説明

液体噴射装置及び液体噴射装置のクリーニング方法

【課題】使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更することによって、必要十分な量のインクを使用して定期フラッシングを実施することができる液体噴射装置等を提供すること。
【解決手段】クリーニングの回数と液体を噴射したターゲット29の枚数とに基づいて、1回のクリーニング回数に対応する液体を噴射したターゲット29の枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する平均吐出不良枚数算出手段74と、ターゲット29が位置しない非画像記録領域において、液体噴射ヘッド30のノズル開口から液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、平均吐出不良枚数に基づいて、定期フラッシング手段による液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更手段と、を有することを特徴とする液体噴射装置10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射装置および液体噴射装置のクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターゲットに対して液体を噴射させる液体噴射装置として、記録ヘッドから記録媒体に対してインク滴を噴射させて印刷を行うインクジェット式記録装置がある。このインクジェット式記録装置は、記録ヘッドのノズルから記録媒体に対して微小なインク滴を吐出させて、所望の文字や図形等の画像を記録する。
ところが、画像の記録中に、使用頻度が少ないノズルにおいてはインクの粘度が増加する等の原因によって、上述のノズルからインク滴が適切に吐出されず、画像が正しく記録されない部分(以後、ドット抜けと呼ぶ)が発生する等の吐出不良を生じる場合がある。
そこで、インクジェット式記録装置は、定期的に画像記録領域外でノズルからインクを吐出する定期フラッシングを実施している。これにより、ノズルを新しいインクで満たすことができる。
そして、上述の定期フラッシングで使用するインクを節約するために、各ノズル毎に画像記録のために使用するインクの吐出回数を記録し、吐出回数が少ないノズルに限定して定期フラッシングを実施する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開昭63−252748号公報(図4等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、ノズルの数が多く例えば、1000を超える場合には、上述のように各ノズルごとに画像記録のために使用するインクの吐出回数を記録することは、その吐出回数の記録のための大きな記憶容量が必要であり、また、インクジェット式記録装置の処理の負荷も過大となる場合があるという問題がある。
【0004】
そこで本発明は上記課題を解消し、使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更することによって、必要十分な量のインクを使用して定期フラッシングを実施することができる液体噴射装置および液体噴射装置のクリーニング方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的は、本発明にあっては、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、を有する液体噴射装置であって、前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数を記録するクリーニング回数記録手段と、前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を記録するターゲット枚数記録手段と、前記クリーニングの回数と前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数とに基づいて、1回のクリーニング回数に対応する前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する平均吐出不良枚数算出手段と、前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、前記平均吐出不良枚数に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更手段と、を有することを特徴とする液体噴射装置により、達成される。
【0006】
このような構成によって、前記液体噴射装置は、前記平均吐出不良枚数を算出することができ、さらに、前記平均吐出不良枚数に基づいて、前記定期吐出の条件を変更することができる。前記平均吐出不良枚数は、前記クリーニングの回数と前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数という使用条件に基づいて算出されている。
ここで、前記クリーニング手段による前記クリーニングは前記噴射不良の回復のために実施され、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期的な吐出は前記噴射不良の予防のために実施される。
したがって、前記平均吐出不良枚数が多いほど、すなわち、前記クリーニング1回あたりの前記ターゲットの枚数が多いほど、印字効率が良いことを意味する。そして、印字効率が十分に良いのであれば、前記定期フラッシング手段による前記液体の吐出量に余裕がある可能性があるから、前記定期フラッシング手段による前記液体の吐出量を減らすなどの制御をすることで、前記液体の節約をすることができる。
ここで、前記液体噴射装置が記録するデータは、前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数と前記クリーニングの回数であり、各前記ノズル毎の吐出回数を記録する場合に比べて、非常に少ないデータ量で足りる。そして、前記平均吐出不良枚数を算出する処理は例えば、前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を前記クリーニングの回数で除するという単純な処理でよいから、前記液体噴射装置の処理負担が非常に少ない。
これにより、前記液体噴射装置は、データの記憶量及び処理負担を過大にすることなく、使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更することによって、必要十分な量の前記液体を使用して定期フラッシングを実施することができる。
【0007】
本発明では、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外であるときは、前記定期吐出の間隔時間を現在の設定よりも短くする構成となっていることが望ましい。
前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲外であるということは、前記クリーニング一回あたりの前記ターゲットの枚数が規定数よりも少なく、前記クリーニングの回数が規定回数よりも多いということを意味する。そして、前記クリーニングの回数が多いということは、前記液体噴射ヘッドのノズルからの前記液体の噴射が正常に行われている時間が短いということである。これは、前記クリーニングを頻繁に実施する必要があり、前記液体噴射装置の印字効率が悪いことを意味する。
この点、このように構成することで、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲外であるときは、前記定期吐出の間隔時間を現在の設定よりも短くすることができる。このため、前記定期フラッシングの実施回数が増加するから前記噴射不良を効果的に防止でき、前記クリーニングの回数が規定回数よりも多くなることを未然に防止することができる。これにより、前記液体噴射ヘッドのノズルから前記液体の噴射が正常に行われる時間を長くすることができ、印字効率を改善することができる。
【0008】
本発明では、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲内であるときは、前記定期吐出の間隔時間を現在の設定よりも長くする構成となっていることが望ましい。
前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲内であるということは、前記クリーニング一回あたりの前記ターゲットの枚数が規定量よりも多く、前記クリーニングの回数が規定回数よりも少ないということを意味する。そして、前記クリーニングの回数が少ないということは、前記液体噴射ヘッドのノズルからの前記液体の噴射が正常に行われている時間が規定時間よりも長いということである。これは、前記定期吐出による吐出状態の改善が頻繁に実施されており、前記定期吐出の回数が不必要に多い場合があるということを意味する。
この点、このように構成することで、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲内であるときは、前記定期吐出の間隔時間を現在の設定よりも長くすることができるから、前記定期吐出の回数が不必要に多くなることを未然に防止し、前記定期吐出による前記液体の消費を節約することができる。
【0009】
本発明では、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外であるときは、前記定期吐出の前記液体の吐出量を現在の設定よりも多くする構成となっていることが望ましい。
このように構成することで、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外であるときは、前記定期吐出の前記液体の吐出量を現在の設定よりも多くすることができるから、前記クリーニングの回数が規定回数よりも多くなることを未然に防止し、前記液体噴射ヘッドのノズルから前記液体の噴射が正常に行われる時間を長くすることができ、印字効率を改善することができる。
【0010】
本発明では、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲内であるときは、前記定期吐出の前記液体の吐出量を現在の設定よりも少なくする構成となっていることが望ましい。
このように構成することで、前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲内であるときは、前記定期吐出の吐出量を現在の設定よりも少なくすることができるから、前記定期吐出の吐出量が不必要に多くなることを未然に防止し、前記定期吐出による前記液体の消費を節約することができる。
【0011】
上記目的は、本発明にあっては、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、を有する液体噴射装置が、前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数を記録するクリーニング回数記録ステップと、前記液体噴射装置が、前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を記録するターゲット枚数記録ステップと、前記液体噴射装置が、前記クリーニングの回数と前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数とに基づいて、1回のクリーニング回数に対応する前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する平均吐出不良枚数算出ステップと、前記液体噴射装置が、前記平均吐出不良枚数に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更ステップと、を有することを特徴とする液体噴射装置のクリーニング方法によって達成される。
【0012】
このように構成することで、前記液体噴射装置は、データの記憶量及び処理負担を過大にすることなく、使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更することによって、必要十分な量の前記液体を使用して定期フラッシングを実施することができる。
【0013】
上記目的は、本発明にあっては、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、を有する液体噴射装置であって、前記噴射不良検出手段が、前記噴射不良を検出した回数を記録する噴射不良検出回数記録手段と、前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を記録するターゲット枚数記録手段と、前記噴射不良を検出した回数と前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数とに基づいて、1回の前記噴射不良を検出した回数に対応する前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する平均吐出不良枚数算出手段と、前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、前記平均吐出不良枚数に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更手段と、を有することを特徴とする液体噴射装置によって達成される。
【0014】
前記クリーニングは、前記噴射不良検出手段が、前記噴射不良を検出したときに実施される。すなわち、前記クリーニングの回数は、前記噴射不良検出手段が前記噴射不良を検出した回数に等しい。これは、前記平均吐出不良枚数は、前記クリーニング回数を使用して算出しても、前記噴射不良検出手段が前記噴射不良を検出した回数を使用しても、同じ値となることを意味する。
したがって、このように構成することで、前記液体噴射装置は、データの記憶量及び処理負担を過大にすることなく、使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更することによって、必要十分な量の前記液体を使用して定期フラッシングを実施することができる。
【0015】
上記目的は、本発明にあっては、ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、を有する液体噴射装置であって、前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数を記録するクリーニング回数記録手段と、前記ターゲットに対して前記液体を噴射した累積噴射時間を記録する累積噴射時間記録手段と、前記クリーニングの回数と前記累積噴射時間とに基づいて、1回のクリーニング回数に対応する前記累積噴射時間を算出する平均累積噴射時間算出手段と、前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、前記平均累積噴射時間に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更手段と、を有することを特徴とする液体噴射装置によって達成される。
【0016】
前記累積噴射時間は、前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数に比例する。
したがって、1回の前記クリーニング回数に対応する前記累積噴射時間と、1回のクリーニング回数に対応する前記ターゲットの枚数も、比例する関係にある。これは、前記定期フラッシング条件を変更するために、前記平均吐出不良枚数を使用しても、前記平均累積噴射時間枚数を使用しても、同等の効果を有することを意味する。
したがって、このように構成することで、前記液体噴射装置は、データの記憶量及び処理負担を過大にすることなく、使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更することによって、必要十分な量の前記液体を使用して定期フラッシングを実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の液体噴射装置の第1の実施形態であるインクジェット式記録装置10等を示す概略図である。
図1に示すインクジェット式記録装置10は、インクジェットプリンタとも呼んでおり、ターゲットの一例である用紙29に、画像等を記録するための装置である。インクジェット式記録装置10は、本体部1を有している。この本体部1は、ガイドレール17、プラテン12、キャリッジ14、インク吸引装置20、記録ヘッド30を備えている。記録ヘッド30は、用紙29に対して液体の一例であるインクを噴射する液体噴射ヘッドの一例であり、印刷ヘッドとも言う。
【0018】
図1に示すインクジェット式記録装置10は、いわゆるオンキャリッジ型の記録装置であり、キャリッジ14の上部には、複数のインクカートリッジ2,3,4及び5が着脱可能に装着されている。インクカートリッジ2等には、インクが格納されている。キャリッジ14の下部には、記録ヘッド30が設けられている。記録ヘッド30が、用紙29に対面するノズルプレート面30aには、インクを噴射(以後、吐出とも呼ぶ)するためのノズル開口(図示せず)が設けられている。
【0019】
キャリッジ14は、ベルト15を介してモータ16に接続されている。モータ16が作動することによって、キャリッジ14はガイドレール17に沿ってプラテン12の軸方向である主走査方向Tに往復走行する。記録ヘッド30からインクを吐出しつつ、キャリッジ14が主走査方向Tに往復走行することで、用紙29上に画像が記録される。
【0020】
ガイドレール17の一方の端部には、ホームポジション18が位置している。このホームポジション18は、キャリッジの走行経路の末端にあって、用紙29が位置しない非画像記録領域である。このホームポジション18には、本体部1の上にインク吸引装置20が配置されている。このインク吸引装置20は、キャッピングシステムもしくはキャッピング手段とも呼んでいる。図1のキャリッジ14に配置された記録ヘッド30は、T1方向に沿ってホームポジション18に移動することで、インク吸引装置20のキャップ本体21に対面する。そして、キャップ本体21は、記録ヘッド30のノズルプレート面30aに密着する。
【0021】
インク吸引装置20は、記録ヘッド30に密着した状態で、記録ヘッド30のノズル開口のインクの乾燥を防止する機能と、吸引ポンプ19からの負圧をノズル開口に作用させてノズル開口からインクを強制的に吸引して排出させる機能を備える。すなわち、インク吸引装置20は、記録ヘッド30のノズル開口からインクを吸引することによって記録ヘッド30からインクが正常に噴射されない状態である噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段の一例である。
吸引ポンプ19は、インク吸引装置20を構成する一構成要素である。
この他に、インク吸引装置20の横には、ワイピング部材23が設けられている。このワイピング部材23は、必要に応じて記録ヘッド30のノズルプレート面30aのインクを払拭する。
なお、本実施の形態とは異なり、クリーニングに際しては、吸引ポンプ19からの負圧によって記録ヘッド30からインクを吸引する動作ではなくて、記録ヘッド30からインクを吐出してもよい。この場合、記録ヘッド30もまた、クリーニング手段の一構成要素である。
【0022】
ガイドレール17のホームポジション18と反対側の端部には、フラッシングポジション32が位置している。このフラッシングポジション32もまた、非画像記録領域である。
記録ヘッド30は、このフラッシングポジション32又は上述のホームポジション18において、印字動作中に定期的にノズル開口からインクを吐出する定期フラッシングを実施する。定期フラッシングによって、ノズル開口からのインクの吐出状態を維持している。すなわち、記録ヘッド30は、定期フラッシング手段の一例でもある。
【0023】
図1に示すように、キャリッジ14には吐出不良検出装置8が配置されている。この吐出不良検出装置8は、記録ヘッド30からインクが正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段の一例である。
図2は、吐出不良検出装置8の構成の一例を示す概略断面図である。
図3は、テストパターン等の一例を示す図である。図3(a)は、テストパターンを示し、図3(b)及び図3(c)は用紙29に印刷された記録パターン像を示している。
【0024】
吐出不良検出の指令を受けたインクジェット式記録装置10は、記録ヘッド30からインクを吐出して、用紙29上に、図3(a)に示す、あらかじめ定められたテストパターンPT1に基づいて印刷を行う。
【0025】
次に、吐出不良検出装置8で、用紙29上に実際に印刷されたテストパターン像を読み取る。具体的には、図2に示す、光源8aからの照明光をレンズ8bで略平行光にして用紙29を照明し、印刷されたテストパターン像PT11の像はレンズ8cによってCCD素子8dに投影される。
【0026】
CCD素子8dに投影されたテストパターン像を図示しないテストパターン像解析部で解析し、図3(b)のPT2のように、図3(a)のテストパターンPT1と同じであれば、吐出不良はないと判断する。テストパターン解析部は、図3(c)のPT3のように、図3(a)のテストパターンと比較して、欠落部116があれば、その欠落部116に対応するノズル開口においてドット抜け等の吐出不良があると判断する。
【0027】
なお、本実施の形態とは異なり、吐出不良検出装置として、記録ヘッド30の各ノズル開口から吐出されるインクにそれぞれ、直接に赤外線等の光を照射し、インクがその光をさえぎるか否かを検出することによって、吐出不良を検出する構成としてもよい。すなわち、光がさえぎられれば、検出対象のノズル開口からインクが正常に吐出されていると判断し、光がさえぎられなければ、検出対象のノズル開口からインクが正常に吐出されておらず、ドット抜け等の吐出不良があると判断する構成としてもよい。
【0028】
なお、図1の実施形態では、複数のインクカートリッジ2,3,4及び5が、キャリッジ14の上に直接搭載されているが、これに限らずインクカートリッジ2等がキャリッジ14とは別の位置に搭載されている、いわゆるオフキャリッジ型のインクジェット式記録装置を採用しても勿論構わない。
【0029】
図4は、インクジェット式記録装置10の電気的な接続例を示す図である。
インクジェット式記録装置10の制御装置7は、ローカルプリンタケーブルまたは通信ネットワークを介してホストコンピュータ80のプリンタドライバ81に接続されている。プリンタドライバ81は、インクジェット式記録装置10に対して印刷やクリーニング動作あるいはインク吸引動作を実行させるためのコマンドを送るソフトウェアを搭載している。
【0030】
図4に示すインクジェット式記録装置10は、制御装置7の他に、吐出不良検出装置8、インク吸引装置20、インクカートリッジ2,3,4及び5、記録ヘッド30、キャリッジ駆動装置25を含んでいる。キャリッジ駆動装置25は、図1のモータ16である。
【0031】
図4に示すように、制御装置7は、各種情報を記憶する記憶部72、各種演算を実施する計算部74及び、クリーニングを制御するCL制御部76を含む。
【0032】
記憶部72は、インク吸引装置20等による上述のクリーニングの回数を記録している。すなわち、記憶部72は、クリーニング回数記録手段の一例である。なお、ここで言うクリーニング回数は、一定時間経過後に自動的に実施されるクリーニングや、インクカートリッジ2等の交換時に自動的に実施されるクリーニングは除外し、吐出不良時にインクジェット式記録装置10の使用者(図示せず)によって実施されるマニュアルクリーニングを意味する。
なお、本実施の形態とは異なり、クリーニング回数の替わりに、ドット抜けを検出した回数を使用してもよい。
【0033】
記憶部72は、また、インクを噴射した用紙29の数を記録している。すなわち、記憶部72は、ターゲット枚数記録手段の一例でもある。
記憶部72は、また、定期フラッシングの条件(以後、定期フラッシング条件と呼ぶ)を記憶している。
【0034】
図5は、定期フラッシング条件の一例を示す図である。
図5に示すように、定期フラッシング条件に示される間隔時間は例えば、9秒(s)である。これは、記録ヘッド30からインクを吐出して用紙29に画像等を記録する画像記録動作中において、9秒(s)が経過すると、ホームポジション18又はフラッシングポジション32において、定期フラッシングを実施することを意味する。
ところが、この9秒(s)という間隔時間の設定は、使用環境条件として想定されるワースト条件により設定される。この場合、インクが乾燥し易い高温低湿である例えば、摂氏40度(℃)、湿度10パーセント(%)程度における条件となるので、例えば、多湿状態などでインクが乾燥しにくい場合には、上述の間隔時間を変更する方が、インクジェット式記録装置10による画像等の記録の効率が良くなる場合がある。
この点、インクジェット式記録装置10は、以下の動作例で説明するように、間隔時間を現在の設定から、図5の規定変更時間である例えば、1秒(s)だけ変更する。
【0035】
以下、インクジェット式記録装置10の動作例について説明する。
図6、図7、図8及び図9は、インクジェット式記録装置10の動作例を示す概略フローチャートである。
【0036】
インクジェット式記録装置10は、まず、印字枚数を記録する(図6のステップST1)。このステップST1は、ターゲット枚数記録ステップの一例である。
具体的には、インクジェット式記録装置10は、用紙29への画像記録が終了する都度用紙29の数を記録する。
【0037】
続いて、インクジェット式記録装置10は、クリーニング回数を記録する(ステップST2)。ステップST2は、クリーニング回数記録ステップの一例である。
【0038】
続いて、インクジェット式記録装置10は、印字枚数が150枚以上であるか否かを判断する(ステップST3)。
【0039】
続いて、インクジェット式記録装置10は、クリーニング回数が0回であるか否かを判断する(ステップST4)。
【0040】
インクジェット式記録装置10の計算部74は、ステップST3において、印字枚数が150枚以上であると判断し、ステップST4において、クリーニング回数が0回ではないと判断すると、平均吐出不良枚数を算出する(ステップST5)。すなわち、計算部74は平均吐出不良枚数算出の一例であり、このステップST5は、平均吐出不良枚数算出ステップの一例である。
具体的には、図4の計算部74が、記憶部72に記録されている印字枚数及びクリーニング回数に基づいて、1回のクリーニング回数に対応する印字枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する。計算部74は例えば、印字枚数をクリーニング回数で除する計算を行う(割り算をする)。
【0041】
続いて、インクジェット式記録装置10は、平均吐出不良枚数が150枚以上か否かを判断する(ステップST6)。この150枚という数量は、許容枚数範囲の一例である。すなわち、平均吐出不良枚数が150枚以上であれは、許容枚数範囲内であり、平均吐出不良枚数が150枚未満であれば、許容枚数範囲外である。
【0042】
インクジェット式記録装置10の計算部74が、ステップST6において、平均吐出不良枚数が150枚以上であると判断した場合には、CL制御部76は、定期フラッシング条件を変更する(ステップST7)。すなわち、CL制御部76は定期フラッシング条件変更手段の一例であり、このステップST7は、定期フラッシング条件変更ステップの一例である。
ここで、吐出不良の原因は様々であるが、通常の使用環境において印刷動作を行っている場合には、インクジェット式記録装置10の外部要因による振動や、用紙29がインクジェット式記録装置10において紙詰まりを起こして、ノズル開口に当たるなどによってメニスカスが壊れることはほとんどない。そして、通常の使用環境において印刷動作を行っている場合に生じる吐出不良の原因は、インクの増粘であることが多い。従って、後述の平均吐出不良枚数によって、定期フラッシングの間隔時間や吐出量が妥当か否かの判断をすることができるのである。
なお、ステップST4において、クリーニング回数が0回の場合、印字枚数は150枚以上であり、平均吐出不良枚数は150枚以上であるとみなせるので、許容枚数範囲内であるから、やはり、ステップST7へと進む。
ステップST7の詳細について、図7を使用して説明する。
【0043】
まず、インクジェット式記録装置10は、定期フラッシングの間隔時間を現在の設定よりも1秒(S)延長する(図7のステップST101)。
続いて、インクジェット式記録装置10の記憶部72は、定期フラッシング条件変更前の平均吐出不良枚数を記録する(ステップST102)。
続いて、記憶部72は、印字枚数を0、クリーニング回数を0に設定する(ステップST103)。このステップST103は、新たな定期フラッシング条件において、印字枚数等を記録するための初期化の処理である。
インクジェット式記録装置10は、定期フラッシング条件を変更すると(図6のステップST7)、用紙29への印字を実行する過程において、定期フラッシングを実行する(ステップST8)。このステップST8の詳細について、図8を使用して説明する。
【0044】
まず、インクジェット式記録装置10は、各パス終了後の定期フラッシングタイマが間隔時間を超えているか否かを判断する(図8のステップST201)。ここで、パスとは、図1の矢印T方向への往復移動をする記録ヘッド30が、用紙29の一方の端部から他方の端部に移動することを言う。すなわち、矢印T方向への往復移動において、行き又は帰りの移動のことである。そして、定期フラッシングタイマとは、印字開始又は前回の定期フラッシングからの経過時間である。
【0045】
インクジェット式記録装置10は、ステップST201において、各パス終了後の定期フラッシングタイマが間隔時間を超えていると判断すると、キャリッジ14を、フラッシングポジション32(図1参照)又はホームポジション18へ移動する(ステップST202)。インクジェット式記録装置10は、各パス終了後の、キャリッジ14の位置によって、キャリッジ14をフラッシングポジション32又は、ホームポジション18のいずれかに移動する。
【0046】
そして、インクジェット式記録装置10は、温度が摂氏15度(℃)以上か否かを判断し(ステップST203),摂氏15度(℃)以上であれば、インク吐出を72セグ(seg)実施する(ステップST204)。ここで、セグ(seg)とは、インク吐出の処理の単位であり、この処理において例えば、1セグ(seg)について25ナノグラム(ng)のインクが吐出される。
【0047】
これに対して、ステップST203において、インクジェット式記録装置10が温度が摂氏15度(℃)以上ではないと判断すると、インク吐出を36セグ(seg)実施する(ステップST205)。
すなわち、インクジェット式記録装置10は、温度が摂氏15度(℃)以上の場合の方が、温度が摂氏15度(℃)未満の場合よりも、多量のインクを吐出する。これは、温度が高い場合には、インクの溶媒が蒸発してインクの粘度が大きくなり、吐出不良の問題が発生し易いから、多量のインクを吐出する一方で、ノズルを多量の新しいインクで満たすことによって、吐出不良を防止するためである。すなわち、この摂氏15度(℃)という温度は、インクの増粘が大きくなるであろうと判断される温度閾値の一例である。
【0048】
上述の図6のステップST6において、インクジェット式記録装置10は、平均吐出不良枚数が150枚以上ではないと判断した場合には、ステップST9に進む。このステップST9の詳細について、図9を使用して説明する。
【0049】
インクジェット式記録装置10は、まず、定期フラッシング条件を変更した記録があるか否かを判断し(図9のステップST301)、定期フラッシング条件を変更した記録があると判断した場合には、定期フラッシング条件の変更後の平均吐出不良枚数が定期フラッシング条件変更前の平均吐出不良枚数以上であるか否かを判断する(ステップST302)。
続いて、インクジェット式記録装置10は、定期フラッシング条件の変更後の平均吐出不良枚数が定期フラッシング条件変更前の平均吐出不良枚数以上ではないと判断すると、定期フラッシングの間隔時間を現在の設定よりも1秒(s)短縮する(ステップST303)。
続いて、インクジェット式記録装置10は、印字枚数を0枚、クリーニング回数を0回に設定する(ステップST304)。
【0050】
上述のステップST301において、インクジェット式記録装置10が、定期フラッシング条件を変更した記録がないと判断した場合には、ステップST303以下を実行する。
また、上述のステップST302において、インクジェット式記録装置10が、定期フラッシング条件の変更後の平均吐出不良枚数が定期フラッシング条件変更前の平均吐出不良枚数以上であると判断した場合には、定期フラッシングの間隔時間を変更しない。
【0051】
上述のような構成によって、インクジェット式記録装置10は、平均吐出不良枚数を算出することができ、さらに、平均吐出不良枚数に基づいて、定期フラッシングの条件を変更することができる。平均吐出不良枚数は、クリーニングの回数とインクを噴射した用紙29の数という使用条件に基づいて算出されている。
【0052】
平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲内である例えば、150枚以上であるということは、クリーニング一回あたりの用紙29の数が規定量よりも多く、クリーニングの回数が規定回数よりも少ないということを意味する。そして、クリーニングの回数が少ないということは、記録ヘッド30のノズル開口からのインクの噴射が正常に行われている時間が規定時間よりも長いということである。これは、定期フラッシングによって吐出状態の改善が頻繁に実施されており、定期フラッシングの回数が不必要に多い可能性があるということを意味する。
【0053】
この点、インクジェット式記録装置10は、平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲内であるときは、定期フラッシングの間隔時間を長くすることができるから、定期フラッシングの回数が不必要に多くなることを未然に防止し、定期フラッシングによるインクの消費を節約することができる。
特に、平均吐出不良枚数が許容枚数範囲内である限り、定期フラッシングの間隔時間を延長することができるから、環境条件である例えば、温度だけに基づいて、定期フラッシングの間隔時間を延長する場合に比べて、一層インクの消費を節約することができる。
【0054】
ここで、インクジェット式記録装置10が記録するデータは、インクを噴射した用紙29の数とクリーニングの回数であり、ノズル毎の吐出回数を記録する場合に比べて、非常に少ないデータ量で足りる。そして、平均吐出不良枚数を算出する処理は例えば、インクを噴射した用紙29の数をクリーニングの回数で除するという単純な処理でよいから、インクジェット式記録装置10の処理負担が非常に少ない。
これにより、インクジェット式記録装置10は、データの記憶量及び処理負担を過大にすることなく、使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更することによって、必要十分な量のインクを使用して定期フラッシングを実施することができる。
【0055】
これに対して、平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外である例えば、150枚未満であるということは、クリーニング一回あたりの用紙29の数が規定数よりも少なく、クリーニングの回数が規定回数よりも多いということを意味する。そして、クリーニングの回数が多いということは、記録ヘッド30のノズル開口からのインクの噴射が正常に行われている時間が短いということである。これは、クリーニングを頻繁に実施する必要があり、インクジェット式記録装置10の印字効率が悪いことを意味する。
この点、インクジェット式記録装置10は、平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外であるときは、定期フラッシングの間隔時間を現在の設定よりも短くすることができるから、クリーニングの回数が規定回数よりも多くなることを未然に防止し、記録ヘッド30のノズル開口からインクの噴射が正常に行われる時間を長くし、印字効率を改善することができる。
しかも、平均吐出不良枚数に基づく定期フラッシングの間隔時間の変更は、継続的に実施されるから、印字効率の改善が継続的に実施される。
【0056】
以上で説明したように、インクジェット式記録装置10は、使用条件に応じて定期フラッシングの条件を変更するから、必要十分な量のインクを使用して定期フラッシングを実施することができる。
さらに、温度、湿度等の環境条件が変わった場合には、上述の平均吐出不良枚数に影響を与えるはずであるから、インクジェット式記録装置10は、温度、湿度等の環境条件が変わった場合には、その環境条件に対応して必要十分な量のインクを使用して定期フラッシングを実施することができる。
【0057】
なお、本実施の形態とは異なり、インクジェット式記録装置10は、平均不良吐出枚数ではなくて、1回のクリーニングに対する累積印字時間(平均累積噴射時間の一例)に基づいて、定期フラッシングの間隔時間を延長又は短縮するようにしてもよい。この場合、記憶部72が、累積噴射時間記録手段の一例である。そして、計算部74が、平均累積噴射時間算出手段の一例である。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態のインクジェット式記録装置10A(図1参照)について説明する。第2の実施形態のインクジェット式記録装置10Aの構成は、上記第1の実施形態のインクジェット式記録装置10と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0059】
図10は、インクジェット式記録装置10Aの記憶部72に記録されている定期フラッシング条件の一例を示す図である。
図10に示すように、インクジェット式記録装置10Aの定期フラッシング条件は、吐出量の基本設定である72セグ(seg)と、規定変更吐出量として12セグ(seg)で規定されている。
インクジェット式記録装置10Aは、以下の動作例で説明するように、平均吐出不良枚数に基づいて、定期フラッシングにおける吐出量を変更する。
【0060】
図11、図12及び図13は、インクジェット式記録装置10Aの動作例を示す概略フローチャートである。
インクジェット式記録装置10Aは、図11のステップST6において、平均吐出不良枚数が150枚以上であると判断すると、定期フラッシング条件を変更する(ステップST7A)。
このステップST7Aの詳細を図12を使用して説明する。
インクジェット式記録装置10Aは、定期フラッシングの吐出量を、図10に示す基本設定の72セグ(seg)から、規定変更吐出量の現在の設定よりも12セグ(seg)だけ減少する(図12のステップST101A)。
これにより、平均吐出不良枚数が150枚以上であり、クリーニングの間隔が十分に長く印字効率が良好である場合には、定期フラッシングの吐出量を減少することにより、インクを節約することができる。
【0061】
図11のステップST6において、インクジェット式記録装置10Aが、平均吐出不良枚数が150枚以上ではないと判断すると、ステップST9Aに進む。このステップST9Aの詳細を、図13を使用して説明する。
インクジェット式記録装置10Aは、定期フラッシング条件を変更した記録があり、定期フラッシング条件変更後の平均吐出不良枚数が定期フラッシング条件変更前の平均吐出不良枚数以上ではないと判断すると、定期フラッシングの吐出量を現在の設定よりも12セグ(seg)だけ増加する(図13のステップST304)。なお、定期フラッシングの間隔時間は例えば、9秒(s)である。
【0062】
上述のように、インクジェット式記録装置10Aは、平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外であるときは、定期フラッシングのインクの吐出量を多くする。
このため、インクジェット式記録装置10Aは、平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外であるときは、定期フラッシングのインクの吐出量を現在の設定よりも多くすることができるから、クリーニングの回数が規定回数よりも多くなることを未然に防止し、記録ヘッド30のノズル開口からインクの噴射が正常に行われる時間を長くすることができ、印字効率を改善することができる。
しかも、平均吐出不良枚数に基づく定期フラッシングのインク吐出量の変更は、継続的に実施されるから、印字効率の改善が継続的に実施される。
【0063】
本発明は、インクジェット式記録装置としての上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。さらに、上述の各実施形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。また、本発明は、インクジェット式記録装置に限らず、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置等にも適用できる。
【0064】
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
例えば、インクジェット式記録装置10又は10Aの記憶部72、計算部74及びCL制御部76の機能を、ホストコンピュータ80が有していてもよい。この場合、インクジェット式記録装置10(10A)及びホストコンピュータ80が、液体噴射装置の一例である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】インクジェット式記録装置を示す概略図である。
【図2】吐出不良検出装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【図3】テストパターン等の一例を示す図である。
【図4】インクジェット式記録装置の電気的な接続例を示す図である。
【図5】定期フラッシング条件の一例を示す図である。
【図6】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図7】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図8】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図9】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図10】定期フラッシング条件の一例を示す図である。
【図11】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図12】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図13】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
8・・・吐出不良検出装置、10,10A・・・インクジェット式記録装置、20・・・インク吸引装置、21・・・キャップ本体、30・・・記録ヘッド、30a・・・ノズルプレート面、72・・・記憶部、74・・・計算部、76・・・CL制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、
前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、
を有する液体噴射装置であって、
前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数を記録するクリーニング回数記録手段と、
前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を記録するターゲット枚数記録手段と、
前記クリーニングの回数と前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数とに基づいて、1回のクリーニング回数に対応する前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する平均吐出不良枚数算出手段と、
前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、
前記平均吐出不良枚数に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更手段と、
を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、許容枚数範囲外であるときは、前記定期吐出の間隔時間を現在の設定よりも短くする構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲内であるときは、前記定期吐出の間隔時間を現在の設定よりも長くする構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲外であるときは、前記定期吐出の前記液体の吐出量を現在の設定よりも多くする構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記定期フラッシング条件変更手段は、前記平均吐出不良枚数が、前記許容枚数範囲内であるときは、前記定期吐出の前記液体の吐出量を現在の設定よりも少なくする構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項6】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、を有する液体噴射装置が、前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数を記録するクリーニング回数記録ステップと、
前記液体噴射装置が、前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を記録するターゲット枚数記録ステップと、
前記液体噴射装置が、前記クリーニングの回数と前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数とに基づいて、1回のクリーニング回数に対応する前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する平均吐出不良枚数算出ステップと、
前記液体噴射装置が、前記平均吐出不良枚数に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更ステップと、を有することを特徴とする液体噴射装置のクリーニング方法。
【請求項7】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、
前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、
を有する液体噴射装置であって、
前記噴射不良検出手段が、前記噴射不良を検出した回数を記録する噴射不良検出回数記録手段と、
前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を記録するターゲット枚数記録手段と、
前記噴射不良を検出した回数と前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数とに基づいて、1回の前記噴射不良を検出した回数に対応する前記液体を噴射した前記ターゲットの枚数を示す平均吐出不良枚数を算出する平均吐出不良枚数算出手段と、
前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、
前記平均吐出不良枚数に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更手段と、
を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項8】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、
前記噴射不良を回復するクリーニングを行うクリーニング手段と、
を有する液体噴射装置であって、
前記クリーニング手段による前記クリーニングの回数を記録するクリーニング回数記録手段と、
前記ターゲットに対して前記液体を噴射した累積噴射時間を記録する累積噴射時間記録手段と、
前記クリーニングの回数と前記累積噴射時間とに基づいて、1回のクリーニング回数に対応する前記累積噴射時間を算出する平均累積噴射時間算出手段と、
前記ターゲットが位置しない非画像記録領域において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を定期的に吐出する定期フラッシング手段と、
前記平均累積噴射時間に基づいて、前記定期フラッシング手段による前記液体の定期吐出の条件を変更する定期フラッシング条件変更手段と、
を有することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−95816(P2006−95816A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283648(P2004−283648)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】