液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、前記圧力発生室に液体を噴射するための圧力を付与するように形成された圧力発生素子と、前記圧力発生素子に接続されたリード電極と、保持部材と、支持部材と、前記リード電極に接続されると共に前記支持部材に設けられた可撓性の配線基板とを具備し、前記支持部材と前記保持部材とが接着剤を介して接着されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、ボンディングワイヤー等を用いずに配線基板と圧電素子のリード電極とを接続しているので、容易に製造コストの低減を図ることができる。また、配線基板はその下端部がリード電極に接続されると共に支持部材に接着されているので、高密度化も容易に達成することができる。さらに、配線基板に駆動回路を設けることで、駆動回路は支持部材に配線基板を介して接着されるので、駆動回路が発生する熱を良好に放熱することができ、その安定的な動作に資することができる。さらに、保持部材と支持部材とを接着することで、剛体同士を接着することになり、保持部材が支持部材及び配線基板を確実に保持して、配線基板とリード電極との接続不良が生じるのを防止することができる。
【0009】
ここで、前記支持部材が導電性材料からなると共に、当該支持部材が接地されることが好ましい。これによれば、支持部材が接地されることで、配線基板のノイズ、特に配線基板に駆動回路が設けられた際の駆動回路のノイズ等を抑制することができる。また、接地されていない導電部材が移動することによって発生するノイズを低減して、圧力発生素子を駆動する駆動信号等に悪影響を与えるのを抑制できる。
【0010】
また、前記支持部材及び前記保持部材が導電性材料からなると共に、前記支持部材と前記保持部材とを接着する前記接着剤が導電性接着剤からなり、前記支持部材と前記保持部材とが、前記導電性接着剤を介して導通していることが好ましい。これによれば、支持部材と保持部材とを容易に導通させることができる。また、支持部材及び保持部材の何れか一方を接地すれば、両方の接地を行うことができ、配線基板のノイズ、特に配線基板に駆動回路が設けられた際の駆動回路のノイズ等を抑制することができる。また、接地されていない導電部材が移動することによって発生するノイズを低減して、圧力発生素子を駆動する駆動信号等に悪影響を与えるのを抑制できる。
【0011】
また、前記支持部材と前記保護基板とが線膨張係数が同等の材料からなることが好ましい。これによれば、熱による膨張・収縮が生じた際に、線膨張係数の違いによる反りや、流路形成基板を押圧してクラック等が発生するなどの破壊を確実に防止することができる。
【0012】
また、前記配線基板には、厚さ方向に貫通する保持口が設けられ、前記支持部材と前記保持部材とが前記保持口を介して前記接着剤により接着されていることが好ましい。これによれば、保持部材と支持部材とを配線基板の保持口を介して容易に接着することができる。
【0013】
また、前記支持部材と前記保持部材とは、複数の位置で接着されていてもよい。支持部材と保持部材とを複数の位置で接着することで、保持部材によってより確実に支持部材を保持させることができる。
【0014】
また、前記保持部材には、厚さ方向に貫通して前記支持部材及び前記配線基板が挿通される配線部材保持孔が設けられており、前記配線部材保持孔の内面と前記支持部材とが接着剤を介して接着されていることが好ましい。これによれば、保持部材によって支持部材を確実に保持させることができる。
【0015】
また、前記圧力発生素子が並設された列が列設されていると共に、当該圧力発生室の複数列が相対向して形成されており、前記支持部材は、前記並設方向に配設され、前記配線基板は、前記支持部材の両側面でそれぞれ接着されていることが好ましい。これによれば、前記圧力発生素子が複数列であっても、前述の如き高密度化を図るとともに製造コストの低減化も実現し得る。
【0016】
また、前記配線基板の下端部と前記リード電極とは、導電性粒子で電気的に接続されていることが好ましい。これによれば、導電性粒子を上方から押圧して潰すだけで所定の電気的な接続を容易に図ることができる。
【0017】
また、前記支持部材の下端面には、緩衝部材が設けられていることが好ましい。これによれば、導電性粒子を均等に押圧することができ、各リード端子に対応する多数の導電性粒子を均等に潰すことができる。
【0018】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、液体噴射装置として、上述の如き個別の作用・効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は図1の平面図であり、図3は図2のA−A′断面図であり、図4は図1の側面図及びそのB−B′断面図である。
【0020】
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。なお、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板以外の材料、例えば、金属板やセラミック板などであってもよい。
【0021】
流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設された列が2列設けられている。また、各列の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板30のリザーバー部31と連通して圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるリザーバー100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、圧力発生室12の幅方向両側の隔壁11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12の幅方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の幅方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
【0022】
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。本実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたため、1つのインクジェット式記録ヘッドIには、ノズル開口21の並設されたノズル列が2列設けられている。なお、ノズルプレート20は、例えばガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
【0023】
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、下電極膜60と、圧電体層70と、上電極膜80とが積層形成されて、本実施形態の圧力発生素子である圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
【0024】
また、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、絶縁体膜55上まで延設された例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。リード電極90は、一端部が上電極膜80に接続されていると共に、他端部側が圧電素子300が並設された列と列との間に延設されている。
【0025】
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。なお、本実施形態では、流路形成基板10にリザーバー100となる連通部13を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部31のみをリザーバーとしてもよい。また、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバーと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
【0026】
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する保持部である圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。なお、本実施形態では、圧電素子300が並設された列が2列設けられているため、圧電素子保持部32を圧電素子300の並設された各列に対応してそれぞれ設けるようにした。すなわち、保護基板30には、圧電素子保持部32が並設された圧電素子300の列が並ぶ列設方向に2つ設けられている。
【0027】
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
【0028】
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。貫通孔33は、本実施形態では、2つの圧電素子保持部32の間に設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
【0029】
可撓性のある配線基板の一種として、プリント基板であるCOF基板410を用いており、圧電素子300を駆動するための駆動回路200は、COF基板410に実装してある。ここで、COF基板410は、下端部がリード電極90に接続されるとともにほぼ垂直に立ち上げられて支持部材である板状部材400の側面に接着されている。すなわち、本実施形態の支持部材である板状部材400は両側面が垂直面となっている直方体である。本実施形態では、これら板状部材400、COF基板410及び駆動回路200で配線基板が構成されている。
【0030】
さらに詳言すると、本実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドIでは、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたため、圧電素子300が圧力発生室12の幅方向(圧電素子300の幅方向)に並設された列が2列設けられている。すなわち、圧力発生室12、圧電素子300及びリード電極90の2列が相対向して設けられたものである。そして、下部が貫通孔33に挿入されている板状部材400の両側面には、それぞれCOF基板410が接着されており、各COF基板410は、それぞれの下端部が圧電素子300の各列のリード電極90の端部に接続されるとともにほぼ垂直に立ち上げられている。本実施形態では、板状部材400の側面のそれぞれに1枚のCOF基板410を設けることで、1つの板状部材400に合計2枚のCOF基板410が設けられている。
【0031】
なお、可撓性のプリント基板であるCOF基板410は、単体で起立させようとしても撓んでしまうため、COF基板410を支えとなる剛性部材である板状部材400に接合することで、COF基板410の撓みを抑えて起立させることができるものである。
【0032】
そして、本実施形態では、直方体状の板状部材400を用いているが、配線基板が起立するように支えることができれば、格子状や筏状など様々な形状の支持部材を用いてもよい。
【0033】
ここで、板状部材400の一方の側面に設けられたCOF基板410Aには、図4に示すように、板状部材400の側面の下端部側(リード電極90に接続される側)に相対向する領域に、リード電極90の並設方向に向かって所定の間隔で複数の固定口411が設けられている。本実施形態では、COF基板410の下端部側にリード電極90の並設方向に等間隔となるように3つの固定口411と、上端部側に2つの固定口411とを設けるようにした。
【0034】
そして、板状部材400と、板状部材400の一方の側面に設けられたCOF基板410Aとは、固定口411内に設けられた接着剤420を介して接着されている。本実施形態では、接着剤420は、固定口411内に充填されて固定口411の開口を覆うように設けられていると共に、固定口411の周縁部でCOF基板410Aと板状部材400との間に充填されている。なお、COF基板410Aと板状部材400とは、固定口411に設けられた接着剤420以外では接着されていない。また、本実施形態では、板状部材400の他方の側面に設けられたCOF基板410Bは、その裏面の全面が接着剤420によって板状部材400に接着されている。
【0035】
このようなCOF基板410Aと板状部材400とを接着する接着剤420は、比較的に硬化時間の短い接着剤、例えば、紫外線硬化型接着剤や瞬間接着剤等を用いるのが好ましい。
【0036】
ここで、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法、特に、板状部材400とCOF基板410との接着方法について説明する。なお、図5〜図6は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す斜視断面図である。
【0037】
まず、図5(a)に示すように、板状部材400の側面の一方側に、COF基板410Bを接着する。板状部材400とCOF基板410Bとの接着方法は、特に限定されず、本実施形態では、COF基板410Bの裏面の全面を板状部材400に接着剤420で接着するようにした。
【0038】
次に、図5(b)に示すように、板状部材400の側面のCOF基板410Bが接着された面とは反対側の他方側が、鉛直方向上側となるように板状部材400を傾け、この板状部材400の鉛直方向上側となる側面にCOF基板410Aを載置する。このとき、板状部材400上に載置されたCOF基板410Aは、その自重により板状部材400上に保持される。また、板状部材400の他方面に設けられたCOF基板410Bは、板状部材400と接着されているため落下することがない。なお、COF基板410Aは、リード電極90と接続される下端部が予め屈曲されたものを用いている。これは、COF基板410Aを板状部材400に接着した後にCOF基板410Aの下端部を板状部材400に沿って屈曲すると、COF基板410A、410B同士の位置決めが困難であると共に、屈曲によってCOF基板410Aの位置がずれてしまう可能性が高いからである。
【0039】
そして、COF基板410Aの位置決めを行う。具体的には、先に板状部材400に接着されたCOF基板410Bに対して、COF基板410Aをリード電極90の並設方向となる方向に移動して、COF基板410A、410Bの相対的な位置決めを行う。これにより、先に接着された一方のCOF基板410Bのリード電極90に接続される配線と、他方のCOF基板410Aのリード電極90に接続される配線とのそれぞれの並設方向の位置決めを行うことができる。
【0040】
次に、図6に示すように、COF基板410Aを位置決めした状態で、COF基板410Aの固定口411に表面側から接着剤420を塗布することで、固定口411の内部と、固定口411の周縁部でCOF基板410Aと板状部材400との間とに接着剤420を充填し、この接着剤420を硬化させることでCOF基板410Aと板状部材400とを接着する。
【0041】
このように、COF基板410Aと板状部材400とを固定口411を介して接着することで、2つのCOF基板410A、410Bの相対的な位置決めを高精度に行った状態で接着することができる。これにより、2つのCOF基板410A、410Bの下端部の配線をそれぞれリード電極90に接続した際に、COF基板410A、410Bとリード電極90との位置ずれによる接続不良を防止することができる。ちなみに、COF基板410Aの裏面の全面に接着剤420を塗布して、COF基板410Aを板状部材400に当接させた状態で、このCOF基板410Aの位置決めを行おうとしても、接着剤420の粘性によってCOF基板410Aを移動させるのが困難であり、高精度な位置決めを行うことができない。また、COF基板410Aの裏面の全面を板状部材400に接着剤420で接着すると、接着剤420を硬化させる時間が長くなり製造効率が低下してしまう。本実施形態では、COF基板410Aを位置決めした状態で、固定口411が設けられた領域で、部分的にCOF基板410Aと板状部材400とを接着剤420を介して接着するため、COF基板410Aを高精度に位置決めした状態で位置ずれを生じさせることなく容易に接着することができる。また、COF基板410Aは、固定口411のみで板状部材400と接着されるため、接着領域が狭く、接着剤420を硬化させる時間を短くすることができる。これにより、接着剤420の硬化中にCOF基板410Aの位置がずれてしまうのを防止して、位置決め精度が低下するのを防止することができると共に、製造効率を向上することができる。また、接着剤420として比較的に硬化時間の短い接着剤、例えば、紫外線硬化型接着剤や瞬間接着剤等を用いることで、さらに硬化時間を短くすることができ、位置決め精度を向上することができる。
【0042】
また、固定口411をCOF基板410Aのリード電極90側に接続される下端部側に設けることで、特に位置決め精度が求められるCOF基板410Aの下端部の位置決めを高精度に行うことができる。すなわち、COF基板410Aの下端部側に設けられた3つの固定口411は、COF基板410Aのリード電極90に接続される領域の位置ずれを防止するためのものであり、リード電極90に接続される領域に近接して設けるのが好ましく、また、リード電極90の並設方向に亘って所定間隔で複数設けるのが好ましい。また、COF基板410Aの上端部側に設けられた2つの固定口411は、COF基板410Aの上端部側が板状部材400から剥離するのを防止するためのものであるため、この固定口411の位置や数については特に限定されるものではない。
【0043】
なお、上述した例では、COF基板410Bの裏面の全面を板状部材400に接着するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、先に接着するCOF基板410Bにも固定口411を設け、この固定口411を介してCOF基板410Bと板状部材400とを接着するようにしてもよい。すなわち、板状部材400の両側面に固定口411が設けられたCOF基板410Aを接着するようにしてもよい。このような場合、接着剤420の硬化時間を短縮して、製造効率を向上することができると共に、板状部材400に1枚目のCOF基板410Bの取り付けを高精度に行うことができる。
【0044】
なお、図3に示すように、板状部材400の下端面とCOF基板410(COF基板410A、410B)の下端部との間には、テフロン(登録商標)等で好適に形成し得る緩衝部材430が配設してある。また、COF基板410の下端部とリード電極90とは、導電性粒子で電気的に接続されている。すなわち、板状部材400を圧下することでその下端面を介してCOF基板410をリード電極90側に押圧する。このことにより、導電性粒子を潰してCOF基板410とリード電極90との所定の電気的な接続を行う。この際、緩衝部材430はCOF基板410に対する押圧力を均一化するように機能する。ここで、板状部材400の下端面とCOF基板410の下端部、又は緩衝部材430と当接する板状部材400の下端面を、前記導電性粒子の粒子径の5倍以内の面精度とするのが好ましい。このことにより、緩衝部材430の存在とも相俟ってCOF基板410の下端部を介して導電性粒子に作用させる押圧力を均一化することができ、導電性粒子を確実に潰して良好な電気的接続が確保されるからである。
【0045】
また、板状部材400は、インクジェット式記録ヘッドIをその最高使用保証温度で使用した場合でも駆動回路200の温度がそのジャンクション温度未満になるように放熱させ得る熱伝導率を有するものとするのが望ましい。このことにより最も過酷な負荷条件で駆動回路を動作させても十分な放熱効果を発揮させることで駆動回路の長期安定的な駆動に資することができる。このため、本実施形態における板状部材400はSUSを材料として形成してある。この場合には、駆動回路200が発生する熱を板状部材400が流路形成基板10を介してその内部を流通するインクに吸収させることできる結果、駆動回路200が発生する熱を有効に放熱させることができる。同様の作用・効果は、SUS等の金属を材料としない場合でも流路形成基板10の表面と駆動回路200との距離を十分小さくすることによっても得ることができる。すなわち、駆動回路200と流路形成基板10の表面との距離を、インクジェット式記録ヘッドIをその最高使用保証温度で使用した場合でも駆動回路200の温度がそのジャンクション温度未満になるように放熱させ得る距離とすれば良い。
【0046】
なお、このような板状部材400としては、詳しくは後述する保持部材であるヘッドケース110と線膨張係数が同等の材料で形成するのが好ましく、例えば、ステンレス鋼やシリコンなどが挙げられる。
【0047】
さらに、図3に示すように、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0048】
さらに、コンプライアンス基板40上には、保持部材であるヘッドケース110が設けられている。ヘッドケース110には、インク導入口44に連通してカートリッジ等のインク貯留手段からのインクをリザーバー100に供給するインク導入路111が設けられている。また、ヘッドケース110には、開口部43に対向する領域に凹部112が形成され、開口部43のたわみ変形が適宜行われるようになっている。さらに、ヘッドケース110には、保護基板30に設けられた貫通孔33と連通する配線部材保持孔113が設けられており、配線部材は、配線部材保持孔113内に挿通されてリード電極90と接続されている。そして、ヘッドケース110の配線部材保持孔113に挿通された配線部材は、ヘッドケース110と接着剤120を介して接着されている。
【0049】
なお、このようなヘッドケース110の材料としては、例えば、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。
【0050】
ここで、COF基板410には、図4に示すように、ヘッドケース110の配線部材保持孔113の内面に相対向する領域に厚さ方向に貫通する保持口412が設けられている。そして、板状部材400は、COF基板410に設けられた保持口412を介してヘッドケース110と接着剤120を介して接着されている。すなわち、配線部材の板状部材400とヘッドケース110とは、保持口412内に設けられた接着剤120を介して直接接着されている。なお、本実施形態では、保持口412を配線部材保持孔113のCOF基板410の下端部側のリード電極90の並設方向の中央部に1つ設けるようにした。また、本実施形態では、固定口411を保持口412と同じ高さに設け、リード電極90の並設方向両端部側の固定口411が、保持口412として機能するようにした。すなわち、板状部材400とCOF基板410とを接着する接着剤420と、ヘッドケース110とを接着剤120を介して接着することで、固定口411の領域においても、板状部材400とヘッドケース110とが2つの接着剤420、120を介して直接接着されていることになる。
【0051】
また、板状部材400とヘッドケース110とを接着する接着剤120は、保持口412の周縁部において、板状部材400とCOF基板410との間に充填されるため、板状部材400とCOF基板410とを接着する接着剤としても機能する。すなわち、保持口412は、上述したCOF基板410Aを板状部材400に接着する際には利用されないものの、ヘッドケース110と板状部材400とを接着する際に、板状部材400とCOF基板410Aとを接着するための固定口411としても機能する。
【0052】
このように、板状部材400とヘッドケース110とをCOF基板410を介さずに直接接着することで、ヘッドケース110に板状部材400を確実に保持させることができる。すなわち、ヘッドケース110と板状部材400との剛体同士を接着することで、COF基板410とリード電極90とが確実に接続された状態を保持させることができ、COF基板410とリード電極90との接続が剥がれて断線する等の不具合を防止することができる。また、ヘッドケース110と板状部材400とを線膨張係数の同等な材料、本実施形態では、ステンレス鋼で形成することで、インクジェット式記録ヘッドIが熱により膨張・収縮した際に、ヘッドケース110と板状部材400との線膨張係数の違いによる反りや破壊を防止することができる。ちなみに、ヘッドケース110と板状部材400とを、線膨張係数が違う材料を用いると、板状部材400が流路形成基板10を押圧してしまい、流路形成基板10にクラックが発生する虞がある。さらには、ヘッドケース110と板状部材400とは、これらの部材が固定される保護基板30とも略同一の線膨張係数である材料がより望ましい。
【0053】
なお、本実施形態では、ヘッドケース110と板状部材400とをCOF基板410の保持口412が設けられた領域(固定口411が設けられた領域も含む)で接着剤120を介して接着するようにしたが、さらに、COF基板410とヘッドケース110とを接着するようにしてもよく、また、配線部材と保護基板30の貫通孔33及び配線部材保持孔113内との空間をモールド材によってモールドするようにしてもよい。また、配線部材と保護基板30及びヘッドケース110との間の空間を、低粘度の固化しない放熱材料からなるジェルを充填することで、さらに駆動回路200や板状部材400の放熱性を高めることができる。
【0054】
また、本実施形態では、COF基板410A、410Bの駆動回路200を、ヘッドケース110の外側に配置するようにした。すなわち、ヘッドケース110と板状部材400とは、駆動回路200よりも図中下側で接着剤120を介して接着されている。このように、ヘッドケース110の外に駆動回路200を配置することで、駆動回路200自身の放熱を促進することができる。
【0055】
以上、説明したインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク貯留手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
【0056】
さらに、本実施形態によれば、駆動回路200を実装したCOF基板410を介して駆動回路200と圧電素子300のリード電極90とを接続しているので、ワイヤーボンディング法によるよりも製造が容易になる。また、COF基板410はその下端部がリード電極90に接続されるとともにほぼ垂直に立ち上げられているので、大型化することなく小型化することができる。また、COF基板410を直接リード電極90に接続しているので、圧電素子300を高密度に配設してもリード電極90とCOF基板410との接続不良が発生することなく、高密度化を容易に達成できる。さらに、駆動回路200は板状部材400の側面側にCOF基板410を介して接着されているので、駆動回路200が発生する熱を良好に放熱することができる。
【0057】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的構造は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、板状部材400の両側面にそれぞれCOF基板410(410A、410B)を設けるようにしたが、各側面に2つ以上のCOF基板410を設けるようにしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態1では、板状部材400の両側面にそれぞれ1枚ずつCOF基板410(410A、410B)を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、板状部材400の片側の側面のみにプリント基板410を設けるようにしてもよく、また、両側面のプリント基板410として連続した1枚のプリント基板を用いるようにしてもよい。ただし、上述した実施形態1のように、板状部材400の両側面にそれぞれ1枚ずつ、合計2枚のCOF基板410(410A、410B)を設けた場合には、位置決めが困難になるため、COF基板410Aの固定口411を用いて接着剤で固定することで、位置決めを容易に且つ高精度に行うことができるという効果をより確実に得ることができる。
【0059】
また、上述した実施形態1では、各固定口411を独立した開口としたが、特にこれに限定されず、例えば、固定口411をCOF基板410のリード電極90の並設方向の両側面に切り欠き部として設けるようにしてもよい。
【0060】
さらに、上述した実施形態1では、COF基板410のリード電極90の並設方向両端部側の固定口411を介して板状部材400とヘッドケース110とを直接接着するようにしたが、特にこれに限定されず、COF基板410の両端部側に固定口411とは別の保持口412をさらに設けるようにしてもよい。また、保持口として、例えば、COF基板410のリード電極90の並設方向の両側面に切り欠き部として設けるようにしてもよい。もちろん、COF基板410をその外周部で板状部材400と接着するようにしてもよい。
【0061】
さらに、上述した実施形態1では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたものであるが、この場合の列数には特別な制限はない。一列であっても、3列以上であっても構わない。複数列の場合には少なくとも2列一組を相対向させて設ければよい。
【0062】
また、上述した実施形態1では、板状部材400とCOF基板410A及び410Bとを接着剤420を介して接着するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、板状部材400に、両面テープによってCOF基板410A及びCOF基板410Bの何れか一方又は両方を接合してもよい。ここで、COF基板410A及び410Bを両面テープで板状部材400に貼付する際には、COF基板410A及び410Bのリード電極90と接続される端部の屈曲角度を90度よりも大きくすればよい。これにより、板状部材400の両面に両面テープを予め貼付しておいても、COF基板410A及び410Bをアライメントする前にCOF基板410A及び410Bが両面テープによって板状部材400に接合されることがない。したがって、板状部材400とCOF基板410A、410Bとを両面テープで接合する場合であっても、COF基板410AとCOF基板410Bとのアライメントを行うことができる。なお、COF基板410AとCOF基板410Bとのアライメントを行った後に、COF基板410A、410Bを板状部材400側に押圧することで、COF基板410AとCOF基板410Bとの位置ずれが生じることなく、COF基板410A、410Bと板状部材400とを両面テープで接合することができる。
【0063】
また、上述した実施形態1の板状部材400が導電性材料で形成されている場合には、板状部材400を接地するようにしてもよい。このように板状部材400を接地することで、駆動回路200等から発生するノイズをシールドすることができ、ノイズによる駆動信号等への阻害を抑制できる。また、板状部材400を接地することで、インクジェット式記録ヘッドIの移動時に浮きメタルによるノイズの発生を低減することができる。
【0064】
さらに、板状部材400及びヘッドケース110が導電性材料で形成されている場合には、ヘッドケース110と板状部材400とを接着する接着剤120として、導電性接着剤を用いることで、両者を導通することができる。そして、板状部材400とヘッドケース110とを導通することで、何れか一方を接地すれば、両方の接地を行うことができ、接地のための配線や接地する工程を低減することができる。また、板状部材400とヘッドケース110とを接地することで、駆動回路200等が発生するノイズをシールドすることができる。また、板状部材400とヘッドケース110とを接地することで、浮きメタルによるノイズの発生を低減できる。なお、ここで言う浮きメタルとは、インクジェット式記録ヘッドIを構成する導電性を有する部材のうち、接地されていないものを言う。また、ヘッドケース110及び板状部材400の接地は、例えば、COF基板410A、410Bのグランド配線を介して行うようにしてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態1では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生素子として、薄膜型の圧電素子300を有するアクチュエーター装置を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のアクチュエーター装置や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のアクチュエーター装置などを使用することができる。また、圧力発生素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0066】
なお、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図7は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図示するように、上記実施の形態に係るインクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0067】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0068】
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの側面図及び断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す斜視断面図である。
【図6】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す斜視断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0070】
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 32 圧電素子保持部、 33 貫通孔、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバー、 110 ヘッドケース(保持部材)、 113 配線部材保持孔、 120 接着剤、 200 駆動回路、 300 圧電素子(圧力発生素子)、 400 板状部材(支持部材)、 410、410A、410B COF基板(配線基板)、 420 接着剤、 430 緩衝部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、
前記圧力発生室に液体を噴射するための圧力を付与するように形成された圧力発生素子と、
前記圧力発生素子に接続されたリード電極と、
保持部材と、
支持部材と、前記リード電極に接続されると共に前記支持部材に設けられた可撓性の配線基板とを具備し、
前記支持部材と前記保持部材とが接着剤を介して接着されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記支持部材が導電性材料からなると共に、当該支持部材が接地されることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記支持部材及び前記保持部材が導電性材料からなると共に、前記支持部材と前記保持部材とを接着する前記接着剤が導電性接着剤からなり、前記支持部材と前記保持部材とが、前記導電性接着剤を介して導通していることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記支持部材と前記保護基板とが線膨張係数が同等の材料からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記配線基板には、厚さ方向に貫通する保持口が設けられ、前記支持部材と前記保持部材とが前記保持口を介して前記接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記支持部材と前記保持部材とは、複数の位置で接着されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記保持部材には、厚さ方向に貫通して前記支持部材及び前記配線基板が挿通される配線部材保持孔が設けられており、前記配線部材保持孔の内面と前記支持部材とが接着剤を介して接着されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記圧力発生素子が並設された列が列設されていると共に、当該圧力発生室の複数列が相対向して形成されており、
前記支持部材は、前記並設方向に配設され、
前記配線基板は、前記支持部材の両側面でそれぞれ接着されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項9】
前記配線基板の下端部と前記リード電極とは、導電性粒子で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項10】
前記支持部材の下端面には、緩衝部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−255517(P2009−255517A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315105(P2008−315105)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】