説明

液圧システムにおける出力の改善

本発明は、液圧システムの出力を改善するための、少なくとも130のVIを有する流体の使用を記載する。好ましくは、標準的HMオイルを使用しながらエンジン速度を選択された同じ速度に維持し、>3%高い液圧出力を送達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い粘度指数を有する液圧流体の使用によって達成される、液圧ポンプおよびモーターにおける出力の増加に関する。このような流体の使用により、ハードウェアを修飾することなく、システムの出力を増大させることができる。
【0002】
液圧システムは、エネルギーを伝達し、高い柔軟性および制御下で大きな力を加えるように設計される。エンジン、電気モーター、または他の供給源からの入力エネルギーを使用可能な仕事に効率よく変換するシステムを構築することが望ましい。流体動力を用いて、回転もしくは直線運動を引き起こすか、または将来使用するためにアキュムレーター中にエネルギーを保存することができる。液圧システムは、電気もしくは機械システムよりも著しく正確で調節可能なエネルギー伝達手段を提供する。一般的に、液圧システムは、信頼性があり、効率的で、費用効率が高く、産業界で幅広く利用されるに至る。流体動力産業は、新しい機械成分および構成材料を用いることにより、常に液圧システムの費用対効果を改善している。
【0003】
水および多くの液体を用いて、パスカルの原理を実際に使用することができ、このパスカルの原理とは、密閉容器中で圧縮された流体は、結果としての圧力をシステム全体にわたって減少することなく全ての方向で等しく伝達することを言う。
【0004】
標準的「HM」モノグレードオイルは、もっとも費用のかからない選択肢であり、古くから、保守問題がなく信頼できる性能であるので、典型的に選択される。広範囲の温度変化を経験する流体動力の屋外用途では、冬期には低粘度グレードの流体を使用し、夏期には高粘度グレードの流体を使用する。冷間始動条件下で良好な低温流動性を達成するために、ある液圧流体に粘度指数向上剤としてPAMA添加剤が配合される(「HV」グレードオイル)。PAMA添加剤が他のパフォーマンス利益をもたらすことは知られていない。
【0005】
たとえば、文献WO2005108531は、作業負荷下での液圧流体の温度上昇を減少させるために、PAMA添加剤を含む液圧流体を使用することを記載している。しかし、出力に関する改善は、この文献では記載も示唆もされていない。
【0006】
さらに、文献WO2005014762は、改善された耐火性を有する機能液を開示している。この流体は、液圧システムにおいて使用できる。しかし、この文献は、かかる流体を使用するシステムの出力に関しては記載していない。
【0007】
液圧システムにおいてさらに高い出力を達成することは、典型的には、さらに大きなポンプを選択するか、または液圧システムに機械的エネルギーを提供するユニットの他のハードウェア構成の改善によっておこなわれる。しかし、かかる方法は、通常、より高いエネルギー消費およびコストの増加と関連する。
【0008】
さらなる一般的な目的は、体積出力の改善である。従来技術によると、これらの目的は、より大きな動力を有する燃焼機関または電気モーターにより達成される。しかし、このような方法は、通常、より高いエネルギー消費およびコストの増加と関連し、しばしば空間制限または質量制限によって制約される。
【0009】
従来技術を考慮して、本発明の目的は、増加した作業負荷および改善された生産性を促進するために、出力が増加した液圧システムを提供することである。増加した出力を用いて、掘削力、揚力、または機械速度を増大させることができる。さらに、液圧システムの寿命および使用可能期間の改善が一般的な目的である。
【0010】
これらならびに、冒頭部から容易に誘導できるか、または明らかにできる他の明確に記載されていない目的は、本発明の請求項1の流体の使用によって達成される。
【0011】
特に、液圧出力における改善は、本発明の請求項1の流体の使用によって達成される。本発明の使用の適切な修飾は、従属クレームに記載されている。
【0012】
少なくとも130のVIを有する流体を使用することにより、ポンプの液圧出力において予想外の増加がもたらされる。ポンプからの出力が増加する結果、液圧モーター(シリンダーまたはロータリーモーター)からの出力が増加する。
【0013】
本発明の液圧流体は、改善された低温性能およびさらに広範囲の温度操作範囲を示す。さらに、液圧流体は体積出力における改善を提供する。さらに、少なくとも130のVIを有する液圧流体を用いる液圧システムは、特に、機械的仕事を提供する高負荷のユニットで出力低下の改善を示す。したがって、出力の不変性は、本発明の使用によって改善される。
【0014】
本発明の液圧流体を、早い資本回収期間でコストに有益なベースで販売できる。
【0015】
より低い圧力レベルで動作し、さらに低いポンプ入力エネルギーで等しい量の液圧出力を生じる高粘度指数液圧流体を利用した液圧システムを設計することも可能である。より低い圧力で動作するシステムは、より長い成分寿命(シール、ホース、摩耗表面、流体)を有し、その結果、流体作動温度は低くなるであろう。
【0016】
本発明の液圧流体は、標準的HM流体と比較して、酸化に対して良好な耐性を示し、化学的に非常に安定である。
【0017】
本発明の液圧流体の粘度を広範囲にわたって調節することができる。
【0018】
さらに、本発明の液圧流体は、100〜700バールの範囲の高圧用途に適切である。本発明の液圧流体は、良好な剪断安定性のために稼働中の粘度変化が最小である。
【0019】
さらに、出力およびシステム生産性の改善は、液圧システムの構造上の変更なしに達成できる。結果として、新旧両方の液圧システムの出力を非常に低コストで改善することができる。かかる液圧流体の組成は、シール、ブラダ、およびホースにおいて使用される既存のエラストマー材料と十分に適合性であり、これらは既存の工業用液圧システムにおける使用に直ちに許容可能となる。
【0020】
本発明にしたがって使用される液圧流体は、少なくとも130、好ましくは少なくとも150、さらに好ましくは少なくとも180、そして最も好ましくは少なくとも200の粘度指数を有する。本発明の好適な実施形態によると、粘度指数は、150〜400、さらに好ましくは200〜300の範囲である。粘度指数をASTM D2270にしたがって決定できる。
【0021】
本発明の使用により、液圧システムの出力が改善される。「出力」という表現は、仕事として使用可能なエネルギーであり、典型的には、ロータリー液圧モーターからの出力トルクとして馬力またはキロワットで測定され、定量されるものを意味する。
【0022】
好ましくは、本発明の流体は、エンジンまたは電気モーターからの同じ機械的入力で、同じ圧力および温度にて作動する、約100のVIを有するモノグレード液圧流体を用いるシステムの出力と比較して、液圧システムの出力を少なくとも3%、さらに好ましくは少なくとも5%、そしてさらに好ましくは少なくとも10%増加させるのに有効である。したがって、等しい量のエネルギーが消費されるが(燃料または電力)、高VI流体を使用するシステムは、等しい期間でより多くの使用可能な出力を生じる。
【0023】
本発明の好適な実施形態にしたがって、体積出力を増加させる。好ましくは、本発明の流体は、エンジンまたは電気モーターからの同じ機械的入力で同じ圧力および温度にて作動する、約100のVIを有するモノグレード液圧流体を使用するシステムの体積出力と比較して、液圧システムの体積出力を少なくとも3%、さらに好ましくは少なくとも5%、そしてさらに好ましくは少なくとも10%増加させるのに有効である。「体積出力」という表現は、典型的にはm3またはリットルで測定され、定量される、特定の圧力差での仕事として使用可能な液圧モーターに提供される体積を意味する。
【0024】
本発明は、さらに、出力の不変性を改善するための方法を提供することができる。驚くべきことに、出力の不変性は、最大負荷でも増加させることができる。例えば、少なくとも10分の動作時間後の出力の低下は、好ましくは、機械的エネルギーを提供するユニットの最大負荷の90%またはそれ以上の負荷で測定すると、最大で3%である。
【0025】
前述の改善を用いて、液圧システムの性能を驚くべき方法で増大させることができる。出力の低下が低く、先延ばしされているシステムを提供することにより、機械的エネルギーを生じるユニットの極限動力でこのシステムを使用することができる。したがって、所定の仕事を、システムの構造変化を必要とすることなく、さらに短時間で行うことができる。好ましくは、機械的エネルギーを提供するユニットのエンジン速度を一定速度に維持し、システムは増大したレベルの流体動力を送達する。
【0026】
本発明の好適な実施形態によると、出力が、100のVIを有する液圧流体を用いた参考システムにより送達されるものと等しくなるように、液圧システムを低圧で動作するように設計することができる。当業者は、このような設計変更を容易に行うことができる。たとえば掘削機において、シャベルを変えることができる。さらに低い圧力を用いることにより、液圧システムの寿命および使用可能期間を驚くべき方法で改善することができる。
【0027】
本発明の好適な実施形態によると、液圧システムは、液圧出力の入力に対する比において改善を示すことができ、出力/入力の比は、100のVIを有する液圧流体を用いた参考システムによって送達されるものと比較して、好ましくは少なくとも3%、さらに好ましくは少なくとも5%改善される。
【0028】
本発明の液圧流体の粘度を、液圧ポンプ/モーター製造業者の要求に従って、広範囲で適合させることができる。たとえば、ISO VG15、22、32、46、68、100、150流体グレードを達成することができる。
【0029】
【表1】

【0030】
好ましくは、ASTM D 445による動粘性率40℃は、15mm2/s〜150mm2/s、好ましくは28mm2/s〜110mm2/sの範囲である。
【0031】
本発明の使用に関して、好適な液圧流体は、NFPA T2.13.13−2002により定義されるNFPA(National Fluid Power Association)マルチグレート流体、たとえばダブル、トリプル、クアドラおよび/またはペンタグレード流体である。
【0032】
好適な流体は、少なくとも鉱油および/または合成油を含む。
【0033】
鉱油は、実質的に公知であり、市販されている。鉱油は、一般的に石油または原油から、蒸留および/または精錬ならびに場合によってさらなる精製および加工方法によって得られ、特に、原油または石油の高沸点フラクションは、鉱油の概念に該当する。一般的に、鉱油の沸点は、5000Paで、200℃より高く、好ましくは300℃より高い。シェール油の低温蒸留、硬質炭のコークス化、空気排除下での褐炭の蒸留ならびに硬質炭または褐炭の水素化による製造も、同様に可能である。わずかに、鉱油は植物起源の原料(たとえば、ホホバ、ナタネ(キャノーラ)、ヒマワリ、および大豆油)または動物起源の原料(たとえば、獣脂もしくは牛脚油)からも製造される。したがって、鉱油は、起源によってそれぞれの場合、異なる量の芳香族、環状、分岐および直鎖炭化水素を示す。
【0034】
一般的に、原油または鉱油中のパラフィン系、ナフテン系および芳香族フラクションは区別され、この場合、パラフィン系フラクションという用語は、長鎖または高度に分岐したイソアルカンを表し、ナフテン系フラクションはシクロアルカンを表す。さらに、鉱油はそれぞれの場合、起源および処理にしたがってn−アルカン、低度の分岐を有するイソアルカン、いわゆるモノメチル−分岐パラフィン、ならびに、極性の原因となるヘテロ原子、特にO、Nおよび/またはSを有する化合物の様々なフラクションを示す。しかし、帰属は困難である。その理由は、個々のアルカン分子が、長鎖分岐およびシクロアルカン残基ならびに芳香族成分の両方を有し得るからである。本発明の目的のために、分類をDIN51378にしたがっておこなうことができる。極性成分は、ASTM D2007によっても決定できる。
【0035】
好適な鉱油中のn−アルカンの割合は3質量%未満であり、O、Nおよび/またはS含有化合物の割合は、6質量%未満である。芳香族化合物およびモノメチル分岐パラフィンの割合は、一般的にそれぞれの場合、0〜40質量%の範囲である。興味深い一態様によると、鉱油は主にナフテン系およびパラフィン系アルカンを含み、これは一般的に13個より多く、好ましくは18個より多く、特に好ましくは20個より多い炭素原子を有する。これらの化合物の割合は、一般的に、少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%であり、これに限定されることを意図しない。好適な鉱油は、それぞれの場合、鉱油の合計質量に対して、0.5〜30質量%の芳香族成分、15〜40質量%のナフテン成分、35〜80質量%のパラフィン系成分、最高3質量%までのn−アルカンおよび0.05〜5質量%の極性成分を含む。
【0036】
尿素脱ろうおよびシリカゲル上液体クロマトグラフィーなどの伝統的な方法を用いておこなった、特に好適な鉱油の分析は、例えば次の成分を示す(ここで、パーセンテージは関連する鉱油の合計質量基準である):
約18〜31個のC原子を有するn−アルカン:0.7〜1.0%、
18〜31個のC原子を有する低分岐アルカン:1.0〜8.0%、
14〜32個のC原子を有する芳香族化合物:0.4〜10.7%、
20〜32個のC原子を有するイソアルカンおよびシクロアルカン:60.7〜82.4%、
極性化合物:0.1〜0.8%、
損失:6.9〜19.4%。
【0037】
鉱油の分析に関する有益な助言ならびに他の組成を有する鉱油のリストは、たとえば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition on CD−ROM,1997において"lubricants and related products"の項目で見いだすことができる。
【0038】
好ましくは、液圧流体は、APIグループI、II、またはIIIからの鉱油ベースである。本発明の好適な実施形態にしたがって、元素分析で測定して、少なくとも90質量%の飽和物質および最大で約0.03%の硫黄を含む鉱油を使用する。特に、APIグループIIオイルが好適である。
【0039】
APIグループIVおよびV合成油は、他の物質の中でも、カルボン酸エステルおよびリン酸エステルなどの有機エステル;シリコーン油およびポリアルキレングリコールなどの有機エーテル;ならびに合成炭化水素、特にポリオレフィンおよびFischer−Tropsch(GTL)系基油である。これらは大部分が、鉱油よりも若干高価であるが、性能に関しては有利である。説明として、5APIクラスの基油タイプが参照される(API:米国石油協会)。
【0040】
米国石油協会(API)基油分類
【表2】

【0041】
合成炭化水素、特にポリオレフィンは、当該技術分野において周知である。特にポリアルファオレフィン(PAO)が好適である。これらの化合物は、アルケン、特に3〜12個の炭素原子を有するアルケン、たとえばプロペン、ヘキセン−1、オクテン−1、およびドデセン−1の重合によって得ることができる。好適なPAOは、200〜10000g/mol、さらに好ましくは500〜5000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0042】
本発明の好適な態様によると、液圧流体は、カルボン酸エステル、ポリエーテルポリオールおよび/または有機リン化合物からなる群から選択される酸素含有化合物を含み得る。好ましくは、酸素含有化合物は、少なくとも2個のエステル基を含むカルボン酸エステル、4〜12個の炭素原子を含むカルボン酸のジエステルおよび/またはポリオールのエステルである。ベースストックとして酸素含有化合物を用いることにより、液圧流体の耐火性を改善できる。
【0043】
たとえば、アルキルアリールリン酸エステル;トリアルキルホスフェート、たとえばトリブチルホスフェートまたはトリ−2−エチルヘキシルホスフェート;トリアリールホスフェート、たとえば混合イソプロピルフェニルホスフェート、混合t−ブチルフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、またはトリクレシルホスフェートなどのリンエステル流体を液圧流体の成分として使用できる。さらなる種類の有機リン化合物は、ホスホネートおよびホスフィネートであり、これらはアルキルおよび/またはアリール置換基を含んでもよい。ジアルキルホスホネート、たとえばジ−2−エチルヘキシルホスホネート;アルキルホスフィネート、たとえばジ−2−エチルヘキシルホスフィネートが有用である。本明細書におけるアルキル基として、1〜10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖アルキルが好適である。本明細書におけるアリール基として、6〜10個の炭素原子を含むアリール(アルキルにより置換されていてもよい)が好適である。特に、液圧流体は、0〜60質量%、好ましくは5〜50質量%の有機リン化合物を含んでもよい。
【0044】
カルボン酸エステルとして、アルコール、たとえば多価アルコール、一価アルコールなどと、脂肪酸、たとえばモノカルボン酸、ポリカルボン酸などの反応生成物を使用できる。このようなカルボン酸エステルは、当然部分エステルであってよい。
【0045】
カルボン酸エステルは、式R−COO−R(式中、Rは独立して、1〜40個の炭素原子を含む基である)を有する1個のカルボン酸エステル基を有し得る。好適なエステル化合物は、少なくとも2個のエステル基を含む。これらの化合物は、少なくとも2個の酸性基を有するポリカルボン酸および/または少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリオールベースであってよい。
【0046】
ポリカルボン酸残基は、通常、2〜40個、好ましくは4〜24個、特に4〜12個の炭素原子を有する。有用なポリカルボン酸エステルは、たとえばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸および/またはドデカン酸のエステルである。ポリカルボン酸化合物のアルコール成分は、好ましくは1〜20個、特に2〜10個の炭素原子を含む。
【0047】
有用なアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールおよびオクタノールである。さらに、オキソアルコール、たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールからデカメチレングリコールまでを使用できる。
【0048】
特に好適な化合物は、ポリカルボン酸の、1個のヒドロキシル基を含むアルコールとのエステルである。これらの化合物の例は、Ullmanns Encyclopaedie der Technischen Chemie,third edition,vol.15,page 287−292,Urban & Schwarzenber(1964))に記載されている。
【0049】
少なくとも2個のエステル基を含むエステル化合物を得るために有用なポリオールは、通常、2〜40個、好ましくは4〜22個の炭素原子を含む。例は、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピオネート、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメタノールプロパン、トリメチロールノナン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールおよびジペンタエリスリトールである。ポリエステルのカルボン酸成分は、1〜40個、好ましくは2〜24個の炭素原子を含み得る。例は、直鎖もしくは分岐飽和脂肪酸、たとえばギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2−エチル−2,3,3−トリメチルブタン酸、2,2,3,4−テトラメチルペンタン酸、2,5,5−トリメチル−2−t−ブチルヘキサン酸、2,3,3−トリメチル−2−エチルブタン酸、2,3−ジメチル−2−イソプロピルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸;直鎖もしくは分岐不飽和脂肪酸、たとえばリノール酸、リノレン酸、9オクタデセン酸、ウンデセン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、および様々な動物性脂肪または植物性油源から得られる商業的グレードのオレイン酸である。トール油脂肪酸などの脂肪酸の混合物を使用できる。
【0050】
少なくとも2つのエステル基を含む特に有用な化合物は、たとえばネオペンチルグリコールタレート、ネオペンチルグリコールジオレエート、プロピレングリコールタレート、プロピレングリコールジオレエート、ジエチレングリコールタレート、およびジエチレングリコールジオレエートである。
【0051】
これらの化合物の多くは、Inolex Chemical Co.からLexolube 2G−214の商標で、Cognis Corp.からProEco 2965の商標で、Uniqema Corp.からPriolube 1430およびPriolube 1446の商標で、Georgia PacificからXtolube 1301およびXtolube 1320の商標で、市販されている。
【0052】
さらに、エーテルは液圧流体の成分として有用である。好ましくは、ポリエーテルポリオールを本発明の液圧流体の成分として使用する。これらの化合物は周知である。例は、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールである。ポリアルキレングリコールは、アルキレンオキシドの混合物ベースであり得る。これらの化合物は、好ましくは1〜40個のアルキレンオキシド単位、さらに好ましくは5〜30個のアルキレンオキシド単位を含む。ポリブチレングリコールは無水流体に好適な化合物である。ポリエーテルポリオールは、たとえば1〜40個、特に2〜22個の炭素原子を含むアルキレンまたはアリーレン基などのさらなる基を含むことができる。
【0053】
本発明のもう一つ別の態様によると、液圧流体は、ポリアルファオレフィン(PAO)、カルボン酸エステル(ジエステル、またはポリオールエステル)、植物性エステル、リン酸エステル(トリアルキル、トリアリール、またはアルキルアリールホスフェート)、および/またはポリアルキレングリコール(PAG)を含む合成ベースストックベースである。好適な合成ベースストックは、APIグループIVおよび/またはグループVオイルである。
【0054】
好ましくは、液圧流体は、少なくとも2つの成分を混合することによって得ることができる。成分の少なくとも1つは基油でなければならない。基油という表現は、前述のように液圧流体がベースとする鉱油および/または合成油を包含する。好ましくは、液圧流体は少なくとも60質量%の基油を含む。好ましくは、成分の少なくとも1つは、120以下の粘度指数を有し得る。好適な実施形態によると、液圧流体は、120以下の粘度指数を有する少なくとも1つの成分を少なくとも60質量%含んでもよい。
【0055】
特に、ポリマー粘度指数向上剤を液圧流体の成分として使用できる。粘度指数向上剤は周知であり、たとえば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition on CD−ROM, 1997に開示されている。
【0056】
VI向上剤として有用な、好適なポリマーは、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有するアルキルエステルから誘導される単位を含む。これらのポリマーは、当該技術分野において周知である。好適なポリマーは、特に、(メタ)アクリレート、マレエートおよびフマレートを重合することによって得ることができる。(メタ)アクリレートという用語は、メタクリレートおよびアクリレートならびに両者の混合物を包含する。これらのモノマーは、当該技術分野において周知である。アルキル残基は、直線状、環状、または分岐であり得る。
【0057】
アルキルエステル由来の単位を含む好適なポリマーを得るための混合物は、モノマー混合物の合計質量に対して、0〜100質量%、好ましくは0.5〜90質量%、特に1〜80質量%、さらに好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%の式(I)
【化1】

[式中、Rは、水素またはメチルであり、R1は、1〜6個、特に1〜5個、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキルを意味し、R2およびR3は、独立して、水素または式−COOR’の基であり、ここでR’は、水素または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]の1以上のエチレン性不飽和エステル化合物を含む。
【0058】
成分(a)の例は、特に、飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、フマレートおよびマレエート、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレートおよびヘキシル(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレートである。
【0059】
さらに、アルキルエステル由来の単位を含むポリマーを得るためのモノマー組成物は、モノマー混合物の合計質量に対して、0〜100質量%、好ましくは10〜99質量%、特に20〜95質量%、さらに好ましくは30〜85質量%の式(II)
【化2】

[式中、Rは、水素もしくはメチルであり、R4は、7〜40個、特に10〜30個、好ましくは12〜24個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル残基を意味し、R5およびR6は独立して、水素または式−COOR"の基であり、ここで、R"は水素または7〜40個、特に10〜30、好ましくは12〜24個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]の1以上のエチレン性不飽和エステル化合物を含む。
【0060】
これらには、飽和アルコール由来の(メタ)アクリレート、フマレートおよびマレエート、たとえば2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、および/またはエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、たとえば3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、2,4,5−トリ−t−ブチル−3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,3,4,5−テトラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート;ならびに対応するフマレートおよびマレエートが含まれる。
【0061】
長鎖アルコール残基を有するエステル化合物、特に成分(b)は、たとえば、(メタ)アクリレート、フマレート、マレエートおよび/または対応する酸を長鎖脂肪族アルコールと反応させることによって得ることができ、この場合、一般に、異なる長鎖アルコール残基を有する(メタ)アクリレートなどのエステルの混合物が結果として得られる。これらの脂肪族アルコールとしては、特に、Oxo Alcohol(登録商標)7911およびOxo Alcohol(登録商標)7900、Oxo Alcohol(登録商標)1100(Monsanto);Alphanol(登録商標)79(ICI);Nafol(登録商標)1620、Alfol(登録商標)610およびAlfol(登録商標)810(Sasol);Epal(登録商標)610およびEpal(登録商標)810(Ethyl Corporation);Linevol(登録商標)79、Linevol(登録商標)911およびDobanol(登録商標)25L(Shell AG);Lial 125(Sasol);Dehydad(登録商標)およびDehydad(登録商標)ならびにLorol(登録商標)(Cognis)が挙げられる。
【0062】
エチレン性不飽和エステル化合物のうち、(メタ)アクリレートが、マレエートおよびフマレートよりも特に好適である。すなわち、式(I)および(II)のR2、R3、R5、R6は、特に好適な実施形態において水素を表す。
【0063】
本発明の特定の態様において、式(II)のエチレン性不飽和エステル化合物の混合物を使用することが好ましく、この混合物は、アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレート、およびアルコール基中に16〜30個の炭素原子を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートを有する。アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートの割合は、ポリマーを製造するためのモノマー組成物の質量に対して、好ましくは20〜95質量%の範囲である。アルコール基中に16〜30個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは、アルキルエステル由来の単位を含むポリマーを製造するためのモノマー組成物の質量に対して、0.5〜60質量の範囲である。アルコール基中に7〜15個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートとアルコール基中に16〜30個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートとの質量比は、好ましくは10:1〜1:10の範囲、さらに好ましくは5:1〜1.5:1の範囲である。
【0064】
成分(c)は、特に、式(I)および/または(II)のエチレン性不飽和エステル化合物と共重合できるエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0065】
次式に対応するコモノマーは、本発明の重合に特に適している:
【化3】

[式中、Rl*およびR2*は、独立して、水素、ハロゲン、CN、1〜20個、好ましくは1〜6個、そして特に好ましくは1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル基(1〜(2n+l)個のハロゲン原子で置換することができ、ここでnは、アルキル基(たとえばCF3)の炭素原子の数である)、2〜10個、好ましくは2〜6個、そして特に好ましくは2〜4個の炭素原子を有するα,β−不飽和直鎖もしくは分岐アルケニルまたはアルキニル基(1〜(2n−l)個のハロゲン原子、好ましくは塩素で置換することができ、ここでnは、アルキル基、たとえばCH2=CCl−の炭素原子の数である)、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基(1〜(2n−l)個のハロゲン原子、好ましくは塩素で置換することができ、ここでnは、シクロアルキル基の炭素原子の数である);C(=Y*)R5*、C(=Y*)NR6*7*、Y*C(=Y*)R5*、SOR5*、SO25*、OSO25*、NR8*SO25*、PR5*2、P(=Y*)R5*2、Y*PR5*2、Y*P(=Y*)R5*2、NR8*2[追加のR8*、アリール、またはヘテロシクリル基で四級化することができ、ここで、Y*は、NR8*、SまたはO、好ましくはOであり得;R5*は、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキルチオ基、OR15(R15は、水素もしくはアルカリ金属である)、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ、アリールオキシまたはヘテロサイクリルオキシであり;R6*およびR7*は、独立して、水素もしくは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であるか、またはR6*およびR7*は一緒になって、2〜7個、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキレン基を形成することができ、この場合、これらは3〜8員環、好ましくは3〜6員環を形成し、R8*は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキルまたはアリール基である]からなる群から選択され;
R3*およびR4*は独立して、水素、ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素)、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基およびCOOR9*(式中、R9*は水素、アルカリ金属もしくは1〜40個の炭素原子を有するアルキル基である)からなる群から選択されるか、またはR1*およびR3*は一緒になって式(CH2nの基を形成することができ、この基は、1−2n’個のハロゲン原子もしくはC1−C4アルキル基により置換することができるか、または式C(=O)−Y*−C(=O)(式中、n’は2〜6、好ましくは3または4であり、Y*は前記定義のとおりである)の基を形成することができ;残基R1*、R2*、R3*およびR4*のうちの少なくとも2つは水素またはハロゲンである]。
【0066】
コモノマーとしては、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、たとえば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート;
アミノアルキル(メタ)アクリレートおよびアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、たとえばN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、3−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、3−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸のニトリルおよび他の窒素含有(メタ)アクリレート、たとえばN−(メタクリロイルオキシエチル)ジイソブチルケチミン、N−(メタクリロイルオキシエチル)ジヘキサデシルケチミン、(メタ)アクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチル(メタ)アクリレート;
アリール(メタ)アクリレート、たとえばベンジル(メタ)アクリレートもしくはフェニル(メタ)アクリレート(ここで、それぞれの場合で、アクリル残基は非置換であってもよいし、最高4回まで置換することもできる);
カルボニル含有(メタ)アクリレート、たとえば2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシペンタデシル(−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシヘプタデシル−2−ピロリジノン;
エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、たとえばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシ−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート;
ハロゲン化アルコールの(メタ)アクリレート、たとえば2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレート、2−ヨードエチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート;
オキシラニル(メタ)アクリレート、たとえば2、3−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、10,11エポキシウンデシル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、オキシラニル(メタ)アクリレート、たとえば10,11−エポキシヘキサデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート;
リン含有、ホウ素含有および/またはケイ素含有(メタ)アクリレート、たとえば2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチルホスフィト)プロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル−メタクリロイルホスホネート、ジプロピルメタクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ブチレンメタクリロイルエチルボレート、メチルジエトキシメタクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスファトエチル(メタ)アクリレート;
硫黄含有(メタ)アクリレート、たとえばエチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4−チオシアナートブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアナートメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド;
複素環式(メタ)アクリレート、たとえば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレートおよび1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
ハロゲン化ビニル、たとえば塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン;
酢酸ビニルなどのビニルエステル;
芳香族基を含むビニルモノマー、たとえばスチレン、側鎖にアルキル置換基を有する置換スチレン、たとえばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上にアルキル置換基を有する置換スチレン、たとえばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、たとえばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン;
複素環式ビニル化合物、たとえば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾールおよび水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよび水素化ビニルオキサゾール;
ビニルおよびイソプレニルエーテル;
マレイン酸誘導体、たとえば無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、マレイミド、メチルマレイミド;
フマル酸およびフマル酸誘導体、たとえば、フマル酸のモノエステルおよびジエステルが挙げられる。
【0067】
分散官能基を有するモノマーもコモノマーとして使用できる。これらのモノマーは、当該技術分野において周知であり、通常、酸素および/または窒素などのヘテロ原子を含む。たとえばすでに記載したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレートおよびアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、複素環式(メタ)アクリレートおよび複素環式ビニル化合物は、分散コモノマーとみなされる。
【0068】
特に好適な混合物は、メチルメタクリレート、ラウリルメタクリレートおよび/またはステアリルメタクリレートを含む。
【0069】
成分を個別に、または混合物として使用できる。
【0070】
本発明の液圧流体は、好ましくはポリアルキルメタクリレートポリマーを含む。アルキルメタクリレートモノマーを含む組成物を重合することによって得ることができるこれらのポリマーは、当該技術分野において周知である。好ましくは、これらのポリアルキルメタクリレートポリマーは、少なくとも40質量%、特に少なくとも50質量%、さらに好ましくは少なくとも60質量%、最も好ましくは少なくとも80質量%のメタクリレート繰り返し単位を含む。好ましくは、これらのポリアルキルメタクリレートポリマーは、C9〜C24メタクリレート繰り返し単位およびC1−C8メタクリレート繰り返し単位を含む。
【0071】
アルキルエステル由来のポリマーの分子量は重要ではない。通常、アルキルエステル由来のポリマーは、300〜1000000g/molの範囲、好ましくは10000〜200000g/molの範囲、さらに好ましくは25000〜100000g/molの範囲の分子量を有するが、これに限定されない。これらの値は、ポリマーの質量平均分子量である。
【0072】
これにより限定されることを意図しないが、アルキル(メタ)アクリレートポリマーは、1〜15、好ましくは1.1〜10、特に好ましくは1.2〜5の範囲の多分散性(質量平均分子量の数平均分子量に対する比Mw/Mnにより得られる)を示す。多分散性は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0073】
前述のモノマー混合物を、任意の公知の方法により重合することができる。従来のラジカル開始剤を用いて、伝統的なラジカル重合をおこなうことができる。これらの開始剤は、当該技術分野において周知である。これらのラジカル開始剤の例は、アゾ開始剤、たとえば2,2’−アゾジイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)および1,1アゾ−ビスシクロヘキサンカルボニトリル;ペルオキシド化合物、たとえばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクメンペルオキシド、1,1ビス(tertブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1ビス(tertブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クメンヒドロペルオキシドおよびtert−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0074】
連鎖移動剤を用いることにより、低分子量ポリ(メタ)アクリレートを得ることができる。この技法は、一般的に知られており、ポリマー産業において実施され、Odian,Principles of Polymerization,1991に記載されている。連鎖移動剤の例は、硫黄含有化合物、たとえばチオール、たとえばn−ドデカンチオールおよびt−ドデカンチオール、2−メルカプトエタノール、ならびにメルカプトカルボン酸エステル、たとえば、メチル−3−メルカプトプロピオネートである。好適な連鎖移動剤は、最高20まで、特に最高15個まで、さらに好ましくは最高12個までの炭素原子を含む。さらに、連鎖移動剤は、少なくとも1個、特に少なくとも2個の酸素原子を含んでもよい。
【0075】
さらに、遷移金属錯体、例えば低スピンコバルト錯体を用いることにより、低分子量ポリ(メタ)アクリレートを得ることができる。これらの技法は、周知であり、例えばソ連特許940,487−AおよびHeuts,et al,Macromolecules 1999、pp2511−2519 and 3907−3912により記載されている。
【0076】
さらに、新規重合技法、たとえばATRP(原子移動ラジカル重合)およびまたはRAFT(可逆的付加開裂連鎖移動)を適用して、アルキルエステル由来の有用なポリマーを得ることができる。これらの方法は周知である。ATRP反応方法は、たとえばJ−S.Wang,et al.,J.Am.Chem.Soc.,Vol.117,pp.5614−5615(1995)、およびMatyjaszewski,Macromolecules,Vol.28,pp.7901−7910(1995)により記載されている。さらに、特許出願WO96/30421、WO97/47661、WO97/18247、WO98/40415およびWO99/10387は、前述のATRPの変形を開示し、この文献は、開示の目的で特に参照される。RAFT法は、WO98/01478において広く提示され、この文献は開示の目的で特に参照される。
【0077】
重合は、常圧、減圧または高圧でおこなうことができる。重合温度も重要ではない。しかし、一般的に、重合温度は、−20〜200℃、好ましくは0〜130℃、特に好ましくは60〜120℃の範囲にあり、これに限定されることを意図しない。
【0078】
重合は、溶媒を用いて、または溶媒を用いないで実施できる。溶媒という用語は、本明細書では広義に理解される。
【0079】
好適な実施形態によると、ポリマーは、APIグループIIまたはIII鉱油中での重合によって得ることができる。これらの溶媒はすでに開示されている。
【0080】
さらに、ポリアルファオレフィン(PAO)中での重合によって得ることができるポリマーが好適である。さらに好ましくは、PAOは、200〜10000、さらに好ましくは500〜5000の範囲の数平均分子量を有する。この溶媒は上記で開示されている。
【0081】
液圧流体は、流体の合計質量に対して、0.5〜50質量%、特に1〜30質量%、好ましくは3〜20質量%のアルキルエステル由来の1以上のポリマーを含み得る。本発明の好適な実施形態によると、液圧流体は、少なくとも5質量%のアルキルエステル由来の1以上のポリマーを含む。
【0082】
本発明の好適な態様によると、流体は、異なるモノマー組成を有する少なくとも2つのポリマーを含み得る。好ましくは、ポリマーの少なくとも1つはポリオレフィンである。好ましくは、ポリオレフィンは、粘度指数向上剤として有用である。
【0083】
これらのポリオレフィンは、特に、ポリオレフィンコポリマー(OCP)および水素化スチレン/ジエンコポリマー(HSD)を包含する。本発明にしたがって使用されるポリオレフィンコポリマー(OCP)はそれ自体公知である。これらは主に、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブチレンおよび/または5〜20個の炭素原子を有するさらなるオレフィンから合成されるポリマーである。少量の酸素含有モノマーまたは窒素含有モノマー(たとえば0.05〜5質量%の無水マレイン酸)とグラフトされた系も使用できる。ジエン成分を含むコポリマーを一般的に水素化して、粘度指数向上剤の酸化感受性および架橋傾向を低下させる。
【0084】
分子量Mwは、一般的に10000〜300000であり、好ましくは50000〜150000である。このようなオレフィンコポリマーは、たとえばドイツ国公開出願DE−A1644941、DE−A1769834、DE−A1939037、DE−A1963039、およびDE−A2059981に記載されている。
【0085】
エチレン/プロピレンコポリマーが特に有用であり、公知の三元成分、たとえばエチリデン−ノルボルネンを有するターポリマー(Macromolecular Reviews,Vol.10(1975)参照)も可能であるが、老化方法においてはそれらの架橋傾向も考慮しなければならない。分布は実質的にランダムであり得るが、エチレンブロックを含む定序配列ポリマーも有利に使用できる。モノマーエチレン/プロピレンの比は、ある範囲内で変化し、上限として、エチレンについては約75%、プロピレンについては約80%に設定することができる。油中に溶解する傾向が低下しているために、ポリプロピレンは、エチレン/プロピレンコポリマーほど適さない。主にアタクチックプロピレンが組み入れられたポリマーに加えて、より顕著なイソタクチックまたはシンジオタクチックプロピレンが組み入れられたものも使用できる。
【0086】
このような製品は、たとえば商標名Dutral(登録商標)CO 034、Dutral(登録商標)CO 038、Dutral(登録商標)CO 043、Dutral(登録商標)CO 058、Buna(登録商標)EPG 2050またはBuna(登録商標)EPG 5050で市販されている。
【0087】
水素化スチレン/ジエンコポリマー(HSD)も同様に公知であり、これらのポリマーは、たとえばDE2156122に記載されている。これらは、一般的に水素化イソプレン/スチレンまたはブタジエン/スチレンコポリマーである。ジエンのスチレンに対する比は、好ましくは2:1から1:2の範囲、特に好ましくは約55:45である。分子量Mwは、一般的に10000〜300000まで、好ましくは50000〜150000である。本発明の特定の態様によると、水素化後の二重結合の割合は、水素化前の二重結合の数に対して、15%以下、特に好ましくは5%以下である。
【0088】
水素化スチレン/ジエンコポリマーは、SHELLVIS(登録商標)50、150、200、250または260の商標名で商業的に得ることができる。
【0089】
好ましくは、混合物のポリマーの少なくとも1つは、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、フマレートモノマーおよび/またはマレエートモノマーから選択されるモノマーから誘導される単位を含む。これらのポリマーは既に記載されている。
【0090】
ポリオレフィンとポリマーの質量比は、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、フマレートモノマーおよび/またはマレエートモノマーから選択されるモノマー由来の単位を含み、1:10〜10:1、特に1:5〜5:1の範囲である。
【0091】
液圧流体は、通常の添加剤を含んでもよい。これらの添加剤としては、たとえば酸化防止剤、摩耗防止剤、腐食防止剤および/または消泡剤が挙げられ、市販添加剤パッケージとして購入されることが多い。
【0092】
好ましくは、液圧流体は、ASTM D 445にしたがって40℃で、10〜150mm2/s、さらに好ましくは22〜100mm2/sの範囲の粘度を有する。
【0093】
好ましくは、液圧システムは次の成分を含む:
1.燃焼機関または電気モーターなどの、機械的エネルギーを発生させるユニット。
2.ポンプなどの、流体の流れまたは力を発生させ、機械的エネルギーを流体動力に変えるユニット。
3.圧力下で流体を伝達するパイプ。
4.流体の流体動力を機械的仕事または運動に変換するユニット、たとえばアクチュエーターまたは流体モーター。モーターには、円筒状および回転式の二種類がある。
5.流れ、圧力、動きの方向、および加わる力を調節する弁を有する制御回路。
6.フィルターを通して清浄な流体をシステムに戻す前に、水、泡状物、同伴空気、またはデブリスの分離を可能にする流体容器。
7.適用条件(温度、圧力、放射線)下で分解せずに操作できる低圧縮率の液体。
【0094】
ほとんどの複合システムは、弁およびレギュレーターで電気的に制御された多数のポンプ、ロータリーモーター、シリンダーを利用する。
【0095】
本発明の好適な実施形態によると、ベーンポンプまたはピストンポンプを用いて、流体動力を生じさせることができる。
【0096】
システムを、高圧で操作することができる。本発明の改善は、50〜700バール、好ましくは100〜400バール、さらに好ましくは150〜350バールの範囲の圧力で達成することができる。
【0097】
機械的エネルギーを生成させるユニット、たとえばモーターを、500〜5000rpm、好ましくは1000〜3000rpm、さらに好ましくは1400〜2000rpmの速度で操作することができる。
【0098】
液圧流体を、広い温度範囲で使用できる。好ましくは、流体を−30℃〜200℃、さらに好ましくは10℃〜150℃の範囲の温度で使用できる。通常、操作温度は、液圧流体を製造するために使用されるベース流体に依存する。
【0099】
好ましくは、流体を、軍事用液圧システム、液圧式発射補助システム(液圧式ハイブリッド車推進用)、工業用、海洋用、鉱業用および/または移動式機器液圧システムにおいて用いる。
【0100】
さらに、本発明は、少なくとも130のVIを有する液圧流体、機械的動力を生成させるためのユニット、機械力を流体動力に変換するユニット、および流体動力を機械的仕事または運動に変換するユニットを含む液圧システムを提供する。
【0101】
優先的に、エンジン速度を一定レベルに維持して、より多量の流体動力を送達することができる。好ましくは、エンジンまたは電気モーターの機械出力を、全出力容量で操作して、120未満の粘度指数を有する標準的HMグレード流体を用いる液圧システムよりも多量の流体動力を送達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、より低い圧力での出力の比較(第6表からのデータ)を示す。
【図2】図2は、より低い圧力での出力の比較(第7表からのデータ)を示す。
【0103】
本発明を、実施例および比較例により以下でさらに詳細に説明するが、これらの実施例に本発明を限定することを意図しない。
【0104】
実施例1および2ならびに比較例1
Denison T6C移動式ベーンポンプを以下の管理条件下で操作する:
速度=1500rpm、圧力=200バール、流体温度=80℃。
1種のISO VG46HMオイルを基準流体として実験し、6.97kWの流体動力を得る。比較のために、数種のISO VG46HVオイルを同じ条件下で実験し、第1表に示すように、6〜11%高いレベルの液圧出力を得る。
【0105】
第1表 − Denison T6C移動式ベーンポンプ出力
比較例1 実施例1
【表3】

【0106】
運転条件:1500rpm、200バール、80℃
実施例3〜5および比較例2
Eaton−Vickers V20ベーンポンプを以下の管理条件下で作動させる:速度=1200rpm、圧力=138バール、流体温度=80℃。
1種のISO VG46HMオイルを基準流体として流して、8.69kWの流体動力を得る。比較のために、数種のISO VG46HVオイルを同じ条件下で実験し、第2表に示すように、3〜6%高いレベルの液圧出力を得る。
【0107】
第2表:Eaton−Vickers V20ベーンポンプ出力
【表4】

【0108】
運転条件:1200rpm、138バール、80℃
実施例6〜8および比較例3
Eaton−Vickers V104Cベーンポンプを以下の管理条件下で作動させる:
速度=1200rpm、圧力=138バール、流体温度=80℃。
1種のISO VG46HMオイルを基準流体として実験し、8.35kWの流体動力を得る。比較のために、数種のISO VG46HVオイルを同じ条件下で実験し、第3表に示すように、5〜7%高いレベルの液圧出力を得る。
【0109】
第3表:Eaton−Vickers V104Cベーンポンプ出力
【表5】

【0110】
運転条件:1200rpm、138バール、80℃
実施例9〜11および比較例4
Komatsu35+35複式ピストンポンプを以下の管理条件下で作動させる:
速度=2100rpm、圧力=350バール、流体温度=100℃。
1種のISO VG46HMオイルを基準流体として実験し、5.83kWの流体動力を得た。比較のために、数種のISO VG46HVオイルを同じ条件下で実験し、第4表に示すように、4〜6%高いレベルの液圧出力を得る。
【0111】
第4表:Komatsu35+35複式ピストンポンプ出力
【表6】

【0112】
運転条件:2100rpm、350バール、100℃
実施例12〜14および比較例5
Eaton L2ギアポンプを以下の管理条件下で作動させる:
速度=2750rpm、圧力=207バール、流体温度=80℃。
1種のISO VG46HMオイルを基準流体として実験し、21.5kWの流体動力を得る。比較のために、数種のISO VG46HVオイルを同じ条件下で実験し、第5表に示すように、6〜8.8%高いレベルの液圧出力を得る。
【0113】
第5表 Eaton L2ギアポンプ出力
【表7】

【0114】
運転条件:2750rpm、207バール、80℃
実施例で集めたデータは、グループII PAMAを配合した「HV」マルチグレートオイルが、液圧ポンプから得られる液圧出力を増加させたことを示す。増加した作業出力により、掘削機がより短時間で仕事サイクルを完了することが可能になり、かくして同じ時間でより高レベルの作業出力を完了する。
【0115】
実施例15〜18および比較例6
本発明のさらなる利点は、より低い圧力で作動し、等しい量の液圧出力を送達する液圧システムを設計できることである。第6表は、約5000psi(345バール)でのDenison P09ピストンポンプにおける相対入力および液圧出力を比較するデータを含む。
【0116】
第6表:低圧でのピストンポンプ出力の比較
【表8】

【0117】
データをさらに、図1にグラフで表し、等しいレベルの液圧出力を送達するシステムを5%低い圧力で作動するように設計できることを示す。
【0118】
実施例19〜22および比較例7
さらなる実験は、約3000psi(207バール)でのDenison T6Cベーンポンプにおける相対入力および液圧出力は、本発明により改善されることを示す。得られる結果を第7表に示す。さらに、データを図2にグラフで表し、等しいレベルの液圧出力を送達するシステムを6%低い圧力で作動するように設計できることを示す。
【0119】
第7表:低圧でのベーンポンプ出力の比較
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧システムの出力を改善するための、少なくとも130のVIを有する流体の使用。
【請求項2】
出力が少なくとも3%増加する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
出力が少なくとも5%増加する、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
体積出力が増加する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
体積出力が少なくとも3%増加する、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
体積出力が少なくとも5%増加する、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
出力の不変性が増加する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
出力の不変性が最大負荷で増加する、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
少なくとも10分の作動時間後の出力の低下が、機械的エネルギーを提供するユニットの最大負荷の90%以上の負荷で測定すると、最大3%である、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
機械的エネルギーを提供するユニットのエンジン速度が一定速度に維持され、システムが増加したレベルの流体動力を送達する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
機械的エネルギーを提供するユニットのエンジン速度が1000〜3000rpmの範囲である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
機械的エネルギーを提供するユニットのエンジン速度が1400〜2000rpmの範囲である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
流体動力を提供するユニットにより提供される圧力が、50〜700バールの範囲である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
流体動力を提供するユニットにより提供される圧力が、150〜350バールの範囲である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
液圧システムが、より低い圧力で動作して、出力が、100のVIを有する液圧流体を用いる参考システムにより送達されるものと等しくなるように設計されている、請求項1から14までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
液圧システムが、100のVIを有する液圧流体を用いる参考システムにより送達されるものと比較して、出力/入力比が少なくとも3%改善されるような液圧出力の入力に対する比における改善を示す、請求項1から15までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
流体が少なくとも150のVIを有する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
流体が少なくとも180のVIを有する、請求項17記載の使用。
【請求項19】
流体が、NFPAダブル粘度グレード、トリプル粘度グレード、クアドラ粘度グレード、またはペンタ粘度グレード液圧流体である、請求項1から18までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
ベース流体とポリマー粘度指数向上剤とを混合することによって流体を得ることができる、請求項1から19までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
流体が、少なくとも1つのベース流体を少なくとも60質量%含む、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
流体が、120以下の粘度指数を有する少なくとも1つのベース流体を少なくとも60質量%含む、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
流体が、鉱油および/または合成油を含む、請求項1から22までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
流体が、APIグループI、APIグループII、APIグループIIIオイル、APIグループIVもしくはAPIグループVオイル、またはFischer−Tropsch(GTL)系オイルを含む、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
流体が、ポリアルファオレフィン(PAO)、カルボン酸エステル、植物性エステル、ホスフェートエステルおよび/またはポリアルキレングリコール(PAG)を含む、請求項1から24までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
流体が、少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1から25までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
ポリマーが、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、フマレートモノマーおよび/またはマレエートモノマーから選択されるモノマー由来の単位を含む、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
流体が、ポリアルキルメタクリレートポリマーを含む、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
流体が、
a)エチレン性不飽和モノマーの合計質量に対して0〜100質量%の1以上の式(I)
【化1】

[式中、Rは、水素またはメチルであり、R1は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル残基を意味し、R2およびR3は独立して、水素または式−COOR’の基を表し、ここで、R’は、水素もしくは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]のエチレン性不飽和エステル化合物、
b)エチレン性不飽和モノマーの合計質量に対して0〜100質量%の1以上の式(II)
【化2】

[式中、Rは、水素またはメチルであり、R4は、7〜40個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐アルキル残基を意味し、R5およびR6は独立して、水素または式−COOR"の基であり、ここで、R"は、水素もしくは7〜40個の炭素原子を有するアルキル基を意味する]のエチレン性不飽和エステル化合物、
c)エチレン性不飽和モノマーの合計質量に対して0〜50質量%のコモノマー
からなるオレフィン性不飽和モノマーの混合物を重合することによって得ることができるポリマーを含む、請求項26から28までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
ポリマーを、APIグループIIまたはグループIII鉱油中での重合によって得ることができる、請求項26から29までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
ポリアルファオレフィン(PAO)中での重合によりポリマーを得ることができる、請求項26から29までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
分散モノマーを含む混合物を重合することによってポリマーを得ることができる、請求項26から31までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
芳香族基を含むビニルモノマーを含む混合物を重合することによってポリマーを得ることができる、請求項26から32までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
ポリマーが、10000〜200000g/mol、特に25000g/mol〜100000g/molの範囲の分子量を有する、請求項26から33までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
流体が、0.5〜40質量%のポリマーを含む、請求項26から34までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
流体が、3〜20質量%のポリマーを含む、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
流体が、異なるモノマー組成を有する少なくとも2つのポリマーを含む、請求項26から36までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
ポリマーの少なくとも1つがポリオレフィンである、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
ポリマーの少なくとも1つがアルキルエステルモノマー由来の単位を含む、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
ポリオレフィンとアルキルエステル由来のモノマー単位を含むポリマーとの質量比が1:10〜10:1の範囲である、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
流体が、カルボン酸エステル、ポリエーテルポリオールおよび/または有機リン化合物の群から選択される酸素含有化合物を含む、請求項1から40までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項42】
酸素含有化合物が、少なくとも2個のエステル基を含むカルボン酸エステルである、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
酸素含有化合物が、4〜12個の炭素原子を含むカルボン酸のジエステルである、請求項41または42に記載の使用。
【請求項44】
酸素含有化合物が、ポリオールのエステルである、請求項41に記載の使用。
【請求項45】
流体が、15〜150の範囲のISO粘度グレードを有する、請求項1から44までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項46】
流体を、−40℃〜120℃の範囲の温度で使用する、請求項1から45までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項47】
流体が、酸化防止剤、摩耗防止剤、腐食防止剤および/または消泡剤を含む、請求項1から46までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項48】
流体が、軍事用液圧システム、液圧式発射補助システム(液圧式ハイブリッド車推進用)、工業用、海洋用、鉱業用および/または移動式機器液圧システムにおいて用いられる、請求項1から47までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項49】
流体を、機械的エネルギーを提供する少なくとも1つのユニット、機械的エネルギーを流体動力に変換する少なくとも1つのユニット、圧力下で流体を伝達するための少なくとも1つのパイプ、および流体の流体動力を機械的仕事に変換する少なくとも1つのユニットを含む液圧システムにおいて使用する、請求項1から48までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項50】
機械的エネルギーを提供するユニットが燃焼機関を含む、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
機械的エネルギーを流体動力に変換するユニットがベーンポンプである、請求項49または50に記載の使用。
【請求項52】
機械的エネルギーを流体動力に変換するユニットがピストンポンプである、請求項49または50に記載の使用。
【請求項53】
機械的エネルギーを流体動力に変換するユニットがギアポンプである、請求項49または50に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−529240(P2010−529240A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510706(P2010−510706)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053161
【国際公開番号】WO2008/148586
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(399020957)エボニック ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】Evonik RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】