説明

液体定量充填の制御方法

【課題】ピストン方式の液体定量充填の制御方法において、充填シリンダ内のピストンと充填ノズルとが同一駆動源を用いて連動する構成とし、かつ多種の容器への液体充填作業を可能とした上で、容器の充填口周辺への液体製品の飛散を抑える。
【解決手段】貯留タンク2から充填シリンダ3内に所定の容器への充填量に所定の余剰分を加えた量の液体製品を吸入する液体吸入工程と、前記液体吸入工程後に充填シリンダ3内の液体製品の余剰分を貯留タンク2に戻すと共に前記充填ノズル4が容器内の所定深さまで進入するノズル進入工程と、前記ノズル進入工程後に前記充填シリンダ3内の液体製品を容器内に定量充填する定量充填工程と、前記定量充填工程後に前記充填シリンダ3内に残る液体製品の余剰分を貯留タンク2に戻すと共に前記充填ノズル4が容器外に退避するノズル退避工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャンプーやボディソープ等の液体製品をパウチ等の容器内に定量充填する際の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記液体定量充填を行う装置において、図7に示すように、貯留タンク42内の液体製品を充填シリンダ43内に吸入した後(図7(a))、該液体製品をパウチ等の容器44の充填口44aに対して進退する充填ノズル45から吐出することで(図7(b))、前記容器44内に液体製品を定量充填するものがある。前記充填シリンダ43に接続される第一液体流路46は、前記貯留タンク42及び充填ノズル45にそれぞれ接続される第二及び第三液体流路47,48に三方弁49を介して連通し、該三方弁49の連通状態を切り替えることで、貯留タンク42から充填シリンダ43内に液体製品を吸入した後に、該液体製品を充填ノズル45より吐出可能とする。
ところで、図7に示す如くハウジング内で弁体が回転するロータリ式の三方弁49に対し、図8に示す如くハウジング内で弁体が往復動するストローク式の三方弁50を採用したものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、各液体流路の連通状態の切り替えを速め、液体製品の吐出量のばらつきを抑えるという点で好ましい。
【0003】
他方、上記液体定量充填を行うに当たり、所定の供給経路の上流側に循環経路を設定し、該循環経路内に予め所定の流量で液体を循環させた状態とした後、前記供給経路に対するバルブを開くことで、供給初期より所定量の液体を安定的に供給するようにした制御方法もある(例えば、特許文献2参照。)、
また、容器への液体の充填量を流量計及びバルブの協働で制御するに当たり、流量計が検出する実際の流量とバルブ閉鎖時に該バルブから流出すると予測される流量との関係を求め、この関係に基づいてバルブを作動制御して所定量の液体を供給できるようにしたり(例えば、特許文献3参照。)、液体の流量に応じて電磁流量計から出力されるパルスに基づき流量を算出する上で、テスト充填により計測した実際の流量から一パルス当たりの流量を補正しつつ算出して所定量の液体を供給できるようにしたものもある(例えば、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開平8−198205号公報
【特許文献2】特開2005−307069号公報
【特許文献3】特開平9−2585号公報
【特許文献4】特開平11−105989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、シャンプー、ヘアリンス、ボディソープ、台所用洗剤等の液体製品は、使用者の嗜好性を考慮して多品種少量生産が基本となっている。このような状況下において、前記液体製品を充填するパウチ等の容器のサイズは様々であり、これらの充填作業に上記特許文献1のようなピストン方式の液体定量充填装置を用いる場合には、できるだけ多種の容器に対応可能とするべく、搬送される容器に対して待機状態にある充填ノズルを所定量離間させて配置することが好ましい。
【0005】
しかしながら、例えば充填シリンダ内のピストンと充填ノズルとが同一駆動源を用いて連動する比較的簡易かつ低コストな構成においては、充填ノズルが容器の充填口内に進入する前又は該充填口内から退避した後に、ピストンのストロークによる液体製品の吐出がなされる場合がある。この場合、特に充填時間を短縮するべく液体製品の吐出流速を上げると、充填ノズルから吐出された液体製品が容器の充填口周辺に飛散し易く、後工程での洗浄が必要になったり、容器がパウチの場合には充填口の溶着不良の原因になるという問題がある。
そこでこの発明は、ピストン方式の液体定量充填の制御方法において、充填シリンダ内のピストンと充填ノズルとが同一駆動源を用いて連動する構成とし、かつ多種の容器への液体充填作業を可能とした上で、容器の充填口周辺への液体製品の飛散を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、貯留タンク内の液体製品を充填シリンダ内に吸入した後、該液体製品を所定の容器の充填口に対して進退する充填ノズルから吐出することで、前記容器内に液体製品を定量充填する液体定量充填の制御方法であって、前記充填シリンダに接続される第一液体流路が、前記貯留タンク及び充填ノズルにそれぞれ接続される第二及び第三液体流路に三方弁を介して連通し、該三方弁がタンク側連通状態又はノズル側連通状態に切り替わることで、前記貯留タンクから充填シリンダ内に液体製品を吸入した後に、該液体製品を充填ノズルより吐出可能とする液体定量充填の制御方法において、前記三方弁がタンク側連通状態にあるときに、前記充填シリンダ内のピストンが液体吸入側にストロークし、前記貯留タンクから充填シリンダ内に前記容器への充填量に所定の余剰分を加えた量の液体製品を吸入する液体吸入工程と、前記液体吸入工程後かつ前記三方弁がタンク側連通状態のままであるときに、前記ピストンが液体吐出側にストロークし、前記充填シリンダ内の液体製品の余剰分を貯留タンクに戻すと共に、前記充填ノズルが容器内の所定深さまで進入するノズル進入工程と、前記ノズル進入工程後かつ前記三方弁がノズル側連通状態に切り替わった後に、前記ピストンが液体吐出側にさらにストロークし、前記充填シリンダ内の液体製品を容器内に定量充填する定量充填工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記定量充填工程後かつ前記三方弁がタンク側連通状態に切り替わった後に、前記ピストンが液体吐出側の限界位置までストロークし、前記充填シリンダ内に残る液体製品の余剰分を貯留タンクに戻すと共に、前記充填ノズルが容器外に退避するノズル退避工程を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記三方弁が、ハウジング内で弁体を往復動させるストローク式とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、充填シリンダ内のピストンと充填ノズルとが同一駆動源を用いて連動する比較的簡易かつ低コストなピストン方式の充填装置を採用できると共に、充填ノズルが容器内の所定深さまで進入した後に充填を開始するよう三方弁の作動をコントロールすることで、液体製品の容量、粘度、流動性及び泡立ち性等によらずに充填ノズルからの充填開始位置及びタイミングを任意に設定することが可能となる。これにより、定量充填前における容器の充填口周辺への液体製品の飛散を防止でき、充填時間を短縮するべく液体製品の吐出流速を上げて作業効率を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、充填ノズルが容器外に退避する前に充填を停止するよう三方弁の作動をコントロールすることが可能となり、定量充填後における容器の充填口周辺への液体製品の飛散をも確実に防止できる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、ロータリ式の三方弁に対して各液体流路間の連通を高速で切り替えることが可能となり、定量充填精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1に示す液体定量充填装置1は、シャンプーやボディソープ等の液体製品をパウチ等の容器内に定量充填するためのもので、貯留タンク2内の液体製品を充填シリンダ3内に吸入した後、該液体製品を前記容器の充填口に対して進退する充填ノズル4から吐出することで、前記容器内に液体製品の定量充填を行う。前記充填シリンダ3に接続される第一液体流路6は、前記貯留タンク2及び充填ノズル4にそれぞれ接続される第二及び第三液体流路7,8と三方弁5を介して連通し、該三方弁5の連通状態を切り替えることで、貯留タンク2から充填シリンダ3内に液体製品を吸入した後に、該液体製品を充填ノズル4より吐出可能とする。
【0013】
充填シリンダ3内のピストン15及び充填ノズル4は、単一の電気モータ9を駆動源として備える。電気モータ9の駆動軸の回転動は、動力伝達機構11,12及びコネクティングロッド13,14を介してピストン15及び充填ノズル4の往復動に変換される。ピストン15側のコネクティングロッド13と動力伝達機構11との連結位置は変更可能とされ、もってピストン15のストローク量を変更可能として充填量の異なる容器への対応等を容易にする。なお、充填ノズル4側のコネクティングロッド14と動力伝達機構12との連結位置も同様に変更可能としてもよい。
【0014】
充填シリンダ3は、図の下方にピストン15を移動させることで液体製品を吸入し、上方にピストン15を移動させることで前記液体製品を吐出する。また、充填ノズル4は、図の下方に移動することで充填作業位置にある容器に接近し、図の上方に移動することで前記容器から離間する。充填ノズル4は、例えば動力伝達機構12に内蔵した間欠機構等の作用により、概ねピストン15が下降する間(充填シリンダ3内に液体製品を吸入する間)には前記充填作業位置上方の待機位置で待機し、概ねピストン15が上昇する間(前記液体製品を吐出する間)には上下に一往復する。なお、充填ノズル4の往復時間はピストン15の往復時間の1/2に限らないが、これらは互いに同期して往復動を行う。
【0015】
三方弁5は、バルブシリンダ21内でプランジャ22を往復動させるストローク式とされる。
バルブシリンダ21の軸方向中間部には前記第一液体流路6を接続する第一ポート23が設けられ、バルブシリンダ21の軸方向一側(図の上側)には前記第二液体流路7を接続する第二ポート24が設けられ、バルブシリンダ21の軸方向他側(図の下側)には前記第三液体流路8を接続する第三ポート25が設けられる。
【0016】
プランジャ22は、その軸方向中間部及び一端部(下端部)にそれぞれ第一及び第二弁体22a,22bを有し、該プランジャ22の他端部(上端部)はバルブシリンダ21に連設されたソレノイド(駆動手段)26に連結される。第一弁体22aは、バルブシリンダ21内における第一及び第二ポート23,24の間に設けた第一弁座27に当接又は離間することで、第一及び第二ポート23,24の間を遮断又は連通させる。同様に、第二弁体22bは、バルブシリンダ21内における第一及び第三ポート23,25の間に設けた第二弁座28に当接又は離間することで、第一及び第三ポート23,25の間を遮断又は連通させる。
【0017】
第一弁体22aが第一弁座27に当接して第一及び第二ポート23,24の間(充填シリンダ3と貯留タンク2との間)を遮断したときには、第二弁体22bが第二弁座28から離間して第一及び第三ポート23,25の間(充填シリンダ3と充填ノズル4との間)を連通させる。この状態を三方弁5におけるノズル側連通状態とする。また、第一弁体22aが第一弁座27から離間して第一及び第二ポート23,24の間を連通させたときには、第二弁体22bが第二弁座28に当接して第一及び第三ポート23,25の間を遮断する。この状態を三方弁5におけるタンク側連通状態とする。これら各弁体22a,22b(プランジャ22)がソレノイド26の作動によりバルブシリンダ21内をストロークすることで、三方弁5が前記ノズル側連通状態又はタンク側連通状態に切り替わる。
【0018】
充填ノズル4は、筒状のノズル本体16内に栓棒17を往復動可能に嵌装してなる。栓棒17の一端部(下端部)は、ノズル本体16先端のノズル口19を開閉可能とされ、栓棒17の他端部(上端部)は、ノズル本体16基端に連設されたソレノイド(駆動手段)18に連結される。この栓棒17がソレノイド18の作動によりノズル本体16内をストロークすることで、ノズル本体16内に送られた液体製品のノズル口19からの吐出が開始又は停止される。
【0019】
前記電気モータ9及び各ソレノイド18,26の作動は、ホストコンピュータ等の制御装置29により制御される。制御装置29は、電気モータ9の回転数から充填シリンダ3内のピストン15及び充填ノズル4のストローク量を算出し、所定のタイミングで三方弁5の連通状態を切り替えると共に充填ノズル4のノズル口19を開閉させることで作業位置にあるパウチ容器31への液体製品の定量充填を可能とする。
【0020】
図2に示すように、充填ノズル4下方の充填作業位置には、コンベヤ等の搬送手段によりパウチ容器31が搬出入される。パウチ容器31は上方に開放する上部開口32を有し、該上部開口32よりその内外に充填ノズル4を進退可能とする。上部開口32の縁部における帯状の範囲は、液体製品充填後にパウチ容器31を密封するための溶着範囲33とされる。ここで、充填作業位置のパウチ容器31とその上方の待機位置にある充填ノズル4とは、パウチ容器31の搬出入を可能とするべく所定量離間し、もって多種の容器への充填作業の対応を可能とする。
【0021】
ここで、上記液体定量充填装置1において、ピストン15の下方(液体吸入側)へのフルストローク時に充填シリンダ3内に吸入される液体製品の量は、パウチ容器31への所定の充填量に対して多くなるように設定される。具体的には、ピストン15が下方にフルストロークした際には、パウチ容器31への充填量に所定の余剰分を加えた量の液体製品が充填シリンダ3内に吸入される。このときの余剰分は、比較的粘度の高い液体製品の場合はパウチ容器31への充填量の20%程度、比較的粘度の低い液体製品の場合は前記充填量の30%程度とされる。なお、図中寸法Fはピストン15のフルストローク範囲を示す。
【0022】
そして、充填シリンダ3内に充填された液体製品をパウチ容器31に定量充填する際には、まず、充填シリンダ3内の液体製品における前記余剰分の一部(例えば約半分)を貯留タンク2に戻しつつ、充填ノズル4を下降させて充填作業位置のパウチ容器31内に進入させ、この後に三方弁5を切り替えてパウチ容器31内への液体製品の定量充填を開始する。また、前記定量充填終了後には、充填ノズル4をパウチ容器31内に進入させたままで三方弁5を切り替え、充填ノズル4からの液体製品の吐出を停止した後に、該充填ノズル4を上昇させてパウチ容器31外に退避させると共に、充填シリンダ3内に残る液体製品の余剰分を貯留タンク2に戻す。なお、図中寸法Y1は定量充填前の余剰分吐出時に対応するピストン15のストローク範囲(第一余剰ストローク範囲)を、寸法Jは液体製品の定量充填時に対応するストローク範囲(定量ストローク範囲)を、寸法Y2は定量充填後の余剰分吐出時に対応するピストン15のストローク範囲(第二余剰ストローク範囲)をそれぞれ示す。
【0023】
次に、上記定量充填装置1を用いて所定のパウチ容器31に液体製品を定量充填する際の手順について説明する。
まず、図2に示すように、三方弁5がタンク側連通状態にあるときに、充填シリンダ3内のピストン15がフルストローク範囲Fの下限位置(液体吸入側へのストローク限界位置)まで下降(液体吸入側にストローク)すると、充填シリンダ3内にパウチ容器31への充填量に所定の余剰分を加えた量の液体製品が吸入され、もって充填シリンダ3内への液体吸入工程が完了する。このとき、充填ノズル4はその上限位置(容器と反対側へのストローク限界位置)である前記待機位置で待機し、かつ該充填ノズル4下方の充填作業位置には上部開口32を上方に開放させた空のパウチ容器31が搬送される。
【0024】
次いで、図3に示すように、三方弁5がタンク側連通状態のままであるときに、充填シリンダ3内のピストン15が第一余剰ストローク範囲Y1内で上昇(液体吐出側にストローク)を開始すると、充填シリンダ3内の液体製品における余剰分の一部(例えば約半分)が第一液体流路6、三方弁5、及び第二液体流路7を介して貯留タンク2内に戻される。このとき、ピストン15の上昇に同期して充填ノズル4が下降(容器側にストローク)し、図4に示すように、充填ノズル4のノズル口19がパウチ容器31内における溶着範囲33よりも下方(容器内側)に位置した時点で、ピストン15が第一余剰ストローク範囲Y1をストロークしきり、もってパウチ容器31内へのノズル進入工程が完了する。
【0025】
そして、図5に示すように、上記ノズル進入工程後に三方弁5がノズル側連通状態に切り替わると共に充填ノズル4のノズル口19が開き、かつピストン15が充填ストローク範囲J内で上昇を開始すると、第一液体流路6、三方弁5、第三液体流路8、及び充填ノズル4を介して充填シリンダ3内の液体製品がパウチ容器31内に充填される。このとき、充填ノズル4のノズル口19がパウチ容器31の溶着範囲33よりも下方に位置することで、定量充填前における溶着範囲33への液体製品の付着が抑えられる。ここで、パウチ容器31への充填量はピストン15の充填ストローク範囲Jに応じて決定される。換言すれば、ピストン15の充填ストローク範囲J及び各余剰ストローク範囲Y1,Y2は、搬送される容器に応じて適宜決定される。
【0026】
充填ノズル4は、パウチ容器31内への定量充填中に、下限位置(容器側へのストローク限界位置)を経た後に上昇(容器と反対側へのストローク)を開始する。そして、ピストン15が充填ストローク範囲Jをストロークしきった時点(定量充填を完了させた時点)で、パウチ容器31への定量充填工程が完了する。このとき、充填ノズル4のノズル口19はパウチ容器31の溶着範囲33よりも下方に位置し、この時点で三方弁5がタンク側連通状態に切り替わると共に充填ノズル4のノズル口19が閉じることで、該ノズル口19からの液体製品の吐出が停止する。
【0027】
液体製品の吐出が停止した状態で、図6に示すように、充填ノズル4がパウチ容器31外に離脱することで、定量充填後における溶着範囲33への液体製品の付着が抑えられる。また、液体製品の吐出が停止した状態においては、ピストン15が第二余剰ストローク範囲Y2内で上昇し、充填シリンダ3内に残った液体製品の余剰分を第一液体流路6、三方弁5、及び第二液体流路7を介して貯留タンク2に戻しきり、もってパウチ容器31からのノズル退避工程が完了する。
【0028】
このとき、ピストン15は、第二余剰ストローク範囲Y2の上側(液体吐出側)まで、すなわちフルストローク範囲Fの上限位置(液体吐出側へのストローク限界位置)までストロークしきる。一方、充填ノズル4は前記待機位置に戻り、この時点で定量充填後のパウチ容器31が充填作業位置から搬送されると共に、別の空のパウチ容器31が充填作業位置に搬送される。
【0029】
以上説明したように、上記実施例における液体定量充填の制御方法は、貯留タンク2内の液体製品を充填シリンダ3内に吸入した後、該液体製品をパウチ容器31の上部開口32に対して進退する充填ノズル4から吐出することで、前記パウチ容器31内に液体製品を定量充填するものであり、前記充填シリンダ3に接続される第一液体流路6が、前記貯留タンク2及び充填ノズル4にそれぞれ接続される第二及び第三液体流路7,8に三方弁5を介して連通し、該三方弁5がタンク側連通状態又はノズル側連通状態に切り替わることで、前記貯留タンク2から充填シリンダ3内に液体製品を吸入した後に、該液体製品を充填ノズル4より吐出可能とするものであり、前記三方弁5がタンク側連通状態にあるときに、前記充填シリンダ3内のピストン15が液体吸入側にストロークし、前記貯留タンク2から充填シリンダ3内に前記パウチ容器31への充填量に所定の余剰分を加えた量の液体製品を吸入する液体吸入工程と、前記液体吸入工程後かつ前記三方弁5がタンク側連通状態のままであるときに、前記ピストン15が液体吐出側にストロークし、前記充填シリンダ3内の液体製品の余剰分を貯留タンク2に戻すと共に、前記充填ノズル4がパウチ容器31内の所定深さまで進入するノズル進入工程と、前記ノズル進入工程後かつ前記三方弁5がノズル側連通状態に切り替わった後に、前記ピストン15が液体吐出側にさらにストロークし、前記充填シリンダ3内の液体製品をパウチ容器31内に定量充填する定量充填工程とを備えるものである。
【0030】
この構成によれば、充填シリンダ3内のピストン15と充填ノズル4とが同一駆動源を用いて連動する比較的簡易かつ低コストなピストン方式の液体定量充填装置1を採用できると共に、充填ノズル4がパウチ容器31内の所定深さまで進入した後に充填を開始するよう三方弁5の作動をコントロールすることで、液体製品の容量、粘度、流動性及び泡立ち性等によらずに充填ノズル4からの充填開始位置及びタイミングを任意に設定することが可能となる。これにより、定量充填前におけるパウチ容器31の上部開口32(充填口)周辺への液体製品の飛散を防止でき、充填時間を短縮するべく液体製品の吐出流速を上げて作業効率を向上させることができる。
【0031】
また、上記液体定量充填の制御方法においては、前記定量充填工程後かつ前記三方弁5がタンク側連通状態に切り替わった後に、前記ピストン15が液体吐出側の限界位置までストロークし、前記充填シリンダ3内に残る液体製品の余剰分を貯留タンク2に戻すと共に、前記充填ノズル4がパウチ容器31外に退避するノズル退避工程を備えることで、充填ノズル4がパウチ容器31外に退避する前に充填を停止するよう三方弁5の作動をコントロールすることが可能となり、定量充填後におけるパウチ容器31の上部開口32周辺への液体製品の飛散をも確実に防止できる。
【0032】
さらに、上記液体定量充填の制御方法においては、前記三方弁5が、バルブシリンダ21内で各弁体22a,22bを往復動させるストローク式とされることで、ロータリ式の三方弁に対して各液体流路6,7,8間の連通を高速で切り替えることが可能となり、定量充填精度を向上させることができる。
【0033】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、液体製品を充填する容器はパウチ容器に限らず、例えばスクリューキャップ等を着脱可能な固定形状を有するプラスチック容器、ラミネートチューブ、ガラス容器又は各種金属容器等であってもよい。また、液体製品はシャンプー、リンス、トリートメント、液体石鹸、化粧液、洗浄剤、液体洗剤、柔軟仕上げ剤、液体歯磨き及び洗口剤等様々なものが有り得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施例における液体定量充填装置の構成図である。
【図2】上記液体定量充填装置の要部の第一作用説明図である。
【図3】上記液体定量充填装置の要部の第二作用説明図である。
【図4】上記液体定量充填装置の要部の第三作用説明図である。
【図5】上記液体定量充填装置の要部の第四作用説明図である。
【図6】上記液体定量充填装置の要部の第五作用説明図である。
【図7】従来のロータリ式三方弁を用いた液体定量充填装置を示す図であり、(a)は図2に相当する構成図を、(b)は図4に相当する構成図をそれぞれ示す。
【図8】従来のストローク式三方弁を用いた液体定量充填装置を示す図であり、(a)は図2に相当する構成図を、(b)は図4に相当する構成図をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0035】
1 液体定量充填装置
2 貯留タンク
3 充填シリンダ
4 充填ノズル
5 三方弁
6 第一液体流路
7 第二液体流路
8 第三液体流路
15 ピストン
21 バルブシリンダ(ハウジング)
22a,22b 弁体
31 パウチ容器(容器)
32 上部開口(充填口)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留タンク内の液体製品を充填シリンダ内に吸入した後、該液体製品を所定の容器の充填口に対して進退する充填ノズルから吐出することで、前記容器内に液体製品を定量充填する液体定量充填の制御方法であって、
前記充填シリンダに接続される第一液体流路が、前記貯留タンク及び充填ノズルにそれぞれ接続される第二及び第三液体流路に三方弁を介して連通し、該三方弁がタンク側連通状態又はノズル側連通状態に切り替わることで、前記貯留タンクから充填シリンダ内に液体製品を吸入した後に、該液体製品を充填ノズルより吐出可能とする液体定量充填の制御方法において、
前記三方弁がタンク側連通状態にあるときに、前記充填シリンダ内のピストンが液体吸入側にストロークし、前記貯留タンクから充填シリンダ内に前記容器への充填量に所定の余剰分を加えた量の液体製品を吸入する液体吸入工程と、
前記液体吸入工程後かつ前記三方弁がタンク側連通状態のままであるときに、前記ピストンが液体吐出側にストロークし、前記充填シリンダ内の液体製品の余剰分を貯留タンクに戻すと共に、前記充填ノズルが容器内の所定深さまで進入するノズル進入工程と、
前記ノズル進入工程後かつ前記三方弁がノズル側連通状態に切り替わった後に、前記ピストンが液体吐出側にさらにストロークし、前記充填シリンダ内の液体製品を容器内に定量充填する定量充填工程とを備えることを特徴とする液体定量充填の制御方法。
【請求項2】
前記定量充填工程後かつ前記三方弁がタンク側連通状態に切り替わった後に、前記ピストンが液体吐出側の限界位置までストロークし、前記充填シリンダ内に残る液体製品の余剰分を貯留タンクに戻すと共に、前記充填ノズルが容器外に退避するノズル退避工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体定量充填の制御方法。
【請求項3】
前記三方弁が、ハウジング内で弁体を往復動させるストローク式とされることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体定量充填の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−110803(P2008−110803A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296454(P2006−296454)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】