説明

液体洗浄剤

【課題】色素を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤において、高い洗浄力を有すると共に、被洗物への色素染着が抑制された液体洗浄剤を提供すること。
【解決手段】界面活性剤(A)を40質量%以上と、色素(B)150ppm(質量基準)以下と、尿素又はその誘導体(C)0.5〜12質量%とを含有する液体洗浄剤。該液体洗浄剤においては、一般式(d1)で表される有機溶剤(D)をさらに含有することが好ましい。式(d1)中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜4のアルキル基である。mはPOの平均繰返し数、nはEOの平均繰返し数を表し、mは0〜2の数、nは0〜3の数であり、1≦m+n≦5である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、EOとPOとは混在して配列してもよい。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素を含有する液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、家庭での洗濯に用いられる洗剤として、粉末洗剤とは異なる特長(溶け残りがない、香りが楽しめる等)を備え、価格も手頃なことから、液体洗浄剤の需要が拡大している。
液体洗浄剤については、「液体洗浄剤入り容器を手で持つと重い」、「店から持ち帰るのが大変」、「すぐに使い切ってしまう」等の消費者の不満が存在している。
一方、洗浄剤分野においては、環境負荷に対する意識の高まりから、洗浄剤の洗濯1回当たりの使用量を低減すること、洗浄剤が収容される容器のサイズを小型化して樹脂廃棄量を削減すること等が求められている。
このような不満、要望に対して、液体洗浄剤の組成としては、高濃度の界面活性剤を含有し、洗濯1回当たり従来の半分の使用量で洗濯が可能な、いわゆる「濃縮タイプ」の組成物が開発されている。
【0003】
界面活性剤の含有割合が高い液体洗浄剤においては、経時に伴って、特に液表面において該液体洗浄剤自体がゲル化しやすいことにより使用性が悪くなるという問題がある。液体洗浄剤がゲル化してしまうと、液体洗浄剤をキャップに計り取ること(計量)が難しくなると共に、キャップから洗濯機の投入口への排出性も悪くなる。このため、濃縮タイプの液体洗浄剤においては、高い洗浄力に加えて、経時に伴ってゲル化等を起こさずに流動性が保たれ、液性が良好であることが求められる。
これに対して、界面活性剤として特定のポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステルを用いた、濃縮タイプの液体洗浄剤が開示されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、液体洗浄剤をキャップに計り取る際、無色透明外観の液体の場合、キャップの目盛との照合が難しいため、キャップに計り取る量が所定量よりも多すぎたり少なすぎたりしやすい。特に濃縮タイプの液体洗浄剤の場合、従来よりも使用量を低減できる点から、キャップに正確に計り取って用いることが重要になる。
こうした問題に対し、色素を配合して液体洗浄剤を着色し、さらにキャップを透明にすることで、液体洗浄剤のキャップへの採取量を分かりやすくし、計量しやすくする工夫が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−7706号公報
【特許文献2】特開2008−7707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、色素を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤においては、該液体洗浄剤が塗布された洗濯対象物(被洗物)が一昼夜に渡って放置されたり、濯ぎが不充分であったりした場合に、被洗物に色素が染着しやすいという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、色素を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤において、高い洗浄力を有すると共に、被洗物への色素染着が抑制された液体洗浄剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
すなわち、本発明の液体洗浄剤は、界面活性剤(A)を40質量%以上と、色素(B)150ppm(質量基準)以下と、尿素又はその誘導体(C)0.5〜12質量%とを含有することを特徴とする。
本発明の液体洗浄剤においては、前記界面活性剤(A)が、下記の一般式(a1)〜(a3)で表される非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0008】
【化1】

[式(a1)中、Rは炭素数5〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。sはORの平均繰返し数を示し、5〜30の数である。式(a2)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。tはROの平均繰返し数を示し、5〜20の数である。式(a3)中、Rは炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基である。pはEOの平均繰返し数を表し、qはPOの平均繰返し数を表し、rはEOの平均繰返し数を表し、p、q、rはp>1、r≧0、0<q≦3、p+r=10〜30を満たす数である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、(EO)p/(PO)qにおけるEOとPOとは混在して配列してもよい。]
【0009】
また、本発明の液体洗浄剤においては、下記一般式(d1)で表される有機溶剤(D)をさらに含有することが好ましい。
【0010】
【化2】

[式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜4のアルキル基である。mはPOの平均繰返し数、nはEOの平均繰返し数を表し、mは0〜2の数、nは0〜3の数であり、1≦m+n≦5である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、EOとPOとは混在して配列してもよい。]
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、色素を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤において、高い洗浄力を有すると共に、被洗物への色素染着が抑制された液体洗浄剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の液体洗浄剤は、界面活性剤(A)を40質量%以上と、色素(B)150ppm(質量基準)以下と、尿素又はその誘導体(C)0.5〜12質量%とを含有する。
以下、これらの3成分をそれぞれ(A)成分、(B)成分、(C)成分ともいう。
【0013】
[界面活性剤(A)]
界面活性剤(A)は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤など、衣料用の液体洗浄剤に通常用いられるものを配合することができる。
【0014】
(非イオン界面活性剤)
非イオン界面活性剤としては、下記の一般式(a1)〜(a3)で表されるもの、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好適に挙げられる。
【0015】
【化3】

[式(a1)中、Rは炭素数5〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。sはORの平均繰返し数を示し、5〜30の数である。]
【0016】
前記式(a1)中、Rは、炭素数5〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数5〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
におけるアルキル基、アルケニル基の炭素数は、洗浄力向上や保存安定性の点から、それぞれ炭素数9〜13であることが好ましく、それぞれ炭素数11〜13であることがより好ましい。
は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、炭素数2〜3のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。また、(OR)sは、一種単独のオキシアルキレン基の繰返し構造であってもよく、二種以上のオキシアルキレン基が混在していてもよい。二種以上のオキシアルキレン基が混在している場合、オキシアルキレン基はブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。
は、炭素数1〜4のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
【0017】
前記式(a1)中、sは、ORの平均繰返し数を示し、5〜30の数である。洗浄力や液体洗浄剤の液安定性(特に、低温での経時安定性等)の向上の点から、sは12〜18が好ましい。
【0018】
前記式(a1)で表される成分において、ORの繰返し数が異なる化合物の分布の割合を示すナロー率は、20質量%以上であることが好ましい。ナロー率の上限値は実質的には80質量%以下が好ましい。当該ナロー率は、20〜60質量%であることがより好ましく、30〜45質量%であることがさらに好ましい。該ナロー率が高いほど良好な洗浄力が得られるが、高すぎると低温での経時安定性が低下するおそれがある。
本明細書において「ナロー率」とは、下記の数式(S)で表される値をいう。
【0019】
【数1】

【0020】
前記式(S)において、Smaxは、前記式(a1)で表される成分全体の中に最も多く存在するアルキレンオキシド付加体のアルキレンオキシドの付加モル数を示す。
iはアルキレンオキシドの付加モル数を示す。Yiは、前記式(a1)で表される成分全体の中に存在するアルキレンオキシドの付加モル数がiであるアルキレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。
前記ナロー率は、前記式(a1)で表される成分の製造方法等によって制御することができる。
【0021】
前記式(a1)で表される成分の製造方法は、特に制限されず、一例として、表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキシドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。
かかる表面改質された複合金属酸化物触媒の好適なものは、具体的には、金属水酸化物等により表面改質された、金属イオン(Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシド等により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒等である。
また、前記複合金属酸化物触媒の表面改質においては、複合金属酸化物と、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドとの混合割合を、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドの割合を0.5〜10質量部とすることが好ましく、1〜5質量部とすることがより好ましい。
【0022】
【化4】

[式(a2)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。tはROの平均繰返し数を示し、5〜20の数である。]
【0023】
前記式(a2)中、Rの炭素数は10〜22であり、好ましくは10〜20、より好ましくは10〜18である。Rにおける炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、不飽和結合を有していてもよい。前記式(a2)で表される成分は、単一の鎖長からなるものでもよく、複数の鎖長を持つものの混合物でもよい。前記式(a2)で表される成分を合成する際の原料としては、ヤシ油、パーム油、牛脂などの天然油脂由来のアルコール、石油由来の合成アルコールが使用できる。
前記式(a2)中、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、炭素数2〜3のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。また、(RO)tは、一種単独のオキシアルキレン基の繰返し構造であってもよく、二種以上のオキシアルキレン基が混在していてもよい。二種以上のオキシアルキレン基が混在している場合、オキシアルキレン基はブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。
【0024】
前記式(a2)中、tは、ROの平均繰返し数を示し、5〜20の数であり、好ましくは8〜18の数、より好ましくは10〜16の数である。tが20を超えると、HLBが高くなりすぎて皮脂洗浄に不利となるために洗浄機能が低下しやすい。tが5以上であると、臭気の劣化を防ぐことが容易となる。特に、tが10〜16の範囲にあるときは、皮脂汚れに対して高い洗浄力を示す。
【0025】
Oの付加モル数分布は、前記式(a2)で表される成分の製造時の反応方法によって変動し、特に限定されない。例えば、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いてアルキレンオキシドを疎水基原料に付加させた際には、比較的広い分布となり、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いてアルキレンオキシドを疎水基原料に付加させた際には、比較的狭い分布となる傾向にある。
【0026】
前記式(a2)で表される成分の具体例としては、Shell製の商品名Neodol(炭素数12のアルコールと炭素数13のアルコールとの混合物:C12/C13)、Sasol製のSafol23(C12/C13)等のアルコールに対して12又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;P&G社製の商品名CO−1214やCO−1270等の天然アルコールに対して9、12又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;炭素数12〜14の第2級アルコールに対して9、12又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(日本触媒(株)製、ソフタノール90、120又は150)等が挙げられる。
【0027】
【化5】

[式(a3)中、Rは炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基である。pはEOの平均繰返し数を表し、qはPOの平均繰返し数を表し、rはEOの平均繰返し数を表し、p、q、rはp>1、r≧0、0<q≦3、p+r=10〜30を満たす数である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、(EO)p/(PO)qにおけるEOとPOとは混在して配列してもよい。]
【0028】
前記式(a3)中、Rにおけるアルキル基、アルケニル基の炭素数は10〜16であり、10〜14であることが好ましい。Rのアルキル基、アルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
前記式(a3)中、rは、r≧0であり、好ましくはr≧1である。p+r=10〜30であり、好ましくはp+r=14〜20である。
前記式(a3)中、EOとPOとの比率は、q/(p+r)で表される比で0.1〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3である。q/(p+r)で表される比が下限値以上であると、泡が立ちすぎず、泡立ちの適正化が図られる。上限値以下であると、適度な粘度が得られやすくなり、ゲル化が抑制されやすい。また、qが3以下であることにより、生分解性が向上する。
(EO)p/(PO)qにおけるEOとPOとは、いずれか一方のみが存在していてもよく、混在して配列してもよい。(EO)p/(PO)qは、EOとPOとがランダム状に付加していてもよく、ブロック状に付加していてもよい。
【0029】
前記式(a3)で表される成分は公知の方法で合成できる。一例として、天然油脂から誘導されたアルコールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシドをこの順に付加反応した後、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを混合付加(ランダム付加)した後、再度、エチレンオキシドを付加することで合成できる。
【0030】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテル、又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(アルコールアルコキシレート)が挙げられる。この中では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルケニルエーテルが好ましい。
ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。脂肪族アルコールのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
【0031】
(陰イオン界面活性剤)
陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、二級アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。
陰イオン界面活性剤として具体的には、炭素数8〜16(好ましくは炭素数10〜14)のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキル硫酸塩(AS)、炭素数10〜20(好ましくは炭素数10〜14)のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数1〜10(好ましくは平均付加モル数1〜4)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、炭素数10〜20(好ましくは炭素数10〜14)のアルキル基を有する二級アルカンスルホン酸塩(SAS)、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩(α−SF)、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエ−テルカルボン酸塩等が好適に挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
【0032】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を構成する全エチレンオキシド付加体中に質量基準で最も多く存在するエチレンオキシド付加体のエチレンオキシドの付加モル数を「nlmax」とした際、エチレンオキシドの付加モル数が(nlmax−1)とnlmaxと(nlmax+1)のエチレンオキシド付加体の合計の割合が、全エチレンオキシド付加体に対して55質量%以上であるものが好ましく、55〜80質量%の範囲であるものがより好ましい。この範囲であると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の流動性が高まり、製造性が良くなる。
【0033】
上記のなかでも、陰イオン界面活性剤としては、再汚染防止性が良好であることから、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、二級アルカンスルホン酸塩が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩がより好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0034】
陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤等が挙げられる。
また、その他の界面活性剤としては、天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤等も挙げられる。
【0035】
(A)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、(A)成分としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
特に、(A)成分中に、非イオン界面活性剤を50質量%以上含有することが好ましく、非イオン界面活性剤を80質量%以上含有することがより好ましく、非イオン界面活性剤を90質量%以上含有することがさらに好ましく、非イオン界面活性剤が100質量%であってもよい。非イオン界面活性剤を用いることにより、高濃度の界面活性剤を含有してもゲル化等を起こさず、良好な保存安定性を示す濃縮タイプの液体洗浄剤が得られやすい。加えて、濃縮タイプの液体洗浄剤であることにより、液体洗浄剤を被洗物に塗布して使用する際、優れた塗布洗浄力が得られる。
非イオン界面活性剤としては、洗浄力が高いことから、前記の一般式(a1)〜(a3)で表される非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
また、(A)成分としては、汚れが洗濯液中で再度被洗物に付着するのを防止する再汚染防止性が高まることから、非イオン界面活性剤と共に陰イオン界面活性剤を併用することが好ましい。
【0036】
液体洗浄剤中の(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して40質量%以上であり、40〜70質量%であることが好ましく、45〜65質量%であることがより好ましい。
(A)成分の含有量が40質量%以上であると、本発明の効果が顕著に発揮される。また、良好な洗浄力が得られる。加えて、高濃度の界面活性剤を含有することから、濃縮タイプの液体洗浄剤としての有効性(商品価値)が高くなる。
(A)成分の含有量が、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下であると、経時に伴う液表面での液体洗浄剤のゲル化等が起きにくくなって、液表面において皮膜が形成されにくくなる。
【0037】
非イオン界面活性剤と共に陰イオン界面活性剤を併用する場合、陰イオン界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。
陰イオン界面活性剤の含有量が10質量%以下であると、液体洗浄剤の液表面において、該液体洗浄剤自体がゲル化しにくくなって皮膜が形成されにくくなる。また、塗布洗浄力が良好に向上する。陰イオン界面活性剤の含有量が1質量%以上であると、再汚染防止性がより向上する。
【0038】
[色素(B)]
色素(B)は、特に限定されず、酸性染料、塩基性染料、カチオン染料、媒染(油溶性)染料、建染染料、ナフトール染料(アゾ染料)、反応染料(反応性染料)、分散染料、酸化染料などが挙げられる。各染料の構造は「法定色素ハンドブック」(日本化粧品工業連絡会編)に記載されている。
色素(B)として具体的には、以下に示す青色系染料、緑色系染料が例示される。
【0039】
青色系染料:C.I.Acid Blue5、C.I.Acid Blue9、C.I.Acid Blue74、C.I.Solvent Blue11、C.I.Solvent Blue12、C.I.Solvent Blue36、C.I.Solvent Blue63、C.I.Diperse Blue1、C.I.Diperse Blue3、C.I.Diperse Blue5、C.I.Diperse Blue6、C.I.Diperse Blue7、C.I.Diperse Blue26、C.I.Diperse Blue27、C.I.Diperse Blue54、C.I.Diperse Blue55、C.I.Diperse Blue56、C.I.Diperse Blue60、C.I.Diperse Blue61、C.I.Diperse Blue62、C.I.Diperse Blue64、C.I.Diperse Blue72、C.I.Diperse Blue73、C.I.Diperse Blue81、C.I.Diperse Blue87、C.I.Diperse Blue90、C.I.Diperse Blue91、C.I.Diperse Blue97、C.I.Diperse Blue98、C.I.Diperse Blue99、C.I.Diperse Blue103、C.I.Diperse Blue104、C.I.Diperse Blue105、C.I.Basic Blue7、C.I.Vat Blue1、C.I.Vat Blue6、C.I.Pigment Blue15。
また、上記のなかでSolvent系(油溶性)色素に対して、発色団の構造の末端にポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどの水溶性高分子を化学的に修飾して水溶性を増すようにしたものでもよい。具体的には、ミリケン社製のLiquitint Blue HP、Liquitint Blue BL等の商品名が挙げられる。
【0040】
緑色系染料:C.I.Acid Green1、C.I.Acid Green3、C.I.Acid Green5、C.I.Acid Green25、C.I.Food Blue2、C.I.Food Green3、C.I.Solvent Green3、C.I.Food Green3、C.I.Solvent Green7、C.I.Solvent Green。
【0041】
(B)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、(B)成分としては、本発明の効果が顕著に発揮されやすいことから、400〜700nmに最大吸収波長を有する色素が好ましく、500〜700nmに最大吸収波長を有する色素がより好ましく、590〜650nmに最大吸収波長を有する青〜緑色の色素が特に好ましい。
液体洗浄剤中の(B)成分の含有量は、被洗物への染着性、配合による液色度合いから、液体洗浄剤の総質量に対して150ppm(質量基準)以下(0.015質量%以下)であり、1〜100ppm(質量基準)(0.0001〜0.01質量%)が好ましく、3〜50ppm(質量基準)(0.0003〜0.005質量%)がより好ましい。
(B)成分の含有量が下限値未満では、液体洗浄剤の液に色が充分に着かない場合がある。一方、上限値を超えると、被洗物への色素染着を抑制しきれない場合がある。
【0042】
[尿素又はその誘導体(C)]
尿素又はその誘導体(C)としては、尿素[CO(NH]、尿素複塩、これ以外の尿素の誘導体が挙げられる。
尿素複塩は、HNO・CO(NH、HPO・CO(NH、H・2CO(NH、Ca(NO・4CO(NH、CaSO・4CO(NH、Mg(NO・CO(NH・2HO、CaSO・(5〜6)4CO(NH・2HO等を用いることができる。
【0043】
本発明において「尿素の誘導体」は、下記の一般式(c1)で表される構造を有するものを包含する。尿素の誘導体のなかでも、一般式(c1−1)で表される化合物が好適に挙げられる。
【0044】
【化6】

【0045】
前記式(c1−1)中、Rは、メチル基、エチル基、又は炭素数1〜2のヒドロキシアルキル基である。R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はエチル基である。
前記式(c1−1)で表される化合物としては、1,3−ジメチル尿素、N−(2−ヒドロキシエチル)尿素などが挙げられる。
【0046】
(C)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中の(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.5〜12質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜8質量%である。
(C)成分の含有量が下限値未満では、被洗物への色素染着を充分に抑制しきれない場合があり、一方、上限値を超えると、保存後に分解物としてアンモニアが発生しやすくなり、液体洗浄剤製品としてにおいが問題となることがある。また、汚れへの親和性が低下しやすくなるために塗布洗浄力が低下するおそれがある。
【0047】
本発明の液体洗浄剤において、(A)成分と(C)成分との混合割合は、(A)/(C)で表される質量比で30以下であることが好ましく、6〜15であることがより好ましく、9〜11であることがより好ましい。
(A)/(C)で表される質量比が上限値以下であると、被洗物への色素染着が抑制されやすくなる。一方、下限値未満であると、塗布洗浄力が低下するおそれがある。
本発明において「(A)/(C)で表される質量比」とは、液体洗浄剤中の(C)成分の含有量に対する、(A)成分の含有量の割合(質量比)を表す。
【0048】
[溶媒:水]
本発明の液体洗浄剤は、液体洗浄剤の調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
液体洗浄剤中の水の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して15〜45質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。
水の含有量が下限値以上であると、経時に伴う液体洗浄剤の液安定性がより良好となり、上限値以下であれば、液粘度が適度に低くなり、使用性の観点から良好である。
【0049】
[有機溶剤(D)]
本発明の液体洗浄剤においては、下記一般式(d1)で表される有機溶剤(D)(以下「(D)成分」ともいう)をさらに含有することが好ましい。(D)成分を含有することにより、塗布洗浄力(特に油汚れやマジック汚れに対する洗浄力)が高まり、加えて、特に低温下(冬場想定)での被洗物への色素染着がより抑制されやすくなる。また、(D)成分は、該液体洗浄剤の粘度調整剤、ゲル化抑制剤としても有効である。
【0050】
【化7】

[式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜4のアルキル基である。mはPOの平均繰返し数、nはEOの平均繰返し数を表し、mは0〜2の数、nは0〜3の数であり、1≦m+n≦5である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、EOとPOとは混在して配列してもよい。]
【0051】
前記式(d1)中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜4のアルキル基である。Rにおけるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
(EO)n/(PO)mにおけるEOとPOとは、いずれか一方のみが存在していてもよく、混在して配列してもよい。(EO)n/(PO)mは、EOとPOとがランダム状に付加していてもよく、ブロック状に付加していてもよい。
【0052】
(D)成分としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルカノール類(D1);エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのアルキレングリコール(D2);ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数2〜3のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1〜4のアルカノールとからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル(D3)等が挙げられる。
【0053】
(D)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、(D)成分としては、上記の(D1)〜(D3)からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、該群より選択される二種以上を組み合わせて用いることがより好ましい。二種以上を組み合わせて用いることにより、液体洗浄剤の粘度調整、ゲル化抑制の効果が得られやすくなる。
液体洗浄剤中の(D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して5〜20質量%が好ましく、より好ましくは5〜18質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。
(D)成分の含有量が下限値未満では、適切な粘度が得られにくく、被洗物に塗布した場合に液体洗浄剤が固まりやすくなる。一方、上限値を超えると、(D)成分由来の臭気が生じるおそれがあり、また、コストの点でも好ましくない。
【0054】
[その他の成分]
本発明の液体洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した成分以外のその他の成分を配合してもよい。
その他の成分としては、特に限定されず、衣料用の液体洗浄剤組成物に通常用いられる成分を配合することができ、具体的には以下に示すものが挙げられる。
【0055】
本発明の液体洗浄剤には、外観安定性を向上させることを目的として、アルカノールアミンを配合してもよい。
特に、界面活性剤(A)として陰イオン界面活性剤を配合する場合、アルカノールアミンは、陰イオン界面活性剤の対イオンとなり得る成分であり、陰イオン界面活性剤の配合によって生じやすい白濁等を抑制し、外観安定性を向上させる役割を果たす。したがって、本発明の液体洗浄剤においては、前記界面活性剤(A)が陰イオン界面活性剤を含むと共に、アルカノールアミンをさらに含有することが好ましい。
アルカノールアミンとしては、陰イオン界面活性剤の対イオンとして作用するものが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基を有するアルカノールアミンが好ましく、炭素数1〜2のアルキル基を有するアルカノールアミンがより好ましく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンがさらに好ましい。
アルカノールアミンは、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤中のアルカノールアミンの含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。
アルカノールアミンの含有量が0.1質量%以上であれば、本組成物の外観安定性を向上させる効果が得られやすい。また、アルカノールアミンの含有量が3質量%以下であれば、アルカノールアミンの酸素吸収によって容器が凹む現象の発生が抑制されやすい。
【0056】
本発明の液体洗浄剤には、洗浄性能向上や配合安定性向上等を目的として、酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等)、(D)成分以外の有機溶剤、増粘剤(長鎖脂肪酸アルキルアミド等)、風合い向上剤、pH調整剤、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、ソイルリリース剤等を配合することができる。
pH調整剤としては、液安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましい。
さらに、本発明の液体洗浄剤には、商品の付加価値向上等を目的として、着香剤、乳濁化剤等を配合することもできる。
着香剤としては、特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A、B、C、D等を使用できる。着香剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜1質量%が好ましい。
乳濁化剤としては、ポリスチレンエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられ、通常、固形分30〜50質量%のエマルジョンが好適に用いられる。具体例としては、ポリスチレンエマルジョン(サイデン化学社製、「サイビノールRPX−196 PE−3」、固形分40質量%)等が挙げられる。乳濁化剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.01〜0.5質量%が好ましい。
【0057】
本発明の液体洗浄剤のpHは、25℃でのpHが5〜10であることが好ましく、pHが5〜9.5であることがより好ましく、pHが5〜9であることがさらに好ましく、pHが6〜9であることが特に好ましい。
液体洗浄剤のpHが下限値以上であると、液体洗浄剤を長期保存した際、良好な洗浄力が維持されやすい。該pHが上限値未満であると、被洗物への色素染着がより抑制されやすくなる。液安定性についても良好に維持されやすい。
本発明において、液体洗浄剤(25℃に調温)のpHは、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)等により測定される値を示す。
【0058】
本発明の液体洗浄剤は、色素を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤において、高い洗浄力を有すると共に、被洗物への色素染着が抑制されたものである。
色素を含有する濃縮タイプの液体洗浄剤においては、該液体洗浄剤が塗布された洗濯対象物(被洗物)がしばらく放置されたり、又は、ドラム式洗濯機などによる濯ぎ1回の洗濯が行われた場合(濯ぎが不充分な場合)などに、被洗物に色素が染着しやすいという問題がある。
この被洗物への色素染着は、液体洗浄剤の組成、衣類(繊維)の種類、気温、水温の影響によって、その起こりやすさが変化する。たとえば低温条件になるほど、又は、有機溶剤の種類によっては疎水性繊維(ポリエステル繊維など)ほど、色素染着が起こりやすい。
被洗物に色素が染着する原因としては、高濃度の界面活性剤と被洗物とが長い時間接触していたり、濯ぎが不充分なために界面活性剤が被洗物に部分的に残存していたりすることで、界面活性剤が衣類(繊維)に浸透しすぎること、これに伴って色素が衣類(繊維)の深くに吸着することで、被洗物に色素が染着しやすくなっていること、が考えられる。また、温度条件、放置時間によっては、液体洗浄剤中の水分や溶剤が蒸発して、組成物がゲル化することで、洗浄の際に、液体洗浄剤が水に充分に溶解できない。このため、高濃度の界面活性剤と被洗物が長い時間接触するような状態になることで、被洗物に色素が染着しやすくなっていること、が考えられる。
本発明の液体洗浄剤においては、界面活性剤40質量%以上と色素と共に、尿素及びその誘導体(C)を含有する。(C)成分は、親水性が強い物質である一方、それ自体の構造の特性により、界面活性剤との相互作用が強いため、(C)成分は、製剤中で界面活性剤の分子の周りに存在しやすいと考えられる。これにより、塗布洗浄時には、(C)成分の存在により、界面活性剤の衣類への吸着や浸透が抑制され、疎水性の繊維と界面活性剤との相互作用も抑えられる。これらの結果、本発明の効果が得られると推測される。
本発明の液体洗浄剤によれば、液体洗浄剤が塗布された被洗物がしばらく放置されたり、濯ぎが不充分であったりした場合でも、被洗物への色素染着が抑制される。
【0059】
また、本発明の液体洗浄剤によれば、(C)成分を含有することにより、特に、再汚染を抑制する陰イオン界面活性剤と、該陰イオン界面活性剤の対イオンとなり得るアルカノールアミンとを併用した場合に生じやすい液色の黄変も抑制され、外観安定性が良好に保たれる。
本発明の液体洗浄剤は、少ない洗浄剤使用量で高い洗浄効果を発現する。
本発明の液体洗浄剤は、特に衣料用として好適であり、色素を含有すると共に界面活性剤濃度の高い組成(濃縮組成)に適したものである。
【実施例】
【0060】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0061】
各例の液体洗浄剤の組成を表1〜3に示した。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0062】
[界面活性剤(A)]
A−1:C1123CO−(OC15−OCH、ナロー率33質量%;合成品。A−1は、特開2002−144179号公報に記載の方法に準拠した方法で製造した。すなわち、化学組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(商品名キョーワード300、協和化学工業社製)を、600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム触媒(未改質)2.2gと、表面改質剤として0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル350gとを4リットルオートクレーブに仕込み、該オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後に昇温し、温度180℃、圧力3×105Paに維持しながら、エチレンオキシド1079gを導入して撹拌しながら反応させた。
次いで、反応液を80℃まで冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾過して目的物であるA−1を得た。
【0063】
A−2:C1123CO−(OC15−OCHとC1327CO−(OC15−OCHとの質量比で8/2の混合物、ナロー率33質量%;合成品。ただし、A−2は、前記A−1の合成において、ラウリン酸メチルエステル350gの代わりに、ラウリン酸メチルエステル280gとミリスチン酸70gの混合物を用い、エチレンオキシド1052gを導入した以外は、同様の合成方法で製造した。
【0064】
A−3:炭素数10〜14の1級アルコールに、平均9モルのエチレンオキシド、平均2モルのプロピレンオキシド、平均9モルのエチレンオキシドを順にブロック付加させたもの。一般式(a3)におけるR=炭素数10〜14の直鎖状アルキル基、p=9、q=2、r=9。
【0065】
A−4:炭素数12〜14の第2級アルコールに、平均9モルのエチレンオキシドが付加した物、商品名ソフタノール90、株式会社日本触媒製。一般式(a2)におけるR=炭素数12〜14の分岐鎖状アルキル基、t=9。
【0066】
A−5:ポリオキシエチレンアルキル(C12−13)エ−テル。原料アルコ−ルのサフォール23(製品名、サソール社製;炭素数12のアルコールと炭素数13のアルコールとの質量比でC12/C13=55%/45%の混合物、全体の炭素鎖に対する直鎖の炭素鎖の比率50質量%)に、平均15モルのエチレンオキシドを付加させたもの。
【0067】
A−6:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン(株)製、商品名ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]。
A−7:AES−Na、炭素数12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキシドの平均付加モル数2)、合成品(原料アルコールは商品名ネオドール23、シェル社製)。
【0068】
A−8:天然アルコール(P&G社製の商品名CO−1214)に12モル相当のエチレンオキシドが付加したもの[LMAO(C12/14−15EO)]、合成品。以下のようにして合成した。
P&G社製の商品名「CO−1214」861.2gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを反応液中に徐々に加えた。このとき、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら加えた。エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、LMAO(C12/14−15EO)を得た。
【0069】
[色素(B)]
B−1:C.I.Food Green3、緑色3号、辰巳化成株式会社製;最大吸収波長610nm。
B−2:Liquitint Blue HP、ミリケン株式会社製;最大吸収波長595nm、645nm。
B−3:C.I.Solvent Blue63、青色403号、辰巳化成株式会社製;最大吸収波長600nm、645nm。
【0070】
[尿素(C)]
C−1:尿素、試薬、純正化学(株)製。
C−2:1,3−ジメチル尿素、試薬、東京化成工業(株)製。
【0071】
[一般式(d1)で表される有機溶剤(D)]
D−1:1,2−プロパンジオール(商品名プロピレングリコール、昭和電工株式会社製)純分100質量%。一般式(d1)におけるR=ヒドロキシ基、m=1、n=0。
D−2:ブチルカルビトール(商品名ブチルジグリコール、日本乳化剤株式会社製)純分100質量%。一般式(d1)におけるR=エチル基、m=0、n=3。
D−3:エタノール(商品名 特定アルコール95度合成アルコール、日本アルコール販売(株)製)。一般式(d1)におけるR=水素原子、m=0、n=1。
【0072】
[その他の成分]
MEA:モノエタノールアミン(株式会社日本触媒製)純分100質量%。
DEA:ジエタノールアミン(株式会社日本触媒製)純分100質量%。
ポリエチレングリコール:(株)ライオン化学製、商品名「PEG#1000−L60」、重合度20。
酵素:プロテアーゼ、商品名「Everlase 16L TYPE EX」、ノボザイムス製。
クエン酸:扶桑化学工業(株)製、純分100質量%。
pH調整剤:KOH(旭硝子(株)製)と硫酸(東邦亜鉛(株)製)。
イオン交換水
【0073】
<液体洗浄剤の製造例>
表1〜3に示す組成の配合成分、含有量(質量%)に従い、下記の製造方法により各例の液体洗浄剤をそれぞれ製造した(表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合しない)。
表中、配合成分の含有量は純分換算量を示す。なお、(B)成分の含有量のみ「ppm」(質量基準)で表示している。
水の含有量を示す「バランス」とは、最終調製物である液体洗浄剤の総量が100質量%になるように調整した配合量を示す。
pH調整剤の含有量を示す「適量」とは、液体洗浄剤のpH(25℃)を表に示すpHに調整するために配合した量を示す。
「質量比:(A)/(C)」は、液体洗浄剤中の(C)成分の含有量に対する、(A)成分の含有量の割合(質量比)を表す。
【0074】
(実施例1〜19、比較例1〜3、参考例1)
500mLのビーカーに、それぞれ表に示す含有量(質量%)の(D)成分と、ポリエチレングリコールと、MEA又はDEAと、A−6又はA−7のいずれかとを加えて撹拌した。次いで、(C)成分とクエン酸をそれぞれ水に溶解した(C)成分水溶液(濃度50質量%)とクエン酸水溶液(濃度50質量%)を加えて撹拌した。
次いで、pH調整剤を用いて、溶液のpH(25℃)が表に示す値となるように調整した。
次いで、残りの(A)成分を加えて撹拌した。次いで、酵素を加えて撹拌し、次に、(B)成分を水に溶解した色素水溶液(色素濃度1000ppm)を、所定の濃度になるように添加して撹拌した。その後、最終調製物の総量が100質量%になるようにイオン交換水を加えることにより、各例の液体洗浄剤をそれぞれ得た。
溶液のpH(25℃)は、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー(株)製)を用い、25℃に調温した溶液に、前記pHメーターの電極を入れ、2分後の値を読み取ることにより測定した。
【0075】
<液体洗浄剤の評価>
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法により「塗布洗浄力」、「衣類への色素染着性」及び「外観安定性」の評価をそれぞれ行った。その結果を表1〜3に併記した。
【0076】
[塗布洗浄力]
汚染布の調製:
綿メリヤス(5cm×5cm)を、油性マジック(マジックインキ/ゴクホソ M700−T1)で均一にインクが行き渡るように円状(直径2cm)に黒く塗ったものを各例に付き5枚作製し、塗布洗浄力評価用の汚染布とした。
【0077】
(洗浄条件)
水30Lに対する標準使用量(濃縮タイプ10g/水30L、通常タイプ20g/水30mL)の液体洗浄剤を、前記汚染布5枚の1枚ずつに塗布した後、温度20℃下で5分間放置した。具体的には、汚染布1枚当たりの液体洗浄剤の塗布量を、実施例1〜19、比較例1〜3(濃縮タイプ)についてはそれぞれ0.3gとし、参考例1については0.6gとした。
その後、Terg−o−tometer(UNITED STATES TESTING社製)に、15℃の3°DH硬水900mLと、前記汚染布5枚と肌シャツ(LLサイズ、DVD社製)を細かく(3cm×3cm程度)裁断したものとを、浴比20倍となるように入れ、120rpm、15℃で10分間洗浄した。
(濯ぎ条件)
前記洗浄の後、1分間脱水し、その後、15℃の3°DH硬水900mLで、120rpm、15℃で3分間すすいだ。この脱水と濯ぎを2回繰り返した。
(乾燥条件)
2回目の濯ぎ後、1分間脱水し、その後、洗浄後汚染布を濾紙に1枚ずつ挟んでアイロンで乾燥した。
【0078】
塗布洗浄力の評価は、洗浄前と洗浄後において、反射率計(分光式色差計SE2000、日本電色工業社製)を用いて反射率(Z値)を測定し、下式より洗浄率(%)を算出することにより行った。
洗浄率(%)=(洗浄後の汚染布のZ値−洗浄前の汚染布のZ値)/(原布のZ値−洗浄前の汚染布のZ値)×100
式中、「原布」とは、上記汚染布の調製において、汚染処理を施していない綿メリヤスを示す。
各例について汚染布5枚の洗浄率(%)をそれぞれ算出し、それらの平均値を求め、下記評価基準に基づいて塗布洗浄力を評価した。◎、○、△を合格とした。
評価基準
◎:洗浄率(%)の平均値が15%以上であった。
○:洗浄率(%)の平均値が10%以上、15%未満であった。
△:洗浄率(%)の平均値が5%以上、10%未満であった。
×:洗浄率(%)の平均値が5%未満であった。
【0079】
[衣類への色素染着性の評価]
白の手拭き綿タオル(29cm×72cm)の長手方向の端部(厚くなっている所、縫い代部分)のみを切り出し、評価用試料(綿)とした(質量で5g分)。
次いで、洗濯物4kgに対する液体洗浄剤の標準使用量(15g)のうちの5g分の液体洗浄剤を、評価用試料(綿)に塗布して12時間放置した。
その後、洗剤5gを塗布した該評価用試料(綿)と、チャージ布として綿肌シャツとを、合わせて4kgとなるように洗濯機に入れ、残りの液体洗浄剤を加えて洗濯を行った。その際の洗濯条件を以下のように設定した。洗濯機には、東芝ドラム型洗濯機(製品名TW−4000VFL)を用いた。洗濯コースを、洗濯時間10分間、濯ぎ1回指定、脱水8分間とした。
以上の操作(綿タオルの場合)を、夏場想定と冬場想定の条件でそれぞれ行った。
夏場想定は、液体洗浄剤5gを塗布した評価用試料(綿)を、温度25℃下で12時間放置し、洗濯の際に25℃に調整した水を用いた。
冬場想定は、液体洗浄剤5gを塗布した評価用試料(綿)を、温度5℃下で12時間放置し、洗濯の際に5℃に調整した水を用いた。
【0080】
また、ポリエステル(PE)ジャージ(谷頭商店)を5cm×5cmに切り出し、評価用試料(PE)とした(質量で0.2g分)。
次いで、洗濯物4kgに対する液体洗浄剤の標準使用量(15g)のうちの2g分の液体洗浄剤を、評価用試料(PE)に塗布して12時間放置した。
その後、洗剤5gを塗布した該評価用試料(PE)と、チャージ布として綿肌シャツとを、合わせて4kgとなるように洗濯機に入れ、残りの液体洗浄剤を加え、上記洗濯条件と同じ条件にて洗濯を行った。
以上の操作(PEの場合)を、前記と同じ夏場想定の条件でのみ行った。
【0081】
そして、洗濯後の評価用試料(綿)、評価用試料(PE)に色素染着が認められるか否か、について目視判定し、下記評価基準に基づいて評価した。◎、○、△を合格とした。
評価基準
◎:洗濯後の評価用試料に色素染着が全く認められなかった。
○:洗濯後の評価用試料に色素染着がごくわずかに認められた。
△:洗濯後の評価用試料に色素染着が若干認められた。
×:洗濯後の評価用試料に色素染着が明らかに認められた。
【0082】
[外観安定性]
製造直後の各例の液体洗浄剤100gを円筒ガラス瓶(PS100)に入れ、蓋を閉めて密閉し、50℃下で30日間保管した。
そして、保管後の液体洗浄剤の外観(液色)の変化を目視で判定し、下記評価基準に基づいて評価した。◎、○を合格とした。
なお、保管により液体洗浄剤が黄変した場合、保管前(初期)に青色であったものは緑色に変色し、初期に緑色であったものは黄緑色に変色する。
評価基準
◎:初期と比較して、外観(液色)の変化が全く認められなかった。
○:初期に青色であったものは緑色に、初期に緑色であったものは黄緑色に、それぞれ変化したことが若干認められた。
×:初期に青色であったものは緑色に、初期に緑色であったものは黄緑色に、それぞれ変化したことがはっきり認められた。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
表1〜3の結果から、実施例1〜19の液体洗浄剤は、高い洗浄力を有すると共に、被洗物への色素染着が抑制されていることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤(A)を40質量%以上と、色素(B)150ppm(質量基準)以下と、尿素又はその誘導体(C)0.5〜12質量%とを含有する液体洗浄剤。
【請求項2】
前記界面活性剤(A)が、下記の一般式(a1)〜(a3)で表される非イオン界面活性剤から選択される少なくとも一種を含む、請求項1記載の液体洗浄剤。
【化1】

[式(a1)中、Rは炭素数5〜21の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。sはORの平均繰返し数を示し、5〜30の数である。式(a2)中、Rは炭素数10〜22の炭化水素基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。tはROの平均繰返し数を示し、5〜20の数である。式(a3)中、Rは炭素数10〜16のアルキル基又はアルケニル基である。pはEOの平均繰返し数を表し、qはPOの平均繰返し数を表し、rはEOの平均繰返し数を表し、p、q、rはp>1、r≧0、0<q≦3、p+r=10〜30を満たす数である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、(EO)p/(PO)qにおけるEOとPOとは混在して配列してもよい。]
【請求項3】
下記一般式(d1)で表される有機溶剤(D)をさらに含有する、請求項1又は請求項2記載の液体洗浄剤。
【化2】

[式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜4のアルキル基である。mはPOの平均繰返し数、nはEOの平均繰返し数を表し、mは0〜2の数、nは0〜3の数であり、1≦m+n≦5である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を表し、EOとPOとは混在して配列してもよい。]

【公開番号】特開2012−214653(P2012−214653A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81768(P2011−81768)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】