説明

液体洗浄剤組成物

【課題】 塗布使用に適切な高粘度でありながら、希釈時に速やかに分散・溶解し、被洗浄物にダメージを与えず、希釈時にpHが上昇し洗浄力を高める液体洗浄剤組成物及び洗浄方法の提供。
【解決手段】 (a)過酸化水素、(b)一般式(I)で表され、特定のエチレンオキサイドの付加分布を有する非イオン界面活性剤、(c)ホウ素化合物、(d)ポリオール化合物及び(e)水を特定量含有し、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が5〜50質量%である液体洗浄剤組成物、並びにこの液体洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布した後、該液体洗浄剤組成物を水で希釈する洗浄方法。
1−O−(CH2CH2O)n−H (I)
(式中、R1はC7-18のアルキル基等、nは1〜20の数で、nの平均値nAVが3〜15である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体洗浄剤組成物に関し、特には漂白剤を含有し、希釈時にpHが上昇する液体洗浄剤組成物に関する。また、本発明は液体洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布して用いる洗浄方法に関する。本発明の液体洗浄剤組成物は、特に衣料用の洗浄剤として好適である。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素を含有する液体洗浄剤組成物は、衣類等の繊維製品の色柄物に使用でき、且つ汚れに直接塗布でき、そのまま洗濯できるなどの利点がある。しかし、過酸化水素の安定性の観点から、組成物のpHを酸性にし、洗浄力を犠牲にした使用が一般的であった。これを改善するために、ホウ酸塩とポリオールを配合し、希釈時のpHを希釈前に比べ増加させる方法が知られている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
【0003】
一方、液体洗浄剤組成物を繊維製品のような吸収性のある被洗浄物に対して使用する場合、液体洗浄剤組成物が表面に残り、汚れに対して十分な洗浄力を発揮することができるように、また作業上の点からも液体洗浄剤組成物の粘度を高める試みがなされている。一般的に、水溶液の粘度を高める方法として、アクリル酸系ポリマー、キサンタンガム又はポリビニルアルコール等の高分子系増粘剤や、スメクタイト等の粘土物質を配合することが挙げられるが、過酸化水素を含有する液体洗浄剤組成物は、安定性を考慮して、酸性に調製されるため、酸性で十分な安定性を示し、経済的にも優れ、更には外観的に濁りなどを生じさせずに十分な増粘効果を得ることは難しい。これら問題を解決するために、特定の非イオン界面活性剤を配合する検討がなされている(例えば、特許文献5、6、7、8.9、10、11参照)。
【0004】
このような非イオン界面活性剤配合による増粘組成物を繊維製品のような吸収性のある被洗浄物に対して使用した場合、希釈により一旦液体洗浄剤組成物の粘度が上昇し、洗濯工程中も暫くは被洗浄物中に液体洗浄剤組成物が留まることになり、汚れに対して十分な洗浄力を発揮することができる。しかし、前出のホウ酸塩とポリオールを配合したpH調整組成では、希釈により増粘するとともにpHも上昇するため、塗布した部位は局所的に高濃度、高pHとなり、過酸化水素により被洗浄物へダメージを与える可能性がある。
【特許文献1】特開平6−100888号公報
【特許文献2】特開平7−53994号公報
【特許文献3】特開平7−70593号公報
【特許文献4】特開平10−17895号公報
【特許文献5】特開2005−170995号公報
【特許文献6】特開2002−80895号公報
【特許文献7】特開平10−130693号公報
【特許文献8】特開平9−188895号公報
【特許文献9】特開平11−293283号公報
【特許文献10】特開2001−181695号公報
【特許文献11】特開2001−288497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、塗布使用に適切な高粘度でありながら、希釈時に速やかに分散・溶解し、被洗浄物にダメージを与えず、希釈時にpHが上昇し洗浄力を高める液体洗浄剤組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、液体洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布して用いる洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が0.1〜10質量%、(b)成分の含有量が1〜50質量%、(c)成分の含有量が0.01〜20質量%、(d)成分の含有量が0.1〜30質量%、(e)成分の含有量が30〜95質量%であり、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が5〜50質量%である液体洗浄剤組成物、並びにこの液体洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布した後、該液体洗浄剤組成物を水で希釈する洗浄方法を提供する。
(a)過酸化水素
(b)一般式(I)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
1−O−(CH2CH2O)n−H (I)
(式中、R1は炭素数7〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示す1〜20の数である。)
但し、nの平均値nAVが3〜15であり、nAV−2からnAV+2の範囲に含まれる式(I)で表される非イオン界面活性剤の合計質量Yiが、式(I)で表される非イオン界面活性剤の合計質量を基準として55%以上であり、かつ式(I)で表される非イオン界面活性剤の含有量が、全非イオン界面活性剤の合計質量に対して60%以上である。
(c)ホウ素化合物から選ばれる少なくとも1種
(d)ポリオール化合物から選ばれる少なくとも1種
(e)水
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体洗浄剤組成物は、塗布使用に適切な高粘度でありながら、希釈時に速やかに分散・溶解し、被洗浄物にダメージを与えず、希釈時にpHが上昇し洗浄力を高めることができる。また、本発明の洗浄方法により、液体洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布して用い、被洗浄物にダメージを与えず良好な洗浄力を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[(a)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は(a)成分として過酸化水素を含有する。
【0009】
[(b)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は(b)成分として前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤を含有する。
【0010】
一般式(I)中R1は炭素数7〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、直鎖状でも、分岐鎖を有するものでも良い。洗浄性能、液体物性、分散・溶解性の観点から、アルキル基又はアルケニル基の炭素数は7〜16が好ましく、更に好ましくは10〜16、特に好ましくは12〜14である。具体的なアルキル基としては、例えばヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基及びオクタデシル基を挙げることができる。またアルケニル基としては上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられ、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基及びオクタデセニル基等が挙げられる。上記のR1の中でも、直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基が好ましい。特に、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基が好ましい。
【0011】
一般式(I)中、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示す1〜20の数である。(b)成分のエチレンオキサイドの付加モル数nの平均値nAVは3〜15、好ましくは3〜12、特に好ましくは5〜10である。ここで、nAVは、使用するアルコール1モルに対して反応させたエチレンオキサイドのモル数であり、小数点1の桁の数を四捨五入した整数を意味する。nAVがこの範囲内にあれば油シミ汚れに対する良好な漂白効果が得られるので好ましい。また、本発明の組成物中に含まれる式(I)で表される非イオン界面活性剤の合計質量に対して、nAV−2からnAV+2の範囲に含まれる式(I)で表される非イオン界面活性剤の合計質量を表すYiは、高温における製剤の液分離を生じさせない観点から、55%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。特開平8−295897号公報には、非イオン界面活性剤を含有する液体漂白剤組成物が開示されているが、ここで用いられている非イオン界面活性剤は、nAVが特定の範囲に規定されておらず、さらにYiを規定することにより上記課題を解決した本発明とは異なる。さらに、本発明の液体洗浄剤組成物において、式(I)で表される非イオン界面活性剤以外の非イオン界面活性剤をも含む全非イオン界面活性剤の合計質量に対して、式(I)で表される非イオン界面活性剤の含有量が、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
【0012】
[(c)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は(c)成分としてホウ素化合物を含有する。ホウ素化合物としては、ホウ酸又はその塩(より詳細には、オルトホウ酸又はその塩、メタホウ酸又はその塩、テトラホウ酸又はその塩、五ホウ酸又はその塩、六ホウ酸又はその塩、八ホウ酸又はその塩等)、三酸化ホウ素、ホウ砂等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。本発明の(c)成分は、オルトホウ酸又はメタホウ酸、あるいはそれらのナトリウム塩又はカリウム塩が好適である。
【0013】
[(d)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は(d)成分としてポリオール化合物を含有する。
【0014】
ポリオール化合物としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、リボース、エリトロース、キシルロース、グルコン酸、ガラクトン酸、マンノン酸、グルクロン酸、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、及びそれらの誘導体としてアルキルグルコシド等の糖又は糖誘導体、グリセリン、グリセリンモノアルキルエーテル等のグリセリン誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール等のアルキルジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等のジオール化合物を挙げることができる。
【0015】
これらポリオール化合物の中では、糖アルコールが好ましく、ソルビトール及び/またはマンニトールが更に好ましい。
【0016】
[液体洗浄剤組成物]
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を含有する。
【0017】
本発明の組成物中の(a)成分の含有量は、洗浄性能、安定性の観点から0.1〜10質量%であり、0.5〜6質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましく、1.5〜3質量%が更に好ましい。(b)成分の含有量は、洗浄性能、粘度物性の観点から1〜50質量%であり、3〜40質量%が好ましく、5〜36質量%がより好ましく、8〜32質量%が更に好ましい。(c)成分の含有量は、洗浄性能、安定性、pH調整の観点から0.01〜20質量%であり、0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%が更に好ましい。(d)成分の含有量は、洗浄性能、安定性、pH調整の観点から0.1〜30質量%であり、0.5〜25質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。(e)成分の含有量は、粘度物性、安定性の観点から30〜95質量%が好ましく、35〜90質量%がより好ましく、40〜80質量%が更に好ましい。
【0018】
本発明の液体洗浄剤組成物は、更に安定性、液体物性の観点から(f)成分として、(b)成分以外の界面活性剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(f)成分の含有量は、1〜40質量%が好ましく、3〜35質量%がより好ましく、5〜30質量%が更に好ましい。
【0019】
(f)成分としては、(b)成分以外の非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
【0020】
(b)成分以外の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0021】
陰イオン界面活性剤としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤、又は炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤が挙げられ、その例として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、α−オレフィンスルホン酸塩等を挙げることができる。これらの中でもアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩が好ましい。
【0022】
陽イオン界面活性剤としては、モノまたはジアルキルアミン及びそのポリオキシエチレン付加物、モノまたはジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系の両性界面活性剤が挙げられる。
【0023】
本発明の液体洗浄剤組成物は、更に安定性、液体物性の観点から(g)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(g)成分の含有量は、0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.8質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。
【0024】
ホスホン酸系金属捕捉剤としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体及びその塩を挙げることができる。これらの中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩が好ましい。
【0025】
本発明の液体洗浄剤組成物は、安定性、液体物性の観点から(h)成分として、フェノール系ラジカルトラップ剤を更に含有することが好ましい。本発明の組成物中の(h)成分の含有量は、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0026】
フェノール系ラジカルトラップ剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が挙げられる。このような化合物として、より具体的には、クレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン、ナフトール、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノキシエタノール、フェノールなどが挙げられる。これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、カテコールがより好ましく、更にラジカルトラップ剤の安定性を考慮すれば、これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸が更に好ましく、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
【0027】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄性能、安定性の観点から(i)成分として、漂白活性化剤を含有することが好ましい。本発明の組成物中の(i)成分の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましく、0.4〜1質量%が特に好ましい。
【0028】
漂白活性化剤としては、アルカノイルオキシベンゼン型漂白活性化剤が好ましく、特に炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、もしくは炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこれらの塩が好ましい。より具体的に好ましい例としてはオクタノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、オクタノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ノナノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、デカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。これらの中でも特にノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸及びこれらの塩が漂白効果の点から好ましい。
【0029】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄性能、安定性の観点からJIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が5〜50質量%であり、10〜45質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
【0030】
本発明の液体洗浄剤組成物は、安定性、洗浄性能、液体物性の観点から、JIS K3362:1998記載の方法で測定する20℃におけるpHが、好ましくは3〜6、より好ましくは3.5〜5.8、更に好ましくは4〜5.5である。また、洗浄性能の観点から、希釈によりpHが0.5以上上昇することが好ましく、1以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、2以上が特に好ましい。
【0031】
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄性能、液体物性の観点から、JIS K3362:1998記載の方法で測定する0.1質量%水溶液の20℃におけるpHが、好ましくは7〜10、より好ましくは7.2〜9.5、更に好ましくは7.5〜9である。
【0032】
このようなpHに調整するためのpH調整剤としては、塩酸、硫酸等の無機酸、もしくはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸等の有機酸などの酸剤、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア及びその誘導体、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0033】
また、本発明の液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、洗浄性能、液体物性の観点から、好ましくは50〜200mPa・s、より好ましくは60〜150mPa・s、更に好ましくは70〜100mPa・sである。
【0034】
更に本発明の液体洗浄剤組成物は、漂白効果を高める目的から分散剤を含有することが好ましく、組成物中の分散剤の含有量は0.05〜14質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。分散剤としては、特に、重量平均分子量5千〜4万、好ましくは5千〜1万のポリアクリル酸もしくはその塩又はポリメタクリル酸もしくはその塩、重量平均分子量1万〜10万、好ましくは3万〜7万のアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーもしくはその塩から選ばれるカルボン酸系ポリマー、及び/又は重量平均分子量4千〜2万、好ましくは5千〜1万のポリエチレングリコールから選ばれる非イオン性ポリマーが好ましい。
【0035】
更に本発明の液体洗浄剤組成物は、漂白繊維に対する漂白効果を増すために蛍光増白剤として、チノパールCBS(チバ・ガイギー社製)、チノパールSWN(チバ・ガイギー社製)や、カラー・インデックス蛍光増白剤28、40、61、71等のような蛍光増白剤や、漂白性能を向上させるために酵素(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)を配合することができる。また染料や顔料のような着色剤、香料、シリコーン類、殺菌剤、紫外線吸収剤等の種々の微量添加物を適量配合してもよい。
【0036】
[洗浄方法]
本発明の洗浄方法は、本発明の液体洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布した後、該液体洗浄剤組成物を水で希釈する洗浄方法である。
【実施例】
【0037】
実施例1〜9及び比較例1〜11
下記成分を用い、表1に示す組成の液体洗浄剤組成物を調製した。得られた液体洗浄剤組成物について、以下に示す方法により、脱色性の評価及び塗布洗浄力の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0038】
<配合成分>
(a)成分
a−1;過酸化水素
(b)成分
b−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数8、Yi=76%)
b−2;ポリオキシエチレンミリスチルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数12、Yi=64%)
(b)成分の比較品
b’−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数8、Yi=43%)
(c)成分
c−1;オルトホウ酸
c−2;メタホウ酸
(d)成分
d−1;ソルビトール
d−2;マンニトール
(f)成分
f−1;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素数12、オキシエチレン基の平均付加モル数7)
f−2;アルキル基の炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
f−3;C1225−O(CH2CH2O)nSO3Na(エチレンオキサイド平均付加モル数n=3)
(g)成分
g−1;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ディクエスト2010、ソルーシア社製)
(h)成分
h−1;4−メトキシフェノール
h−2;フェノールスルホン酸
(i)成分
i−1;ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸
i−2;ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸
i−3;3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸
その他成分
PEG;ポリエチレングリコール(平均分子量:8000)
<脱色性の評価法>
(1)脱色試験布の調製
綿100%のニットスムース、シルケット加工品に染料(C.I.Reactive Red 41)を布に対して4%の濃度になるように尽色染色後、水洗、ソーピング、プレスして、10×10cmの試験布とした。
【0039】
(2)脱色性能の評価
上記の様に調製した試験布1枚につき、液体洗浄剤組成物2gを均一に塗布した。1サンプルにつき5枚を一組とした。
水道水2Lに液体洗浄剤組成物を均一に塗布した試験布5枚を30分間浸漬後、水洗、脱水、乾燥を行った。このような処理を20回繰り返し行い、下記方法により洗浄後の布のΔE*値を調べた。
【0040】
(3)測色方法
色差計(日本電色工業株式会社製:ND(F)−300A型)を用いて、試験前後のL*値、a*値、b*値を測色し、次式によりΔE*値を求めた。ΔE*値が小さいほど累積洗浄による変色が少ないことを意味する。
【0041】
【数1】

【0042】
<塗布洗浄力>
EMPA社より購入したNo.114汚染布を8cm×8cmの試験片(赤ワイン汚染布)とした。
液体洗浄剤組成物を20℃に調整し、赤ワイン汚染布1枚につき液体洗浄剤組成物1gを均一に塗布した。1サンプルにつき5枚を一組とした。
塗布後5分間放置した後、JIS K 3362:1998記載の洗浄力判定用指標洗剤溶液(蛍光増白剤無添加)を用い、ターゴトメーターで20℃、10分洗浄した後、水洗い、乾燥後、下式により漂白率を求めた。
反射率計は日本電気色工業(株)製NDR-101DPで460nmフィルターを使用して測定した。
【0043】
【数2】

【0044】
【表1】

【0045】
*1:全非イオン界面活性剤の合計質量[(b-1)+(b-2)+(b'-1)+(f-1)]に対する、式(I)で表され、Yiが55%以上である非イオン界面活性剤[(b-1)+(b-2)]の割合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分を含有し、組成物中の(a)成分の含有量が0.1〜10質量%、(b)成分の含有量が1〜50質量%、(c)成分の含有量が0.01〜20質量%、(d)成分の含有量が0.1〜30質量%、(e)成分の含有量が30〜95質量%であり、JIS K3362:1998記載の界面活性剤相当分が5〜50質量%である液体洗浄剤組成物。
(a)過酸化水素
(b)一般式(I)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
1−O−(CH2CH2O)n−H (I)
(式中、R1は炭素数7〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、nはエチレンオキサイドの付加モル数を示す1〜20の数である。)
但し、nの平均値nAVが3〜15であり、nAV−2からnAV+2の範囲に含まれる式(I)で表される非イオン界面活性剤の合計質量Yiが、式(I)で表される非イオン界面活性剤の合計質量を基準として55%以上であり、かつ式(I)で表される非イオン界面活性剤の含有量が、全非イオン界面活性剤の合計質量に対して60%以上である。
(c)ホウ素化合物から選ばれる少なくとも1種
(d)ポリオール化合物から選ばれる少なくとも1種
(e)水
【請求項2】
更に(f)成分として、(b)成分以外の界面活性剤を含有する請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に(g)成分として、ホスホン酸系金属捕捉剤を含有する請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に(h)成分として、フェノール系ラジカルトラップ剤を含有する請求項1〜3何れか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に(i)成分として、漂白活性化剤を含有する請求項1〜4何れか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
JIS K3362:1998記載の20℃で測定するpHが3〜6である請求項1〜5何れか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
JIS K3362:1998記載の20℃で測定する0.1質量%水溶液のpHが7〜10である請求項1〜6何れか記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7何れか記載の液体洗浄剤組成物を被洗浄物に塗布した後、該液体洗浄剤組成物を水で希釈する洗浄方法。

【公開番号】特開2007−197586(P2007−197586A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18595(P2006−18595)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】