説明

液体微粒化装置および液体微粒化方法

【課題】簡易な機構で液体を微粒化して外部に吐出する液体微粒化装置を提供する。
【解決手段】液体微粒化装置100は、液体収容部400から供給された液体を微粒化して吐出するものであり、少なくとも吐出部20と加熱部30とを備える。吐出部20は、液体通路部10を通じて液体収容部400から供給された液体を外部へ吐出するものである。加熱部30は、吐出部20の所定の範囲(先端付近)を所定の温度で加熱するものである。また、加熱部30により加熱する所定の温度とは、吐出部20内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、吐出部20内に蒸気泡を生成させる温度が想定される。加熱部30により吐出部20の所定の範囲を加熱することにより、吐出部20内に蒸気泡ができる。この蒸気泡が成長すると吐出部20内の液体が外部に吐出し、液体は微粒化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を微粒化させる液体微粒化装置および液体微粒化方法に関し、特に、熱エネルギーを利用した液体微粒化装置および液体微粒化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を微粒化する方法には、圧力エネルギーを利用した方法、気体エネルギーを利用した方法、遠心力を利用した方法、振動を利用した方法、熱エネルギーを利用した方法などがあった。このうち、熱エネルギーを利用した液体の微粒化法には、バブルジェット(登録商標)方式、減圧沸騰による微粒化法、スプレーフラッシュ微粒化法がある。
【0003】
このうちバブルジェット(登録商標)方式は、インク内に設置した微小ヒーターに時間幅が数マイクロ秒程度の極めて短いパルス電力を加えて、数(pl)程度の単一の液滴をノズルから吐出させる方式である(非特許文献1)。また、減圧沸騰による微粒化法は、微小径ノズルから高圧の液体を常圧場に噴射することで液体を微粒化するものである(非特許文献2)。スプレーフラッシュ微粒化法は、加熱した液体を微小径ノズルから減圧容器に噴射して減圧沸騰を生じさせて微粒化するものである(非特許文献3)。
【非特許文献1】日本流体力学会 和文機関紙「ながれ」 第24巻第6号603頁〜608頁 「バブルジェット(登録商標)プリンタの開発」(浅井朗)
【非特許文献2】日本機械学会論文集(第2部) 43巻376号(1977年) 「減圧沸騰による液体の微粒化」(須磨誓、小泉睦男)
【非特許文献3】日本機械学会論文集(B編) 61巻584号(1995年4月号) 「減圧場における過熱水のスプレーフラッシュと微粒化の機構」(瀧本昭、Erasmus Mhina RETER、林勇二郎)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バブルジェット(登録商標)方式は、数(pl)程度の単一の液滴を吐出するものに過ぎず、微粒化した液体を多量に吐出するものではない。また、バブルジェット(登録商標)方式は、インク内に設置した微小ヒーターに時間幅が数マイクロ秒程度の極めて短いパルス電力を加えるものであるため、ヒーターの制御に特別な制御回路を必要とする。したがって、装置の複雑化は避けられない。
【0005】
減圧沸騰による微粒化法においては液体を高圧にするための加圧装置が必要となり、スプレーフラッシュ微粒化法においては液体全体を加熱するための加熱装置が必要となり、バブルジェット(登録商標)方式と同様に装置全体が複雑化する。
【0006】
上記バブルジェット(登録商標)方式において必要なヒーターの制御回路や、減圧沸騰による微粒化法において用いられる液体を高圧にするための加圧装置や、スプレーフラッシュ微粒化法において用いられる液体全体を加熱するための加熱装置のような特別な装置を用いない簡易な機構で液体を微粒化して外部に吐出できる装置があれば、液体を微粒化する装置の応用範囲が拡がり便利である。
【0007】
そこで、本発明は、簡易な機構で液体を微粒化して外部に吐出する液体微粒化装置および簡易な方法で液体を微粒化して外部に吐出する液体微粒化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の液体微粒化装置は、供給された液体を外部へ吐出する吐出部と、上記吐出部の所定の範囲を所定の温度で加熱する加熱部とを具備し、上記吐出部の上記所定の範囲を上記所定の温度で加熱し続けることにより上記吐出部内に蒸気泡を生成させ、上記液体を上記蒸気泡により上記吐出部から吐出させて、上記吐出部から吐出させた上記液体と外部との温度差を利用して上記液体を微粒化することを特徴とするものである。これにより、吐出部から吐出した液体を微粒化させるという作用をもたらす。すなわち、上記吐出部と上記加熱部さえ備えていれば、他に特別な装置を備えなくても液体を微粒化することができる。
【0009】
また、本発明の液体微粒化装置において、上記加熱部で加熱する上記吐出部の所定の範囲は、上記吐出部の先端付近であることを特徴とする。これにより、吐出部から吐出した液体を円滑に微粒化させるという作用をもたらす。
【0010】
また、本発明の液体微粒化装置において、上記吐出部は、複数のノズル部材により構成され、上記加熱部は、上記複数のノズル部材のそれぞれの所定の範囲を上記所定の温度で加熱する複数のノズル加熱部により構成されていることを特徴とする。これにより、多量の液体を一度に微粒化させるという作用をもたらす。
【0011】
また、本発明の液体微粒化装置において、上記複数のノズル部材のそれぞれに設けられ、上記複数のノズル部材における液体の通路を遮断する複数のノズル弁と、上記複数のノズル部材のいずれから液体を吐出して微粒化するかの選択を受け付けるノズル弁選択操作部と、上記ノズル弁選択操作部における選択に対応するノズル弁に上記液体の通路を遮断させるノズル弁駆動部とをさらに具備することを特徴とする。これにより、所望の量の液体を一度に微粒化させるという作用をもたらす。
【0012】
また、本発明の液体微粒化装置において、上記吐出部の所定の位置に上記蒸気泡および液体の逆流を防ぐ逆流防止弁を設けたことを特徴とする。これにより、蒸気泡および液体を液体の供給元に逆流させないという作用をもたらす。
【0013】
また、本発明の液体微粒化装置において、上記逆流防止弁は、上記液体を通過させる領域である弁室を備えた弁本体と、上記弁室内に移動自由な状態で置かれた移動体と、上記移動体と嵌合する形状をしており、上記弁室における液体の入り口となる入り口開口を有した液体入り口部と、上記弁室における液体の出口となる少なくとも2つの出口開口を有しており、上記少なくとも2つの出口開口が上記移動体により同時に閉じられない位置に設けられている液体出口部とを備え、上記弁室内で上記液体の逆流が生じた場合に、その逆流により上記移動体が移動して上記液体入り口部と嵌合することにより上記入り口開口を閉じることを特徴とする。これにより、上記移動体により蒸気泡を液体の供給元に逆流させないという作用をもたらす。
【0014】
また、本発明の液体微粒化装置において、上記所定の温度は、少なくとも上記吐出部内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、上記蒸気泡を生成させる温度であることを特徴とする。これにより、吐出部内に蒸気泡を生成させるという作用をもたらす。
【0015】
また、本発明の液体微粒化方法は、供給された液体を外部へ吐出する吐出部から吐出された液体を微粒化する液体微粒化方法であって、上記吐出部の所定の範囲を所定の温度で加熱し続けることにより上記吐出部内に蒸気泡を生成させ、上記液体を上記蒸気泡により上記吐出部から吐出させて、上記吐出部から吐出させた上記液体と外部との温度差を利用して上記液体を微粒化することを特徴とするものである。これにより、吐出部から吐出した液体を微粒化させるという作用をもたらす。
【0016】
また、本発明の液体微粒化方法において、上記加熱する上記吐出部の所定の範囲は、上記吐出部の先端付近であることを特徴とする。これにより、吐出部から吐出した液体を円滑に微粒化させるという作用をもたらす。
【0017】
また、本発明の液体微粒化方法において、上記所定の温度は、少なくとも上記吐出部内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、上記蒸気泡を生成させる温度であることを特徴とする。これにより、吐出部内に蒸気泡を生成させるという作用をもたらす。
【0018】
また、本発明の液体微粒化装置は、液体を収容する開口を有した液体収容部と、上記開口から流出する液体の通路である液体通路部と、上記液体通路部の終端に設けられ、上記液体通路部から供給された液体を外部へ吐出する吐出部と、上記吐出部の所定の範囲を少なくとも上記吐出部内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、上記蒸気泡を生成させる温度で加熱する加熱部とを具備し、上記吐出部の上記所定の範囲を上記温度で加熱し続けることにより上記吐出部内に蒸気泡を生成させ、上記液体を上記蒸気泡により上記吐出部から吐出させて、上記吐出部から吐出させた上記液体と外部との温度差を利用して上記液体を微粒化することを特徴とするものである。これにより、吐出部から吐出した液体を微粒化させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、液体の微粒化を簡易な機構で実現することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態における液体微粒化装置100を示すものである。図1(a)は、液体収容部400および液体微粒化装置100を示す図である。液体微粒化装置100は、液体収容部400から供給された液体を微粒化して吐出するものであり、液体通路部10と、吐出部20と、加熱部30と、逆流防止弁40とを備える。
【0022】
なお、上記説明においては、液体微粒化装置100と液体収容部400とを別の装置として構成しているが、液体微粒化装置100に液体収容部400をも加えたものを本発明における液体微粒化装置としてもよい。また、液体通路部10または逆流防止弁40を液体微粒化装置100外のものとして捉え、上記液体微粒化装置100の構成から液体通路部10または逆流防止弁40を除外したものも本発明における液体微粒化装置としてもよい。
【0023】
液体通路部10は、液体収容部400の開口から流出する液体の通路である。吐出部20と、加熱部30と、逆流防止弁40とは、図1(b)を参照して説明することとする。図1(b)は、図1(a)における楕円領域Aの拡大図である。
【0024】
吐出部20は、液体通路部10を通じて液体収容部400から供給された液体を外部へ吐出するものである。吐出部20として、例えばガラス管のような管状のノズル部材が想定されるが、これに限るものではない。そして、吐出部20は、液体通路部10の終端に連結されている。
【0025】
加熱部30は、吐出部20の所定の範囲を所定の温度で加熱するものである。吐出部20の所定の範囲として、吐出部20の先端部付近(例えば吐出部20の先端部より約1.5mm上方にある吐出部20の外周付近)が想定されるが、これに限るものではない。また、加熱部30により加熱する所定の温度とは、少なくとも吐出部20内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、吐出部20内に蒸気泡を生成させることができる温度が想定される。
【0026】
上記加熱部30の構成として、例えば、加熱部材31と、電力供給部32とを備えた構成が想定されるが、これに限るものではない。以下に加熱部30を上記のように構成した場合について説明する。
【0027】
電力供給部32は、加熱部材31に所定の電力を供給するものである。電力供給部32は、加熱部材31に所定の電力を供給する構成で足りる。このため、電力供給部32は、例えば電源32aと加熱部材31とを直列に接続した簡易な直列回路であってもよい。なお、電源32aは、直流電源または交流電源のいずれであってもよい。これにより、複雑な回路構成としなくても液体の微粒化を実現することができる。
【0028】
加熱部材31は、電力供給部32から供給された電力を熱エネルギーに変換するものである。加熱部材31として、例えばヒーター線を吐出部20の周囲に巻いたものが想定されるが、これに限るものではない。
【0029】
図1(b)において加熱部材31は、吐出部20の先端付近の外周に設けられているが、これに限るものではなく、吐出部20の先端付近の内部に設ける構造であってもよい。すなわち、吐出部20の先端部付近を加熱することができれば、加熱部材31を配する位置はどこであってもよい。
【0030】
上記説明した加熱部30により吐出部20の先端付近を加熱し続けると、吐出部20内の液体が過熱限界温度に達する。吐出部20内の液体が過熱限界温度に達すると、液体と吐出部20の内側面との界面において自発核生成によると思われる沸騰が生じ、この時の液体の温度に対応する飽和圧力を有した蒸気泡が生成され始める。そして、吐出部20内の液体の温度がどんどん上昇していくと同時に、その蒸気泡もどんどん成長していく。その蒸気泡の成長により液体は吐出部20から吐出され、吐出された液体は、液体自身と外部との温度差による圧力差により微粒化される。このメカニズムについてはさらに後述する。
【0031】
逆流防止弁40は、吐出部20の所定の位置に設けられており、吐出部20内にある蒸気泡および液体が液体通路部10内に逆流することを防ぐものである。すなわち、吐出部20内において、例えば蒸気泡の膨張に伴う液体の逆流が発生すると逆流防止弁40は弁を閉じ、吐出部20内にある蒸気泡および液体が液体通路部10へ移動することを防ぐ。
【0032】
一方、逆流防止弁40は、液体通路部10から吐出部20へ液体が流れ込む際は弁を開き、液体通路部10から吐出部20への液体の流れを妨げない。なお、逆流防止弁40が設けられる吐出部20の所定の位置として、吐出部20の後端部が想定されるが、これに限るものではない。逆流防止弁40の構造の一例を別途図2において説明することとするが、以上のような動作を行うことができれば、逆流防止弁40はどのような構造であってもよい。
【0033】
液体微粒化装置100により液体を微粒化する過程や実験結果は後述するが、液体微粒化装置100は、加熱等の特別な処理を何ら施していない液体を吐出部20に供給して、吐出部20の先端付近を加熱部30により所定の温度で加熱し続けるという方式で液体の微粒化を実現した。そして、この加熱部30もバブルジェット(登録商標)方式において行われているヒーターに時間幅が数マイクロ秒程度の極めて短いパルス電力を加えるというような特別な制御を必要としない。この意味で、液体微粒化装置100は従来にはない新たな方式の液体微粒化装置であると言える。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態における液体微粒化装置100の逆流防止弁40の構造の一例を示すものである。図2(a)は、液体微粒化装置100の逆流防止弁40付近の斜視図である。逆流防止弁40は、吐出部20の後端部に設けられており、図2(a)に示すように液体通路部10と吐出部20との間に位置する。
【0035】
図2(b)は、図2(a)におけるB−B断面図である。逆流防止弁40は、図2(b)に示すように、弁本体41と、移動体42とにより構成されている。弁本体41は、弁室43を備えており、液体通路部10と吐出部20とを連通させている。
【0036】
移動体42は、弁室43内に移動自由な状態で置かれている。移動体42の形状として、球形状や楕円球形状が想定されるが、これに限るものではない。液体通路部10の終端11は、液体通路部10から弁室43に供給される液体の入り口に相当する。液体通路部10の終端11は、図2(b)に示すように移動体42の一部が嵌合する形状になっている。そして、液体通路部10の終端11の開口12は、移動体42の一部が液体通路部10の終端11に嵌合すると、閉じられる。なお、図2(b)における液体通路部10の終端11の形状を弁本体41に設けるようにしてもよい。
【0037】
吐出部20から液体通路部10へ向かう液体の流れが生じると、移動体42は液体通路部10に向かう方向に移動させられるが、液体通路部10の終端11と嵌合して開口12を閉じるため、吐出部20から液体通路部10へ向かう液体の流れを阻止することができる。これにより、吐出部20内で生成された蒸気泡が液体通路部10へ移動することを阻止することができる。
【0038】
一方、吐出部20の終端21は、弁室43内の液体の出口に相当する。吐出部20の終端21は、少なくとも2つの開口を有している。そして、この少なくとも2つの開口は、移動体42により同時に閉じられない位置に設けられている。図2(b)において吐出部20の終端21における開口は3つ設けられており、それは開口23a、開口23bおよび開口24である。開口23aおよび開口23bは、それぞれ傾斜面22aおよび22bに設けられている。この開口23aおよび23bの形状として、例えばくさび形状が想定されるが、これに限るものではない。また、開口24は、傾斜面22aと22bとの間の面25に設けられている。なお、開口23aと、開口23bと、開口24とが繋がって、全体として一つの開口となっていてもよい。本発明において液体の出口である少なくとも2つの開口は、移動体42により同時に閉じることができない開口を指しており、必ずしも独立した複数の開口を指し示すものではない。したがって、独立した開口の数が1つであっても本発明の少なくとも2つの開口に相当する場合はある。なお、図2(b)における吐出部20の終端21の形状を弁本体41に設けるようにしてもよい。
【0039】
図2(c)は、図2(b)を90度回転させた図である。図2(b)を90度回転させると、図2(c)に示すように傾斜面22aが正面にくる。そして、開口23aは、傾斜面22aの上端付近をくさび形状に切り取った形状をしている。図2(b)を上記とは逆方向に90度回転させた場合も、上記図2(c)と同様の外観になる。この場合、図2(c)の傾斜面22aは傾斜面22bとなり、開口23aは開口23bとなる。
【0040】
吐出部20の終端21を上記のように構成すると、図2(c)に示すように移動体42が吐出部20の終端21の開口24を閉じてしまっても、開口23aおよび開口23bは閉じられない。このため、移動体42は、液体通路部10から吐出部20への液体の流れを移動体42は妨げない。
【0041】
図3は、本発明の別の実施の形態における液体微粒化装置を示すものである。図3(a)は、本発明の別の実施の形態における液体微粒化装置200を示すものである。液体微粒化装置200は、液体通路部210と、ノズル部材221乃至223により構成される吐出部群と、ノズル加熱部231乃至233により構成される加熱部群と、逆流防止弁240とを備える。なお、液体微粒化装置200において液体微粒化装置100と同じ機能を有するものについては、同じ名称を用いることとする。
【0042】
液体通路部210と逆流防止弁240とについては、図1および図2において説明済みであるため、説明を省略することとする。吐出部群は、液体微粒化装置100における吐出部20に対応するもの(ノズル部材)が複数集まったものであり、例えばガラス管のような管状のノズル部材(ノズル部材221乃至223)により構成されるものである。この吐出部群から液体が吐出され微粒化される。
【0043】
加熱部群は、液体微粒化装置100における加熱部30に対応するもの(ノズル加熱部材)が複数集まったもの(ノズル加熱部231乃至233)である。加熱部群を構成するノズル加熱部231乃至233は、吐出部群を構成するノズル部材221乃至223のそれぞれの先端付近に設けることが想定される。すなわち、ノズル部材221の先端付近にノズル加熱部231を設け、ノズル部材222の先端付近にノズル加熱部232を設け、ノズル部材223の先端付近にノズル加熱部233を設ける。ノズル加熱部231乃至233は、それぞれノズル部材221乃至223の先端付近を加熱する。
【0044】
なお、上記において液体微粒化装置200における吐出部群を構成するノズル部材および加熱部群を構成するノズル加熱部の数を3つとした場合について説明したが、これに限るものではなく、2つ以上あればいくつあってもよい。また、吐出部20および加熱部30について図1で説明した事項は上記吐出部群および加熱部群にも当てはまり、そのことは図1で説明済みであるため、その説明を省略することとする。
【0045】
液体微粒化装置200によれば、液体微粒化装置100よりも微粒化した液体を多量に吐出することができる。そして、吐出群を構成するノズル部材および加熱部群を構成するノズル加熱部の数を用途に応じて変えれば、所望の量の液体を吐出して微粒化させることができる。
【0046】
図3(b)は、本発明の別の実施の形態における液体微粒化装置300を示すものである。液体微粒化装置300は、液体通路部310と、ノズル部材321乃至323により構成される吐出部群と、ノズル加熱部331乃至333により構成される加熱部群と、逆流防止弁340と、ノズル弁351乃至353により構成されるノズル弁群と、ノズル弁選択操作部360と、ノズル弁駆動部370とを備える。
【0047】
なお、液体微粒化装置300においても液体微粒化装置100および200と同じ機能を有するものについては、同じ名称を用いることとする。したがって、液体通路部310と、吐出部群と、加熱部群と、逆流防止弁340とについては既に説明済みであるため、説明を省略することとする。
【0048】
液体微粒化装置300は、図3(a)で説明した液体微粒化装置200とほぼ同じ構成になっている。液体微粒化装置300と液体微粒化装置200との相違点は、ノズル弁群と、ノズル弁選択操作部360と、ノズル弁駆動部370とが液体微粒化装置300には別途設けられていることである。
【0049】
ノズル弁群は、ノズル部材における液体の通路を遮断するノズル弁が複数集まったものであり、吐出部群を構成するノズル部材321乃至323のそれぞれに設けられている。図3(b)においてノズル弁群の一例が示されており、ノズル弁351はノズル部材321の一端に設けられており、ノズル弁352はノズル部材322の一端に設けられており、ノズル弁353はノズル部材323の一端に設けられている。
【0050】
ノズル弁選択操作部360は、ノズル部材321乃至323のいずれから液体を吐出して微粒化させるかの選択を受け付けるものである。ノズル弁駆動部370は、ノズル弁選択操作部360において受け付けた選択に応じて、ノズル弁351乃至353のいずれかを駆動させるものである。
【0051】
例えば、ノズル部材321およびノズル部材323のみから液体を吐出して微粒化させるという場合、ノズル弁選択操作部360においてノズル部材321およびノズル部材323のみを選択する。ノズル弁選択操作部360においてノズル部材321およびノズル部材323のみが選択されると、ノズル弁駆動部370は、ノズル弁351およびノズル弁353を開かせ、ノズル弁352を閉じさせる。
【0052】
なお、ノズル弁を閉じると、そのノズル部材から液体が吐出されなくなるため、ノズル弁を閉じたノズル部材に設けられたノズル加熱部における加熱を停止するように構成してもよい。この場合、ノズル弁駆動部370がノズル弁を閉じさせると、そのノズル弁に対応するノズル加熱部の電力供給回路のスイッチがOFFになるようにする。一方、ノズル弁駆動部370がノズル弁を開かせると、そのノズル弁に対応するノズル加熱部の電力供給回路のスイッチがONになるようにするとよい。以上のように液体微粒化装置300を構成すると、図3(b)に示すようになる。
【0053】
図4は、本発明の実施の形態における液体微粒化装置100において液体が微粒化される過程を示すものである。吐出部20に液体が供給された状態で加熱部30により吐出部20の先端付近の液体を加熱し続けると、吐出部20内の液体が過熱限界温度に達する。吐出部20内の液体が過熱限界温度に達すると、液体と吐出部20の内側面との界面において自発核生成によると思われる沸騰が生じ、図4(a)に示すようにこの時の液体の温度に対応する飽和圧力を有した蒸気泡110が生成され始める。
【0054】
そして、加熱部30により吐出部20の先端付近の液体を加熱し続けると、時間の経過とともに、吐出部20において高圧力の蒸気泡110が成長して図4(b)の状態になる。蒸気泡110が成長すると、蒸気泡110の前方の液体が蒸気泡110により押し出され、吐出部20から柱形状の液柱120として吐出される。さらに、加熱部30により吐出部20の先端付近の液体を加熱し続けると、図4(c)に示すように蒸気泡110がさらに成長して、蒸気泡110の前方の液体が押し出され、液柱120はどんどん伸びていく。
【0055】
吐出部20から吐出された液柱120は、吐出部20から吐出される前は吐出部20内で加熱部30により加熱されており、高温状態にある。このため、吐出部20から吐出された液柱120は、外部との温度差による圧力差によって、図4(c)に示すように一部蒸気化して微粒化した液体130になり始めると推測される。この外部との温度差による圧力差による液柱120の微粒化は、図4(d)に示すようにどんどん拡がっていく。
【0056】
その間にも、加熱部30は吐出部20を加熱し続けており、吐出部20内における蒸気泡110はどんどん成長して、図4(d)に示すように吐出部20の先端を超えて吐出部20の外部に飛び出す。なお、蒸気泡の成長速度は、液柱120の進行方向速度よりも大きいと思われる。このため、この吐出部20の外部に飛び出した蒸気泡は、液柱120に激突する。また、吐出部20の外部に飛び出した蒸気泡は、外部においてさらに成長して大きくなり、吐出された液体の塊を細かくする。上記説明した吐出部20の外部に飛び出した蒸気泡の作用も、液柱120が微粒化される要因になっていると推測される。
【0057】
そして、所定時間経過すると以上説明した要因により、図4(e)に示すように液柱120は完全に微粒化される。なお、図4(c)から図4(e)のいずれのタイミングかは確認していないが、図4(c)から図4(e)のいずれかのタイミングで破裂音が生じることを本願出願人は確認している。
【0058】
また、蒸気泡110は、図4(d)から図4(e)の際に蒸気泡110の後方から供給される液体により吐出部20の外に向かって押し出される。最終的に蒸気泡110は、全て吐出部20外に押し出される。そして、図4(f)に示すように加熱部30付近の液体が加熱部30により加熱され、上記蒸気泡110と同様の過程で新たに蒸気泡111が生成され始める。この蒸気泡111は、加熱部30の加熱により成長して図4(b)から図4(f)までの動作が行われる。以上の動作は、加熱部30が吐出部20の先端付近の液体の加熱を停止するまで、液体微粒化装置100において繰り返し行われる。
【0059】
以上のように液体微粒化装置100においては、吐出部20から吐出される液体が最初から微粒化された状態にあるわけではなく、吐出部20から吐出された微粒化されていない液柱120が、液柱120自身と外部との温度差と、吐出部20内で生成された蒸気泡110の成長等により微粒化されると推測される。
【0060】
また、図4(a)から図4(f)までを1周期と考えると、液体微粒化装置100は、液体を吐出してその液体を微粒化する動作を1周期としたパルス的微粒化動作を連続して行うことができると言うことができる。
【0061】
次に、本発明の実施の形態における液体微粒化装置100によって水を微粒化する実験および結果について図面を参照して説明する。
【0062】
図5は、図1(a)に示した液体微粒化装置100で水の微粒化を行った際の水の微粒化の様子を示す写真である。吐出部20として、ガラス管を用いた。このガラス管は、円筒形状をしており、内径が0.2(mm)で外径が0.7(mm)である。
【0063】
また、加熱部材31として、0.1(mm)のヒーター線を用いた。そして、そのヒーター線をガラス管の先端から1.5(mm)離れた所から約10(Ω)に相当する抵抗分ガラス管に巻き付けた。さらに、ヒーター線に供給する電力を約1.6(W)とした。なお、図5に示す写真においては、ガラス管の先端付近についてのみ表示してあり、ヒーター線部分については表示していない。
【0064】
液体収容部400には水を入れ、液体通路部10を通じてガラス管に水を送る。そして、ヒーター線に電力を供給するため、電力供給回路のスイッチをONにする。そして、予めセットしておいたビデオカメラによりガラス管の先端付近を撮影する。なお、この際の撮影速度は16000(fps)で、シャッター速度は1/109000(s)である。図5の写真においてガラス管の先端から水が吐出される時刻をt=0(μs)としてある。
【0065】
時刻t=0において水がガラス管の先端から飛び出す。時刻t=62.5(μs)、0.19(ms)、0.5(ms)、0.625(ms)に示す写真から明らかなように、ガラス管から飛び出した水は、柱形状を維持したまま前方に進む。
【0066】
そして、時刻t=0.688(ms)において、ガラス管から飛び出した水の先頭付近は、未だ柱形状を維持しているが、ガラス管から飛び出した水の後ろの方の部分は、柱形状が崩れて周囲に拡がっている。これは、ガラス管から飛び出した水の後ろの方の部分において水の微粒化が開始したからであると言える。
【0067】
また、時刻t=0.625(ms)以前のガラス管内の様子と時刻t=0.688(ms)以後のガラス管内の様子とを比較すると、ガラス管内の色が相違する。すなわち、時刻t=0.625(ms)以前のガラス管内の色は白い部分が多く見られ、時刻t=0.688(ms)以後のガラス管内の色は白い部分が少なくなっている。この色の相違の理由は、時刻t=0.625(ms)以前のガラス管内においては先端部分に未だ水が残っており、時刻t=0.688(ms)以後のガラス管内においては蒸気泡が成長して、ガラス管の先端付近の水をほとんど押し出してしまったからであると推測される。
【0068】
時刻t=0.750(ms)においては、ガラス管から飛び出した水の真ん中付近も柱形状が崩れて周囲に拡がっている。これは、ガラス管から飛び出した水の真ん中付近においても水の微粒化が開始したからであると言える。そして、時刻t=0.938(ms)においては、ガラス管から飛び出した水の先頭付近まで微粒化している。
【0069】
図6は、図1(a)に示した液体微粒化装置100で図5における水の微粒化の場合とは条件を変えて、水の微粒化を行った際の水の微粒化の様子を示す写真である。図5における水の微粒化の実験から変えた条件とは、ヒーター線に供給する電力量である。図6においては、ヒーター線に供給する電力を約2.47(W)とした。
【0070】
なお、図6の場合の撮影速度は32000(fps)で、シャッター速度は1/272000(s)である。図6の写真においてガラス管の先端から水が吐出される時刻をt=0(μs)としてある。
【0071】
図6の写真においてフレーム18からガラス管から吐出された柱形状の水の形状が崩れ始め出している。フレーム22(時刻t=0.2ms)においては柱形状の水の先端以外の形状は完全に崩れてしまっている。そして、フレーム35(時刻t=0.4375ms)において水は完全に微粒化している。図6の条件で水の微粒化を行う場合、図5の条件で水の微粒化を行う場合に比べてより短時間で水を微粒化している。
【0072】
また、ガラス管内を見ると、フレーム20以前のフレームにおいてガラス管内は水で満たされていることが分かる。一方、フレーム21におけるガラス管内を見ると、ガラス管内の色が変わり始め出しており、段々とガラス管内の蒸気泡が成長してきていることが分かる。そして、フレーム22においてガラス管内の色を見れば明らかなように、蒸気泡はガラス管の先端まで成長したことが分かる。蒸気泡がガラス管の吐出口の外に向かって成長する速度と柱形状の水が進行する速度とを比べると、蒸気泡がガラス管の吐出口の外に向かって成長する速度の方が大きいことが図6の写真を見ると分かる。
【0073】
図7は、図1(a)に示した液体微粒化装置100で水の微粒化を行った際の吐出部20内における蒸気泡の成長の様子を示す写真である。図7の写真において吐出部20としてガラス管を用い、加熱部30としてヒーターを用いている。
【0074】
フレーム3(時刻t=31.25μs)において加熱部の中央よりも左側付近に蒸気泡が生成されている様子がフレーム3に写真において黒い点として示されている。その後、蒸気泡は、時間が経過するにつれてガラス管の外側に向かって成長する。この様子がフレーム4からフレーム25に対応する写真において示されている。そして、フレーム26(時刻t=0.75ms)において蒸気泡は、ガラス管の先端を飛び出すまでに成長している。
【0075】
図8は、図1(a)に示した液体微粒化装置100で連続して水の微粒化を行った際の水の微粒化の様子を示す写真である。図5および図6に示した水の微粒化の様子を示す写真は、水が微粒化されるまでの1周期を表すものであるが、図8に示した水の微粒化の様子を示す写真は、水が微粒化される様子を9周期に渡って表したものである。
【0076】
図8においてガラス管として、内径が0.29(mm)で外径が1.1(mm)のガラス管を用いた。また、ヒーター線に供給する電力を約1.1(W)とした。また、シャッター速度を1/272000(s)として水の微粒化の様子を撮影した。
【0077】
図8の写真においては、水が微粒化された状態の写真(フレーム49、フレーム416、フレーム839、フレーム1243、フレーム1630、フレーム2009、フレーム2370、フレーム2731、フレーム3093)が9つ示してある。9つの写真それぞれの微粒化される過程は、図5または図6に示したものと同様である。
【0078】
図8においては9周期に渡って水の微粒化の様子を示してあるが、1周期の平均時間Δt=0.1925(s)(最大周期=0.2115s、最小周期=0.1805s)であった。したがって、図8における条件で行った水の微粒化の周波数は、約5.26(Hz)となる。図8における写真から分かるように、図5および図6に示した水が微粒化するまでの1周期の様子は、再現性のある現象であることが分かる。
【0079】
また、図8における液体微粒化装置100で連続して水の微粒化を行った際のガラス管から吐出される水の温度Tを推算すると、約175(℃)と見積もれる。このときの水の飽和圧力は0.9(MPa)となる。この水の飽和圧力と大気圧との圧力差が、水を微粒化する駆動力の一因となっていると推測される。
【0080】
なお、ガラス管から吐出される水の温度Tは、以下の数1を用いて算出した。
【数1】

【0081】
加熱される水の質量mは、ガラス管の内径が0.29(mm)であるため、約3.3×10―7(kg)となるが、実際にガラス管から1回に吐出される水の量はこの半分となる。したがって、加熱される水の質量mは、約1.65×10―7(kg)となる。また、ガラス管の加熱量Qは、約1.1(W)で、その際の水が微粒化される1周期Δtは、上記示したように約0.19(s)となる。初期状態における水の温度Tを25(℃)とし、水の比熱Cを4.2×10(J/(kgK))とした。
【0082】
さらに本願出願人は、ヒーター線に供給する電力量を変えた際の水の微粒化の周波数fの変化の様子を図1(a)に示した液体微粒化装置100において行った。その結果を、ガラス管単位長さ当たりの加熱量Q´と水の微粒化の周波数fとの関係として表1に示す。
【表1】

【0083】
表1によると、ガラス管単位長さ当たりの加熱量Q´を増やすことで水の微粒化の周波数fがほぼ直線的に増加することが確認できる。このことは、ガラス管から吐出される水の温度Tがガラス管単位長さ当たりの加熱量Q´によらず一定であることを示している。また、ガラス管単位長さ当たりの加熱量Q´とガラス管への水の供給量とを連動させて制御することにより、水の微粒化の周波数f(水を微粒化させる速度)を制御することが可能であることを示唆している。
【0084】
このように、本発明の実施の形態によれば、簡易な構成で液体の微粒化を実現することができる。すなわち、上記説明した吐出部および加熱部による構成のみで吐出部から吐出した液体を微粒化することができる。そして、加熱部は所定の温度で連続して加熱し続けられれば足り、特別な制御を必要としない。また、本発明の実施の形態によれば、液体全体を加熱する加熱装置や液体を加圧する加圧装置等の特別な機器も必要としない。
【0085】
さらに、本発明の実施の形態によれば、加熱部分が吐出部の所定の範囲(例えば、吐出部の先端付近)であるため、エネルギー損失が極めて少なく、装置の断熱も必要としない。このため、エネルギー効率に優れた液体の微粒化方法と言うことができる。
【0086】
なお、図5乃至図8において、本発明の液体微粒化装置100を用いて水の微粒化を行った場合を示したが、本願出願人は、液体微粒化装置100を用いて灯油等の液体状の燃料をも微粒化することができることを確認している。また、以上において説明した液体の微粒化は、液体の微粒化法として捉えてもよい。
【0087】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の活用例として、例えば石油ストーブなどの初期点火用の燃料気化装置に本発明を適用することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態における液体微粒化装置100を示すものである。
【図2】本発明の実施の形態における液体微粒化装置100の逆流防止弁40の構造の一例を示すものである。
【図3】本発明の別の実施の形態における液体微粒化装置を示すものである。
【図4】本発明の実施の形態における液体微粒化装置100において液体が微粒化される過程を示すものである。
【図5】図1(a)に示した液体微粒化装置100で水の微粒化を行った際の水の微粒化の様子を示す写真である。
【図6】図1(a)に示した液体微粒化装置100で図5における水の微粒化の場合とは条件を変えて、水の微粒化を行った際の水の微粒化の様子を示す写真である。
【図7】図1(a)に示した液体微粒化装置100で水の微粒化を行った際の吐出部20内における蒸気泡の成長の様子を示す写真である。
【図8】図1(a)に示した液体微粒化装置100で連続して水の微粒化を行った際の水の微粒化の様子を示す写真である。
【符号の説明】
【0090】
10、210、310 液体通路部
11、21 終端
12、23a、23b、24 開口
20 吐出部
22a、22b 傾斜面
30 加熱部
31 加熱部材
32 電力供給部
32a 電源
40、240、340 逆流防止弁
41 弁本体
42 移動体
43 弁室
44 紐
100、200、300 液体微粒化装置
110、110a、111 蒸気泡
221、222、223、321、322、323 ノズル部材
231、232、233、331、332、333 ノズル加熱部
351、352、353 ノズル弁
360 ノズル弁選択操作部
370 ノズル弁駆動部
400 液体収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された液体を外部へ吐出する吐出部と、
前記吐出部の所定の範囲を所定の温度で加熱する加熱部と
を具備し、
前記吐出部の前記所定の範囲を前記所定の温度で加熱し続けることにより前記吐出部内に蒸気泡を生成させ、前記液体を前記蒸気泡により前記吐出部から吐出させて、前記吐出部から吐出させた前記液体と外部との温度差を利用して前記液体を微粒化することを特徴とする液体微粒化装置。
【請求項2】
前記吐出部の所定の範囲は、前記吐出部の先端付近であることを特徴とする請求項1記載の液体微粒化装置。
【請求項3】
前記吐出部は、複数のノズル部材により構成され、
前記加熱部は、前記複数のノズル部材のそれぞれの所定の範囲を前記所定の温度で加熱する複数のノズル加熱部により構成されていることを特徴とする請求項1記載の液体微粒化装置。
【請求項4】
前記複数のノズル部材のそれぞれに設けられ、前記複数のノズル部材における液体の通路を遮断する複数のノズル弁と、
前記複数のノズル部材のいずれから液体を吐出して微粒化するかの選択を受け付けるノズル弁選択操作部と、
前記ノズル弁選択操作部における選択に対応するノズル弁に前記液体の通路を遮断させるノズル弁駆動部と
をさらに具備することを特徴とする請求項3記載の液体微粒化装置。
【請求項5】
前記吐出部の所定の位置に前記蒸気泡および液体の逆流を防ぐ逆流防止弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の液体微粒化装置。
【請求項6】
前記逆流防止弁は、
前記液体を通過させる領域である弁室を備えた弁本体と、
前記弁室内に移動自由な状態で置かれた移動体と、
前記移動体と嵌合する形状をしており、前記弁室における液体の入り口となる入り口開口を有した液体入り口部と、
前記弁室における液体の出口となる少なくとも2つの出口開口を有しており、前記少なくとも2つの出口開口が前記移動体により同時に閉じられない位置に設けられている液体出口部と
を備え、
前記弁室内で前記液体の逆流が生じた場合に、その逆流により前記移動体が移動して前記液体入り口部と嵌合することにより前記入り口開口を閉じることを特徴とする請求項5記載の液体微粒化装置。
【請求項7】
前記所定の温度は、少なくとも前記吐出部内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、前記蒸気泡を生成させる温度であることを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の液体微粒化装置。
【請求項8】
供給された液体を外部へ吐出する吐出部から吐出された液体を微粒化する液体微粒化方法であって、
前記吐出部の所定の範囲を所定の温度で加熱し続けることにより前記吐出部内に蒸気泡を生成させ、前記液体を前記蒸気泡により前記吐出部から吐出させて、前記吐出部から吐出させた前記液体と外部との温度差を利用して前記液体を微粒化することを特徴とする液体微粒化方法。
【請求項9】
前記加熱する前記吐出部の所定の範囲は、前記吐出部の先端付近であることを特徴とする請求項8記載の液体微粒化方法。
【請求項10】
前記所定の温度は、少なくとも前記吐出部内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、前記蒸気泡を生成させる温度であることを特徴とする請求項8および請求項9記載の液体微粒化方法。
【請求項11】
液体を収容する開口を有した液体収容部と、
前記開口から流出する液体の通路である液体通路部と、
前記液体通路部の終端に設けられ、前記液体通路部から供給された液体を外部へ吐出する吐出部と、
前記吐出部の所定の範囲を少なくとも前記吐出部内の液体に自発核生成による沸騰を生じさせ、前記蒸気泡を生成させる温度で加熱する加熱部と
を具備し、
前記吐出部の前記所定の範囲を前記温度で加熱し続けることにより前記吐出部内に蒸気泡を生成させ、前記液体を前記蒸気泡により前記吐出部から吐出させて、前記吐出部から吐出させた前記液体と外部との温度差を利用して前記液体を微粒化することを特徴とする液体微粒化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−136774(P2009−136774A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315967(P2007−315967)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】