説明

液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるノズルの回復方法

【課題】液体の消費を抑制してノズルの回復処理を行うことができる液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるノズルの回復方法を提供する。
【解決手段】インクを噴射する複数のノズル30と、インクカートリッジ31側からノズル側に向けてインクを供給するインク流路32と、変圧位置PHからインク流路内のインクを吸引及び吐出可能なメンテナンスポンプ61と、変圧位置よりも上流側となる開閉位置PKにインク流路内を開閉可能に設けられた流路弁60と、メンテナンスポンプと流路弁との駆動を制御してノズルの回復処理を行う制御部67とを備え、制御部は、流路弁を閉弁させた状態で、メンテナンスポンプを吸引駆動することによりメンテナンスポンプにインク流路における開閉位置よりも下流側からインクを吸引させると共に、メンテナンスポンプを吐出駆動することによりメンテナンスポンプにインク流路における開閉位置よりも下流側へインクを吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンターなどの液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるノズルの回復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体をターゲットに対して噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)が広く知られている。このプリンターは、記録ヘッドに供給されるインク(液体)を記録ヘッドに形成されたノズルから噴射することによりターゲットに印刷(画像形成)を施すようになっている。
【0003】
このようなプリンターでは、ノズル内のインクが蒸発して減少すると、メニスカスの位置が適正な位置から上昇してしまい、良好なインクの噴射ができなくなって印刷品質が低下してしまう。そのため、こうしたプリンターでは、例えば特許文献1に記載のように、インクを収容するインクカートリッジ側から記録ヘッド側へインクを加圧供給し、ノズル内にインクを充填してメニスカス位置を下降させることで、ノズルの回復処理を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−152725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、メニスカス位置の上昇は、ノズル毎に発生する。そのため、特許文献1のプリンターのようにインクを加圧供給してノズルの回復処理を行う場合には、ノズル開口付近の適正な位置にメニスカスが位置する正常なノズルに対してもインクが加圧供給されることになる。そのため、正常なノズルからはインクがノズル開口の外側に押し出されて排出されることになり、ノズルの回復処理に伴って多くのインクが無駄に消費されてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体の消費を抑制してノズルの回復処理を行うことができる液体噴射装置、及び液体噴射装置の回復方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルと、液体供給源側となる上流側から前記ノズル側となる下流側に向けて前記液体を供給する液体供給流路と、該液体供給流路における第1の位置から該液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記第1の位置から前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプと、前記液体供給流路における前記第1の位置よりも上流側となる第2の位置に前記液体供給流路内を開閉可能に設けられた流路弁と、前記ポンプと前記流路弁との駆動を制御して前記ノズルの回復処理を行う制御手段とを備え、該制御手段は、前記流路弁を閉弁させた状態で、前記ポンプを吸引駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側から前記液体を吸引させた後に、前記ポンプを吐出駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側へ前記液体を吐出させる。
【0008】
この構成によれば、ポンプが吸引駆動すると、液体供給流路内における第2の位置よりも下流側の液体が第1の位置から吸引されることにより、液体のメニスカス位置はノズル開口から上流側へ向かう方向に移動する。そして、ポンプが吸引駆動してメニスカス位置が上流側に移動した液体は、その後にポンプが吐出駆動して液体供給流路内に第1の位置から液体が吐出されると、その吐出圧を受けてメニスカス位置がノズル開口側となる下流側に移動する。そして、その後にノズルの毛管力が作用することにより液体のメニスカス位置がノズル開口付近の適正な位置へと容易に変化してノズルの回復処理は完了する。このように、ノズルの回復処理に際しては、ノズル開口から外側に液体を排出させることなく、液体のメニスカス位置を適正な位置に移動させることができる。したがって、液体の消費を抑制してノズルの回復処理を行うことができる。
【0009】
本発明の液体噴射装置において、前記液体供給流路は、該液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側となる第3の位置から前記各ノズルに対応して分岐した複数の分岐流路を有し、該複数の分岐流路は、各分岐流路を構成する第1の流路と該第1の流路よりも断面積が小さな第2の流路とを含み、該第1の流路及び第2の流路のうち、前記第1の流路が前記ノズルにそれぞれ接続される。
【0010】
液体のメニスカス位置は、そのメニスカスが形成される液体供給流路の流路断面積が小さいほど移動しにくい。その点、この構成によれば、液体供給流路の中に第1の流路よりも流路断面積が小さな第2の流路を設けているため、メニスカスの移動を第1の流路と第2の流路との境界付近で停止させることができる。したがって、分岐点よりも上流側まで気泡が混入する虞を低減することができる。
【0011】
本発明の液体噴射装置は、下流側の減圧に応じて上流側から下流側への前記液体の通過を許容する一方向弁を前記液体供給流路における前記第2の位置よりも上流側となる第4の位置に設けた。
【0012】
この構成によれば、流路弁よりも下流側の液体がノズルに供給されてメニスカスが下降すると、その下降分だけ液体供給流路内は減圧される。そして、この減圧に伴い一方向弁を介して上流側から液体が下流側に供給される。すると、液体が供給されて液体供給流路内の減圧が解消されるため、一方向弁を介した液体の供給が中断される。したがって、液体が過剰に供給されてノズルから排出されるのを抑制すると共に、液体供給流路内の圧力を容易に調整することができる。
【0013】
本発明の液体噴射装置は、前記液体供給流路内の前記液体を加圧して前記ノズルから前記液体を噴射させる噴射手段を備え、前記制御手段は、前記ポンプの駆動時において、前記ノズルから前記液体を噴射してターゲットに付着させる第1の加圧様式よりも前記ノズルからの前記液体の噴射量の少ない第2の加圧様式で前記噴射手段を駆動させる。
【0014】
この構成によれば、ノズル内の液体は、噴射手段の駆動に応じて振動するため、そのメニスカス位置が移動しやすい状態となる。一方、噴射手段よりも上流側までメニスカス位置が上昇しているノズルでは、噴射手段が駆動されても影響を受けにくい。したがって、メニスカス位置が上昇したノズルでは、メニスカス位置が正常なノズルに比べてメニスカス位置が移動しにくい状態になる。そのため、メニスカス位置が上昇しすぎてしまう虞を低減することができる。また、噴射手段は第1の加圧様式よりも噴射量の少ない第2の加圧様式で駆動されるため、液体の排出量を低減することができる。
【0015】
本発明の液体噴射装置におけるノズルの回復方法は、液体を噴射する複数のノズルと、液体供給源側となる上流側から前記ノズル側となる下流側へ前記液体を供給する液体供給流路とを備える液体噴射装置におけるノズルの回復方法において、前記液体供給流路における第1の位置から該液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記第1の位置から前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプを、前記第1の位置よりも上流側の第2の位置に設けられた流路弁を閉弁させた状態で吸引駆動し、前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側から前記液体供給流路内の前記液体を吸引する吸引段階と、前記流路弁を閉弁させた状態で前記ポンプを吐出駆動し、前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側へ前記吸引段階で吸引した前記液体を吐出する吐出段階とを備える。
【0016】
この構成によれば、上記液体噴射装置に係る発明と同様の作用効果を奏し得る。
本発明の液体噴射装置におけるノズルの回復方法は、前記吸引段階と前記吐出段階とを交互に複数回行う。
【0017】
この構成によれば、1回の吸引段階と吐出段階で回復させることができなかったノズルがある場合でも、複数回繰り返すことによってノズルの状態を回復することができる。すなわち、先に回復したノズルにおいても液体の消費が抑制されるため、吸引段階と吐出段階とを複数回行うことによって、液体の消費を抑制しつつ回復確率を高めることができる。
【0018】
本発明の液体噴射装置におけるノズルの回復方法は、前記吸引段階と前記吐出段階とを連続して行う。
ポンプが液体を吸引した吸引状態を維持すると、流体供給流路内には圧力分布が発生し、ポンプから離れたノズルほどメニスカスが下降しやすくなることがある。その点、この構成によれば、ポンプが吸引駆動された後、連続して吐出駆動を行うため、部分的なメニスカスの移動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態のプリンターの模式図。
【図2】インク供給系の模式図。
【図3】図2における3−3矢視断面模式図。
【図4】メンテナンスポンプの模式図。
【図5】(a),(b)は記録ヘッドの断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の流体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1の紙面に直交する方向を示すものとする。
【0021】
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)11は、ターゲットとしての用紙12を搬送するための搬送ユニット13と、用紙12に印刷を施すための記録ヘッドユニット15とを備えている。
【0022】
搬送ユニット13は左右方向に長い矩形板状のプラテン17を備えている。プラテン17の右側には前後方向に延びる駆動ローラー18が駆動モーター19によって回転駆動可能に配置される一方、プラテン17の左側には前後方向に延びる従動ローラー20が回転可能に配置されている。さらに、プラテン17の下側には前後方向に延びるテンションローラー21が回転可能に配置されている。
【0023】
駆動ローラー18、従動ローラー20、及びテンションローラー21には、プラテン17を囲むように、多数の貫通孔を有する無端状の搬送ベルト22が巻き回されている。この場合、テンションローラー21は、図示しないばね部材によって下側に向かって付勢されており、搬送ベルト22にテンションを付与することで該搬送ベルト22の弛みを抑制するようになっている。
【0024】
そして、駆動ローラー18を前側から見て時計方向に回転駆動することで、搬送ベルト22が駆動ローラー18、テンションローラー21、及び従動ローラー20の外側を前側から見て時計方向に周回移動されるようになっている。また、用紙12は、プラテン17の上面と対向する位置にある場合、図示しない吸引手段によって搬送ベルト22越しにプラテン17側に吸引され、上流側である左側から下流側である右側に向かって搬送されるようになっている。
【0025】
また、従動ローラー20の左斜め上側には、未印刷の複数の用紙12を1枚ずつ順次搬送ベルト22上に給紙するための上下1対の給紙ローラー23が設けられている。一方、駆動ローラー18の右斜め上側には、印刷後の用紙12を1枚ずつ搬送ベルト22上から排紙するための上下1対の排紙ローラー24が設けられている。
【0026】
図1及び図2に示すように、記録ヘッドユニット15には、前後方向に延びる複数個(本実施形態では4個)の液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド26〜29が、左右方向に間隔を有して設けられている。なお、各記録ヘッド26〜29の下面となるノズル形成面26a〜29aには、多数のノズル30が前後方向に沿ったノズル列を形成するように、前後方向に所定間隔をおいて規則的に開口している。そして、このように構成された各ノズル30には、記録ヘッド26〜29毎に同じ種類のインク(液体)が供給され、ノズル30から噴射されるようになっている。
【0027】
すなわち、図2に示すように、第1の記録ヘッド26には、ブラックのインクが収容された液体供給源としてのインクカートリッジ31から、液体供給流路としてのインク流路32を介してブラックインクを供給するインク供給装置33が接続されている。また、同様に第2〜第4の記録ヘッド27〜29には、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクをそれぞれ収容したインクカートリッジ31からインクを供給するインク供給装置33が接続されている。
【0028】
但し、各インクカートリッジ31から各記録ヘッド26〜29へインクを供給するインク供給装置33の構成は同じであるため、図2には第1の記録ヘッド26にインクを供給する一つのインク供給装置33のみを第1の記録ヘッド26とインクカートリッジ31と共に図示している。そして、以下においては、この図2に示す第1の記録ヘッド26と第1の記録ヘッド26にインクを供給するインク供給装置33を例にして説明することにする。
【0029】
図2及び図3に示すように、第1の記録ヘッド26内には、インク流路32の下流側と連通するリザーバ36がノズル列に沿って前後方向に延びるように形成されると共に、そのリザーバ36の延設方向の複数位置から各ノズル30と個別に対応する複数の分岐流路35が分岐形成されている。なお、分岐流路35の分岐点となるリザーバ36における下流端位置は、第3の位置としての分岐位置PBとなっている。
【0030】
分岐流路35は、ノズル30と連通する第1の流路としてのキャビティ37と、該キャビティ37とリザーバ36とを連通する第2の流路としての連通流路38により構成されている。なお、インクが流れる方向と直交する方向(図3において紙面と直交する方向)において、連通流路38の断面積は、キャビティ37の流路断面積に比べて小さくなっている。
【0031】
さらに、図3に示すように、キャビティ37に隣接する位置には、キャビティ37の一壁面を形成する振動板39を介して噴射手段としての圧電素子40が配設されている。すなわち、圧電素子40が収縮及び伸張して振動板39を振動させることにより、キャビティ37の容積を変更してノズル30からインクを噴射させる。そして、噴射に伴ってキャビティ37内のインクが減少すると、連通流路38、リザーバ36、インク流路32を介してインクカートリッジ31側からインクが供給されるようになっている。したがって、分岐流路35、リザーバ36、インク流路32は、インクカートリッジ31側となる上流側からノズル30側となる下流側へインクを供給可能な液体供給流路として機能している。
【0032】
また、ノズル30は、キャビティ37に接続された上流側から下流側に向かって徐々に断面積が小さくなるテーパ部42と、該テーパ部42と連通すると共にノズル形成面26aに開口する開口部43とから構成されている。そして、上流側からノズル30にインクが充填されると、ノズル30内であって且つノズル形成面26aに開口したノズル開口44の付近にメニスカスMが形成される。なお、メニスカスMとは、毛細管現象によってインクの中央部がノズル開口44から見て凹面形状をなすように盛り上がってできる曲面のことである。
【0033】
また、図2に示すように、インクカートリッジ31は、インクを収容して可撓性を有するインクパック46がケース47に収容されている。そして、ケース47には、空気流路48を介して加圧ポンプ49が接続されていると共に、インクパック46には、インク流路32の上流端が接続されている。そのため、加圧ポンプ49が空気流路48を介してケース47内に空気を供給すると、インクパック46が押し潰されてインクパック46内のインクがインク流路32へ供給されるようになっている。
【0034】
そして、インク流路32において、第4の位置としての調圧位置PTには、下流側の減圧に伴って上流側から下流側へのインクの通過を許容し、インク流路32内の圧力を調整する一方向弁51が設けられている。すなわち、一方向弁51は、インクカートリッジ31から加圧供給されたインクを一次貯留する貯留室52と、貯留室52よりも下流側に位置する圧力室53とを有している。そして、貯留室52と圧力室53は、隔壁部54によって隔てられており、ばね55により閉弁方向に付勢されて隔壁部54に当接する弁体56が開弁方向へ移動することにより連通するようになっている。なお、圧力室53の一部は、可撓性材料(例えば合成樹脂やゴム等)よりなるフィルム57により構成されており、例えばフィルム57とともに変位可能な図示しない片持ちの金属片(例えば櫛歯状金属片の一片)を弁体56の当接箇所に配置している。
【0035】
また、一方向弁51が設けられた調圧位置PTよりも下流側となる第2の位置としての開閉位置PKには、インク流路32を開閉可能な流路弁60が設けられている。さらに、開閉位置PKよりも下流側となる第1の位置としての変圧位置PHには、インク流路32内の圧力を変化させてインクを吸引及び吐出可能なポンプとしてのメンテナンスポンプ61が接続されている。
【0036】
図4に示すように、メンテナンスポンプ61は、可撓性を有するチューブ62と、1対の押圧ローラー63,64とを有している。なお、チューブ62の基端部62aは、インク流路32に接続されているのに対し、チューブ62の先端部62bは開放されている。1対の押圧ローラー63,64はチューブ62を両側から押し潰すように挟持した状態に配置される。また、メンテナンスポンプ61は、押圧ローラー63,64を図4に実線で示す吐出位置と2点鎖線で示す吸引位置との間で往復移動させる移動機構65(図2参照)を備えている。すなわち、チューブ62の基端部62a側となる吐出位置に位置している押圧ローラー63,64が、吐出位置よりも先端部62b側となる吸引位置側へ移動することにより、インク流路32内のインクがチューブ62内に吸引されるようになっている。また、吸引位置に位置している押圧ローラー63,64が、吐出位置側へ移動することにより、チューブ62内のインクが押圧ローラー63,64に押されてインク流路32へ吐出されるようになっている。
【0037】
したがって、メンテナンスポンプ61は、移動機構65が押圧ローラー63,64を移動させることにより、吸引駆動及び吐出駆動する。なお、本実施形態では、吸引位置と退避位置間のチューブ62内の容積を、吸引駆動の際に吸引するインクの量がリザーバ36に接続される各連通流路38の合計容積未満となるように、例えば0.03cc程度としている。
【0038】
さらに、図2に示すように、プリンター11には、プリンター11の稼働状態を統括制御する制御手段としての制御部67が設けられている。そして、制御部67は、各記録ヘッド26〜29に設けられた圧電素子40、加圧ポンプ49、流路弁60、移動機構65を駆動制御して印刷及びノズル30の回復処理を行うようになっている。
【0039】
そこで次に、以上のように構成されたプリンター11における作用について、以下説明する。
さて、プリンター11において印刷が開始されると、制御部67は、印刷データに基づいて各々のノズル30毎にインクの噴射タイミングを作成すると共に、該噴射タイミングに基づいて第1の加圧様式で圧電素子40を駆動する。すると、振動板39がキャビティ37の容積を減少させる方向に変位してノズル30からインクを噴射する。すなわち、各ノズル30から噴射されたインクが搬送ベルト22に支持されて搬送される用紙12に付着することにより、用紙12に印刷が施される。
【0040】
なお、流路弁60は、印刷時において開弁状態を維持している。そのため、ノズル30からインクが噴射されてインクが消費されると、インクの減少に伴う減圧がリザーバ36及びインク流路32を介して一方向弁51に伝達され、圧力室53と大気との差圧に基づきフィルム57が圧力室53側へ撓み変形する。すると、弁体56がばね55の付勢力に抗して開弁位置に移動し、貯留室52内のインクが圧力室53側へ流入する。そして、圧力室53へインクが流入してその室圧が高まると、ばね55の付勢力が打ち勝って弁体56が再び閉弁位置に移動する。
【0041】
したがって、一方向弁51は、下流側の減圧に応じて上流側から下流側へインクの通過を許容するようになっているため、消費された分のインクがインクカートリッジ側から供給される。したがって、印刷に伴ってノズルからインクを噴射しても、図3に示すようにメニスカスMの位置はノズル開口44付近に位置している。
【0042】
しかし、印刷が実行されずにノズルからインクが噴射されない期間が長くなると、ノズル開口44からインクが蒸発してメニスカスMの位置が上昇してしまうことがある(図5(a)参照)。また、インクの蒸発だけでなく、プリンター11が衝撃を受けた場合や、用紙12の端がノズル開口44に接触した場合など他の場面でも、メニスカスMの位置が上昇することがある。
【0043】
なお、インクは、そのインクが流れる流路の流路断面積に応じて移動のしやすさが変化し、流路断面積が小さいほど移動しにくいため、流路断面積の大きなキャビティ37内に比べて流路断面積の小さな連通流路38内は移動しにくい。そのため、メニスカスMの位置が上昇(すなわち、上流側へ移動)した場合には、連通流路38内でメニスカスMの位置が停止しやすくなる。そして、このようにメニスカスMの位置がキャビティ37よりも上流側の連通流路38まで移動すると、圧電素子40を駆動しても振動をインクに伝達することができないため、ノズル30からのインクの良好な噴射ができず印刷品質を低下させてしまう。
【0044】
そのため、制御部67は、例えばユーザーから回復処理の実行指令を図示しない操作部から受信した場合や、前回の回復処理から所定時間が経ったと判断した場合には、ノズル30の回復処理を実行する。なお、非回復処理時となる印刷時や待機時には、メンテナンスポンプ61の押圧ローラー63,64は吐出位置に位置すると共に、流路弁60は開弁されているものとする。
【0045】
さて、まず制御部67は、流路弁60を閉弁させると共に、移動機構65を駆動させることにより押圧ローラー63,64を吸引位置側へ移動させる。そのため、メンテナンスポンプ61は吸引駆動し、流路弁60よりも下流側からインクを緩やかに吸引する(吸引段階)。
【0046】
すなわち、例えば負圧を蓄圧すると共に、その負圧を解消して勢いよくインクを吸収した場合には、一部のノズル30及び分岐流路35からインクが上流側へ一気に吸引され、メニスカスMの位置が分岐位置PBよりも上流側まで上昇してしまう虞がある。しかし、緩やかに吸引するほど、記録ヘッド26の端部に形成されたノズル30では、メニスカスMを移動させにくくなる。そのため、吸引速度は記録ヘッド26の形状や各ノズル30からメンテナンスポンプ61までの流路抵抗に応じ、各ノズル30内のメニスカスMを分岐流路内で移動可能な程度に設定され、本実施形態では、例えば0.01cc/秒〜0.0001cc/秒でインクを吸引する。
【0047】
また、メンテナンスポンプ61の吸引駆動時において制御部67は、用紙12に対してインクを噴射して印刷を施す第1の加圧様式よりも、ノズル30からのインクの噴射量の少ない第2の加圧様式で圧電素子40を複数回に亘り駆動する。すると、振動板39を介して圧電素子40の振動がキャビティ37内のインクに伝達されるため、キャビティ37内のインクはより移動しやすくなる。ただし、第2の加圧様式は、ノズル30からのインクの噴射を伴わない程度に圧電素子40を駆動する様式とするのが好ましい。
【0048】
さらに、メンテナンスポンプ61の吸引駆動に伴って吸引されるインクの量は、複数の連通流路38の合計容積よりも少ないため、図5(a)に示すように連通流路38に位置するメニスカスMは、連通流路38内において衝撃を受けて振動し、その位置が移動するようになっている。一方、図3に示すように、キャビティ37及びノズル30にインクが充填されてノズル開口44付近にメニスカスMが位置するノズル30では、図5(b)に示すようにメニスカスMの位置が上昇する。
【0049】
ところで、チューブ62内にインクを吸引した状態で維持すると、インク流路32及びリザーバ36内に圧力分布が発生し、一部のノズル30でメニスカスMの位置が下降してしまう虞がある。そのため、制御部67は、移動機構65を駆動制御して押圧ローラー63,64を吸引位置まで移動させると、それに連続して該押圧ローラー63,64を吐出位置へ移動させる。すなわち、連続とは、メンテナンスポンプ61が吸引駆動してから部分的なメニスカスMの移動が生じる前であり、メンテナンスポンプ61は、吸引駆動と吐出駆動とを連続して行う。なお、メニスカスMが下降しているか否かは、例えばノズル形成面26a〜29aに吸収部材を当接させ、該吸収部材にインクが付着するか否かによって判断することができる。
【0050】
さて、制御部67は、流路弁60を開弁させると共に、メンテナンスポンプ61が吐出駆動するように移動機構65を制御し、先の吸引駆動に伴ってインク流路32内から吸引したチューブ62内のインクをチューブ62内から押し出してインク流路32へ吐出する(吐出段階)。ただし、インク流路32においてメンテナンスポンプ61が接続された変圧位置PHよりも上流側には、一方向弁51が設けられているため、吐出されたインクは下流側へ供給される。すなわち、一方向弁51は、下流側が減圧した場合に貯留室52と圧力室53とが連通するようになっているため、下流側が加圧された場合には一方向弁51よりも上流側への加圧力の伝達が抑制されている。したがって、図5(b)に示すように、メンテナンスポンプ61の吸引駆動に伴って上昇したメニスカスMは、図3に示すように、その位置を下降させてノズル開口44付近へ移動する。
【0051】
一方、図5(a)に示すように、連通流路38内に位置するメニスカスMは、メンテナンスポンプ61の吸引駆動に伴って衝撃が与えられて移動しやすい状態とされているため、メンテナンスポンプ61が吐出駆動されるとキャビティ37内へ移動する。すると、毛細管力によってキャビティ37及びノズル30内にインクが供給され、メニスカスMは、図3に示すように、その位置をノズル開口44まで下降させる。
【0052】
なお、上昇していたメニスカスMが下降すると、インクカートリッジ31側からインクが供給される。すなわち、一方向弁51よりも下流側では、インクの総量が変化しない状態で上昇していたメニスカスMが下降するため、インク流路32内は減圧される。したがって、減圧が一方向弁51の圧力室53に伝達されると、フィルム57が圧力室53側へ撓み変形し、弁体56がばね55の付勢力に抗して開弁位置に移動することにより、インクカートリッジ31側となる貯留室52から圧力室53へインクが流入する。そして、インク流路32内の減圧が解消させると、ばね55の付勢力により弁体56が閉弁位置に移動し、インクの供給を中断する。
【0053】
さらに、制御部67は、移動機構65を制御して押圧ローラー63,64を吐出位置まで移動させると、続いて押圧ローラー63,64を吸引位置側へ移動させ、メンテナンスポンプ61を吸引駆動と吐出駆動を交互に複数回実行する。
【0054】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)メンテナンスポンプ61が吸引駆動すると、インク流路32内における開閉位置PKよりも下流側のインクが変圧位置PHから吸引されることにより、インクのメニスカスMの位置はノズル開口44から上流側へ向かう方向に移動する。そして、メンテナンスポンプ61が吸引駆動してメニスカスMの位置が上流側に移動したインクは、その後にメンテナンスポンプ61が吐出駆動してインク流路32内に変圧位置PHからインクが吐出されると、その吐出圧を受けてメニスカスMの位置がノズル開口44側となる下流側に移動する。そして、その後にノズル30の毛管力が作用することによりインクのメニスカスMの位置がノズル開口44付近の適正な位置へと容易に変化してノズル30の回復処理は完了する。このように、ノズル30の回復処理に際しては、ノズル開口44から外側にインクを排出させることなく、インクのメニスカスMの位置を適正な位置に移動させることができる。したがって、インクの消費を抑制してノズル30の回復処理を行うことができる。
【0055】
(2)インクのメニスカスMの位置は、そのメニスカスMが形成されるインク流路32の流路断面積が小さいほど移動しにくい。その点、インク流路の中にキャビティ37よりも流路断面積が小さな連通流路38を設けているため、メニスカスMの移動をキャビティ37と連通流路38との境界付近で停止させることができる。したがって、分岐位置PBよりも上流側まで気泡が混入する虞を低減することができる。
【0056】
(3)流路弁60よりも下流側のインクがノズル30に供給されてメニスカスMが下降すると、その下降分だけインク流路32内は減圧される。そして、この減圧に伴い一方向弁51を介して上流側からインクが下流側に供給される。すると、インクが供給されてインク流路32内の減圧が解消されるため、一方向弁51を介したインクの供給が中断される。したがって、インクが過剰に供給されてノズル30から排出されるのを抑制すると共に、インク流路32内の圧力を容易に調整することができる。
【0057】
(4)ノズル30内のインクは、圧電素子40の駆動に応じて振動するため、そのメニスカスMの位置が移動しやすい状態となる。一方、圧電素子40よりも上流側までメニスカスMの位置が上昇しているノズル30では、圧電素子40が駆動されても影響を受けにくい。したがって、メニスカスMの位置が上昇したノズル30では、メニスカスMの位置が正常なノズル30に比べてメニスカスMの位置が移動しにくい状態になる。そのため、メニスカスMの位置が上昇しすぎてしまう虞を低減することができる。また、圧電素子40は第1の加圧様式よりも噴射量の少ない第2の加圧様式で駆動されるため、インクの排出量を低減することができる。
【0058】
(5)1回の吸引段階と吐出段階で回復させることができなかったノズル30がある場合でも、複数回繰り返すことによってノズル30の状態を回復することができる。すなわち、先に回復したノズル30においてもインクの消費が抑制されるため、吸引段階と吐出段階とを複数回行うことによって、インクの消費を抑制しつつ回復確率を高めることができる。
【0059】
(6)メンテナンスポンプ61がインクを吸引した吸引状態を維持すると、インク流路32内には圧力分布が発生し、メンテナンスポンプ61から離れたノズル30ほどメニスカスMが下降しやすくなることがある。その点、メンテナンスポンプ61が吸引駆動された後、連続して吐出駆動を行うため、部分的なメニスカスMの移動を抑制することができる。
【0060】
(7)メンテナンスポンプ61の負圧を蓄圧して勢いよく吸引すると、メニスカスMがリザーバ36まで上昇し、リザーバ36に気泡が混入してしまう虞がある。その点、メンテナンスポンプ61を駆動した吸引力をノズル30もしくは分岐流路35内に充填されたインクに直接伝達することにより、メニスカスMの移動範囲を制限し、リザーバ36への気泡の混入を抑制することができる。
【0061】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、メンテナンスポンプ61を吐出駆動させた後、吸引駆動させる場合には、連続して駆動せずに、間を空けて吸引駆動するようにしてもよい。すなわち、メンテナンスポンプ61が吐出駆動した場合には、インク流路32内の圧力状態が安定しているため、毛管現象によるメニスカスMの下流側への移動を許容することができる。
【0062】
・上記実施形態において、1回の吸引駆動及び吐出駆動によってノズル30の回復処理を行うようにしてもよい。すなわち、例えばメニスカスMの上昇しているノズル30が少ない場合には、吸引駆動と吐出駆動の回数が少なくてもノズル30の回復処理を行うことができる。また、吸引駆動と吐出駆動とを1回ずつ行うごとに、ノズル30が回復しているか否かを判断し、回復していないノズル30がある場合に再びノズル30の回復処理を実行するようにしてもよい。
【0063】
・上記実施形態において、メンテナンスポンプ61の吐出駆動時にも圧電素子40を駆動させてもよく、また吸引駆動時に駆動させずに吐出駆動時にのみ駆動させるようにしてもよい。また、メンテナンスポンプ61の駆動時に圧電素子40を駆動させないようにしてもよい。
【0064】
・上記実施形態において、噴射手段は、インクを加熱して気化させることによりノズル30からインクを噴射させるヒーター素子としてもよい。
・上記実施形態において、圧電素子40の加圧様式をメンテナンスポンプ61の駆動中に変化させてもよい。例えば、吸引駆動のし始めは、メニスカスMがノズル開口44付近に位置するため、第2の加圧様式で駆動する。しかし、押圧ローラー63,64が吸引位置に近づくと、メニスカスMは上昇しているため、第1の加圧様式で駆動してもノズル30からのインクの噴射は抑制される。したがって、押圧ローラー63,64の移動に伴ってキャビティ37の変化量を大きくするように加圧様式を変化させてもよい。また、メンテナンスポンプ61が吐出駆動する場合には、押圧ローラー63,64の移動に伴ってキャビティ37の変化量を小さくするように加圧様式を変化させてもよい。キャビティ37の変化が大きいほどインクは移動しやすくなるため、ノズル30からのインクの消費を抑制してインクを移動しやすくすることができる。
【0065】
・上記実施形態において、一方向弁51を設けない構成としてもよい。なお、一方向弁51を設けない場合には、メンテナンスポンプ61の吐出駆動時に流路弁60を閉弁状態としておくのが好ましい。すなわち、流路弁60を閉弁した状態でメンテナンスポンプ61を吐出駆動することにより、インクカートリッジ31側へのインクの逆流を抑制してノズル30へインクを供給することができる。また、一方向弁51の有無に関わらず、流路弁60を閉弁した状態で吐出駆動するようにしてもよい。
【0066】
・上記実施形態において、インク流路32において、一方向弁51を開閉位置PKと変圧位置PHとの間となる位置に設けてもよい。すなわち、一方向弁51よりも上流側に位置する流路弁60を閉弁した状態でメンテナンスポンプ61を吸引駆動することにより、一方向弁51が開弁しても流路弁60よりも上流側からのインクは供給されず、ノズル30側からインクが吸引される。一方、メンテナンスポンプ61が吐出駆動された場合には、一方向弁51が閉弁するため、ノズル30側へインクが供給される。したがって、ノズル30側から吸引したインクをノズル30側へ供給することができるため、ノズル30からのインクの排出を抑制して回復処理を行うことができる。
【0067】
・上記実施形態において、キャビティ37と連通流路38の流路断面積を同じとしてもよい。また、流路断面積の異なる複数の流路を連通させて分岐流路を構成してもよい。すなわち、流路断面積の小さな流路を複数設けることにより、リザーバ36への気泡の混入を抑制することができる。
【0068】
・上記実施形態において、メンテナンスポンプ61をリザーバ36に接続し、リザーバ36内のインクを吸引及び吐出するようにしてもよい。すなわち、第3の位置としての分岐位置PBと第4の位置としての変圧位置PHを同じ位置としてもよい。
【0069】
・上記実施形態において、メンテナンスポンプ61は、ピストンポンプや、ダイアフラムを変位させてポンプ室の容積を変更するダイアフラムポンプとしてもよい。また、インク収容室を有するギヤポンプやベーンポンプとし、吸引駆動する場合にはインク流路32からインク収容室へインクを移動させ、吐出駆動する場合にはインク収容室からインク流路32へインクを移動させるようにしてもよい。
【0070】
・上記実施形態において、メンテナンスポンプ61が吐出駆動時に吐出するインクの量は、吸引駆動時に吸引するインクの量よりも少なくしてもよい。すなわち、移動を始めたメニスカスは、毛細管現象によって移動し、一方向弁51を介して不足したインクが供給される。そのため、メンテナンスポンプ61によって強制的に供給するインクの量を減らすことにより、ノズル30からのインクの漏れ出しを抑制することができる。また、吸引量と吐出量を異ならせるための構成としては、メンテナンスポンプ61の一端をインク流路32における一方向弁51よりも上流側に接続し、余剰インクを一方向弁51よりも上流側に吐出するようにしてもよい。
【0071】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
11…プリンター(液体噴射装置)、12…用紙(ターゲット)、30…ノズル、31…インクカートリッジ(液体供給源)、32…インク流路(液体供給流路)、35…分岐流路、36…リザーバ(液体供給流路)、37…キャビティ(第1の流路)、38…連通流路(第2の流路)、40…圧電素子(噴射手段)、51…一方向弁、60…流路弁、61…メンテナンスポンプ(ポンプ)、67…制御部(制御手段)、PH…変圧位置(第1の位置)、PK…開閉位置(第2の位置)、PB…分岐位置(第3の位置)、PT…調圧位置(第4の位置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する複数のノズルと、
液体供給源側となる上流側から前記ノズル側となる下流側に向けて前記液体を供給する液体供給流路と、
該液体供給流路における第1の位置から該液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記第1の位置から前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプと、
前記液体供給流路における前記第1の位置よりも上流側となる第2の位置に前記液体供給流路内を開閉可能に設けられた流路弁と、
前記ポンプと前記流路弁との駆動を制御して前記ノズルの回復処理を行う制御手段とを備え、
該制御手段は、前記流路弁を閉弁させた状態で、前記ポンプを吸引駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側から前記液体を吸引させた後に、前記ポンプを吐出駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側へ前記液体を吐出させることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記液体供給流路は、該液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側となる第3の位置から前記各ノズルに対応して分岐した複数の分岐流路を有し、
該複数の分岐流路は、各分岐流路を構成する第1の流路と該第1の流路よりも断面積が小さな第2の流路とを含み、
該第1の流路及び第2の流路のうち、前記第1の流路が前記ノズルにそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
下流側の減圧に応じて上流側から下流側への前記液体の通過を許容する一方向弁を前記液体供給流路における前記第2の位置よりも上流側となる第4の位置に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記液体供給流路内の前記液体を加圧して前記ノズルから前記液体を噴射させる噴射手段を備え、
前記制御手段は、前記ポンプの駆動時において、前記ノズルから前記液体を噴射してターゲットに付着させる第1の加圧様式よりも前記ノズルからの前記液体の噴射量の少ない第2の加圧様式で前記噴射手段を駆動させることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
液体を噴射する複数のノズルと、液体供給源側となる上流側から前記ノズル側となる下流側へ前記液体を供給する液体供給流路とを備える液体噴射装置におけるノズルの回復方法において、
前記液体供給流路における第1の位置から該液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記第1の位置から前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプを、前記第1の位置よりも上流側の第2の位置に設けられた流路弁を閉弁させた状態で吸引駆動し、前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側から前記液体供給流路内の前記液体を吸引する吸引段階と、
前記流路弁を閉弁させた状態で前記ポンプを吐出駆動し、前記液体供給流路における前記第2の位置よりも下流側へ前記吸引段階で吸引した前記液体を吐出する吐出段階と
を備えることを特徴とする液体噴射装置におけるノズルの回復方法。
【請求項6】
前記吸引段階と前記吐出段階とを交互に複数回行うことを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置におけるノズルの回復方法。
【請求項7】
前記吸引段階と前記吐出段階とを連続して行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の液体噴射装置におけるノズルの回復方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−148270(P2011−148270A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13450(P2010−13450)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】