説明

液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器

【課題】比較的小さな押圧と短いストロークで押圧操作することができ、1回の押圧操作で多量の泡を安定して吐出させることができ、なお且つ、泡質及び泡の持続性に優れた液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器を提供する。
【解決手段】液体洗浄剤組成物を収容する容器本体1と、容器本体1に収容された液体洗浄剤組成物を泡状に吐出させる泡吐出ポンプ10と備える泡吐出容器の前記内溶液として収容される液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器であって、混合室31で混合される空気と液体洗浄剤組成物との体積比が15:1〜35:1であり、液体洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)、両性界面活性剤(B)、半極性界面活性剤(C)のうち少なくとも1つ以上を含有し、その合計量が3〜25質量%であり、なお且つ、5/1≦A/(B+C)≦1/5の関係を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ポディソープや、ハンドソープ、洗顔料、シャンプー、台所用硬質表面用洗剤、衣料用洗剤、住居用洗剤、セットローションなどの整髪剤組成物などの各種液体洗浄剤組成物を内容液として容器本体に収容し、この容器本体の口頸部に取り付けられた泡吐出ポンプのノズルヘッドを押圧出操作することによって、内容液を泡状にして吐出する泡吐出容器がある(例えば、特許文献1〜6を参照。)。
【0003】
このような泡吐出容器に取り付けられる泡吐出ポンプは、内部を液用ピストンが摺動する液用シリンダと、内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダと、ノズルが設けられると共にコイルスプリングにより上方に付勢された状態の液用ピストン及び空気用ピストンを一体的に押し下げるノズルヘッドと、液用シリンダから供給される内容液と空気用シリンダから供給される空気とが混合される混合室と、泡吐出口と混合室との間の流路に配置された発泡用部材とを備えており、ノズルヘッドを押圧操作して液用ピストン及び空気用ピストンをコイルスプリングの付勢力に抗して押し下げることにより、混合室内で空気と混合された内容液を発泡用部材により発泡させてノズルより吐出させる構造となっている。
【特許文献1】特開2005−187411号公報
【特許文献2】特開2005−154651号公報
【特許文献3】特開2003−206499号公報
【特許文献4】特開2002−47172号公報
【特許文献5】特開2005−23282号公報
【特許文献6】特開2005−162666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の泡吐出容器は、1回の押圧操作による泡の吐出量が比較的小さく、少量の内容液を吐出させるハンディタイプのものには適していたものの、例えばシャンプーやポディソーブなどのように1回の使用量が多い内容液では、必要とする泡を1回の押圧操作で充分に得ることができず、上述した押圧操作を繰り返さなければならないため、必ずしも使い勝手がよいものとはいえなかった。
【0005】
このような泡吐出容器では、ノズルヘッドの1回の押圧操作に対する泡の吐出量を増大させるために、上述した泡吐出ポンプの液用シリンダ、空気用シリンダ及び混合室の容量を大きくすることが考えられる。しかしながら、これらの容量を単に大きくしただけでは、押圧操作の際にストロークが増すだけでなく大きな力が必要となってしまうため、特に子供や老人といった利用者にとっては使い勝手の悪いものとなってしまう。
【0006】
一方、ノズルヘッドの1回の操作に対する押圧を軽くし且つ泡の吐出量を多くするために、内容液に対する空気の混合比率を高めることが考えられる。なお、従来の泡吐出容器は、例えば、混合室で混合される空気と内容液との体積比(気液混合比)が13:1程度である。
【0007】
しかしながら、内容液に対する空気の混合比率を高めると、泡質及び泡の持続性が悪くなることがある。このため、容器本体に収容される内容液の種類によって、その内容液に含まれる界面活性剤の組成を最適化することが求められる。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、比較的小さな押圧と短いストロークで押圧操作することができ、1回の押圧操作で多量の泡を安定して吐出させることができ、なお且つ、泡質及び泡の持続性に優れた液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、液体洗浄剤組成物が収容される容器本体の口頸部に泡吐出ポンプが取り付けられ、前記泡吐出ポンプは、内部を液用ピストンが摺動する液用シリンダと、内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダと、泡吐出口が設けられると共に上方に付勢された状態の前記液用ピストン及び前記空気用ピストンを一体的に押し下げる作動部材と、前記液用シリンダから供給される液体洗浄剤組成物と前記空気用シリンダから供給される空気とが混合される混合室と、前記泡吐出口と前記混合室との間の流路に配置された発泡用部材とを備え、前記作動部材を押圧操作して前記液用ピストン及び前記空気用ピストンを付勢力に抗して押し下げることにより、前記混合室内で空気と混合された液体洗浄剤組成物を前記発泡用部材により発泡させて前記泡吐出口より吐出する液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器であって、前記混合室で混合される空気と液体洗浄剤組成物との体積比が15:1〜35:1であり、前記泡吐出ポンプは、前記混合室の液流入口に設けられた弁座と、前記弁座に対して着座及び離間可能に設けられた弁体と、前記弁体を前記弁座の着座位置に復帰させる復帰手段とを有し、前記液体洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)、両性界面活性剤(B)、半極性界面活性剤(C)のうち少なくとも1つ以上を含有し、その合計量が3〜25質量%であり、なお且つ、5/1≦A/(B+C)≦5/1の関係を満足することを特徴とする液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器である。
また、請求項2に係る発明は、前記作動部材の1回の押圧操作によって前記泡吐出口から吐出される発泡した液体洗浄剤組成物の25℃における泡粘度が1000〜3000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器である。
また、請求項3に係る発明は、前記復帰手段が、前記混合室の内側面から突出された少なくとも1つ以上のリブであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器である。
また、請求項4に係る発明は、前記復帰手段が、前記弁座の座面を形成する少なくとも一部が外側に延長された延長座面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器である。
また、請求項5に係る発明は、前記泡吐出ポンプが、前記弁座から離間した前記弁体の高さ方向の移動を制限する制限手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器である。
また、請求項6に係る発明は、前記制限手段が、前記混合室の液流出口から下方に向かって突出された突起部であることを特徴とする請求項5に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器である。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、液体洗浄剤組成物に対する空気の混合比率を高めた場合でも、優れた泡質及び泡の持続性を得ることができる。したがって、比較的小さな押圧と短いストロークで作動部材を押圧操作することができ、また、泡質及び泡の持続性に優れた多量の泡を1回の押圧操作で泡吐出口から安定して吐出させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を適用した液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器について、図面を参照して詳細に説明する。
(泡吐出容器)
先ず、本発明を適用した泡吐出容器の構成及びその動作について説明する。
本発明を適用した泡吐出容器は、図1に示すように、内容液を収容する容器本体1の口頸部1aに取り付けられた泡吐出ポンプ10を備え、この泡吐出ポンプ10により容器体本体1に収容された内容液を泡状にして吐出する、いわゆるノンエアゾール型の泡吐出ポンプ付き容器である。
【0012】
泡吐出ポンプ10は、例えば容器本体1の口頸部1aに着脱自在に装着された装着キャップ2を介して容器本体1に取り付けられている。また、泡吐出ポンプ10は、この装着キャップ2の下面から容器本体2の内部に向かって垂下されるシリンダ部材11を備えている。
【0013】
シリンダ部材11は、装着キャップ2の下面に取り付けられた環状のフランジ部12と、このフランジ部12から垂下された略円筒状の空気用シリンダ13と、この空気用シリンダ13よりも小径且つ空気用シリンダ13の底部中央から同心円状に垂下された略円筒状の液用シリンダ14とを有している。また、液用シリンダ14の下端には、容器本体1に収容された内容液を吸い込む吸込パイプ15が接続されており、この吸込パイプ15の下端は、容器本体1の底部まで延びている(図示せず。)。
【0014】
装着キャップ2は、このシリンダ部材11を容器本体1の内部に挿入し、口頸部1a上に配置したパッキン3の上にフランジ部12を当接させた状態で口頸部1aの外周部に螺合により装着されている。
【0015】
泡吐出ポンプ10は、この泡吐出ポンプ10を動作させる作動部材20として、液用シリンダ14内に配置されたコイルスプリング22により上方に付勢された状態で上下方向に移動可能に支持された筒状のピストンガイド21と、このピストンガイド21の上端部に接続されると共に装着キャップ2の中央に設けられた筒状部2aから上方に向かって突出されたステム23と、このステム23の先端部に配置されたノズルヘッド24とを有している。
【0016】
ピストンガイド21は、その下端に液用シリンダ14の内周面と液密に摺動される液用ピストン25を有している。また、ピストンガイド21には、液吸入弁となるポペット26が挿入されている。ポペット26は、逆止弁として機能するものであり、その下端に液用シリンダ14に形成された弁座14aに対して着座及び離間可能とされた下部弁体26aと、その上端にピストンガイド21に形成された弁座21aに対して着座及び離間可能とされた上部弁体26bとを有している。また、下部弁体26aの上方には、外方に突出する複数の係合ピン26cが設けられており、この係合ピン26cは、液用シリンダ14に設けられた複数の縦リブ14bの間に上下動可能に挿入されている。また、ポペット26の外周面には、液流路となる縦溝26dが複数形成されている。
【0017】
一方、ピストンガイド21の内周面には、弁座21aの上方において上下方向に延びる複数の縦リブ21bが設けられている。この縦リブ21bの内側は、ピストンガイド21が下降した際に、ポペット26の上部弁体26が進入可能とされており、その際に縦リブ21bとポペット26の縦溝26aとの間が液流路となる。
【0018】
ピストンガイド21の外周面には、外方に張り出す環状のフランジ部21cが形成されており、このフランジ部21cの上面には、環状の起立壁21dが上向きに突出形成されている。また、ピストンガイド21の外周部には、空気用シリンダ13の内周面と気密に摺動される空気用ピストン27が取り付けられている。
【0019】
空気用ピストン27は、ピストンガイド21を挿通させる基筒部27aと、空気用シリンダ13の内周面に摺接されるシール筒部27bと、基筒部27aとシール筒部61との間で段付き形成された段付き部27cとを有し、ピストンガイド21に対して僅かに上下動可能に配置されている。空気用ピストン27の基筒部27aは、ピストンガイド2のフランジ部21cよりも上方に位置しており、その上部がステム23の内周面と気密に摺動可能となっている。
【0020】
また、空気用ピストン27の基筒部27aと段付き部27cとの間には、外部の空気が流入される空気流入孔28が設けられている。この空気流入孔28は、空気用ピストン27及びステム23の上下動によって開閉可能とされている。すなわち、空気用ピストン27及びステム23の上下動によって、ステム23の下端が基筒部27aと段付き筒部27cとの間に当接されると空気流入孔28が閉塞され、離間すると空気流入孔28が開放される。
【0021】
さらに、空気用ピストン27の基筒部27aには、空気吸入弁29が取り付けられている。この空気吸入弁29は、逆止弁として機能するものであり、基筒部27aと段付き部27cとの間に位置してその下端から上向きに広がる環状のダイヤフラム29aを有している。このダイヤフラム29aは、通常はその外周縁部が段付き部27cの下面に当接して空気シリンダ13を閉塞しており、空気シリンダ13内に負圧が発生したときに、下方に弾性変形することによって外周縁部が段付き部27cの下面から離間して空気シリンダ13を開放する。なお、この空気吸入弁29は、例えば図3に示すように、上述したステム23の下端が基筒部27aと段付き筒部27cとの間で空気流入孔28を開閉する構成の場合には、省略することも可能である。
【0022】
空気用ピストン27は、その上下動によって基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dの内側と接離可能となっている。そして、ピストンガイド21の基筒部27aと摺接される外周面には、上下方向に延びる複数の縦溝30が設けられている。この縦溝30は、空気用シリンダ13内の空気を後述する混合室31へと導く空気流路を形成するものであり、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dから離間したときに空気用シリンダ13との間で連通され、基筒部27aの下端が起立壁21dに当接したときに空気用シリンダ13との間で遮断される。
【0023】
ピストンガイド21の内側上部には、空気用シリンダ13から空気流路を通して供給される空気と液用シリンダ14から液流路を通して供給される内容液とが混合される混合室31が設けられている。この混合室31は、略円筒状の内部形状を有し、その下面中央には、液用シリンダ14から圧送された内容液が流入される液流入口31aが設けられ、その上面中央には、空気と混合された内容液が流出される液流出口31bが設けられている。
【0024】
混合室31には、図2に拡大して示すように、液流入口31aを開閉する液流入弁32が設けられている。この液流入弁32は、逆止弁として機能するものであり、液流入口31aに設けられた弁座33と、この弁座33に対して着座及び離間可能に設けられた弁体34とを有している。弁座33は、液流入口31aの周囲を囲む位置から上方に向かって突出され円筒状の突起部であり、その上端面が外側から内側に向かって下降したテーパー面を形成することによって、弁体34が着座される座面33aを形成している。弁体34は、弁座33の座面33aに対して着座及び離間可能とされた球体であり、混合室31に供給された内容液と空気とを撹拌するように混合室31内で移動可能となっている。
【0025】
コイルスプリング22は、図1に示すように、液用シリンダ14内における液用ピストン25と縦リブ14bとの間に圧縮された状態で配置されており、液用ピストン25を上方に向かって付勢している。また、コイルスプリング22の下端は、ポペット26の係合ピン26cに下方から掛止可能となっており、これにより、ポペット26の上方移動時の上限を規制している。
【0026】
ステム23は、装着キャップ2の筒状部2aに挿入されると共に、ピストンガイド21の上端部を内側に嵌合させた状態でピストンガイド21と連結されている。これにより、ステム23は、混合室31の液流出口31bと連通される流路を形成すると共に、ピストンガイド21と一体に上下方向に移動可能となっている。また、筒状部2aの内周面には、外部の空気を空気流入孔28へと導くための外気導入用の縦リブ35が複数設けられている。
【0027】
ステム23の内部には、ピストンガイド21の上端部の内側に嵌合されるジェットリング36と、このジェットリング内に配置された2つのメッシュリング37a,37bとが設けられている。このうち、ジェットリング36のピストンガイド21に嵌合される嵌合部36aには、上述した混合室31の液流出口31bが形成されている。また、図2に拡大して示すように、ジェットリング36とピストンガイド21との間に形成された隙間38によって、上述した空気用シリンダ12から流出された空気を混合室31へと導く空気流路が形成されている。また、嵌合部36aの内側には、複数の縦溝36bが形成されており、混合室31内の弁体34が嵌合部36の下端に当接した場合でも、空気と混合された内容液を縦溝36bを通じて液流出口31bから流出することが可能となっている。
【0028】
メッシュリング37a,37bは、図1に示すように、混合室31内で空気と混合された内容液を発泡させるための発泡用部材であり、下部側のメッシュリング37aは、筒状部材の下部開口部にメッシュが取り付けられ、上部側のメッシュリング37bは、筒状部材の上部開口部にメッシュが取り付けられた構造を有している。なお、筒状部材に対するメッシュの配置については、両端開口部のうち一方のみに配置する構成に限らず、両方に配置することも可能である。また、メッシュについては、100メッシュ以上であることが泡形成性の点から好ましく、より好ましくは100〜400メッシュであり、更に好ましくは100〜300メッシュである。また、メッシュの枚数については、1〜4枚であることが泡形成性の点から好ましく、より好ましくは2〜3枚である。
【0029】
ノズルヘッド24は、ステム23の上端部にステム23と一体に設けられたヘッド部24aと、このヘッド部24aの側面から延長された泡吐出口となるノズル部24bとを有している。このうち、ヘッド部24aは、押圧操作される部分であり、その内側にステム23からノズル部24bへと内容液を導く流路24cが設けられている。ノズル部24bは、この流路24cと連通されると共に、ヘッド部24aの側面部からほぼ水平方向に延長され、その先端部が下方に向かって僅かに屈曲した細長形状を有している。また、ヘッド部6の下面からは、筒状部1aの周囲を囲む外側筒部24dが垂下されており、この外側筒部24dの下端にはリング部材39が嵌め込まれている。なお、装着キャップ2の筒状部2aには、ノズルヘッド24の押圧方向の移動を係止するストッパー40が着脱可能となっている。
【0030】
以上のような構造を有する泡吐出容器では、ノズルヘッド24を押圧操作する前の状態では、図1に示すように、ノズルヘッド24が上方に位置しており、この状態において、ポペット26は、コイルスプリング22より上方に付勢されたピストンガイド21よって押し上げられ、下部弁体26aが液用シリンダ14の弁座14aから離間している。これにより、液用シリンダ14は、吸込パイプ15通じて容器本体1の内部と連通した状態となっている。一方、ポペット26の上部弁体26bは、ピストンガイド21の弁座21aに着座しており、このピストンガイド21の上部開口を閉塞している。
【0031】
空気用ピストン27は、図3中の中心線に対して左半分側で示されるように、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dの内側と当接することによって、空気用シリンダ13と縦溝30との間を遮断している。一方、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間から離間することによって空気流入孔28を開放している。また、空気吸入弁29は、空気用ピストン27の段付き部27cにダイヤフラム29の外周縁部が当接されることによって、空気シリンダ13を閉塞している。
【0032】
この状態から、作動部材20であるノズルヘッド24を押圧操作してステム23及びピストンガイド21をコイルプスリング24の付勢力に抗して押し下げると、液用ピストン25及び空気用ピストン27が一体となって下降する。このとき、ポペット26の上部弁体26bがピストンガイド21の弁座21aから離間して、このピストンガイド21の上部開口を開放する。また、下降する液用ピストン25により液用シリンダ14内が加圧されると、この液用シリンダ14内で加圧された内容液がポペット26を押圧して下降させる。これにより、ポペット26の下部弁体26aが液用シリンダ14の弁座14aに着座して、液用シリンダ14の下部開口を閉塞する。
【0033】
一方、空気用ピストン27は、ノズルヘッド24の押し下げ開始直後はシール筒部27bと空気用シリンダ13との摩擦力によって停止しており、その状態でピストンガイド21が下降することによって、図3中の中心線に対して右半分側で示されるように、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dから離間し、空気用シリンダ13と縦溝30との間が連通された状態となる。一方、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間に当接されることによって空気流入孔28を閉塞する。そして、この空気用ピストン27は、ステム23の下端が当接された以降はピストンガイド21と一体となって下降する。
【0034】
下降する液用ピストン25により液用シリンダ14内で加圧された内容液は、液流入弁31の弁体34を押圧して、この弁体34を弁座33から離間させる。これにより、液用シリンダ14内で加圧された内容液が液流入口31aを通って混合室31に流入することになる。一方、下降する空気用ピストン27により空気用シリンダ15内で加圧された空気は、縦溝30及び隙間38によって形成された空気流路を通って混合室31に流入することになる。
【0035】
混合室31内では、供給された内容液と空気とが撹拌されて、この空気と混合された内容液が液流出口31bを通ってステム23側へと送られる。そして、ジェットリング36及び2つのメッシュリング37a,37bを通過した内容液は、発泡されて泡状となり、ノズルヘッド24の流路24cを通ってノズル部24bの先端部から吐出される。
【0036】
一方、押し下げられたノズルヘッド24に対する押圧を解除すると、ステム23及びピストンガイド21がコイルプスリング22の付勢力により押し上げられて、液用ピストン25及び空気用ピストン27が一体となって上昇する。このとき、混合室31及び液用シリンダ14内に負圧が発生することによって、液流入弁31の弁体34が弁座33に着座して液流入口31aを閉塞する。また、液用シリンダ14内に発生した負圧によってポペット26が引き上げられると、下部弁体26aが液用シリンダ14の弁座14aから離間する。これにより、容器本体1内にある内容液が吸込パイプ15通じて液用シリンダ14内へと吸い上げられる。
【0037】
一方、空気用ピストン27は、ノズルヘッド24の上昇直後はシール筒部27bと空気用シリンダ13との摩擦力によって停止しており、その状態でピストンガイド21が上昇することによって、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dと当接し、空気用シリンダ13と縦溝30との間を遮断する。一方、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間から離間されることによって空気流入孔28を開放する。そして、この空気用ピストン27は、基筒部27aの下端が起立壁21dの内側と当接された以降はピストンガイド21と一体となって上昇する。
【0038】
また、空気用ピストン27の上昇に伴って、空気用シリンダ13内に負圧が発生する。これにより、空気吸入弁29は、空気用ピストン27の段付き部27cからダイヤフラム29の外周縁部が下方に弾性変形することによって段付き部27cから離間し、空気シリンダ13を開放する。また、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間から離間することによって空気流入孔28を開放する。
【0039】
また、容器本体1内にある内容液が吸込パイプ15通じて液用シリンダ14内へと吸い上げられると、容器本体1内に負圧が発生する。これにより、外気が筒状部2aの縦リブ35の間から吸い込まれて、一部の空気が空気流入孔28を通って空気用シリンダ13内に入ると共に、残りの空気が容器本体1内に入ることになる。
【0040】
以上のようにして、この泡吐出容器では、ノズルヘッド24に対する押圧を解除することによって、押し下げられたノズルヘッド24が再び元の位置へと戻ることになる。したがって、この泡吐出容器では、ノズルヘッド24に対する押圧操作を繰り返し行うことができ、このような押圧操作によって容器本体1の内部に収容された液体を泡状にしてノズル部24bから定量的に吐出させることができる。
【0041】
とこで、上記泡吐出容器では、ノズルヘッド24の1回の押圧操作に対する泡の吐出量を増大させるべく、上記泡吐出ポンプ10の空気用シリンダ13、液用シリンダ14及び混合室31における容量の拡大が図られている。しかしながら、これらの容量を単に大きくしただけでは、ノズルヘッド24を押圧操作する際のストロークが増すだけでなく大きな押圧が必要となる。そこで、ノズルヘッド24を押圧操作する際のストロークを短くし且つ押圧を下げるために、内容液に対する空気の混合比率を高めることが行われている。
【0042】
具体的に、上記泡吐出容器では、混合室31で混合される空気と内容液との体積比(気液混合比)が15:1〜35:1(すなわち、内容液を1としたときの空気の割合が15/1〜35/1)に設定されている。気液混合比が15:1〜35:1の範囲を超えると、粗密な泡となってしまい泡の持続性が悪くなる。
また、ノズルヘッド24を押圧操作するのに必要な押圧は、例えば子供や老人といった利用者にとっても使いやすい30.9N以下とすることが好ましい。
また、ノズルヘッド24の1回の押圧操作によってノズル24bから吐出される内容液(泡)の泡体積を20〜50mLとすることが好ましい。
【0043】
このような条件を満足しつつ、ノズルヘッド24の1回の押圧操作に対する泡の吐出量を大きくする場合には、このノズルヘッド24の1回の押圧操作によって、空気用シリンダ13から混合室31に供給される空気の供給量を24〜56mL、液用シリンダ14から混合室31に供給される内容液の供給量を1.5〜2.0mLとすることが好ましい。また、この場合、ノズル24bから吐出される(泡状の)内容液の吐出量を1.6g以上とすることができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、キャップ本体1にHDPE(高密度ポリエチレン)からなるものを用い、その内容量は580mL(満720mL)であり、質量は50gである。気/液比を19/1とし、ノズルヘッド24を押圧操作する際のストロークを25mmとしている。そして、ノズルヘッド24の1回の押圧操作でノズル24bから吐出される(泡状の)内容液の吐出量は1.6gである。
【0045】
ところで、ノズルヘッド24の1回の押圧操作に対する泡の吐出量を大きくした場合には、混合室31の内部容積の拡大に伴って弁体34が混合室31内で大きく移動することになる。特に、混合室31の内部容積と弁体34の体積との体積比を12:1〜15:1とした場合には、混合室31内で弁体34が移動する空間が広がるため、混合室31に供給された内容液と空気とを充分に撹拌できるようになり、泡質の向上を図ることができる。
【0046】
一方、弁体34の体積に対して混合室31の内部容積の比率が相対的に高くなると、液流入弁32の閉弁時に弁体34が弁座33にうまく着座せずに混合室31内の弁座33との隙間に弁体34が乗り上げて内容液の吐出不良を生じさせる可能性が高くなる。特に、ノズルヘッド24を押圧操作する際のストロークを短くしようとした場合には、弁体24の径に対して混合室31の内径が相対的に大きくなるため、混合室31内における弁体34の径方向の移動量が大きくなる。
【0047】
そこで、本発明を適用した泡吐出容器は、図2に示すように、弁体34を弁座33の着座位置に復帰させるための復帰手段として、混合室31の内側面から突出された少なくとも1つ以上のリブ50を備えた構成となっている。
【0048】
具体的に、混合室31の内側面には、図2に示すように、上下方向に延びる複数の縦リブ50が周方向に等間隔に並んで設けられている。これら複数の縦リブ50は、混合室31内における弁体34の径方向の移動を制限する制限手段であり、混合室31内で弁体34が径方向に移動した際に、この縦リブ50に弁体34が当接されることによって、混合室31の内側面と弁座33との隙間に弁体34が乗り上げることを防止する。
【0049】
すなわち、本発明を適用した泡吐出容器では、このような複数の縦リブ50を混合室31の内側面に設けることによって、弁体34の中心を座面33aの最外周よりも常に内側に位置させることができる。これにより、混合室31の内側面と弁座33との隙間に弁体34が乗り上げて内容液の吐出不良が生じることを未然に防ぐことができる。一方、この混合室31内で空気と混合された内容液は、各縦リブ50の間の流路を通過することになる。したがって、このような構成によって、混合室31の内部容積の拡大を図りつつ、弁体34を弁座33の着座位置に確実に復帰させることができる。
【0050】
また、弁体34を弁座33の着座位置に復帰させるための復帰手段としては、例えば図4中の中心線に対して右半分側で示されるような弁座33の座面を形成する少なくとも一部が外側に延長された延長座面33bを形成した構成であってもよい。なお、図4中の中心線に対して左半分側で示される部分は、比較として示す従来の弁座33の座面33aである。
【0051】
具体的に、この延長座面33bは、弁座33の厚みtを径方向に拡大することによって、弁体34との接触面積Pを径方向において拡大している。この場合、弁体34が混合室31内で径方向に移動して混合室31の内側面に当接されときに、弁体34の中心を延長座面33bの最外周よりも常に内側に位置させることができる。これにより、混合室31の内側面と弁座33との隙間に弁体34が乗り上げて内容液の吐出不良が生じることを未然に防ぐことができる。したがって、このような構成によっても、混合室31の内部容積の拡大を図りつつ、弁体34を弁座33の着座位置に確実に復帰させることができる。
なお、延長座面33bは、弁座33の厚みtを径方向に全周に亘って拡大する構成に限らず、弁座33の外側面に複数の縦リブを周方向に並べて設けて部分的に延長させた構成であってもよい。
【0052】
また、本発明を適用した泡吐出容器は、弁座33から離間した弁体34の高さ方向の移動を制限する制限手段を設けた構成としてもよい。
このような制限手段としては、例えば図5に示すように、混合室31の液流出口31bから下方に向かって突出された突起部60を設けることができる。また、このような制限手段としては、例えば図6に示すように、混合室31の液流出口31bの周囲から下方に向かって突出され、且つ、周方向において高さを一部異ならせた突起部61を設けることができる。
本発明を適用した泡吐出容器では、このような突起部60,61を設けることよって、ノズルヘッド24を押圧操作した際に、弁座33から離間した弁体34が突起部60,61に当接されて弁体34の高さ方向の移動が制限されるため、弁体34が強制的に移動させれることになる。これにより、混合室31に供給された内容液と空気とがより撹拌されるため、泡立ちがよくなり、更なる泡質の向上を図ることができる。
【0053】
以上のように、本発明を適用した泡吐出容器では、比較的小さな押圧と短いストロークでノズルヘッド24を押圧操作することができ、泡質及び泡の持続性に優れた多量の泡を1回の押圧操作で安定して吐出させることができる。したがって、この泡吐出容器では、必要とする泡を1回の押圧操作で充分に得ることができ、使い勝手を更に向上させることができる。
【0054】
(液体洗浄剤組成物)
次に、上記泡吐出容器に収容される液体洗浄剤組成物について説明する。
上述したように、上記泡吐出容器では、内容液に対する空気の混合比率を高めると、泡質及び泡の持続性が悪くなることがある。このため、容器本体1に収容される液体洗浄剤組成物の種類によって、その液体洗浄剤組成物に含まれる界面活性剤の組成を最適化することが求められる。
【0055】
すなわち、上記泡吐出容器では、ノズルヘッド24の1回の操作に対する押圧を軽くし且つ泡の吐出量を多くするために、内容液に対する空気の混合比率を15/1〜35/1の割合で高めている。この場合、ノズルヘッド24の1回の押圧操作によって吐出される発泡した液体洗浄剤組成物の25℃における泡粘度が1000〜3000mPa・s、より好ましくは1200〜2800mPa・sの範囲となる界面活性剤を選び、その内容液に含まれる界面活性剤の組成を最適化することで、内容液が粗密な泡となるのを防ぎ、且つ、その泡の持続性を高めることができる。
【0056】
具体的に、上記泡吐出容器に収容される液体洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)、両性界面活性剤(B)、半極性界面活性剤(C)のうち少なくとも1つ以上を含有し、その合計量が3〜25質量%であることが好ましい。さらに、液体洗浄剤組成物は、5/1≦A/(B+C)≦1/5の関係を満足することが好ましく、より好ましくは3/1≦A/(B+C)≦1/1である。
【0057】
液体洗浄剤組成物は、このような組成範囲とすることで、混合室31で混合される空気と内容液との体積比が15:1〜35:1である場合において、ノズルヘッド24の1回の押圧操作によってノズル24bから吐出される内容液(泡)をきめの細かいクリーミーな泡質とすることができ、且つ、泡の持続性を良好なものとすることができる。
【0058】
なお、上記泡粘度は、BL型粘度計(東京計器製、ローターNo.3、30rpm、1分後測定、25℃)で測定した値である。泡粘度は、泡の持続性と相関関係があり、この泡粘度を1000〜3000mPa・sの範囲とすることで、きめの細かいクリーミーな泡質を長時間維持することができる。一方、泡粘度が3000mPa・s/25℃を超える場合は、良好な泡が形成されず、泡の持続性がなくなる傾向にある。また、泡粘度が1000mPa・s/25℃未満となる場合は、粗い泡が形成されてしまい、泡の持続性も悪くなる傾向にある。
【0059】
また、液体洗浄剤組成物の製剤粘度は、ポンプの押し易さに影響しており、この製剤粘度をBL型粘度計(東京計器製、ローターNo.1、60rpm、1分後測定、25℃)で測定した場合に、40mPa・s以下とすることが好ましく、より好ましくは15mPa・s以下である。これにより、ポンプ操作を容易に行うことができる。
【0060】
以下、上述した知見に基づいて、上記泡吐出容器に収容される液体洗浄剤組成物について説明する。
アニオン界面活性剤としては、通常の液体洗浄剤組成物に用いられるものであればよく、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩などを用いることができる。
カルボン酸塩としては、例えば、C12〜C18の飽和及び不飽和脂肪酸の他に、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などのカリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩などの脂肪酸石けん、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩などを挙げることができ、具体的なものとして、例えば、ラウリン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウムなどを挙げることができる。また、脂肪酸石けんは、そのものを配合してもよく、又は、液体洗浄剤組成物中に脂肪酸とアルカリをそれぞれ別々に配合して中和して用いてもよい。
硫酸塩としては、例えば、高級アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリ-ルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノ−ルアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩などを挙げることができる。
リン酸塩としては、例えば、アルキルリン酸塩(モノラウリルリン酸トリエタノールアミン、モノラウリルリン酸ジカリウム等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩などを挙げることができる。
スルホン酸塩としては、例えば、N−アシルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸塩などを挙げることができ、具体的なものとして、例えば、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどを挙げることができる。
N-アシルアミノ酸系アニオン界面活性剤の中では、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン、N−ラウロイル−N−メチルグリシン、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−ココイルグリシン、N−ココイルアラニンなどを挙げることができ、また、これらのナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などを挙げることができる。
N-アシルアミノ酸系アニオン界面活性剤としては、そのものを配合してもよく、又は、液体洗浄剤組成物中にN-アシルアミノ酸とアルカリをそれぞれ別々に配合して、中和して用いてもよい。なお、N-アシルアミノ酸系アニオン界面活性剤には、L体、D体、ラセミ体があるが、本発明においては、何れも使用することができる。
上記アニオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、泡の持続性の観点から、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、モノラウリルリン酸塩、並びにN−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン、N−ラウロイル−N−メチルグリシン、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−ココイルグリシン、N-ココイルアラニン、これらのカリウム塩、トリエタノールアミン塩等を用いることが好ましい。一方、皮膚に対する洗浄力の観点からは、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウムなどの高級脂肪酸カリウムを用いることが好ましい。
【0061】
両性界面活性剤及び半極性界面活性剤としては、通常の液体洗浄剤組成物に用いるものであればよく、イミダゾリン型(アミドアミン型)、アミドアミノ酸塩、カルボベタイン型(アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン)、スルホベタイン型(アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン)、ホスホベタイン型などを使用することができ、半極性界面活性剤としては、アシル第3級アミンオキサイド、アシル第3級ホスフォンオキシドなどを用いることができる。また、イミダゾリン型としては、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなど、アルキルベタインとしては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなど、アルキルアミドベタインとしては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなどを挙げることができる。また、アルキルスルホベタインとしては、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなど、アルキルヒドロキシスルホベタインとしては、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ホスホベタイン型としては、ラウリルヒドロキシホスホベタインなどを挙げることができる。アシル第3級アミンオキサイドとしては、ラウリルジメチルアミンオキサイドなど、アシル第3級ホスフォンオキサイドとしては、ラウリルジメチルホスフォンオキサイドなどを挙げることができる。
また、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤の中では、カルボベタイン型やアシル第3級アミンオキサイドが好ましい。
上記両性界面活性剤及び半極性界面活性剤は、単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
また、アニオン界面活性剤と両性及び/又は半極性界面活性剤とを併用した場合には、泡の持続性が単独の場合と比べて良好なものとなる。
また、高級脂肪酸塩と両性界面活性剤とを併用した場合には、安定性の点から両性界面活性剤の中では脱塩処理したものが好ましい。
【0062】
さらに、皮膚用液体洗浄剤組成物は、水溶性高分子を添加することにより泡の持続性を良好なものとすることができる。水溶性高分子としては、通常の液体洗浄剤組成物に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、好ましいカチオン性高分子としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化メチルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体を挙げることができる。ノニオン性高分子として好ましいものとしては、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体などを挙げることができる。
【0063】
皮膚用液体洗浄剤組成物は、任意成分を本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて適宜配合することができる。任意成分としては、例えば、ノニオン界面活性剤、多価アルコール、高級アルコール、シリコーン油などの油分、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミンなどの薬剤、殺菌剤、防腐剤、pH調製剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料などを挙げることができる。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合することができる。
【0064】
ノニオン界面活性剤としては、通常の液体洗浄剤組成物に用いられるものであれば特に限定されず、ポリオキシアルキレン付加型、モノあるいはジエタノールアミド系ノニオン性界面活性剤、糖系ノニオン性界面活性剤、グリセリン系ノニオン性界面活性剤などを使用することができる。
ポリオキシアルキレン付加型のノニオン性界面活性剤には、1種のポリオキシアルキレン付加型と2種以上のポリオキシアルキレン付加型があり、前者として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、後者として、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどを挙げることができる。
モノ又はジエタノールアミド系ノニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、N−ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドなどを挙げることができる。
糖系ノニオン性界面活性剤としては、糖エーテル系であるアルキルサッカライド系、糖アミド系、ソルビタン脂肪酸エステル系、ショ糖脂肪酸エステル系などを挙げることができる。
アルキルサッカライド系としては、下記一般式(1)で表されるものを挙げることができる。
−O−(RO)−G …(1)
なお、式中、R2は、炭素数6〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル、アルケニル又はアルキルフェニル基であり、R3は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、GSは、炭素数5〜6の還元糖であり、rは0〜10、sは1〜10である。
糖アミド系ノニオン性界面活性剤としては、N−メチルラウリルグルカミドなどのN−メチルアルキルグルカミドを挙げることができる。
ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤としては、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどを挙げることができる。
ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ショ糖エステル、モノステアリン酸ショ糖エステル、POPモノステアリン酸ショ糖エステルなどを挙げることができる。
グリセリン系ノニオン性界面活性剤としては、セスキオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレートなどのモノグリセリン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤、モノイソステアリン酸ポリグリセリル等の脂肪酸エステル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤、ポリグリセリル・ポリオキシブチレンステアリルエーテルなどのアルキルエーテル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤を挙げることができる。
これらのノニオン性界面活性剤のうち、下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましく、さらにRは16〜22、nは6〜40であることが特に好ましい。
−O−(CHCHO)−H …(2)
なお、式中、R1は、炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニルであり、nは0〜80である。
【0065】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、1,3−ブチレングリコール、トリメチルプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、ショ糖、フルクトース、マルトース、マルチトール、キシリトール、イノシトール、ソルビタン、ソルビトールなどやこれらの多価アルコールのEO又はPO付加物を挙げることができる。中でも、洗い流した後のしっとり感、保湿の点からプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールが好ましい。
【0066】
香料としては、特開2002−128658号公報の段落[0027]〜[0045]記載のリストを引用することにより本明細書の開示の一部とされるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
また、皮膚用液体洗浄剤組成物を調製する装置としては、剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどを備えた攪拌装置が好ましく、特に好ましくは、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサーなどがある。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
実施例1〜7及び比較例1〜5では、図1に示す上記泡吐出容器と同様の泡吐出容器を実際に作製し、この容器に液体洗浄剤組成物の各成分を変更したものを収容して、泡を吐出させた際の泡の形成性、泡の持続性、泡のすすぎ易さ、及びポンプの押し易さについての評価試験を行った。
【0069】
具体的に、実施例1〜7及び比較例1〜5では、泡吐出容器に下記表1,2に示す配合で調製した皮膚用液体洗浄剤組成物を収容してなる各サンプルを作製した。なお、表1,2中の配合量は質量%(純分換算)である。また、泡吐出容器の気/液比は19/1であり、ポンプストロークは25mmであり、内容液の1回の吐出量は1.6gであり、液用ピストンの径は8.6mmであり、空気用シリンダーの径は39.7mmである。メッシュは200メッシュを2枚使用した。また、表1,2中の水酸化カリウムはpH調整剤であり、適量添加することでpH10.4に調整した、なお、比較例5については水酸化カリウムを添加せず、pHの調整を行わなかった。pHはpHメーター(東亜電波工業製HM−30G、1分後、25℃)で測定した。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
そして、実施例1〜7及び比較例1〜5の各サンプルについて、下記の方法に従って、製剤粘度及び泡粘度を測定すると共に、泡の形成性、泡の持続性、泡のすすぎ易さ、及びポンプの押し易さの評価を行った。
【0073】
<製剤粘度の測定方法>
液体洗浄剤組成物(製剤)を硬質ガラスのバイアル瓶に充填し、25℃の条件下でBL型粘度計(東京計器製、ローターNo.1、60rpm、1分後測定)を用いて、製剤粘度を測定した。
【0074】
<泡粘度の測定方法>
泡吐出容器より吐出された泡を硬質ガラスのバイアル瓶に充填し、25℃の条件下でBL型粘度計(東京計器製、ローターNo,3、30rpm、1分後測定)を用いて、泡粘度を測定した。
【0075】
<泡の形成性の評価>
泡の形成性は、泡吐出容器より吐出された泡の外観について、専門パネラー10名が以下の評価基準に基づいて評価し、専門パネラー10名の評価点の平均値を求め、以下の判定基準に基づいて評価を行った。
(評価基準)
3点:非常に良好(均一に細かい泡)
2点:良好(粗い泡が混じる/泡の半分以上が細かい泡)
1点:不良(粗い泡/泡の半分以上が粗い泡)
(判定基準)
◎:2.5点以上
○:2.0点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2.0点未満
×:1.5点未満
【0076】
<泡の持続性の評価>
泡の持続性は、100mLのメスシリンダー(内径27mm、旭日テクノグラス社製)を用い、泡吐出容器から吐出される泡が25℃における100mLの泡から70重量%相当の液層が現れるまので時間を求め、以下の基準に基づいて評価を行った。
(評価基準)
◎:7分以上
○:5分以上、7分未満
△:3分以上、5分未満
×:3分未満
【0077】
<泡のすすぎ易さの評価>
泡のすすぎ易さは、泡吐出容器より吐出された泡を用いて手指を洗浄し、その泡のすすぎ易さについて専門パネラー10名が以下の評価基準に基づいて評価し、専門パネラー10名の評価点の平均値を求め、以下の判定基準に基づいて評価を行った。
(評価基準)
3点:良好(流すと同時に泡/ぬるつきが消える)
2点:やや良好(手指を擦ると、泡/ぬるつきが消える)
1点:すすぎ不良(泡切れが悪い/ぬるつき感がなかなか消えない)
(判定基準)
◎:2.5点以上
○:2.0点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2.0点未満
×:1.5点未満
【0078】
<ポンプの押し易さの評価>
ポンプの押し易さは、泡吐出容器より泡を吐出する際のポンプの押し易さについて、専門パネラー10名が以下の評価基準に基づいて評価し、専門パネラー10名の評価点の平均値を求め、以下の判定基準に基づいて評価を行った。
(評価基準)
3点:非常に良好
2点:良好(やや重いが問題ない)
1点:不良(重くて問題のあるレベル)
(判定基準)
◎:2.5点以上
○:2.0点以上、2.5点未満
△:1.5点以上、2.0点未満
×:1.5点未満
【0079】
表1,2に示す評価結果から、比較例1のように、界面活性剤の合計量(A+B+C)が3質量%未満となるサンプルでは、泡粘度が1000mPa・s未満となり、良好な泡の持続性が得られなかった。
一方、比較例2のように、界面活性剤の合計量(A+B+C)が25質量%を超えるサンプルでは、泡粘度が3000mPa・s超となり、良好な泡の形成性、泡のすすぎ易さ、及びポンプの押し易さが得られなかった。
一方、比較例3〜5のように、界面活性剤の配合が5/1≦A/(B+C)≦1/5の範囲から外れるサンプルでは、泡粘度が1000〜3000mPa・sの範囲から外れてしまい、何れも泡の持続性が悪くなった。
これに対して、実施例1〜7のサンプルでは、何れも本発明の条件を満足しており、泡粘度、泡の形成性、泡の持続性、泡のすすぎ易さ、及びポンプの押し易さについて、何れも良好な評価結果が得られた。
【0080】
本発明を適用した液体洗浄剤組成物の好適な配合例について、以下の実施例8〜10に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
【表4】

【0083】
【表5】

【0084】
上記実施例8〜10の液体洗浄剤組成物では、何れもきめの細かいクリーミーな泡質を得ることができ、泡の持続性を良好なものとし、なお且つ、泡のすすぎ易さ及びポンプの押し易さを良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明を適用した泡吐出容器を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示す泡吐出容器の混合室を拡大して示す図であり、Aは、その横断面図であり、Bは、その縦断面図である。
【図3】図3は、図1に示す泡吐出容器の動作を説明するための縦断面図である。
【図4】図4は、本発明を適用した別の泡吐出容器を示す縦断面図である。
【図5】図5は、本発明を適用した泡吐出容器の変形例を示す縦断面図である。
【図6】図6は、本発明を適用した泡吐出容器の変形例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0086】
1…容器本体 2…装着キャップ 10…泡吐出ポンプ 11…シリンダ部材 13…空気用シリンダ 14…液用シリンダ 20…作動部材 21…ピストンガイド 22…コイルスプリング 23…ステム 24…ノズルヘッド 25…液用ピストン 26…ポペット 27…空気用ピストン 31…混合室 33…弁座 34…弁体 36…ジェットリング 37a,37b…メッシュリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗浄剤組成物が収容される容器本体の口頸部に泡吐出ポンプが取り付けられ、前記泡吐出ポンプは、内部を液用ピストンが摺動する液用シリンダと、内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダと、泡吐出口が設けられると共に上方に付勢された状態の前記液用ピストン及び前記空気用ピストンを一体的に押し下げる作動部材と、前記液用シリンダから供給される液体洗浄剤組成物と前記空気用シリンダから供給される空気とが混合される混合室と、前記泡吐出口と前記混合室との間の流路に配置された発泡用部材とを備え、前記作動部材を押圧操作して前記液用ピストン及び前記空気用ピストンを付勢力に抗して押し下げることにより、前記混合室内で空気と混合された液体洗浄剤組成物を前記発泡用部材により発泡させて前記泡吐出口より吐出する液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器であって、
前記混合室で混合される空気と液体洗浄剤組成物との体積比が15:1〜35:1であり、
前記泡吐出ポンプは、前記混合室の液流入口に設けられた弁座と、前記弁座に対して着座及び離間可能に設けられた弁体と、前記弁体を前記弁座の着座位置に復帰させる復帰手段とを有し、
前記液体洗浄剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)、両性界面活性剤(B)、半極性界面活性剤(C)のうち少なくとも1つ以上を含有し、その合計量が3〜25質量%であり、なお且つ、5/1≦A/(B+C)≦1/5の関係を満足することを特徴とする液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器。
【請求項2】
前記作動部材の1回の押圧操作によって前記泡吐出口から吐出される発泡した液体洗浄剤組成物の25℃における泡粘度が1000〜3000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器。
【請求項3】
前記復帰手段は、前記混合室の内側面から突出された少なくとも1つ以上のリブであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器。
【請求項4】
前記復帰手段は、前記弁座の座面を形成する少なくとも一部が外側に延長された延長座面であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器。
【請求項5】
前記泡吐出ポンプは、前記弁座から離間した前記弁体の高さ方向の移動を制限する制限手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器。
【請求項6】
前記制限手段は、前記混合室の液流出口から下方に向かって突出された突起部であることを特徴とする請求項5に記載の液体洗浄剤組成物入り泡吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−261688(P2007−261688A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53329(P2007−53329)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】