説明

液体残量計の制御装置、液体残量計および車両

【課題】表示がちらつくのを抑え、正確な残量を表示すること
【解決手段】この液体残量計200の制御装置100は、第1検知部141で検知された液面高さに基づいて求められる表示レベル(Rm1)が、液体残量計200が表示している表示レベル(Rm)よりも高い場合に累積値(T)を増加させ、反対に、表示レベル(Rm1)が表示レベル(Rm)よりも低い場合に累積値(T)を減少させる累積処理を実行する(S9〜S15)。そして、累積値(T)が予め定めた閾値(Tc)を超えた場合に、液体残量計200が表示している表示レベル(Rm)を変化させる表示処理を実行する(S16〜S19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のタンク内の液体の残量を表示する液体残量計の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のタンク内の液体の残量を表示する液体残量計については、例えば、タンク内の液面の高さを検知して液体の残量を表示するようにしている。このような液体残量計は、燃料の残量を表示する計器などに用いられている。ところで、サイドスタンドを立てて停車される二輪車両では、発進時には該サイドスタンドを畳み直立に起こされる。サイドスタンドを立てて車両を停車した時と車両を直立に起こした時とでは、貯蔵タンク内の燃料の液面が変動する。また、二輪車両では、曲がる際に車両を左右に傾ける場合があり、また、未舗装の道を走行するような場合にも走行時の振動によって、貯蔵タンク内の燃料の液面が変動する。このように、貯蔵タンク内の液面が変動すると、検知される液面の高さが変動し、液体残量計に表示される液体の残量が変動する場合がある。
【0003】
かかる二輪車両の燃料の残量を表示する計器が特許3909618号に開示されている。同特許では、車速判定の結果に基づいてデータの更新時間を変化させ、低車速時にはデータ更新時間を短縮し、該データ更新時間よりも短い時間内に液面を検出し、更新時間の終了時に、該検出値に基づいて燃料の残量を表示することが開示されている。同特許によれば、車両を直立に起した後、短時間で正確な燃料の残量を表示することができ、表示遅延の少ない車両用の液体残量計を実現できる。また、走行時には、データ更新時間を長くしているので、走行中に燃料が波打っても、液体残量計の表示がちらついて見難くなるのを抑えている。
【特許文献1】特許3909618号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許3909618号の液体残量計によれば、所定の更新時間で、表示が更新されるので、液面に波打ちがあっても表示回数を重ねれば、結果的に平均的な値が表示されるイメージされるとされ、また、残量表示が目まぐるしく変わることがないとされる。しかしながら、単純に所定の更新時間で、燃料の残量の表示を更新する場合には、更新される表示は、当該所定の更新時間の検出値に依存するため、更新のタイミングによっては、正確な残量が表示できていない場合がある。車両の燃料の残量を表示する計器は、液体残量計の表示がちらつくのを抑え、出来る限り正確な残量を表示したい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る液体残量計の制御装置は、タンク内の液面高さを検知する検知部と、車両のタンク内の液体の残量を段階的に評価した複数の表示レベルと、累積値とを記憶する記憶部とを備えている。制御装置は、検知部で検知された液面高さに基づいて求められる表示レベル(Rm1)が、液体残量計が表示している表示レベル(Rm)よりも高い場合に累積値を増加又は減少させ、反対に、表示レベル(Rm1)が表示レベル(Rm)よりも低い場合に累積値を減少又は増加させる累積処理を実行する。そして、制御装置は、累積値が予め定めた閾値を超えた場合に、液体残量計が表示している表示レベル(Rm)を変化させる表示処理を実行する。
【発明の効果】
【0006】
この液体残量計の制御装置によれば、累積処理および表示処理によって、液体残量計の表示を変更する処理において、累積値が介在し、検知部で検知された値がある程度継続して変化した場合に、液体残量計の表示が変わるので、液体残量計の表示がちらつくのを抑えることができ、正確な残量を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の一実施形態に係る液体残量計の制御装置を図面に基づいて説明する。
【0008】
この実施形態では、液体残量計200は、車両のタンク内の液体の残量を表示する計器である。この液体残量計200は、サイドスタンドを立てて停車される二輪車両の燃料の残量を表示する計器として好適である。この液体残量計200は、図1に示すように、制御装置100を備えており、表示部210の表示が当該制御装置100によって制御されている。制御装置100は、図示は省略するが、CPUなどからなる演算部と、不揮発性メモリーなどからなる記憶部とを備えており、予め設定されたプログラムに沿って、種々の電子的な演算処理を行い、液体残量計200を制御する。
【0009】
制御装置100は、図1に示すように、それぞれ所定の情報を記憶する記憶部121〜124と、それぞれ所定の情報を検知する検知部141、142と、それぞれ所定の処理を行う処理部161〜167とを備えている。
【0010】
第1記憶部121は、タンク内の液体の残量を段階的に評価した複数の表示レベルを記憶している。この実施形態では、液体残量計200の表示部210が、図2に示すように、液晶表示器で構成されており、円弧に沿って満タン(F)からエンプティー(E)まで複数の液晶バー212が配列されており、タンク内の液体の残量に応じた量を液晶バーを光らせることで表示する表示パネル211が設けられている。この表示パネル211は、満タン(F)からエンプティー(E)まで、例えば、50分割した50個の液晶バー212が配列されている。この場合、第1記憶部121は、タンク内の液体の残量を段階的に評価した50個の表示レベルを記憶しているとよい。なお、ここでは、段階的な評価は一例として50段階としてるが、かかる段階的な評価は任意に設定することができる。
【0011】
第2記憶部122は、複数の表示レベルのうち液体残量計200に表示させる1つの表示レベル(Rm)を記憶している。すなわち、第2記憶部122は、液体残量計200に表示させるべき表示レベルが記憶されており、制御装置100は、第2記憶部122に記憶された表示レベルに相当するタンク内の液体の残量を表示するように液体残量計200を制御する。
【0012】
第3記憶部123は、累積値(T)を記憶する。当該累積値(T)は、表示レベル(Rm)を更新するタイミングを計るのに用いられている。
【0013】
第4記憶部124は、第2記憶部122に記憶された表示レベル(Rm)を更新するタイミングを定める閾値(Tc)を記憶している。閾値(Tc)は、上述した累積値(T)に対して表示レベル(Rm)を更新するタイミングを規定する値である。この実施形態では、累積値(T)は整数であり、初期値は0「ゼロ」である。そして、後述するが累積値(T)を絶対値で評価するので、閾値(Tc)は自然数で任意の値を設定している。
【0014】
第1検知部141は、タンク内の液面高さを検知する。すなわち、この制御装置100は、第1検知部141において、例えば、タンクに配設された液面検知センサからの検知信号を受信してタンク内の液面高さを検知している。液面検知センサは、種々のセンサを用いることができる。例えば、タンク内の液面に設置したフロート(浮き具)に一端を取り付けたアームを介して、抵抗値が変化する電気的な機構を設け、当該抵抗値に基づいて、タンク内の液面の高さを検知する装置を採用することができる。この実施形態では、第1検知部141の検知は、一定の間隔(例えば、50ms毎)で行なわれている。
【0015】
第2検知部142は、車両の車速(V)を検知する。この制御装置100は、第2検知部142において、車両に配設された車速センサからの検知信号を受信して車速(V)を検知している。
【0016】
以下、適宜に図3および図4のフロー図を参照しつつ処理部161〜167を説明する。
【0017】
第1処理部161は、第1検知部141で検知された液面高さに基づいて、第1記憶部121に記憶された複数の表示レベルから1つの表示レベル(Rm1)を求める(図3中のS10)。ここでは、第1記憶部121に記憶された複数の表示レベルのうち、第1検知部141で検知された液面高さに対応した液体の残量を表示するのに適切な表示レベルが求められる。
【0018】
なお、第1処理部161は、予め定められた時間において、第1検知部141で複数回検知された液面高さの平均に基づいて、第1記憶部121に記憶された複数の表示レベルから1つの表示レベル(Rm1)を求めもよい。この実施形態では、第1検知部141は、一定の間隔(時間)で、タンク内の液面高さを検知している。第1処理部161は、第1検知部141で検知された液面高さに基づいて、直近の4回検知された液面高さの検知値から平均値を求める。このようにして平均値で算出することによって、走行時等に、タンク内で液面が波打っている場合でも、液体の残量をある程度正確に検知することができる。さらにこの実施形態では、正確に検知するべく、当該平均値を求める際、第1検知部141で4回検知された液面高さのうち、最大値と最小値を除く、2つの検知値の平均値で算出している。そして、第1記憶部121に記憶された複数の表示レベルのうち、当該液面高さの平均値に対応した液体の残量を表示するのに適切な表示レベル(Rm1)を求めている。
【0019】
第2処理部162は、第1処理部161で求められた表示レベル(Rm1)が、第2記憶部122に記憶された表示レベル(Rm)よりも小さい場合に、第3記憶部123に記憶された累積値(T)を小さくする(図4中のS14)。すなわち、第1処理部161で求められた表示レベル(Rm1)が、現在、表示部210に表示されている表示レベル(Rm)よりも小さい場合(換言すると燃料が減ったと検知された場合)、累積値(T)を小さくする。この際、この実施形態では、T=T−1とし、第3記憶部123に記憶された累積値(T)を、現在の累積値(T)から1を引いた値(T−1)にする。
【0020】
第3処理部163は、上述した表示レベル(Rm1)が、表示レベル(Rm)よりも大きい場合に、第3記憶部123に記憶された累積値(T)を大きくする(図4中のS15)。すなわち、第1処理部161で求められた表示レベル(Rm1)が、現在、表示部210に表示されている表示レベル(Rm)よりも大きい場合(換言すると燃料が増えたと検知された場合)、累積値(T)を大きくする。この際、この実施形態では、T=T+1とし、第3記憶部123に記憶された累積値(T)を、現在の累積値(T)から1を足した値(T+1)にする。
【0021】
第4処理部164は、第3記憶部123に記憶された累積値(T)が第4記憶部124に記憶された閾値(Tc)よりも小さくなった場合に、第2記憶部122に記憶された表示レベル(Rm)を下げる(図4中のS18)。この実施形態では、第4処理部164は、当該場合に、現在、表示部210に表示されている表示レベル(Rm)が1つ下げられる。
【0022】
第5処理部165は、上述した累積値(T)が閾値(Tc)よりも大きくなった場合に表示レベル(Rm)を上げる(図4中のS19)。この実施形態では、当該場合に、現在、表示部210に表示されている表示レベルを1つ上げる。
【0023】
第6処理部166は、第4処理部164および第5処理部165による処理の後、累積値(T)を予め定められた初期値にする処理である(図4中のS20)。この実施形態では、初期値は0「ゼロ」であり、第3記憶部123に記憶されている累積値(T)は、第4処理部164および第5処理部165による処理の後、第6処理部166によってT=0と処理される。これにより、累積値(T)は初期値0「ゼロ」に戻る。
【0024】
第7処理部167は、第2検知部142で検知された車速(V)に基づいて、第4記憶部124に記憶された閾値(Tc)を変更する(図3中のS6〜S8)。すなわち、第4記憶部124に記憶された閾値(Tc)は、第2検知部142で検知された車速(V)に基づいて変更される。この実施形態では、第7処理部167は、第2処理部162で検知された車速(V)が予め定めた車速よりも遅いときに、第4記憶部124に記憶された閾値(Tc)を、絶対値において小さくする。
【0025】
以下、この液体残量計200の制御装置100の処理を、図3および図4に示すフロー図に沿って順に説明する。
【0026】
この制御装置100は、車両のメインスイッチをONにしたときに制御が開始される(S1)。制御が開始されると、第1検知部141によって、タンク内の液面高さを検知し、その平均値RTを算出する(S2、S3)。この実施形態では、タンク内の液面高さの検知値の評価については、連続した4回の検知値のうち、最大値と最小値を除く、2回の検知値の平均値を採用している。この制御装置100は、連続した4回の検知値を、それぞれ検知した順にR(n)、R(n−1)、R(n−2)、R(n−3)として記憶している(S2)。そして、R(n)、R(n−1)、R(n−2)、R(n−3)の中から最大値と最小値を除き、残った2つの検知値の平均値(RT)を算出する(S3)。
【0027】
次に、平均値(RT)から表示レベル(Rm)を求める(S4)。この場合、第1処理部161において、第1記憶部121に記憶されたタンク内の液体の残量を段階的に評価した複数の表示レベルのうち、S3で算出された平均値(RT)に基づいて、タンク内の液体の残量を適切に評価した表示レベルを求めるとよい。このように、タンク内の液面高さを検知値として、平均値(RT)を採用することによって、タンク内で液面が波打っている場合でも、液体の残量をある程度正確に検知することができる。そして、この段階では、液体残量計200の表示部210が当該表示レベル(Rm)に基づいて、燃料の残量を表示するように、液体残量計200を制御する。
【0028】
次に、累積値(T)を初期値に設定する(S5)。この実施形態では、初期値は0「ゼロ」であり、T=0として、第3処理部163に記憶された累積値(T)を0にする。
【0029】
次に、この実施形態では、第2検知部142で検知された車速(V)に基づいて、第4記憶部124に記憶された閾値(Tc)が変更される(S6〜S8)。当該処理は、第7処理部167によって実行される。この実施形態では、車速(V)が予め定めた車速よりも遅いときに、閾値(Tc)を絶対値において小さくする。具体的には、この実施形態では、車速(V)が5km/h以上か否かを判定し(S6)、車速(V)が5km/h以上のとき(YES)は、第4記憶部124に記憶された閾値(Tc)を600(Tc=600)としている(S7)。そして、車速(V)が5km/hよりも遅いとき(NO)は、第4記憶部124に記憶された閾値(Tc)を40(Tc=40)としている(S8)。
【0030】
次に、第1検知部141によって、新たにタンク内の液面高さを検知し(S9)、新たに平均値RTを算出する(S10)。この実施形態では、以下の式により、R(n−3)、R(n−2)、R(n−1)を、順にR(n−2)、R(n−1)、R(n)に記憶されている検知値にする。
R(n−3)=R(n−2)、
R(n−2)=R(n−1)、
R(n−1)=R(n)
そして、第1検知部141によって、新たに検知されたタンク内の液面高さの検知値をR(n)にする。このように書き換えられた4つの検知値R(n)、R(n−1)、R(n−2)、R(n−3)から平均値(RT)を算出する。この実施形態では、R(n)、R(n−1)、R(n−2)、R(n−3)の中から最大値と最小値を除き、残った2つの検知値の平均値(RT)を算出している。
【0031】
次に、(S10)で新たに算出された平均値(RT)から表示レベル(Rm1)を求める(S11)。この場合、第1処理部161において、第1記憶部121に記憶されたタンク内の液体の残量を段階的に評価した複数の表示レベルのうち、S10で算出された平均値(RT)に基づいて、タンク内の液体の残量を適切に評価した表示レベルを求めるとよい。
【0032】
次に、S11で求められた表示レベル(Rm1)と、現在液体残量計200が表示している表示レベル(Rm)とが同じか否かを判定する(S12)。そして、S12の判定処理で、表示レベル(Rm1)と現在の表示レベル(Rm)とが同じである場合(NO)には、上述した(S6)の処理に戻す。表示レベル(Rm1)と現在の表示レベル(Rm)とが同じでない場合(YES)には、表示レベル(Rm1)が現在の表示レベル(Rm)よりも小さいか否かを判定する(S13)。
【0033】
S13の判定において、表示レベル(Rm1)が、現在の表示レベル(Rm)よりも小さい場合(YES)には、累積値(T)を小さくする(S14)。この際、この実施形態では、T=T−1とし、第3記憶部123に記憶された累積値(T)を、現在の累積値(T)から1を引いた値(T−1)にしている。制御装置100は、当該処理S14を上述した第2処理部162で行なっている。
【0034】
また、S13の判定において、表示レベル(Rm1)が、現在の表示レベル(Rm)よりも大きい場合(NO)には、累積値(T)を大きくする(S15)。この際、この実施形態では、T=T+1とし、第3記憶部123に記憶された累積値(T)を、現在の累積値(T)に1を足した値(T+1)にしている。制御装置100は、当該処理S15を上述した第3処理部163で行なっている。
【0035】
次に、累積値(T)が閾値(Tc)よりも小さくなった場合に、表示レベルを下げ、累積値(T)が閾値(Tc)よりも大きくなった場合に、表示レベルを上げる(S16〜S19)。
【0036】
すなわち、この実施形態では、累積値(T)は絶対値で評価している。まず、累積値(T)の絶対値|T|が、閾値(Tc)よりも大きくなったか否かを判定する(S16)。S16の判定処理において、累積値(T)の絶対値|T|が、閾値(Tc)よりも大きくない場合(NO)には、上述した(S6)の処理に戻す。
【0037】
S16の判定処理において、累積値(T)の絶対値|T|が、閾値(Tc)よりも大きい場合(YES)には、さらに累積値(T)が正負を判定する(S17)。
【0038】
S17の判定において、T<0「ゼロ」、すなわち累積値(T)が負の数字の場合、表示レベル(Rm)を下げる(S18)。この実施形態では、表示レベル(Rm)を1つ下げる(Rm=Rm−1)。制御装置100は、当該S18の処理を上述した第4処理部164で行なっている。
【0039】
また、S17の判定において、T<0「ゼロ」でない場合、すなわち累積値(T)が正の数字の場合、表示レベル(Rm)を上げる(S19)。この実施形態では、表示レベル(Rm)を1つ上げる(Rm=Rm+1)。制御装置100は、当該S19の処理を上述した第5処理部165で行なっている。
【0040】
すなわち、この液体残量計200では、表示レベル(Rm)は、図5に示すように、検知値に基づく表示レベル(Rm1)が目まぐるしく変化する状態でも逐一これに追従せず、検知値に基づく表示レベル(Rm1)がある程度継続的に変化したときに、これに追従していく。
【0041】
そして、かかる(S18)または(S19)の処理の後、累積値(T)を初期値0「ゼロ」に戻し(S20)、上述した(S6)の処理に戻す。累積値(T)は初期値0にリセットされ、上述した(S6)〜(S20)の処理が繰り返し行なわれる。なお、図示は省略するが、メインスイッチがOFFになった場合には、当該(S6〜S20)ループから抜けるように判定処理部を設けておくとよい。この実施形態では、上述した(S6)〜(S20)の処理は、一定の間隔(例えば、50ms毎)で行なわれている。
【0042】
この液体残量計200の制御装置100は、第1検知部141で検知された液面高さに基づいて求められる表示レベル(Rm1)が、液体残量計200が表示している表示レベル(Rm)よりも高い場合に累積値(T)を増加させ、反対に、表示レベル(Rm1)が表示レベル(Rm)よりも低い場合に累積値(T)を減少させる累積処理を実行する(S9〜S15)。そして、累積値(T)が予め定めた閾値(Tc)を超えた場合に、液体残量計200が表示している表示レベル(Rm)を変化させる表示処理を実行する(S16〜S19)。
【0043】
かかる液体残量計200の制御装置100によれば、図3および図4に示すように、累積処理(S9〜S15)によって、累積値(T)が変化する。そして、第1検知部141の検知に基づいて燃料が減った状態がある程度継続して生じた場合、或いは、燃料が増えたと検知された状態がある程度継続して生じた場合に、累積値(T)が閾値(Tc)を超える。そして、表示処理(S16〜S19)によって、累積値(T)が閾値(Tc)を超えたことに基づいて、液体残量計200で表示される表示レベル(Rm)が変化する。このように、この液体残量計200の制御装置100は、液体残量計200の表示を変更する処理において、累積値(T)が介在し、第1検知部141で検知された値がある程度継続して変化した場合に、液体残量計200の表示が変わるので、液体残量計200の表示がちらつくのを抑えることができ、より正確な残量を表示することができる。
【0044】
また、この実施形態では、車速(V)が予め定めた車速(この実施形態では、5km/h)よりも遅い場合には、閾値(Tc)を小さくしている。これにより、液体残量計200の表示がちらつかない程度に、液体残量計200の表示を速く変化させることができる。例えば、車両を傾けている状態から直立に立てた際、液体残量計200の表示レベル(Rm)は、液体残量計200の表示がちらつかない程度に速く変化して、早期に車両を直立に立てた状態の液面の高さに対応する表示レベルで液体残量計200が表示される。また、この実施形態では、車速(V)が5km/hよりも速い場合には、閾値(Tc)を大きくしている。従って、車速(V)がある程度速い場合に、走行振動等によってタンク内で液面が波立っている場合でも、液体残量計200の表示レベル(Rm)を安定させることができる。このように閾値(Tc)を車速に基づいて変化させることによって、運転者に適宜に適切な表示を行なうことができる。
【0045】
また、この実施形態では、累積処理(S9〜S15)において、第1検知部141で検知された液面高さの平均値RTに基づいて表示レベル(Rm1)が求められる。このように、第1検知部141で検知された液面高さの平均値RTに基づいて表示レベル(Rm1)を求めることによって、走行振動等によってタンク内で液面が波立っている場合でも、より正確な表示レベル(Rm1)を算出することができる。これにより、液体残量計200により正確な値を表示させることができる。この実施形態では、表示処理(S16〜S19)において、表示レベルは1つずつ変化するので、液体残量計200の表示が徐々に変化し、表示がちらつくのを防止できる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態に係る液体残量計の制御装置を説明したが、本発明に係る液体残量計の制御装置は、上述した実施形態に限定されない。
【0047】
上述した実施形態では、本発明の液体残量計として燃料の残量を表示する計器を例示したが、本発明に係る液体残量計は、燃料の残量を表示する計器に限定されず、車両のタンク内の液体の残量を表示する種々の液体残量計に採用できる。
【0048】
また、液体残量計の制御装置は、検知部で検知された液面高さに基づいて求められる表示レベル(Rm1)が、液体残量計が表示している表示レベル(Rm)よりも高い場合に累積値(T)を増加又は減少させ、反対に、表示レベル(Rm1)が表示レベル(Rm)よりも低い場合に累積値(T)を減少又は増加させる累積処理を実行する。そして、累積値(T)が予め定めた閾値(Tc)を超えた場合に、液体残量計が表示している表示レベル(Rm)を変化させる表示処理を実行する。かかる累積処理および表示処理を行う制御装置の具体的なシステム構成は、上述した実施形態に限定されない。
【0049】
また、上述した実施形態では、閾値(Tc)は車速(V)に基づいて異なるように構成しているが、本発明では、閾値(Tc)は車速(V)に基づいて異ならなくてもよい。例えば、液体残量計が表示する対象となる液体の性質や、液面の変化や、車両の振動の程度などが、車速(V)によって変化しない場合には、閾値(Tc)を車速(V)に基づいて異ならないように構成するとよい。また、車速(V)に応じて閾値(Tc)をどのように設定するか、また、閾値(Tc)にどのような値を設定するかについては、種々変更できる。上述した実施形態では、S6の判定処理によって、車速(V)が5km/h以上か否かで、閾値(Tc)を変更したが、これに限定されない。例えば、複数の車速帯で、それぞれ異なる閾値(Tc)を設定してもよい。具体的には、車速(V)が5km/h以下のとき、5km/h以上30km/h以下のとき、30km/h以上のときに、それぞれ異なる閾値(Tc)を設定してもよい。
【0050】
また、累積値(T)の評価は、表示レベル(Rm)に対して、正と負が反対でもよい。表示レベル(Rm)の評価も同様である。すなわち、上述した実施形態では、燃料が減ると、累積値(T)が負の値になり、徐々に小さい値になるが、燃料が減ったときに、累積値(T)が正の値になり、徐々に大きい値になってもよい。また、上述した実施形態では、累積値(T)を絶対値で評価しているが、整数で表示される累積値(T)に対して、正と負の閾値(Tc)をそれぞれ設定してもよい。この場合、液体が減る場合と増える場合とで、閾値(Tc)を異ならせることができる。これにより、例えば、液体が減る場合と液体が増える場合とで、更新のタイミングを変えることができる。この場合、上述した実施形態では、例えば、第4記憶部124において、第4処理部164の閾値(Tc)と、第5処理部165の閾値(Tc)とをそれぞれ別の閾値を記憶しているとよい。また、累積値(T)をどのように変化させるかや、表示レベル(Rm)をどのように変化させるかについても、液体が減る場合と液体が増える場合とで異ならせることができる。
【0051】
また、検知部で複数回検知された液面高さの平均に基づいて、表示レベル(Rm1)を求めることを例示したが、平均の取り方は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態のように、複数回検知された液面高さの検知値に対し、最大値と最小値を除いて平均をとってもよい。また、複数回検知された液面高さの検知値について、最大値と最小値を除かずに平均をとってもよい。
【0052】
以上、本発明の液体残量計の制御装置について種々の実施形態および変形例を例示したが、これらは、本発明の液体残量計の制御装置の一例を示すに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体残量計の制御装置のシステム構成を示す図
【図2】本発明の一実施形態に係る液体残量計の表示部を示す図。
【図3】本発明の一実施形態に係る液体残量計の制御装置のフロー図の第1図。
【図4】図3のフロー図の第2図。
【図5】本発明の一実施形態に係る表示レベル(Rm)の変化を示す図。
【符号の説明】
【0054】
100 制御装置
121-124 記憶部
141、142 検知部
161-167 処理部
200 液体残量計
210 表示部
211 表示パネル
212 液晶バー
T 累積値
Tc 閾値
Rm、Rm1 表示レベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のタンク内の液体の残量を表示する液体残量計の制御装置において、
前記タンク内の液面高さを検知する検知部と、
車両のタンク内の液体の残量を段階的に評価した複数の表示レベルと、累積値とを記憶する記憶部と
を備え、
前記検知部で検知された液面高さに基づいて求められる表示レベル(Rm1)が、前記液体残量計が表示している表示レベル(Rm)よりも高い場合に前記累積値を増加又は減少させ、反対に、前記表示レベル(Rm1)が前記表示レベル(Rm)よりも低い場合に前記累積値を減少又は増加させる累積処理と、
前記累積値が予め定めた閾値を超えた場合に、液体残量計が表示している表示レベル(Rm)を変化させる表示処理と
を実行する、液体残量計の制御装置。
【請求項2】
前記閾値は車速に基づいて異なる、請求項1に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項3】
前記表示レベル(Rm1)は、前記検知部で複数回検知された液面高さの平均に基づいて求められる、請求項1に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項4】
前記表示処理において、前記表示レベル(Rm)は1つずつ変化する、請求項1に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項5】
車両のタンク内の液体の残量を表示する液体残量計の制御装置において、
前記タンク内の液体の残量を段階的に評価した複数の表示レベルを記憶した第1記憶部と、
前記複数の表示レベルのうち前記液体残量計に表示させる1つの表示レベル(Rm)を記憶する第2記憶部と、
累積値を記憶する第3記憶部と、
前記第2記憶部に記憶された表示レベル(Rm)を更新するタイミングを定める閾値を記憶する第4記憶部と、
前記タンク内の液面高さを検知する第1検知部と、
前記第1検知部で検知された液面高さに基づいて、前記第1記憶部に記憶された複数の表示レベルから1つの表示レベル(Rm1)を求める第1処理部と、
前記第1処理部で求められた表示レベル(Rm1)が、前記第2記憶部に記憶された表示レベル(Rm)よりも小さい場合に、前記第3記憶部に記憶された累積値を小さくする第2処理部と、
前記第1処理部で求められた表示レベル(Rm1)が、前記第2記憶部に記憶された表示レベル(Rm)よりも大きい場合に、前記第2記憶部に記憶された累積値を大きくする第3処理部と、
前記第3記憶部に記憶された累積値が前記第4記憶部に記憶された閾値よりも小さくなった場合に、前記第2記憶部に記憶された表示レベル(Rm)を下げる第4処理部と、
前記第3記憶部に記憶された累積値が前記第4記憶部に記憶された閾値よりも大きくなった場合に、前記第2記憶部に記憶された表示レベル(Rm)を上げる第5処理部と、
前記第4処理部および第5処理部による処理が行われた後、前記第3記憶部に記憶されている累積値を予め定められた初期値にする第6処理部と
を備えた液体残量計の制御装置。
【請求項6】
前記車両の車速を検知する第2検知部と、
前記第2検知部で検知された車速に基づいて、前記第4記憶部に記憶された閾値を変更する第7処理部とを備えた、請求項5に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項7】
前記第7処理部は、第2検知部で検知された車速が予め定めた車速よりも遅いときに、前記第4記憶部に記憶された閾値を、絶対値において小さくする、請求項5に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項8】
前記第4記憶部は、前記第4処理部の閾値と、前記第5処理部の閾値とをそれぞれ別の閾値を記憶している、請求項5に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項9】
前記第1処理部は、前記第1検知部で複数回検知された液面高さの平均に基づいて、前記表示レベル(Rm1)を求める、請求項5に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項10】
前記第4処理部は、前記第3記憶部に記憶された累積値が前記第4記憶部に記憶された閾値よりも小さくなった場合に、前記第2記憶部に記憶された表示レベル(Rm)を1つ下げる、請求項5に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項11】
前記第5処理部は、前記第2記憶部に記憶された累積値が前記第4記憶部に記憶された閾値よりも大きくなった場合に、前記第2記憶部に記憶された表示レベル(Rm)を1つ上げる、請求項5に記載の液体残量計の制御装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れかに記載の液体残量計の制御装置によって、液体の残量の表示が制御される、液体残量計。
【請求項13】
請求項12に記載の液体残量計を備えた、車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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