説明

液圧発生装置

【課題】フィルタを取り替えることなく、そのフィルタに付着した異物を適宜除去して透過能力を維持させることができる液圧発生装置を得る。
【解決手段】フィルタ5に通した作動液体を昇圧するギヤポンプ2と、前記ギヤポンプ2により昇圧された作動液体を更に高圧に昇圧するための高圧ポンプ3を有し、前記ギヤポンプ2の吐出量が前記高圧ポンプ3の吐出量より多くなるようにするとともに、前記ギヤポンプ2と高圧ポンプ3との間にリリーフ弁8を接続した液圧発生装置において、前記リリーフ弁8の吹き出し側が前記フィルタ5と前記ギヤポンプの間に連通されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力用遮断器等に使用される液圧発生装置に関し、特にフィルタの異物を除去可能な液圧発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を用いる液圧発生装置は、様々な分野で利用されており、液圧を利用した機器において重要な装置の一つである。よって液圧発生装置が故障すると機器の動作ができなくなるため、外部から別の液圧発生装置を取り付けられるようになっているものも少なくない。
【0003】
しかしながら、利用分野によって、液圧発生装置の利用方法やメンテナンス方法等が大きく異なり、故障時に容易に交換や、外部から液圧発生装置を取り付けられないものもある。
【0004】
例えば、電力用ガス絶縁遮断器においては、駆動源に液圧操作装置を使用しているものがある。一般に、電力機器はその公共利用性から、容易に停止することができず、基本的には、6年や、12年毎の定期点検時にしか、メンテナンスを行う機会がない。よって、液圧発生装置の性能向上による使用期間の延長や、故障時に、機器を停止することなく、外部の液圧発生装置を取付けられるものが望まれる。
【0005】
図5は、従来の外部液圧発生装置を接続可能とした液圧発生装置の構成例を示す図であって、図5に示すように、液圧発生装置1は、ギヤポンプ2及び高圧ポンプ3により2段階に液体を加圧し、ギヤポンプ2の吐出を多くすることで高圧ポンプ3の吸込みを補助するするように構成されている。すなわち、ギヤポンプ2を回転させると、低圧液槽4からフィルタ5を介して作動液体を吸込み昇圧して吐出する。ギヤポンプ2により昇圧された作動液体は、高圧ポンプ3により更に高圧に昇圧されアクチュエータ6側に吐出されアキュムレータ7により蓄圧される。
【0006】
ここで、ギヤポンプ2の吐出量は高圧ポンプ3の吐出量より多いため、ギヤポンプ2の回転時の吐出側にはリリーフ弁8が接続されている。そして、リリーフ弁8の吐出側は低圧液槽4に連通している。一方、アクチュエータ6側の高圧部から低圧液槽4に連通する流路9には戻り弁10が設けられており、アクチュエータ6側の低圧部は低圧液槽4に連通している。また、高圧ポンプ3とアクチュエータ6間には、液圧継手の第1の接続部材11が外部液圧発生装置12における第2の接続部材13と接続・固定可能に設けられている。
【0007】
外部液圧発生装置12は、液圧発生装置1が故障等により使用できなくなった場合に非常用として使用するものである。外部液圧発生装置12は、高圧ポンプ14を動作させると、低圧液槽4からフィルタ15を介して作動液体を吸込み昇圧して、高圧ポンプ14の吐出側に設けられている第2の接続部材13側に吐出する。高圧ポンプ14と第2の接続部材13の間は二方向へ分岐し、一方にはリリーフ弁16が設けられ、もう一方には戻り弁17が設けられており、それぞれ低圧液槽4へ連通している。
【0008】
図6は、上記液圧継手の一例を示す図であり、第1の接続部材11のケース20内にはバルブ21が軸線方向に移動可能に設けられている。そのバルブ21はばね22によりシート部23に対して圧接方向に付勢されており、常時においては上記バルブ21は閉状態にあり、液体が上記第1の接続部材11のケース20から流出しないように構成されている。一方、第2の接続部材13には第1の接続部材11のケース20を接続可能なケース25を有しており、そのケース25には上記第1の接続部材11のケース20の先端部を挿入固定するための凹部26が設けられ、その凹部26の内周部にパッキン27が設けられている。
【0009】
しかして、第1の接続部材11におけるケース20の先端部を第2の接続部材13のケース25内に挿入固定することにより、図6の(c)に示すように、両接続部材が液密状態に接続される。この時点ではバルブ21は閉状態に保持されているので、アクチュエータ6側の圧力が高圧・低圧に係わらず液圧継手の接続を行うことができる。そこで、外部液圧発生装置12の高圧ポンプ14を作動させると、高圧ポンプ14とバルブ21間が高圧となり、上記バルブ21が開いてアクチュエータ6側へ作動液体が吐出される。また、外部液圧発生装置12の戻り弁17を開けると、バルブ21は閉じ、アクチュエータ6側の圧力は維持したまま、高圧ポンプ14とバルブ21間の圧力は降下する。したがって、この状態で第1の接続部材11と第2の接続部材13は離脱可能である。
【0010】
また、図7は他の流体継手を示す図であり、第1の接続部材11aのケース20a内にはバルブ21aが軸線方向に移動可能に設けられている。そのバルブ21aはばね22aによりシート部23aに対して圧接方向に付勢されており、常時においては上記バルブ21aは閉状態にあり、液体が上記第1の接続部材11aのケース20aから流出しないように構成されている。
【0011】
一方、第2の接続部材13aには第1の接続部材11aのケース20aを接続可能なケース25aを有しており、そのケース25aには上記第1の接続部材11aのケース20aの先端部を挿入固定するための凹部26aが設けられ、その凹部26aの内周部にパッキン27aが設けられている。さらに、上記ケース25a内にもばね28aによりシート部29aに対して圧接方向に付勢されているバルブ30aが軸線方向に移動可能に設けられている。
【0012】
しかして、第1の接続部材11aと第2の接続部材13aとを接続する場合、第1の接続部材11aの先端部を第2の接続部材13aの凹部26a内に挿入すると、図7の(b)に示すように、バルブ21aと30aの弁杆部が対抗して当接する。そこでさらに第1の接続部材11aの先端部を第2の接続部材13aの凹部内に挿入し接続固定状態とすると、(c)に示すように、バルブ21aと30aがそれぞればね22a、28aに抗して移動し、ケース20a、25aに設けられたストッパ24a、31aにそれぞれ当接し、ともに開いた状態となり、外部液圧発生装置12が液圧発生装置1に接続された状態となる。
【0013】
そこで、ギヤポンプ2の回転時には、ギヤポンプ2と高圧ポンプ3の吐出量の差からギヤポンプ2と高圧ポンプ3間の圧力が上昇し、ある一定の圧力に達するとリリーフ弁8が動作し、低圧液槽4へ作動液体を吹き出す。また、液圧発生装置の故障時等においては第1及び第2の接続部材を接続することにより外部液圧発生装置を上記液圧発生装置1に接続し外部液圧発生装置により加圧された液体を使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、上述の如き従来の液圧発生装置においては、フィルタ5は、ある一定以上の異物が付着すれば透過能力が低下するため、新品に交換する必要がある等の問題がある。
また、図6に示した液圧継手を使用し、その液圧継手を接続・固定した状態の場合には、外部液圧発生装置12の高圧ポンプ14を動作させると、高圧ポンプ14とバルブ21間が高圧になり、バルブ21が開いてアクチュエータ6側へ作動液体を吐出する。
また、戻り弁17を開くとバルブ21がシート部23に当接するため、アクチュエータ6側の圧力は維持したまま、第1の接続部材11と高圧ポンプ14間の圧力は降下する。
したがって、戻り弁17を開いた状態で、第2の接続部材13を第1の接続部材11から離脱することは可能であるが、この場合には第2の接続部材13から作動液体が流出する等の問題がある。
【0015】
また、図7に示した液圧継手を使用し、液圧発生装置1に外部液圧発生装置12を連結した場合には、外部液圧発生装置12の高圧ポンプ14を動作させると、バルブ21aとバルブ29aが共に開いているため、アクチュエータ6側へ作動液体を吐出する。
また、外部液圧発生装置12の戻り弁17を開くと、バルブ21aとバルブ29aが開いているためアクチュエータ6側の圧力も降下する。
したがって、戻り弁17を開いた状態で第1の接続部材11aから第2の接続部材13aを離脱することは可能である。
すなわち、第1の接続部材11aから第2の接続部材13aを離脱しようとすると、図7(b)のように両バルブ21a、29aが閉じるため作動液体の流出はない。
しかし、アクチュエータ6側が高圧の場合には、第1の接続部材11aのバルブ21aは過大な力で閉じており、第2の接続部材13aのバルブ29aで押し開けることができないため、液圧継手の接続ができず、液圧発生装置1が低圧でなければ接続・固定ができない。
また、外部液圧発生装置12の戻り弁17を開くと、液圧発生装置1側の圧力も降下してしまう等の問題がある。
【0016】
本発明はこのような点に鑑み、フィルタを取り替えることなく、そのフィルタに付着した異物を適宜除去して透過能力を維持させることができ、フィルタの使用期間を延長させることができるようにした液圧発生装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に係る発明は、第1のフィルタを通し作動液体を昇圧するギヤポンプと、前記ギヤポンプにより昇圧された作動液体を更に高圧に昇圧するための高圧ポンプを有し、前記ギヤポンプの吐出量が前記高圧ポンプの吐出量より多くなるようにするとともに、前記ギヤポンプと高圧ポンプとの間にリリーフ弁を接続した液圧発生装置において、前記リリーフ弁の吹き出し側が前記フィルタと前記ギヤポンプの間に連通されていることを特徴とする。
【0018】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る液圧発生装置において、高圧ポンプの吐出側に、液圧継手を介して外部液圧発生装置が接続可能としてあることを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る液圧発生装置において、液圧発生装置の高圧ポンプの吐出側に第1の接続部材が接続され、低圧側よりフィルタを通し作動液体を昇圧する外部の液圧発生装置のポンプの吐出側には第2の接続部材が設けられ、前記第1の接続部材及び第2の接続部材は、それぞれケース内に設げられたシート部に対してばねにより圧接方向に付勢されているバルブを有し、上記第1及び第2の接続部材のケースを互いに液密的に接続可能とした液圧継手であり、
上記両接続部材の連結時においては両接続部材におけるバルブの弁粁が当接するとともに、第1の接続部材におけるバルブが閉じたままで、第2の接続部材におけるバルブがシート部から離れるように、第1の接続部材のばねが第2の接続部材のばねより強くされている液圧継手を用いたことを特徴とする。
【0020】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る液圧発生装置において、液圧発生装置の高圧ポンプの吐出側に第1の接続部材が接続され、低圧側よりフィルタを通し作動液体を昇圧する外部の液圧発生装置のポンプの吐出側には第2の接続部材が設けられ、前記第1の接続部材及び第2の接続部材は、それぞれケース内に設けられたシート部に対してばねにより圧接方向に付勢されているバルブを有し、上記第1及び第2の接続部材のケースを互いに液密的に接続可能とした液圧継手であり、
上記両接続部材の連結時においては両接続部材におけるバルブの弁秤が当接するとともに、第1の接続部材におけるバルブが閉じたままで、第2の接続部材におけるバルブがシート部から離れるように、第1の接続部材のばねが第2の接続部材のばねより強くされており、かつ第1の接続部材にはバルブの開度規制部が設けられており、第1の接続部材のバルブが開方向に移動し上記開度規制部に当接したときには第2の接続部材のバルブも開状態に保持されている液圧継手を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成したので、付着した異物の除去、或いは低減を行うことができ、フィルタの交換を低減することができる。
また、外部液圧発生装置との液圧継手を上記のように構成することにより、第1の接続部材側が高圧・低圧に係わらず、第1の接続部材と第2の接続部材の接続・離脱をすることが可能で、且つ、離脱時には作動液体が外部に流出することがなく、安全に液圧継手を離脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図1〜図4を参照して、本発明に関する2つの参考例および1つの実施形態について説明する。なお、図中図5と同一部分については同一符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0023】
第1参考例
図1は、本発明の液圧発生装置に関する第1参考例を示す図であり、液圧発生装置1は、ギヤポンプ2及び高圧ポンプ3により2段階に液体を加圧し、ギヤポンプ2の吐出を多くすることで高圧ポンプ3の吸込みを補助するするように構成されている。上記高圧ポンプ3にはその高圧ポンプ3により加圧された作動液体によって作動されるアクチュエータ6が連結されており、また、上記高圧ポンプ3の吐出側にはアキュムレータ7が接続されている。上記ギヤポンプ2の吸い込み側には第1のフィルタ5が設けられ、さらに上記ギヤポンプ2と高圧ポンプ3との間にはリリーフ弁8が接続されている。一方、アクチュエータ6側の高圧部から低圧液槽4に連通する流路9には戻り弁10が設けられており、アクチュエータ6側の低圧部は導管6aにより低圧液槽4に連通されている。
【0024】
上記構成は従来のものと同一であるが、本発明に於いては、ギヤポンプ2が正・逆回転可能としてあり、その正・逆回転で吐出口が反転するように構成されている。また、前記リリーフ弁8より低圧液層4側に第2のフィルタ35が設けられているとともに、上記リリーフ弁8と並列に前記第2のフィルタ35からギヤポンプ2に向かう流れのみを通過させる逆止弁36が設けられている。そして、第1のフィルタ5とギヤポンプ2との間には第1の圧力センサ37が設けられ、第2のフィルタ35と逆止弁36間には第2の圧力センサ38が設けられている。
【0025】
また、高圧ポンプ3とアクチュエータ6間には、液圧継手の第1の接続部材41が外部液圧発生装置12における第2の接続部材51と接続・固定可能に設けられている。
【0026】
図2は、上記第1の接続部材41及び第2の接続部材51からなる液圧継手を示す図であって、第1の接続部材41のケース42内にはバルブ43が軸線方向に移動可能に設けられている。そのバルブ43はばね44によりシート部45に対して圧接方向にケース42の開口側に向かって付勢されており、常時においては上記バルブ43は閉状態にあり、液体が上記第1の接続部材41のケース42から流出しないように構成されている。また、ケース42内にはバルブ43の開度規制部46が設けられており、バルブ43が上記開度規制部46に当接することにより所定の弁開度が維持されるようにしてある。
【0027】
一方、第2の接続部材51は第1の接続部材41のケース42を接続可能なケース52を有しており、そのケース52内にもバルブ53が軸線方向に移動可能に設けられている。そのバルブ53はばね54によりシート部55に対して圧接方向にケース52の開口側に向かって付勢されており、常時においては上記バルブ53は閉状態にあり、液体が上記第1の接続部材51のケース52から流出しないように構成されている。さらに、上記第2の接続部材52には、上記第1の接続部材41のケース42の先端細径部42aを挿入固定するための凹部52aが設けられ、その凹部52aの内周部にパッキン56が設けられている。
【0028】
ここで、第1の接続部材41と第2の接続部材51を接続する場合は、まず、第1の接続部材41におけるケース42の先端細径部42aを第2の接続部材51のケース52の凹部52a内に挿入し、パッキン56を介して第1の接続部材41と第2の接続部材51とを液密的に固定する。この場合、図2(b)に示すように、両ケース42、52が完全に挿入固定されるまでは、両バルブ43、53に互いに対向するように突設されている弁杆43a、53aは当接することがなく、両バルブ43、53は閉状態にある。そこで、図2(c)に示すように、両ケース42、52が完全に挿入固定されると、バルブ43の弁杆43aとバルブ53の弁杆53aが当接する。しかし、第1の接続部材41のばね44が第2の接続部材51のばね54より強くされているので、その力の差により第2の接続部材51のバルブ53のみが開いた状態となる。よって、アクチュエータ6側の圧力が高圧・低圧に係わらず、液圧継手の接続ができるとともに、離脱時に作動液体が流出することはない。
【0029】
また、第1の接続部材41と第2の接続部材51を離脱する時には、ケース42とケース52がパッキン56によりシールされた状態でバルブ53がシート部55に当接する構造となっている。
【0030】
しかして、このように構成された液圧発生装置においては、ギヤポンプ2が正回転時には、ギヤポンプ2と高圧ポンプ3の両者によって加圧された作動液体がアクチュエータ6またはアキュムレータ7に供給される。それとともに、両ポンプの吐出量の差からギヤポンプ2と高圧ポンプ3間の圧力が上昇し、ある一定の圧力に達するとリリーフ弁8が動作し、第2のフィルタ35を介して低圧液槽4へ高圧ポンプ3とギヤポンプ2の吐出量差に相当する流量分の作動液体が吹き出される。
【0031】
また、ギヤポンプ2が逆回転する時には、ギヤポンプ2と逆止弁36間が負圧になるため逆止弁36が開き、第2のフィルタ35を介して作動液体を吸込み、高圧ポンプ3がアクチュエータ6側へ作動液体を吐出する。また、ギヤポンプ2から吐出された作動液体は、第1のフィルタ5を介して低圧液槽4へ流入する。また、第1のフィルタ5または第2のフィルタ35に異物が付着するとフィルタの液体透過能力が低下するためフィルタの吐出側は負圧になる。この圧力差を第1の圧力センサ37または第2の圧力センサ38が感知し、信号として外部に取り出す。また、戻り弁10を開くと、第1のフィルタ5を介して低圧液槽4へ作動液体が戻され、アクチュエータ6側の圧力が降圧する。
【0032】
また、第1の接続部材42と第2の接続部材52を接続・固定した場合、外部液圧発生装置12の高圧ポンプ14を動作させると、高圧ポンプ14と第1の接続部材のバルブ43間が高圧になり、バルブ43が開いてアクチュエータ6側へ作動液体を吐出する。また、アクチュエータ6側の圧力が或る値に達するとリリーフ弁16が動作し、低圧液槽4に作動液体を吹き出す。また、戻り弁17を開けると、第1の接続部材41のバルブ43はシート部45に当接しているため、アクチュエータ6側の圧力は維持されたまま、第1の接続部材41と高圧ポンプ14間の圧力は降圧する。したがって、戻り弁17を開いた状態で、第1の接続部材41と第2の接続部材51は離脱可能であり、離脱時には、第1の接続部材41と第2の接続部材51からの作動液体の流出はない。
【0033】
このように、本参考例によれば、ギヤポンプ2の回転方向を変えることで第1のフィルタ5または第2のフィルタ35に付着した異物をギヤポンプ2の吐出またはリリーフ弁8の吹き出しにより除去することができる。
【0034】
また、戻り弁10を開くことにより第1のフィルタ5に付着した異物を除去することもできる。
【0035】
また、第1の接続部材41側が高圧・低圧に係わらず第2の接続部材51を接続・固定することが可能で、かつ、高圧ポンプ14によりアクチュエータ6側の昇圧ができる。また、戻り弁17を開くとアクチュエータ6側の圧力は維持したまま第1の接続部材41と高圧ポンプ14間の圧力を降下でき、安全に、かつ作動液体の流出なしに第1の接続部材41と第2の接続部材51を離脱できる。
【0036】
また、第1の圧力センサ37または第2の圧力センサ38の信号を利用してギヤポンプ2の回転方向を適正に制御できるため、吐出不能を回避できるとともに第1のフィルタ5または第2のフィルタ35の異物を除去することができる。
【0037】
第2参考例
図3は、本発明に関する第2参考例を示す図であり、ギヤポンプ2と第1のフィルタ5間に、第1のフィルタ5側からの流れのみを通過させる第2の逆止弁61とギヤポンプ2側から第1のフィルタ5側へ吹き出すリリーフ弁62の並列回路が設けられている。また、高圧ポンプ3の吸い込み側には高圧ポンプ3方向への流れのみを通過させる第3の逆止弁63が設けられ、ギヤポンプ2と第2の逆止弁61との間を第3の逆止弁63と高圧ポンプ3との間に接続する配管64には、高圧ポンプ3側への流れのみを通過させる第4の逆止弁65が設けられている。
【0038】
しかして、ギヤポンプ2が正回転時には、ギヤポンプ2と高圧ポンプ3の吐出量の差からギヤポンプ2と高圧ポンプ3間の圧力が上昇し、ある一定の圧力に達するとリリーフ弁8が動作し、第2のフィルタ35を介して低圧液槽4へ高圧ポンプ3とギヤポンプ2の吐出量差に相当する流量分の作動液体が排出される。
【0039】
また、ギヤポンプ2が逆回転時にはギヤポンプ2と逆止弁36間が負圧になるため逆止弁36が開き、第2のフィルタ35を介して作動液体を吸込む。第3の逆止弁63はギヤポンプ2と高圧ポンプ3の吐出量の差から閉じており、ギヤポンプ2から吐出した作動液体は第4の逆止弁65を介して高圧ポンプ3へ流れアクチュエータ6側へ吐出する。ここで、ギヤポンプ2と高圧ポンプ3の吐出量の差からギヤポンプ2と第4の逆止弁65を介する高圧ポンプ3間の圧力が上昇し、ある一定の圧力に達するとリリーフ弁62が動作し、第1のフィルタ5を介して低圧液槽4へ高圧ポンプ3とギヤポンプ2の吐出量差に相当する流量分の作動液体を吹き出す。
【0040】
このように、本参考例によれば、ギヤポンプ2の回転方向を変えることで第1のフィルタ5または第2のフィルタ35に付着した異物をリリーフ弁62またはリリーフ弁8の吹き出しにより除去することができる。
【0041】
また、正・逆回転ともギヤポンプ2を介した高圧ポンプ3への流れとなるため、正・逆回転ともギヤポンプ2の補助機能を維持することができる。
【0042】
本発明の一実施形態
図4は、本発明に係わる液圧発生装置の一実施形態を示す図であって、本実施形態においては、図5に示す液圧発生装置におけるリリーフ弁8の吐出側が第1のフィルタ5とギヤポンプ2との間に接続されている。
【0043】
しかして、ギヤポンプ2を回転させると、低圧液槽4からフィルタ5を介して作動液体を吸込み昇圧して吐出する。ギヤポンプ2により昇圧された作動液体は、高圧ポンプ3により更に高圧に昇圧されアクチュエータ6側に吐出されアキュムレータ7により蓄圧される。すなわち、ギヤポンプ2の回転時には、ギヤポンプ2と高圧ポンプ3の吐出量の差からギヤポンプ2と高圧ポンプ3間の圧力が上昇し、或る一定の圧力に達するとリリーフ弁8が動作し、フィルタ5とギヤポンプ2間に吹き出す。吹き出した作動液体は再びギヤポンプ2により昇圧される。
【0044】
本実施形態によれば、リリーフ弁8から吹き出した作動液体を再びギヤポンプ2に戻せるため、フィルタ5の吸込みを抑制し、フィルタ5に付着する異物を低減することができる。なお、第2参考例及び本実施形態においては、外部液圧発生装置との接続部を省略したが、第1参考例と同様に液圧継手を設けてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に関する第1参考例の液圧発生装置の構成を示す図。
【図2】(a)(b)(c)(d)は本発明の第1の実施の形態における液圧継手の構成、及びその作動状態を示す図。
【図3】本発明の第2参考例の液圧発生装置の構成を示す図。
【図4】本発明の1実施形態の液圧発生装置の構成を示す図。
【図5】従来の液圧発生装置の構成を示す図。
【図6】(a)(b)(c)は、従来の液圧継手の構成及び作動状態を示す図。
【図7】(a)(b)(c)は、従来の液圧継手の他の例及び作動状態を示す図。
【符号の説明】
【0046】
1 液圧発生装置
2 ギヤポンプ
3 高圧ポンプ
4 低圧液槽
5 フィルタ
6 アクチュエータ
7 アキュムレータ
8、16 リリーフ弁
10、17 戻り弁
11、41 第1の接続部材
12 外部液圧発生装置
13、51 第2の接続部材
14 高圧ポンプ
15 フィルタ
35 第2のフィルタ
36 逆止弁
37 第1の圧力センサ
38 第2の圧力センサ
42、52 ケース
43、53 バルブ
44、54 ばね
45、55 シート部
46 開度規制部
61 第2の逆止弁
62 リリーフ弁
63 第3の逆止弁
65 第4の逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフィルタを通し作動液体を昇圧するギヤポンプと、前記ギヤポンプにより昇圧された作動液体を更に高圧に昇圧するための高圧ポンプを有し、前記ギヤポンプの吐出量が前記高圧ポンプの吐出量より多くなるようにするとともに、前記ギヤポンプと高圧ポンプとの間にリリーフ弁を接続した液圧発生装置において、
前記リリーフ弁の吹き出し側が前記フィルタと前記ギヤポンプの間に連通されていることを特徴とする液圧発生装置。
【請求項2】
高圧ポンプの吐出側に、液圧継手を介して外部液圧発生装置が接続可能としてあることを特徴とする請求項1に記載の液圧発生装置。
【請求項3】
液圧発生装置の高圧ポンプの吐出側に第1の接続部材が接続され、低圧側よりフィルタを通し作動液体を昇圧する外部の液圧発生装置のポンプの吐出側には第2の接続部材が設けられ、前記第1の接続部材及び第2の接続部材は、それぞれケース内に設げられたシート部に対してばねにより圧接方向に付勢されているバルブを有し、上記第1及び第2の接続部材のケースを互いに液密的に接続可能とした液圧継手であり、
上記両接続部材の連結時においては両接続部材におけるバルブの弁粁が当接するとともに、第1の接続部材におけるバルブが閉じたままで、第2の接続部材におけるバルブがシート部から離れるように、第1の接続部材のばねが第2の接続部材のばねより強くされている液圧継手を用いたことを特徴とする請求項1に記載の液圧発生装置。
【請求項4】
液圧発生装置の高圧ポンプの吐出側に第1の接続部材が接続され、低圧側よりフィルタを通し作動液体を昇圧する外部の液圧発生装置のポンプの吐出側には第2の接続部材が設けられ、前記第1の接続部材及び第2の接続部材は、それぞれケース内に設けられたシート部に対してばねにより圧接方向に付勢されているバルブを有し、上記第1及び第2の接続部材のケースを互いに液密的に接続可能とした液圧継手であり、
上記両接続部材の連結時においては両接続部材におけるバルブの弁秤が当接するとともに、第1の接続部材におけるバルブが閉じたままで、第2の接続部材におけるバルブがシート部から離れるように、第1の接続部材のばねが第2の接続部材のばねより強くされており、かつ第1の接続部材にはバルブの開度規制部が設けられており、第1の接続部材のバルブが開方向に移動し上記開度規制部に当接したときには第2の接続部材のバルブも開状態に保持されている液圧継手を用いたことを特徴とする請求項1に記載の液圧発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−178004(P2007−178004A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56763(P2007−56763)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【分割の表示】特願2002−128194(P2002−128194)の分割
【原出願日】平成14年4月30日(2002.4.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】