説明

液晶パネル駆動装置及びテレビジョン装置。

【課題】自己発熱を抑制し、多出力化することができる液晶パネル駆動装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル駆動装置1aは、チップの温度が所定の温度以上になった否かを検知する温度検知回路11と、温度検知回路11の検知結果に基づいて、複数のガンマ補正電圧の少なくとも1つを変更するガンマ補正回路15aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル駆動装置及びテレビジョン装置に関し、特に、液晶パネル駆動装置の自己発熱を抑制することができる液晶パネル駆動装置及びテレビジョン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビジョン装置は、液晶パネルを備えた液晶表示モジュールを有している。さらに、この液晶表示モジュールは、液晶パネルの各ラインを順次有効にする複数のゲートドライバと、有効になったラインに画素データを書き込む複数のソースドライバとを有する。
【0003】
液晶パネル駆動装置としてのソースドライバは、所定数の画素データを出力する。そのため、1つの液晶パネル駆動装置から出力される画素データの数と液晶パネルの1ラインの画素数とによって、液晶表示モジュールに搭載される液晶パネル駆動装置の個数が決定される。
【0004】
このような液晶表示モジュールの小型化及び低コスト化を行うためには、液晶表示モジュールに搭載される液晶パネル駆動装置の個数を少なくすることが求められる。この場合、1つの液晶パネル駆動装置から出力される画素データの数を多くする、即ち、多出力化することにより、液晶表示モジュールに搭載する液晶パネル駆動装置を減少させることができる。
【0005】
しかしながら、液晶パネル駆動装置を多出力化することにより、液晶パネル駆動装置から出力される画素データの数が増加するため、電流の充放電による液晶パネル駆動装置の自己発熱が発生する。そのため、液晶パネル駆動装置を多出力化することにより、液晶パネル駆動装置の温度が上昇するという問題がある。
【0006】
また、環境温度変動による画素の輝度変化を低電力で実現する表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案の表示装置では、有機EL素子のモニタ素子が検出した環境温度によりバンドギャップ型定電流源の出力が切り換えられる。そして、この出力に基づき、電源制御部は、システムが高温域にあると判断すると電源回路の電源電圧を下げるような制御を行う。
【0007】
しかしながら、この提案の表示装置は、表示領域の画素に表示信号を供給する液晶パネル駆動装置としての信号線駆動回路の発熱については考慮されておらず、信号線駆動回路の多出力化ができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−25742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、自己発熱を抑制し、多出力化することができる液晶パネル駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、複数の画素がマトリクス状に配置された液晶パネルに画素データを出力する1チップで構成される液晶パネル駆動装置であって、前記チップの温度が所定の温度以上になった否かを検知する温度検知回路と、前記温度検知回路の検知結果に基づいて、複数のガンマ補正電圧の少なくとも1つを変更するガンマ補正回路とを有することを特徴とする液晶パネル駆動装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液晶パネル駆動装置によれば、自己発熱を抑制し、多出力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係る液晶パネル駆動装置を有するテレビジョン装置の構成の例を説明するためのブロック図である。
【図2】本実施の形態の液晶パネル駆動装置の構成の例を説明するためのブロック図である。
【図3】温度検知回路の構成の例を説明するためのブロック図である。
【図4】ガンマ補正電圧の変化の例について説明するための説明図である。
【図5A】ガンマ補正電圧の変化の他の例について説明するための説明図である。
【図5B】ガンマ補正電圧の変化の他の例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、図1に基づき、本実施の形態に係る液晶パネル駆動装置を有するテレビジョン装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る液晶パネル駆動装置を有するテレビジョン装置の構成の例を説明するためのブロック図である。
【0014】
図1に示すように、テレビジョン装置100は、アンテナ101と、チューナ102と、復号処理部103と、音声出力処理部104と、画像エンジン105と、システム制御部106と、液晶表示モジュール107とを有して構成されている。
【0015】
液晶表示装置としての液晶表示モジュール107は、コントローラ108と、電源発生装置109と、画像発生装置110と、複数、ここでは、4つのゲートドライバ111a〜111dと、複数、ここでは、8つのソースドライバ112a〜112hと、液晶パネル113とを有して構成されている。なお、本実施の形態では、液晶表示装置を例に説明するが、液晶表示装置に限定されることなく、他の方式の表示装置であってもよい。
【0016】
ソースドライバ112a〜112hのそれぞれは、1チップの半導体装置として構成され、出力電圧制御部114a〜114hを有している。出力電圧制御部114a〜114hは、それぞれソースドライバ112a〜112hの温度上昇を検知し、画素データとしての出力電圧値を制御する。また、出力電圧制御部114a〜114hは、カスケード接続信号ライン115によってカスケード接続されている。さらに、出力電圧制御部114a〜114hは、カスケード接続温度検知ライン116によってカスケード接続されている。
【0017】
アンテナ101は、デジタル放送信号を受信し、受信したデジタル放送信号をチューナ102に供給する。
【0018】
チューナ102は、供給されたデジタル放送信号からユーザに指定されたチャンネルを選局し、復号処理部103に出力する。
【0019】
復号処理部103は、入力されたデジタル放送信号を復号して、映像表示用の映像信号及び音声出力用の音声信号を生成する。復号処理部103は、音声出力用の音声信号を音声出力処理部104に出力するとともに、映像表示用の映像信号を画像エンジン105に出力する。
【0020】
音声出力処理部104は、音声出力用の音声信号を音声処理し、図示しないスピーカ等により構成される音声出力部に出力する。
【0021】
画像エンジン105は、システム制御部106の制御に基づいて、映像表示用の映像信号に画像処理を施し、液晶表示モジュール107のコントローラ108に出力する。
【0022】
コントローラ108は、画像エンジン105から出力された画像処理が施された映像信号に応じて、電源発生装置109及び画像発生装置110を制御する。
【0023】
電源発生装置109は、コントローラ108の制御に基づいて、ゲートドライバ用駆動信号用電源及びソースドライバ用駆動信号用電源を生成し、それぞれゲートドライバ111a〜111d及びソースドライバ112a〜112hに出力する。
【0024】
画像発生装置110は、コントローラ108の制御に基づいて、ゲートドライバ用駆動信号及びソースドライバ用駆動信号を生成し、それぞれゲートドライバ111a〜111d及びソースドライバ112a〜112hに出力する。
【0025】
液晶パネル113は、フルハイビジョンの映像を表示可能なように、垂直方向に1080の画素及び水平方向に1920の画素がマトリクス状に配置されている。
【0026】
ゲートドライバ111a〜111dは、ゲートドライバ用駆動信号用電源及びゲートドライバ用駆動信号に基づいて、1080ラインのいずれを有効にするかを制御する。
【0027】
4つのゲートドライバ111a〜111dが1080ラインのいずれを有効にするかを制御するため、ゲートドライバ111a〜111dのそれぞれは、270ラインのいずれを有効にするかの制御を行なうことになる。
【0028】
ソースドライバ112a〜112hは、ソースドライバ用駆動信号用電源及びソースドライバ用駆動信号に基づいて、有効になったラインの1920画素に画素データを書き込む制御を行なう。1920画素のそれぞれがRGBの3つのサブ画素から構成されているため、ソースドライバ112a〜112hのそれぞれは、720画素分の画素データを出力する。
【0029】
ゲートドライバ111a〜111dが順次各ラインを有効にし、ソースドライバ112a〜112hが有効になったラインに画素データを書き込む。これにより、映像信号が順次、液晶パネル113に表示されることになる。このように、ソースドライバ112a〜112hは、それぞれ本実施の形態の液晶パネル駆動装置1a〜1hを構成する。
【0030】
図2は、本実施の形態の液晶パネル駆動装置の構成の例を説明するためのブロック図である。なお、液晶パネル駆動装置1a〜1hは同一の構成ため、液晶パネル駆動装置1aを例に説明する。
【0031】
図2に示すように、液晶パネル駆動装置1aは、上述したカスケード接続信号ライン115及びカスケード接続温度検知ライン116と、温度検知回路11と、N型MOSトランジスタ12と、インバータ13と、インターフェース(以下、I/Fという)14と、正極側のガンマ補正回路15aと、負極側のガンマ補正回路15bと、複数のデコーダ16a及び16bと、複数のソースアンプ17a及び17bと、プルアップ抵抗R0とを有して構成されている。なお、図2において、デコーダ及びソースアンプは2個のみ記載してあるが、上述したように、1つの液晶パネル駆動装置1aが720画素のデータを出力する場合、デコーダ及びソースアンプは、それぞれ720個必要となる。そして、各ソースアンプの出力が液晶パネル113の図示しないデータ線に接続されている。
【0032】
また、液晶パネル駆動装置1aは、カスケード接続信号端子18a1及び18a2と、カスケード接続温度検知端子19a1及び19a2と、ソースドライバ用駆動端子20aと有している。
【0033】
正極側のガンマ補正回路15aは、ガンマ補正用入力電圧が印加されるガンマ補正用電圧入力端子VH0a〜VH255aと、分圧抵抗R1〜R255と、電圧降下用の抵抗R256と、P型MOSトランジスタ21とを有して構成されている。なお、負極側のガンマ補正回路15bは、正極側のガンマ補正回路15aと同様の構成であるが、P型MOSトランジスタ21に代わり、N型MOSトランジスタを用いて構成されている。
【0034】
カスケード接続温度検知ライン116は、プルアップされており、プルアップ抵抗R0を介して電源Vccが印加されている。
【0035】
温度検知回路11は、液晶パネル駆動装置1aのチップ温度を検知し、検知した温度が所定の温度以上になったか否かを検知する。温度検知回路11は、検知した温度が所定の温度より小さい場合、Lレベルの信号をN型MOSトランジスタ12のゲート端子に出力し、検知した温度が所定の温度以上の場合、Hレベルの信号をN型MOSトランジスタ12のゲート端子に出力する。なお、以下の説明では、所定の温度を閾値ともいう。
【0036】
温度検知回路11からLレベルの信号が出力されている場合、N型MOSトランジスタ12がオフとなる。一方、温度検知回路11からHレベルの信号が出力されている場合、N型MOSトランジスタ12がオンとなり、カスケード接続温度検知ライン116がLレベルとなる。即ち、カスケード接続温度検知ライン116は、温度検知回路11により閾値以上の温度上昇が検知されていない場合、Hレベルとなり、温度検知回路11により閾値以上の温度上昇が検知された場合、Lレベルとなる。このように、温度検知信号ラインとしてのカスケード接続温度検知ライン116は、温度検知回路11の検知結果に応じて信号レベルが制御される。
【0037】
このカスケード接続温度検知ライン116のHレベルまたはLレベルの信号は、インバータ13に供給されるとともに、カスケード接続温度検知端子19a1及び19a2を介して、液晶パネル駆動装置1bのカスケード接続温度検知端子19b1に供給される。また、液晶パネル駆動装置1b〜1hは、液晶パネル駆動装置1aと同様の構成のため、このカスケード接続温度検知ライン116のHレベルまたはLレベルの信号は、カスケード接続温度検知ライン116を介して、液晶パネル駆動装置1b〜1hにも供給される。このように、液晶パネル駆動装置1a〜1hは、カスケード接続温度検知ライン116によってカスケード接続されている。
【0038】
そのため、あるチップ、例えば、液晶パネル駆動装置1aにおいて、閾値以上の温度上昇が検知され、カスケード接続温度検知ライン116がLレベルとなった場合、他のチップの液晶パネル駆動装置1b〜1hのカスケード接続温度検知ライン116もLレベルとなり、閾値以上の温度上昇が検知されたことが供給されるようになっている。即ち、液晶パネル駆動装置1aのカスケード接続温度検知ライン116がLレベルとなった場合、このLレベルの信号は、液晶パネル駆動装置1b〜1hにもカスケード接続温度検知ライン116により共有される。
【0039】
これにより、液晶パネル駆動装置1b〜1hは、それぞれ後述するガンマ補正電圧の制御を行う。ある液晶パネル駆動装置1aにおいて閾値以上の温度上昇が検知されたときに、その液晶パネル駆動装置1aだけガンマ補正電圧の制御を行うと、液晶パネル113の一部だけ輝度値が下がってしまう。そのため、液晶パネル駆動装置1a〜1hをカスケード接続し、ある液晶パネル駆動装置1aにおいて閾値以上の温度上昇が検知されたときには、他の液晶パネル駆動装置1b〜1hにおいてもガンマ補正電圧の制御を行うようにしている。
【0040】
インバータ13は、カスケード接続温度検知ライン116の信号レベルを反転し、P型MOSトランジスタ21のゲート端子に出力する。即ち、インバータ13は、カスケード接続温度検知ライン116がHレベルの場合、Lレベルの信号をガンマ補正回路15aのP型MOSトランジスタ21のゲート端子に出力し、カスケード接続温度検知ライン116がLレベルの場合、Hレベルの信号をガンマ補正回路15aのP型MOSトランジスタ21のゲート端子に出力する。これにより、温度検知回路11が閾値以上の温度上昇を検知していない通常動作時は、P型MOSトランジスタ21がオンし、温度検知回路11が閾値以上の温度上昇を検知した異常動作時は、P型MOSトランジスタ21がオフする。
【0041】
なお、上述したように、ガンマ補正回路15bは、P型MOSトランジスタ21に代わり、N型MOSトランジスタを用いる。通常動作時にN型MOSトランジスタがオンし、異常動作時にN型MOSトランジスタがオフするように、通常動作時は、N型MOSトランジスタのゲート端子にHレベルの信号を供給し、異常動作時は、N型MOSトランジスタのゲート端子にLレベルの信号を供給する。この場合、図示しないインバータにより、インバータ13の出力レベルを反転し、N型MOSトランジスタのゲート端子に供給する、あるいは、カスケード接続温度検知ライン116の信号レベルをN型MOSトランジスタのゲート端子に供給するようにすればよい。
【0042】
正極側のガンマ補正回路15aは、8ビット階調を例にしており、ガンマ補正用電圧入力端子VH0a及びVH255aから入力されるガンマ補正用入力電圧を分圧抵抗R1〜R255により分圧し、ガンマ補正電圧VH0b〜VH255bを生成する。ガンマ補正回路15aは、生成したガンマ補正電圧VH0b〜VH255bを複数のデコーダ16a及び16bに出力する。なお、正極側のガンマ補正回路15aは、8ビット階調に限定されることなく、例えば、6ビット階調または12ビット階調であってもよい。同様に、負極側のガンマ補正回路15bは、ガンマ補正電圧VL0b〜VL255bを複数のデコーダ16a及び16bに出力する。
【0043】
本実施の形態では、ガンマ補正電圧VH255bが最大出力電圧であり、ガンマ補正電圧VL255bが最小出力電圧であり、最大出力電圧を16V、最小出力電圧を0Vとする。なお、ガンマ補正電圧VH0b〜VH255bを補正できるように、ガンマ補正用電圧入力端子VH1a〜VH254aを介して中間電位を外部から入力できるような構成になっている。
【0044】
正極側では、最大のガンマ補正用入力電圧が印加されるガンマ補正用電圧入力端子VH255aに対して、抵抗R256を直列に挿入している。そして、その抵抗R256をスルーできるように、トランジスタスイッチとしてのP型MOSトランジスタ21を抵抗R256に並列に挿入している。また、負極側では、最小のガンマ補正用入力電圧が印加されるガンマ補正用電圧入力端子VL255aに対して、抵抗を直列に挿入し、その抵抗をスルーできるように、トランジスタスイッチとしてのN型MOSトランジスタを抵抗に並列に挿入する。
【0045】
温度検知回路11が閾値以上の温度上昇を検知していない通常動作時は、P型MOSトランジスタ21がオンとなり、抵抗R256はスルーされる。これにより、正常なガンマ補正電圧VH255b、言い換えると、ガンマ補正用電圧入力端子VH255aに印加されたガンマ補正用入力電圧がそのまま出力される。
【0046】
しかし、温度上昇によって温度検知回路11が閾値以上の温度上昇を検知した異常動作時は、P型MOSトランジスタ21がオフとなり、ガンマ補正用電圧入力端子VH255aに印加されたガンマ補正用入力電圧が抵抗R256を経由し、ガンマ補正電圧VH255bが出力される。そのため、抵抗R256による電圧降下が発生し、ガンマ補正電圧VH255bが下がる。また、負極側では、ガンマ補正用電圧入力端子VL255に直列に接続された抵抗により入力電圧が分圧され、ガンマ補正電圧VL255bが上がる。これにより、液晶パネル駆動装置1aの出力電圧の振幅が小さくなり、液晶パネル駆動装置1aの発熱が抑制される。
【0047】
画像発生装置110により生成されたソースドライバ用駆動信号は、ソースドライバ用駆動端子20aを介してI/F14に供給される。I/F14は、カスケード接続信号ライン115により入力される制御信号に基づいて、ソースドライバ用駆動信号を取り込むか否かを判定する。I/F14は、この制御信号に基づいてソースドライバ用駆動信号を取り込むと、デコーダ16a及び16bのそれぞれに選択信号を出力する。
【0048】
デコーダ16a及び16bは、それぞれI/F14からの選択信号に基づいて、ガンマ補正電圧VH0b〜VH255bのいずれか1つを選択し、ソースアンプ17a及び17bに出力する。
【0049】
ボルテージフォロア接続のソースアンプ17a及び17bは、それぞれデコーダ16a及び16bによって選択されたガンマ補正電圧を液晶駆動電圧として、液晶パネル113の対応する図示しないデータ線に出力する。
【0050】
ここで、液晶パネル駆動装置1aの温度を検知する温度検知回路11の構成について説明する。図3は、温度検知回路の構成の例を説明するためのブロック図である。
【0051】
図3に示すように、温度検知回路11は、基準電源バンドギャップ回路31と、定電流源32と、コンパレータ33と、ダイオードD1と、分圧抵抗R257及びR258とを有して構成されている。
【0052】
基準電源バンドギャップ回路31は、液晶パネル駆動装置1aの温度変化に依存せずに、所定の電圧VBGを発生する。
【0053】
定電流源32は、基準電源バンドギャップ回路31で発生した所定の電圧VBGに基づいて、所定の電流Iを出力する。定電流源32から出力された電流Iは、定電流源32に直列に接続された温度検出用のダイオードD1を介してGNDへと流れ、ダイオードD1のアノード端子に電圧Vfを発生させる。この電圧Vfは、コンパレータ33の(−)端子に入力される。
【0054】
また、基準電源バンドギャップ回路31とGND間には、分圧抵抗R257及びR258が直列に接続され、所定の電圧VBGが分圧抵抗R257及びR258により分圧される。
【0055】
分圧抵抗R257及びR258の接続点における電圧VBG’は、
BG’=(VBG×R258/(R257+R258))
となり、この電圧VBG’がコンパレータ33の(+)端子に入力される。
【0056】
コンパレータ33は、入力された電圧VBG’と電圧Vfとを比較して、電圧Vfが電圧VBG’より大きい場合、Lレベルの信号を出力し、電圧Vfが電圧VBG’以下の場合、Hレベルの信号を出力する。
【0057】
一般に、ダイオードの順方向の電圧Vfは、約−2mV/゜Cとなる負の温度係数を有しているため、液晶パネル駆動装置1aの温度が上昇することにより、順方向の電圧Vfが低下する。そのため、温度検出用のダイオードD1は、ある閾値以上の温度を検出すると、電圧VBG’以下となる電圧Vfを検出する。これにより、コンパレータ33は、電圧Vfが電圧VBG’以下になったことを検知、即ち、液晶パネル駆動装置1の温度上昇を検知し、Hレベルの制御信号をN型MOSトランジスタ12に出力する。
【0058】
この結果、上述したように、N型MOSトランジスタ12がオンとなり、カスケード接続温度検知ライン116がLレベルとなる。カスケード接続温度検知ライン116がLレベルになると、インバータ13を介してHレベルの信号がガンマ補正回路15aのP型MOSトランジスタ21に出力され、P型MOSトランジスタ21がオフする。これにより、ガンマ補正用電圧入力端子VH255aに印加されたガンマ補正用入力電圧が抵抗R256により電圧降下され、液晶パネル駆動装置1aの自己発熱が抑制される。
【0059】
図4は、ガンマ補正電圧の変化の例について説明するための説明図である。なお、図4は、中間電位を印加していない場合のガンマ補正電圧の変化の例を示している。
【0060】
矢印41aは、温度検知回路11によって閾値以上の温度上昇が検知されていないときの正極側のガンマ補正回路15aのガンマ補正電圧VH0b〜VH255bを示し、矢印41bは、温度検知回路11によって閾値以上の温度上昇が検知されていないときの負極側のガンマ補正回路15bのガンマ補正電圧VL0b〜VL255bを示している。上述したように、ガンマ補正電圧VH255bを16V、ガンマ補正電圧VL255bを0Vとすると、ガンマ補正電圧VH0b〜VH255b及びガンマ補正電圧VL0b〜VL255bは、8Vを基準として対称となる。
【0061】
また、破線矢印42aは、温度検知回路11によって閾値以上の温度上昇が検知されたときの正極側のガンマ補正回路15aのガンマ補正電圧VH0b〜VH255bを示し、破線矢印42bは、温度検知回路11によって閾値以上の温度上昇が検知されたときの負極側のガンマ補正回路15bのガンマ補正電圧VL0b〜VL255bを示している。
【0062】
上述したように、温度検知回路11によって閾値以上の温度上昇が検知されると、ガンマ補正用電圧入力端子VH255aから入力されたガンマ補正用入力電圧は、抵抗R256によって電圧降下される。そのため、正極側のガンマ補正回路15aでは、この電圧降下されたガンマ補正用入力電圧とガンマ補正用電圧入力端子VH0aから入力されたガンマ補正用入力電圧とに応じて、ガンマ補正電圧VH0b〜255bを生成するため、温度検知回路11によって閾値以上の温度上昇が検知された場合、矢印41aに比べ全体的に電圧が下がる。なお、ここでは、全体的に電圧を下げる場合について説明したが、高出力電圧側の電圧だけを下げるようにしてもよい。
【0063】
図5A及び図5Bは、それぞれガンマ補正電圧の変化の他の例について説明するための説明図である。なお、図5A及び図5Bは、中間電位を印加している場合のガンマ補正電圧の変化を示している。
【0064】
上述したように、ガンマ補正回路15aには中間電位を供給できるように、ガンマ補正用電圧入力端子VH1a〜VH254aを設けている。ガンマ補正用電圧入力端子VH1a〜VH254aから所定の中間電位を入力することにより、閾値以上の温度上昇があった際に、図5Aの破線矢印43aに示すように、ガンマ補正電圧VH255bのみを下げることができる。なお、図5Aの破線矢印43bに示すように、負極側のガンマ補正回路15bのガンマ補正電圧VL255bについても同様である。
【0065】
また、任意の階調から振幅を小さくする場合、以下のように構成する。例えば、ガンマ補正用電圧入力端子VH254aにアナログスイッチを直列に設ける。そして、閾値以上の温度上昇があった際に、このアナログスイッチをオフにすることにより、図5Bの破線矢印44aに示すように、ガンマ補正電圧VH254b及びVH255bのみを下げることができる。なお、図5Bの破線矢印44bに示すように、負極側のガンマ補正回路15bのガンマ補正電圧VL254b及びVL255bについても同様である。
【0066】
さらに、ガンマ補正用電圧入力端子VH1〜VH253についても、それぞれアナログスイッチを直列に接続し、閾値以上の温度上昇があった際に、これらのアナログスイッチのいずれかをオフすることにより、任意の階調から振幅を小さくすることができる。
【0067】
以上のように、液晶パネル駆動装置1aは、基準電源バンドギャップ回路31とダイオードD1のダイオード特性とによってチップの温度を検知する温度検知回路11と、温度検知回路11の検知結果に基づいて、P型MOSトランジスタ21のオンまたはオフを制御し、ガンマ補正電圧を電圧降下させる抵抗R256を有するガンマ補正回路15a及び15bとを有する。この結果、閾値以上の温度を検知した場合、液晶パネル駆動装置1aの自己発熱を制御することができる。
【0068】
よって、本実施の形態の液晶パネル駆動装置によれば、自己発熱を抑制し、多出力化することができる。
【0069】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1a〜1h…液晶パネル駆動装置、11…温度検知回路、12…N型MOSトランジスタ、13…インバータ、14…I/F、15a,15b…ガンマ補正回路、16a,16b…デコーダ、17a,17b…ソースアンプ、18a1,18a2,18b1…カスケード接続信号端子、19a1,19a2,19b1…カスケード接続温度検知端子、20a…ソースドライバ用駆動端子、21…P型MOSトランジスタ、31…基準電源バンドギャップ回路、32…定電流源、33…コンパレータ、100…テレビジョン装置、101…アンテナ、102…チューナ、103…復号処理部、104…音声出力処理部、105画像エンジン、106…システム制御部、107…液晶表示モジュール、108…コントローラ、109…電源発生装置、110…画像発生装置、111a〜114d…ゲートドライバ、112a〜112h…ソースドライバ、113…液晶パネル、114a〜114h…出力電圧制御部、115…カスケード接続信号ライン、116…カスケード接続温度検知ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリクス状に配置された液晶パネルに画素データを出力する1チップで構成される液晶パネル駆動装置であって、
前記チップの温度が所定の温度以上になった否かを検知する温度検知回路と、
前記温度検知回路の検知結果に基づいて、複数のガンマ補正電圧の少なくとも1つを変更するガンマ補正回路と、
を有することを特徴とする液晶パネル駆動装置。
【請求項2】
前記ガンマ補正回路は、複数のガンマ補正用電圧入力端子の少なくとも1つに直列に接続された抵抗と、前記抵抗に並列に接続され、前記温度検知回路の検知結果に基づいてオンまたはオフするMOSトランジスタとを有し、
前記温度検知回路により前記チップ温度が前記所定の温度以上になったことが検知された場合、前記MOSトランジスタをオフすることにより、前記ガンマ補正電圧の少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル駆動装置。
【請求項3】
前記液晶パネル駆動装置を複数有し、
一の液晶パネル駆動装置において、前記所定の温度以上になったことが検知された場合、他の液晶パネル駆動装置のガンマ補正電圧を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶パネル駆動装置。
【請求項4】
前記複数の液晶パネル駆動装置は、温度検知信号ラインにより接続され、
前記一の液晶パネル駆動装置において、前記所定の温度以上になったことが検知された場合、前記温度検知信号ラインの信号レベルを制御することにより、前記他の液晶パネル駆動装置のガンマ補正電圧を変更することを特徴とする請求項3に記載の液晶パネル駆動装置。
【請求項5】
入力されたデジタル放送信号を復号して、映像表示用の映像信号を生成する復号処理部と、
前記復号処理部により生成された前記映像表示用の映像信号に画像処理を施す画像エンジンと、
複数の画素がマトリクス状に配置された液晶パネルと、前記画像エンジンにより画像処理が施された前記映像表示用の映像信号に応じた画素データを前記液晶パネルに出力する液晶パネル駆動装置とを具備した液晶表示装置と、
を有し、
前記液晶パネル駆動装置は、前記チップ温度が所定の温度以上になった否かを検知する温度検知回路と、前記温度検知回路の検知結果に基づいて、複数のガンマ補正電圧の少なくとも1つを変更するガンマ補正回路と、
を有することを特徴とするテレビジョン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2011−164288(P2011−164288A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25760(P2010−25760)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】