説明

液晶表示装置

【課題】モノクロの画像の画像を表示させる際に画像が暗くなるのを抑制することが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】この液晶表示装置(ヘッドアップディスプレイシステム100)は、LED13a、13bおよび13cのそれぞれに対応する赤色、緑色および青色の画像を液晶パネル14に順次表示することによって複数の色を表示させるフィールドシーケンシャル駆動と、LED13a、13bおよび13cの3つを同時に発光させることにより、液晶パネル14にモノクロの画像(白黒)を表示させる駆動とを切り替えるように構成されている。そして、フィールドシーケンシャル駆動と、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる駆動とは、ヘッドアップディスプレイシステム100(自動車)周辺の明るさおよび障害物の有無に基づいて切り替えられるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、フィールドシーケンシャル駆動が用いられている液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィールドシーケンシャル駆動が用いられている液晶表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1に記載の液晶表示装置では、複数の光源と、複数の光源と対向するように設けられる液晶パネルとを備え、複数の光源を順次発光させて、複数の光源のそれぞれに対応する色の画像を液晶パネルに順次表示するフィールドシーケンシャル駆動が用いられている。なお、フィールドシーケンシャル駆動では、複数の光源のそれぞれに対応する色の画像が液晶パネルに順次表示されることによって、観察者には、光源の色または複数の光源の色の加法混色による色が表示されているように認識される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−295105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のフィールドシーケンシャル駆動が用いられている液晶表示装置では、1フィールドの間(1つの画像が表示される間)に複数の光源のそれぞれが発光する時間が短くなる。具体的には、1フィールドの時間を光源の数で割った時間になるので、1フィールドの間にモノクロ(モノクローム(monochrome)の略、以下に同じ)の画像を表示させる際に、光源の発光する時間が短くなる分、画像が暗くなるという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、モノクロの画像を表示させる際に画像が暗くなるのを抑制することが可能な液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における液晶表示装置は、複数の光源と、複数の光源と対向するように設けられる液晶パネルとを備え、複数の光源を順次発光させることにより、複数の光源のそれぞれに対応する色の画像を液晶パネルに順次表示することによって複数の色を表示させるフィールドシーケンシャル駆動と、複数の光源のうちの1つまたは2つ以上の光源を同時に発光させることにより、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動とを切り替えるように構成されており、フィールドシーケンシャル駆動と、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動とは、装置周辺の明るさに基づいて切り替えられるように構成されている。なお、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動とは、1フィールドの期間に1つまたは複数の光源を同時に継続的に発光させることにより、1つの光源による1つの色(たとえば、赤、緑または青)、または複数の光源による混色(たとえば、赤、緑および青の混色による白黒)を表示させる駆動を意味する。
【0007】
この一の局面による液晶表示装置では、上記のように、フィールドシーケンシャル駆動と、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動とを切り替えられるように構成することによって、たとえば、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる場合、フィールドシーケンシャル駆動では複数の光源のうちの1つが1フィールドの期間の光源の数分の1の期間(1フィールドの時間/光源の数:1サブフィールド)発光させることによりモノクロの画像を表示する一方、複数の光源のうちの少なくとも1つを発光させることにより液晶パネルにモノクロの画像を表示させる場合では、1フィールドの間光源を継続的に発光させることができるので、その分液晶パネルに表示される画像が暗くなるのを抑制することができる。また、フィールドシーケンシャル駆動と、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動とを、装置周辺の明るさに基づいて切り替えられるように構成することによって、たとえば夜間の暗い画像を液晶パネルに表示する場合、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動を用いることによって、フィールドシーケンシャル駆動を用いて表示する場合と比べて、画像が暗くなるのを抑制することができるので、光源の明るさを暗くすることができ、夜間の暗い画像をより低消費電力で明瞭に表示することができる。
【0008】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、装置周辺の明るさが所定の明るさ以上の場合には、フィールドシーケンシャル駆動が用いられ、装置周辺の明るさが所定の明るさ未満の場合には、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられるように構成されている。このように構成すれば、たとえば夜間の暗い画像を液晶パネルに表示する場合、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動を用いることによって、容易に、夜間の暗い画像をより低消費電力で明瞭に表示することができる。
【0009】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられる際には、液晶パネルには、濃淡を変化させたモノクロの階調画像が表示されるように構成されている。このように構成すれば、2値表示によって画像が表示される場合と異なり、明瞭な画像を表示させることができる。
【0010】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、フィールドシーケンシャル駆動では、1フィールドの期間内に複数の光源を1回ずつ順次発光させることにより、複数の光源のそれぞれに対応する色の画像を液晶パネルに順次表示するとともに、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動では、1フィールドの期間内に複数の光源のうちの少なくとも1つを継続的に発光させるように構成されている。このように構成すれば、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動では、1フィールドの期間内に光源を継続的に発光させることができる分、フィールドシーケンシャル駆動と比べて、画像が暗くなるのを抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられる際には、複数の光源のうちの液晶パネルに表示されるモノクロの画像の色とは異なる色の光源を発光させる期間とモノクロの画像を表示させる期間を所定の周期で繰り返すことにより、液晶パネルに表示されるモノクロの画像の色とは異なる色の光源を発光させる期間に補助情報が液晶パネルに表示されるように構成されている。このように構成すれば、たとえば、夜間の暗い画像をモノクロの画像で液晶パネルに表示させるとともに、補助情報をモノクロの画像の色とは異なる色で、夜間の暗い画像に重ねて表示することができる。
【0012】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、障害物の存在を検知するためのセンサーをさらに備え、補助情報として、センサーによって検知された障害物の存在を示す警告情報が液晶パネルに表示されるように構成されている。このように構成すれば、たとえば夜間の暗い画像をモノクロの画像で液晶パネルに表示させるとともに、観察者の目では認識しにくい障害物の存在を、モノクロの画像の色とは異なる色の警告を夜間の暗い画像に重ねて表示することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、障害物の存在を示す警告は、センサーによって検知された障害物を囲む枠として表示されるように構成されている。このように構成すれば、容易に、障害物の存在を示す警告を観察者に認識させることができる。
【0014】
上記補助情報が液晶パネルに表示される液晶表示装置において、好ましくは、光源を発光させる期間は、モノクロ画像表示期間よりも短い。このように構成すれば、障害物の存在を示す警告が表示される時間が、モノクロの画像が表示される時間と比べて短くなるので、モノクロの画像の上に点滅するように障害物の存在を示す警告を示すことができる。
【0015】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、障害物の存在を検知するためのセンサーをさらに備え、装置周辺の明るさに関わらず、センサーによって障害物の存在を検知した際に、装置周辺の明るさに関わらずフィールドシーケンシャル駆動から液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動に切り替えられるように構成されている。このように構成すれば、装置周辺の明るさが所定の明るさ以上の際、観察者が障害物の存在を見過ごしても、センサーによって検知された障害物の存在を示す警告を液晶パネルに表示させることにより、障害物の存在を観察者に認識させることができる。
【0016】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、複数の光源は、赤色、緑色および青色の光源のうちの少なくとも2つ以上の光源からなる。このように構成すれば、加法混色により複数の色を表示することができる。
【0017】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、フィールドシーケンシャル駆動が用いられる際には、液晶パネルには、自動車のナビゲーション情報が複数の色によって表示され、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられる際には、液晶パネルには、夜間の暗い画像が可視化された画像が表示されるように構成されている。このように構成すれば、フィールドシーケンシャル駆動を用いることにより、比較的明るい画像からなる自動車のナビゲーション情報を容易に複数の色によって表示することができるとともに、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動を用いることにより、光源の明るさを暗くすることができるので、自動車の前方、後方、左右側方などの自動車の周囲の特定方向の画像(特に、比較的暗い画像からなる夜間の暗い画像が赤外線により撮像したモノクロの画像により可視化された画像)をより低消費電力で明瞭に表示することができる。
【0018】
上記一の局面による液晶表示装置において、好ましくは、液晶パネルの光源と反対側に設けられる鏡部をさらに備え、液晶パネルを透過し、鏡部に反射された光源の出射光を出力するように構成されている。このように構成すれば、液晶パネルに表示される画像を、たとえばフロントガラスからなるガラス部に表示させるヘッドアップディスプレイシステムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムのフィールドシーケンシャル駆動を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムのフィールドシーケンシャル駆動を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルの平面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルの平面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルの平面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルに障害物の存在を示す警告を表示させる駆動を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルに障害物の存在を示す警告を表示させる駆動を説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルの平面図である。
【図12】本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの液晶パネルの平面図である。
【図13】本発明の一実施形態の第1変形例によるヘッドアップディスプレイシステムを説明するための図である。
【図14】本発明の一実施形態の第2変形例によるヘッドアップディスプレイシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1を参照して、本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステム100の構成について説明する。なお、本実施形態では、液晶表示装置の一例であるヘッドアップディスプレイシステム100に本発明を適用した場合について説明する。
【0022】
本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステム100は、図1に示すように、たとえば自動車に搭載されており、ヘッドアップディスプレイ部1と、ヘッドアップディスプレイ部1から出射される光(画像)が表示される自動車のフロントガラス2とから構成されている。なお、フロントガラス2は、本発明の「ガラス部」の一例である。
【0023】
ここで、本実施形態では、ヘッドアップディスプレイ部1は、筐体10と、凹面鏡11と、液晶表示装置部12とを含んでいる。また、液晶表示装置部12は、バックライト13と、液晶パネル14とから構成されている。なお、本実施形態では、バックライト13は、赤色(R)の光を発光するLED13aと、緑色(G)の光を発光するLED13bと、青色(B)の光を発光するLED13cとから構成されている。なお、凹面鏡11は、本発明の「鏡部」の一例である。また、LED13a、13bおよび13cは、本発明の「光源」の一例である。バックライト13と、液晶パネル14と、凹面鏡11とは、バックライト13から出射される光の光出射方向に平行な直線上に概ね配置(バックライトの配置位置は直線状にもあるが、側面は位置しプリズムで直線上に合成されることもある)されており、フロントガラス2は、バックライト13から出射され凹面鏡11に反射される光の反射方向に配置されている。バックライト13と凹面鏡11とは、液晶パネル14を挟んで対向するように配置されている。また、筐体10には、開口部10aが設けられており、ヘッドアップディスプレイ部1から光が出射されるように構成されている。
【0024】
また、ヘッドアップディスプレイ部1には、自動車の前方、後方、左右側方などの車の周囲の風景を撮影するためのカメラ15と、自動車の周辺の明るさを検知して検知情報を出力するための明るさ検知センサー16と、進行方向の道路上に存在する障害物(たとえば、人や動物などの生体や落石や倒木など)を検知して、ステアリングの操舵角と車速から自動車の進行方向を予測し、障害物と接触する恐れがある場合に警告情報を出力するための障害物検知センサー17と、自動車の位置情報や道案内情報などのナビゲーション情報や渋滞情報などの道路交通情報を出力するための道路情報表示装置18、自動車の走行速度やエンジン回転速度や水温などの車両情報や水温・油温の異常や燃料補給やライトの消し忘れなどの警告情報を出力するための車両情報表示装置19が接続されており、これらの各情報は、制御回路20で、処理/制御されて、液晶表示装置部12に表示情報として出力されている。制御回路20は、障害物検知センサー17の警告情報、道路情報装置18からの道路交通情報、車両情報表示装置19からの警告情報を、運転者に対する補助情報として液晶表示装置部12に出力する。なお、障害物検知センサー17は、本発明の「センサー」の一例である。また、液晶表示装置部12は、明るさ検知センサー16と、障害物検知センサー17とから出力される情報に基づいて制御されるように構成されている。また、カメラ15として、たとえば赤外線カメラを用いることにより、可視光では撮影の困難な夜間の暗い画像を赤外線で撮像したモノクロの画像として可視化することが可能となる。また、障害物検知センサー17は、たとえば生体の熱源を検知する赤外線センサーや前方の障害物を検知する超音波センサーからなる。また、制御回路20は、液晶表示装置部12の基板上に設けられていても、別基板上に設けられていてもよい。
【0025】
次に、図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態によるヘッドアップディスプレイシステム100の動作について説明する。
【0026】
まず、図1に示す明るさ検知センサー16によって自動車の周辺の明るさが検知される。ここで、本実施形態では、周辺の明るさが所定の明るさ以上(たとえば、昼間)の場合、液晶表示装置部12は、フィールドシーケンシャル駆動が行われる。フィールドシーケンシャル駆動では、図2に示すように、1つの画像が表示される期間(1フィールド)に、赤色の画像の書き込みおよび赤色の表示の期間(1サブフィールド)と、緑色の画像の書き込みおよび緑色の表示の期間(1サブフィールド)と、青色の画像の書き込みおよび青色の表示の期間(1サブフィールド)とが含まれている。なお、各画素14aは、2ビットによる4階調表示(図2に示す、0、1、2、3)するように構成されている。また、フィールドシーケンシャル駆動では、たとえば60Hzの周波数で液晶パネル14が駆動される。つまり、1秒間に60の画像が順次表示される。そして、赤(緑、青)色の画像の書き込みおよび赤(緑、青)色の表示の期間(1サブフィールド)は、180Hzで駆動される。
【0027】
具体的には、液晶パネル14に設けられる複数の画素14aに、赤色の画像の信号が書き込まれた(赤書き込み)後、赤色のLED13aが発光される。これにより、液晶パネル14には、赤色の画像が表示されるとともに、液晶パネル14に表示される赤色の画像が凹面鏡11を介してフロントガラス2に映し出される。次に、複数の画素14aに、緑色の画像の信号が書き込まれた(緑書き込み)後、緑色のLED13bが発光される。これにより、液晶パネル14には、緑色の画像が表示されるとともに、液晶パネル14に表示される緑色の画像が凹面鏡11を介してフロントガラス2に映し出される。そして、複数の画素14aに、青色の画像の信号が書き込まれた(青書き込み)後、青色のLED13cが発光される。これにより、液晶パネル14には、青色の画像が表示されるとともに、液晶パネル14に表示される青色の画像が凹面鏡11を介してフロントガラス2に映し出される。その結果、観察者(運転手)には、図3に示すように、赤色、緑色、青色、または、赤緑青の加法混色により作り出される色が認識される。なお、階調数は、(2k(n:ビット数、k:光源の色の数)によって表わされ、本実施形態では、64((2)の色を表示することが可能となる。
【0028】
そして、本実施形態では、フィールドシーケンシャル駆動による液晶パネル14(フロントガラス2)の表示として、道路交通情報や、車両情報および位置情報などが表示される。たとえば、図4に示すように、カーナビゲーション用の進行方向を示す矢印21および道路を示す印22は、赤色と緑色との混色(黄色)によって表示されるとともに、自動車の前方の危険物(たとえば、前を走る自動車)を示す警告23は、赤色によって表示される。また、自動車の速度24は、緑色で表示される。
【0029】
次に、本実施形態では、図1に示す明るさ検知センサー16によって検知された周辺の明るさが所定の明るさ未満(たとえば、夜間)の場合、液晶表示装置部12は、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる駆動が行われる。つまり、本実施形態では、自動車の周辺の明るさに基づいて、液晶表示装置部12の駆動が切り替えられる。液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる駆動では、図5に示すように、1フィールドの期間(3サブフィールドの期間)、赤色のLED13a、緑色のLED13bおよび青色のLED13cが同時に連続的または断続的に発光される。これにより、図6に示すように、液晶パネル14には、赤色、緑色および青色の混色による白黒の画像が表示される。なお、フィールドシーケンシャル駆動によってモノクロ(白黒)の画像を表示する場合では、赤色のLED13a、緑色のLED13bおよび青色のLED13cのそれぞれが1サブフィールドの期間のみ発光されるため、赤色のLED13a、緑色のLED13bおよび青色のLED13cが連続的に発光される駆動と比べて、液晶パネル14に表示される画像が暗くなる。
【0030】
また、上記フィールドシーケンシャル駆動と同様に、各画素14aは、2ビットによる4階調表示(図5に示す、0、1、2、3)するように構成されている。そして、階調数は、2n−11×m+1(n:ビット数、m:サブフィールドの数、C:コンビネーション)によって表わされ、本実施形態では、10(=×3+1)の階調の表示をすることが可能となる。具体的には、図5に示すように、各サブフィールドにおいて、画素14aの階調は、0、1、2および3の4段階に調整され、観察者には、3つのサブフィールドにおける合計の階調が、図6に示すように、0〜9の階調として認識される。
【0031】
そして、本実施形態では、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる駆動では、液晶パネル14(フロントガラス2)の表示として、ナイトビジョン(夜間の画像)が表示される。たとえば、図7に示すように、カメラ15(図1参照)によって撮影された自動車の前方の画像が液晶パネル14(フロントガラス2)に映し出される。
【0032】
また、本実施形態では、図8に示すように、障害物検知センサー17により自動車の前方の障害物(たとえば歩行者25)が検知された場合、液晶パネル14(フロントガラス2)には、自動車の前方の画像に加えて、障害物の存在を示す警告(障害物を囲む枠26)が表示される。
【0033】
具体的には、自動車の前方に障害物が検知された際、図9に示すように、液晶パネル14に赤色の障害物を囲む枠26を示す表示(図11参照)と、液晶パネル14に白黒の階調表示によって自動車の前方の画像(図12参照)を表示させる駆動とが交互に切り替わる。これにより、観察者(運転手)には、自動車の前方の画像と障害物を囲む枠26とが共に表示される画像(図8参照)が認識される。なお、赤色の障害物を囲む枠26を示す表示は、白黒の自動車の前方の画像が表示される時間よりも短い。通常のフィールドシーケンシャル駆動(本例では3サブフィールド)にRのサブフィールドを追加する。この4サブフィールド状態をある期間(0.1秒以上3秒以下)継続し、その後、通常のフィールドシーケンシャル駆動(3サブフィールド)にもどすことにより、観察者(運転手)には、赤色の障害物を囲む枠26が点滅するように認識される。
【0034】
また、本実施形態では、液晶パネル14に障害物の存在を示す警告(障害物を囲む枠26)が表示されるのは、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる(夜間の画像が表示される)駆動の場合に限らず、ナビゲーション情報が表示されるフィールドシーケンシャル駆動が行われている際に、障害物検知センサー17により自動車の前方の障害物が検知された場合にも液晶パネル14に障害物の存在を示す警告(障害物を囲む枠26)が表示されるようにしてもよい。なお、本実施形態では、補助情報として、障害物検知センサー17の警告情報(障害物の存在を示す警告)を表示しているが、この他にも、道路情報装置18からの道路交通情報や車両情報表示装置19からの警告情報などの補助情報が表示されるようにしてもよい。
【0035】
本実施形態では、上記のように、フィールドシーケンシャル駆動と、液晶パネル14にモノクロ(白黒)を表示させる駆動とを切り替えられるように構成することによって、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる場合、フィールドシーケンシャル駆動では3つのLED13a〜13cの1つが1フィールドの期間の3分の1の期間(1サブフィールド)のうち、液晶の応答時間後のある時間を発光させることによりモノクロの画像を表示する一方、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる駆動では、1フィールドの間、LED13a〜13cの3つを連続的に発光させることができるので、その分液晶パネル14に表示される画像(夜間の暗い画像)が明るくなる。これにより、バックライトの電力を削減することができる。
【0036】
また、本実施形態では、上記のように、ヘッドアップディスプレイシステム100(自動車)周辺の明るさが所定の明るさ以上の場合には、カラーフィールドシーケンシャル駆動を用い、ヘッドアップディスプレイシステム100周辺の明るさが所定の明るさ未満の場合には、液晶パネル14にモノクロの画像(通常の断続点灯フィールドシーケンシャルまたは連続点灯フィールドシーケンシャル)を表示させる駆動を用いるように構成する。
【0037】
また、本実施形態では、上記のように、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる駆動が用いられる際には、液晶パネル14には、濃淡を変化させたモノクロの階調画像が表示されるように構成することによって、2値表示によって画像が表示される場合と異なり、観測者の画像の視認性が向上する。
【0038】
また、本実施形態では、上記のように、カラーフィールドシーケンシャル駆動では、1フィールドの期間内にLED13a〜13cを1回ずつ断続的に順次発光させることにより、赤色、緑色および青色の画像を液晶パネル14に順次表示するのに対し、液晶パネル14にモノクロの画像を表示させる駆動では、1フィールドの期間内にLED13a〜13cの3つを連続的に発光するように構成することにより、バックライトの発光ピーク輝度の低いランプを使用することができる。
【0039】
また、本実施形態では、上記のように、液晶パネル14にモノクロの画像(白黒)を表示させる駆動が用いられる際には、LED13a(赤色)を所定の期間(0.1秒以上3秒以下)通常のフィールドシーケンシャル駆動(本例:3サブフィールド)に加えて発光させることにより、障害物検知センサー17によって検知された障害物の存在を示す警告を液晶パネル14に表示することによって、夜間の暗い画像を液晶パネル14に表示させるとともに、観察者(運転手)の目では認識しにくい障害物の存在を示す警告をモノクロ画像に重ねて表示することができる。
【0040】
また、本実施形態では、上記のように、障害物の存在を示す警告を、障害物検知センサー17によって検知された障害物を囲む枠26として表示することによって、容易に、障害物の存在を示す警告を観察者に認識させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように、LED13a(赤色)が発光される所定の期間(0.1秒以上3秒以下)を、通常モノクロフィールドシーケンシャル駆動においてLED13a〜13cが順次発光する期間よりも小さくすることによって、障害物を囲む枠26が表示される時間が、モノクロの画像が表示される時間と比べて短くなるので、モノクロの画像の上に点滅するように障害物を囲む枠26を示すことができる。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、ヘッドアップディスプレイシステム100(自動車)周辺の明るさに基づく切り替えとは別個に、障害物検知センサー17によって障害物の存在を検知した際に、カラーフィールドシーケンシャル駆動から液晶パネル14にモノクロフィールドシーケンシャルの画像を表示させる駆動に切り替えられるように構成することによって、ヘッドアップディスプレイシステム100(自動車)周辺の明るさが所定の明るさ以上の際、観察者が障害物の存在を見過ごしても、障害物検知センサー17によって検知された障害物の存在を示す警告を液晶パネル14に表示させることにより、障害物の存在を観察者に認識させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、昼間はカラーフィールドシーケンシャル駆動により、液晶パネル14に自動車のナビゲーション情報が複数の色によって表示され、夜間は夜間の暗い画像が可視化された画像及び警告枠を表示することができる。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、液晶パネル14のバックライト13と反対側に設けられる凹面鏡11と、液晶パネル14を透過し、凹面鏡11に反射されたLED13a〜13cの出射光が映し出されるフロントガラス2を備えることによって、または運転者の視認距離の最適化のためパネル像の投影距離を調整する目的で反射板を設置して、液晶パネル14に表示される画像をフロントガラス2に表示させるヘッドアップディスプレイシステム100を構成することができる。
【0045】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
たとえば、上記実施形態では、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動において、赤色、緑色および青色の3つのLEDが同時に断続的に発光する例を示したが、本発明はこれに限らず、図13に示すように、液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動において、緑色および青色の2つのLEDを同時に継続的に発光させてもよい。これにより、観察者には、赤色の警告の枠とともに、緑色および青色の混色の夜間の画像が認識される。また、図14に示すように、液晶パネルのモノクロの画像を表示させる駆動において、緑色などの1つのLEDを継続的に発光させてもよい。これにより、観察者には、赤色の警告の枠とともに、緑色の夜間の画像が認識される。
【0047】
また、上記実施形態では、赤色、緑色および青色の3つのLEDが用いられる例を示したが、本発明はこれに限らず、赤色、緑色および青色のうちの1つのLEDと、その補色のLEDとを用いてもよい。これにより、赤色、緑色および青色のうちの1つの色のLEDと、その補色のLEDとを両方点灯することにより、表示パネルに白色を表示させることができる。
【0048】
また、上記実施形態では、フィールドシーケンシャル駆動が用いられる際には、液晶パネルにはナビゲーション情報が表示され、液晶パネルにモノクロの画像が表示される駆動では、液晶パネルには夜間の暗い画像が表示される例を示したが、本発明はこれに限らず、表示パネルにナビゲーション情報または夜間の暗い画像以外を表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
2 フロントガラス(ガラス部)
11 凹面鏡(鏡部)
13a、13b、13c LED(光源)
14 液晶パネル
17 障害物検知センサー(センサー)
26 枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源と対向するように設けられる液晶パネルとを備え、
前記複数の光源を順次発光させることにより、前記複数の光源のそれぞれに対応する色の画像を前記液晶パネルに順次表示することによって複数の色を表示させるフィールドシーケンシャル駆動と、前記複数の光源のうちの1つまたは2つ以上の光源を同時に発光させることにより、前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動とを切り替えるように構成されており、
前記フィールドシーケンシャル駆動と、前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動とは、装置周辺の明るさに基づいて切り替えられるように構成されている、液晶表示装置。
【請求項2】
前記装置周辺の明るさが所定の明るさ以上の場合には、前記フィールドシーケンシャル駆動が用いられ、前記装置周辺の明るさが前記所定の明るさ未満の場合には、前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられるように構成されている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられる際には、前記液晶パネルには、濃淡を変化させたモノクロの階調画像が表示されるように構成されている、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記フィールドシーケンシャル駆動では、1フィールドの期間内に前記複数の光源を1回ずつ順次発光させることにより、前記複数の光源のそれぞれに対応する色の画像を前記液晶パネルに順次表示するとともに、
前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動では、1フィールドの期間内に前記複数の光源のうちの少なくとも1つを連続的に発光させるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられる際には、前記複数の光源のうちの前記液晶パネルに表示されるモノクロの画像の色とは異なる色の光源を発光させる期間と前記モノクロの画像を表示させる期間を所定の周期で繰り返すことにより、前記液晶パネルに表示されるモノクロの画像の色とは異なる色の光源を発光させる期間に補助情報が前記液晶パネルに表示されるように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
障害物を検知するためのセンサーをさらに備え、
前記補助情報として、前記センサーによって検知された障害物の存在を示す警告情報が前記液晶パネルに表示されるように構成されている、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記障害物の存在を示す警告は、前記センサーによって検知された障害物を囲む枠として表示されるように構成されている、請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記光源を発光させる期間は、前記モノクロ画像表示期間よりも短い、請求項5〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
障害物の存在を検知するためのセンサーをさらに備え、
前記装置周辺の明るさに関わらず、前記センサーによって障害物の存在を検知した際に、前記フィールドシーケンシャル駆動から前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動に切り替えられるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記複数の光源は、赤色、緑色および青色の光源のうちの少なくとも2つ以上の光源からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記フィールドシーケンシャル駆動が用いられる際には、前記液晶パネルには、自動車のナビゲーション情報が複数の色によって表示され、
前記液晶パネルにモノクロの画像を表示させる駆動が用いられる際には、前記液晶パネルには、自動車周囲の特定方向の画像が表示されるように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記液晶パネルの前記光源と反対側に設けられる鏡部をさらに備え、
前記液晶パネルを透過し、前記鏡部に反射された前記光源の出射光を出力するように構成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−197931(P2010−197931A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45379(P2009−45379)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】