説明

液晶表示装置及びその製造方法、プロジェクター

【課題】良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】一対の基板15,25間に負の誘電率異方性を有する液晶層30を挟持する液晶表示装置1において、一対の基板15,25の液晶層30と対向する側の面に、それぞれ液晶層30の配向方向を制御する無機配向膜12,22が設けられ、無機配向膜12,22の表面12a,22aには、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法、並びにそのような液晶表示装置を備えたプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクターに用いられる液晶表示装置では、その高輝度化に伴って、光による配向膜の劣化が問題となっている。このため、ポリイミド等の有機材料に比べて、耐光性や耐熱性に優れた無機配向膜が採用されるようになってきている。
【0003】
このようなプロジェクター用途の液晶表示装置では、液晶モードとして垂直配向モードが用いられている。この垂直配向モードの液晶表示装置では、電界無印加時に液晶分子に所定のプレチルト角を与える一方、電圧印加時に液晶分子を傾斜配向させて複屈折性を得るようにしている。
【0004】
無機配向膜の形成には、一般的に斜方蒸着法が用いられている。しかしながら、斜方蒸着法は、点蒸発源による成膜プロセスとなるため、方位角や膜厚のばらつきが生じ易い。また、これら方位角や膜厚のばらつきは、蒸発源からの位置関係に大きく影響する。
【0005】
膜厚のばらつきを抑制するための方策としては、蒸発源からの距離を大きく取ることが考えられる。しかしながら、蒸発源からの距離を大きく取るためには、真空チャンバを大型化しなければならず、更に成膜レートの低下が発生するといった別の課題も生じてしまう。
【0006】
一方、斜方蒸着法以外の無機配向膜の形成方法としては、例えば多孔質無機膜にイオンビームを照射する異方性エッチングによって、この多孔質無機膜の表面形状を変化させ、配向膜としての機能を発現させる方法がある(特許文献1を参照)。また、多孔質無機膜の形成途中でイオンビームを照射することにより配向膜とする方法もある(特許文献2を参照)。
【0007】
その他にも、多孔質無機膜にイオンビームを照射することによって、平面視で長軸と短軸とを持つ複数の凸部を有した多孔質無機膜を形成する方法がある(特許文献3を参照)。特に、この特許文献3には、基板平面からのプレチルト角が0〜10°となる配向膜について述べられており、基板平面からのプレチルト角が10°以上としたい場合などに、シランカップリング剤による処理を施せばよいことが述べられている。さらに、実施例において、誘電率異方性が正の液晶を使用することが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−31196号公報
【特許文献2】特開2008−20846号公報
【特許文献3】特開2008−191264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1〜3に記載の技術では、イオンビームの照射により配向膜を形成することが可能であるものの、無機配向膜の表面に多数の−OH基が存在するために、耐湿性の悪化を招くという大きな課題がある。
【0010】
また、特許文献2では、無機配向膜の疎水性を確保する目的で、ヘキサメチルジシラザン又はヘキサメチルジシランによる処理を行うことが述べられている。しかしながら、このような処理によって無機配向膜の疎水化を図ることは可能であるものの、液晶のプレチルトが安定的に発現しないといった別の課題もある。
【0011】
特に、プロジェクター用途の液晶表示装置では、上述した垂直配向モードを採用した場合、画像を表示する上で悪影響を与えることから、テレビ用途で垂直配向モードを採用した液晶表示装置で使用されている突起等による配向規制手段を用いることはできない。
【0012】
このため、プロジェクター用途の液晶表示装置では、所定のプレチルト角を与えることによって、電圧印加時に液晶分子が倒れる方向を規制している。したがって、液晶のプレチルトが安定的に発現しないと、ディスクリネーションの発生等といった表示品位に悪影響を及ぼすことになる。
【0013】
一方、特許文献3では、基板平面から見てプレチルト角が10°以下の無機配向膜を用いている。また、実施例において誘電率異方性が正の液晶を用いている。しかしながら、負の誘電率異方性を有する液晶を用いた場合には、基板垂直面から見たプレチルト角が大きくなり過ぎてしまい、コントラストが大幅に低下するため、垂直配向モードとして用いることは実用的ではない。また、斜方蒸着法のみで垂直配向が可能となるため、不要なプロセスを追加することになり実用的ではない。さらに、シランカップリング剤による処理を単に実施しただけではプレチルト角の変化は限られており、この場合も垂直配向モードとして用いることは実用的ではない。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みて提案されたものであり、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。また、このような液晶表示装置を備えることにより、良好な表示特性と高い信頼性とを兼ね備えたプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る液晶表示装置は、一対の基板間に負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持する液晶表示装置において、一対の基板の液晶層と対向する側の面に、それぞれ液晶層の配向方向を制御する無機配向膜が設けられ、無機配向膜の表面には、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理が施されていることを特徴とする。
この構成によれば、無機配向膜の表面における疎水性が向上し、安定的にプレチルトが発現する。これにより、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を提供することができる。
【0016】
また、上記無機配向膜は、Si、Oを構成元素として含む多孔質膜からなることが好ましい。
この場合、耐熱性及び耐光性に優れた液晶表示装置として、プロジェクター用途に最適な液晶表示装置を得ることができる。
【0017】
また、上記無機配向膜の表面には、更に、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理が施されていることが好ましい。
この場合、プレチルトの発現を安定的に確保したまま、無機配向膜の表面における疎水性を更に向上させることができる。
【0018】
また、上記有機官能基がC1のシランカップリング剤は、ヘキサメチルジシラザンであることが好ましい。
この場合、無機配向膜の表面において良好な疎水性を得ることができ、耐湿性の向上を図ることができる。
【0019】
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、一対の基板間に負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持する液晶表示装置の製造方法において、基板の前記液晶層と対向する側の面に無機配向膜を形成する工程と、無機配向膜の表面にイオンビームを基板面に対して斜め方向から照射する工程と、無機配向膜の表面に有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理を施す工程とを含むことを特徴とする。
この方法によれば、無機配向膜の表面にイオンビームを照射することによって発生した−OH基を、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤と反応させることで、無機配向膜の表面における疎水性が向上し、安定的にプレチルトが発現する。これにより、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を製造することができる。
【0020】
また、上記無機配向膜としては、Si、Oを構成元素として含む多孔質膜を用いることが好ましい。
この場合、耐熱性及び耐光性に優れた液晶表示装置として、プロジェクター用途に最適な液晶表示装置を製造することができる。
【0021】
また、上記無機配向膜の表面には、更に、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理を施すことが好ましい。
この場合、プレチルトの発現を安定的に確保したまま、無機配向膜の表面における疎水性を更に向上させることができる。
【0022】
また、上記有機官能基がC1のシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザンを用いることが好ましい。
この場合、無機配向膜の表面において良好な疎水性を得ることによって、耐湿性の向上を図ることができる。
【0023】
また、本発明に係るプロジェクターは、上記液晶表示装置を備えることを特徴とする。
この構成によれば、良好な表示特性と高い信頼性とを兼ね備えたプロジェクターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係る液晶表示装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】第2の実施形態に係る液晶表示装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】プロジェクターの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0026】
[第1の実施形態]
(液晶表示装置)
先ず、第1の実施形態として図1に示す液晶表示装置1について説明する。図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置1の構造を模式的に示した断面図である。
【0027】
この液晶表示装置1は、図1に示すように、回路基板(一方の基板)10と、これに対向配置された対向基板(他方の基板)25との間に、誘電率異方性が負の液晶材料からなる液晶層30が挟持されており、初期配向状態が垂直配向となっている。また、本実施形態に係る液晶表示装置1は、スイッチング素子としてTFT(Thin-Film Transistor)素子を用いたアクティブマトリクス型の透過型液晶装置である。
【0028】
回路基板15は、基材部11と、基材部11の一方面側に第1の無機配向膜12とを備えている。このうち、基材部11は、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10を主体として構成されており、この基板本体10の内面には、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明導電性材料からなる画素電極9が形成されている。また、基板本体10の外面には、偏光板41が配置されている。一方、第1の無機配向膜12は、液晶層30に接しながら液晶分子30aに所定方向へのプレチルト角を付与している。
【0029】
また、回路基板15は、画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子、画像信号が供給されるデータ線、走査線(いずれも図示略)等を備えている。また、データ線や走査線は、遮光膜としての機能を有することもある。
【0030】
対向基板25は、基材部23と、この基材部23の一方面側に第2の無機配向膜22とを備えている。このうち、基材部23は、ガラス等の透光性材料からなる基板本体20を主体として構成されており、この基板本体20の内面にはITO等の透明導電性材料からなる共通電極21が形成されている。また、基板本体20の外面には、偏光板42が配置されている。共通電極21は、基板本体20上に全面ベタ状に形成されている。また、対向基板25は、カラーフィルタや遮光膜を備えている。一方、第2の無機配向膜22は、液晶層30に接しながら液晶分子30aに所定方向へのプレチルト角を付与している。
【0031】
液晶層30は、第1の無機配向膜12及び第2の無機配向膜22によって液晶分子30aの初期配向状態(電圧無印加時の配向状態)が垂直配向を呈している。
【0032】
偏光板41,42は、その偏光軸が液晶の方位角(基準0°)に対して略45°及び略135°の角度をなしており、互いの偏光軸が略直交(クロスニコル)している。
【0033】
ところで、上記第1及び第2の無機配向膜12,22には、Si、Oを構成元素として含む多孔質無機膜が用いられている。具体的に、多孔質無機膜には、耐光性や耐熱性に優れた酸化シリコン(SiOx)膜を用いることができる。ここで、酸化シリコンとは、SiO及びSiOの何れか1種類以上の材料を含む無機材料である。なお、多孔質無機膜には、SiOx膜の他にも、SiON膜やSiN膜などを用いることができる。
【0034】
また、多孔質無機膜の形成方法としては、いわゆるゾル・ゲル法を用いることができる。具体的には、例えばシリコンアルコキシド、界面活性剤、アルコール等を含むゾル溶液を調製し、このゾル溶液をスピンコート法等を用いて基材部11,23上に塗布し、ゲル状の薄膜を形成する。そして、この薄膜をプリキュアした後、焼成により硬化させることによって、多孔質無機膜を形成することができる。また、プリキュア又は焼成後に紫外線(UV)を照射することによって、ポーラス構造の鋳型の役目となっている界面活性剤を効率良く除去することができる。
【0035】
第1及び第2の無機配向膜12,22は、この多孔質無機膜の表面にイオンビームを基板面に対して斜め方向から照射する異方性エッチングによって処理された表面部12a,22aを有している。第1及び第2の無機配向膜12,22は、このエッチング処理が施された表面部12a,22aの形状によって、上記液晶層30の液晶分子30aにプレチルト角(基板本体10,20の法線方向に対する角度)を付与し、液晶分子30aを駆動させる際の傾斜方向を規定している。すなわち、多孔質無機膜の表面形状を変化させ、配向膜としての機能を発現させることによって、上記液晶層30の液晶分子30aを所定の方向にプレチルトを与えて垂直配向させている。
【0036】
しかしながら、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面にイオンビームを照射した場合には、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aに多数の−OH基が発生し、耐湿性が悪化することになる。
【0037】
これに対して、本発明では、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理が施されている。この場合、表面部12a,22aに発生した−OH基と、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤とを反応させることで、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性が向上し、安定的にプレチルトが発現する。
【0038】
有機官能基がC2以上のシランカップリング剤としては、例えば、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランなどを上げることができる。なお、基本的にはアルキル鎖が長くなるほど液晶の配向規制力が増すことから、有機官能基の炭素数の上限については特に限定されないものの、反応過程で立体障害により配向膜のシラノール基の残存が起こり易くなるため、有機官能基の炭素数の上限についてはC18(オクタデシル)程度まで現実的である。
【0039】
さらに、本発明では、上述した有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理の後に、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理を施すことが好ましい。この場合、プレチルトの発現を安定的に確保したまま、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性を更に向上させることができる。
【0040】
また、上記有機官能基がC1のシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いることが好ましい。この場合、無機配向膜12,22の表面において良好な疎水性を得ることができ、耐湿性の向上を図ることができる。
【0041】
以上のように、本発明によれば、耐光性や耐熱性に優れた配向力の高い無機配向膜12,22を得ることができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶表示装置1を得ることが可能である。特に、耐熱性及び耐光性に優れた液晶表示装置として、プロジェクター用途に最適な液晶表示装置1を提供することができる。
【0042】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、第1の実施形態に係る液晶表示装置1の製造方法について説明する。
第1の実施形態に係る液晶装置1は、上記回路基板15の基材部11の表面に第1の無機配向膜12を形成したものと、上記対向基板25の基材部23の表面に第2の無機配向膜22を形成したものとを枠状に設けたシール材(図示せず。)を介して貼り合わせ、そのシール材の枠内に液晶を充填し、上記液晶層30を形成した後、これら基板15,25の外面側に偏光板41,42を貼着することによって作製される。
【0043】
本発明では、上記基材部11,23の表面に上記第1及び第2の無機配向膜12,22となる多孔質無機膜を形成した後、この多孔質無機膜の表面にイオンビームを基板面に対して斜め方向から照射する。
【0044】
これにより、第1及び第2の無機配向膜12,22は、上述した多孔質無機膜の表面形状が変化することによって、配向膜としての機能が発現するものの、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aに多数の−OH基が発生し、耐湿性が悪化することになる。
【0045】
そこで、本発明では、上記第1及び第2の無機配向膜12となる多孔質無機膜の表面にイオンビームを照射した後に、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理を施す。
【0046】
これにより、表面部12a,22aに発生した−OH基と、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤とが反応し、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性が向上し、安定的にプレチルトが発現する。
【0047】
さらに、本発明では、上述した有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理を施した後に、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理を施す。これにより、プレチルトの発現を安定的に確保したまま、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性を更に向上させることができる。
【0048】
また、上記有機官能基がC1のシランカップリング剤として、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いることで、無機配向膜12,22の表面において良好な疎水性を得ることができ、耐湿性の向上を図ることができる。
【0049】
以上のように、本発明によれば、上述した耐光性や耐熱性に優れた配向力の高い無機配向膜12,22を形成することができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた上記液晶表示装置1を製造することが可能である。
【0050】
[第2の実施形態]
(液晶表示装置)
次に、第2の実施形態として図2に示す液晶表示装置100について説明する。
図2は、第2の実施形態に係る液晶表示装置100の構造を模式的に示した断面図である。この液晶表示装置100と上記液晶表示装置1との違いは、反射型の液晶表示装置である点及び無機配向膜の下層がパッシベーション膜である点である。なお、以下の説明では、上記液晶表示装置1と同等の構成及び部材については、同一の符号を付すものとする。
【0051】
この液晶表示装置100は、図2に示すように、回路基板(一方の基板)10と、これに対向配置された対向基板(他方の基板)25との間に、誘電率異方性が負の液晶材料からなる液晶層30が挟持されており、初期配向状態が垂直配向となっている。また、この液晶表示装置100は、スイッチング素子としてTFT(Thin-Film Transistor)素子を用いたアクティブマトリクス型の反射型液晶装置である。
【0052】
回路基板15は、基材部111と、基材部11の一方面側に第1の無機配向膜12とを備えている。このうち、基材部111は、基板本体10を主体として構成され、基板本体10の内面には、AlやAg等の反射性の高い導電性材料からなる反射電極90が形成されている。この反射電極90は、上記画素電極9として機能するものである。
【0053】
反射電極90上には、シリコン酸化物としての酸化シリコン(SiOx)からなるパッシベーション膜112が、例えば真空蒸着法やスパッタ法(DCスパッタ)などのPVD法又はCVD法により形成されている。なお、パッシベーション膜112の形成材料としては、シリコン窒化物としての窒化シリコン(SiNx)や、アルミニウム酸化物としての酸化アルミニウム(AlxOy)を用いることもできる(x、yは正の整数)。
【0054】
一方、第1の無機配向膜12は、このパッシベーション膜112上に形成されて、液晶層30に接しながら液晶分子30aに所定方向へのプレチルト角を付与している。
【0055】
また、回路基板15は、反射電極90への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子、画像信号が供給されるデータ線、走査線(いずれも図示略)等を備えている。また、データ線や走査線は、遮光膜としての機能を有することもある。
【0056】
対向基板25は、基材部123と、この基材部123の一方面側に第2の無機配向膜22とを備えている。このうち、基材部123は、基板本体20を主体として構成され、基板本体20の内面には、ITO等の透明導電性材料からなる共通電極121が形成されている。共通電極121上には、例えばCVD法によりパッシベーション膜122が形成されている。このパッシベーション膜122は、上記パッシベーション膜112と同一の材料から構成されている。また、基板本体20の外面には、偏光板42が配置されている。共通電極21は、基板本体20上に全面ベタ状に形成されている。また、対向基板25は、カラーフィルタや遮光膜を備えている。
【0057】
一方、第2の無機配向膜22は、液晶層30に接しながら液晶分子30aに所定方向へのプレチルト角を付与している。
【0058】
液晶層30は、第1の無機配向膜12及び第2の無機配向膜22によって、液晶分子30aの初期配向状態(電圧無印加時の配向状態)が垂直配向を呈している。
【0059】
偏光板41,42は、その偏光軸が液晶の方位角(基準0°)に対して略45°及び略135°の角度をなしており、互いの偏光軸が略直交(クロスニコル)している。
【0060】
ところで、第1及び第2の無機配向膜12,22は、上述した多孔質無機膜の表面にイオンビームを基板面に対して斜め方向から照射する異方性エッチングによって処理された表面部12a,22aを有している。しかしながら、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面にイオンビームを照射した場合には、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aに多数の−OH基が発生し、耐湿性が悪化することになる。
【0061】
そこで、本発明では、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理が施されている。この場合、表面部12a,22aに発生した−OH基と、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤とを反応させることで、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性が向上し、安定的にプレチルトが発現する。
【0062】
さらに、本発明では、上述した有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理の後に、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理を施すことが好ましい。この場合、プレチルトの発現を安定的に確保したまま、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性を更に向上させることができる。
【0063】
また、上記有機官能基がC1のシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いることが好ましい。この場合、無機配向膜12,22の表面において良好な疎水性を得ることができ、耐湿性の向上を図ることができる。
【0064】
以上のように、本発明によれば、耐光性や耐熱性に優れた配向力の高い無機配向膜12,22を得ることができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶表示装置100を得ることが可能である。特に、耐熱性及び耐光性に優れた液晶表示装置として、プロジェクター用途に最適な液晶表示装置100を提供することができる。
【0065】
(液晶表示装置の製造方法)
次に、第2の実施形態に係る液晶表示装置100の製造方法について説明する。
第2の実施形態に係る液晶装置100は、上記回路基板15の基材部111の表面に第1の無機配向膜12を形成したものと、上記対向基板25の基材部123の表面に第2の無機配向膜22を形成したものとを枠状に設けたシール材(図示せず。)を介して貼り合わせ、そのシール材の枠内に液晶を充填し、上記液晶層30を形成した後、対向基板25の外面側に偏光板42を貼着することによって作製される。
【0066】
本発明では、上記基材部111,123の表面に上記第1及び第2の無機配向膜12,22となる多孔質無機膜を形成した後、この多孔質無機膜の表面にイオンビームを基板面に対して斜め方向から照射する。
【0067】
これにより、第1及び第2の無機配向膜12,22は、上述した多孔質無機膜の表面形状が変化することによって、配向膜としての機能が発現するものの、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aに多数の−OH基が発生し、耐湿性が悪化することになる。
【0068】
そこで、本発明では、上記第1及び第2の無機配向膜12となる多孔質無機膜の表面にイオンビームを照射した後に、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理を施す。
【0069】
これにより、表面部12a,22aに発生した−OH基と、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤とが反応し、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性が向上し、安定的にプレチルトが発現する。
【0070】
さらに、本発明では、上述した有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理を施した後に、第1及び第2の無機配向膜12,22の表面部12a,22aに対して、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理を施す。これにより、プレチルトの発現を安定的に確保したまま、これら無機配向膜12,22の表面部12a,22aにおける疎水性を更に向上させることができる。
【0071】
また、上記有機官能基がC1のシランカップリング剤として、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を用いることで、無機配向膜12,22の表面において良好な疎水性を得ることができ、耐湿性の向上を図ることができる。
【0072】
以上のように、本発明によれば、上述した耐光性や耐熱性に優れた配向力の高い無機配向膜12,22を形成することができる。したがって、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた上記液晶表示装置100を製造することが可能である。
【0073】
(プロジェクター)
次に、第1実施形態の透過型の液晶表示装置1を光変調手段として備えたプロジェクター(投射型表示装置)の構成について、図3を参照して説明する。図3は、液晶表示装置1を光変調装置として用いたプロジェクターの要部を示す概略構成図である。図3において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投写レンズを示す。
【0074】
光源810はメタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。青色光、緑色光反射のダイクロイックミラー813は、光源810からの光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、上述の本発明の一例たる液晶表示装置1を備えた赤色光用液晶光変調装置822に入射される。
【0075】
一方、ダイクロイックミラー813で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー814によって反射され、上述の本発明の一例たる液晶表示装置1を備えた緑色光用液晶光変調装置823に入射される。なお、青色光は第2のダイクロイックミラー814も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ818、リレーレンズ819、出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられ、これを介して青色光が上述の本発明の一例たる液晶表示装置1を備えた青色光用液晶光変調装置824に入射される。
【0076】
なお、本発明の液晶表示装置1は、シリコン酸化物等の無機材料から構成された配向膜を備えているので、プロジェクター用途として要求される耐光性及び耐熱性を備えたものとなっている。したがって、赤色、緑色、青色光用液晶光変調装置822、823、824は、信頼性の高い表示を行うことが可能となっている。
【0077】
各光変調装置により変調された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム825に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0078】
上記構造を有するプロジェクターは、上述の本発明の一例たる液晶表示装置1を備えたものであるので、高強度の光照射を行なっても配向膜の光劣化は従来ほど大きくは進行しない。したがって、長期間にわたって品質に優れた且つ安定した表示を行うことができる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、画素電極9及び共通電極21として、ITOに代えてIZO(インジウム亜鉛酸化物)を用いるようにしてもよい。
【0080】
また、本発明における液晶表示装置は、プロジェクターの光変調手段に好適に用いられるものの、これに限らず、例えば、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段としても用いることができ、何れにおいても信頼性が高く表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0082】
(実施例1)
実施例1では、上記第1の実施形態に係る液晶表示装置1と同様の構造を有する透過型液晶表示装置を作製した。具体的には、先ず、上記回路基板15の基材部11の表面に第1の無機配向膜12となる多孔質無機膜を形成したものと、上記対向基板25の基材部23の表面に第2の無機配向膜22となる多孔質無機膜を形成したものとを用意する。なお、画素電極9及び共通電極21には、ITOを用い、第1及び第2の無機配向膜12,22には、メチルシリケート、界面活性剤、メタノールを含む溶液をゾル・ゲル法を用いて成膜したSi、Oによるシロキサン骨格を持つ多孔質無機膜を用いた。
【0083】
次に、これら基材部11,23上に形成された膜厚100nmの多孔質無機膜の表面に対して、イオンビームを基板面に対して斜め上方方向から照射する異方性エッチングによる処理を行った。処理条件は、ビーム加速電圧を1000eV、ドーズ量を2E+16ion/cm、照射角度を基板面に対して70°とした。
【0084】
次に、イオンビームを照射した後は、無機配向膜12,22の表面に対してシランカップリング剤による処理を行った。具体的には、有機官能基がC10であるデシルトリメトキシシランを含む150℃のガス雰囲気中で90分保管する処理を行った。
【0085】
その後は、これら回路基板15と対向基板25とを枠状に設けたシール材を介して貼り合わせ、そのシール材の枠内に誘電率異方性が−5の液晶を充填し、上記液晶層30を形成した後、これら基板15,25の外面側に偏光板41,42を貼着することによって、実施例1の液晶表示装置を得た。
【0086】
(実施例2)
実施例2では、上記第2の実施形態に係る液晶表示装置100と同様の構造を有する反射型液晶表示装置を作製した。具体的には、先ず、上記回路基板15の基材部111のパッシベーション膜112が形成された表面に第1の無機配向膜12となる多孔質無機膜を形成したものと、上記対向基板25の基材部123のパッシベーション膜122が形成された表面に第2の無機配向膜22となる多孔質無機膜を形成したものとを用意する。なお、反射電極9にはAl合金、共通電極21にはITOを用い、第1及び第2の無機配向膜12,22には、メチルシリケート、界面活性剤、メタノールを含む溶液をゾル・ゲル法を用いて成膜したSi、Oによるシロキサン骨格を持つ多孔質無機膜を用いた。
【0087】
次に、これら基材部111,123上に形成された膜厚100nmの多孔質無機膜の表面に対して、イオンビームを基板面に対して斜め上方方向から照射する異方性エッチングによる処理を行った。処理条件は、ビーム加速電圧を1000eV、ドーズ量を2E+16ion/cm、照射角度を基板面に対して70°とした。
【0088】
次に、イオンビームを照射した後は、無機配向膜12,22の表面に対してシランカップリング剤による処理を行った。具体的には、有機官能基がC10であるデシルトリメトキシシランを含む150℃のガス雰囲気中で90分保管する処理を行った後、有機官能基がC1であるメチルトリメトキシシランを含む150℃のガス雰囲気中で90分保管する処理を行った。
【0089】
その後は、これら回路基板15と対向基板25とを枠状に設けたシール材を介して貼り合わせ、そのシール材の枠内に誘電率異方性が−5の液晶を充填し、上記液晶層30を形成した後、対向基板25の外面側に偏光板42を貼着することによって、実施例2の液晶表示装置を得た。
【0090】
(実施例3)
実施例3では、イオンビームを照射した後の無機配向膜12,22の表面に対して、有機官能基がC2であるエチルトリメトキシシランを含む150℃のガス雰囲気中で90分保管する処理を行った。それ以外は実施例1と同様の方法を用いて、実施例3の液晶表示装置を得た。
【0091】
(比較例1)
比較例1では、イオンビームを照射した後の無機配向膜12,22の表面に対して、シランカップリング剤による処理を行わなかった。それ以外は実施例1と同様の方法を用いて、比較例1の液晶表示装置を得た。
【0092】
(比較例2)
比較例2では、イオンビームを照射した後の無機配向膜12,22の表面に対して、有機官能基がC1であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)を含む150℃のガス雰囲気中で90分保管する処理を行った。それ以外は実施例1と同様の方法を用いて、比較例2の液晶表示装置を得た。
【0093】
(比較例3)
比較例3では、イオンビームを照射した後の無機配向膜12,22の表面に対して、有機官能基がC1であるメチルトリメトキシシランを含む150℃のガス雰囲気中で90分保管する処理を行った。それ以外は実施例1と同様の方法を用いて、比較例2の液晶表示装置を得た。
【0094】
そして、これら実施例1〜3及び比較例1〜3の液晶表示装置について、無機配向膜の表面における疎水性と、プレチルトが安定的に発現するかの評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
表1に示すように、実施例1〜3の液晶表示装置は、比較例1〜3の液晶表示装置よりも、無機配向膜の表面における疎水性が向上し、安定的にプレチルトが発現することが明らかとなった。
【符号の説明】
【0097】
1,100…液晶表示装置 15…回路基板 25…対向基板 11,23…基材部 12…第1の無機配向膜 22…第2の無機配向膜 30…液晶層、30a…液晶分子 111,123…基材部 112,121…パッシベーション膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持する液晶表示装置において、
前記一対の基板の前記液晶層と対向する側の面に、それぞれ前記液晶層の配向方向を制御する無機配向膜が設けられ、
前記無機配向膜の表面には、有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理が施されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記無機配向膜は、Si、Oを構成元素として含む多孔質膜からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
更に、前記無機配向膜の表面には、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記有機官能基がC1のシランカップリング剤がヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
一対の基板間に負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持する液晶表示装置の製造方法において、
前記基板の前記液晶層と対向する側の面に無機配向膜を形成する工程と、
前記無機配向膜の表面にイオンビームを基板面に対して斜め方向から照射する工程と、
前記無機配向膜の表面に有機官能基がC2以上のシランカップリング剤による処理を施す工程とを含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記無機配向膜として、Si、Oを構成元素として含む多孔質膜を用いることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項7】
更に、前記無機配向膜の表面に、有機官能基がC1のシランカップリング剤による処理を施す工程を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記有機官能基がC1のシランカップリング剤として、ヘキサメチルジシラザンを用いることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液晶表示装置、又は請求項5〜8の何れか一項に記載の方法により製造された液晶表示装置を備えることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−150336(P2012−150336A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9686(P2011−9686)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】