説明

液処理装置及び液処理方法

【課題】処理液中の異物を除去する清浄性能と、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を同時に向上させることができる液処理装置及び液処理方法を提供すること。
【解決手段】レジスト容器13に第1管路26を介して接続する一時貯留容器40と、一時貯留容器に第2管路27を介して接続される供給ノズルと、一時貯留容器内を負圧にして、処理液内に混入した気泡を排出するための脱気機構32と、一時貯留容器内に形成され、第1管路を介して供給される処理液を貯留する流入槽41と、流入槽からオーバーフローした処理液を貯留すると共に、第2管路27が接続する流出槽43と、流出槽と第1管路を接続する第3管路28と、第1管路と第3管路の接続部に介設される切換弁31と、流出槽から第3管路及び第1管路を介して流入槽への処理液の供給を行う供給・循環用ポンプP2と、第3管路に介設され、異物・気泡を除去するフィルタ50と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体ウエハやLCD用ガラス基板等の被処理体表面にレジスト液や現像液等の処理液を供給して塗布する液処理装置及び液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造のフォトリソグラフィ技術においては、半導体ウエハやFPD基板等(以下にウエハ等という)にフォトレジストを塗布し、これにより形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に回路パターンが形成されている。
【0003】
このようなフォトリソグラフィ工程において、ウエハ等に供給されるレジスト液や現像液等の処理液には、様々な原因によって窒素ガス等の気泡や異物が混入しており、気泡や異物が混在した処理液がウエハ等に供給されると塗布ムラや欠陥が発生する虞がある。このため、処理液中に混在する気泡や異物を除去するための装置を処理液の管路に介設する。
【0004】
従来、この種の装置として、処理液貯留槽に、処理液供給口と、処理液排出口と、排気口とを備え、処理液貯留槽における処理液供給口と処理液の供給源とを接続する処理液の供給路と、処理液貯留槽における処理液排出口と基板処理装置とを接続する処理液の排出路と、処理液貯留槽における排気口と減圧機構としての排気ポンプとを接続する排気路とを備える脱気装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この脱気装置においては、処理液の供給源から供給された処理液を、一旦、処理液貯留槽に貯留し、その後、排気ポンプの作用により処理液貯留槽内を減圧することにより、処理液貯留槽に貯留された処理液中から気体成分を除去する。
【0006】
また、ポンプの上流側に、レジスト液を貯留するためのバッファタンクを設け、バッファタンク内に所定量のレジスト液が貯留された際に、配管開閉弁を開いてバッファタンク内を減圧し、レジスト液内混入気体が分岐管を介して配管に排出する薬液供給システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
この薬液供給システムにおいては、バッファタンクの下流側にレジスト液を吸引して圧送するためのポンプが設けられ、更にその下流側にフィルタが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−122066号公報
【特許文献2】特開2000−114154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の脱気装置においては、レジスト液や現像液等の処理液に混入する気泡が50μm以下のマイクロバブルになると気泡の浮力が小さく、処理液貯留槽に貯留された処理液の上層に浮上しなくなるので、上層以外の処理液中のマイクロバブルを除去できない懸念がある。
【0010】
また、特許文献2に記載の薬液供給システムにおいても、特許文献1に記載のものと同様に、バッファタンク内の上層以外に貯留されたレジスト液に混入する50μm以下のマイクロバブルを除去することができない懸念がある。
【0011】
更に、特許文献2に記載のものにおいては、バッファタンクの下流側に設けられたフィルタでは、レジスト液吐出ノズルからのレジスト液の吐出に対応した単位時間当たりの濾過量にてレジスト液が濾過される。このため、レジスト液中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートにて濾過されていない懸念があり、フィルタにてレジスト液中に混在する異物や気泡が除去されない虞がある。
【0012】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、処理液中の異物を除去する清浄性能と、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を同時に向上させることができる液処理装置及び液処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明の液処理装置は、処理液供給源に第1管路を介して接続する一時貯留容器と、 上記一時貯留容器に第2管路を介して接続され、被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルと、 上記第2管路に介設され、上記一時貯留容器から上記第2管路を介して上記供給ノズルに処理液を供給する吐出用ポンプと、 上記一時貯留容器内を負圧にして、上記一時貯留容器内の処理液内に混入した気泡を排出するための脱気機構と、 上記一時貯留容器内に形成され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して供給される処理液を貯留可能な流入槽と、 上記一時貯留容器内に形成され、上記流入槽からオーバーフローした処理液を貯留すると共に、上記第2管路に接続する流出槽と、 上記流出槽と上記第1管路を接続する第3管路と、 上記第1管路と上記第3管路の接続部に介設され、上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽側との連通を選択的に切り換え可能な切換弁と、 上記切換弁の二次側の上記第1管路に介設され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給と、上記流出槽から上記第3管路及び上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を行う供給・循環用ポンプと、 上記第3管路もしくは上記切換弁の二次側の上記第1管路の少なくともいずれか一方に介設され、処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するフィルタと、を具備する、ことを特徴とする(請求項1)。
【0014】
この場合、上記供給・循環用ポンプは、上記流出槽から上記第3管路及び上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を行う際、上記フィルタにおける処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するために適した単位時間当たりの濾過量を、処理液の単位時間当たりの供給量として供給する方がよい(請求項2)。この場合、フィルタにおける処理液の単位時間当たりの濾過量をフィルトレーションレートといい、供給・循環用ポンプの処理液の単位時間当たりの供給量を供給レートという。
【0015】
この場合、上記供給・循環用ポンプは、処理液の単位時間当たりの供給量が調整可能に形成され、上記切換弁及び上記供給・循環用ポンプを制御する制御部を更に具備し、上記制御部は、上記切換弁を制御して、上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽側との連通を選択的に切り換えると共に、上記供給・循環用ポンプを制御して、上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽との連通毎に処理液の単位時間当たりの供給量を変更してなる方が好ましい(請求項3)。
【0016】
また、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置を検出する液面検出センサと、上記切換弁を制御する制御部を設け、上記液面検出センサは、処理液が上記流出槽の下限位置であることを検出する下限センサと、処理液が上記流出槽の上限位置であることを検出する上限センサとを具備し、上記制御部は、上記下限センサの検出した検出信号を受け、上記切換弁を制御して上記流入槽と上記処理液供給源側との連通に切り換え、上記上限センサの検出した検出信号を受け、上記切換弁を制御して上記流入槽と上記流出槽側との連通に切り換える方が好ましい(請求項4)。
【0017】
また、この発明の液処理装置は、処理液供給源に第1管路を介して接続する一時貯留容器と、 上記一時貯留容器に第2管路を介して接続され、被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルと、 上記第2管路に介設され、上記一時貯留容器から上記第2管路を介して上記供給ノズルに処理液を供給する吐出用ポンプと、 上記一時貯留容器内を負圧にして、上記一時貯留容器内の処理液内に混入した気泡を排出するための脱気機構と、 上記一時貯留容器内に形成され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して供給される処理液を貯留可能な流入槽と、 上記一時貯留容器内に形成され、上記流入槽からオーバーフローした処理液を貯留すると共に、上記第2管路に接続する流出槽と、 上記流出槽と上記流入槽を接続する循環管路と、 上記第1管路に介設され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽に処理液を供給する供給用ポンプと、 上記循環管路に介設され、上記流出槽から上記循環管路を介して上記流入槽に処理液を供給する循環用ポンプと、 上記循環管路に介設され、処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するフィルタと、を具備する、ことを特徴とする(請求項5)。
【0018】
この場合、上記循環用ポンプは、上記流出槽から上記循環管路を介して上記流入槽への処理液の供給を行う際、上記フィルタにおける処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するために適した単位時間当たりの濾過量を、処理液の単位時間当たりの供給量として供給する方がよい(請求項6)。この場合、フィルタにおける処理液の単位時間当たりの濾過量をフィルトレーションレートといい、供給用ポンプ及び循環用ポンプの処理液の単位時間当たりの供給量を供給レートという。
【0019】
この場合、上記供給用ポンプは、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽へ供給される処理液の単位時間当たりの供給量が調整可能に形成され、上記循環用ポンプは、上記流出槽から上記循環管路を介して上記流入槽へ供給される処理液の単位時間当たりの供給量が調整可能に形成される方が好ましい(請求項7)。
【0020】
また、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置を検出する液面検出センサと、上記供給用ポンプを制御する制御部を設け、上記液面検出センサは、処理液が上記流出槽の下限位置であることを検出する下限センサと、処理液が上記流出槽の上限位置であることを検出する上限センサとを具備し、上記制御部は、上記供給用ポンプを制御して、上記下限センサの検出した検出信号を受け、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を開始し、上記上限センサの検出した検出信号を受け、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を停止する方が好ましい(請求項8)。
【0021】
この発明において、上記一時貯留容器内の上記流入槽と上記流出槽の間に、処理液を貯留可能な中間槽が配置され、上記中間槽は、上記流入槽からオーバーフローした処理液を貯留すると共に、上記中間槽からオーバーフローした処理液が上記流出槽に貯留する方が好ましく(請求項9)、更に好ましくは、上記中間槽は複数配置され、上記流入槽側の上記中間槽から、上記流出槽側の上記中間槽にオーバーフローした処理液が順次貯留される方がよい(請求項10)。
【0022】
この発明において、上記一時貯留容器に、上記一時貯留容器内の処理液を加熱するための加熱部を備える構造としてもよい(請求項11)。
【0023】
この発明において、上記一時貯留容器に、上記一時貯留容器内の処理液を超音波振動させる超音波発生部を備える構造としてもよい(請求項12)。
【0024】
この発明の液処理方法は、請求項1記載の液処理装置を具現化するもので、処理液供給源に貯留された処理液を、供給・循環用ポンプにより、第1管路を介して一時貯留容器内に形成される流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記一時貯留容器内に形成される流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する供給工程と、 上記流出槽に貯留された処理液を、上記供給・循環用ポンプにより、上記第1管路に接続する第3管路及び上記第1管路を介して、処理液を濾過して異物を除去すると共に処理液中に混入している気泡を除去するフィルタを通して上記流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を上記脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する循環工程と、 上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽側との連通を、上記第1管路と上記第3管路の接続部に介設される切換弁により選択的に切り換え、上記供給工程又は上記循環工程のいずれか一方の実行を選択する切換工程と、 上記流出槽に貯留された処理液を、吐出用ポンプにより、第2管路を介して被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルに供給する吐出工程と、を具備する、ことを特徴とする(請求項13)。
【0025】
この場合、上記供給工程又は上記循環工程のいずれか一方を、上記吐出工程と同時に実行する方がよい(請求項14)。
【0026】
この場合、上記循環工程は、上記供給工程における上記供給・循環用ポンプの処理液の単位時間当たりの供給量から、上記供給・循環用ポンプの処理液の単位時間当たりの供給量を変更する方が好ましい(請求項15)。
【0027】
また、上記切換工程は、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が下限位置に達した場合に、上記流入槽と上記処理液供給源側との連通に切り換え、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が上限位置に達した場合に、上記流入槽と上記流出槽側との連通に切り換える方が好ましい(請求項16)。
【0028】
また、この発明の基板の液処理方法は、請求項5記載の液処理装置を具現化するもので、処理液供給源に貯留された処理液を、供給用ポンプにより、第1管路を介して一時貯留容器内に形成される流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記一時貯留容器内に形成される流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する供給工程と、 上記流出槽に貯留された処理液を、循環用ポンプにより、循環管路を介して、処理液を濾過して異物を除去すると共に処理液中に混入している気泡を除去するフィルタを通して上記流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を上記脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する循環工程と、 上記流出槽に貯留された処理液を、吐出用ポンプにより、第2管路を介して被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルに供給する吐出工程と、を具備する、ことを特徴とする(請求項17)。
【0029】
この場合、上記供給工程又は上記循環工程の少なくともいずれか一方を、上記吐出工程と同時に実行する方がよい(請求項18)。
【0030】
また、上記供給工程は、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が下限位置に達した場合に開始され、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が上限位置に達した場合に停止する方が好ましい(請求項19)。
【0031】
この発明において、上記一時貯留容器内の上記流入槽と上記流出槽の間に、処理液を貯留可能な中間槽が配置され、上記供給工程及び上記循環工程において、上記一時貯留容器内を脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記中間槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去すると共に、上記中間槽から上記流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する方が好ましく(請求項20)、更に好ましくは、上記中間槽は複数配置され、上記供給工程及び上記循環工程において、上記流入槽側の上記中間槽から、上記流出槽側の上記中間槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する方がよい(請求項21)。
【0032】
この発明において、上記供給工程及び上記循環工程において、上記一時貯留容器内の処理液を加熱してもよい(請求項22)。
【0033】
この発明において、上記供給工程及び上記循環工程において、上記一時貯留容器内の処理液を超音波振動してもよい(請求項23)。
【0034】
請求項1,13記載の発明によれば、一時貯留容器内において、脱気機構による負圧下で、処理液は流入槽から流出槽にオーバーフローにより流通して、処理液が空気層付近を流通して空気に触れることができるので、浮力が小さい例えば50μm以下のマイクロバブルであっても処理液から脱気することができる。また、処理液を、流出槽から第3管路及び第1管路を介して流入槽へ供給することにより循環させ、流入槽から流出槽へのオーバーフローと、フィルタによる濾過を繰り返すことにより、処理液中に混入している異物や気泡の除去の精度を高めることができる。
【0035】
請求項2記載の発明によれば、第3管路もしくは切換弁の二次側の第1管路の少なくともいずれか一方に介設されたフィルタにより、処理液中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートにて処理液を濾過することができるため、フィルタにより効率良く処理液中に混入している異物や気泡を除去することができる。
【0036】
請求項14記載の発明によれば、供給工程又は循環工程のいずれか一方を、吐出工程と同時に実行することにより、処理時間を短縮化することができる。
【0037】
請求項3,15記載の発明によれば、流入槽と処理液供給源側とが連通する場合の供給レートから調整して、流入槽と流出槽とが連通する場合の供給レートを、処理液中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートに合わせることができる。
【0038】
請求項4,8,16,19記載の発明によれば、一時貯留容器内の処理液の貯留量を常に最適な状態にすることができる。
【0039】
請求項5,17記載の発明によれば、一時貯留容器内において、脱気機構による負圧下で、処理液は流入槽から流出槽にオーバーフローにより流通して、処理液が空気層付近を流通して空気に触れることができるので、浮力が小さい例えば50μm以下のマイクロバブルであっても処理液から脱気することができる。更に、処理液を、流出槽から循環管路を介して流入槽へ供給することにより循環させ、流入槽から流出槽へのオーバーフローと、フィルタによる濾過を繰り返すことにより、処理液中に混入している異物や気泡の除去の精度を高めることができる。
【0040】
また、第1管路と独立した循環管路を設けることにより、流出槽から循環管路を介して流入槽に処理液を供給して行う処理液の循環と、処理液供給源から第1管路を介して流入槽に処理液を供給して行う処理液の供給と、を同時に行うことができるため、処理時間を短縮化することができる。
【0041】
請求項18記載の発明によれば、供給工程又は循環工程の少なくともいずれか一方を、吐出工程と同時に実行することにより、処理時間を短縮化することができる。
【0042】
請求項6記載の発明によれば、循環管路に介設されたフィルタにより、処理液中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートにて処理液を濾過することができるため、フィルタにより効率良く処理液中に混入している異物や気泡を除去することができる。
【0043】
請求項7記載の発明によれば、流出槽から循環管路を介して流入槽へ供給される供給レートを、処理液中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートに合わせることができる。また、処理液供給源から第1管路を介して流入槽へ供給される供給レートを調整することにより、一時貯留容器内に処理液を短時間で貯留することができる。
【0044】
請求項9,10,20,21記載の発明によれば、オーバーフロー回数の増加により、処理液が空気層付近を流通して空気に触れることができる回数が増えるので、更に浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルを処理液から脱気することができる。
【0045】
請求項11,22記載の発明によれば、処理液を加熱部により加熱して、この処理液に含まれる気泡の体積を増加して浮力を増加させることができるため、脱気を促進することができる。
【0046】
請求項12,23記載の発明によれば、一時貯留容器内の処理液に超音波振動を与えて撹拌することで、処理液内の気泡の移動を促進させ、脱気を促進することができる。
【発明の効果】
【0047】
この発明の液処理装置によれば、処理液を循環させ、流入槽から流出槽へのオーバーフローと、処理液中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートで行われるフィルタによる濾過を繰り返すことにより、処理液中に混入している異物や気泡の除去の精度を高めることができるため、処理液中の異物を除去する清浄性能と、処理液中に混入している気泡を除去する脱気性能を同時に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明に係る液処理装置を適用した塗布・現像処理装置に露光処理装置を接続した処理システムの全体を示す概略斜視図である。
【図2】上記処理システムの概略平面図である。
【図3】上記液処理装置の構成を示す概略断面図(a)及び(a)のI−I線に沿う断面図(b)である。
【図4】上記液処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図5】第2実施形態の液処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図6】第3実施形態の液処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図7】第4実施形態の液処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図8】第5実施形態の液処理装置の要部を示す概略断面図である。
【図9】第6実施形態の液処理装置の要部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、この発明の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。ここでは、この発明に係る液処理装置(レジスト液処理装置)を塗布・現像処理装置に適用した場合について説明する。
【0050】
上記塗布・現像処理装置は、図1及び図2に示すように、基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚密閉収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアステーション1と、このキャリアステーション1から取り出されたウエハWにレジスト塗布,現像処理等を施す処理部2と、ウエハWの表面に光を透過する液層を形成した状態でウエハWの表面を液浸露光する露光部4と、処理部2と露光部4との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行うインターフェース部3とを具備している。
【0051】
キャリアステーション1は、キャリア10を複数個並べて載置可能な載置部11と、この載置部11から見て前方の壁面に設けられる開閉部12と、開閉部12を介してキャリア10からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0052】
インターフェース部3は、処理部2と露光部4との間に前後に設けられる第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bにて構成されており、それぞれに第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bが設けられている。
【0053】
また、キャリアステーション1の奥側には筐体20にて周囲を囲まれる処理部2が接続されており、この処理部2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3が交互に配列して設けられている。また、主搬送手段A2,A3は、キャリアステーション1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁21により囲まれる空間内に配置されている。また、キャリアステーション1と処理部2との間、処理部2とインターフェース部3との間には、各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニット22が配置されている。
【0054】
棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、その組み合わせはウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット(図示せず)、ウエハWを冷却する冷却ユニット(図示せず)等が含まれる。また、ウエハWに所定の処理液を供給して処理を行う液処理ユニットU4,U5は、例えば図2に示すように、レジストや現像液などの薬液収納部の上に反射防止膜を塗布する反射防止膜塗布ユニット(BCT)23,ウエハWにレジスト液を塗布する塗布ユニット(COT)24、ウエハWに現像液を供給して現像処理する現像ユニット(DEV)25等を複数段例えば5段に積層して構成されている。塗布ユニット(COT)24は、この発明に係るレジスト液処理装置を具備する。
【0055】
上記のように構成される塗布・現像処理装置におけるウエハの流れについて一例について、図1及び図2を参照しながら簡単に説明する。まず、例えば25枚のウエハWを収納したキャリア10が載置部11に載置されると、開閉部12と共にキャリア10の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そして、ウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しユニット(図示せず)を介して主搬送手段A2へと受け渡され、塗布処理の前処理として例えば反射防止膜形成処理、冷却処理が行われた後、塗布ユニットCOTにてレジスト液が塗布される。次いで、主搬送手段A2によりウエハWは棚ユニットU1〜U3の一の棚をなす加熱ユニットで加熱(ベーク処理)され、更に冷却された後棚ユニットU3の受け渡しユニットを経由してインターフェース部3へと搬入される。このインターフェース部3において、第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bの第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bによって露光部4に搬送され、ウエハWの表面に対向するように露光手段(図示せず)が配置されて露光が行われる。露光後、ウエハWは逆の経路で主搬送手段A2まで搬送され、現像ユニットDEVにて現像されることでパターンが形成される。しかる後ウエハWは載置部11上に載置された元のキャリア10へと戻される。
【0056】
次に、この発明の第1実施形態に係るレジスト液処理装置について説明する。この発明に係るレジスト液処理装置は、主に、図3,図4(a)に示すように、処理液供給源であるレジスト容器13に第1管路26を介して接続する一時貯留容器40と、一時貯留容器40に第2管路27を介して接続され、被処理基板(ウエハW)に処理液であるレジスト液Rを吐出する供給ノズル6と、第2管路27に介設される吐出用ポンプP1と、を備える。
【0057】
この場合、一時貯留容器40は、一時貯留容器40内に、流入槽41と、中間槽42と、流出槽43が形成されており、その上部には一時貯留容器40内を負圧にするための脱気機構32が接続される。
【0058】
また、流出槽43と第1管路26は、第3管路28によって接続されており、その接続部には、連通を選択的に切り換え可能な切換弁31が介設される。切換弁31の二次側の第1管路26には、供給・循環用ポンプP2が介設され、第3管路28にはフィルタ50が介設される。
【0059】
上記レジスト容器13は、液処理ユニットU4,U5の収納部14に載置されており(図1参照)、レジスト容器13内に貯留されたレジスト液Rは、加圧源16の加圧により第1管路26を介してリキッドエンドタンク(LEタンク17)に向けてレジスト液Rを圧送する。この場合、加圧源16とレジスト容器13を接続する加圧管路15には、レジスト容器13内の圧力を大気圧に回復可能な電磁式の切換弁15aが介設されている。また、第1管路26のレジスト容器13とLEタンク17との間には電磁式の開閉弁13aが介設されている。
【0060】
LEタンク17は、レジスト液Rを一時貯留可能な容器であって、気液分離機能のほか、レジスト容器13から供給されるレジスト液Rが無くなった場合でも、LEタンク17内に貯留されているレジスト液RをウエハWに供給する間に、レジスト容器13を交換することができるため、予備容器としての役割を果たす。LEタンク17の上部には、LEタンク17内の雰囲気を排気するためのドレイン管17aが設けられ、ドレイン管17aには電磁式の開閉弁17bが介設されている。
【0061】
図3に示すように、レジスト容器13とLEタンク17を接続する第1管路26は、更にLEタンク17と一時貯留容器40を接続する。これにより、レジスト容器13と一時貯留容器40は、第1管路26を介して接続される。また、LEタンク17の二次側の第1管路26には、後述する第3管路28との接続部に電磁式の切換弁31が介設されており、流入槽41とレジスト容器13側又は第三管路28を介した流出槽43側との連通を選択的に切り換えることができる。
【0062】
更に、切換弁31の二次側の第1管路26には、供給・循環用ポンプP2が介設されており、切換弁31の連通の切り換えにより、レジスト容器13から第1管路26を介して流入槽41へのレジスト液Rの供給と、流出槽43から第3管路28及び第1管路26を介して流入槽41へのレジスト液Rの供給を行うことができる。
【0063】
供給・循環用ポンプP2は、例えば、吐出ストロークを代えることで供給レートを調節可能なベローズポンプ又はダイアフラムポンプで構成されている。供給・循環用ポンプP2は、制御部100の入力部(図示せず)から、後述するレジスト液Rの供給時、レジスト液Rの循環時のそれぞれの供給レートが設定可能であり、作業者は、例えば使用されるフィルタの種類、濾過される処理液の種類、要求される濾過の精度等を考慮してレジスト液Rの循環時の供給レートを設定することができる。このように供給・循環用ポンプP2の供給レートを調整可能に形成することにより、流出槽43から第3管路28及び第1管路26を介して流入槽41へ供給されるレジスト液Rの供給レートを、レジスト液R中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートに合わせて設定することができる。また、レジスト容器13から第1管路26を介して流入槽41へ供給されるレジスト液Rの供給レートを調整することにより、一時貯留容器40内にレジスト液Rを短時間で貯留することができる。
【0064】
一時貯留容器40は、図4(a),(b)に示すように、有底状の筒体44と、筒体の上部を塞ぐ蓋体46と、筒体44内に嵌合される有底筒状のカスケード容器45から主に形成される。カスケード容器45には、カスケード容器45内の空間を縦に3区画に仕切るように、第1壁体45a及び第2壁体45bが形成されている。この場合、第1壁体45aの高さは、第2壁体45bより高く形成される。
【0065】
この場合、カスケード容器45の壁面と底面と第1壁体で仕切られた空間が、一時貯留容器40内に形成され、レジスト容器13から第1管路26を介して供給されるレジスト液Rを貯留可能な流入槽41を形成する。また、カスケード容器45の壁面と底面と第1壁体45aと第2壁体45bで仕切られた空間が、一時貯留容器40内に形成され、流入槽41からオーバーフローしたレジスト液Rを貯留する中間槽42を形成する。更に、カスケード容器45の壁面と底面と第2壁体で仕切られた空間が、一時貯留容器40内に形成され、中間槽42からオーバーフローしたレジスト液Rを貯留すると共に、第2管路27に接続する流出槽43を形成する。
【0066】
また、蓋体46には第1管路26を接続するための挿入孔46a、第3管路28を接続するための挿入孔46b及び後述する脱機機構32の排気管33を接続するための挿入孔46cが形成されており、筒体44及びカスケード容器45の側壁には、第2管路27と流出層43を接続するための挿入孔44aが連通して形成されている。図4(a)に示すように、第1管路26の供給口26aは、流入槽41の下層に配置される。また、第2配管27の吸引口27a及び、第3配管28の吸引口28aは、後述する下限センサ35aより下部に配置される。
【0067】
また、一時貯留容器40には、図4(a),(b)に示すように、流出槽43に貯留されるレジスト液Rの液面の位置を検出する液面検出センサ35が設けられている。この場合、液面検出センサ35は例えば投光と受光で判定する反射型の光センサにより形成され、レジスト液Rが流出槽43の下限位置であることを検出する下限センサ35aと、レジスト液Rが流出槽43の上限位置であることを検出する上限センサ35bからなる。下限センサ35a及び上限センサ35bは、検出した検出信号を後述する制御部100に送信する。
【0068】
図3,図4(a)に示すように、一時貯留容器40の流出槽43には、第3管路28の一端が接続されており、他端は第1管路26に介設された切換弁31に接続されている。このように構成することにより、流出槽43から第3管路28及び第1管路26を介して流入槽41へ供給して行うレジスト液Rの循環のための経路を形成することができる。
【0069】
図3,図4(a)に示すように、第3管路28には、フィルタ50が介設されている。フィルタ50は、レジスト液Rを濾過して異物を除去すると共に、レジスト液R中に混入している気泡を除去することができる。フィルタ50の上部には、フィルタ50内の雰囲気を排気するためのドレイン管50aが設けられ、ドレイン管50aには電磁式の開閉弁50bが介設されている。
【0070】
図3,図4(a)に示すように、一時貯留容器40には、一時貯留容器40内を負圧にして、一時貯留容器40内のレジスト液R内に混入した気泡を排出するための脱気機構32が設けられている。脱気機構32は、上述した挿入孔46cに挿入される排気管33と、排気管33を介して一時貯留容器40と接続される排気用ポンプDと、一時貯留容器40と排気用ポンプDの間の排気管33に介設され、一時貯留容器40内の圧力を大気圧に回復可能な電磁式の切換弁34と、切換弁34の二次側に介設され、一時貯留容器40内の負圧を調整可能な電磁式の絞り弁36と、から主に構成されている。
【0071】
図3に示すように、一時貯留容器40の流出槽43には、第2管路27の一端が接続されており、他端はウエハWにレジスト液Rを吐出する供給ノズル6に接続されている。第2管路27には、吐出側フィルタ9が介設されており、レジスト液Rを濾過して異物を除去すると共に、レジスト液R中に混入している気泡を除去することができる。吐出側フィルタ9の上部には、吐出側フィルタ9内の雰囲気を排気するためのドレイン管9aが設けられ、ドレイン管9aには電磁式の開閉弁9bが介設されている。
【0072】
また、吐出側フィルタ9の二次側の第2管路27には、吐出用ポンプP1が介設されており、一時貯留容器40から第2管路を介して供給ノズル6にレジスト液Rの供給を行うことができる。更に、吐出用ポンプP1の二次側の第2管路27には、開閉バルブ7及びサックバックバルブ8が介設されている。
【0073】
図3に示すように、供給ノズル6は、塗布ユニットCOT内に配設されるスピンチャック5に水平保持されたウエハWにレジスト液Rを吐出する。
【0074】
図3,図4(a)に示すように、上述した切換弁15a、31、34,開閉弁9b、13a、17b、50b,絞り弁36,開閉バルブ7,サックバックバルブ8,吐出用ポンプP1及び供給・循環用ポンプP2は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100からの制御信号に基づいて、切換動作,開閉動作,絞り動作及び吐出ストロークが行われるようになっている。
【0075】
次に、上記レジスト液処理装置の動作態様について説明する。
【0076】
◎循環工程について
循環工程では、流出槽43に貯留されたレジスト液Rを、供給・循環用ポンプP2により、第1管路26に接続する第3管路28及び第1管路26を介して、フィルタ50を通して流入槽41に供給し、一時貯留容器40内を脱気機構32により負圧にして、流入槽41から、流出槽43にオーバーフローしたレジスト液Rに混入している気泡を除去する。
【0077】
レジスト液Rがレジスト容器13から一時貯留容器40に供給され、一時貯留容器40内の流出槽43に順次貯留されると(供給工程)、上限センサ35bはレジスト液Rの液面が流出槽43の上限位置であることを検出し、信号を制御部100に送信する。制御部100は、上限センサ35bの検出した検出信号を受け、切換弁31を制御して流入槽41と流出槽43との連通に切り換え(切換工程)、流出槽43に貯留されたレジスト液Rを、供給・循環用ポンプP2により、第3管路28及び第1管路26を介して、フィルタ50を通して流入槽41に供給する。この切換工程により供給工程が停止すると共に、循環工程が開始する。
【0078】
この際、制御部100は、切換弁31を制御すると共に、供給・循環用ポンプP2を制御して、レジスト液Rの供給レートを変更する。この変更により、供給・循環用ポンプP2は、流出槽43から第3管路28及び第1管路26を介して流入槽41へのレジスト液Rの供給を行う際、フィルタ50におけるレジスト液Rを濾過して異物を除去すると共に、レジスト液R中に混入している気泡を除去するために適したフィルトレーションレートを、供給レートとして供給する。
【0079】
このため、第3管路28に介設されたフィルタ50により、レジスト液R中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートにてレジスト液Rを濾過することができるため、フィルタ50により効率良くレジスト液R中に混入している異物や気泡を除去することができる。
【0080】
また、切換弁31を制御すると共に、供給・循環用ポンプP2を制御して、レジスト液Rの供給レートを変更することにより、上述した好適なフィルトレーションレートとは関係なく、流入槽41とレジスト容器13側とが連通する場合のレジスト液Rの供給レートを設定することができる。よって、一時貯留容器40内へのレジスト液Rの供給を効率的に行うことができる。
【0081】
第3管路28を流通し、フィルタ50により、混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートにて濾過されたレジスト液Rは、第1管路26を介して、一時貯留容器40内の流入槽41に供給される。そして、流入槽41にレジスト液Rが供給されると、流入槽41からレジスト液Rが溢れて中間槽42にオーバーフローする。一時貯留容器40内は、排気用ポンプDにより負圧にされており、レジスト液Rは流入槽41から中間槽42にオーバーフローにより流通して、レジスト液Rが空気層付近を流通して空気に触れることができるので、浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルであってもレジスト液Rから脱気される。
【0082】
次に、流入槽41からのオ−バーフローにより中間槽42にレジスト液Rが供給されると、中間槽42からレジスト液Rが溢れて流出槽43にオーバーフローする。中間槽42から流出槽43へのオーバーフローにおいても、レジスト液Rが空気層付近を流通して空気に触れることができるので、浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルであってもレジスト液Rから脱気することができる。このように、オーバーフロー回数を2回設けることにより、レジスト液Rが空気層付近を流通して空気に触れることができる回数が増えるので、更に浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルをレジスト液Rから脱気することができる。
【0083】
中間槽42からのオ−バーフローにより流出槽43に供給されたレジスト液Rは、再び第3管路28の吸引口28aから吸引される。これにより、レジスト液Rを、流出槽43から第3管路28及び第1管路26を介して流入槽41へ供給することにより循環させ、流入槽41から流出槽43へのオーバーフローと、フィルタ50による濾過を繰り返すことにより、レジスト液R中に混入している異物や気泡の除去の精度を高めることができる。上述した循環工程は後述する供給工程が開始するまで継続して実行される。
【0084】
上述した循環工程の実行中は、流出槽43に貯留されたレジスト液Rを、吐出用ポンプP1により、第2管路27を介してウエハWにレジスト液Rを吐出する供給ノズル6に供給する吐出工程を停止してもよいが、第1実施形態に係るレジスト液処理装置は、循環工程と吐出工程を同時に行うことができる。なぜならば、循環工程と吐出工程は、協働して実行されるのではなく、それぞれ独立して実行されるからである。このように循環工程と吐出工程を同時に行うことにより、処理時間を短縮化することができる。したがって、制御部100は、循環工程を実行中であっても、第2管路27を介して供給ノズル6にレジスト液Rを供給する吐出用ポンプP1を制御して、供給ノズル6からウエハWにレジスト液Rを吐出する吐出工程を実行することができる。
【0085】
なお、吐出工程が実行される際には、制御部100は、脱機機構32の排気管33を介設される絞り弁36を制御し、一時貯留容器40内の負圧を調整してもよい。このように構成することにより、ウエハWへの供給ノズル6からのレジスト液の吐出時に、供給ノズル6からウエハWに吐出されるレジスト液Rに、一時貯留容器40内の負圧による吸引力が発生するのを防止することができる。
【0086】
◎供給工程について
供給工程では、レジスト容器13に貯留されたレジスト液Rを、供給・循環用ポンプP2により、第1管路26を介して一時貯留容器40内に形成される流入槽41に供給し、一時貯留容器40内を脱気機構32により負圧にして、流入槽41から、一時貯留容器40内に形成される流出槽43にオーバーフローしたレジスト液Rに混入している気泡を除去する。
【0087】
ウエハWへのレジスト液Rの塗布処理(吐出工程)が繰り返されると、下限センサ35aはレジスト液Rの液面が流出槽43の下限位置であることを検出し、信号を制御部100に送信する。制御部100は、下限センサ35aの検出した検出信号を受け、切換弁31を制御して流入槽41とレジスト容器13との連通に切り換え(切換工程)、レジスト容器13に貯留されたレジスト液Rを、供給・循環用ポンプP2により、第1管路26を介して流入槽41に供給する。この切換工程により循環工程が停止すると共に、供給工程が開始する。
【0088】
この際、制御部100は、切換弁31を制御すると共に、供給・循環用ポンプP2を制御して、レジスト液Rの供給レートを変更する。供給レートは、流出槽43の上限位置までレジスト液Rを貯留するための供給レートであって、上述したレジスト液Rの循環の際の供給レートより大きく設定してある。
【0089】
流入槽41にレジスト液Rが供給されると、上述したレジスト液Rの循環と同様に、流入槽41からレジスト液Rが溢れて中間槽42、次いで流出槽43にオーバーフローする。一時貯留容器40内は、排気用ポンプDにより負圧にされており、レジスト液Rは流入槽41から中間槽42及び中間槽42から流出槽43にオーバーフローにより流通して、レジスト液Rが空気層付近を流通して空気に触れることができるので、浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルであってもレジスト液Rから脱気される。
【0090】
流出槽43の上限位置までレジスト液Rが貯留されると、上述したように上限センサ35bが液面を検出し、制御部100は上限センサ35bの検出した検出信号を受け、切換弁31の連通を切り換える(切換工程)。この切換工程により供給工程が停止すると共に、循環工程が再度開始する。
【0091】
このように、制御部100は、下限センサ35aの検出した検出信号を受け、切換弁31を制御して流入槽41とレジスト容器13側との連通に切り換え、上限センサ35bの検出した検出信号を受け、切換弁31を制御して流入槽41と流出槽43側との連通に切り換えることにより、一時貯留容器40内のレジスト液Rの貯留量を常に最適な状態にすることができる。
【0092】
上述した供給工程の実行中は、吐出工程を停止してもよいが、第1実施形態に係るレジスト液処理装置は、供給工程と吐出工程を同時に実行することができる。なぜならば、供給工程と吐出工程は、協働して実行されるのではなく、それぞれ独立して実行されるからである。このように供給工程と吐出工程を同時に行うことにより、処理時間を短縮化することができる。したがって、制御部100は、供給工程を実行中であっても、第2管路27を介して供給ノズル6にレジスト液Rを供給する吐出用ポンプP1を制御して、供給ノズル6からウエハWにレジスト液Rを吐出することができる。
【0093】
上述した第1実施形態におけるレジスト液処理装置によれば、レジスト液Rを、流出槽43から第3管路28及び第1管路26を介して流入槽41へ供給することにより循環させ、流入槽41から中間槽42へのオーバーフロー及び中間槽42から流出槽43へのオーバーフローと、レジスト液R中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートで行われるフィルタ50による濾過を繰り返すことにより、レジスト液R中に混入している異物や気泡の除去の精度を高めることができるため、レジスト液R中の異物を除去する清浄性能と、レジスト液R中に混入している気泡を除去する脱気性能を同時に向上させることができる。
【0094】
なお、上記第1実施形態では、第2管路27に、吐出側フィルタ9を介設したが、吐出側フィルタ9はなくてもよい。上述した循環工程において、レジスト液R中に混入している異物や気泡の除去を行うことができるからである。
【0095】
また、第2管路27にレジスト液R中の異物や気泡を検出するパーティクルカウンター(図示せず)を介設してもよい。この場合、制御部100は、パーティクルカウンターの検出した検出信号を受け、レジスト液処理装置を停止させてもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態では、一時貯留容器40内の流入槽41と流出槽43の間に、レジスト液Rを貯留可能な中間槽42を配置したが、中間槽42はなくてもよい。このように構成しても、レジスト液Rは流入槽41から流出槽43にオーバーフローにより流通して、レジスト液Rが空気層付近を流通して空気に触れることができるので、浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルであってもレジスト液Rから脱気することができるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、一時貯留容器40内の流入槽41と流出槽43の間に、レジスト液Rを貯留可能な中間槽42を配置したが、中間槽を複数配置し、流入槽側の中間槽から、流出槽側の上記中間槽にオーバーフローしたレジスト液Rが順次貯留してもよい。例えば、図5に示すように、複数例えば3つの中間槽である第1中間槽62A,第2中間槽62B,第3中間槽62Cを配置し、流入槽61側の第1中間槽62Aから、流出槽63側の第2,第3中間槽62B,62Cにオーバーフローしたレジスト液Rが順次貯留してもよい。
【0098】
第2実施形態における、一時貯留容器60は、図5に示すように、有底状の筒体64と、筒体64の上部を塞ぐ蓋体66と、筒体64内に嵌合される有底筒状のカスケード容器65から主に形成される。カスケード容器65には、カスケード容器65内の空間を縦に5区画に仕切るように、第1壁体65a,第2壁体65b,第3壁体65c,第4壁体65dが形成されている。この場合、壁体の高さは、第1壁体65a,第2壁体65b,第3壁体65c,第4壁体65dの順に低く形成される。
【0099】
この場合、カスケード容器65の壁面と底面と第1壁体65aで仕切られた空間が、流入槽61を形成する。また、カスケード容器65の壁面と底面と第1壁体65aと第2壁体65bで仕切られた空間が、第1中間槽62Aを形成する。カスケード容器65の壁面と底面と第2壁体65bと第3壁体65cで仕切られた空間が、第2中間槽62Bを形成する。カスケード容器65の壁面と底面と第3壁体65cと第4壁体65dで仕切られた空間が、第3中間槽62Cを形成する。更に、カスケード容器65の壁面と底面と第4壁体65dで仕切られた空間が、流出槽63を形成する。
【0100】
なお、第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0101】
第2実施形態に係るレジスト液処理装置における循環工程及び供給工程では、第1実施形態と同様に、一時貯留容器60内の流入槽61にレジスト液Rが供給されると、流入槽61からレジスト液Rが溢れて第1中間槽62Aにオーバーフローし、その後、第2中間槽62B,第3中間槽62C,流出槽63の順にオーバーフローする。流入槽61から第1中間槽62Aのオーバーフロー,第1中間槽62Aから第2中間槽62Bのオーバーフロー,第2中間槽62Bから第3中間槽62Cのオーバーフロー及び第3中間槽62Cから流出槽63へのオーバーフローにおいても、レジスト液Rが空気層付近を流通して空気に触れることができるので、浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルであってもレジスト液Rから脱気される。このように、オーバーフロー回数を複数回(4回)に増加させることにより、レジスト液Rが空気層付近を流通して空気に触れることができる回数が増えるので、更に浮力が小さい50μm以下のマイクロバブルをレジスト液Rから脱気することができる。
【0102】
上述した第2実施形態におけるレジスト液処理装置によれば、レジスト液Rを、流出槽63から第3管路28及び第1管路26を介して流入槽61へ供給することにより循環させ、流入槽61から第1中間槽62Aへのオーバーフロー,第1中間槽62Aから第2中間槽62Bのオーバーフロー,第2中間槽62Bから第3中間槽62Cのオーバーフロー及び第3中間槽62Cから流出槽63へのオーバーフローと、レジスト液R中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートで行われるフィルタ50による濾過を繰り返すことにより、レジスト液R中に混入している異物や気泡の除去の精度を高めることができるため、レジスト液R中の異物を除去する清浄性能と、レジスト液R中に混入している気泡を除去する脱気性能を同時に向上させることができる。
【0103】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、フィルタ50は、第3管路28に介設されていたが、第3管路28もしくは切換弁31の二次側の第1管路26の少なくともいずれか一方に介設されていればよい。例えば、図6に示すように、フィルタ51を、切換弁31及び供給・循環用ポンプP2の二次側の第1管路26に介設してもよい。
【0104】
第3実施形態におけるフィルタ51は、図6に示すように、切換弁31及び供給・循環用ポンプP2の二次側の第1管路26に介設されている。フィルタ51は、レジスト液Rを濾過して異物を除去すると共に、レジスト液R中に混入している気泡を除去することができる。フィルタ51の上部には、フィルタ51内の雰囲気を排気するためのドレイン管51aが設けられ、ドレイン管51aには電磁式の開閉弁51bが介設されている。
【0105】
なお、第3実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0106】
上述した第3実施形態におけるレジスト液処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、レジスト容器13から第1管路26を介して一時貯留容器40の流入槽41へ供給されるレジスト液Rを、フィルタ51により濾過することができる。また、フィルタ51は、供給・循環用ポンプP2の二次側の第1管路26に介設されているため、供給・循環用ポンプP2で発生したパーティクルを除去することができる。このため、レジスト液R中の異物を除去する清浄性能と、レジスト液R中に混入している気泡を除去する脱気性能を更に向上させることができる。
【0107】
<第4実施形態>
上述した第1実施形態では、第3管路28を第1管路26に接続し、第3管路28及び第1管路26を介してレジスト液Rの循環を行ったが、例えば、図7に示すように、流出槽43と流入槽41を接続する循環管路29により、レジスト液Rの循環を行ってもよい。
【0108】
第4実施形態に係るレジスト液処理装置は、主に、図3,図7に示すように、レジスト容器13に第1管路26を介して接続する一時貯留容器40Aと、一時貯留容器40Aに第2管路27を介して接続され、ウエハWにレジスト液Rを吐出する供給ノズル6と、第2管路27に介設される吐出用ポンプP1と、第1管路26に介設される供給用ポンプP3と、を備える。
【0109】
この場合、一時貯留容器40Aは、一時貯留容器40A内に、流入槽41と、中間槽42と、流出槽43が形成されており、その上部には一時貯留容器40内を負圧にするための脱気機構32が接続される。
【0110】
また、流出槽43と流入槽41は、循環管路29によって接続されており、循環管路29には、流出槽43から循環管路29を介して流入槽41にレジスト液Rを供給する循環用ポンプP4とフィルタ50が介設されている。
【0111】
図7に示すように、第1管路26には、供給用ポンプP3が介設されており、第1管路26を介して、一時貯留容器40A内の流入槽41へのレジスト液Rの供給を行うことができる。この場合、供給用ポンプP3は、例えば、吐出ストロークを代えることで供給レートを調節可能なベローズポンプ又はダイアフラムポンプで構成されている。供給用ポンプP3は、制御部100の入力部(図示せず)から、レジスト液Rの供給時の供給レートが設定可能であり、作業者は、任意に循環時の供給レートを設定することができる。このように、レジスト容器13から第1管路26を介して流入槽41へ供給される供給レートを調整することにより、一時貯留容器40A内にレジスト液Rを短時間で貯留することができる。
【0112】
一時貯留容器40Aは、図7に示すように、筒体44の上部を塞ぐ蓋体47には第1管路26を接続するための挿入孔47a、循環管路29を接続するための挿入孔47b,47c及び脱機機構32の排気管33を接続するための挿入孔47dが形成されている。また、第1管路26の供給口26a及び循環管路29の供給口29bは、流入槽41の下層に配置される
【0113】
図7に示すように、一時貯留容器40Aの流出槽43には、循環管路29の一端が接続されており、他端は流入槽41に接続されている。このように構成することにより、流出槽43から循環管路29を介して流入槽41へ供給して行うレジスト液Rの循環のための経路を形成することができる。
【0114】
図7に示すように、循環管路29には、フィルタ50が介設されている。フィルタ50は、レジスト液Rを濾過して異物を除去すると共に、レジスト液R中に混入している気泡を除去することができる。
【0115】
図7に示すように、循環管路29には、循環用ポンプP4が介設されており、循環管路29を介して、流出槽43から流入槽41にレジスト液Rの供給を行うことができる。この場合、循環用ポンプP4は、例えば、吐出ストロークを代えることで供給レートを調節可能なベローズポンプまたはダイアフラムポンプで構成されている。循環用ポンプP4は、制御部100の入力部(図示せず)から、レジスト液Rの循環時の供給レートが設定可能であり、作業者は、例えば使用されるフィルタの種類、濾過される処理液の種類、要求される濾過の精度等を考慮してレジスト液Rの循環時の供給レートを設定することができる。このように、流出槽43から循環管路29を介して流入槽41へ供給されるレジスト液Rの供給レートを、レジスト液R中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートに合わせて設定することができる。
【0116】
上述した、供給用ポンプP3及び循環用ポンプP4は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100からの制御信号に基づいて、吐出ストロークが行われるようになっている。なお、循環用ポンプP4は、レジスト液Rが流出槽43の下限位置であることを検出する下限センサ35aが、下限位置であることを検出した場合にのみ、制御部100により制御されて、レジスト液Rの供給を停止する。すなわち、循環用ポンプP4は、流出槽43において、レジスト液Rが下限センサ35aの検出する下限位置より上層に貯留されていれば、制御部100により制御されて、レジスト液Rの供給を行う。
【0117】
なお、第4実施形態において、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【0118】
次に、第4実施形態におけるレジスト液処理装置の動作態様について説明する。
【0119】
◎循環工程について
循環工程では、流出槽43に貯留されたレジスト液Rを、循環用ポンプP4により、循環管路29を介してフィルタ50を通して流入槽41に供給し、一時貯留容器40A内を脱気機構32により負圧にして、流入槽41から、流出槽43にオーバーフローしたレジスト液Rに混入している気泡を除去する。
【0120】
流出槽43において、レジスト液Rが下限センサ35aの検出する下限位置より上層まで貯留されていると、制御部100は、循環用ポンプP4を制御して、循環管路29を介して流出槽43から流入槽41にレジスト液Rの供給を行う。循環用ポンプP4は、流出槽43から循環管路29を介して流入槽41へのレジスト液Rの供給を行う際、フィルタ50におけるレジスト液Rを濾過して異物を除去すると共に、レジスト液R中に混入している気泡を除去するために適したフィルトレーションレートを、供給レートとして供給する。
【0121】
このため、循環管路29に介設されたフィルタ50により、レジスト液R中に混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートにてレジスト液Rを濾過することができるため、フィルタ50により効率良くレジスト液R中に混入している異物や気泡を除去することができる。
【0122】
循環管路29を流通し、フィルタ50により、混入している異物や気泡を除去するために適したフィルトレーションレートにて濾過されたレジスト液Rは、一時貯留容器40A内の流入槽41に供給される。そして、第1実施形態と同様にして、流入槽41から中間槽42,中間槽42から流出槽43にオーバーフローし、その後、再び循環管路29の吸引口29aから吸引される。
【0123】
上述した循環工程の実行中は、流出槽43に貯留されたレジスト液Rを、吐出用ポンプP1により、第2管路27を介してウエハWにレジスト液Rを吐出する供給ノズル6に供給する吐出工程を停止してもよいが、第4実施形態に係るレジスト液処理装置は、第1実施形態と同様に、循環工程と吐出工程を同時に行うことができる。このように循環工程と吐出工程を同時に行うことにより、処理時間を短縮化することができる。
【0124】
◎供給工程について
供給工程では、レジスト容器13に貯留されたレジスト液Rを、供給用ポンプP3により、第1管路26を介して一時貯留容器40A内に形成される流入槽41に供給し、一時貯留容器40A内を脱気機構32により負圧にして、流入槽41から、一時貯留容器40A内に形成される流出槽43にオーバーフローしたレジスト液Rに混入している気泡を除去する。
【0125】
ウエハWへのレジスト液Rの塗布処理(吐出工程)が繰り返されると、下限センサ35aはレジスト液Rの液面が流出槽43の下限位置であることを検出し、信号を制御部100に送信する。制御部100は、下限センサ35aの検出した検出信号を受け、供給用ポンプP3を制御して、レジスト液Rをレジスト容器13から第1管路26を介して一時貯留容器40Aの流入槽41へ供給する(供給工程の開始)。供給用ポンプP3は、流出槽43の上限位置までレジスト液Rを貯留するために設定された任意の供給レートでレジスト液Rを供給する。
【0126】
流出槽43の上限位置までレジスト液Rが貯留されると上限センサ35bは液面を検出し、制御部100は上限センサ35bの検出した検出信号を受け、供給用ポンプP3を制御して、レジスト液Rの供給を停止する(供給工程の停止)。
【0127】
このように、制御部100は、供給用ポンプP3を制御して、下限センサ35aの検出した検出信号を受け、レジスト容器13から第1管路26を介して流入槽41へのレジスト液Rの供給を開始し、上限センサ35bの検出した検出信号を受け、レジスト容器13から第1管路26を介して流入槽41へのレジスト液Rの供給を停止することにより、一時貯留容器40A内のレジスト液Rの貯留量を常に最適な状態にすることができる。
【0128】
上述した供給工程の実行中は、吐出工程を停止してもよいが、第4実施形態に係るレジスト液処理装置は、第1実施形態と同様に、供給工程と吐出工程を同時に実行することができる。このように供給工程と吐出工程を同時に行うことにより、処理時間を短縮化することができる。
【0129】
更に、供給工程の実行中は、上述した循環工程を停止してもよいが、第4実施形態に係るレジスト液処理装置は、供給工程を実行中であっても、循環工程を行うことができる。循環管路29に循環用ポンプP4を介設し、第1管路26に供給用ポンプP3を介設することにより、循環工程と供給工程を独立して行うことができるためである。このため、第4実施形態に係るレジスト液処理装置は、吐出工程と供給工程と循環工程を同時に実行することができる。このように吐出工程と供給工程と循環工程を同時に行うことにより、処理時間を短縮化することができる。
【0130】
上述した第4実施形態におけるレジスト液処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、第1管路26と独立した循環管路29を設けることにより、流出槽43から循環管路29を介して流入槽41にレジスト液Rを供給して行うレジスト液Rの循環と、レジスト容器13から第1管路26を介して流入槽41にレジスト液Rを供給して行うレジスト液Rの供給と、を同時に行うことができるため、処理時間を短縮化することができる。
【0131】
<その他の実施形態>
上述した第1実施形態において、一時貯留容器40に、一時貯留容器40内のレジスト液Rを加熱するための加熱部68を備えてもよい。
【0132】
第5実施形態に係るレジスト液処理装置は、例えば図8に示すように、一時貯留容器40の底面及び側面に、一時貯留容器40内のレジスト液Rを加熱するための例えばヒータによって形成される加熱部68を備える。加熱部68は、制御部100と電気的に接続されており、制御部100からの制御信号に基づいて、温度制御が行われるようになっている。制御部100は、加熱部68を制御して例えば上述した供給工程及び循環工程において、一時貯留容器40内のレジスト液Rを加熱する。
【0133】
上述した第5実施形態におけるレジスト液処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、レジスト液Rを加熱部68により加熱して、このレジスト液Rに含まれる気泡の体積を増加して浮力を増加させることができるため、脱気を促進することができる。
【0134】
なお、上記第5実施形態では、第1実施形態に係るレジスト液処理装置に加熱部68を備える場合について説明したが、第2〜第4実施形態においても同様に加熱部68を備えることができる。
【0135】
また、上述した第1実施形態において、一時貯留容器40に、一時貯留容器40内のレジスト液Rを超音波振動させる超音波発生部69を備えてもよい。
【0136】
第6実施形態に係るレジスト液処理装置は、例えば図9に示すように、一時貯留容器40に、一時貯留容器40内のレジスト液Rを超音波振動させる超音波発生部69を備えている。この場合、超音波発生部69は、例えば一時貯留容器40の底面に接着される振動板69aと、振動板69aを駆動し、超音波電源69cを具備する超音波発生器69bと、から主に構成されている。超音波発生器69bは、制御部100と電気的に接続されており、制御部100からの制御信号に基づいて、出力制御が行われるようになっている。制御部100は、超音波発生器69bを制御して例えば上述した供給工程及び循環工程において、一時貯留容器40内のレジスト液Rを超音波振動する。
【0137】
上述した第6実施形態におけるレジスト液処理装置によれば、第1実施形態の効果に加え、一時貯留容器内40のレジスト液Rに超音波振動を与えて撹拌することで、レジスト液R内の気泡の移動を促進させ、脱気を促進することができる。
【0138】
なお、上記第6実施形態では、第1実施形態に係るレジスト液処理装置に超音波発生部69を備える場合について説明したが、第2〜第5実施形態においても、同様に超音波発生部69を備えることができる。
【0139】
以上、この発明の実施の形態の一例について説明したが、この発明はこの形態に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば、上記実施形態ではレジスト液RをウエハWに供給する場合について説明したが、これに限定されることなく、処理液についてはレジスト液Rのほか、現像液等を使用する場合にも適用することができる。また、被処理基板としてウエハWを用いたが、これに限定されることなく、例えばLCD用ガラス基板であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0140】
R レジスト液(処理液)
W ウエハ(被処理基板)
P1 吐出用ポンプ
P2 供給・循環用ポンプ
P3 供給用ポンプ
P4 循環用ポンプ
6 供給ノズル
13 レジスト容器(処理液供給源)
26 第1管路
27 第2管路
28 第3管路
29 循環管路
31 切換弁
32 脱気機構
35 液面検出センサ
35a 下限センサ
35b 上限センサ
40,40A,60 一時貯留容器
41,61 流入槽
42 中間槽
62A,62B,62C 第1中間槽,第2中間槽,第3中間槽(複数の中間槽)
43,63 流出槽
50,51 フィルタ
68 加熱部
69 超音波発生部
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液供給源に第1管路を介して接続する一時貯留容器と、
上記一時貯留容器に第2管路を介して接続され、被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルと、
上記第2管路に介設され、上記一時貯留容器から上記第2管路を介して上記供給ノズルに処理液を供給する吐出用ポンプと、
上記一時貯留容器内を負圧にして、上記一時貯留容器内の処理液内に混入した気泡を排出するための脱気機構と、
上記一時貯留容器内に形成され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して供給される処理液を貯留可能な流入槽と、
上記一時貯留容器内に形成され、上記流入槽からオーバーフローした処理液を貯留すると共に、上記第2管路に接続する流出槽と、
上記流出槽と上記第1管路を接続する第3管路と、
上記第1管路と上記第3管路の接続部に介設され、上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽側との連通を選択的に切り換え可能な切換弁と、
上記切換弁の二次側の上記第1管路に介設され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給と、上記流出槽から上記第3管路及び上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を行う供給・循環用ポンプと、
上記第3管路もしくは上記切換弁の二次側の上記第1管路の少なくともいずれか一方に介設され、処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するフィルタと、を具備する、
ことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の液処理装置において、
上記供給・循環用ポンプは、上記流出槽から上記第3管路及び上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を行う際、上記フィルタにおける処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するために適した単位時間当たりの濾過量を、処理液の単位時間当たりの供給量として供給する、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液処理装置において、
上記供給・循環用ポンプは、処理液の単位時間当たりの供給量が調整可能に形成され、上記切換弁及び上記供給・循環用ポンプを制御する制御部を更に具備し、上記制御部は、上記切換弁を制御して、上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽側との連通を選択的に切り換えると共に、上記供給・循環用ポンプを制御して、上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽側との連通毎に処理液の単位時間当たりの供給量を変更してなる、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の液処理装置において、
上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置を検出する液面検出センサと、上記切換弁を制御する制御部を設け、上記液面検出センサは、処理液が上記流出槽の下限位置であることを検出する下限センサと、処理液が上記流出槽の上限位置であることを検出する上限センサとを具備し、上記制御部は、上記下限センサの検出した検出信号を受け、上記切換弁を制御して上記流入槽と上記処理液供給源側との連通に切り換え、上記上限センサの検出した検出信号を受け、上記切換弁を制御して上記流入槽と上記流出槽側との連通に切り換える、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項5】
処理液供給源に第1管路を介して接続する一時貯留容器と、
上記一時貯留容器に第2管路を介して接続され、被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルと、
上記第2管路に介設され、上記一時貯留容器から上記第2管路を介して上記供給ノズルに処理液を供給する吐出用ポンプと、
上記一時貯留容器内を負圧にして、上記一時貯留容器内の処理液内に混入した気泡を排出するための脱気機構と、
上記一時貯留容器内に形成され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して供給される処理液を貯留可能な流入槽と、
上記一時貯留容器内に形成され、上記流入槽からオーバーフローした処理液を貯留すると共に、上記第2管路に接続する流出槽と、
上記流出槽と上記流入槽を接続する循環管路と、
上記第1管路に介設され、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽に処理液を供給する供給用ポンプと、
上記循環管路に介設され、上記流出槽から上記循環管路を介して上記流入槽に処理液を供給する循環用ポンプと、
上記循環管路に介設され、処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するフィルタと、を具備する、
ことを特徴とする液処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の液処理装置において、
上記循環用ポンプは、上記流出槽から上記循環管路を介して上記流入槽への処理液の供給を行う際、上記フィルタにおける処理液を濾過して異物を除去すると共に、処理液中に混入している気泡を除去するために適した単位時間当たりの濾過量を、処理液の単位時間当たりの供給量として供給する、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の液処理装置において、
上記供給用ポンプは、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽へ供給される処理液の単位時間当たりの供給量が調整可能に形成され、上記循環用ポンプは、上記流出槽から上記循環管路を介して上記流入槽へ供給される処理液の単位時間当たりの供給量が調整可能に形成される、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の液処理装置において、
上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置を検出する液面検出センサと、上記供給用ポンプを制御する制御部を設け、上記液面検出センサは、処理液が上記流出槽の下限位置であることを検出する下限センサと、処理液が上記流出槽の上限位置であることを検出する上限センサとを具備し、上記制御部は、上記供給用ポンプを制御して、上記下限センサの検出した検出信号を受け、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を開始し、上記上限センサの検出した検出信号を受け、上記処理液供給源から上記第1管路を介して上記流入槽への処理液の供給を停止する、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液処理装置において、
上記一時貯留容器内の上記流入槽と上記流出槽の間に、処理液を貯留可能な中間槽が配置され、上記中間槽は、上記流入槽からオーバーフローした処理液を貯留すると共に、上記中間槽からオーバーフローした処理液が上記流出槽に貯留する、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の液処理装置において、
上記中間槽は複数配置され、上記流入槽側の上記中間槽から、上記流出槽側の上記中間槽にオーバーフローした処理液が順次貯留される、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の液処理装置において、
上記一時貯留容器に、上記一時貯留容器内の処理液を加熱するための加熱部を備える、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の液処理装置において、
上記一時貯留容器に、上記一時貯留容器内の処理液を超音波振動させる超音波発生部を備える、ことを特徴とする液処理装置。
【請求項13】
処理液供給源に貯留された処理液を、供給・循環用ポンプにより、第1管路を介して一時貯留容器内に形成される流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記一時貯留容器内に形成される流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する供給工程と、
上記流出槽に貯留された処理液を、上記供給・循環用ポンプにより、上記第1管路に接続する第3管路及び上記第1管路を介して、処理液を濾過して異物を除去すると共に処理液中に混入している気泡を除去するフィルタを通して上記流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を上記脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する循環工程と、
上記流入槽と、上記処理液供給源側又は上記流出槽側との連通を、上記第1管路と上記第3管路の接続部に介設される切換弁により選択的に切り換え、上記供給工程又は上記循環工程のいずれか一方の実行を選択する切換工程と、
上記流出槽に貯留された処理液を、吐出用ポンプにより、第2管路を介して被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルに供給する吐出工程と、を具備する、
ことを特徴とする液処理方法。
【請求項14】
請求項13記載の液処理方法において、
上記供給工程又は上記循環工程のいずれか一方を、上記吐出工程と同時に実行する、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項15】
請求項13又は14記載の液処理方法において、
上記循環工程は、上記供給工程における上記供給・循環用ポンプの処理液の単位時間当たりの供給量から、上記供給・循環用ポンプの処理液の単位時間当たりの供給量を変更する、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれかに記載の液処理方法において、
上記切換工程は、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が下限位置に達した場合に、上記流入槽と上記処理液供給源側との連通に切り換え、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が上限位置に達した場合に、上記流入槽と上記流出槽側との連通に切り換える、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項17】
処理液供給源に貯留された処理液を、供給用ポンプにより、第1管路を介して一時貯留容器内に形成される流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記一時貯留容器内に形成される流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する供給工程と、
上記流出槽に貯留された処理液を、循環用ポンプにより、循環管路を介して、処理液を濾過して異物を除去すると共に処理液中に混入している気泡を除去するフィルタを通して上記流入槽に供給し、上記一時貯留容器内を上記脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する循環工程と、
上記流出槽に貯留された処理液を、吐出用ポンプにより、第2管路を介して被処理基板に処理液を吐出する供給ノズルに供給する吐出工程と、を具備する、
ことを特徴とする液処理方法。
【請求項18】
請求項17記載の液処理方法において、
上記供給工程又は上記循環工程の少なくともいずれか一方を、上記吐出工程と同時に実行する、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項19】
請求項17又18に記載の液処理方法において、
上記供給工程は、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が下限位置に達した場合に開始され、上記流出槽に貯留される処理液の液面の位置が上限位置に達した場合に停止する、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項20】
請求項13ないし19のいずれかに記載の液処理方法において、
上記一時貯留容器内の上記流入槽と上記流出槽の間に、処理液を貯留可能な中間槽が配置され、上記供給工程及び上記循環工程において、上記一時貯留容器内を脱気機構により負圧にして、上記流入槽から上記中間槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去すると共に、上記中間槽から上記流出槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項21】
請求項20記載の液処理方法において、
上記中間槽は複数配置され、上記供給工程及び上記循環工程において、上記流入槽側の上記中間槽から、上記流出槽側の上記中間槽にオーバーフローした処理液に混入している気泡を除去する、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項22】
請求項13ないし21のいずれかに記載の液処理方法において、
上記供給工程及び上記循環工程において、上記一時貯留容器内の処理液を加熱する、ことを特徴とする液処理方法。
【請求項23】
請求項13ないし22のいずれかに記載の液処理方法において、
上記供給工程及び上記循環工程において、上記一時貯留容器内の処理液を超音波振動する、ことを特徴とする液処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58655(P2013−58655A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196685(P2011−196685)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】