説明

液晶封入用のガラス基板及びその製造方法、並びに、液晶表示装置

【課題】 本発明は液晶封入用のガラス基板及びその製造方法、並びに、このガラス基板を利用する液晶表示装置に関する。
【解決手段】 前記液晶封入用のガラス基板31、35の表面310、350には透明な塗布層312、352を形成してなる。前記塗布層312、352を利用して、前記ガラス基板310、350が速く透明化を実現でき、かつ従来の液晶封入用のガラス基板は機械加工を介して透明化を達成するためにかかる時間が長いという課題を解決する。本発明はさらに前記ガラス基板310、350の製造方法とこのガラス基板310、350を利用する液晶表示装置3を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶封入用のガラス基板及びその製造方法、並びに、それを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータディスプレイや携帯電話、デジタルカメラなど携帯電子製品は、二枚のガラス基板で液晶を挟んで構成した液晶表示装置を中心部品として利用するものが多くなっている。液晶表示装置の軽薄化のため、材料としてのガラス基板をできるだけ薄く設計する。しかし、薄型のガラス板材は運び難いので、従来の液晶表示装置の製造工程において、一般に大寸法のガラス基板に対して薄化処理を行うことになる。
【0003】
現在、従来技術としては、二枚のガラス基板の間に液晶を注入した後、化学溶解又は砥石車による機械研削を介して、ガラスを薄く処理することがある。化学溶解により高平面性のガラス基板を製造することができないので、前記機械研削の方法が広く利用されている。
【0004】
しかし、前記機械研削の方法によれば、ガラス基板を研削してから、更に薄く加工した後、ガラス基板の表面を引っかいて傷がつく不都合が生じ、ガラス基板本体の透明度に影響を与えるので、一般に精密研磨加工を後続処理として行う必要がある。前記の加工方法は時間がかかるので(例えば、研削加工は5分間、精密研磨は50分間)、全体の加工時間が長くなり、コストが増加する。
【0005】
従って、速く透明化が実現できる液晶ガラス基板及びその製造方法、それを用いた液晶表示装置を提供することが必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において、液晶ガラス基板の高透明度を実現するための時間が長いという課題を解決するために、本発明の第一目的は速く透明化ができる液晶ガラス基板を提供することである。
【0007】
本発明の第二目的は前記ガラス基板の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の第三目的は前記ガラス基板を利用する液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記第一目的を実現するために、本発明にかかる液晶ガラス基板は透明な塗布層が形成された表面を有する。
【0010】
ここで、前記表面の粗雑度は0.1μm〜3μmでも良いが、0.1μm〜0.2μmが好ましい。前記塗布層の厚さは0.5μm〜5μmにされる。前記塗布層の材料として、例えば、光硬化樹脂などを利用することができる。
【0011】
前記第二目的を実現するために、本発明にかかるガラス基板の製造方法は、ガラス基板を準備する段階1と、該ガラス基板の表面に透明な塗布層を形成する段階2と、を含む。
【0012】
その中、前記塗布層はエッチング又は回転塗布によって前記ガラス基板の表面に形成される。
【0013】
前記第三目的を実現するために、本発明にかかる前記ガラス基板を利用した液晶表示装置は、二枚のガラス基板とそれらの間に封入される液晶とを含む。このガラス基板は加工処理をしてから表面に複数の溝が形成される。ここで、この表面に透明な塗布層を形成させる。
【発明の効果】
【0014】
従来の技術と比べて、本発明は、ガラス基板に薄い透明な塗布層を実施することにより、高透明度及び低コストが実現し、且つ、全体の強度と柔軟性を高め、損じ難く、危険性が低くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明にかかる液晶表示装置3は、液晶33と、ガラス基板31、35と、シール材料37と、を含む。液晶33は両ガラス基板31、35の間に封入された後、基板の両端部はシール材料37で密封される。前記両ガラス基板31、35の液晶33とは反対の表面310、350にはそれぞれ透明な塗布層312、352を形成する。
【0017】
図2に示すように、本発明にかかるガラス基板35の一部を拡大すると、表面350に形成された複数の溝(図示せず)が見える。塗布層352は前記溝を埋めるように前記表面350に形成される。
【0018】
表面350の溝は、例えば、機械加工などの原因で形成されたものである。一般にガラス基板35の製造工程において、寸法が大きいガラス板材に対して、例えば、砥石車による研削などの機械処理を行って、所定の寸法、厚さ及び形状のように基板を製造する。従って、表面350に傷をつけて、微小な溝を形成することがある。
【0019】
一般に、塗布層352の透明度を十分に実現するために、ガラス基板35の表面350の粗雑度は、例えば、機械処理を介して0.1μm〜3μm程度にされ、さらに0.1μm〜0.2μm程度が好ましい。
【0020】
塗布層352は薄くて均一的に形成され、0.5μm〜5μmが好ましい。ガラス基板35とは反対の塗布層352の表面(図示せず)は平滑で、高硬度を有すればよい。塗布層352は樹脂材料(例えば、光硬化樹脂)からなるものである。なお、塗布層352の材料はガラス基板35の材質に対応して採用され、且つ、これら二つの材料の屈折率、膨張係数などが近ければよい。
【0021】
本発明にかかるガラス基板35の製造方法によれば、ガラス基板35に、例えば、前記機械加工成形などの処理をした後、前記ガラス基板35の表面350に形成された溝を埋めるために、前記表面350に透明な塗布層352を塗布する。
【0022】
従来技術における塗布方法(例えば、エッチング又は回転塗布など)は全て本発明に適用される。ただし、予め塗布層352を無用の区域に塗布して、保護膜を形成しておく必要がある場合もある。
【0023】
ガラス基板35に対して、例えば、機械処理を行ってから、クリーンアウトして、ガラス基板35の表面350に付着した混入物又はごみ(例えば、ガラスチップやほこりなど)を除去すれば良い。また、塗布層352がガラス基板35の表面350により良好に付着され、ガラス基板35の透明度を高めるために、特別な表面処理を実施すれば良い。
【0024】
塗布層352の材料に対応して、補助処理を追加することも理解できる。例えば、塗布材料として光硬化樹脂を利用する場合、光硬化樹脂を均一に前記ガラス基板35の表面350に塗布した後、紫外線で照らして硬化させることがある。
【0025】
近似の方法によれば、同様に塗布層312を有するガラス基板310を製造することができる。
【0026】
なお、本発明に係る技術領域の通常の当業者であれば、前記液晶表示装置3は例えばバックライトモジュールや駆動回路などを含むことが分かることは勿論である。従って、ここでは省略することとする。
【0027】
本発明において、例えば、機械処理を行って溝を形成したガラス基板に薄い透明な塗布層を形成して、表面の溝を埋めることにより、このガラス基板の透明度を高めることができる。これにより、同様な効果を取得するために工夫した精密的な研磨工程を省略し、加工時間を減縮し、コストを低くする。また、ガラス基板は薄化処理を介して損し易くなるが、前記塗布層を実施して全体の強度と柔軟性を高めるので、損じ難くなる。なお、前記例示としての機械処理はエッチングのような化学処理に代えて行われることも勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる液晶表示装置を示す図である。
【図2】図1の一部の拡大模式図である。
【符号の説明】
【0029】
3 液晶表示装置
33 液晶
31、35 ガラス基板
37 シール材料
310、350 表面
312、352 塗布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に透明な塗布層を形成することを特徴とする液晶封入用のガラス基板。
【請求項2】
前記表面の粗雑度は0.1μm〜3μmとされることを特徴とする請求項1に記載の液晶封入用のガラス基板。
【請求項3】
前記表面の粗雑度は0.1μm〜0.2μmとされることを特徴とする請求項1に記載の液晶封入用のガラス基板。
【請求項4】
前記塗布層は樹脂材料からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶封入用のガラス基板。
【請求項5】
前記塗布層の材料は光硬化樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の液晶封入用のガラス基板。
【請求項6】
前記塗布層の厚さは0.5μm〜5μmとされることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶封入用のガラス基板。
【請求項7】
ガラス基板を準備する段階1と、
前記ガラス基板の表面に透明な塗布層を形成する段階2と、
を含むことを特徴とする液晶封入用のガラス基板の製造方法。
【請求項8】
前記塗布層は浸漬方法又は回転塗布方法を介して前記ガラス基板の表面に形成されることを特徴とする請求項6に記載の液晶封入用のガラス基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス基板を少なくとも一枚利用する二枚のガラス基板と、前記基板に封入される液晶と、を含むことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−11436(P2006−11436A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179984(P2005−179984)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】