説明

液晶表示装置

【課題】液晶駆動用の配線のみならず光検出部に接続された配線の中間機能検査をも容易に行うことが可能な光検出部を有する液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の液晶表示装置1は、走査線GW及び信号線SWとICチップDrが搭載されるチップ搭載領域CAとが設けられたアレイ基板ARと、カラーフィルタ層23が設けられたカラーフィルタ基板CFと、光センサ30〜30を有する光検出部LD1と、光検出部LD1の配線に連結したセンサ引回し配線L1〜L3に接続された検出回路と、照光手段と、照光手段の明るさを制御する制御手段と、を備え、複数のセンサ引回し線L1〜L3のそれぞれに一端が接続され他端がチップ搭載領域CA内まで延設された複数のセンサ検査用配線31〜33が形成されると共にセンサ検査用配線31〜33の他端にはセンサ検査用端子34〜36がそれぞれ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関するものである。詳しくは、環境光を検知する光検出部を有し、この光検出部で検出された環境光の強さに応じて自動的に照光手段の明るさを制御するとともに、光センサ特性の検査を容易に行うことが可能な液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信機器のみならず、一般の電気機器においても液晶表示装置の適用が急速に普及している。液晶表示パネルは自ら発光しないために、照光手段としてのバックライトと組み合わされた透過型の液晶表示装置が最も多く使用されている。しかし、このような液晶表示装置、特に携帯電話機等に代表される小型の携帯情報端末に使用される液晶表示装置においては、消費電力を減少させるために、バックライトを必要としない反射型の液晶表示装置が多く用いられている。しかし、この反射型液晶表示装置は、環境光を照光手段として用いるので暗い室内などでは見えにくくなってしまうために、照光手段としてフロントライトを使用した反射型液晶表示装置や、透過型と反射型の性質を併せ持つ半透過型の液晶表示装置の開発が進められてきている。
【0003】
このうち、半透過型液晶表示装置は、暗い場所においては照光手段としてバックライトを点灯して画素領域の透過部を利用して画像を表示し、明るい場所においてはバックライト等を点灯することなく反射部において環境光を利用して画像を表示することができる。そのため、この半透過型液晶表示装置においては、常時バックライト等の照光手段を点灯する必要がなくなるので、消費電力を大幅に低減させることができるという利点を有している。
【0004】
また、透過型液晶表示装置においては、暗い場所ではバックライトの明るさを落としても明確に画像を確認できるが、明るい場所ではバックライトの明るさを強くしないと画像が視認し難いという特徴を有している。
【0005】
上述のように、各種の液晶表示装置は、環境光の強さにより液晶表示画面の見えやすさが異なる。このため、光検出器を液晶表示装置に設け、この光検出器によって環境光の明暗を検出し、光検出器の検出結果に基づいて照光手段の明るさを制御する発明が知られている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−203783号公報
【特許文献2】特開2006−215302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された表示装置によれば、表示装置に光センサを設けたことにより、この光センサの出力に基づいて照明部の制御を実行することができるようになる。ところで、この表示装置においては、光センサが液晶表示板アセンブリ(アレイ基板)上の周辺領域等に形成されている。そして、この周辺領域に配設された光センサに使用される配線は、液晶を駆動するために設けられた配線とは入出力される信号が全く異なるため異なる領域に引回される。しかしながら、このように液晶駆動用の配線とは異なる領域に引回された配線においても、液晶駆動用の配線と同様、断線や近接する他の配線との短絡等の配線不良が生じる恐れがあるため、製造工程において検査を行う必要がある。
【0007】
本出願人は、このような製造途中の配線の検査、すなわち中間機能検査の作業性を向上させるために、上記特許文献2に開示された液晶表示パネルを提案している。この液晶表示パネルは、ICチップに接続される各種配線、例えば信号線の端部から引出し線を延出し、この引出し線の端部に検査用の端子を形成するとともにこの検査用の端子を所定配列で形成したことで、この検査用の端子にピンあるいは導電ラバーからなる検査プローブを接触させて中間機能検査を行えるようにしたものである。しかしながら、このように作業性を向上させた液晶表示パネルにおいても、上記特許文献1の表示装置が有する光センサを備えた場合には液晶駆動用の各種配線と光センサに接続された配線が異なる位置に配線されるため、これらの配線の中間機能検査は別工程で行わざるを得ない。よって、この中間機能検査の検査時間及びそのコストが増大してしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、光検出部を有する液晶表示装置において、液晶駆動用の配線のみならず光検出部に接続された配線の中間機能検査をも容易に行うことが可能な液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願の液晶表示装置の発明は、マトリクス状に配設された複数の走査線及び信号線を備えるとともに液晶駆動用のICチップが搭載されるチップ搭載領域が設けられたアレイ基板と、カラーフィルタ層が設けられたカラーフィルタ基板と、を有する液晶表示パネルと、該液晶表示パネルに組み込まれた外光を検出する光センサを有する光検出部と、前記光検出部の複数の配線のそれぞれに連結したセンサ引回し配線を介して接続された検出回路と、前記液晶表示パネルを照光する照光手段と、該検出回路の出力に基づいて前記照光手段の明るさを制御する制御手段と、を備えた液晶表示装置において、前記アレイ基板上の少なくとも前記複数の信号線は、前記チップ搭載領域まで導出されて端部に前記ICチップのバンプ端子に接続されるバンプ用端子が形成され、前記複数のバンプ用端子からは、引出し線が前記チップ搭載領域内に向かって更に導出されて端部に検査用端子が形成されており、更に、前記複数のセンサ引回し線のそれぞれに一端が接続され他端が前記チップ搭載領域内まで延設された複数のセンサ検査用配線が形成されると共に前記センサ検査用配線の他端にはセンサ検査用端子がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、光検出部に接続されたセンサ引回し線が、センサ検査用配線によってチップ搭載領域まで延在され、センサ検査用配線の先端にはセンサ検査用端子が設けられているので、液晶駆動用の各配線の検査用端子とセンサ検査用端子とが一箇所に集められるため、中間機能検査を容易に行うことができるようになる。したがって、少ないプロセスでの中間機能検査により液晶駆動用の配線と光検出部の配線との両方が検査できるため、不良品に高価なICチップを実装することがなく、高い歩留まりで液晶表示装置を提供することができるようになる。
【0011】
また、上記発明において、前記カラーフィルタ基板に形成されたカラーフィルタ層は複数色からなると共に色毎に前記信号線に沿って設けられており、前記複数の検査用端子は対応する色毎に異なる列に位置するように複数列に配設されており、前記複数のセンサ検査用配線の他端に形成されたセンサ検査用端子は、それぞれ前記異なる列のそれぞれに位置するように配設されていると好ましい。
【0012】
上記好ましい態様によれば、検査用端子を色毎に異なる列に配設し、さらにセンサ検査用配線も異なる列に配設するようになせば、中間機能検査を行う際、センサ検査用配線に異なる電圧を簡単に印加することができるようになるので、中間機能検査の作業性の高い液晶表示装置を提供することができるようになる。
【0013】
また、上記発明において、前記光検出部の光センサはTFTからなるTFT光センサであると好ましい。
【0014】
上記好ましい態様によれば、光検出部の光センサをTFTで形成することにより、液晶表示装置においてスイッチング素子として一般に用いられるTFTと同様の製造工程で同時に形成することができるので、製造工数を少なくすることができる。
【0015】
また、上記発明において、前記TFT光センサは複数個設けられているとともに異なる系統の光を検出する第1、第2TFT光センサで構成されていると好ましい。
【0016】
上記好ましい態様によれば、TFT光センサを複数個設けると共に、この複数個のTFTをそれぞれ異なる系統の光を検出する第1、第2光センサとして駆動することにより、環境光をより正確に検出でき、またユーザの視認性に合わせた制御を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための液晶表示装置を例示するものであって、本発明をこの液晶表示装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視してアレイ基板を模式的に示した平面図である。図2は図1のII−II線で切断した概略断面図である。図3は図2のIII部分を拡大して示す拡大断面図である。図4は光検出部の等価回路図である。図5は図1においてドライバを取り外した状態のV部分の拡大図である。図6は各検査用端子に接触される検査治具を示す斜視図である。
【0019】
本実施形態に係る液晶表示装置1は、図1に示すように、矩形状の透明絶縁材料、例えばガラス板からなる透明基板10上に種々の配線等を施してなるアレイ基板ARと、アレイ基板ARの透明基板に対向配置される矩形状の透明絶縁材料からなる透明基板20上に種々の配線等を施してなるカラーフィルタ基板CFとを有するTN(Twisted Nematic)モードあるいはVAモード(Vertical Alignment)等で駆動する透過型又は半透過型液晶表示装置である。アレイ基板ARの透明基板10は、カラーフィルタ基板CFの透明基板20と対向配置させたときに所定スペースの張出し部10Aが形成されるようにカラーフィルタ基板CFの透明基板20よりサイズが大きいものが使用され、これらアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFの外周囲にはシール材2が貼付されて、内部に液晶LC及びセルギャップ調整用のスペーサ(図示省略)が封入された構成となっている。また、アレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFの外側表面には偏光板3がそれぞれ設けられている(図3参照)。
【0020】
アレイ基板ARは、それぞれ対向する短辺10a、10b及び長辺10c、10dを有し、一方の短辺10b側が張出し部10Aとなっており、この張出し部10Aに設けられたチップ搭載領域CA(図5参照)にはソースドライバ及びゲートドライバ用のICチップDrが搭載され、他方の短辺10a側には光検出部LD1が配設されている。また、アレイ基板ARの背面には照光手段としてのバックライト(図示省略)が設けられている。このバックライトは光検出部LD1の出力に基づいて、図示しない外部制御回路(制御手段)によって制御される。
【0021】
このアレイ基板ARの対向面、すなわち液晶LCと接触する面には、行方向(図1の横方向)に延在するとともに互いに所定間隔をあけて配列された複数本の走査線GWと、これらの走査線GWと絶縁されて列方向(図1の縦方向)に延在するとともに互いに所定間隔をあけて配列された複数本の信号線SWとが設けられている。これらの信号線SWと走査線GWとはマトリクス状に配線されており、互いに交差する走査線GWと信号線SWとで囲まれる各領域に、走査線GWからの走査信号によってオン状態となるスイッチング素子及び信号線SWからの映像信号がスイッチング素子を介して供給される画素電極が形成されている。なお、図2においては、走査線GW、信号線SW、スイッチング素子及び画素電極等の各構成をまとめて第1構造物11として示している。
【0022】
これらの走査線GWと信号線SWとで囲まれる各領域は、いわゆる画素を構成し、これらの画素が形成されたエリアが表示領域DAとなっている。また、スイッチング素子には例えば薄膜トランジスタ(TFT)が使用される。
【0023】
各走査線GW及び各信号線SWは、表示領域DAの外、すなわち額縁領域へ延出されてゲート引回し線GL及びソース引回し線SLにそれぞれ接続されている。そして、このゲート引回し線GL及びソース引回し線SLは表示領域DA外の外周辺の領域に引回されてICチップDrに接続されている。加えて、ゲート引回し線GLの外側には、表示領域DAを囲むようにコモン配線Vcomが配線されている。このコモン配線Vcomの端部はゲート引回し線GL及びソース引回し線SLと同様にICチップDrに接続されており、また、このコモン配線Vcomはアレイ基板ARの隅部に設けられたトランスファ電極Trを介してカラーフィルタ基板CFに設けられた共通配線(図示省略)に電気的に接続されている。
【0024】
また、このアレイ基板ARの一方の長辺10d側には後述する光検出部LD1の第1、第2TFT光センサLS1、LS2から導出されたセンサ引回し配線L1〜L3が引回されて端子T1〜T3に接続されている。各端子T1〜T3には外部制御回路が接続されており、この外部制御回路から光検出部LD1へ基準電圧等が供給され、さらに光検出部LD1からの出力が送出される。なお、光検出部LD1の構成については後に詳述する。
【0025】
カラーフィルタ基板CFの対向面、すなわち液晶LCと接触する面には、走査線GW、信号線SW、スイッチング素子及び額縁領域を覆うように遮光層22(図3参照)が形成され、また、表示領域DA内におけるこの遮光層22に囲まれた領域には、複数色、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の3色からなるカラーフィルタ層23(図3参照)が形成され、更に、このカラーフィルタ層23等を覆うように透明材料からなる保護膜25(図3参照)が形成されている。そして、表示領域DA内におけるこの保護膜25の表面には、トランスファ電極Trを介してコモン配線Vcomに接続された共通配線(図示省略)が設けられている。なお、図2においては、上述した各構成をまとめて第2構造物21として示している。また、上述のカラーフィルタ層23は、色毎にアレイ基板ARの信号線SWの延在方向に沿って設けられるようストライプ状に形成されている。
【0026】
次に、図3及び図4を参照して、光検出部LD1の構成について説明する。なお、図4においては、光センサ30〜30を合計6つのみ示しているが、この光センサ30〜30の数は6つに限定されることなく、2つ以上であれば適宜その数を変更することが可能である。
【0027】
光検出部LD1は、図1及び図4に示すように、第1TFT光センサLS1と第2TFT光センサLS2とから構成されている。また、この第1、第2TFT光センサLS1、LS2は、それぞれ複数個(図4ではそれぞれ3個)の光センサ30〜30及び30〜30を備えている。そして、第1TFT光センサLS1を構成する光センサ30〜30と第2TFT光センサLS2を構成する光センサ30〜30は互いに隣接しかつ平行な状態で、それぞれ一列に設けられている。
【0028】
これらの第1、第2TFT光センサLS1、LS2を構成する複数の光センサ30〜30の回路構成は、図4に示すように、ドレイン電極DP1〜DP6とソース電極SP1〜SP6間のそれぞれにコンデンサC〜Cが並列接続され、ソース電極SP1〜SP6とコンデンサC〜Cの一方の端子が引回し配線L1及びL2を介して端子T1及びT2に接続されており、さらに、この端子T1及びT2はスイッチ素子SW1及びSW2を介して第1基準電圧源Vs(例えば+2V)に接続されている。さらに、光センサ30〜30のドレイン電極DP1〜DP6及びコンデンサC〜Cの他方の端子は単一の引回し配線L3を介して端子T3に接続されており、この端子T3には所定の直流電圧を供給する第2基準電圧源Vrefが接続されている。さらに、端子T1及びT2には出力線がそれぞれ接続されており、この出力線に所定の出力電圧S及びSが出力されるようになっている。さらにまた、光センサ30〜30のゲート電極GP1〜GP6は引回し配線を介して図示しない所定の電圧供給源に接続されて所定の電圧GV(例えば−10V)が供給される。なお、端子T3は第2基準電圧源Vrefに接続されているものとしたが、これに限らず、例えば接地されていてもよい。また、図4においては各光センサ30〜30毎にコンデンサ30〜30を設けた構成を説明したが、これに限らず、例えば第1、第2TFT光センサLS1、LS2毎に比較的容量の大きなコンデンサを1つのみ設けるようにしても良い。
【0029】
なお、このように検出された出力電圧は、図示しない検出回路で環境光の強度の検出に用いられ、この検出された環境光の強度に基づいて、外部制御回路によりバックライトの制御がなされる。この検出回路としては、例えばスイッチ素子SW1、SW2のオン/オフに同期した公知のサンプリングホールド回路によってアナログ出力電圧に変換し、このアナログ出力電圧をA/D変換器によってデジタル変換した後にデジタル演算処理するものである。
【0030】
上述の回路構成を備える第1、第2TFT光センサLS1、LS2を構成する光センサ30〜30のうち、それぞれ1つの光センサ30及び光センサ30の配線構造について説明する。
先ず、第1TFT光センサLS1を構成する光センサ30は、図3に示すように、初めにゲート電極GP1を形成し、このゲート電極GP1上を覆うように透明絶縁材料からなるゲート絶縁膜12を形成する。次いで、ゲート絶縁膜GP1上に非晶質シリコン又は多結晶シリコンから構成され、環境光の受光部となる半導体層13を形成する。さらに、この半導体層13上には、この半導体層13の一側から半導体層13上に一部が重畳するようにソース電極SP1が形成される。また、同時にこの半導体層13の他側から同じく半導体層13上に一部が重畳するように複数本のドレイン電極DP1が形成される。そして、ソース電極SP1及びドレイン電極DP1の更に上層には、保護絶縁膜14が形成される。そして、このように形成された光センサ30の半導体層13のソース電極SP1及びドレイン電極DP1が重畳していない領域が光受光部分となるチャネル領域15を形成している。
【0031】
この光センサ30は、チャネル領域15に対向するカラーフィルタ基板CFの領域の遮光層22が取り除かれており、代わって平坦化膜25のみが配設されることで窓部24を形成している。そしてこの窓部24が環境光を透過することでチャネル領域15による受光がなされるようになっている。また、この窓部24の周囲が遮光層22によって遮光されているので、バックライトからの反射光等がチャネル領域15に照射されることがほとんどなく、環境光のみをより正確に受光することが可能となる。
【0032】
また、第2TFT光センサLS2を構成する光センサ30は、図3に示すように、このゲート電極GP4上を覆うように透明絶縁材料からなるゲート絶縁膜12を形成する。次いで、ゲート絶縁膜GP4上に非晶質シリコン又は多結晶シリコンから構成され、環境光の受光部となる半導体層13を形成する。さらに、この半導体層13上には、この半導体層13の一側から半導体層13上に一部が重畳するようにソース電極SP4が形成される。また、同時にこの半導体層13の他側から同じく半導体層13上に一部が重畳するように複数本のドレイン電極DP4が形成される。そして、ソース電極SP4及びドレイン電極DP4の更に上層には、保護絶縁膜14が形成される。そして、このように形成された光センサ30の半導体層13のソース電極SP4及びドレイン電極DP4が重畳していない領域が光受光部分となるチャネル領域15を形成している。
【0033】
この光センサ30は、チャネル領域15に対向するカラーフィルタ基板CFの領域の遮光層22が取り除かれており、代わって例えばG(緑)のカラーフィルタ層23と平坦化膜25とが配設されている。そして、環境光がこのカラーフィルタ層23を介してチャネル領域15に照射されることにより、第2TFT光センサLS2では第1TFT光センサLS1とは異なった出力が得られるようになる。なお、上述のようにカラーフィルタ層23としてG(緑)を用いたのは視認度が他の色に比べて高いためであり、G(緑)のカラーフィルタ層23を介して検出した環境光はよりユーザの視認性に近い形での検出結果となる。
【0034】
上述のような構成を備える光検出部LD1は、第1、第2TFT光センサLS1、LS2の光センサ30〜30のゲート電極GP1〜GP6に電圧供給源から端子T4及び引回し配線L4を介してゲートオフ領域となる一定の逆バイアス電圧GV(例えば−10V)を印加する。そしてドレイン電極DP1〜DP6とコンデンサC〜Cの一端にスイッチ素子SW1、SW2を介して第1基準電圧源Vsを接続し、スイッチ素子SW1の何れかをオンにして所定の電圧(例えば+2V)をコンデンサC〜C又はC〜Cの両端に印加した後、スイッチ素子SW1又はSW2をオフする。その後所定時間経過した段階でコンデンサC〜C又はC〜Cの充電電圧を出力線に出力して、この充電電圧を検出回路に供給することにより環境光の強度を検出することができる。
【0035】
次に、チップ搭載領域CAに配線された各種配線について、図1及び図5を参照して説明する。
チップ搭載領域CAの一方の長辺部分には、図1及び図5に示すように、ゲート引回し線GL、ソース引回し線SL及びコモン配線Vcomの端部が引回されている。そして、これらの配線が引回された長辺部分に対向する他方の長辺部分には、図示しないフレキシブルプリント配線基板(FPC)に接続されるFPC用引回し線FLの端部が引回されている。チップ搭載領域CAの各長辺部分に引回されたこれらの配線の端部には、ICチップDrのバンプ端子(図示省略)に接続されるバンプ用端子GB、SB、VB及びFBがそれぞれ形成されており、これらのバンプ用端子は表面に露出するように形成され、ICチップDrがこのチップ搭載領域CAに搭載された際に異方導電性接着剤等を介してICチップDrのバンプ端子と電気的に接続されることになる。なお、これらのバンプ用端子GB、SB、VB及びFBは図5ではチップ搭載領域CAの長辺に沿って一列に配列されるように図示したが、例えば隣接するバンプ用端子同士が異なる列上に位置するよう互い違いで2列に配設されるようにしても良い。
【0036】
上述のようにチップ搭載領域CAの一方の長辺部分に引回された各種配線は、それぞれ予め設定された領域に向かって引回されている。詳しく述べれば、ソース引回し線SLはチップ搭載領域CAの一方の長辺部分における中央部分に設けられたソース引回し領域SAに集結するように引回され、ゲート引回し線GLはこのソース引回し領域SAの両側部に設けられたゲート引回し領域GAに向かって左右から引回され、コモン配線Vcomはゲート引回し線領域GAの更に外側に設けられたコモン引回し領域VAに向かってそれぞれ引回されている。
【0037】
そして、これらの配線のうち、出力側の配線、すなわちゲート引回し線GL、ソース引回し線SL及びコモン配線Vcomの端部に形成されたバンプ用端子GB、SB及びVBからは、更に引出し線が導出され、さらにこの引出し線の端部には所定の規則性をもって検査用端子が設けられている。以下には、この引出し線及び検査用端子の配列構造について説明する。
【0038】
複数のソース引回し線SLの端部にそれぞれ形成されたバンプ用端子SBからは、チップ搭載領域CAの内部に向かってソース引出し線40R、40G、40Bが延びている。そして、このソース引出し線40R、40G、40Bの端部には、ソース検査用端子41R、41G、41Bが形成されている。複数本のソース引出し線40R、40G、40Bはその長さがそれぞれ異なっている。詳しく述べれば、このソース引出し線40R、40G、40Bのうち、表示領域DA内のR(赤)を表示する画素に信号を送る信号線SWに接続されたソース引出し線40Rは他のソース引出し線40G、40Bに比して最も長く、表示領域DA内のB(青)を表示する画素に信号を送る信号線SWに接続されたソース引出し線40Bは他のソース引出し線40R、40Gに比して最も短く、残ったソース引出し線40Gはソース引出し線40Rより短く且つソース引出し線40Bより長く形成されている。このようにソース引出し線40R、40G、40Bの長さを可変することにより、これらのソース引出し線40R、40G、40Bに接続されたソース検査用端子41R、41G、41Bは同一色の画素を表示する信号線SWに接続されたもの毎に合計3列に配列することになる。
【0039】
複数のゲート引回し線GLの端部にそれぞれ形成されたバンプ用端子GBからは、チップ搭載領域CAの内部に向かってゲート引出し線45P、45Sが延びている。そして、このゲート引出し線45P、45Sの端部には、ゲート検査用端子46P、46Sが形成されている。複数本のゲート引出し線45P、45Sはその長さがそれぞれ異なっている。詳しく述べれば、このゲート引出し線45P、45Sのうち、奇数番目の走査線GWに接続されたゲート引出し線45Pは他のゲート引出し線45Sに比して長く、反対に偶数番目の走査線GWに接続されたゲート引出し線45Sは他のゲート引出し線45Pに比して短く形成されている。このようにゲート引出し線45P、45Sの長さを可変することにより、これらのゲート引出し線45P、45Sに接続されたゲート検査用端子46P、46Sは奇数番目と偶数番目とで互い違いに、合計2列に配列することになる。
【0040】
コモン配線Vcomの端部に形成されたバンプ用端子VBからは、チップ搭載領域CAの内部に向かってコモン引出し線50が延びている。そして、このコモン引出し線50の端部には、コモン検査用端子51が形成されている。なお、このコモン検査用端子51は他の端子の検査等に支障を来たさない位置に設けておけばよい。
【0041】
上述した構成に加えて、本実施形態に係る液晶表示装置1には、図5に示すように、光検出部LD1から延在する3本の引回し線L1〜L3の中間機能検査を行うための構成が設けられている。詳しくは、この液晶表示装置1は、引回し線L1〜L3が接続された端子T1〜T3に一端が接続され、他端にはセンサ検査用端子34〜36がそれぞれ設けられた3本のセンサ検査用配線31〜33が設けられている。
【0042】
このセンサ検査用配線31〜33は、端子T1〜T3からチップ搭載領域CAに向かって延在しており、その端部はチップ搭載領域CA内のソース引回し領域SAとゲート引回し領域GAとの間に形成されたセンサ検査用配線引回し領域PAまで延びている。そして、これら3本のセンサ検査用配線31〜33の端部に設けられるセンサ検査用端子34〜36は、それぞれ異なる位置に配設されている。すなわち、例えば図5に示すように、センサ検査用配線31、端子T1及び引回し線L1を介して第1光センサLS1のソース電極SP1〜SP3に接続されたセンサ検査用端子34はソース検査用端子41Rが配列された列の延長線上に配設され、センサ検査用配線32、端子T3及び引回し線L3を介して第1、第2光センサLS1、LS2のドレイン電極DP1〜DP6に接続されたセンサ検査用端子35はソース検査用端子41Gが配列された列の延長線上に形成され、センサ検査用配線33、端子T2及び引回し線L2を介して第2光センサLS2のソース電極SP4〜SP6に接続されたセンサ検査用端子36はソース検査用端子41Bが配列された列の延長線上に配設される。
【0043】
このように、複数のセンサ検査用端子34〜36をそれぞれ異なる位置に配列された他の配線の検査用端子(例えばソース検査用端子40R、40G、40B)と同列に配置することにより、後の中間機能検査において検査治具70(図6参照)の接触作業を統一して行うことができるようになる。そこで、以下には上述の構成を備える液晶表示装置1の中間機能検査に用いられる検査治具70及びその検査方法について説明を行う。なお、図6には、検査治具70の複数の導電材料がチップ搭載領域CA内の何れの領域に対応するかが分かるよう、各導電材料に対応する領域の符号をも付与している。
【0044】
本実施形態の液晶表示装置1の中間機能検査に用いられる検査治具70は、図6に示すように、絶縁性のラバー74上に複数の導電材料が設けられたものである。そして、この導電材料を介して各検査用端子に所定の電圧を印加することにより中間機能検査を実行する。この導電材料は、ソース接触部材71R、71G、71Bと、ゲート接触部材72P、72Sとコモン接触部材73とで構成されている。
【0045】
ソース接触部材71R、71G、71Bは、3本の帯状導電材が所定間隔をおいて平行に配設されたものである。また、この3本のソース接触部材71R、71G、71Bのうち、ソース接触部材71Rは、図5においてソース検査用端子41Rが配列された領域61Rに接触し、ソース接触部材71Gは、図5においてソース検査用端子41Gが配列された領域61Gに接触し、ソース接触部材71Gは、図5においてソース検査用端子41Gが配列された領域61Gに接触するようにその位置が調整されている。そして、このソース接触部材71R、71G、71Bの長手方向の長さは、ソース引回し領域SAに加えてセンサ検査用配線引回し領域PAをも覆うことができるように調整されており、以ってソース接触部材71R、71G、71Bはセンサ検査用端子34〜36にも接触するようになっている。
【0046】
また、ゲート接触部材72P、72Sは、ソース接触部材71R、71G、71Bの長手方向両端部に近接する位置に、2本ずつ計4本の帯状導電材が所定間隔をおいて平行に配設されたものである。また、この4本のゲート接触部材72P、72Sのうち、ゲート接触部材72Pは、図5において奇数番目のゲート検査用端子46Rが配列された領域62Pに接触し、ゲート接触部材72Sは、図5において偶数番目のゲート検査用端子46Sが配列された領域62Sに接触するようにその位置が調整されている。さらに、コモン接触部材73は、ゲート接触部材72P、72Sの長手方向両端部のうち外側に位置する端部に近接する位置にそれぞれ配設された矩形状導電材で構成されるものである。
【0047】
上述の検査治具70を用いた液晶表示装置1の中間機能検査に関し、以下に説明する。
この中間機能検査は、ICチップDrをチップ搭載領域CAに搭載する直前に行うものである。先ず、既に配線等が形成され互いに対向させて貼り合わされたアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFの間に液晶LCを封入する。そして、チップ搭載領域CAに検査治具70を載置する。この検査治具70の載置を行う際には、検査治具70の各導電材料(ソース接触部材71R、71G、71B、ゲート接触部材72P、72S及びコモン接触部材73)を、チップ搭載領域CA内の導電材料接触領域(61R、61G、61B、62P、62S、63)に位置合わせした状態で載置される。そして、検査治具70の各導電材料に所定の電圧を印加することによって走査線GW、信号線SW及びコモン配線Vcomの配線検査を実行する。
【0048】
上述の検査が終了すると、次いで、光検出部LD1の機能検査を実行する。詳しくは、例えばソース接触部材71Gに所定の電圧、例えば第2基準電圧源Vrefから供給される電圧と同様の電圧を印加した状態で、予め調節された光を第1、第2TFT光センサLS1、LS2に照射する。この状態で、先ずソース接触部材71Rに所定の電圧、例えば第1基準電圧源Vsから供給される電圧と同様の電圧を所定時間印加した後、所定時間経過後の第1TFT光センサLS1からの出力を検出する。そして、この検出された出力と、予め求めておいた理論値とを対比することにより、第1TFT光センサLS1が所望の動作を行っているか否かを検査する。次に、上述した第1TFT光センサLS1の検査方法と同様の工程で、ソース接触部材71Bに所定の電圧を印加した後、第2TFT光センサLS2からの出力を検出することにより、第2TFT光センサLS2の検査を行う。
【0049】
このように、本発明の液晶表示装置1においては、中間機能検査時に、検査治具70の取替えあるいは載置位置の変更を行うことなく、単にソース接触部材71R、71G、71Bに印加する電圧を変更するだけで光検出部LD1の中間機能検査をも行うことができる。したがって、この中間機能検査の工程を簡略化することが可能であると共に、高価なICチップDrをチップ搭載領域CAに搭載する前に、光検出部LD1を含めた機能検査が行えるので、ICチップDrの無駄をなくすることができる。
【0050】
なお、上記実施形態の液晶表示装置1においては、光検出部LD1から3本の引回し線L1〜L3が引回されている例について説明したが、この引回し線の本数は3本に限定されず、2本の場合、あるいは4本の場合などもある。また、本実施形態では3本の引回し線L1〜L3を3種類のソース検査用端子41R、41G、41Bと同列上にそれぞれ形成したが、引回し線の本数が可変した場合などにはその他の検査用端子と同列上に形成しても良いし、例えばセンサ検査用端子34及び36を同列上に設けるようにしても良く、光検出部LD1から引回された引回し線の本数及び検査工程によって、センサ検査用端子の配設位置は適宜変更することができる。
【0051】
また、上記実施形態に示した液晶表示装置1においては、この液晶表示装置1としてTNモードあるいはVAモードで駆動するものを説明したが、これに限定されることなく、例えば画素電極と共通電極が何れもアレイ基板ARに形成されるIPS(In-Plane Switching)モードあるいはFFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置にも同様に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視してアレイ基板を模式的に示した平面図である。
【図2】図2は図1のII−II線で切断した概略断面図である。
【図3】図3は図2のIII部分を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】図4は光検出部の等価回路図である。
【図5】図5は図1においてドライバを取り外した状態のV部分の拡大図である。
【図6】図6は各検査用端子に接触される検査治具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1:液晶表示装置 2:シール材 10、20:透明電極 12:ゲート絶縁膜 13:半導体層 14:保護絶縁膜 15:チャネル領域 22:遮光層 23:カラーフィルタ層 24:窓部 25:保護膜 30〜30:光センサ 31〜33:センサ検査用配線 34〜36:センサ検査用端子 40R〜40B:ソース引出し線 41R〜41B:ソース検査用端子 45P、45S:ゲート引出し線 46P、46S:ゲート検査用端子 50:コモン引出し線 51:コモン検査用端子 61R、61G、61B、62P、62S、63:導電材料接触領域 70:検査治具 71R、71G、71B:ソース接触部材 72P、72S:ゲート接触部材 73:コモン接触部材 AR:アレイ基板 CF:カラーフィルタ基板 GW:走査線 SW:信号線 GL:ゲート引回し線 SL:ソース引回し線 Vcom:コモン配線 GB、SB、VB:バンプ端子 GA:ゲート引回し領域 SA:ソース引回し領域 VA:コモン引回し領域 PA:センサ検査用配線引回し領域 Dr:ICチップ CA:チップ搭載領域 DA:表示領域 LD1:光検出部 LS1:第1TFT光センサ LS2:第2TFT光センサ GP1〜GP6:(光センサの)ゲート電極 SP1〜SP6:(光センサの)ソース電極 DP1〜DP6:(光センサの)ドレイン電極 C〜C:コンデンサ L1〜L3:(センサ)引回し配線 T1〜T3:端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配設された複数の走査線及び信号線を備えるとともに液晶駆動用のICチップが搭載されるチップ搭載領域が設けられたアレイ基板と、カラーフィルタ層が設けられたカラーフィルタ基板と、を有する液晶表示パネルと、該液晶表示パネルに組み込まれた外光を検出する光センサを有する光検出部と、前記光検出部の複数の配線のそれぞれに連結したセンサ引回し配線を介して接続された検出回路と、前記液晶表示パネルを照光する照光手段と、該検出回路の出力に基づいて前記照光手段の明るさを制御する制御手段と、を備えた液晶表示装置において、
前記アレイ基板上の少なくとも前記複数の信号線は、前記チップ搭載領域まで導出されて端部に前記ICチップのバンプ端子に接続されるバンプ用端子が形成され、前記複数のバンプ用端子からは、引出し線が前記チップ搭載領域内に向かって更に導出されて端部に検査用端子が形成されており、更に、前記複数のセンサ引回し線のそれぞれに一端が接続され他端が前記チップ搭載領域内まで延設された複数のセンサ検査用配線が形成されると共に前記センサ検査用配線の他端にはセンサ検査用端子がそれぞれ形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記カラーフィルタ基板に形成されたカラーフィルタ層は複数色からなると共に色毎に前記信号線に沿って設けられており、前記複数の検査用端子は対応する色毎に異なる列に位置するように複数列に配設されており、前記複数のセンサ検査用配線の他端に形成されたセンサ検査用端子は、それぞれ前記異なる列のそれぞれに位置するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光検出部の光センサは薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という)からなるTFT光センサであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記TFT光センサは複数個設けられているとともに異なる系統の光を検出する第1、第2TFT光センサで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−192990(P2009−192990A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35955(P2008−35955)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】