説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示装置において光源からの下面ノイズ光が光センサに入射し、また外光からの光が微弱であるため光センサの精度が低減する恐れがあった。
【解決手段】光センサ30下部に凹面形状型遮光部33を形成し、これにより下面ノイズ光110を遮光し、外光100を集光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特に光センサの低照度化を可能とする凹面形状型遮光部を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光センサをアレイ基板に内蔵した場合、バックライトユニットから照射された光が光センサに入力されノイズ光となり得るため、金属膜等の遮光部材をバックライトユニットと光センサの間に設け、外光測定性能を向上させる技術が検討されている。(特許文献1)
また当該遮光部材が金属膜であることを利用し、外光を反射し光センサの感度を向上させる技術も検討されている。(特許文献2)
光センサは外部からの光による入力が一定の閾値を上回らなければ動作に不具合が生じるため、側光に必要な光を確保できる点、有効な技術といえる。
【0003】
図4は従来構造におけるアレイ基板内蔵型光センサとその周辺を説明する断面図である。遮光部材により形成された下面遮光部32に外光100が反射し、反射光100bを利用することができる。
【特許文献1】特開2007−114315号公報
【特許文献2】特開2007−256963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし従来構造のように下面遮光部32が矩形薄箱型である場合、反射光100bが光センサ30の受光領域である真性ベース領域(Intrisic)35c(以下I領域35cという)へ入射する確率は低く、低照度化に寄与しづらいという問題点があった。
【0005】
本発明は上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は凹面形状型遮光部により外光を受光部に集光し、低照度化を可能とする光センサを有する液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の液晶表示装置はガラス基板上に多層薄膜を形成して構成したアレイ基板と、前記アレイ基板に液晶層を介して対向して配置された対向基板と、前記アレイ基板上にマトリクス状に配置された画素領域からなる表示領域と、前記表示領域に光を照射するバックライトユニットと、前記アレイ基板に形成され外光を検出する光センサと、前記バックライトユニットと前記光センサの間の前記多層薄膜内に形成された凹面形状型遮光部とを有し、前記凹面形状型遮光部は前記バックライトユニットからの光を遮光すると共に前記光センサの受光領域に前記外光を集光するよう形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば凹面状に形成された遮光部により、遮光部からの反射光を受光領域に集光することで、低照度感知可能な光センサを有する液晶表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は本実施の形態にかかる光センサ内蔵型液晶表示装置を示す斜視図である。
【0010】
液晶表示装置10は表示領域20を有するアレイ基板11と、このアレイ基板11に所定の隙間を保持して対向配置された対向基板12と、表示領域20を駆動する駆動LSI50と、外部LSIと接続するための接続フレキシブル基板60及び外光を受光する光センサ30を備え、アレイ基板11下面には光源となるLEDまたは冷陰極管からなるバックライトユニット40が配置される。
【0011】
図2は図1のA-A線に沿い切断した拡大断面図である。
【0012】
アレイ基板11と対向基板12とは表示領域20の周縁である額縁領域においてシール材14を用いて接合され、アレイ基板11と対向基板12とシール材14とで囲まれた領域に液晶層25が形成されている。またアレイ基板11、対向基板12の液晶層25の反対面には偏光板13a、13bが夫々配設されている。
【0013】
アレイ基板11は透明な絶縁基板としてのガラス基板11aと、このガラス基板11a上に形成された多層薄膜からなる下地部21と、詳細を後述する光センサ30と、光センサ30に入射する下面ノイズ光110を遮光し、反射光100bを集光する詳細を後述する凹面形状型遮光部33と、下地部21上に形成された複数のスペーサ23と、下地部21に成膜された図示しない配向膜とを備えている。
【0014】
また下地部21はガラス基板11aと接する側から順に積層された、アンダーコート層21a、ゲート絶縁膜21b、層間絶縁膜21cを備えている。
【0015】
光センサ30はシール材14よりも表示領域20に近い位置でかつ下地部21内に形成される。光センサ30上面は外部LSIとアレイ基板11を接続する配線部からの反射を防止するための上面遮光部31が形成されるが、光センサ30が外光100を取り入れる必要があるため、光センサ真上には樹脂遮光部31は形成されない。
【0016】
なおガラス基板11a上には複数の信号36及び複数のゲート線37が設けられ、信号線36とゲート線37の交差部近傍にスイッチング素子として、例えばTFT22が設けられている。
【0017】
表示領域20は、アレイ基板11上にマトリクス状に配置された複数の画素領域を有している。各画素領域は、TFT22、信号線36及び走査線等で形成されている。なお、図示しないが、この実施の形態において、各画素領域は、TFT22に電気的に接続された画素電極でも形成されている。
【0018】
図3は図2の破線部Rで示す光センサ30の実施構造と凹面形状型遮光部33の形成位置を説明する拡大断面図である。
【0019】
本実施形態における光センサ30は、横型のPINフォトダイオードで形成される。PINフォトダイオードは低濃度n型のカソード領域35a、高濃度p型アノード領域35b、及び前記アノード領域35bと比較し低濃度の不純物がドープされているI領域35cを有し、上記カソード領域35a、アノード領域35b及びI領域35cは半導体層35として形成されている。
【0020】
光センサ30はI領域35cにおける半導体リーク電流の特性を利用し、外光100の計測を行なう。具体的には半導体リーク電流が増加し電圧が低下する時間をコンパレータにより比較し、閾値電圧を下回りLOWとなった場合にラッチ回路を用い、駆動LSI内のソースドライバに信号を送り制御する。そのため外光100を受光領域であるI領域35cに入射する必要がある。
【0021】
なお半導体層35は非晶質シリコンか、ポリシリコンかを問わず使用することができるが、表示領域にてスイッチング素子として使用するTFTと同一の工程で形成する場合にはTFT半導体層と同一材料となる。
【0022】
またPINフォトダイオードを形成する際、レジストマスクを用いてもよいが、同時に形成するnチャネルTFTまたはpチャネルTFTのゲート電極の形成工程を用いて形成してもよい。
【0023】
次に凹面形状型遮光部33について説明する。当該凹面形状型遮光部33はアンダーコート層21aの深さまで形成され、凹面形状は入射光100aを集光する向きに形成されていることを特徴とする。
【0024】
ここでアンダーコート層21aはガラス基板11a上に形成され、ガラス基板11a上面にSiNx膜(0.05μm)、続いてSiOx膜(0.1μm)が成膜される。そのため凹面形状型遮光部33の深さd1は、最大でアンダーコート層21aの膜厚である0.15μmまで設けることができる。上記範囲内で凹面形状型遮光部33の深さd1をI領域35cへ反射光100bが集光するよう、最適な値に調整する。このため凹面形状型遮光部33の曲率を変化させ、反射光100bの集光効率を高めることが可能となる。
【0025】
また凹面形状型遮光部33の幅であるd2は、I領域35cに反射光100bが入射し、かつ下面ノイズ光110を遮光できる範囲で所望の幅に設定することができる。よって光センサ30の縮小化を図ることが可能となる。即ち、集光によるI領域35cへの光量が増加するため、閾値となるリーク電流を維持したままI領域35cの幅を縮小することができる。
【0026】
またこれに伴い凹面形状型遮光部33の幅d2を短縮することが可能となる。凹面形状型遮光部33幅d2に対する凹面型遮光部33の深さd1の値が大きくなり、曲率が上がることで、より集光効率を高めることが可能となるからである。
【0027】
次に本実施の形態による凹面形状の遮光部33形成工程について説明する。ガラス基板11a上にCVD法等によりSiOx及びSiNxからなるアンダーコート層21aを成膜する。その後、露光機の解像力以下のマスク、もしくはハーフ露光可能なマスクを使用し、凹面形状型遮光部33を生成する箇所にレジスト膜厚が薄くなるようレジストパターンを形成する。
【0028】
次にレジストパターンに対しドライエッチングを行なう。ここでレジストの膜厚は上記マスクにより凹面形状型遮光部33の形成部では薄く、その他の部分では厚く形成され、膜厚差が設けられている。ドライエッチング時エッチングにより削られる膜厚は一定である。そのためレジスト膜厚が薄い凹面形状型遮光部33の形成部では下層のSiOx膜をエッチングすることができ、これにより凹面形状を形成することが可能となる。
【0029】
次に反射率の高い金属膜、例えばモリブデンタングステン(MoW)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)等を用いて成膜し、パターニングすることで凹面形状型遮光部33を得ることができる。
【0030】
尚、当該凹面形状型遮光部33は表示領域中の各画素領域を形成するTFTまたは信号線36あるいは走査線を形成する工程と同一の工程で形成することにより、すなわち、凹面形状型遮光部33と、TFTまたは信号線36あるいは走査線とを同一材料で同時に形成することにより、製造工程数を増やすことなく液晶表示装置を形成することができる。また、凹面形状型遮光部33と、光センサ30用の配線とを同一材料で同時に形成しても上述した効果を得ることができる。ここで言う光センサ30用の配線とは、光センサ30に電気的に接続された配線である。
【0031】
上記のように構成された液晶表示装置によれば、光センサ30下部の凹面形状型遮光部33を、アンダーコート層21a中に形成することができるので、この凹面形状型遮光部33により光センサ30への下面ノイズ光110の入射を防ぐことができ、かつ外光100、反射光100bを併せて感知することができる。そのため例えば夜間時の光量不足によりリーク電流が一定値を上回らず、光センサ30での感知が困難な際にも、反射光100bを含めた感知が可能となる。このため数ルックス単位の低照度においても光センサ30の実行が可能となる。
【0032】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0033】
本実施形態ではPINフォトダイオードを用いた光センサ30の適用について述べたが、TFTを用いた場合にもダイオードと同様の効果を奏する。この場合、例えばp濃度の低い部分に反射光100bを入射し、光センサ30の低照度化を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】内蔵型光センサを有する液晶表示装置の実施構造を本実施の形態に適用した液晶表示装置を説明する斜視図。
【図2】内蔵型光センサを有する液晶表示装置の実施構造を本実施の形態に適用した液晶表示装置を説明する拡大断面図。
【図3】本発明の実施の形態にかかる光センサの実施構造と凹面形状型遮光部の形成位置を説明する拡大断面図。
【図4】従来構造における光センサとその周辺を説明する断面図。
【符号の説明】
【0035】
11…アレイ基板、12…対向基板、20…表示領域、21…下地部、22…薄膜トランジスタ(TFT)、30…光センサ、33…凹面形状型遮光部、35…半導体層、40…バックライトユニット、100…外光、110…下面ノイズ光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板上に多層薄膜を形成して構成したアレイ基板と、
前記アレイ基板に液晶層を介して対向して配置された対向基板と、
前記アレイ基板上にマトリクス状に配置された画素領域からなる表示領域と、
前記表示領域に光を照射するバックライトユニットと、
前記アレイ基板に形成され外光を検出する光センサと、
前記バックライトユニットと前記光センサの間の前記多層薄膜内に形成された凹面形状型遮光部と、
を有し、
前記凹面形状型遮光部は前記バックライトユニットからの光を遮光すると共に前記光センサの受光領域に前記外光を集光するよう形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記凹面形状型遮光部は前記画素領域を形成する信号線または走査線と同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記凹面形状型遮光部は前記光センサ用の配線と同一の材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−139648(P2009−139648A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316092(P2007−316092)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】