液晶表示装置
【課題】液晶変調素子に新たなスイッチング部やイオントラップ電極等の構成を追加することなく、液晶層内での荷電性粒子の堆積による影響を回避する。
【解決手段】液晶表示装置は、光源301からの光を変調する液晶変調素子3R,3G,3Bと、該液晶変調素子を制御する制御手段302,303とを有する。液晶変調素子は、第1及び第2の電極103,107、液晶層105、第1及び第2の配向膜104,106を含む。制御手段は、液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与えて液晶変調素子に光変調動作を行わせる。制御手段は、光源が消灯された状態において、液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を第1及び第2の電極にそれぞれ与える。
【解決手段】液晶表示装置は、光源301からの光を変調する液晶変調素子3R,3G,3Bと、該液晶変調素子を制御する制御手段302,303とを有する。液晶変調素子は、第1及び第2の電極103,107、液晶層105、第1及び第2の配向膜104,106を含む。制御手段は、液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与えて液晶変調素子に光変調動作を行わせる。制御手段は、光源が消灯された状態において、液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を第1及び第2の電極にそれぞれ与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶変調素子を用いたプロジェクタ等の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶変調素子には、透明電極(共通電極)を有する第1の透明基板と、画素を形成する透明電極(画素電極)や配線、スイッチング素子等を有する第2の透明基板との間に誘電異方性が正であるネマチック液晶を封入したものがある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚のガラス基板間で連続的に90°ねじった、いわゆるTN(Twisted Nematic)液晶変調素子と称され、透過型の液晶変調素子として用いられている。また、上記第2の透明基板に代えて、反射鏡、配線及びスイッチング素子等を有する回路基板を用いたものもある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚の基板に対してほぼ垂直にモメオトロピック配向させた、いわゆるVAN(Vertical Arrangement Nematic)液晶変調素子と称され、反射型液晶変調素子として用いられている。
【0003】
これらの液晶変調素子では、一般に、ECB(Electrically Controlled Birefringence)効果を利用し、液晶層を通過する光波動に対してリタデーションを与える(偏光状態を変化させる)作用を制御して画像を形成する。
【0004】
このようなECB効果を用いて光強度を変調する液晶変調素子においては、液晶層に電界を印加することによって、該液晶層に存在する荷電性粒子(イオン性物質)が移動する。液晶層に直流電界を与え続けると、荷電性粒子が、対向する2つの電極のどちらかに引き寄せられる。これにより、電極に与えられる電圧が一定であっても、液晶層に与えられる電界が荷電性粒子の電荷によって増減し、実質的に液晶層へ印加される電界が減衰又は増大する。
【0005】
このような現象を回避するために、一般に、配列画素のラインごとに、印加する電界の正負極性を反転し、かつ該極性を60ヘルツ等の所定周期で切り換えるライン反転ドライブ方法が採用される。また、配列画素の全てに印加する電界の正負極性を所定周期で反転するフィールド反転ドライブ方法も用いられる。これらのドライブ方法により、液晶層にかかる電界が一定の極性にならないようにし、イオンの偏りを防止することができる。
【0006】
このことは、液晶層に対する実効電界を、電極に印加される電圧に対して常に同じ値となるようにすることに相当する。
【0007】
ところが、液晶層の内部や液晶層を囲む外壁材等にも荷電性粒子が存在しており、特に高温環境下において液晶を駆動することで、これらの荷電性粒子がドリフト(移動)する。そして、これらの荷電性粒子は、液晶層内部で直流電界成分となり、液晶層界面の配向膜又は電極界面に付着し、液晶分子の配向方向に沿ってドリフト及び堆積することになる。
【0008】
また、有機配向膜を有する液晶変調素子においては、高温環境下において液晶を駆動することによる荷電性粒子のドリフトに加え、液晶変調素子に光が入射することによって配向膜や液晶やシール材等の有機材料が分解されて荷電性粒子が発生する。これらの荷電性粒子も、液晶層内部で直流電界成分となり、液晶層界面の配向膜又は電極界面に付着し、さらに液晶分子の配向方向にドリフト及び堆積する。
【0009】
そして、液晶層の特定領域に堆積した荷電性粒子によって、液晶に印加される実効電界が変化することで、所望のECB変調が行われず、画像の品位を劣化させる。例えば、液晶表示素子の有効表示領域内で輝度むらを生じさせる。
【0010】
このような問題に関する対策が、特許文献1〜4にて開示されている。
【0011】
特許文献1には、画像表示動作時以外のときに、液晶セルの画素電極及び対向電極の少なくとも一方の電位をグランドレベルにすることによって、焼きつき現象を起こす要因となるイオンを配向膜や電極界面から解離させる方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献2には、液晶変調素子の非表示領域にイオントラップ電極領域を設け、該イオントラップ電極に直流電圧を印加することで画像表示に影響を与えない非表示領域のイオントラップ電極領域に不純物イオンを吸着する方法が開示されている。
【0013】
また、特許文献3には、画素電極と異なる位置に金属膜電極を配置し、金属膜電極と共通電極との間に直流電圧を印加することで、表示領域における可動性イオンの濃度を低減し、フリッカー現象を抑制する方法が開示されている。
【0014】
さらに、特許文献4には、液晶封入口近傍の2枚の電極基板に設けられた対向する面に、透明電極と独立して設置されたイオントラップ電極を設け、このイオントラップ電極に電圧を印加してイオン性不純物をトラップする方法が開示されている。
【0015】
以上のように、外部からの電圧制御によって液晶変調素子内部の荷電性粒子をコントロールすることで、画像表示の品位を良好にすることが可能である。
【特許文献1】特開2005−55562号公報
【特許文献2】特開平8−201830号公報
【特許文献3】特開平11−38389号公報
【特許文献4】特開平5−323336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1にて開示された方法では、液晶変調素子の回路内部に対向電極をグランドレベルに落とすためのスイッチング部を設ける必要があるため、液晶変調素子の製造工程が増える。また、対向電極をグランドレベルにするだけでは、配向膜や電極界面に付着しているイオンを引き剥がす力がクーロン力に比べて弱く、効果が低い。
【0017】
また、特許文献2〜4にて開示されている方法では、非表示領域に新たにイオンを引き寄せるイオントラップ電極を設けるため、やはり製造工程が増加する。しかも、イオン不純物の引き寄せはクーロン力で行われるが、クーロン力は距離の2乗に反比例するため、イオントラップ電極から離れた位置に発生するイオンを効率良く引き寄せることができない。
【0018】
本発明は、液晶変調素子に新たなスイッチング部やイオントラップ電極等の構成を追加することなく、液晶層内での荷電性粒子の堆積による影響を回避できるようにした液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一側面としての液晶表示装置は、光源からの光を変調する液晶変調素子と、該液晶変調素子を制御する制御手段とを有する。液晶変調素子は、第1の電極及び第2の電極、第1の電極と第2の電極との間に配置された液晶層、第1の電極と液晶層との間に配置された第1の配向膜、及び第2の電極と前記液晶層との間に配置された第2の配向膜を含む。また、制御手段は、液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与えて液晶変調素子に光変調動作を行わせるる。そして、制御手段は、光源が消灯された状態において、液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を第1及び第2の電極にそれぞれ与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、光変調動作用の電位が与えられる第1及び第2の電極に対して、光源消灯状態において、液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を与える。これにより、液晶層内で分布を持って存在する荷電性粒子を強制的に該液晶層内に拡散させることができる。このため、液晶変調素子に新たなスイッチング部やイオントラップ電極等の構成を追加することなく、さらに第3及び第4の電位の印加による不自然な画像を観察者に見せることなく、荷電性粒子の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
図1には、本発明の実施例1である液晶表示装置としての液晶プロジェクタ(画像投射装置)の構成を示している。
【0023】
303は液晶パネルドライバである。該ドライバ303には、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置350から、映像信号、水平同期信号(Hsync)及び垂直同期信号(Vsync)が入力される。ドライバ303は、これらの入力信号から、レッド用、グリーン用及びブルー用パネル駆動信号を生成する。各パネル駆動信号は、反射型液晶変調素子であるレッド用液晶パネル3R、グリーン用液晶パネル3G及びブルー用液晶パネル3Bにそれぞれ入力される。これにより、3つの液晶パネル3R,3G,3Bは互いに独立に駆動される。
【0024】
液晶パネル3R,3G,3Bは、パネル駆動信号に応じた光変調動作によって後述する光源からの光(色分解された光)を変調する。これにより、画像供給装置350から入力された画像情報の各色成分に応じた画像を表示する。
【0025】
301は光源であり、不図示のランプからの光を偏光方向が揃った直線偏光光(図の紙面に垂直な偏光方向を有するS偏光)に変換して照明光として射出する。
【0026】
光源301からの照明光は、マゼンタ色を反射してグリーン色を透過するダイクロイックミラー305に入射する。照明光のうちマゼンタ色成分はこのダイクロイックミラー305で反射され、ブルー色の偏光に半波長のリタデーションを与えるブルークロスカラー偏光子311を透過する。これにより、図の紙面に平行な偏光方向を有するブルー色の直線偏光(P偏光)と、図の紙面に垂直な偏光方向を有するレッド色の直線偏光(S偏光)とが生成される。
【0027】
ブルー色のP偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ310に入射し、その偏光分離膜を透過して、ブルー用液晶パネル3Bに導かれる。また、レッド色のS偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ310の偏光分離膜で反射されて、レッド用液晶パネル3Rに導かれる。
【0028】
一方、ダイクロイックミラー305を透過したグリーン色の直線偏光光(S偏光)は、光路長を補正するためのダミーガラス306を透過し、第2の偏光ビームスプリッタ307に入射する。グリーン色のS偏光は、第2の偏光ビームスプリッタ307の偏光分離膜で反射されて、グリーン用液晶パネル3Gに導かれる。
【0029】
このようにして、レッド用、グリーン用及びブルー用液晶パネル3R,3G,3Bは照明光によって照明される。
【0030】
そして、各液晶パネルに入射した光は、各液晶パネルに配列された画素の変調状態に応じて偏光のリタデーションが付与されるとともに、該液晶パネルによって反射されて射出する。反射光のうち照明光と同じ偏光方向を有する偏光成分は、照明光の光路を逆に辿って光源301側に戻る。
【0031】
また、反射光のうち照明光の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する偏光成分(変調光)は以下のように進む。P偏光であるレッド用液晶パネル3Rによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ310の偏光分離膜を透過する。次に、レッド色の偏光に半波長のリタデーションを与えるレッドクロスカラー偏光子312を透過してS偏光とされる。そして、該レッド色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ308に入射し、その偏光分離膜で反射されて、投射光学系304に導かれる。
【0032】
S偏光であるブルー用液晶パネル3Bによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ310の偏光分離膜で反射され、レッドクロスカラー偏光子312をリタデーション作用を受けることなく透過して第3の偏光ビームスプリッタ308に入射する。該ブルー色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ308の偏光分離膜で反射されて、投射光学系304に導かれる。
【0033】
P偏光であるグリーン用液晶パネル3Gによる変調光は、第2の偏光ビームスプリッタ307の偏光分離膜を透過して、光路長を補正するためのダミーガラス309を透過し、第3の偏光ビームスプリッタ308に入射する。該グリーン色のP偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ308の偏光分離膜を透過して、投射光学系304に導かれる。
【0034】
こうして色合成された3色の変調光は、投射光学系304によって被投射面である光拡散スクリーン313に投射される。これにより、フルカラー画像が表示される。
【0035】
本実施例にて用いられているレッド用液晶パネル3R、グリーン用液晶パネル3G及びブルー用液晶パネル3Bは、垂直配向モード(例えば、VAN型)の反射型液晶変調素子である。
【0036】
320は該プロジェクタの電源スイッチである。液晶パネルドライバ303は、該電源スイッチ320のオン/オフ操作(投入/遮断操作)に応じて電源制御部302に対して指令信号を出力する。電源制御部302は、液晶パネルドライバ303からの指令信号に応じて、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給のオン/オフと、光源301への電源供給のオン/オフ(点灯/消灯)を制御する。液晶パネルドライバ303及び電源制御部302とにより制御手段が構成される。
【0037】
図2には、レッド用液晶パネル3R、グリーン用液晶パネル3G及びブルー用液晶パネル3Bに共通の断面構造を示している。
【0038】
光源301からの照明光が入射する側から順に、101はARコート膜、102はガラス基板である。また、103はガラス基板102上に形成されたITO等により形成される透明電極膜(第1の電極)である。104は透明電極膜103と後述する液晶層との間に配置された第1の配向膜である。105は第1の配向膜104と第2の配向膜106との間に配置された液晶層である。107は透明電極膜103に対向配置され、アルミ等の金属により形成された反射画素電極層(第2の電極)である。108は反射画素電極層107が形成されたSi基板である。なお、透明電極膜103及び反射画素電極層107は、一般に対向電極とも称される。以下の説明では、透明電極膜103及び反射画素電極層107を電極層という場合もある。
【0039】
本実施例の液晶パネルは、フルHD規格に相当する1920×1080画素を有し、有効表示領域のサイズは15mm×10mmである。
【0040】
図10には、光源301が点灯されて液晶パネル3R,3G,3Bによる光変調動作が行われる状態(光変調動作状態又は表示駆動状態)において液晶パネルドライバ303によって電極層103,107に印加される電圧を示している。横軸は時間、縦軸は印加電圧を示す。液晶パネルドライバ303は、コンピュータプログラムを内部に格納し、該プログラムに従って、電極層103,107への印加電圧を制御する。
【0041】
なお、以下の説明において、各電極又は液晶層への印加電圧とは、不図示のグランド(0V)を基準とした電位(グランドとの間の電位差)を意味する。
【0042】
反射画素電極層107には、特定周期で正の電圧120と負の電圧121とに交互に切り換わる交流電圧(第2の電位)V107が印加される。また、透明電極膜103には、直流電圧(第1の電位)V103が印加される。
【0043】
液晶層105に生じる実効電界は、これら交流電圧V107と直流電圧V103との差に応じて発生し、特定周期で正の電界と負の電界とが交互に切り換わる交流電界である。すなわち、液晶層105に生じる電位差が正と負とに周期的に変化する。言い換えれば、本実施例では、液晶層105に生じる電界の符号が周期的に反転するように(正と負とに周期的に変化するように)両電極層103,107に電位(電位差)を与えて液晶パネルに光変調動作を行わせる。一般に、いわゆるフリッカーを抑制するために、液晶層105に生じる正の電位差と負の電位差の大きさが互いに等しくなるように両電極層103,107への印加電圧が設定される。
【0044】
ここで、特定周期は、NTSC方式では1/120秒、PAL方式では1/100秒であり、1フィールドの周期に相当する。2つのフィールド周期(1/60秒又は1/50秒)で1フレーム画像が表示される。ただし、特定周期は、1フレーム画像の表示周期に相当するものであってもよい。
【0045】
また、液晶層105に生ずる電界は、両電極層103,107に与えられる電圧(電界)に、配向膜104,106の抵抗による電圧降下や、各配向膜でトラップされる電荷(電子やホールの電荷)の作り出す微小な電圧(電界)が全て重畳されたものである。
【0046】
図3には、液晶パネルをガラス基板102側から見て示している。110は第1の配向膜104によって配向された液晶分子の配向方向であるダイレクタ方向(プレチルト方向)である。111は第2の配向膜106によって配向された液晶分子の配向方向であるダイレクタ方向(プレチルト方向)である。ダイレクタ方向110及び111はともに配向膜面の法線に対して数度傾いており、かつ傾く方向が互いに相反している。
【0047】
112は液晶パネルの有効表示領域である。有効表示領域112の短辺112a及び長辺方向112bに対して約45度の方向に配向処理がなされている。
【0048】
プロジェクタでは、高輝度なランプからの光照射により、液晶パネル3R,3G,3Bの温度が上昇し、常温動作環境下においては約40度になるように制御される。しかし、プロジェクタを長期間使用すると、液晶パネル3R,3G,2Bは長期間にわたって昇温状態(高温状態)となり、さらに液晶分子が画像表示のために駆動されることで、以下のような問題が生じる。
【0049】
図4は液晶パネルの断面図、図5は液晶パネルをガラス基板102側から見た図である。図4及び図5に示すように、液晶層105の内部やその周辺の有機物質であるシール材料、第1の配向膜104,第2の配向膜106及び電極層103,107等の界面付近には、荷電性粒子113が存在する。この荷電性粒子113は、上記長期間使用によって、液晶層105と反射画素電極層107側の第2の配向膜106との界面に沿って液晶分子のダイレクタ方向(第1の方向)に進み、有効表示領域112の第2の配向膜106側の対角領域に堆積する。ここでの荷電性粒子113の電荷は、負の符号の電荷である。
【0050】
そして、上記のように第2の配向膜106と液晶層105との界面に堆積した荷電性粒子113によって、液晶層105に生じる実効電界が変化してしまう。その結果、荷電性粒子が堆積した領域の画像の品位が低下してしまう。
【0051】
本実施例では、このように堆積した荷電性粒子113を第2の配向膜106の界面及び有効表示領域112の対角領域から浮遊させるために、液晶パネルドライバ303によって、電極層103,107への印加電圧の制御(第1の制御)を行う。この印加電圧制御は、光源301が消灯されている状態であって、電極層103,107に第1及び第2の電位が与えられていない状態にて行われる。
【0052】
第1の制御では、図6に示すように、堆積した荷電性粒子113を液晶層105の内部に浮遊させるために、透明電極膜103に正の電圧(第5の電位)を、反射画素電極層107に負の電圧(第6の電位)を印加する。
【0053】
図7には、第1の制御において、両電極層103,107に対する印加電圧V103a,V107aを示す。反射画素電極層107への印加電圧(第6の電位)V107aは、透明電極膜103への印加電圧(第5の電位)V103aに対して負の電圧である。印加電圧V103a,V107aは、時間に経過によって変化しない一定の直流電圧である。ただし、ここにいう一定の電圧とは、全く変動がない電圧だけでなく、電源電圧の変動や制御誤差等によって同一電圧とみなせる範囲でのみ変動する電圧も含む。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0054】
これにより、液晶層105には、周期的に正と負に変化しない負の直流電界が発生する。
【0055】
なお、周期的に正と負に変化しないように液晶層105に直流電界を印加する範囲内において、その直流電界の強さは変動しても構わない。すなわち、両電極層103,107に与える電圧(電位)は、液晶層105に生じる電界の符号が変化しない限り変化してもよい。
【0056】
また、ここでの透明電極膜103及び反射画素電極層107に印加される電圧はそれぞれ、液晶層105の面内方向、すなわち厚さ方向に対して直交する方向(液晶パネルの表示面内方向又は変調面内方向とも言える)において同じ(均一)である。
【0057】
このように、液晶パネルドライバ303は、液晶層105に生じる電界の符号が一定(正又は負のまま)となり、かつ液晶層105の面内方向において同じ電位をそれぞれの電極層103,107に与える第1の制御を行う。両電極層103,107に印加される電圧の差(電位差)は、例えば1.0Vから2.0Vの電位差である。
【0058】
液晶パネルドライバ303は、このような両電極層103,107に対する電圧印加(第1の制御)を、光源301が消灯されている状態において第1の所定時間(例えば、1秒間)の間行う。
【0059】
これにより、図8のように液晶層105と第2の配向膜106の界面に付着して堆積した負の荷電性粒子113は、反射画素電極層107に印加された負の電圧に対するクーロン力による反発力によって、該界面から解離して液晶層105の内部に浮遊していく。
【0060】
ここで、第1の所定時間とは、上記堆積した荷電性粒子113の大部分(例えば、70%以上)又は全てが、第2の配向膜106の界面から離れて、液晶層105の内部に浮遊するまでの時間である。
【0061】
また、上記のように、液晶層105との界面に荷電性粒子113が堆積する第2の配向膜側の反射画素電極層107に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子113の符号と同じ負である。
【0062】
ここで、反射画素電極層107に印加する電圧は必ずしもグランドレベルを基準とした場合の負の電圧でなくてもよい。具体的には、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧とを比較したときに、反射画素電極層107に印加する電圧が透明電極膜103に印加する電圧よりも低ければよい。この場合も、本実施例では、反射画素電極層107に印加する電圧が負であるという。そして、この条件を満足する限り、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧との両者をグランドレベルを基準とした正の電圧にしてもよいし、両者をグランドレベルを基準とした負の電圧にしてもよい。
【0063】
次に本実施例では、光源301が消灯されている状態において、荷電性粒子113が堆積した対角方向とは異なる対角方向に荷電性粒子113を引き寄せて拡散(移動)させるように両電極層103,107への印加電圧の制御(第2の制御)を行う。
【0064】
具体的には、透明電極膜103と反射画素電極層107に、液晶層105の面内方向においてこれらに印加される電圧の差(以下、電極間電位差という)が変化するように、すなわち分布を持つように電圧を印加する。より具体的には、液晶層105内の荷電性粒子がより多く堆積する領域に対して、より大きい電極間電位差が生ずるように透明電極膜103と反射画素電極層107への印加電圧が制御される。
【0065】
つまり、液晶パネルドライバ303は、液晶層105に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層105の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を透明電極膜103と反射画素電極層107に与える第2の制御を行う。本実施例では、このような印加電圧制御(第2の制御)を、第2の所定時間の間行う。
【0066】
図9には、第2の制御において、反射画素電極層107に印加する有効表示領域112内での電圧(第3の電位)の分布を示す。印加電圧が大きい領域122を明るく(白色で)示し、印加電圧が小さくなるにつれて暗くなる(グレーとなる)領域123として示し、印加電圧が0の領域124を黒で示している。また、125は、有効表示領域112に対応する反射画素電極層107の画素有効領域である。
【0067】
図9から分かるように、荷電性粒子113が堆積する対角方向(液晶分子のプレチルト方向110,111に平行な方向)Aにおいては電極間電位差を一定とし、対角方向Aでの対角線上及びその近傍の領域124での電極間電位差を0とする。一方、もう1つの対角方向B、すなわち対角方向Aとは異なる対角方向においては、電極間電位差の変化を大きくし、対角領域に近いほど電極間電位差を高くする。
【0068】
領域122は最も荷電性粒子113が堆積する領域であり、第1の堆積領域に相当する。また、領域123及び領域124は、領域122に対する第2の堆積領域に相当する。さらに、領域123と領域124との間では、それぞれが第1の堆積領域と第2の堆積領域に相当する。
【0069】
本実施例では、図11〜図13に示すように両電極層103,107への印加電圧(第3及び第4の電位)を設定する。
【0070】
図11は、図9中の領域124での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧(第3の電位)V103bと反射画素電極層107への印加電圧(第4の電位)V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。また、両印加電圧V103b,V107bは一致しており、電極間電位差は0となる。
【0071】
なお、一致するとは、完全に一致する場合だけでなく、制御誤差等によって一致しているとみなせる範囲でのみ差がある場合も含む。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0072】
また、図12は、図9中の領域122での印加電圧を示す。反射画素電極層107への印加電圧(第4の電位)V107bは交流電圧であり、該交流電圧の最小値と透明電極膜103への印加電圧(第3の電位)V103bとが一致している。透明電極膜103への印加電圧V103bは、直流電圧である。
【0073】
このような印加電圧制御は、反射画素電極層107に、該反射画素電極層107への印加電圧V107bの時間積分値(図中に点線で示す)に相当する正の直流電圧を印加することと等価である。
【0074】
図13は、図9中の領域123での印加電圧を示している。領域122と同様に、反射画素電極層107への印加電圧(第4の電位)V107bは交流電圧であり、該交流電圧の最小値と透明電極膜103への印加電圧(第3の電位)103bとが一致している。透明電極膜103への印加電圧V103bは、直流電圧である。ただし、反射画素電極層107に印加される交流電圧の最大値は、領域122で反射画素電極層107に印加される交流電圧の最大値よりも低い。
【0075】
このような印加電圧制御は、反射画素電極層107に、反射画素電極層107への印加電圧V107bの時間積分値(図中に点線で示す)に相当する正の直流電圧を印加することと等価である。
【0076】
この結果、領域122には、領域123の電極間電位差120″よりも大きい電極間電位差120′が与えられ、より高い直流電圧が印加されることになる。
【0077】
本実施例では、対角方向Bでの最大電極間電位差を2Vとし、画素電極層107に印加する交流電圧の周波数を、NTSC方式では120Hz、PAL方式では100Hzとする。また、第2の所定時間は、対角方向Aにおいて堆積した荷電性粒子113の大部分(例えば、70%)又は全てが、対角方向Bに拡散するまでの時間であり、例えば、1秒間である。
【0078】
図14には、液晶パネルの断面構造を示している。この図には、上記領域122,123,124のうち液晶層105の印加電圧が0である領域124を除く領域122,123で液晶層105に印加される電圧の符号を示す。上述したように、反射画素電極層107の印加電圧V107bは、透明電極膜103の印加電圧V103bに対して正の電圧であり、これにより液晶層105にも周期的に正と負に変化しない正の直流電界が生じる。
【0079】
液晶層105との界面に荷電性粒子113が堆積する第2の配向膜側の反射画素電極層107に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子113の符号とは異なる正である。また、反射画素電極層107への印加電圧V107bは、荷電性粒子113が堆積する対角方向Aとは異なる対角方向Bにおける対角領域に向かって高くなる。
【0080】
このため、第2の配向膜106の界面における対角方向Aに堆積した負の荷電性粒子113は、図15に示すように、クーロン力により対角方向Bに引き寄せられ、液晶層105の内部で拡散する。
【0081】
このように、前述した第1の制御に引き続いて第2の制御を行うことにより、対角方向Aにおいて堆積した荷電性粒子113を液晶層105内に浮遊させた後、対角方向Bに拡散させることができる。したがって、荷電性粒子113の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0082】
この第2の制御においても、反射画素電極層107に印加する電圧は必ずしもグランドレベルを基準とした場合の正の電圧でなくてもよい。具体的には、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧とを比較したときに、反射画素電極層107に印加する電圧が透明電極膜103に印加する電圧よりも高ければよい。この場合も、本実施例では、反射画素電極層107に印加する電圧が正であるという。そして、この条件を満足する限り、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧との両者をグランドレベルを基準とした正の電圧にしてもよいし、両者をグランドレベルを基準とした負の電圧にしてもよい。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0083】
また、本実施例では、液晶層105と第2の配向膜106との界面に堆積する負の荷電性粒子113を界面から解離させる場合について説明したが、液晶層105と第1の配向膜104との界面には正の荷電性粒子が堆積する可能性がある。この場合も、上記と同様の印加電圧制御を行うことで、荷電性粒子を界面から解離させて浮遊させ、さらに特定の対角方向に堆積した荷電性粒子を他の対角方向に拡散させることができる。この場合、液晶層105との界面に正の荷電性粒子が堆積する第1の配向膜104側の透明電極膜103に印加される電圧の符号は、荷電性粒子の符号と同じ正とするとよい。
【0084】
次に、図1に示した液晶パネルドライバ303の内部構成を図19に示す。液晶パネルドライバ303に入力された映像信号は、コントラスト調整回路201でコントラストの調整が行われる。コントラスト調整が行われた映像信号に対して、ガンマ補正回路202で、液晶パネル3R,3G,3Bの印加電圧−反射率(又は透過率)特性に応じた補正が行われる。ガンマ補正回路202の出力信号は、セレクタ203を経てデータ並び替え回路204に入力される。データ並び替え回路204では、液晶パネル3R,3G,3Bに表示するためのデータの並び替えが行われる。
【0085】
データ並び替え回路204の出力は、D/A変換器205でアナログ信号に変換された後、液晶パネル3R,3G,3Bに入力される。
【0086】
水平同期信号(Hsync)、垂直同期信号(Vsync)は、液晶パネルドライバ303内のタイミング信号生成回路(TG)209に入力される。TG209では、Hsync及びVsyncに基づいて液晶パネル3R,3G,3Bを駆動するのに必要な信号を生成する。
【0087】
また、中央演算回路(CPU)207は、液晶パネルドライバ303内の各回路に対して各種パラメータを設定する。CPU207の出力は、インターフェイス回路208で各回路が読み込むのに適したフォーマットに変換され、データバス210を通じてコントラスト調整回路201、ガンマ補正回路202、データ並び替え回路204及びTG209に入力される。
【0088】
直流パターン発生回路211は、図6及び図7に示した荷電性粒子を浮遊させる第1の制御を行うための印加直流電界に対応した印加電圧パターン(均一パターン)を出力する。この直流パターン発生回路211からの出力は、セレクタ203に入力される。
【0089】
対角パターン発生回路206は、図9及び図11〜図14に示した荷電性粒子を拡散させる第2の制御を行うための印加電圧分布に対応した印加電圧パターン(対角パターン)を出力する。この対角パターン発生回路206からの出力は、セレクタ203に入力される。
【0090】
セレクタ203は、CPU207からの指示に応じて、直流パターン発生回路211の出力と対角パターン発生回路206の出力とガンマ補正回路202の出力のうち1つを選択する。
【0091】
対角パターン発生回路206からの対角パターンに従って電極層103,107に電圧が印加されると、各液晶パネルには、該対角パターンに対応して対角方向Bに沿って明るさが変化する画像(対角パターン画像)が形成される。また、直流パターン発生回路211からの均一パターンに従って電極層103,107に電圧が印加されると、各液晶パネルには該均一パターンに対応して全画面において均一な明るさの画像が形成される。このうち対角パターン画像が光拡散スクリーン313に投射されると、観察者に不自然なパターンを有する画像を見せてしまうことになる。このため、少なくとも第2の制御は、このような不自然な画像を見せないように行う必要がある。
【0092】
光源301及び液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給のオン/オフ制御と、第1及び第2の制御を含む液晶パネル3R,3G,3Bへの印加電圧の制御は、CPU207によって図20に示すフローチャートに従って行われる。
【0093】
図20において、ステップ(図にはSと略記する)401では、CPU207は、電源スイッチ320がオン操作(投入操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオン操作されていない場合は本ステップを繰り返し、電源スイッチ320がオン操作された場合はステップ402に進む。
【0094】
ステップ402では、CPU207は、電源スイッチ320のオン操作に応じて電源制御部302に光源点灯指令信号を出力する。電源制御部302は、光源(ランプ)301に対する電源供給を開始して光源301を点灯させる。
【0095】
次に、ステップ403では、CPU207は、電源制御部302にパネル駆動指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を開始させる。また、CPU207は、セレクタ203にガンマ補正回路202の出力を選択させる。これにより、液晶パネル3R,3G,3Bによる光変調動作が開始され、通常の画像表示が行われる。
【0096】
ステップ404では、CPU207は、電源スイッチ320がオフ操作(遮断操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオフ操作されていない場合はステップ403に戻り、画像表示を続ける。一方、電源スイッチ320がオフ操作された場合は、ステップ405に進む。
【0097】
ステップ405では、CPU207は、電源スイッチ320のオフ操作に応じて、電源制御部302に対して光源消灯指令信号を出力する。光源消灯指令信号を受けた電源制御部302は、光源301への電源供給を停止させて光源301を消灯させる。
【0098】
次に、ステップ406aにおいて、CPU207は、セレクタ203に直流パターン発生回路211の出力を選択させ、直流パターン発生回路211から出力された均一パターンに従った電位(第5及び第6の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、液晶層105内で堆積した荷電性粒子113を液晶層105内に浮遊させるための第1の制御(直流電界印加)が開始される。また、CPU207は、第1の所定時間の計測を開始する。
【0099】
ステップ406bにおいて、CPU207は、第1の所定時間が経過したか否かを判定する。第1の所定時間が経過していない場合は、ステップ406aに戻る。一方、第1の所定時間が経過した場合は、ステップ407に進む。
【0100】
ステップ407では、CPU207は、セレクタ203に対角パターン発生回路206の出力を選択させ、対角パターン発生回路206から出力された対角パターンに従った電位(第3及び第4の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、荷電性粒子を液晶層105内で拡散させるための第2の制御が開始される。また、CPU207は、第2の所定時間の計測を開始する。
【0101】
ステップ408では、CPU207は、第2の所定時間が経過したか否かを判定する。第2の所定時間が経過していない場合は、ステップ407に戻る。一方、第2の所定時間が経過した場合は、ステップ409に進む。
【0102】
ステップ409では、CPU207は、対角パターン発生回路206からの出力を停止(消去)させる。そして、ステップ410では、CPU207は、電源制御部302にパネル停止指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を停止させる。これにより、プロジェクタの電源オフ制御が終了する。
【0103】
このように本実施例では、電源スイッチ320がオフ操作されたことに応じて、まず光源301を消灯させる。そして、その後に液晶層と配向膜との界面に堆積した荷電性粒子を強制的に該界面から解離させ、液晶層内にて拡散させるための第1及び第2の制御を順次行う。これにより、荷電性粒子を拡散させるための第2の制御によって液晶パネルに現れる対角パターンに対応する不自然な画像を観察者に見せることなく、荷電性粒子の堆積による表示輝度不良を解消することができる。すなわち、荷電性粒子の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0104】
なお、本実施例では、光源301を消灯させた後において、第2の制御を行う前に第1の制御を行う場合について説明した。しかし、第1の制御中には、第2の制御中のような対角パターン画像は現れず、均一な画像が現れるだけである。このため、第1の制御を、光源301を消灯させる前や点灯状態から消灯状態への移行中に行ってもよい。
【0105】
また、図19には、CPU207が液晶パネルドライバ303内に設けられた例を示したが、CPUを液晶パネルドライバの外に設け、CPUが液晶パネルドライバや電源制御部を制御するようにしてもよい。
【実施例2】
【0106】
次に、本発明の実施例2について説明する。なお、本実施例において、実施例1と同じ又は同様な機能を有する構成要素については実施例1と同符号を付す。
【0107】
本実施例でも、実施例1と同様に、光源301が消灯された状態において、液晶層105に生じる電界の符号が一定となり、かつ液晶層105の面内方向において同じ電位をそれぞれの電極層103,107に与える第1の制御を行う。そしてその後、液晶層105に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層105の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を電極層103,107に与える第2の制御を行う。
【0108】
ただし、本実施例では、第2の制御において反射画素電極層107に直流電圧を印加する点で実施例1と異なる。
【0109】
本実施例における第2の制御において透明電極膜103及び反射画素電極層107に印加する電圧(第3及び第4の電位)を、図16、図17及び図18に示す。
【0110】
図16は、図9中の領域124での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧V103bと反射画素電極層107への印加電圧V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。また、両印加電圧V103b,107bは一致しており、電極間電位差は0となる。
【0111】
また、図17は、図9中の領域122での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧V103bと反射画素電極層107への印加電圧V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。反射画素電極層107への印加電圧V107bは、透明電極膜103への印加電圧V103bよりも、電極間電位差120′だけ高く設定される。
【0112】
また、図18は、図9中の領域123での印加電圧を示す。領域122での印加電圧と同様に、透明電極膜103への印加電圧V103bと反射画素電極層107への印加電圧V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。反射画素電極層107への印加電圧V107bは、透明電極膜103への印加電圧V103bよりも、電極間電位差120″だけ高く設定される。電極間電位差120″は、領域122での電極間電位差120′よりも小さい。
【0113】
この結果、領域122には、領域123の電極間電位差120″よりも大きい電極間電位差120′が与えられ、より高い直流電圧が印加されることになる。
【0114】
このように、第2の制御において反射画素電極層107に直流電圧を印加しても、実施例1の図14,15に示したように、対角方向Aにて堆積して第1の制御により浮遊した荷電性粒子113を対角方向Bに引き寄せ、液晶層105内に拡散させることができる。
【0115】
本実施例では、実施例1のように反射画素電極層107への印加電圧V107bを交流電圧とする場合に比べて、荷電性粒子113を常時クーロン力によって対角方向Bに引き寄せるので、荷電性粒子113の拡散効果をより高めることができる。このため、第2の制御を行う第2の所定時間を短くすることも可能である。
【実施例3】
【0116】
次に、本発明の実施例3について説明する。なお、本実施例において、実施例1と同じ又は同様な機能を有する構成要素については実施例1と同符号を付す。
【0117】
本実施例でも、実施例1と同様に、光源301が消灯された状態において、液晶層105に生じる電界の符号が一定となり、かつ液晶層105の面内方向において同じ電位をそれぞれの電極層103,107に与える第1の制御を行う。そしてその後、液晶層105に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層105の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を電極層103,107に与える第2の制御を行う。
【0118】
ただし、本実施例では、第1及び第2の制御を、電源スイッチ320のオン操作に応じて光源301の点灯前に行う点で実施例1と異なる。
【0119】
図21のフローチャートには、本実施例におけるCPU207の動作を示す。
【0120】
ステップ501では、CPU207は、電源スイッチ320がオン操作(投入操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオン操作されていない場合は本ステップを繰り返し、電源スイッチ320がオン操作された場合はステップ502aに進む。
【0121】
ステップ502aでは、CPU207は、電源スイッチ320がオン操作に応じて電源制御部302にパネル駆動指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を開始させる。また、CPU207は、セレクタ203に直流パターン発生回路211の出力を選択させ、直流パターン発生回路211から出力された均一パターンに従った電位(第5及び第6の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、液晶層105内で堆積した荷電性粒子113を液晶層105内に浮遊させるための第1の制御(直流電界印加)が開始される。また、CPU207は、第1の所定時間の計測を開始する。
【0122】
ステップ502bでは、CPU207は、第1の所定時間が経過したか否かを判定する。第1の所定時間が経過していない場合は、ステップ502aに戻る。一方、第1の所定時間が経過した場合は、ステップ503に進む。
【0123】
ステップ503では、CPU207は、セレクタ203に対角パターン発生回路206の出力を選択させ、対角パターン発生回路206から出力された対角パターンに従った電位(第3及び第4の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、荷電性粒子を液晶層105内で拡散させるための第2の制御が開始される。
【0124】
本ステップで反射画素電極層107に印加する電圧は、実施例1で説明した交流電圧であってもよいし、実施例2で説明した直流電圧であってもよい。また、CPU207は、第2の所定時間の計測を開始する。
【0125】
ステップ504では、CPU207は、第2の所定時間が経過したか否かを判定する。第2の所定時間が経過していない場合は、ステップ503に戻る。一方、第2の所定時間が経過した場合は、ステップ505に進む。こうして、実施例1の図14,15に示したように、対角方向Aにて堆積して第1の制御により浮遊した荷電性粒子113を、対角方向Bに引き寄せて液晶層105内に拡散させることができる。
【0126】
ステップ505では、CPU207は、対角パターン発生回路206からの出力を停止(消去)させる。
【0127】
そして、ステップ506では、CPU207は、電源制御部302に光源点灯指令信号を出力する。電源制御部302は、光源301に対する電源供給を開始して光源301を点灯させる。これにより、プロジェクタの電源オン制御が終了する。
【0128】
次に、ステップ507では、CPU207は、セレクタ203にガンマ補正回路202の出力を選択させる。これにより、液晶パネル3R,3G,3Bによる光変調動作が開始され、通常の画像表示が行われる。
【0129】
ステップ508では、CPU207は、電源スイッチ320がオフ操作(遮断操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオフ操作されていない場合はステップ507に戻り、画像表示を続ける。一方、電源スイッチ320がオフ操作された場合は、ステップ509に進む。
【0130】
ステップ509では、CPU207は、電源スイッチ320のオフ操作に応じて、電源制御部302に対して光源消灯指令信号を出力する。光源消灯指令信号を受けた電源制御部302は、光源301への電源供給を停止させて光源301を消灯させる。そして、ステップ510で、CPU207は、電源制御部302に対してパネル停止指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を停止させる。これにより、プロジェクタの電源オフ制御が終了する。
【0131】
このように本実施例では、電源スイッチ320のオン操作に応じて、前回のプロジェクタの使用によって液晶層と配向膜との界面に堆積した荷電性粒子を強制的に該界面から解離させ、液晶層内に拡散させるための第1及び第2の制御を順次行う。そして、第1及び第2の制御の終了後に、光源301を点灯させる。これにより、荷電性粒子を拡散させるための第2の制御によって液晶パネルに現れる対角パターンに対応する不自然な画像を観察者に見せることなく、荷電性粒子の堆積による表示輝度不良を解消することができる。すなわち、荷電性粒子の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0132】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【0133】
例えば、上記各実施例は、垂直配向モードの液晶変調素子に対するものであるが、上記実施例の印加電圧制御を、垂直配向モード以外のTN,STN,OCBモード等の各種液晶変調素子に適した形態に変形してこれらの液晶変調素子に適用してもよい。また、透過型液晶変調素子に適した形態に変形して実施してもよい。
【0134】
また、上記各実施例では、液晶プロジェクタについて説明したが、本発明は、液晶プロジェクタ以外の液晶変調素子を用いる液晶表示装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施例1〜3である液晶プロジェクタの構成を示す図。
【図2】実施例1〜3で用いられる液晶パネルの断面図。
【図3】上記液晶パネルにおける垂直配向モードのプレチルト方向を説明する図。
【図4】実施例1〜3において、液晶パネル内で堆積した荷電性粒子を示す断面図。
【図5】実施例1〜3において、液晶パネル内で堆積した荷電性粒子を示すガラス基板側から見た図。
【図6】実施例1〜3において、荷電性粒子を浮遊させるための印加電圧が対向電極に印加される様子を示す図。
【図7】図6における対向電極への印加電圧を示す図。
【図8】実施例1〜3において、対向電極への電圧印加によって浮遊した荷電性粒子を説明する図。
【図9】実施例1〜3において、堆積した荷電性粒子を拡散させるために反射画素電極層に与える電圧の面内分布を説明する図。
【図10】実施例1〜3における液晶パネルの通常の交流駆動を説明する図。
【図11】実施例1における図9中の領域124での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図12】実施例1における図9中の領域122での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図13】実施例1における図9中の領域123での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図14】実施例1〜3において、荷電性粒子を拡散させるための印加電圧が対向電極に印加される様子を示す図。
【図15】図14に示す電圧印加により、堆積した荷電性粒子が拡散した様子を示す図。
【図16】実施例2における図9中の領域124での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図17】実施例2における図9中の領域122での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図18】実施例2における図9中の領域123での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図19】実施例1〜3における液晶パネルドライバの構成を示す図。
【図20】実施例1,2における液晶プロジェクタの動作を示すフローチャート。
【図21】実施例3における液晶プロジェクタの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0136】
101 ARコート膜
102 ガラス基板
103 透明電極膜
104 第1の配向膜
105 液晶層
106 第2の配向膜
107 反射画素電極層
108 Si基板
110,111 ダイレクタ方向(プレチルト方向)
113 荷電性粒子
303 液晶パネルドライバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶変調素子を用いたプロジェクタ等の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶変調素子には、透明電極(共通電極)を有する第1の透明基板と、画素を形成する透明電極(画素電極)や配線、スイッチング素子等を有する第2の透明基板との間に誘電異方性が正であるネマチック液晶を封入したものがある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚のガラス基板間で連続的に90°ねじった、いわゆるTN(Twisted Nematic)液晶変調素子と称され、透過型の液晶変調素子として用いられている。また、上記第2の透明基板に代えて、反射鏡、配線及びスイッチング素子等を有する回路基板を用いたものもある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚の基板に対してほぼ垂直にモメオトロピック配向させた、いわゆるVAN(Vertical Arrangement Nematic)液晶変調素子と称され、反射型液晶変調素子として用いられている。
【0003】
これらの液晶変調素子では、一般に、ECB(Electrically Controlled Birefringence)効果を利用し、液晶層を通過する光波動に対してリタデーションを与える(偏光状態を変化させる)作用を制御して画像を形成する。
【0004】
このようなECB効果を用いて光強度を変調する液晶変調素子においては、液晶層に電界を印加することによって、該液晶層に存在する荷電性粒子(イオン性物質)が移動する。液晶層に直流電界を与え続けると、荷電性粒子が、対向する2つの電極のどちらかに引き寄せられる。これにより、電極に与えられる電圧が一定であっても、液晶層に与えられる電界が荷電性粒子の電荷によって増減し、実質的に液晶層へ印加される電界が減衰又は増大する。
【0005】
このような現象を回避するために、一般に、配列画素のラインごとに、印加する電界の正負極性を反転し、かつ該極性を60ヘルツ等の所定周期で切り換えるライン反転ドライブ方法が採用される。また、配列画素の全てに印加する電界の正負極性を所定周期で反転するフィールド反転ドライブ方法も用いられる。これらのドライブ方法により、液晶層にかかる電界が一定の極性にならないようにし、イオンの偏りを防止することができる。
【0006】
このことは、液晶層に対する実効電界を、電極に印加される電圧に対して常に同じ値となるようにすることに相当する。
【0007】
ところが、液晶層の内部や液晶層を囲む外壁材等にも荷電性粒子が存在しており、特に高温環境下において液晶を駆動することで、これらの荷電性粒子がドリフト(移動)する。そして、これらの荷電性粒子は、液晶層内部で直流電界成分となり、液晶層界面の配向膜又は電極界面に付着し、液晶分子の配向方向に沿ってドリフト及び堆積することになる。
【0008】
また、有機配向膜を有する液晶変調素子においては、高温環境下において液晶を駆動することによる荷電性粒子のドリフトに加え、液晶変調素子に光が入射することによって配向膜や液晶やシール材等の有機材料が分解されて荷電性粒子が発生する。これらの荷電性粒子も、液晶層内部で直流電界成分となり、液晶層界面の配向膜又は電極界面に付着し、さらに液晶分子の配向方向にドリフト及び堆積する。
【0009】
そして、液晶層の特定領域に堆積した荷電性粒子によって、液晶に印加される実効電界が変化することで、所望のECB変調が行われず、画像の品位を劣化させる。例えば、液晶表示素子の有効表示領域内で輝度むらを生じさせる。
【0010】
このような問題に関する対策が、特許文献1〜4にて開示されている。
【0011】
特許文献1には、画像表示動作時以外のときに、液晶セルの画素電極及び対向電極の少なくとも一方の電位をグランドレベルにすることによって、焼きつき現象を起こす要因となるイオンを配向膜や電極界面から解離させる方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献2には、液晶変調素子の非表示領域にイオントラップ電極領域を設け、該イオントラップ電極に直流電圧を印加することで画像表示に影響を与えない非表示領域のイオントラップ電極領域に不純物イオンを吸着する方法が開示されている。
【0013】
また、特許文献3には、画素電極と異なる位置に金属膜電極を配置し、金属膜電極と共通電極との間に直流電圧を印加することで、表示領域における可動性イオンの濃度を低減し、フリッカー現象を抑制する方法が開示されている。
【0014】
さらに、特許文献4には、液晶封入口近傍の2枚の電極基板に設けられた対向する面に、透明電極と独立して設置されたイオントラップ電極を設け、このイオントラップ電極に電圧を印加してイオン性不純物をトラップする方法が開示されている。
【0015】
以上のように、外部からの電圧制御によって液晶変調素子内部の荷電性粒子をコントロールすることで、画像表示の品位を良好にすることが可能である。
【特許文献1】特開2005−55562号公報
【特許文献2】特開平8−201830号公報
【特許文献3】特開平11−38389号公報
【特許文献4】特開平5−323336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1にて開示された方法では、液晶変調素子の回路内部に対向電極をグランドレベルに落とすためのスイッチング部を設ける必要があるため、液晶変調素子の製造工程が増える。また、対向電極をグランドレベルにするだけでは、配向膜や電極界面に付着しているイオンを引き剥がす力がクーロン力に比べて弱く、効果が低い。
【0017】
また、特許文献2〜4にて開示されている方法では、非表示領域に新たにイオンを引き寄せるイオントラップ電極を設けるため、やはり製造工程が増加する。しかも、イオン不純物の引き寄せはクーロン力で行われるが、クーロン力は距離の2乗に反比例するため、イオントラップ電極から離れた位置に発生するイオンを効率良く引き寄せることができない。
【0018】
本発明は、液晶変調素子に新たなスイッチング部やイオントラップ電極等の構成を追加することなく、液晶層内での荷電性粒子の堆積による影響を回避できるようにした液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一側面としての液晶表示装置は、光源からの光を変調する液晶変調素子と、該液晶変調素子を制御する制御手段とを有する。液晶変調素子は、第1の電極及び第2の電極、第1の電極と第2の電極との間に配置された液晶層、第1の電極と液晶層との間に配置された第1の配向膜、及び第2の電極と前記液晶層との間に配置された第2の配向膜を含む。また、制御手段は、液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与えて液晶変調素子に光変調動作を行わせるる。そして、制御手段は、光源が消灯された状態において、液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を第1及び第2の電極にそれぞれ与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、光変調動作用の電位が与えられる第1及び第2の電極に対して、光源消灯状態において、液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を与える。これにより、液晶層内で分布を持って存在する荷電性粒子を強制的に該液晶層内に拡散させることができる。このため、液晶変調素子に新たなスイッチング部やイオントラップ電極等の構成を追加することなく、さらに第3及び第4の電位の印加による不自然な画像を観察者に見せることなく、荷電性粒子の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
図1には、本発明の実施例1である液晶表示装置としての液晶プロジェクタ(画像投射装置)の構成を示している。
【0023】
303は液晶パネルドライバである。該ドライバ303には、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置350から、映像信号、水平同期信号(Hsync)及び垂直同期信号(Vsync)が入力される。ドライバ303は、これらの入力信号から、レッド用、グリーン用及びブルー用パネル駆動信号を生成する。各パネル駆動信号は、反射型液晶変調素子であるレッド用液晶パネル3R、グリーン用液晶パネル3G及びブルー用液晶パネル3Bにそれぞれ入力される。これにより、3つの液晶パネル3R,3G,3Bは互いに独立に駆動される。
【0024】
液晶パネル3R,3G,3Bは、パネル駆動信号に応じた光変調動作によって後述する光源からの光(色分解された光)を変調する。これにより、画像供給装置350から入力された画像情報の各色成分に応じた画像を表示する。
【0025】
301は光源であり、不図示のランプからの光を偏光方向が揃った直線偏光光(図の紙面に垂直な偏光方向を有するS偏光)に変換して照明光として射出する。
【0026】
光源301からの照明光は、マゼンタ色を反射してグリーン色を透過するダイクロイックミラー305に入射する。照明光のうちマゼンタ色成分はこのダイクロイックミラー305で反射され、ブルー色の偏光に半波長のリタデーションを与えるブルークロスカラー偏光子311を透過する。これにより、図の紙面に平行な偏光方向を有するブルー色の直線偏光(P偏光)と、図の紙面に垂直な偏光方向を有するレッド色の直線偏光(S偏光)とが生成される。
【0027】
ブルー色のP偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ310に入射し、その偏光分離膜を透過して、ブルー用液晶パネル3Bに導かれる。また、レッド色のS偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ310の偏光分離膜で反射されて、レッド用液晶パネル3Rに導かれる。
【0028】
一方、ダイクロイックミラー305を透過したグリーン色の直線偏光光(S偏光)は、光路長を補正するためのダミーガラス306を透過し、第2の偏光ビームスプリッタ307に入射する。グリーン色のS偏光は、第2の偏光ビームスプリッタ307の偏光分離膜で反射されて、グリーン用液晶パネル3Gに導かれる。
【0029】
このようにして、レッド用、グリーン用及びブルー用液晶パネル3R,3G,3Bは照明光によって照明される。
【0030】
そして、各液晶パネルに入射した光は、各液晶パネルに配列された画素の変調状態に応じて偏光のリタデーションが付与されるとともに、該液晶パネルによって反射されて射出する。反射光のうち照明光と同じ偏光方向を有する偏光成分は、照明光の光路を逆に辿って光源301側に戻る。
【0031】
また、反射光のうち照明光の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する偏光成分(変調光)は以下のように進む。P偏光であるレッド用液晶パネル3Rによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ310の偏光分離膜を透過する。次に、レッド色の偏光に半波長のリタデーションを与えるレッドクロスカラー偏光子312を透過してS偏光とされる。そして、該レッド色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ308に入射し、その偏光分離膜で反射されて、投射光学系304に導かれる。
【0032】
S偏光であるブルー用液晶パネル3Bによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ310の偏光分離膜で反射され、レッドクロスカラー偏光子312をリタデーション作用を受けることなく透過して第3の偏光ビームスプリッタ308に入射する。該ブルー色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ308の偏光分離膜で反射されて、投射光学系304に導かれる。
【0033】
P偏光であるグリーン用液晶パネル3Gによる変調光は、第2の偏光ビームスプリッタ307の偏光分離膜を透過して、光路長を補正するためのダミーガラス309を透過し、第3の偏光ビームスプリッタ308に入射する。該グリーン色のP偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ308の偏光分離膜を透過して、投射光学系304に導かれる。
【0034】
こうして色合成された3色の変調光は、投射光学系304によって被投射面である光拡散スクリーン313に投射される。これにより、フルカラー画像が表示される。
【0035】
本実施例にて用いられているレッド用液晶パネル3R、グリーン用液晶パネル3G及びブルー用液晶パネル3Bは、垂直配向モード(例えば、VAN型)の反射型液晶変調素子である。
【0036】
320は該プロジェクタの電源スイッチである。液晶パネルドライバ303は、該電源スイッチ320のオン/オフ操作(投入/遮断操作)に応じて電源制御部302に対して指令信号を出力する。電源制御部302は、液晶パネルドライバ303からの指令信号に応じて、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給のオン/オフと、光源301への電源供給のオン/オフ(点灯/消灯)を制御する。液晶パネルドライバ303及び電源制御部302とにより制御手段が構成される。
【0037】
図2には、レッド用液晶パネル3R、グリーン用液晶パネル3G及びブルー用液晶パネル3Bに共通の断面構造を示している。
【0038】
光源301からの照明光が入射する側から順に、101はARコート膜、102はガラス基板である。また、103はガラス基板102上に形成されたITO等により形成される透明電極膜(第1の電極)である。104は透明電極膜103と後述する液晶層との間に配置された第1の配向膜である。105は第1の配向膜104と第2の配向膜106との間に配置された液晶層である。107は透明電極膜103に対向配置され、アルミ等の金属により形成された反射画素電極層(第2の電極)である。108は反射画素電極層107が形成されたSi基板である。なお、透明電極膜103及び反射画素電極層107は、一般に対向電極とも称される。以下の説明では、透明電極膜103及び反射画素電極層107を電極層という場合もある。
【0039】
本実施例の液晶パネルは、フルHD規格に相当する1920×1080画素を有し、有効表示領域のサイズは15mm×10mmである。
【0040】
図10には、光源301が点灯されて液晶パネル3R,3G,3Bによる光変調動作が行われる状態(光変調動作状態又は表示駆動状態)において液晶パネルドライバ303によって電極層103,107に印加される電圧を示している。横軸は時間、縦軸は印加電圧を示す。液晶パネルドライバ303は、コンピュータプログラムを内部に格納し、該プログラムに従って、電極層103,107への印加電圧を制御する。
【0041】
なお、以下の説明において、各電極又は液晶層への印加電圧とは、不図示のグランド(0V)を基準とした電位(グランドとの間の電位差)を意味する。
【0042】
反射画素電極層107には、特定周期で正の電圧120と負の電圧121とに交互に切り換わる交流電圧(第2の電位)V107が印加される。また、透明電極膜103には、直流電圧(第1の電位)V103が印加される。
【0043】
液晶層105に生じる実効電界は、これら交流電圧V107と直流電圧V103との差に応じて発生し、特定周期で正の電界と負の電界とが交互に切り換わる交流電界である。すなわち、液晶層105に生じる電位差が正と負とに周期的に変化する。言い換えれば、本実施例では、液晶層105に生じる電界の符号が周期的に反転するように(正と負とに周期的に変化するように)両電極層103,107に電位(電位差)を与えて液晶パネルに光変調動作を行わせる。一般に、いわゆるフリッカーを抑制するために、液晶層105に生じる正の電位差と負の電位差の大きさが互いに等しくなるように両電極層103,107への印加電圧が設定される。
【0044】
ここで、特定周期は、NTSC方式では1/120秒、PAL方式では1/100秒であり、1フィールドの周期に相当する。2つのフィールド周期(1/60秒又は1/50秒)で1フレーム画像が表示される。ただし、特定周期は、1フレーム画像の表示周期に相当するものであってもよい。
【0045】
また、液晶層105に生ずる電界は、両電極層103,107に与えられる電圧(電界)に、配向膜104,106の抵抗による電圧降下や、各配向膜でトラップされる電荷(電子やホールの電荷)の作り出す微小な電圧(電界)が全て重畳されたものである。
【0046】
図3には、液晶パネルをガラス基板102側から見て示している。110は第1の配向膜104によって配向された液晶分子の配向方向であるダイレクタ方向(プレチルト方向)である。111は第2の配向膜106によって配向された液晶分子の配向方向であるダイレクタ方向(プレチルト方向)である。ダイレクタ方向110及び111はともに配向膜面の法線に対して数度傾いており、かつ傾く方向が互いに相反している。
【0047】
112は液晶パネルの有効表示領域である。有効表示領域112の短辺112a及び長辺方向112bに対して約45度の方向に配向処理がなされている。
【0048】
プロジェクタでは、高輝度なランプからの光照射により、液晶パネル3R,3G,3Bの温度が上昇し、常温動作環境下においては約40度になるように制御される。しかし、プロジェクタを長期間使用すると、液晶パネル3R,3G,2Bは長期間にわたって昇温状態(高温状態)となり、さらに液晶分子が画像表示のために駆動されることで、以下のような問題が生じる。
【0049】
図4は液晶パネルの断面図、図5は液晶パネルをガラス基板102側から見た図である。図4及び図5に示すように、液晶層105の内部やその周辺の有機物質であるシール材料、第1の配向膜104,第2の配向膜106及び電極層103,107等の界面付近には、荷電性粒子113が存在する。この荷電性粒子113は、上記長期間使用によって、液晶層105と反射画素電極層107側の第2の配向膜106との界面に沿って液晶分子のダイレクタ方向(第1の方向)に進み、有効表示領域112の第2の配向膜106側の対角領域に堆積する。ここでの荷電性粒子113の電荷は、負の符号の電荷である。
【0050】
そして、上記のように第2の配向膜106と液晶層105との界面に堆積した荷電性粒子113によって、液晶層105に生じる実効電界が変化してしまう。その結果、荷電性粒子が堆積した領域の画像の品位が低下してしまう。
【0051】
本実施例では、このように堆積した荷電性粒子113を第2の配向膜106の界面及び有効表示領域112の対角領域から浮遊させるために、液晶パネルドライバ303によって、電極層103,107への印加電圧の制御(第1の制御)を行う。この印加電圧制御は、光源301が消灯されている状態であって、電極層103,107に第1及び第2の電位が与えられていない状態にて行われる。
【0052】
第1の制御では、図6に示すように、堆積した荷電性粒子113を液晶層105の内部に浮遊させるために、透明電極膜103に正の電圧(第5の電位)を、反射画素電極層107に負の電圧(第6の電位)を印加する。
【0053】
図7には、第1の制御において、両電極層103,107に対する印加電圧V103a,V107aを示す。反射画素電極層107への印加電圧(第6の電位)V107aは、透明電極膜103への印加電圧(第5の電位)V103aに対して負の電圧である。印加電圧V103a,V107aは、時間に経過によって変化しない一定の直流電圧である。ただし、ここにいう一定の電圧とは、全く変動がない電圧だけでなく、電源電圧の変動や制御誤差等によって同一電圧とみなせる範囲でのみ変動する電圧も含む。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0054】
これにより、液晶層105には、周期的に正と負に変化しない負の直流電界が発生する。
【0055】
なお、周期的に正と負に変化しないように液晶層105に直流電界を印加する範囲内において、その直流電界の強さは変動しても構わない。すなわち、両電極層103,107に与える電圧(電位)は、液晶層105に生じる電界の符号が変化しない限り変化してもよい。
【0056】
また、ここでの透明電極膜103及び反射画素電極層107に印加される電圧はそれぞれ、液晶層105の面内方向、すなわち厚さ方向に対して直交する方向(液晶パネルの表示面内方向又は変調面内方向とも言える)において同じ(均一)である。
【0057】
このように、液晶パネルドライバ303は、液晶層105に生じる電界の符号が一定(正又は負のまま)となり、かつ液晶層105の面内方向において同じ電位をそれぞれの電極層103,107に与える第1の制御を行う。両電極層103,107に印加される電圧の差(電位差)は、例えば1.0Vから2.0Vの電位差である。
【0058】
液晶パネルドライバ303は、このような両電極層103,107に対する電圧印加(第1の制御)を、光源301が消灯されている状態において第1の所定時間(例えば、1秒間)の間行う。
【0059】
これにより、図8のように液晶層105と第2の配向膜106の界面に付着して堆積した負の荷電性粒子113は、反射画素電極層107に印加された負の電圧に対するクーロン力による反発力によって、該界面から解離して液晶層105の内部に浮遊していく。
【0060】
ここで、第1の所定時間とは、上記堆積した荷電性粒子113の大部分(例えば、70%以上)又は全てが、第2の配向膜106の界面から離れて、液晶層105の内部に浮遊するまでの時間である。
【0061】
また、上記のように、液晶層105との界面に荷電性粒子113が堆積する第2の配向膜側の反射画素電極層107に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子113の符号と同じ負である。
【0062】
ここで、反射画素電極層107に印加する電圧は必ずしもグランドレベルを基準とした場合の負の電圧でなくてもよい。具体的には、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧とを比較したときに、反射画素電極層107に印加する電圧が透明電極膜103に印加する電圧よりも低ければよい。この場合も、本実施例では、反射画素電極層107に印加する電圧が負であるという。そして、この条件を満足する限り、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧との両者をグランドレベルを基準とした正の電圧にしてもよいし、両者をグランドレベルを基準とした負の電圧にしてもよい。
【0063】
次に本実施例では、光源301が消灯されている状態において、荷電性粒子113が堆積した対角方向とは異なる対角方向に荷電性粒子113を引き寄せて拡散(移動)させるように両電極層103,107への印加電圧の制御(第2の制御)を行う。
【0064】
具体的には、透明電極膜103と反射画素電極層107に、液晶層105の面内方向においてこれらに印加される電圧の差(以下、電極間電位差という)が変化するように、すなわち分布を持つように電圧を印加する。より具体的には、液晶層105内の荷電性粒子がより多く堆積する領域に対して、より大きい電極間電位差が生ずるように透明電極膜103と反射画素電極層107への印加電圧が制御される。
【0065】
つまり、液晶パネルドライバ303は、液晶層105に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層105の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を透明電極膜103と反射画素電極層107に与える第2の制御を行う。本実施例では、このような印加電圧制御(第2の制御)を、第2の所定時間の間行う。
【0066】
図9には、第2の制御において、反射画素電極層107に印加する有効表示領域112内での電圧(第3の電位)の分布を示す。印加電圧が大きい領域122を明るく(白色で)示し、印加電圧が小さくなるにつれて暗くなる(グレーとなる)領域123として示し、印加電圧が0の領域124を黒で示している。また、125は、有効表示領域112に対応する反射画素電極層107の画素有効領域である。
【0067】
図9から分かるように、荷電性粒子113が堆積する対角方向(液晶分子のプレチルト方向110,111に平行な方向)Aにおいては電極間電位差を一定とし、対角方向Aでの対角線上及びその近傍の領域124での電極間電位差を0とする。一方、もう1つの対角方向B、すなわち対角方向Aとは異なる対角方向においては、電極間電位差の変化を大きくし、対角領域に近いほど電極間電位差を高くする。
【0068】
領域122は最も荷電性粒子113が堆積する領域であり、第1の堆積領域に相当する。また、領域123及び領域124は、領域122に対する第2の堆積領域に相当する。さらに、領域123と領域124との間では、それぞれが第1の堆積領域と第2の堆積領域に相当する。
【0069】
本実施例では、図11〜図13に示すように両電極層103,107への印加電圧(第3及び第4の電位)を設定する。
【0070】
図11は、図9中の領域124での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧(第3の電位)V103bと反射画素電極層107への印加電圧(第4の電位)V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。また、両印加電圧V103b,V107bは一致しており、電極間電位差は0となる。
【0071】
なお、一致するとは、完全に一致する場合だけでなく、制御誤差等によって一致しているとみなせる範囲でのみ差がある場合も含む。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0072】
また、図12は、図9中の領域122での印加電圧を示す。反射画素電極層107への印加電圧(第4の電位)V107bは交流電圧であり、該交流電圧の最小値と透明電極膜103への印加電圧(第3の電位)V103bとが一致している。透明電極膜103への印加電圧V103bは、直流電圧である。
【0073】
このような印加電圧制御は、反射画素電極層107に、該反射画素電極層107への印加電圧V107bの時間積分値(図中に点線で示す)に相当する正の直流電圧を印加することと等価である。
【0074】
図13は、図9中の領域123での印加電圧を示している。領域122と同様に、反射画素電極層107への印加電圧(第4の電位)V107bは交流電圧であり、該交流電圧の最小値と透明電極膜103への印加電圧(第3の電位)103bとが一致している。透明電極膜103への印加電圧V103bは、直流電圧である。ただし、反射画素電極層107に印加される交流電圧の最大値は、領域122で反射画素電極層107に印加される交流電圧の最大値よりも低い。
【0075】
このような印加電圧制御は、反射画素電極層107に、反射画素電極層107への印加電圧V107bの時間積分値(図中に点線で示す)に相当する正の直流電圧を印加することと等価である。
【0076】
この結果、領域122には、領域123の電極間電位差120″よりも大きい電極間電位差120′が与えられ、より高い直流電圧が印加されることになる。
【0077】
本実施例では、対角方向Bでの最大電極間電位差を2Vとし、画素電極層107に印加する交流電圧の周波数を、NTSC方式では120Hz、PAL方式では100Hzとする。また、第2の所定時間は、対角方向Aにおいて堆積した荷電性粒子113の大部分(例えば、70%)又は全てが、対角方向Bに拡散するまでの時間であり、例えば、1秒間である。
【0078】
図14には、液晶パネルの断面構造を示している。この図には、上記領域122,123,124のうち液晶層105の印加電圧が0である領域124を除く領域122,123で液晶層105に印加される電圧の符号を示す。上述したように、反射画素電極層107の印加電圧V107bは、透明電極膜103の印加電圧V103bに対して正の電圧であり、これにより液晶層105にも周期的に正と負に変化しない正の直流電界が生じる。
【0079】
液晶層105との界面に荷電性粒子113が堆積する第2の配向膜側の反射画素電極層107に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子113の符号とは異なる正である。また、反射画素電極層107への印加電圧V107bは、荷電性粒子113が堆積する対角方向Aとは異なる対角方向Bにおける対角領域に向かって高くなる。
【0080】
このため、第2の配向膜106の界面における対角方向Aに堆積した負の荷電性粒子113は、図15に示すように、クーロン力により対角方向Bに引き寄せられ、液晶層105の内部で拡散する。
【0081】
このように、前述した第1の制御に引き続いて第2の制御を行うことにより、対角方向Aにおいて堆積した荷電性粒子113を液晶層105内に浮遊させた後、対角方向Bに拡散させることができる。したがって、荷電性粒子113の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0082】
この第2の制御においても、反射画素電極層107に印加する電圧は必ずしもグランドレベルを基準とした場合の正の電圧でなくてもよい。具体的には、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧とを比較したときに、反射画素電極層107に印加する電圧が透明電極膜103に印加する電圧よりも高ければよい。この場合も、本実施例では、反射画素電極層107に印加する電圧が正であるという。そして、この条件を満足する限り、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧との両者をグランドレベルを基準とした正の電圧にしてもよいし、両者をグランドレベルを基準とした負の電圧にしてもよい。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0083】
また、本実施例では、液晶層105と第2の配向膜106との界面に堆積する負の荷電性粒子113を界面から解離させる場合について説明したが、液晶層105と第1の配向膜104との界面には正の荷電性粒子が堆積する可能性がある。この場合も、上記と同様の印加電圧制御を行うことで、荷電性粒子を界面から解離させて浮遊させ、さらに特定の対角方向に堆積した荷電性粒子を他の対角方向に拡散させることができる。この場合、液晶層105との界面に正の荷電性粒子が堆積する第1の配向膜104側の透明電極膜103に印加される電圧の符号は、荷電性粒子の符号と同じ正とするとよい。
【0084】
次に、図1に示した液晶パネルドライバ303の内部構成を図19に示す。液晶パネルドライバ303に入力された映像信号は、コントラスト調整回路201でコントラストの調整が行われる。コントラスト調整が行われた映像信号に対して、ガンマ補正回路202で、液晶パネル3R,3G,3Bの印加電圧−反射率(又は透過率)特性に応じた補正が行われる。ガンマ補正回路202の出力信号は、セレクタ203を経てデータ並び替え回路204に入力される。データ並び替え回路204では、液晶パネル3R,3G,3Bに表示するためのデータの並び替えが行われる。
【0085】
データ並び替え回路204の出力は、D/A変換器205でアナログ信号に変換された後、液晶パネル3R,3G,3Bに入力される。
【0086】
水平同期信号(Hsync)、垂直同期信号(Vsync)は、液晶パネルドライバ303内のタイミング信号生成回路(TG)209に入力される。TG209では、Hsync及びVsyncに基づいて液晶パネル3R,3G,3Bを駆動するのに必要な信号を生成する。
【0087】
また、中央演算回路(CPU)207は、液晶パネルドライバ303内の各回路に対して各種パラメータを設定する。CPU207の出力は、インターフェイス回路208で各回路が読み込むのに適したフォーマットに変換され、データバス210を通じてコントラスト調整回路201、ガンマ補正回路202、データ並び替え回路204及びTG209に入力される。
【0088】
直流パターン発生回路211は、図6及び図7に示した荷電性粒子を浮遊させる第1の制御を行うための印加直流電界に対応した印加電圧パターン(均一パターン)を出力する。この直流パターン発生回路211からの出力は、セレクタ203に入力される。
【0089】
対角パターン発生回路206は、図9及び図11〜図14に示した荷電性粒子を拡散させる第2の制御を行うための印加電圧分布に対応した印加電圧パターン(対角パターン)を出力する。この対角パターン発生回路206からの出力は、セレクタ203に入力される。
【0090】
セレクタ203は、CPU207からの指示に応じて、直流パターン発生回路211の出力と対角パターン発生回路206の出力とガンマ補正回路202の出力のうち1つを選択する。
【0091】
対角パターン発生回路206からの対角パターンに従って電極層103,107に電圧が印加されると、各液晶パネルには、該対角パターンに対応して対角方向Bに沿って明るさが変化する画像(対角パターン画像)が形成される。また、直流パターン発生回路211からの均一パターンに従って電極層103,107に電圧が印加されると、各液晶パネルには該均一パターンに対応して全画面において均一な明るさの画像が形成される。このうち対角パターン画像が光拡散スクリーン313に投射されると、観察者に不自然なパターンを有する画像を見せてしまうことになる。このため、少なくとも第2の制御は、このような不自然な画像を見せないように行う必要がある。
【0092】
光源301及び液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給のオン/オフ制御と、第1及び第2の制御を含む液晶パネル3R,3G,3Bへの印加電圧の制御は、CPU207によって図20に示すフローチャートに従って行われる。
【0093】
図20において、ステップ(図にはSと略記する)401では、CPU207は、電源スイッチ320がオン操作(投入操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオン操作されていない場合は本ステップを繰り返し、電源スイッチ320がオン操作された場合はステップ402に進む。
【0094】
ステップ402では、CPU207は、電源スイッチ320のオン操作に応じて電源制御部302に光源点灯指令信号を出力する。電源制御部302は、光源(ランプ)301に対する電源供給を開始して光源301を点灯させる。
【0095】
次に、ステップ403では、CPU207は、電源制御部302にパネル駆動指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を開始させる。また、CPU207は、セレクタ203にガンマ補正回路202の出力を選択させる。これにより、液晶パネル3R,3G,3Bによる光変調動作が開始され、通常の画像表示が行われる。
【0096】
ステップ404では、CPU207は、電源スイッチ320がオフ操作(遮断操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオフ操作されていない場合はステップ403に戻り、画像表示を続ける。一方、電源スイッチ320がオフ操作された場合は、ステップ405に進む。
【0097】
ステップ405では、CPU207は、電源スイッチ320のオフ操作に応じて、電源制御部302に対して光源消灯指令信号を出力する。光源消灯指令信号を受けた電源制御部302は、光源301への電源供給を停止させて光源301を消灯させる。
【0098】
次に、ステップ406aにおいて、CPU207は、セレクタ203に直流パターン発生回路211の出力を選択させ、直流パターン発生回路211から出力された均一パターンに従った電位(第5及び第6の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、液晶層105内で堆積した荷電性粒子113を液晶層105内に浮遊させるための第1の制御(直流電界印加)が開始される。また、CPU207は、第1の所定時間の計測を開始する。
【0099】
ステップ406bにおいて、CPU207は、第1の所定時間が経過したか否かを判定する。第1の所定時間が経過していない場合は、ステップ406aに戻る。一方、第1の所定時間が経過した場合は、ステップ407に進む。
【0100】
ステップ407では、CPU207は、セレクタ203に対角パターン発生回路206の出力を選択させ、対角パターン発生回路206から出力された対角パターンに従った電位(第3及び第4の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、荷電性粒子を液晶層105内で拡散させるための第2の制御が開始される。また、CPU207は、第2の所定時間の計測を開始する。
【0101】
ステップ408では、CPU207は、第2の所定時間が経過したか否かを判定する。第2の所定時間が経過していない場合は、ステップ407に戻る。一方、第2の所定時間が経過した場合は、ステップ409に進む。
【0102】
ステップ409では、CPU207は、対角パターン発生回路206からの出力を停止(消去)させる。そして、ステップ410では、CPU207は、電源制御部302にパネル停止指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を停止させる。これにより、プロジェクタの電源オフ制御が終了する。
【0103】
このように本実施例では、電源スイッチ320がオフ操作されたことに応じて、まず光源301を消灯させる。そして、その後に液晶層と配向膜との界面に堆積した荷電性粒子を強制的に該界面から解離させ、液晶層内にて拡散させるための第1及び第2の制御を順次行う。これにより、荷電性粒子を拡散させるための第2の制御によって液晶パネルに現れる対角パターンに対応する不自然な画像を観察者に見せることなく、荷電性粒子の堆積による表示輝度不良を解消することができる。すなわち、荷電性粒子の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0104】
なお、本実施例では、光源301を消灯させた後において、第2の制御を行う前に第1の制御を行う場合について説明した。しかし、第1の制御中には、第2の制御中のような対角パターン画像は現れず、均一な画像が現れるだけである。このため、第1の制御を、光源301を消灯させる前や点灯状態から消灯状態への移行中に行ってもよい。
【0105】
また、図19には、CPU207が液晶パネルドライバ303内に設けられた例を示したが、CPUを液晶パネルドライバの外に設け、CPUが液晶パネルドライバや電源制御部を制御するようにしてもよい。
【実施例2】
【0106】
次に、本発明の実施例2について説明する。なお、本実施例において、実施例1と同じ又は同様な機能を有する構成要素については実施例1と同符号を付す。
【0107】
本実施例でも、実施例1と同様に、光源301が消灯された状態において、液晶層105に生じる電界の符号が一定となり、かつ液晶層105の面内方向において同じ電位をそれぞれの電極層103,107に与える第1の制御を行う。そしてその後、液晶層105に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層105の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を電極層103,107に与える第2の制御を行う。
【0108】
ただし、本実施例では、第2の制御において反射画素電極層107に直流電圧を印加する点で実施例1と異なる。
【0109】
本実施例における第2の制御において透明電極膜103及び反射画素電極層107に印加する電圧(第3及び第4の電位)を、図16、図17及び図18に示す。
【0110】
図16は、図9中の領域124での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧V103bと反射画素電極層107への印加電圧V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。また、両印加電圧V103b,107bは一致しており、電極間電位差は0となる。
【0111】
また、図17は、図9中の領域122での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧V103bと反射画素電極層107への印加電圧V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。反射画素電極層107への印加電圧V107bは、透明電極膜103への印加電圧V103bよりも、電極間電位差120′だけ高く設定される。
【0112】
また、図18は、図9中の領域123での印加電圧を示す。領域122での印加電圧と同様に、透明電極膜103への印加電圧V103bと反射画素電極層107への印加電圧V107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。反射画素電極層107への印加電圧V107bは、透明電極膜103への印加電圧V103bよりも、電極間電位差120″だけ高く設定される。電極間電位差120″は、領域122での電極間電位差120′よりも小さい。
【0113】
この結果、領域122には、領域123の電極間電位差120″よりも大きい電極間電位差120′が与えられ、より高い直流電圧が印加されることになる。
【0114】
このように、第2の制御において反射画素電極層107に直流電圧を印加しても、実施例1の図14,15に示したように、対角方向Aにて堆積して第1の制御により浮遊した荷電性粒子113を対角方向Bに引き寄せ、液晶層105内に拡散させることができる。
【0115】
本実施例では、実施例1のように反射画素電極層107への印加電圧V107bを交流電圧とする場合に比べて、荷電性粒子113を常時クーロン力によって対角方向Bに引き寄せるので、荷電性粒子113の拡散効果をより高めることができる。このため、第2の制御を行う第2の所定時間を短くすることも可能である。
【実施例3】
【0116】
次に、本発明の実施例3について説明する。なお、本実施例において、実施例1と同じ又は同様な機能を有する構成要素については実施例1と同符号を付す。
【0117】
本実施例でも、実施例1と同様に、光源301が消灯された状態において、液晶層105に生じる電界の符号が一定となり、かつ液晶層105の面内方向において同じ電位をそれぞれの電極層103,107に与える第1の制御を行う。そしてその後、液晶層105に生じる電界の符号を一定とし、かつ液晶層105の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を電極層103,107に与える第2の制御を行う。
【0118】
ただし、本実施例では、第1及び第2の制御を、電源スイッチ320のオン操作に応じて光源301の点灯前に行う点で実施例1と異なる。
【0119】
図21のフローチャートには、本実施例におけるCPU207の動作を示す。
【0120】
ステップ501では、CPU207は、電源スイッチ320がオン操作(投入操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオン操作されていない場合は本ステップを繰り返し、電源スイッチ320がオン操作された場合はステップ502aに進む。
【0121】
ステップ502aでは、CPU207は、電源スイッチ320がオン操作に応じて電源制御部302にパネル駆動指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を開始させる。また、CPU207は、セレクタ203に直流パターン発生回路211の出力を選択させ、直流パターン発生回路211から出力された均一パターンに従った電位(第5及び第6の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、液晶層105内で堆積した荷電性粒子113を液晶層105内に浮遊させるための第1の制御(直流電界印加)が開始される。また、CPU207は、第1の所定時間の計測を開始する。
【0122】
ステップ502bでは、CPU207は、第1の所定時間が経過したか否かを判定する。第1の所定時間が経過していない場合は、ステップ502aに戻る。一方、第1の所定時間が経過した場合は、ステップ503に進む。
【0123】
ステップ503では、CPU207は、セレクタ203に対角パターン発生回路206の出力を選択させ、対角パターン発生回路206から出力された対角パターンに従った電位(第3及び第4の電位)を電極層103,107に印加させる。これにより、荷電性粒子を液晶層105内で拡散させるための第2の制御が開始される。
【0124】
本ステップで反射画素電極層107に印加する電圧は、実施例1で説明した交流電圧であってもよいし、実施例2で説明した直流電圧であってもよい。また、CPU207は、第2の所定時間の計測を開始する。
【0125】
ステップ504では、CPU207は、第2の所定時間が経過したか否かを判定する。第2の所定時間が経過していない場合は、ステップ503に戻る。一方、第2の所定時間が経過した場合は、ステップ505に進む。こうして、実施例1の図14,15に示したように、対角方向Aにて堆積して第1の制御により浮遊した荷電性粒子113を、対角方向Bに引き寄せて液晶層105内に拡散させることができる。
【0126】
ステップ505では、CPU207は、対角パターン発生回路206からの出力を停止(消去)させる。
【0127】
そして、ステップ506では、CPU207は、電源制御部302に光源点灯指令信号を出力する。電源制御部302は、光源301に対する電源供給を開始して光源301を点灯させる。これにより、プロジェクタの電源オン制御が終了する。
【0128】
次に、ステップ507では、CPU207は、セレクタ203にガンマ補正回路202の出力を選択させる。これにより、液晶パネル3R,3G,3Bによる光変調動作が開始され、通常の画像表示が行われる。
【0129】
ステップ508では、CPU207は、電源スイッチ320がオフ操作(遮断操作)されたか否かを判定する。電源スイッチ320がオフ操作されていない場合はステップ507に戻り、画像表示を続ける。一方、電源スイッチ320がオフ操作された場合は、ステップ509に進む。
【0130】
ステップ509では、CPU207は、電源スイッチ320のオフ操作に応じて、電源制御部302に対して光源消灯指令信号を出力する。光源消灯指令信号を受けた電源制御部302は、光源301への電源供給を停止させて光源301を消灯させる。そして、ステップ510で、CPU207は、電源制御部302に対してパネル停止指令信号を出力し、液晶パネル3R,3G,3Bへの電源供給を停止させる。これにより、プロジェクタの電源オフ制御が終了する。
【0131】
このように本実施例では、電源スイッチ320のオン操作に応じて、前回のプロジェクタの使用によって液晶層と配向膜との界面に堆積した荷電性粒子を強制的に該界面から解離させ、液晶層内に拡散させるための第1及び第2の制御を順次行う。そして、第1及び第2の制御の終了後に、光源301を点灯させる。これにより、荷電性粒子を拡散させるための第2の制御によって液晶パネルに現れる対角パターンに対応する不自然な画像を観察者に見せることなく、荷電性粒子の堆積による表示輝度不良を解消することができる。すなわち、荷電性粒子の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0132】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【0133】
例えば、上記各実施例は、垂直配向モードの液晶変調素子に対するものであるが、上記実施例の印加電圧制御を、垂直配向モード以外のTN,STN,OCBモード等の各種液晶変調素子に適した形態に変形してこれらの液晶変調素子に適用してもよい。また、透過型液晶変調素子に適した形態に変形して実施してもよい。
【0134】
また、上記各実施例では、液晶プロジェクタについて説明したが、本発明は、液晶プロジェクタ以外の液晶変調素子を用いる液晶表示装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施例1〜3である液晶プロジェクタの構成を示す図。
【図2】実施例1〜3で用いられる液晶パネルの断面図。
【図3】上記液晶パネルにおける垂直配向モードのプレチルト方向を説明する図。
【図4】実施例1〜3において、液晶パネル内で堆積した荷電性粒子を示す断面図。
【図5】実施例1〜3において、液晶パネル内で堆積した荷電性粒子を示すガラス基板側から見た図。
【図6】実施例1〜3において、荷電性粒子を浮遊させるための印加電圧が対向電極に印加される様子を示す図。
【図7】図6における対向電極への印加電圧を示す図。
【図8】実施例1〜3において、対向電極への電圧印加によって浮遊した荷電性粒子を説明する図。
【図9】実施例1〜3において、堆積した荷電性粒子を拡散させるために反射画素電極層に与える電圧の面内分布を説明する図。
【図10】実施例1〜3における液晶パネルの通常の交流駆動を説明する図。
【図11】実施例1における図9中の領域124での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図12】実施例1における図9中の領域122での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図13】実施例1における図9中の領域123での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図14】実施例1〜3において、荷電性粒子を拡散させるための印加電圧が対向電極に印加される様子を示す図。
【図15】図14に示す電圧印加により、堆積した荷電性粒子が拡散した様子を示す図。
【図16】実施例2における図9中の領域124での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図17】実施例2における図9中の領域122での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図18】実施例2における図9中の領域123での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図19】実施例1〜3における液晶パネルドライバの構成を示す図。
【図20】実施例1,2における液晶プロジェクタの動作を示すフローチャート。
【図21】実施例3における液晶プロジェクタの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0136】
101 ARコート膜
102 ガラス基板
103 透明電極膜
104 第1の配向膜
105 液晶層
106 第2の配向膜
107 反射画素電極層
108 Si基板
110,111 ダイレクタ方向(プレチルト方向)
113 荷電性粒子
303 液晶パネルドライバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極及び第2の電極、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された液晶層、前記第1の電極と前記液晶層との間に配置された第1の配向膜、及び前記第2の電極と前記液晶層との間に配置された第2の配向膜を含み、光源からの光を変調する液晶変調素子と、
前記液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように前記第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与えて前記液晶変調素子に光変調動作を行わせる制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記光源が消灯された状態において、前記液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ前記液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を前記第1及び第2の電極にそれぞれ与えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、該装置の電源スイッチの投入/遮断操作に応じて前記光源の点灯/消灯を制御し、
前記制御手段は、前記電源スイッチが遮断操作されたことに応じて前記光源を消灯させ、その後、前記第3及び第4の電位をそれぞれ前記第1及び第2の電極に与えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、該装置の電源スイッチの投入/遮断操作に応じて前記光源の点灯/消灯を制御し、
前記制御手段は、前記電源スイッチが投入操作されたことに応じて前記第3及び第4の電位をそれぞれ前記第1及び第2の電極に与え、その後、前記光源を点灯させることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶層の面内方向において、前記液晶層内の荷電性粒子が堆積する領域を第1の堆積領域とし、該第1の堆積領域よりも前記荷電性粒子の堆積が少ない領域を第2の堆積領域とするとき、
前記制御手段は、前記第2の堆積領域での前記第3及び第4の電位の差を前記第1の堆積領域での前記第3及び第4の電位の差よりも大きくすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶層の面内方向における液晶の配向方向を第1の方向とし、該第1の方向とは異なる方向を第2の方向とするとき、
前記制御手段は、前記第3及び第4の電位の差を前記第2の方向において変化させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第3又は第4の電位として、前記第1及び第2の電極のうち前記液晶層との界面に該液晶層内の荷電性粒子が堆積する配向膜側の電極に、該荷電性粒子の符号と異なる符号の電位を与えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第3及び第4の電位を前記第1及び第2の電極に与える前に、前記液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつそれぞれ前記液晶層の面内方向において同じ電位である第5及び第6の電位を前記第1及び第2の電極に与えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第5又は第6の電位として、前記第1及び第2の電極のうち前記液晶層との界面に該液晶層内の荷電性粒子が堆積する配向膜側の電極に、該荷電性粒子の符号と同じ符号の電位を与えることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶変調素子は、反射型液晶変調素子であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項1】
第1の電極及び第2の電極、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された液晶層、前記第1の電極と前記液晶層との間に配置された第1の配向膜、及び前記第2の電極と前記液晶層との間に配置された第2の配向膜を含み、光源からの光を変調する液晶変調素子と、
前記液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように前記第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与えて前記液晶変調素子に光変調動作を行わせる制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記光源が消灯された状態において、前記液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつ前記液晶層の面内方向において差が変化する第3及び第4の電位を前記第1及び第2の電極にそれぞれ与えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、該装置の電源スイッチの投入/遮断操作に応じて前記光源の点灯/消灯を制御し、
前記制御手段は、前記電源スイッチが遮断操作されたことに応じて前記光源を消灯させ、その後、前記第3及び第4の電位をそれぞれ前記第1及び第2の電極に与えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、該装置の電源スイッチの投入/遮断操作に応じて前記光源の点灯/消灯を制御し、
前記制御手段は、前記電源スイッチが投入操作されたことに応じて前記第3及び第4の電位をそれぞれ前記第1及び第2の電極に与え、その後、前記光源を点灯させることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶層の面内方向において、前記液晶層内の荷電性粒子が堆積する領域を第1の堆積領域とし、該第1の堆積領域よりも前記荷電性粒子の堆積が少ない領域を第2の堆積領域とするとき、
前記制御手段は、前記第2の堆積領域での前記第3及び第4の電位の差を前記第1の堆積領域での前記第3及び第4の電位の差よりも大きくすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶層の面内方向における液晶の配向方向を第1の方向とし、該第1の方向とは異なる方向を第2の方向とするとき、
前記制御手段は、前記第3及び第4の電位の差を前記第2の方向において変化させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第3又は第4の電位として、前記第1及び第2の電極のうち前記液晶層との界面に該液晶層内の荷電性粒子が堆積する配向膜側の電極に、該荷電性粒子の符号と異なる符号の電位を与えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第3及び第4の電位を前記第1及び第2の電極に与える前に、前記液晶層に生じる電界の符号を一定とし、かつそれぞれ前記液晶層の面内方向において同じ電位である第5及び第6の電位を前記第1及び第2の電極に与えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第5又は第6の電位として、前記第1及び第2の電極のうち前記液晶層との界面に該液晶層内の荷電性粒子が堆積する配向膜側の電極に、該荷電性粒子の符号と同じ符号の電位を与えることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶変調素子は、反射型液晶変調素子であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【図4】
【図5】
【図9】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図5】
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【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−98530(P2009−98530A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271852(P2007−271852)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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