説明

液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法

【課題】特定の環境条件を前提にしなくても、廃液タンクの容量を有効に活用することができる液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】タイマクリーニング結果記録手段72が記録した、タイマクリーニングの回数、タイマクリーニングが成功した回数、及び、タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価手段と、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段に収容する前記液体の算定基準値を変更する液体算定基準値変更手段等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターゲットに対して液体を噴射する液体噴射装置として、記録ヘッドから記録媒体に対してインク滴を噴射させて印刷を行うインクジェット式記録装置がある。このインクジェット式記録装置は、記録ヘッドのノズルから記録媒体に対して微小なインク滴を吐出させて、所望の文字や図形等の画像を記録する。
ところが、例えば、湿度が低い環境において上述のノズルから長時間インクが吐出されていない条件のもとでは、記録ヘッドの中のインクの粘度が増加し、そのままの状態であれば、上述のノズルからインク滴が正常に吐出されず、画像が正常に記録されない部分(以後、ドット抜けと呼ぶ)が発生する等の吐出不良を生じる場合がある。
そこで、インクジェット式記録装置には、上述のノズルから直近にインクを吐出した時からの時間経過及び温度、湿度に基づいて、自動的に吐出不良を解消するためにノズルからインクを吸引する等によって増粘インクを除去するクリーニング機構を備えているものがある。
そして、上述のクリーニングによって吸引されたインク(以後、廃インクと呼ぶ)は、インクジェット式記録装置内の廃インクタンクに収容されるようになっている。この廃インクタンクの容量は、インクジェット式記録装置のスペースによって限られている。そこで、廃インクタンクの交換等によるメンテナンスを最小限度にするために、廃インクタンクの容量を有効に活用する必要がある。
この点、時間経過とともに、オーバーフローとなる基準値を変更する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−136550号公報(図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の従来技術においては、特定の環境条件(温度、湿度)を前提に、時間経過とともにインクの溶媒が大気中に揮散することに着目して、オーバーフローとなる基準値を変更している。
しかし、環境条件が設定通りとは限らないため、時間経過とともに、インクの溶媒が蒸発する量が設定量以上となることもあるし、設定量以下となることもあるから、上述の従来技術においては、廃インクタンクの容量を有効に活用できない場合があるという問題がある。
【0004】
そこで本発明は上記課題を解消し、特定の環境条件を前提にしなくても、廃液タンクの容量を有効に活用することができる液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的は、本発明にあっては、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録手段と、前記タイマクリーニング結果記録手段が記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価手段と、前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段に収容する前記液体の算定基準値を変更する液体算定基準値変更手段と、を有することを特徴とする液体噴射装置により、達成される。
【0006】
このような構成によって、前記液体噴射装置は、前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率を算出することができる。前記タイマクリーニング成功率が低い場合(又は、前記タイマクリーニング失敗率が高い場合)には例えば、前記液体噴射ヘッドの中の液体の粘度が増加していると推測することができる。この場合、前記液体収容手段の中の前記液体の粘度も増加していると推測することができる。これは、前記液体格収容段の中の前記液体の溶媒が蒸発して、前記液体の量が減少していることを意味する。すなわち、一度、前記液体収容手段に収容した前記液体が蒸発によって減少していることを意味する。
この場合、前記液体収容手段に収容する前記液体の算定基準を、例えば、0.1グラム(g)で1カウントとしていたものを、そのまま維持すると、前記液体収容手段が収容する総カウント量が一定であれば、前記液体収容手段の容量を有効に活用することができない。すなわち、前記液体が蒸発によって減少している分前記液体収容手段の容量には余裕があるから、前記液体収容手段にはより多くの前記液体を収容できるはずである。そこで
、前記液体の算定基準を例えば、0.1グラム(g)で0.8カウントとすることによって、前記液体収容手段が収容する前記液体の総カウント数が一定であれば、前記液体の蒸発によって余裕がある前記液体収容手段の容量を有効に活用することができる。
一方、前記タイマクリーニング成功率が高い場合(又は、前記タイマクリーニング失敗率が低い場合)には、前記液体の粘度が低く、前記液体収容手段の収容した前記液体の蒸発量は前記タイマクリーニング成功率が低い場合と比べて少ないことを意味する。この場合、例えば、0.1グラム(g)で1カウントとする前記液体の算定基準をそのまま維持することで、前記液体収容手段の容量を有効に活用することができる。
これにより、特定の環境条件を前提にしなくても、廃液タンクの容量を有効に活用することができる。
【0007】
上述の目的は、本発明にあっては、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録手段と、前記タイマクリーニング結果記録手段が記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価手段と、前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段の収容能力を示す収容能力算定基準値を変更する収容能力算定基準値変更手段と、を有することを特徴とする液体噴射装置によって達成される。
【0008】
上述のように、前記タイマクリーニング成功率が低い(又は、前記タイマクリーニング失敗率が高い)ということは、一度、前記液体収容手段に収納した前記液体が蒸発によって減少していることを意味する。
この場合、前記収容能力算定基準値を、例えば、0.1グラム(g)で1カウントであって、5000カウントで総カウントとし、そのまま維持すると、前記液体収容手段の容量を有効に活用することができない。すなわち、前記液体が蒸発によって減少している分、前記液体収容手段の容量には余裕があるから、前記液体収容手段にはより多くの前記液体を収容できるはずである。そこで、前記収容能力算定基準値を例えば、6500カウントとすることによって、前記液体の蒸発によって余裕がある前記液体収容手段の容量を有効に活用することができる。
一方、前記タイマクリーニング成功率が高い場合(又は、前記タイマクリーニング失敗率が低い場合)には、前記液体の粘度が低く、前記液体収容手段の収容した前記液体の蒸発量は前記クリーニング成功率が低い場合と比べて少ないことを意味する。この場合、例えば、5000カウントで総カウントとする前記液体の算定基準をそのまま維持することで、前記液体収容手段の容量を有効に活用することができる。
これにより、特定の環境条件を前提にしなくても、廃液タンクの容量を有効に活用することができる。
【0009】
上述の目的は、本発明にあっては、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、を有する液体噴射装置が、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録ステップと、前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング結果記録ステップにおいて記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価ステップと、前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段に収容する前記液体の算定基準値を変更する液体算定基準値変更ステップと、を有することを特徴とする液体噴射装置の制御方法によって達成される。
【0010】
上述の目的は、本発明にあっては、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、を有する液体噴射装置が、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録ステップと、前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング結果記録ステップにおいて記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価ステップと、前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段の収容能力を示す収容能力算定基準値を変更する収容能力算定基準値変更ステップと、を有することを特徴とする液体噴射装置の制御方法によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態であるインクジェット式記録装置10等を示す概略図である。
図1に示すインクジェット式記録装置10は、インクジェットプリンタとも呼んでいる。インクジェット式記録装置10は、本体部1を有している。この本体部1は、ガイドレール17、プラテン12、キャリッジ14、インク吸引装置20、記録ヘッド30を備えている。記録ヘッド30は、液体を噴射する液体噴射ヘッドの一例であり、印刷ヘッドとも言う。
【0012】
図1に示すインクジェット式記録装置10は、いわゆるオンキャリッジ型の記録装置であり、キャリッジ14の上部には、複数のインクカートリッジ2,3,4及び5が着脱可能に装着できる構成となっている。インクカートリッジ2等には、液体の一例であるインクが格納されている。キャリッジ14の下部には、記録ヘッド30が設けられている。記録ヘッド30が、用紙29に対面するノズルプレート面30aには、インクを噴射(以後、吐出とも呼ぶ)するためのノズル開口が設けられている。
【0013】
キャリッジ14は、ベルト15を介してモータ16に接続されている。モータ16が作動することによって、キャリッジ14はガイドレール17に沿ってプラテン12の軸方向である主走査方向Tに往復走行する。記録ヘッド30からインクを吐出しつつ、キャリッジ14が主走査方向Tに往復走行することで、記録媒体の一例である用紙29上に画像が記録される。
【0014】
ガイドレール17の一方の端部にはホームポジション18が配置されている。このホームポジション18は、キャリッジの走行経路の末端にある非印刷領域である。このホームポジション18には、インク吸引装置20が配置されている。このインク吸引装置20は、キャッピングシステムもしくはキャッピング手段とも呼んでいる。図1のキャリッジ14の記録ヘッド30は、T1方向に沿ってホームポジション18に移動することで、インク吸引装置20のキャップ本体21に対面する。そして、インク吸引装置20は、記録ヘッド30のノズル開口が設けられているノズル面30aに密着する。
【0015】
インク吸引装置20は、記録ヘッド30に密着した状態で、記録ヘッド30のノズル開口のインクの乾燥を防止する機能と、吸引ポンプ19からの負圧をノズル開口に作用させてノズル開口からインクを強制的に吸引して排出させる機能を備える。すなわち、インク吸引装置20は、記録ヘッド30のノズル開口からインクを吸引することによって記録ヘッド30のクリーニングを行う。なお、上述の吸引ポンプ19は、インク吸引装置20の一構成要素である。このインクの吸引は、インクの排出の一例である。
この他に、インク吸引装置20の横には、ワイピング部材23が設けられている。このワイピング部材23は、必要に応じて記録ヘッド30のノズルプレート30a面のインクを払拭する。
【0016】
上述のクリーニングには、画像を記録している最中に実施するクリーニングのほかに、基準時である例えば、直近のインク吐出時からの経過時間に基づいて実施されるタイマクリーニングも含む。すなわち、インク吸引装置20は、タイマクリーニング手段の一例である。このタイマクリーニングについては、後述する。
【0017】
図2は、廃インクタンク31等を示す概略図である。
図2(a)に示すように、吸引ポンプ19はチューブ27によって廃インクタンク31に接続されている。この廃インクタンク31は、本体部1(図1参照)に格納されている。そして、吸引ポンプ19によってキャップ本体21側から吸引された廃インクは、チューブ27を通って、廃インクタンク31に収容される。すなわち、廃インクタンク31は、液体収容手段の一例である。
廃インクタンク31は、例えば、500グラム(g)のインクを保持することができる。そして、廃インクタンク31は例えば、チューブ27と廃インクタンク31の接続部に配置された廃インクカウント装置(図示せず)によって、図2(b)に示す廃インクカウント値を測定するようになっている。廃インクカウント値は例えば、廃インクの重量を測定し、図2(b)に示すように、0.1グラム(g)を1カウントとするカウント値が基本設定となっている。この廃インクカウント値は液体算定基準値の一例である。
なお、後述のように、タイマクリーニングモードごとにインクの吸引量は予め決まっている(図6参照)ので、各タイマクリーニングに対応して、カウント値を予め設定してもよい。例えば、第1TCLモードの場合は、1.5グラム(g)の吸引量であるから、15カウントである。
【0018】
図1に示すように、キャリッジ14には吐出不良検出装置8が配置されている。この吐出不良検出装置8は、記録ヘッド30からインクが正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段の一例である。
図3は、吐出不良検出装置8の構成の一例を示す概略断面図である。
図4は、テストパターン等の一例を示す図である。図4(a)は、テストパターンを示し、図4(b)及び図4(c)は用紙29に印刷された記録パターン像を示している。
【0019】
吐出不良検出の指令を受けたインクジェット式記録装置10は、記録ヘッド30からインクを吐出して、用紙29上に、図4(a)に示す、あらかじめ定められたテストパターンPT1の印刷を行う。
【0020】
次に、吐出不良検出装置8で、用紙29上に実際に印刷されたテストパターン像を読み取る。具体的には、図3に示す、光源8aからの照明光をレンズ8bで略平行光にして用紙29を照明し、印刷されたテストパターン像PT11の像はレンズ8cによってCCD素子8dに投影される。
【0021】
CCD素子8dに投影されたテストパターン像を図示しないテストパターン像解析部で解析し、図4(b)のPT2のように、図4(a)のテストパターンPT1と同じであれば、吐出不良はないと判断する。テストパターン解析部は、図4(c)のPT3のように、図4(a)のテストパターンと比較して、欠落部116があれば、その欠落部116に対応するノズル開口においてドット抜け等の吐出不良があると判断する。
後述のようにタイマクリーニングは、所定の基準時からの経過時間に基づいて自動的に実施されるクリーニングであるから、タイマクリーニング後に吐出不良が発生した場合には、その原因はインクの溶媒の蒸発によるインクの粘度の増加、すなわち、増粘であると考えられる。タイマクリーニング実施前の印字中にはドット抜けがないか、ドット抜けがあったとしても、基準時以前に実施された通常のクリーニング(タイマクリーニング以外のクリーニング)によって、増粘以外の吐出不良の原因は除去されているはずである。したがって、タイマクリーニング後の吐出不良の原因は、記録ヘッド30から長期間インクが吐出されない状態が継続したために、記録ヘッド30内等のインクが増粘したためと考えられるのである。
【0022】
なお、本実施の形態とは異なり、吐出不良検出装置として、記録ヘッド30の各ノズル開口から吐出されるインクにそれぞれ、直接に赤外線等の光を照射し、インクがその光をさえぎるか否かを検出することによって、ドット抜けを検出する構成としてもよい。すなわち、光がさえぎられれば、検出対象のノズル開口からインクが吐出されていると判断し、光がさえぎられなければ、検出対象のノズル開口からインクが吐出されておらず、ドット抜けがあると判断する構成としてもよい。
【0023】
なお、図1の実施形態では、複数のインクカートリッジ2,3,4及び5が、キャリッジ14の上に直接搭載されているが、これに限らずインクカートリッジ2等がキャリッジ14とは別の位置に搭載されている、いわゆるオフキャリッジ型のインクジェット式記録装置を採用しても勿論構わない。
【0024】
図5は、インクジェット式記録装置10の電気的な接続例を示す概略図である。
インクジェット式記録装置10の制御装置7は、ローカルプリンタケーブルまたは通信ネットワークを介してホストコンピュータ80のプリンタドライバ81に接続されている。プリンタドライバ81は、インクジェット式記録装置10に対して印刷やクリーニング動作あるいはインク吸引動作を実行させるためのコマンドを送るソフトウェアを搭載している。
【0025】
図5に示すインクジェット式記録装置10は、制御装置7の他に、吐出不良検出装置8、インク吸引装置20、インクカートリッジ2,3,4及び5、記録ヘッド30、キャリッジ駆動装置25を含んでいる。キャリッジ駆動装置25は、図1のモータ16である。
【0026】
図5に示すように、制御装置7は、各種情報を記憶する記憶部72、各種演算を実施する計算部74及び、クリーニングを制御するCL制御部76、時間を計測する計時部78を含む。
記憶部72は、後述するタイマクリーニングテーブルを格納している。
【0027】
図6は、タイマクリーニングテーブル等の一例を示す図である。
図6(a)に示すように、記憶部72が格納しているタイマクリーニングテーブルは、複数の吸引モードである第1TCL(time cleaning)モード、第2TCLモード及び第3TCLモードを含むタイマクリーニングモードを含む。
図6(b)に示すように、第1TCLモードにおいては例えば、1.5グラム(g)のインクがインク吸引装置20によって吸引されることによって、記録ヘッド30のノズル開口の目詰まりが解消される。
第6TCLモードにおいては、図5(b)に示すように、第1TCLモードよりも多い例えば、2.5グラム(g)のインクがインク吸引装置20によって吸引される。
第6TCLモードにおいては、図5(b)に示すように、第2TCLモードよりも多い例えば、3.5グラム(g)のインクがインク吸引装置20によって吸引される。
【0028】
また、図6(a)に示すように、タイマクリーニングテーブルには、フラッシングモード(FL)も含まれている。フラッシングモードにおいては、印刷とは無関係に、記録ヘッド30のノズル開口から強制的にインクを吐出することによって、記録ヘッド30のノズル開口の目詰まりを解消する動作が実施される。フラッシングモードにおいては、例えば、20000セグ(seg)のインクが吐出される。なお、セグ(seg)は、吐出量を示す単位であり、例えば、1セグ(seg)は25ナノグラム(ng)である。
【0029】
図6(a)に示すように、タイマクリーニングテーブルは、第1TCLモード等が適用される時間範囲の一例であるCLタイマを含む。
フラッシングモードのCLタイマは、0時間(h)以上30時間(h)未満であり、第1TCLモードのCLタイマは例えば、30時間(h)以上82時間(h)未満であり、第2TCLモードのCLタイマは例えば、82時間(h)以上336時間(h)未満であり、第3TCLモードのCLタイマは例えば、336時間(h)以上である。
したがって、例えば、第1TCLモードは、記録ヘッド30からの直近のインク吐出時(以後、直近吐出時と呼ぶ)からの経過時間が、30時間(h)以上82時間(h)未満の場合に適用される。なお、直近吐出時は、言い換えると、記録ヘッド30から最後にインクが吐出された時である。この直近吐出時は基準時の一例である。
このように、各タイマクリーニング第1TCL等は、直近吐出時からの経過時間に基づいて実施される。
そして、記録ヘッド30から直近吐出時からの経過時間は、計時部78によって計測される。すなわち、計時部78は、直近吐出時からの経過時間を計測する計時手段の一例である。
なお、フラッシングモードにおいては、記録ヘッド30がインクを吐出する。すなわち、記録ヘッド30もまた、タイマクリーニングモードの一例の構成要素である。
なお、本実施の形態と異なり、タイマクリーニングは、上述のインク吸引装置20によるインク吸引や、記録ヘッド30からのインク吐出に限定されず、記録ヘッド30からのインクの吐出不良を回復させるための他の手段である例えば、記録ヘッド30内のインクの加圧等を含むようにしてもよい。
なお、本実施の形態とは異なり、タイマクリーニングの基準時からの経過時間は、直近吐出時からの経過時間に限らず、前回のクリーニング終了からの経過時間や、前回のフラッシング終了時からの経過時間、前回のクリーニングとの累積印字時間など、インクの増粘に関する時間であれば、他の時間を適用してもよい。
【0030】
図7、図8及び図9は、インクジェット式記録装置10の動作例を示す概略フローチャートである。
記録ヘッド30のタイマクリーニングに際して、インクジェット式記録装置10は、まず、クリーニング前設定を行う(図7のステップST1)。
このステップST1の詳細を図8を使用して説明する。クリーニング前設定として、インクジェット式記録装置10は、まず、第1TCLモード、第2TCLモード、第3TCLモードのそれぞれについて、タイマクリーニング回数(Ncln)が5回以上か否かを判断する(図8のステップST101)。第1TCLモード等ごとのタイマクリーニング回数(Ncln)は、記憶部72に記憶されている。
なお、Nclnのnには例えば、第1TCLモードであれば1が適用されNcl1となり、第2TCLモードであれば2が適用され、Ncl2となる。後述の、Fcln及びRclnについても同様である。
【0031】
クリーニング回数Nclnが5回以上であれば、後述のタイマクリーニング成功率Rclnの信頼性があるが、5回未満であれば、基礎データの数としては不足であり、タイマクリーニング成功率Rclnの信頼性は不十分であるから、インクジェット式記録装置10は、5回未満のタイマクリーニング回数Nclnであるタイマクリーニングモードについては、タイマクリーニング成功率Rclnを計算しない。すなわち、5回というタイマクリーニング回数Nclnは、信頼性が十分なタイマクリーニング成功率Rclnを算出するための必要回数である。
【0032】
続いて、インクジェット式記録装置10の計算部74は、各タイマクリーニングモードごとにタイマクリーニング成功率Rclnを計算する(ステップST102)
なお、タイマクリーニング成功回数Fclnは、タイマクリーニング終了後に吐出不良検出装置8によって、第1TCLモード、第2TCLモード、第3TCLモードの各タイマクリーニングモードごとに、吐出不良が検出されず、タイマクリーニングが成功であると判断された場合に、記憶部72に記憶されている。記憶部72には、タイマクリーニング成功回数Fclnはのほかにも、上述のように、第1TCLモード等ごとのタイマクリーニング回数(Ncln)が記憶されている。すなわち、記憶部72は、タイマクリーニング結果記録手段の一例である。
【0033】
具体的には、計算部74は、記憶部72に記憶されている例えば、タイマクリーニング回数Nclnとタイマクリーニング成功回数Fclnに基づいて、各タイマクリーニングモードごとに、タイマクリーニング成功率Rclnを算出する。
【0034】
続いて、計算部74は、各タイマクリーニングごとのタイマクリーニング成功率Rclnを平均して、タイマクリーニング平均成功率Rclを算出する(ステップST103)。具体的には、クリニーニング成功率Rclnを算出したタイマクリーニングモードが3つであれば、タイマクリーニング成功率Rclnの合計を3で割って、タイマクリーニング平均成功率Rclを算出する。このタイマクリーニング平均成功率Rclは、クリーニング成功率の一例であり、計算部74は、クリーニング評価手段の一例である。そして、このステップST103は、クリーニング評価ステップの一例である。
計算部74が算出したタイマクリーニング平均成功率Rclは、記憶部72に記憶される。
【0035】
インクジェット式記録装置10の計算部74は、上述のようにして、タイマクリーニング平均成功率Rclを算出すると、タイマクリーニング平均成功率Rclが80パーセント(%)未満であるか否かを判断する(ステップST104)。タイマクリーニング平均成功率Rclが80%未満である場合には、記録ヘッド30の中のインクの粘度が大幅に増加しているために、タイマクリーニングが十分に成功していないと推測することができる。
この場合、廃インクタンク31(図2参照)の中の廃インクの粘度も大幅に増加していると推測することができる。これは、廃インクタンク31の中の廃インクの溶媒が蒸発して、廃インクの量が減少していることを意味する。すなわち、一度、廃インクタンク31に収納した廃インクが蒸発によって減少していることを意味する。
【0036】
ここで、廃インクカウント値を、基本設定(図2(b)参照)である例えば、0.1グラム(g)で1カウントとしていたものを、そのまま維持すると、廃インクタンク31が収容する総カウントが例えば、5000カウントで一定であれば、廃インクタンク31の容量を有効に活用することができない。すなわち、廃インクが蒸発によって減少している分、廃インクタンク31の容量には余裕があり、より多くの廃インクを収容できるはずである。
【0037】
そこで、インクジェット式記録装置10の計算部74は、タイマクリーニング平均成功率Rclが80パーセント(%)未満であれば、基本設定を規定変更量である例えば、0.1グラム(g)について0.2カウント減少し、0.1グラム(g)で0.8カウントとする(ステップST105)。すなわち、計算部74は、液体算定基準値変更手段の一例である。そして、ステップST105は、液体算定基準値変更ステップの一例である。
【0038】
このため、廃インクタンク31が収容することができる廃インクの総カウント量が一定であれば、廃インクの蒸発によって余裕がある廃インクタンク31の収容能力を有効に活用することができる。
これにより、特定の環境条件を前提にしなくても、廃インクタンクの容量を有効に活用することができる。
【0039】
これに対して、タイマクリーニング成功率Rclnが80%以上である場合には、記録ヘッド30の中のインクの粘度があまり増加していないために、タイマクリーニングが十分に成功している推測することができる。
この場合、廃インクタンク31(図2参照)の中の廃インクの粘度もあまり増加していないと推測することができる。これは、廃インクタンク31の中の廃インクの溶媒があまり蒸発せず、廃インクの量があまり減少していないことを意味する。
【0040】
ここで、廃インクカウント値の基本設定(図2(b)参照)は、一定の湿度及び温度による蒸発速度を前提に規定されているが、例えば、湿度が前提よりも高く、廃インクがあまり蒸発しない場合には、基本設定(図2(b)参照)である例えば、0.1グラム(g)で1カウントとしていたものを、そのまま維持すると、廃インクタンク31が収容できる総カウント量が例えば、5000カウントで一定であれば、総カウント量の廃インクを収容すると、廃インクタンク31からあふれ出てしまう。
【0041】
そこで、インクジェット式記録装置10は、タイマクリーニング平均成功率Rclが80パーセント(%)以上であれば、基本設定を規定変更量である例えば、0.1グラム(g)について0.2カウント増加し、0.1グラム(g)で1.2カウントとする(ステップST106)。このステップST106もまた、液体算定基準値変更ステップの一例である。
このため、廃インクタンク31が収容することができる廃インクの総カウント量が一定であれば、廃インクの蒸発が少ない場合には、廃インクカウント値を減少させることによって廃インクタンク31から廃インクがあふれ出ることを防止することができる。
【0042】
インクジェット式記録装置10は、上述のようにしてクリーニング前設定を行うと(図7のステップST1)、新たに設定した廃インクカウント値でタイマクリーニングを実施する(ステップST2)。
このステップST2の詳細を図9を使用して、説明する。
まず、インクジェット式記録装置10のCL制御部76は、記録ヘッド30のノズル開口からインクを一番最後に吐出した直近吐出時からの経過時間に基づいて、複数のタイマクリーニングモードから1のタイマクリーニングモードを選択する(ステップST201)。
【0043】
例えば、記憶部72に格納されているタイマクリーニングテーブルが、図6(a)に示す通りであって、直近のインク吐出時からの経過時間が40時間(h)であれば、その経過時間に基づいて、CL制御部76は第1TCLモードを選択し、以下のようにタイマクリーニングを実施する。すなわち、CL制御部76は、タイマクリーニング手段の一例である。
【0044】
まず、図1の記録ヘッド30にキャップ本体21を密接させ、キャップ本体21を閉鎖する(図9のステップST202)。
続いて、CL制御部76は、図1の吸引ポンプ19を駆動し、記録ヘッド30のノズル開口からインクを吸引する(ステップST203)。
【0045】
続いて、CL制御部76は、吸引ポンプ19の駆動を停止し(ステップST204)、負圧解除時間である例えば、3秒(s)の経過を待つ(ステップST205)。この負圧解除時間は、吸引ポンプ19の駆動停止直後は負圧になっているキャップ本体21内の気圧が、大気圧とほぼ等しくなるまでの時間である。
【0046】
続いて、CL制御部76は、キャップ本体21を開放し(ステップST206)、吸引ポンプ19を駆動してキャップ本体21のインクを排出する(ステップST207)。続いて、CL制御部76は、ワイピング部材23によってワイピングを行い、記録ヘッド30のノズルプレート面30aを払拭する(ステップST208)。
上述のステップST201乃至ステップST208は、クリーニングステップの一例である。
【0047】
インクジェット式記録装置10は、上述のようにしてタイマクリーニングを実施すると(図7のステップST2)、タイマクリーニング回数(Ncln)をタイマクリーニングの種類ごとに加算する(ステップST3)。例えば、第1TCLでタイマクリーニングを一度実施した場合には、第1TCLのタイマクリーニング回数Ncl1を1回加算し、加算後のタイマクリーニング回数Ncl1を記憶部72に記憶する。このステップST3は、タイマクリーニング結果記録ステップの一例である。
【0048】
続いて、インクジェット式記録装置10は、記録ヘッド30のノズル開口からの吐出不良を検出する(ステップST4)。このステップST4は、噴射不良検出ステップの一例である。
続いて、インクジェット式記録装置10は、吐出不良があるか否かを判断し(ステップST5)、吐出不良がなければ、タイマクリーニング成功回数Fclnをタイマクリーニングの各モードごとに加算する(ステップST6)。例えば、第1TCLモードのタイマクリーニングを一度実施してそのタイマクリーニングが成功した場合には、第1TCLモードのタイマクリーニング成功回数Fcl1を1回加算し、加算後のタイマクリーニング成功回数Fcl1を記憶部72に記憶する。このステップST6もまた、タイマクリーニング結果記録ステップの一例である。
【0049】
なお、本実施の形態とは異なり、記憶部72は、タイマクリーニング手段である例えばインク吸引装置20によるタイマクリーニングの回数、タイマクリーニングが成功した回数、及び、タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するようにしてもよい。そして、計算部74は、記憶部72が記憶した、タイマクリーニングの回数、タイマクリーニングが成功した回数、及び、タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するようにしてもよい。さらに、計算部74は、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率に基づいて、廃インクタンク31に収容するインク廃インクカウント値を変更するようにしてもよい。
【0050】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態のインクジェット式記録装置10A(図1参照)について説明する。第2の実施の形態のインクジェット式記録装置10Aの構成は、上記第1の実施の形態のインクジェット式記録装置10と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0051】
第2の実施の形態のインクジェット式記録装置10Aのハードウエア構成及び電気的接続例は、上記第1の実施の形態のインクジェット式記録装置10と同様である(図1乃至図6参照)が、インクジェット式記録装置10Aの動作がインクジェット式記録装置10とは異なるから、以下、インクジェット式記録装置10Aの動作例について説明する。
【0052】
図10は、インクジェット式記録装置10Aの動作例を示す概略フローチャートである。
図11は、廃インクオーバーフロー値の一例を示す概略図である。
図11の廃インクオーバーフロー値は、廃インクタンク31の収容能力を示す値であり、総カウント数で示される。この廃インクオーバーフロー値は収容能力算定基準値の一例である。
【0053】
図11のステップST104において、タイマクリーニング平均成功率Rclが80パーセント(%)未満であると判断した場合には、記録ヘッド30の中のインクの粘度が大幅に増加しているために、タイマクリーニングが十分に成功していないと推測することができる。
【0054】
この場合、廃インクタンク31(図2(a)参照)の中の廃インクの粘度も大幅に増加していると推測することができる。これは、廃インクタンク31の中の廃インクの溶媒が蒸発して、廃インクの量が減少していることを意味する。
この場合、例えば、廃インクオーバーフロー値を、廃インクカウント値が0.1グラム(g)で1カウントであって、5000カウントを総カウント数とする基本設定(図11参照)をそのまま維持すると、廃インクタンク31の容量を有効に活用することができない。すなわち、廃インクが蒸発によって減少している分、廃インクタンク31の容量には余裕があり、より多くの廃インクを収容できるはずである。
【0055】
そこで、インクジェット式記録装置10の計算部74は、タイマクリーニング平均成功率Rclが80パーセント(%)未満であれば、総カウントの基本設定を規定変更量である例えば1500カウント増加し、6500カウントとする(ステップST105A)。すなわち、計算部74は、収容能力算定基準値変更手段の一例である。そして、ステップST105Aは、収容能力算定基準値変更ステップの一例である。
このため、廃インクカウント値が一定であれば、より多くの廃インクを収容することができ、廃インクの蒸発によって余裕がある廃インクタンク31の廃インク保持能力を有効に活用することができる。
これにより、特定の環境条件を前提にしなくても、廃インクタンクの容量を有効に活用することができる。
【0056】
これに対して、タイマクリーニング成功率Rclnが80%以上である場合には、記録ヘッド30の中のインクの粘度があまり増加していないために、タイマクリーニングが十分に成功している推測することができる。
この場合、廃インクタンク31(図2(a)参照)の中の廃インクの粘度もあまり増加していないと推測することができる。これは、廃インクタンク31の中の廃インクの溶媒があまり蒸発せず、廃インクの減少量が前提条件よりも少ないことを意味する。
【0057】
ここで、廃インクオーバーフロー値を、0.1グラム(g)で1カウントであって、5000カウントを総カウント数とする基本設定(図11参照)をそのまま維持すると、廃インクタンク31の収容能力を超えて廃インクを収容し、廃インクが廃インクタンクからあふれ出てしまう。
【0058】
そこで、インクジェット式記録装置10の計算部74は、タイマクリーニング平均成功率Rclが80パーセント(%)以上であれば、廃インクオーバーフロー値の基本設定を規定変更量である例えば1500カウント減少し、4500カウントとする(ステップST106A)。このステップST106Aもまた、収容能力算定基準値変更ステップの一例である。
このため、廃インクカウント値が一定であれば、廃インクの蒸発が少ない場合には、廃インクオーバーフロー値の総カウントを減少させることによって廃インクタンク31から廃インクがあふれ出ることを防止することができる。
【0059】
なお、本実施の形態とは異なり、記憶部72は、タイマクリーニング手段である例えばインク吸引装置20によるタイマクリーニングの回数、タイマクリーニングが成功した回数、及び、タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するようにしてもよい。そして、計算部74は、記憶部72が記憶した、タイマクリーニングの回数、タイマクリーニングが成功した回数、及び、タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するようにしてもよい。さらに、計算部74は、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率に基づいて、廃インクタンク31に収容するインク廃インクオーバーフロー値を変更するようにしてもよい。
【0060】
本発明は、インクジェット式記録装置としての上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。さらに、上述の各実施形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。また、本発明は、インクジェット式記録装置に限らず、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置等にも適用できる。
【0061】
また、上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。例えば、インクジェット式記録装置10又は10Aの記憶部72、計算部74及びCL制御部76の機能を、ホストコンピュータ80が有していてもよい。この場合、インクジェット式記録装置10(10A)及びホストコンピュータ80が、液体噴射装置の一例である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】インクジェット式記録装置を示す概略図である。
【図2】廃インクタンク等の一例を示す概略図である。
【図3】吐出不良検出装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【図4】テストパターン等の一例を示す図である。
【図5】インクジェット式記録装置の電気的な接続例を示す概略図である。
【図6】タイマクリーニングテーブル等の一例を示す図である。
【図7】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図8】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図9】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図10】インクジェット式記録装置の動作例を示す概略フローチャートである。
【図11】廃インクオーバフロー値の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0063】
8・・・吐出不良検出装置、10,10A・・・インクジェット式記録装置、20・・・インク吸引装置、21・・・キャップ本体、30・・・記録ヘッド、30a・・・ノズルプレート面、72・・・記憶部、74・・・計算部、76・・・CL制御部、78・・・計時部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、
前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、
前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、
前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録手段と、
前記タイマクリーニング結果記録手段が記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価手段と、
前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段に収容する前記液体の算定基準値を変更する液体算定基準値変更手段と、
を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、
前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、
前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、
前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録手段と、
前記タイマクリーニング結果記録手段が記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価手段と、
前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段の収容能力を示す収容能力算定基準値を変更する収容能力算定基準値変更手段と、
を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、を有する液体噴射装置が、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録ステップと、
前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング結果記録ステップにおいて記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価ステップと、
前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段に収容する前記液体の算定基準値を変更する液体算定基準値変更ステップと、
を有することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
【請求項4】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、基準時からの経過時間に基づいて、前記液体噴射ヘッドのノズル開口から前記液体を排出して前記液体噴射ヘッドをタイマクリーニングするタイマクリーニング手段と、前記タイマクリーニング手段によって排出された前記液体を収容する液体収容手段と、前記液体噴射ヘッドから前記液体が正常に噴射されない状態である噴射不良を検出する噴射不良検出手段と、を有する液体噴射装置が、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニング手段による前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つを記録するタイマクリーニング結果記録ステップと、
前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング結果記録ステップにおいて記録した、前記タイマクリーニングの回数、前記タイマクリーニングが成功した回数、及び、前記タイマクリーニングが失敗した回数のうち、少なくとも2つに基づいて、タイマクリーニング成功率又はタイマクリーニング失敗率を算出するタイマクリーニング評価ステップと、
前記液体噴射装置が、前記タイマクリーニング成功率又は前記タイマクリーニング失敗率に基づいて、前記液体収容手段の収容能力を示す収容能力算定基準値を変更する収容能力算定基準値変更ステップと、
を有することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−95705(P2006−95705A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281134(P2004−281134)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】