説明

液晶表示装置

【課題】本発明は、配向規制用構造物を備えた反射型又は半透過型の液晶表示装置に関し、セル厚むらによる表示むらが視認されず、良好な表示品質の得られる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板2、4と、基板2、4間に封止された液晶層6と、基板2に形成され基板4側から入射する光を反射する反射板50を有する反射領域を備えた画素領域と、反射板50と同一の形成材料で形成されたソース/ドレイン電極を備え、基板2に形成されたTFTと、TFT上に形成された保護膜31と、ゲートバスライン12とドレインバスライン14と保護膜31とが積層された領域に形成され、基板2、4の双方に接触してセルギャップを維持する柱状スペーサ44と、基板4の反射領域に柱状スペーサ44と同一の形成材料で形成され、液晶分子の配向を規制する突起状構造物43とを有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に関し、特に、液晶を配向規制する配向規制用構造物を備えた反射型又は半透過型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画素毎に薄膜トランジスタ(TFT)を備えたアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、あらゆる用途の表示装置として広く使われている。このような状況にあって、モバイル型端末用あるいはノート型PC用の表示装置として、反射及び透過の両モードでの表示が可能な半透過型(反射透過型)の液晶表示装置が使用されるようになってきている。
【0003】
図7は、本願出願人による日本国特許出願(特願2003−410742号)で提案された技術を用いた半透過型の液晶表示パネルの1画素の構成を示している。図8(a)は図7のX−X線で切断した液晶表示パネルの断面構成を示し、図8(b)は図7のY−Y線で切断した液晶表示パネルの断面構成を示している。図7及び図8(a)、(b)に示すように、液晶表示パネルは、TFT基板102と対向基板104と両基板102、104間に封止された液晶層106とを有している。TFT基板102は、ガラス基板110上に形成された複数のゲートバスライン112と、絶縁膜130を介してゲートバスライン112に交差する複数のドレインバスライン114とを有している。ゲートバスライン112及びドレインバスライン114の交差位置近傍には、チャネル保護膜型のTFT120が配置されている。TFT120上には、保護膜131が形成されている。ゲートバスライン112及びドレインバスライン114で囲まれた画素領域を横切って、ゲートバスライン112に並列する蓄積容量バスライン118が形成されている。
【0004】
各画素領域は大まかに3つの領域に分割され、中央部に配置された反射領域と、反射領域を挟んで図7の上方及び下方に配置された2つの透過領域とを有している。絶縁膜130上の反射領域には、ドレインバスライン114と同一の形成材料で同層に形成された反射板150が配置されている。蓄積容量バスライン118の反射板150に重なる領域には、複数の開口部118aが形成されている。また、蓄積容量バスライン118を挟んで、蓄積容量バスライン118と同一の形成材料で同層に形成され、蓄積容量バスライン118からそれぞれ電気的に分離された2つの金属層152が配置されている。金属層152には、複数の開口部152aが形成されている。また金属層152上には、TFT120のチャネル保護膜と同一の形成材料で同層に形成された複数の誘電体層153が配置されている。開口部118aの形成された蓄積容量バスライン118、開口部152aの形成された金属層152、及び誘電体層153が反射板150より下層に形成されていることにより、反射板150表面にはこれらの形状に倣う凹凸が形成される。
【0005】
保護膜131上の画素領域には、所定形状の透明な画素電極116が形成されている。1画素内の反射領域及び透過領域の画素電極116は、互いに電気的に接続されている。画素電極116は、コンタクトホール125を介してTFT120のソース電極に電気的に接続されている。また画素電極116は、反射板150上の保護膜131がエッチング除去された開口部132を介して、反射板150に電気的に接続されている。
【0006】
対向基板104は、ガラス基板111上に形成された共通電極141を有している。共通電極141上の透過領域ほぼ中央部には、液晶層106の液晶分子を配向規制する配向規制用構造物として点状の突起状構造物142が形成されている。また、共通電極141上の反射領域ほぼ中央部には、セルギャップを維持する柱状スペーサ143が形成されて
いる。柱状スペーサ143は、配向規制用構造物としても機能している。反射領域のガラス基板111と共通電極141との間には、反射領域のセルギャップが透過領域のセルギャップのほぼ半分になるように透明樹脂層が形成される場合もある。図7及び図8に示した液晶表示パネルによれば、反射及び透過の両モードで比較的良好な表示品質が得られるようになっている。
【0007】
ところが、図7及び図8に示した液晶表示パネルは、基板面と鉛直方向とがほぼ平行になるように立てられた状態で高温下に放置されたときに、下方のセル厚が上方より厚くなるセル厚むら(重力むら)が生じてしまうという問題を有している。重力むらは、柱状スペーサ143が全画素に形成されていることに起因して生じると考えられている。すなわち、TFT基板102と対向基板104とを貼り合わせる基板貼合せ工程では、両基板102、104間に所定圧力が加えられて貼り合わされるが、柱状スペーサ143が全画素に形成されていると、1つ当たりの柱状スペーサ143には高い圧力が加えられない。したがって、各柱状スペーサ143はほとんど圧縮されていない。このため、両基板102、104間に封止された液晶の体積が高温下での熱膨張により増加してセル厚が厚くなったときに、柱状スペーサ143が追従して変形できない。厚くなったセル厚よりも柱状スペーサ143の高さが低くなると、柱状スペーサ143が一方の基板から離れる。これにより、液晶表示パネルが立てられた状態では、パネル上方の液晶が重力により下方に移動し、下方のセル厚が上方より厚くなってしまう。
【0008】
単にセル厚むらを抑制するためには、柱状スペーサ143の配置密度を低くすることが考えられる。しかしながら図7及び図8に示した構成では、柱状スペーサ143が配向規制用構造物としても機能しているため、柱状スペーサ143の配置密度を低くするのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−267121号公報
【特許文献2】特開2003−241185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、セル厚むらによる表示むらが視認されず、良好な表示品質の得られる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、対向配置された第1及び第2の基板と、前記第1及び第2の基板間に封止された液晶層と、前記第1の基板に形成され前記第2の基板側から入射する光を反射する反射板を有する反射領域を備えた画素領域と、前記反射板と同一の形成材料で形成されたソース/ドレイン電極と、ゲート電極とを備え、前記第1の基板の前記画素領域毎に形成された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタ上に形成された保護膜と、前記ゲート電極と同一の形成材料で形成された第1の電極層と、前記ソース/ドレイン電極と同一の形成材料で形成された第2の電極層と、前記保護膜とが積層された領域に形成され、前記第1及び第2の基板の双方に接触してセルギャップを維持する柱状スペーサと、前記第1及び第2の基板の一方の前記反射領域に前記柱状スペーサと同一の形成材料で形成され、前記液晶層の液晶分子の配向を規制する突起状構造物とを有することを特徴とする液晶表示装置によって達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、セル厚むらによる表示むらが視認されず、良好な表示品質の得られる液晶表示装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態による液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態による液晶表示装置の1画素の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態による液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態による液晶表示装置の構成の変形例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態による液晶表示装置の構成の変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態の実施例による液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図7】半透過型液晶表示装置の1画素の構成を示す図である。
【図8】半透過型液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態による液晶表示装置について図1乃至図6を用いて説明する。図1は、本実施の形態による液晶表示装置の概略構成を示している。図1に示すように、液晶表示装置は、絶縁膜を介して互いに交差して形成されたゲートバスライン及びドレインバスラインと、画素毎に形成されたTFT及び画素電極とを備えたTFT基板2を有している。また、液晶表示装置は、カラーフィルタ(CF)層や共通電極が形成された対向基板4と、例えば負の誘電率異方性を有するVAモードの液晶が両基板2、4間に封止された液晶層6(図1では図示せず)とを有している。
【0015】
TFT基板2には、複数のゲートバスラインを駆動するドライバICが実装されたゲートバスライン駆動回路80と、複数のドレインバスラインを駆動するドライバICが実装されたドレインバスライン駆動回路82とが接続されている。これらの駆動回路80、82は、制御回路84から出力された所定の信号に基づいて、走査信号やデータ信号を所定のゲートバスラインあるいはドレインバスラインに出力するようになっている。TFT基板2のTFT素子形成面と反対側の面には偏光板87が配置され、対向基板4の共通電極形成面と反対側の面には、偏光板86が偏光板87に対しクロスニコルに配置されている。偏光板87のTFT基板2と反対側の面にはバックライトユニット88が配置されている。
【0016】
図2は、本実施の形態による液晶表示装置の1画素の構成を示している。図3(a)は図2のA−A線で切断した液晶表示装置の断面構成を示し、図3(b)は図2のB−B線で切断した液晶表示装置の断面構成を示している。図2及び図3(a)、(b)に示すように、TFT基板2は、ガラス基板10上に互いに並列して形成された複数のゲートバスライン12と、絶縁膜30を介してゲートバスライン12に交差し、互いに並列して形成された複数のドレインバスライン14とを有している。ドレインバスライン14は、例えばアルミニウム(Al)層60とその上層のチタン(Ti)層(又はクロム(Cr)層)61との積層構造を有している。ゲートバスライン12及びドレインバスライン14で囲まれた領域は画素領域になっている。ゲートバスライン12及びドレインバスライン14の交差位置近傍には、例えばチャネル保護膜型のTFT20が配置されている。TFT20のドレイン電極21及びソース電極22は、ドレインバスライン14と同一の形成材料で同層に形成されている。ドレイン電極21は、ドレインバスライン14に電気的に接続されている。TFT20のゲート電極はゲートバスライン12と同一の形成材料で同層に形成され、本実施の形態ではゲートバスライン12のチャネル保護膜28直下の領域がTFT20のゲート電極として機能している。TFT20上には、シリコン窒化膜(SiN膜)等からなる保護膜31が形成されている。画素領域のほぼ中央部を横切り、ゲートバスライン12に並列して延びる蓄積容量バスライン18が、ゲートバスライン12と同一の形成材料で同層に形成されている。
【0017】
各画素領域は、対向基板4側から入射する光を反射する反射領域と、TFT基板2側から入射する光を透過させる透過領域とを有している。例えば反射領域は蓄積容量バスライン18が横切る画素領域の中央部近傍に配置され、透過領域は反射領域を挟んで図2の上方及び下方に配置されている。絶縁膜30上の反射領域には、ドレインバスライン14と同一の形成材料で同層に形成された反射板50が形成されている。蓄積容量バスライン18のうち反射板50に重なる領域には、複数の開口部18aが形成されている。開口部18aによる蓄積容量バスライン18の電気抵抗の増加及び電極面積の減少を防ぐため、当該領域での蓄積容量バスライン18の幅は他の領域より太くなっている。また、蓄積容量バスライン18を挟んで、蓄積容量バスライン18と同一の形成材料で同層に形成され、蓄積容量バスライン18からそれぞれ電気的に分離された2つの金属層52が配置されている。金属層52には、複数の開口部52aが形成されている。また金属層52上には、複数の誘電体層53が形成されている。誘電体層53は、TFT20のチャネル保護膜2
8と同一の形成材料で同層に形成されている。なお誘電体層53は、背面露光を用いたパターニングにより形成されるため、開口部52a上には配置されずに金属層52上に配置される。開口部18aの形成された蓄積容量バスライン18、開口部52aの形成された金属層52、及び誘電体層53は、反射板50より下層に形成されているため、反射板50に凹凸を形成する凹凸形成層として機能する。反射板50表面にはこれらの凹凸形成層の形状に倣う凹凸が形成されている。凹凸の形成された反射板50は、対向基板4側から入射した光を散乱反射させるようになっている。反射板50、蓄積容量バスライン18及びそれらの間の絶縁膜30により、蓄積容量部が画素毎に形成される。本実施の形態では金属層52上にのみ誘電体層53を形成しているが、蓄積容量バスライン18上にも誘電体層53を形成してもよい。ただし、蓄積容量部の電極間の距離が離れることになるため、蓄積容量部の電気容量の値は小さくなる。
【0018】
保護膜31上の画素領域には、ITO等の透明導電膜からなる画素電極16が形成されている。画素電極16は、反射領域及び2つの透過領域にそれぞれ1つずつ配置された電極ユニット16aと、隣接する電極ユニット16a間に形成されたスリット16bと、スリット16bで分離された電極ユニット16a間を電気的に接続する接続電極16cとを有している。電極ユニット16aは、中央に配置されたべた部16dと、べた部16dの外周部に配置された櫛歯状部16eとを有している。櫛歯状部16eは、べた部16dから延びる複数の線状電極16fと、隣接する線状電極16f間に形成されたスペース16gとを備えている。線状電極16fは、領域毎に異なる4方向に延びている。電極ユニット16aの図2中右上部分の線状電極16fは右上方向に延び、電極ユニット16aの右下部分の線状電極16fは右下方向に延びている。電極ユニット16aの左上部分の線状電極16fは左上方向に延び、電極ユニット16aの左下部分の線状電極16fは左下方向に延びている。液晶層6に電圧を印加したときの液晶分子は、線状電極16fの延びる方向に平行に、かつ、べた部16dに向かって傾斜する。これにより、液晶層6は電極ユニット16a毎に4方向に配向分割される。
【0019】
画素電極16は、コンタクトホール25を介してTFT20のソース電極22に電気的に接続されている。また画素電極16は、反射板50上の保護膜31がエッチング除去された開口部32を介して、反射板50に電気的に接続されている。反射板50の上層部であるTi層61は、保護膜31と共にエッチング除去されている。このため反射板50は、Ti層61より高い光反射率を有するAl層60が露出した反射面50aを有している。画素電極16のべた部16dは、Al層60と液晶層6とが接触しないように、反射面50aの全域を覆うように形成されている。
【0020】
対向基板4は、ガラス基板11上に形成された共通電極41を有している。共通電極41上の透過領域ほぼ中央部には、感光性樹脂等で形成された点状の突起状構造物42が配置されている。また、共通電極41上の反射領域ほぼ中央部には、例えば突起状構造物42と同一の形成材料で形成された点状の突起状構造物43が配置されている。突起状構造物42、43は、液晶層6の液晶分子の配向を規制する配向規制用構造物として機能する。突起状構造物42、43は、例えばほぼ円形状に形成される。図示していないが、反射領域のガラス基板11と共通電極41との間には、反射領域のセルギャップが透過領域のセルギャップのほぼ半分になるように透明樹脂層が形成される場合もある。
【0021】
共通電極41上であってTFT基板2側のゲートバスライン12(第1の電極層)とドレインバスライン14(第2の電極層)との交差位置に対応する位置には、TFT基板2及び対向基板4の双方に接触してセルギャップを維持する柱状スペーサ44が形成されている。柱状スペーサ44は、反射領域の突起状構造物43と同一の形成材料で形成され、突起状構造物43の配置密度より低い5画素(又はそれ以上)に1つの配置密度で表示領域全体に均等に配置されている。柱状スペーサ44は、例えばほぼ円形状に形成される。
なお柱状スペーサ44は、蓄積容量バスライン18とドレインバスライン14との交差位置に対応する位置に形成してもよい。
【0022】
反射領域の突起状構造物43の高さと柱状スペーサ44の高さはほぼ同一である。TFT基板2の反射領域では、柱状スペーサ44の配置される領域と比較すると、保護膜31及びTi層61が除去されており、電極ユニット16a(画素電極16)が形成されている。保護膜31及びTi層61の膜厚を合わせて0.33μmとし、画素電極16の膜厚を0.07μmとすると、突起状構造物43とTFT基板2との間の間隔d1は、約0.26(=0.33−0.07)μmになる。したがって、1画素に1つの配置密度で配置された突起状構造物43は常温でTFT基板2に接触せずに対向基板4のみに接触し、それより低い配置密度(5以上の画素に1つ)で配置された柱状スペーサ44はTFT基板2及び対向基板4の双方に常時接触してセルギャップを維持する。
【0023】
本実施の形態によれば、基板貼合せ工程で基板2、4間に所定圧力が加えられると、1つ当たりの柱状スペーサ44は比較的高い圧力で圧縮される。このため、熱膨張により液晶の体積が増加してセル厚が厚くなったときにも、柱状スペーサ44は追従して変形できる。したがって、柱状スペーサ44が一方の基板から離れてしまうことがないため、液晶表示パネルを立てた状態でも重力むらは生じず、表示領域内で均一なセル厚が保たれる。したがって、セル厚むらによる表示むらが視認されず、表示品質の良好な液晶表示装置が得られる。
【0024】
一方、指押し等によりTFT基板2又は対向基板4が外部から局所的に加圧されたときには、より高い配置密度(1画素に1つ)で配置された突起状構造物43が基板2、4の双方に接触し、柱状スペーサ44と突起状構造物43とがセルギャップを維持する。したがって本実施の形態では、突起状構造物43が補助スペーサとして機能するため、外部からの局所的な加圧に対する高い耐性も得られる。
【0025】
次に、本実施の形態による液晶表示装置の製造方法について図2及び図3を参照しつつ簡単に説明する。TFT基板2を作製する工程では、まずガラス基板10上の全面に金属層を成膜してパターニングし、ゲートバスライン12、蓄積容量バスライン18、開口部18a、金属層52及び開口部52aを形成する。次に、絶縁膜30、アモルファスシリコン(a−Si)膜及びSiN膜を基板全面に連続成膜する。続いて、背面露光を用いてSiN膜をパターニングし、チャネル保護膜28及び誘電体層53を形成する。次に、基板全面にna−Si膜、Al層及びTi層を成膜する。続いて、Ti層、Al層、na−Si膜及びa−Si膜をパターニングし、ドレインバスライン14、ドレイン電極21、ソース電極22、反射板50、及びTFT20の動作半導体層(図示せず)を形成する。次に、SiN膜を基板全面に成膜して保護膜31を形成する。続いて、保護膜31をパターニングし、コンタクトホール25及び開口部32を形成する。このパターニングでは、例えばSiNとTiを溶かし、Alを溶かさないエッチング液を使用する。これにより、反射板50上の保護膜31とともにTi層61が除去され、開口部32を介してAl層60が露出した反射面50aが形成される。次に、ITO膜を基板全面に成膜してパターニングし、画素電極16を形成する。画素電極16は、コンタクトホール25を介してソース電極22に電気的に接続され、開口部32を介して反射板50に電気的に接続される。また画素電極16は、反射面50aの全域を覆うように形成される。以上の工程を経て、TFT基板2が作製される。
【0026】
一方、対向基板4を作製する工程では、まずガラス基板11上にCF層や透明樹脂層等を形成し、さらに基板全面にITOからなる共通電極41を形成する。次に、共通電極41上に感光性樹脂を塗布してパターニングし、柱状スペーサ44及び突起状構造物43を形成する。柱状スペーサ44は、TFT基板2側のゲートバスライン12及びドレインバ
スライン14の交差位置に対応する領域に、5以上の画素に1つの配置密度で配置される。突起状構造物43は、例えば全画素の反射領域に1つずつ配置される。この工程では、透過領域の突起状構造物42を同時に形成してもよい。以上の工程を経て、対向基板4が作製される。
【0027】
次に、TFT基板2上及び対向基板4上に垂直配向膜を形成し、TFT基板2と対向基板4とを所定圧力で加圧して貼り合わせる。続いて、負の誘電率異方性を有する液晶を両基板2、4間に注入して封止し、液晶表示パネルを作製する。液晶の屈折率異方性Δnは例えば0.08とする。その後、所定のモジュール工程を経て、本実施の形態による液晶表示装置が完成する。
【0028】
本実施の形態では、反射板50がドレインバスライン14、ドレイン電極21及びソース電極22と同一の形成材料で同時に形成され、高反射率金属であるAl層60が露出した反射面50aを有している。反射面50aは、保護膜31をパターニングしてコンタクトホール25及び開口部32を形成するのと同時に形成される。このため、製造工程が増加することなく高い光反射率の反射板50が得られる。
また本実施の形態では、ITOからなる画素電極16が反射面50aを覆うように形成され、両基板2、4にそれぞれ形成された電極の最表面は全てITOになっている。このため、基板2、4は電気的に対称であり、焼付き等による表示品質の低下が生じ難い。
【0029】
図4は、本実施の形態による液晶表示装置の構成の変形例を示している。図5(a)は図4のC−C線で切断した液晶表示装置の断面構成を示し、図5(b)は図4のD−D線で切断した液晶表示装置の断面構成を示している。図4及び図5(a)、(b)に示すように、本変形例では、蓄積容量バスライン18のうち突起状構造物43に対向する領域及びその周囲に円形状の開口部18bが形成されている。すなわち凹凸形成層は、突起状構造物43の形成領域を除く反射領域に形成されている。これにより、蓄積容量バスライン18の厚さを0.22μmとすると、突起状構造物43とTFT基板2との間の間隔d2は、図3に示した間隔d1より広い約0.48(=0.33+0.22−0.07)μmになる。本変形例によれば、図1乃至図3に示した構成よりも柱状スペーサ44と突起状構造物43との実質的な高さの差を大きくできるため、基板2、4を貼り合わせた際に突起状構造物43がTFT基板2に接触してしまうことがない。したがって、図1乃至図3に示した構成と同様の効果がより確実に得られる。
【0030】
以下、本実施の形態による液晶表示装置について具体的実施例を用いて説明する。図6は、本実施の形態の一実施例による半透過型の液晶表示装置の断面構成を示している。図6(a)は反射領域の突起状構造物43近傍の断面構成を示し、図6(b)は柱状スペーサ44近傍の断面構成を示している。図6(a)、(b)に示すように、対向基板4のガラス基板11上には、赤(R)、緑(G)、青(B)のCF層45が形成されている。各画素領域には、R、G、Bのいずれか1色のCF層45が形成される。CF層45は、反射領域の一部でパターニング除去されている。透過モードでの表示の際には光がCF層45を1回のみ通るのに対し、反射モードでの表示の際には光がCF層45を2回通ることになるため、本実施例のように反射領域の一部でCF層45を除去することによってCF層45による光吸収が抑制されて反射率が向上し、反射モードでの表示の際に高い輝度が得られる。
【0031】
CF層45上の反射領域には、透明樹脂層46が形成されている。透明樹脂層46の膜厚は、例えば透過領域のセルギャップのほぼ半分の2μm程度である。これにより、反射領域のセルギャップは透過領域のセルギャップのほぼ半分になっている。柱状スペーサ44の形成領域には、透明樹脂層46と同一の形成材料で同層に形成された透明樹脂層47が設けられている。透明樹脂層46、47及びCF層45上の全面には共通電極41が形
成されている。柱状スペーサ44は、共通電極41上であってTFT基板2側のゲートバスライン12とドレインバスライン14との交差位置に対応する位置に、例えば12画素に1つの配置密度で配置されている。柱状スペーサ44の高さは例えば2μm程度である。
【0032】
共通電極41上の反射領域ほぼ中央部には、柱状スペーサ44と同一の形成材料で同層に形成され、液晶層6の液晶分子を配向規制する突起状構造物43が配置されている。突起状構造物43の高さと柱状スペーサ44の高さはほぼ同一である。TFT基板2の突起状構造物43の配置される領域では、柱状スペーサ44の配置される領域と比較すると、開口部32、18bにより保護膜31、Ti層61及び蓄積容量バスライン18(ゲートバスライン12)が除去されており、電極ユニット16a(画素電極16)が形成されている。このため、突起状構造物43とTFT基板2との間隔d2は、図5に示した構成と同様に0.48μm程度であり、突起状構造物43はTFT基板2に常温で接触しない。反射領域のセル厚は、突起状構造物43及び柱状スペーサ44の高さ(2μm)より若干厚い2.3〜2.5μm程度である。図示していないが、共通電極41上の透過領域ほぼ中央部には、柱状スペーサ44及び突起状構造物43と例えば同一の形成材料で同層に形成された突起状構造物42が配置されている。透過領域には透明樹脂層46、47が形成されていないため突起状構造物42はTFT基板2に接触せず、突起状構造物42とTFT基板2との間隔は2μm程度である。
【0033】
本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態では、チャネル保護膜型のTFTを備えた液晶表示装置を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、チャネルエッチ型のTFTを備えた液晶表示装置にも適用できる。チャネルエッチ型のTFTを備えた液晶表示装置では、チャネル保護膜28と同一の形成材料からなる誘電体層53に代えて、動作半導体層と同一の形成材料からなる半導体層を凹凸形成層として形成してもよい。
【0034】
また、上記実施の形態では半透過型の液晶表示装置を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、画素領域が反射領域のみで構成された反射型の液晶表示装置にも適用できる。
【0035】
さらに、上記実施の形態ではVAモードの液晶表示装置を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、TNモードやIPSモード等の他の動作モードの液晶表示装置にも適用できる。
【0036】
以上説明した実施の形態による液晶表示装置は、以下のようにまとめられる。
(付記1)
対向配置された第1及び第2の基板と、
前記第1及び第2の基板間に封止された液晶層と、
前記第1の基板に形成され前記第2の基板側から入射する光を反射する反射板を有する反射領域を備えた画素領域と、
前記反射板と同一の形成材料で形成されたソース/ドレイン電極と、ゲート電極とを備え、前記第1の基板の前記画素領域毎に形成された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタ上に形成された保護膜と、
前記ゲート電極と同一の形成材料で形成された第1の電極層と、前記ソース/ドレイン電極と同一の形成材料で形成された第2の電極層と、前記保護膜とが積層された領域に形成され、前記第1及び第2の基板の双方に接触してセルギャップを維持する柱状スペーサと、
前記第1及び第2の基板の一方の前記反射領域に前記柱状スペーサと同一の形成材料で形成され、前記液晶層の液晶分子の配向を規制する突起状構造物と
を有することを特徴とする液晶表示装置。
(付記2)
付記1記載の液晶表示装置において、
前記保護膜は、前記反射領域で除去されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記3)
付記1又は2に記載の液晶表示装置において、
前記ゲート電極と同一の形成材料で形成された第1のバスラインと、前記ソース/ドレイン電極と同一の形成材料で形成され、絶縁膜を介して前記第1のバスラインに交差する第2のバスラインとを有し、
前記柱状スペーサは、前記第1及び第2のバスラインの交差位置に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記突起状構造物は、常温で前記第1及び第2の基板の一方のみに接触すること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記5)
付記4記載の液晶表示装置において、
前記突起状構造物は、前記第1又は第2の基板が外部から加圧されたときに前記第1及び第2の基板の双方に接触すること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記反射板は、高反射率金属で形成された反射面を有していること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記反射板に凹凸が形成されるように前記反射板より下層の前記反射領域に形成された凹凸形成層を有すること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記8)
付記7記載の液晶表示装置において、
前記凹凸形成層は、少なくとも一部が前記ゲート電極と同一の形成材料で形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記9)
付記7又は8に記載の液晶表示装置において、
前記凹凸形成層は、少なくとも一部が前記薄膜トランジスタのチャネル保護膜と同一の形成材料で形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記10)
付記7乃至9のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記凹凸形成層は、前記突起状構造物の形成領域を除く前記反射領域に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記11)
付記1乃至10のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記画素領域は、前記第1の基板側から入射する光を透過させる透過領域をさらに有していること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記12)
付記11記載の液晶表示装置において、
前記反射領域と前記柱状スペーサの形成領域とに形成された透明樹脂層をさらに有すること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記13)
付記12記載の液晶表示装置において、
前記透明樹脂層は、前記透過領域の前記セルギャップのほぼ半分の厚さを有すること
を特徴とする液晶表示装置。
(付記14)
付記1乃至13のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記柱状スペーサは、前記突起状構造物より低い配置密度で配置されていること
を特徴とする液晶表示装置。
【符号の説明】
【0037】
2 TFT基板
4 対向基板
6 液晶層
10、11 ガラス基板
12 ゲートバスライン
14 ドレインバスライン
16 画素電極
16a 電極ユニット
16b スリット
16c 接続電極
16d べた部
16e 櫛歯状部
16f 線状電極
16g スペース
18 蓄積容量バスライン
18a、18b、52a 開口部
20 TFT
21 ドレイン電極
22 ソース電極
25 コンタクトホール
28 チャネル保護膜
30 絶縁膜
31 保護膜
32 開口部
41 共通電極
42、43 突起状構造物
44 柱状スペーサ
45 CF層
46、47 透明樹脂層
50 反射板
50a 反射面
52 金属層
53 誘電体層
60 Al層
61 Ti層
80 ゲートバスライン駆動回路
82 ドレインバスライン駆動回路
84 制御回路
86、87 偏光板
88 バックライトユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1及び第2の基板と、
前記第1及び第2の基板間に封止された液晶層と、
前記第1の基板に形成され前記第2の基板側から入射する光を反射する反射板を有する反射領域を備えた画素領域と、
前記反射板と同一の形成材料で形成されたソース/ドレイン電極と、ゲート電極とを備え、前記第1の基板の前記画素領域毎に形成された薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタ上に形成された保護膜と、
前記ゲート電極と同一の形成材料で形成された第1の電極層と、前記ソース/ドレイン電極と同一の形成材料で形成された第2の電極層と、前記保護膜とが積層された領域に形成され、前記第1及び第2の基板の双方に接触してセルギャップを維持する柱状スペーサと、
前記第1及び第2の基板の一方の前記反射領域に前記柱状スペーサと同一の形成材料で形成され、前記液晶層の液晶分子の配向を規制する突起状構造物と
を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の液晶表示装置において、
前記保護膜は、前記反射領域で除去されていること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液晶表示装置において、
前記ゲート電極と同一の形成材料で形成された第1のバスラインと、前記ソース/ドレイン電極と同一の形成材料で形成され、絶縁膜を介して前記第1のバスラインに交差する第2のバスラインとを有し、
前記柱状スペーサは、前記第1及び第2のバスラインの交差位置に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記突起状構造物は、常温で前記第1及び第2の基板の一方のみに接触すること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記反射板に凹凸が形成されるように前記反射板より下層の前記反射領域に形成された凹凸形成層を有すること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項5記載の液晶表示装置において、
前記凹凸形成層は、少なくとも一部が前記ゲート電極と同一の形成材料で形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の液晶表示装置において、
前記凹凸形成層は、少なくとも一部が前記薄膜トランジスタのチャネル保護膜と同一の形成材料で形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記凹凸形成層は、前記突起状構造物の形成領域を除く前記反射領域に形成されていること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記画素領域は、前記第1の基板側から入射する光を透過させる透過領域をさらに有していること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
請求項9記載の液晶表示装置において、
前記反射領域と前記柱状スペーサの形成領域とに形成された透明樹脂層をさらに有すること
を特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−59725(P2011−59725A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285787(P2010−285787)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【分割の表示】特願2005−11522(P2005−11522)の分割
【原出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】