説明

液体揮散装置

容器(10)、ノズル装置(12)、二次吸液芯(31)、および制御装置を備え、液体(11)を揮散または分配するのに使用できる装置が提供され、本装置中、容器は開放端(13)と液体(11)を備え;ノズルは、一次吸液芯と、液体と流体連通する第1の端部と、容器の開放端を通って延在し、開口部を有する第2の端部(14)とを備え;一次吸液芯は孔を通って延在し;二次吸液芯は、一次吸液芯と近接して延在し;および、二次吸液芯は、一次吸液芯と二次吸液芯との間の距離を制御する制御装置に固定的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、芳香剤および空気清浄剤、殺虫剤、空気浄化剤または消毒剤、アロマテラピー、防腐剤の分配、および他の類似の用途などの目的のために液体を揮散させる2つ以上の吸液芯を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭および公共の建物内で空気によって運ばれる臭気を、臭気マスキングまたは分解により抑制する効果的な手段に必要なものは、昆虫制御物質、アロマテラピー、防腐剤および消毒剤の分配と同様に、十分確立されている。これらの目的に、様々な種類の蒸気分配装置が使用されてきた。通常の種類の分配装置は、液体組成物の微細な液滴を空気中に噴射するエアゾール容器、乾燥時に蒸気を放出するゼラチン状物質を支持する皿様の装置、および、気化する液体が吸液芯を通して移送され、空気に曝される吸い上げ装置である。液体から空気中に蒸気を徐放する空気清浄装置が当該技術分野で周知である。例えば、米国特許公報(特許文献1)、米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)、米国特許公報(特許文献9)、米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、および米国特許公報(特許文献13)を参照されたい。また、加熱源により気化が増進される吸い上げ装置も周知である。例えば、米国特許公報(特許文献14)、米国特許公報(特許文献15)、米国特許公報(特許文献16)、米国特許公報(特許文献17)、米国特許公報(特許文献18)、米国特許公報(特許文献19)、米国特許公報(特許文献20)、米国特許公報(特許文献21)、米国特許公報(特許文献22)、および米国特許公報(特許文献23)を参照されたい。また、米国特許公報(特許文献24)、米国特許公報(特許文献25)、米国特許公報(特許文献26)、米国特許公報(特許文献27)、米国特許公報(特許文献28)、および(特許文献29)も参照されたい。
【0003】
しかし、液体が吸液芯から蒸発することに依存する現在の装置には、リザーバ内の液体を不均一な速度および組成で消耗するという欠点がある。例えば、米国特許公報(特許文献30)を参照されたい。蒸発速度の変化の原因は、吸液芯の蒸発面が蒸発プロセス中に、揮発性の低い樹脂で部分的に目詰まりする結果であることが多い。また、放出される蒸気の経時的な組成変化は、液体混合物の揮発性の高い構成成分の方がより速く蒸発することによる不均一な蒸発の結果であり、そのため、液体中に元の組成とは割合が異なる、異なった組成が残る。
【0004】
【特許文献1】米国特許第1,994,932号明細書
【特許文献2】米国特許第2,597,195号明細書
【特許文献3】米国特許第2,802,695号明細書
【特許文献4】米国特許第2,804,291号明細書
【特許文献5】米国特許第2,942,090号明細書
【特許文献6】米国特許第3,550,853号明細書
【特許文献7】米国特許第3,780,260号明細書
【特許文献8】米国特許第4,084,079号明細書
【特許文献9】米国特許第4,286,754号明細書
【特許文献10】米国特許第4,413,779号明細書
【特許文献11】米国特許第4,454,987号明細書
【特許文献12】米国特許第4,913,350号明細書
【特許文献13】米国特許第5,000,383号明細書
【特許文献14】米国特許第3,288,556号明細書
【特許文献15】米国特許第3,431,393号明細書
【特許文献16】米国特許第3,482,929号明細書
【特許文献17】米国特許第3,633,881号明細書
【特許文献18】米国特許第4,020,321号明細書
【特許文献19】米国特許第4,968,487号明細書
【特許文献20】米国特許第5,038,394号明細書
【特許文献21】米国特許第5,290,546号明細書
【特許文献22】米国特許第5,364,027号明細書
【特許文献23】米国特許第6,478,440号明細書
【特許文献24】米国特許第4,549,250号明細書
【特許文献25】米国特許第4,837,421号明細書
【特許文献26】米国特許第4,849,606号明細書
【特許文献27】米国特許第5,556,192号明細書
【特許文献28】米国特許第5,937,140号明細書
【特許文献29】国際公開第02/30220号パンフレット
【特許文献30】米国特許第4,663,081号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、装置の耐用寿命期間(例えば、30日)ずっと、液体組成を元の組成に実質的に維持しながら、液体を蒸気に揮散させる物質移動装置をもたらすことが非常に望ましい。更に、液体が揮散する速度を制御する能力を有し、それをタイマー、センサ、スイッチ、または遠隔操作装置を使用して電気的または機械的手段で制御することが望ましい。液体の蒸気相への揮散を自在に開始および停止できるか、または、異なる時に異なる液体溶液を均一に揮散できることが、とりわけ望ましい。更にまた、場合によっては、有効成分は、溶液中で安定でなければならず、且つ、第2の液体または触媒表面との反応でしか放出されてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、容器、ノズル装置、二次吸液芯、および制御装置を備え、液体を揮散または分配する装置を提供し、ここで、
容器は開放端と液体とを備え、
ノズルは、一次吸液芯と、液体と流体連通する第1の端部と、容器の開放端を通って延在し、開口部を有する第2の端部とを備え、一次吸液芯が孔を通って延在し、
二次吸液芯は、一次吸液芯と近接して延在し、および、
二次吸液芯は、一次吸液芯と二次吸液芯との間の距離を制御する制御装置に固定的に接続されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
好ましい容器またはリザーバ10を図1に表す。容器10は、任意の慣用的な器、瓶、または類似の装置とすることができ、閉鎖具またはキャップ20で密封することができる。容器10は、分配または揮散される液体または流体11を収容することができる。好ましい容器は、ノズル装置12を有する丸い瓶である。ノズル12は、任意の形状または形態とすることができ、好ましくは実質的に管状の形態である。ノズル12の一端は、流体11と流体連通している。もう一方の端部14は、好ましくは、容器開口部13を通って上向きに延在する。端部14は、直径が約0.01〜約5mm、好ましくは約0.1mm〜約5mm、更に好ましくは1.5mm未満である孔または開口部を有する。開口部13の外側に延在するノズル装置12の部分は、ノズル12を通して液体11を適度に揮散させることができる限り任意の長さ(例えば、約1〜約50mmなど)とすることができる。ノズル装置は、例えば、ポリマーまたはプラスチック(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなど)、または金属またはガラスなどの任意の材料から製造することができる。好ましくは、ノズル装置は、容器10を構成しているのと同じ材料(例えば、プラスチック)で製造されている。ノズルの直径が約2mm〜約15mm、好ましくは約5mm〜約10mmである。ノズルの内側に、本明細書では一次吸液芯と称されることが多い吸液芯(参照番号16)を備え、これは、例えば、綿、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維、または、吸い上げの目的に通常使用される他の任意の材料、またはこれらの2種類以上の組み合わせなど、液を吸い上げる任意の材料で製造することができる。一次吸液芯16は、好ましくは、端部14の上に約0.01〜約5mm、更に好ましくは1mm未満まで端部14の孔を通って外向きおよび上向きに延在し、図1では、先端15と称される。開口部13は、好ましくは、外部がねじ切りしてあるか、またはキャップ20に容易に接続できるように圧力嵌め接続を有する。開口部13の外部がねじ切りしてある場合、キャップ20は内部がねじ切りされ、容器の開口部13で螺着する。端部14は任意の形状とすることができるが、端部14は、例えば、鋭い円錐形状などの円錐形であることが好ましい。
【0008】
液体11を分配するため、容器10を二次吸液芯または吸い上げ装置31と組み合わせることができる。空気または蒸気に曝される二次吸液芯31の表面積は、曝される一次吸液芯の表面の少なくとも2倍、好ましくは5倍、更に好ましくは少なくとも15倍、最も好ましくは25倍より大きくてもよい。一次吸液芯および二次吸液芯はそれぞれ、必要に応じて、および好みに応じて、平面の形態、倒立若しくは直立したバスケットの形態、円筒状の形態、球状の形態、円錐の形態、ボウルの形態、または他の任意の形態の吸い上げ組成物のシートであってよい。また、それは、脱脂綿またはグラスウール様の材料の形態とすることができるか、または、スポンジ様の組成物とすることができる。有効成分を放出する化学反応を増進させる目的のため、吸液芯16および31、とりわけ、二次吸液芯31に、任意に、反応性または触媒性表面をコーティングすることができる。二次吸液芯31は、また、液体11と直ぐに反応できる物質を含むか、または含浸し、そのため、例えば、空気消臭を提供する第2の生成物を生成してもよい。一次吸液芯および二次吸液芯を同じまたは異なる吸い上げ材料で製造してもよい。例としては、ガラス繊維、グラスウール、天然ポリマー(紙および綿などのセルロースなど)、合成ポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、様々なゴム、エラストマー、およびナイロンなど)、またはこれらの2種類以上の組み合わせが挙げられる。材料は、紙、布、繊維、多孔質スポンジ、吸液芯をベースにする筆記用ペン、またはこれらの2つ以上の組み合わせの形態とすることができる。
【0009】
図2A、図2B、図2C、図2Dおよび図2Eは、本発明の幾つかの好ましい実施形態を表す。図2Aでは、吸い上げ装置30は、容器10の先端15と非常に近接している二次吸液芯31、および、吸液芯31と先端15との間の距離を制御する制御装置32を備える。吸液芯31は、前記に開示される任意の形態または形状とすることができる。図2Aおよび図2Eに示されているのは、ボウルまたはバスケットの形状である。図2Bおよび図2Dに示されているのは、倒置されているボウルまたはバスケットの形状である。図2Cは、ドラムの形状を示す。「近接」の用語は、2つの対象物間の距離が近いことを示している。本明細書における距離は、吸液芯31の外層と一次吸液芯16の先端15との間の距離を示しており、密接から約15mmまでの範囲とすることができる。二次吸液芯は、図2Aおよび図2Eに示されるバスケット形状を使用するなど、任意の長さ、サイズ、または厚さ(例えば、円周0.5〜5cm、深さ0.01〜5cm、および厚さ0.01〜50mm)とすることができる。
【0010】
一次吸液芯および二次吸液芯は、好ましくは、これら2つの吸液芯間の接触を行うまたは破壊するため、互いに対して移動することができる。このようなものとして、一次吸液芯と二次吸液芯が接触しているとき、液体11は、二次吸液芯が容器10から吸い上げられる液体11で飽和されるまで、一次吸液芯から二次吸液芯に流動することができる。液体が一次吸液芯から二次吸液芯に流動できるように吸液芯の接触を提供するため、または、このような流動を停止させるように離すため、一次吸液芯と二次吸液芯を互いに対して移動させる手段を提供してもよい。好適な手段の例は、手動、または、スイッチ装置、時限装置、センサ、遠隔操作で制御できる電動手段、または他の手段とすることができる。また、好適な手段の例には、蒸発を助けるため、二次吸液芯近傍における加熱装置(例えば、抵抗ヒータまたは常夜灯)の使用が挙げられる。
【0011】
吸液芯31の他に、吸い上げ装置30は、制御装置32(図2A)、42(図2Bおよび図2D)、52(図2C)、または62(図2E)を備えることができ、これは、例えば、金属またはプラスチックなどの接続手段33で吸液芯31に連結することができる。制御装置は、一次吸液芯と二次吸液芯の近接を調節するのに使用される。移動を自動または手動で制御できる任意の装置を使用することができる。このような制御装置は当業者に周知であるため、本明細書では簡潔にするため装置の詳細な説明は省略する。これらの図に幾つかの例を示す。例えば、図2Aに示される制御装置は、電流が流れると磁石のような役割をし、二次吸液芯31の移動を制御するソレノイドである。図2Bおよび図2Dに示される制御装置は、コイル42および接点43を有する継電器41で電力を供給される。図2Cに示される制御装置は、電動機52で電力を供給され、これは、例えば、2つの異なる液体を交互に揮散させるため、電気時計用電動機であってよい。図2Cでは、2つの容器10は、それぞれ、吸液芯31とおよび非吸い上げ材料53を有するドラム50と接触している。
【0012】
図2Dは、一次吸液芯16および二次吸液芯31を組み込んでいる容器10、継電器41、入力71、常夜灯の役割をしてもよいヒータ72、および、例えば、ポリマー材料から製造することができるハウジング80を含む装置の一実施形態を示し、蒸気を大気中に逸散させるための換気孔81を示す。
【0013】
図2Eは、各容器10が異なる液体11を含むことができる2つの容器を備える本発明の装置の別の実施形態を示し、液体はそれぞれ、周囲条件で安定であり、触媒を含有する場合がある1つの二次吸液芯31に吸い上げられる。液体は、二次吸液芯に吸い上げられると、反応して、例えば、臭気消去剤などの所望の生成物を生成してもよい。二次吸液芯は、図2Eに示されるように、支点63と組み合わせた電磁石62の作用により、または当業者に既知の任意の手段で移動させることができる。電磁石の作用による吸液芯の移動が示されているが、吸液芯は、時限装置であってもよい電動機を含む任意の手段で移動してもよい。液体の1つは、有効成分を安定な形態で含む溶液であってもよく、もう一方は、二次吸液芯31に接触するとその安定な形態と反応できる溶液であってもよい。或いは、吸液芯31は、触媒活性であるか、または、これらの液体間の反応を触媒し、例えば消毒剤または臭気消去剤、例えば二酸化塩素など、別の流体(好ましくは蒸気または気体の形態)を生成する触媒を含むことができる。
【0014】
ハウジング90および容器10を備える好ましい装置が図3に示されている。容器10は、蒸気として揮散され得る液体11を保持する。容器10の開放端13を通って延在するノズル12は、容器10内に上向きに固定されている。ノズル12の一端は、液体11と流体連通している。ノズルは、先端15としてノズル端部14を通って突出する一次吸液芯16を備えることができる。外側先端14である一次吸液芯の部分は、約0.01〜約5mm以内である。先端の頂端部14が短いほど、液体11の蒸発は緩速である。
【0015】
上端95、下端96(端部はそれぞれ開口部を有する)、第1の壁97、および第2の壁98を有するハウジング90の中に容器10を固定することができる。例えば、容器10は、ハウジングにぴったりと嵌入され、ハウジング90の壁97および98の変形部分91および/または92によって所定の位置にスナップ嵌めされる。ハウジング90は、任意に、好ましくは、容器10の反対側の端部に配置される加熱要素100(電気入力34を有する)、および、セラミック、金属、ガラス、ポリマー、またはプラスチックなど、またはこれらの組み合わせなどの材料で製造することができ、二次吸液芯31を備える取り外し可能な第2のハウジング35(好ましくは円筒状の形状)を収容することができる。本明細書では、第2のハウジング35を表すのに円筒を使用するが、他の形状も容易に使用できる。シリンダ35が好ましい実施形態では開口部内で垂直運動で容易に移動するように、シリンダ35をハウジング90内の加熱要素の開口部に固定することができる。例えば、シリンダ35は、二次吸液芯が一次吸液芯の頂部15と接触するように、または一次吸液芯と接触しないようにシリンダを移動させることができる止め36に載置される。この停止装置は、例えば、オン/オフのスイッチ37とすることができ、手動または電気手段で操作されてもよい。シリンダに対する二次吸液芯の好ましい位置は、シリンダの下開口部(一次吸液芯に最も近い開口部)上である。このシリンダは、二次吸液芯の外縁部に熱を伝達し、吸い上げられた液体の蒸発を増進させる加熱要素100で加熱することができる。ヒータから一次吸液芯への熱伝達が非効率的であるように、一次吸液芯を配置する。加熱は、低揮発性液体を含有する組成物に有用な場合がある。代替の熱源は、抵抗加熱、常夜灯の使用、または他の手段によるものとすることができる。また、揮散される液体を保持する容器も具備され、容器は、電子回路、および1つまたは複数の二次吸液芯が収容されるハウジング装置から分離している。容器が分離しているため、補充品をハウジングに挿入することができる。
【0016】
要約すると、図2Aは、一次吸液芯および二次吸液芯、および、一次吸液芯と接触および分離するように二次吸液芯を移動させるソレノイドを示す実施形態である。図2Bは、類似の実施形態を示すが、継電器装置で二次吸い上げ装置を、大気に曝されている一次吸い上げ面と接触および分離するように移動させる。二次吸液芯を移動させる図2Aおよび図2Bの制御の代わりに、二次吸液芯を手動で移動させる単純なレバー、または電動機を備える他の電子装置を使用することができる。図2Cから、2つ以上の容器を使用し、ドラム装置の二次吸液芯を介して2種類の液体を揮散できることが分かる。1つの容器装置からの一次吸液芯がドラム表面の二次吸液芯と接触する間、第2の容器の一次吸液芯は、表面と接触しないか、または非吸い上げ面と接触する。この場合、ドラムは、各一次吸液芯が吸い上げ面および非吸い上げ面と交互に接触するように回転する。ドラムを電気時計用電動機で回転させ、時限放出装置にすることができる。図2Dは、ハウジング内の容器を示し、ハウジングは、また、一次吸液芯の大気に曝されている面と接触および分離するように二次吸液芯を移動させる装置も保持する。二次吸液芯表面からの液体の蒸発を助けるため、加熱装置を組み込んでもよい。電流を供給する手段が提供されるが、これは、110若しくは220Vの交流または電池であってもよい。一次吸液芯に対して二次吸液芯を移動させる装置は、手動制御、スイッチ、時限装置、センサ、および遠隔操作信号などで作動させることができる。図2Eは、本発明を使用し、反応性要素を含有する第2の液体との二次吸液芯表面における反応により、安定な形態の有効成分を放出する手段を実証する。また、図2Eは、化学反応を引き起こし、構成成分の所望の有効成分を放出するため、同じ二次吸液芯と接触する、別々の液体リザーバからの2つの一次吸液芯を示す。
【0017】
本明細書に記載される装置によって揮散される液体は、空気清浄剤、芳香剤、アロマテラピー、臭気中和剤および消去剤、消臭剤、防腐剤、消毒剤、殺菌剤、殺虫剤、防虫剤、医薬化合物、およびこれらの混合物などの群から選択される有効成分など、大気中に気化するのに好適な様々な材料から選択されてもよい。芳香剤および空気清浄剤は、これらの中で最もよく使用され、クエスト(Quest)、および米国のインターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス(International Flavors & Fragrances)などの香料類供給元、並びに、ジボダン・ルール(Givaudan−Roure)、フィルメニッチ(Firmenich)、ノービル(Noville)および高砂(Takasago)のような他の販売業者または製造業者から入手可能な1つまたは複数の有機化合物を含む。これらの物質は、合成由来であってもまたは天然由来であってもよく、ケトン、アルデヒド、エステル、アルコール、テルペン、アセテート、油、および溶媒などの化合物を含有してもよい。香料は、単純な組成であっても、または天然化合物と合成化合物の複雑な混合物であってもよい。
【0018】
容器10内の液体の組成は、10日間、好ましくは20日間、および更に好ましくは30日間、連続使用した後でも、あまり変化しないことが望ましい。一次吸液芯から最も揮発性の高い構成成分が揮発性の低い構成成分よりも速い速度で揮散する蒸発装置とは異なり、この装置では、一次吸液芯は、液体を第2の吸液芯に移動させる役割をする。一次吸液芯では、蒸発が起こり得る、空気に曝される面積は少しだけであるが、二次吸液芯と接触しているとき、二次吸液芯が液体で飽和されていない場合、液体は一次吸液芯から二次吸液芯に流動する。液体の表面張力によって推進され、本明細書では吸い上げと称されるこのような液体の流れは、一次吸液芯上の残留物の溶解および二次吸液芯への移動を引き起こす。この機構は、リザーバ内および一次吸い上げ材料内の液体の組成変化を最小限にする。残留物の蓄積が二次吸い上げ材料上で起こる可能性があるが、二次吸液芯内の液体流は2つの吸液芯の接触点から離れているため、残留物は液体を吸い上げる最外部の領域で蓄積し、そのため二次吸液芯の目詰まりは最小限になる。二次吸液芯の蒸発面は、好ましくは、一次吸液芯の少なくとも5倍、および好ましくは25倍より大きい。二次吸液芯の表面積は大きいため、更に、目詰まりに伴う問題が低減する。また、図2Dに示される、ドラム表面で回転する吸液芯は、一次吸液芯に対して移動することにより新しい表面を露出し、目詰まりもしにくい。
【0019】
揮発性のより低い構成成分が吸液芯の蒸発面に蓄積することにより組成変化が起こるため、放出される液体はゆっくり変化する。更に、同じ液体を長期間、放出すると嗅覚疲労が起こる。本明細書に開示される装置では、かなりの期間、例えば、一晩、吸液芯間の液体流動を停止させるモードで装置を操作することにより、これらの欠点を低減することができる。2つの吸液芯間の接触が破壊されると、一次吸液芯から二次吸液芯への液体流動が停止する。空気に曝される表面積が小さいため、一次吸液芯表面からの蒸発は最小限である。二次吸液芯から蒸発する液体は入れ替えられず、吸液芯は乾燥し始め、その結果、二次吸液芯から発散する蒸気が減少する。吸液芯に残存する低揮発性構成成分は、より揮発性の高い構成成分よりも緩速に、且つ、吸液芯間の液体移動なしに放出され、最終的に嗅覚検知閾未満になる。このプロセスは、二次吸液芯に熱を加えることによって速くすることができる。検知閾未満の連続蒸発によって、次の接触期間、吸い上げ面が目詰まりしない。吸液芯が接触していない間、液体は、大気に曝されている一次吸液芯の小さい表面積から蒸発することにより、非常に低速度で容器から分配される。「オン」の位置に対して「オフ」の位置では液体揮散が緩速であるため、液体が減らず、装置の耐用寿命が長くなる。必要に応じて、第1の液体がオフまたは非接触モードにある間、第2の異なる液体を揮散させることができる。
【0020】
本発明の装置は、大気に曝される二次吸液芯の表面積の量、または、2つの吸液芯が互いに接触する時間のどちらかで蒸発速度を制御する機構を提供する。理論に裏付けられることを所望しないが、接触時間が短いほど、二次吸液芯からの蒸発による揮散に利用可能な液体は少なくなる。同様に、液体で飽和しているとき、表面積の小さい二次吸液芯では、同様に飽和している、より表面積の大きい吸液芯よりも、揮散できる蒸気が少ない。どちらかの吸液芯が飽和すると、液体流量は蒸発速度と等しくなり得る。理論では、吸液芯からの蒸発速度は表面積が大きいほど高くなり、揮散される液体の量も多くなる。このようにして、吸液芯を互いに接触若しくは分離させることにより、または、異なるサイズの吸液芯から選択することにより、液体の揮散速度を手動で制御することができる。同様に、類似の機構で、液体の蒸気への揮散速度を電気制御することができる。電気制御は、スイッチ、センサ、タイマー、および遠隔操作装置などで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】容器の部分破断図である。
【図2A】ソレノイドによって制御される二次吸液芯を有する容器を示す図であり、一次吸液芯がノズルの孔を通って突出するように、大気に曝されている一次吸液芯先端を示す。
【図2B】コイルおよび接点を有する継電器によって電力を供給される二次吸液芯を有する容器を表す図である。
【図2C】電動機により電力を供給される二次吸い上げ面と非吸い上げ面とを有するドラムと接触している2つの容器を示す図である。
【図2D】一次吸液芯、二次吸液芯、継電器、入力、常夜灯であってもよいヒータ、および、換気孔を有するハウジングを組み込んでいる装置の一実施形態を示す図である。
【図2E】1本の二次吸液芯に吸い上げられる、異なる液体を収容してもよい2つの容器を示す図である。
【図3】装置の好ましい一実施形態の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、ノズル、二次吸液芯、および制御装置を備える装置であって、
前記容器が開放端と液体とを備え、
前記ノズルが、一次吸液芯と、前記容器内に固定され、前記液体と流体連通する第1の端部と、前記開放端を通って延在し、孔を有する第2の端部とを備え、前記孔が好ましくは直径0.01〜5mmであり、前記一次吸液芯が前記孔を通って延在し、
前記二次吸液芯が、前記一次吸液芯と近接して延在し、および、
前記二次吸液芯が、ソレノイド、継電器、電動機、または電磁石装置などの、前記一次吸液芯と前記二次吸液芯との間の距離を制御する制御装置に固定的に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記孔の直径が1.5mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記二次吸液芯の表面積が、前記一次吸液芯の表面積の少なくとも5倍、好ましくは少なくとも25倍であり、前記表面積が大気に曝される面積を示していることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記一次吸液芯または二次吸液芯が、紙、ポリマー、繊維、綿、グラスウール、スポンジ様の材料、またはこれらの2種類以上の組み合わせから製造されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記液体が、1種類以上の空気清浄剤、芳香剤、アロマテラピー、臭気中和剤および消去剤、消臭剤、防腐剤、消毒剤、殺菌剤、殺虫剤、防虫剤、医薬化合物、またはこれらの2種類以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記二次吸液芯が触媒を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
第1の壁、第2の壁、および前記容器を有するハウジング、並びにその中に固定される第2のハウジングを更に備え、前記第2のハウジングが前記二次吸液芯を備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、ノズル、二次吸液芯、および制御装置を備え、液体を揮散または分配する装置であって、
前記容器は開放端と液体とを備え、
前記ノズルは、蒸発面を有する一次吸液芯と、前記容器内に固定され、前記液体と流体連通する第1の端部と、前記開放端を通って延在し、孔を有する第2の端部とを備え、前記孔が直径0.01〜5mmであり、前記一次吸液芯が前記孔を通って延在し、
前記一次吸液芯が、前記孔を通って、前記ノズルの第2の端部の上に先端として0.01〜5mm延在し、
前記二次吸液芯と前記一次吸液芯とが、密接ないしは15mmの範囲の距離となるように、前記二次吸液芯が前記一次吸液芯と近接して延在し、
前記二次吸液芯の蒸発面が、前記一次吸液芯の蒸発面の少なくとも5倍であり、および、
前記二次吸液芯が、前記一次吸液芯と前記二次吸液芯との間の距離を制御する制御装置に固定的に接続されており、前記制御装置が、スイッチ装置、時限装置、センサまたはレバーにより手動で、または、スイッチ装置、時限装置、センサ、ソレノイド、継電器、電動機、電磁石または加熱装置により電気的に制御されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御装置が、手動で制御されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御装置が、電気的に制御されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御装置が、ソレノイド、継電器、電動機、または電磁石装置であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記孔の直径が1.5mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記二次吸液芯の表面積が、前記一次吸液芯の表面積の少なくとも5倍であり、前記表面積が大気に曝される面積を示していることを特徴とする請求項1または5に記載の装置。
【請求項7】
前記二次吸液芯の表面積が、前記一次吸液芯の表面積の少なくとも25倍であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記一次吸液芯または二次吸液芯が、紙、ポリマー、繊維、綿、グラスウール、スポンジ様の材料、またはこれらの2種類以上の組み合わせから製造されることを特徴とする請求項1、5、6または7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記液体が、1種類以上の空気清浄剤、芳香剤、アロマテラピー、臭気中和剤および消去剤、消臭剤、防腐剤、消毒剤、殺菌剤、殺虫剤、防虫剤、医薬化合物、またはこれらの2種類以上の組み合わせであることを特徴とする請求項項1、5、6、7または8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記二次吸液芯が触媒を含むことを特徴とする請求項1、5、6、7、8または9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
第1の壁、第2の壁、および前記容器を有するハウジング、並びにその中に固定される第2のハウジングを更に備え、前記第2のハウジングが前記二次吸液芯を備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−525101(P2006−525101A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514291(P2006−514291)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/013927
【国際公開番号】WO2004/098661
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】