液晶表示装置
【課題】 IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示装置は、第1基板と、前記第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板と、複数の第1液晶層LQ1及び複数の第2液晶層LQ2を有した液晶層LQと、それぞれ第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含む複数の画素PXと、を備える。第2液晶層LQ2は、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向とは異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採る。各画素PXは、第1基板上に形成され、第2方向Yに沿って延出した主画素電極と、第2基板上に形成され、第1方向に主画素電極を挟んで位置し第2方向Yに沿って延出した一対の主共通電極と、を有する。
【解決手段】 液晶表示装置は、第1基板と、前記第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板と、複数の第1液晶層LQ1及び複数の第2液晶層LQ2を有した液晶層LQと、それぞれ第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含む複数の画素PXと、を備える。第2液晶層LQ2は、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向とは異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採る。各画素PXは、第1基板上に形成され、第2方向Yに沿って延出した主画素電極と、第2基板上に形成され、第1方向に主画素電極を挟んで位置し第2方向Yに沿って延出した一対の主共通電極と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の利点から特に注目を集めている。特に、各画素にスイッチング素子を組み込んだアクティブマトリクス型液晶表示装置においては、IPS(In-Plane Switching)モードやFFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界(フリンジ電界も含む)を利用した構造が注目されている。
【0003】
例えば、IPSモードの液晶表示装置は、液晶層を挟持する基板間で液晶分子が捻れていないホモジニアス構造をとる液晶表示パネルを備えている。この液晶表示パネルは、同一基板上に形成された画素電極と共通電極とを備え、基板の主面に対してほぼ平行な水平電界で液晶分子をスイッチングする。また、液晶表示パネルは、それぞれの外面に互いに偏向軸方向が直交するように配置された偏光板を備えている。一方の偏光板は、その偏光軸が一方の基板に接している液晶分子の長軸方向と平行または直交するように配置されている。
【0004】
IPSモード液晶表示装置は、このような偏光板の配置により、電圧無印加時に黒色画面を表示し、映像信号に対応した電圧を画素電極に印加することにより徐々に光透過率が増加して白色画面を表示する。このような表示特性が得られるのは、以下のような原理に基づく。すなわち、画素電極と共通電極との間に形成される水平電界により、液晶分子が水平電界の向きに配列しようとして基板主面とほぼ平行な平面内で回転する。このような液晶分子の配列状態により、液晶パネルを通過する光の偏光状態が変わる。これにより、偏光板を通過するすなわち液晶表示パネルを透過する光の透過率が変調される。
【0005】
液晶表示パネル内において、液晶分子の配列状態が同じであっても、液晶表示パネルに入射する光の入射方向によって透過光の偏光状態は変化する。このため、入射方向に対応して光の透過率が異なる。しかしながら、IPSモード液晶表示装置では、液晶分子が基板主面とほぼ平行な平面内で回転するため、透過光の入射方向に対して偏光状態が大きく影響しないので、視野角依存性は小さく、広い視野角特性を有するといった特徴がある。
【0006】
しかし、IPSモード液晶表示装置では、同一基板上に画素電極と共通電極を備えているため、電界が複雑に積層された膜を通ることに起因する焼き付きが発生してしまう非常に大きな問題である。
【0007】
一方で、アレイ基板に形成された画素電極と、対向基板に形成された共通電極との間に、横電界あるいは斜め電界を形成し、液晶分子をスイッチングする技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−192822号公報
【特許文献2】特開平09−160041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に係る液晶表示装置は、
第1基板と、
前記第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板と、
前記第1基板及び第2基板間に挟持された複数の第1液晶層、並びに前記第1基板及び第2基板間に挟持され前記第1液晶層の液晶分子の初期配向とは異なる方向に前記液晶分子の初期配向を採る複数の第2液晶層を有した液晶層と、
第1方向及び前記第1方向に直交した第2方向にマトリクス状に設けられ、それぞれ前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、それぞれ前記第1方向に沿った長さが前記第2方向に沿った長さよりも短い複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
前記第1基板上に形成され、前記第2方向に沿って延出した主画素電極と、
前記第2基板上に形成され、前記第1方向に前記主画素電極を挟んで位置し前記第2方向に沿って延出した一対の主共通電極と、を有していることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示パネルをIII−III線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、図2に示した液晶表示パネルにおける画素電極と共通電極との間に形成される電界、及び、この電界による液晶分子のダイレクタと透過率との関係を説明するための図である。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る実施例1の液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図6】図6は、図5に示した液晶表示パネルをVI−VI線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図7】図7は、図5に示した液晶表示パネルをVII−VII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図8】図8は、図5に示した液晶表示パネルをVIII−VIII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る実施例2の液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図10】図10は、上記実施例2の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図11】図11は、上記実施例2の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る実施例3の液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図13】図13は、上記実施例3の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図14】図14は、上記実施例3の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図15】図15は、第2の実施形態に係る実施例4の液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図16】図16は、上記実施例4の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図17】図17は、上記実施例4の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図18】図18は、第3の実施形態に係る液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図19】図19は、上記第3の実施形態に係る液晶表示パネルの一部を示す分解斜視図であり、一画素に含まれる第1乃至第4液晶層と、上記一画素に重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【図20】図20は、第4の実施形態に係る液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図21】図21は、上記第4の実施形態に係る液晶表示パネルの一部を示す分解斜視図であり、一画素に含まれる第1液晶層及び第2液晶層と、上記一画素に重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【図22】図22は、上記第2及び第4の実施形態に係る変形例の液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の他の構造例を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る液晶表示装置について詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。始めに、IPS(In-Plane Switching)モード及びFFS(Fringe Field Switching)モードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採るための液晶表示装置の構成について説明する。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0014】
図1に示すように、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、アレイ基板AR及び対向基板CT間に挟持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示する表示領域R1を備えている。表示領域R1は、アレイ基板AR、対向基板CT及び液晶層LQに重なっている。この表示領域R1には、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXが位置している(但し、m及びnは正の整数である)。
【0015】
液晶表示パネルLPNは、表示領域R1において、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、例えば、第1方向Xに沿って略直線的に延出している。これらのゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って交互に並列配置されている。ここでは、第1方向Xと第2方向Yとは互いに略直交している。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差している。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って略直線的に延出している。なお、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ソース配線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。
【0016】
各ゲート配線Gは、表示領域R1の外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、表示領域R1の外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSDの少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
【0017】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0018】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、画素電極PEがアレイ基板ARに形成される一方で共通電極CEの少なくとも一部が対向基板CTに形成された構成であり、これらの画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界は、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面あるいは基板主面に対してわずかに傾いた斜め電界(あるいは、基板主面にほぼ平行な横電界)である。
【0019】
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、トップゲート型あるいはボトムゲート型のいずれであっても良い。また、スイッチング素子SWの半導体層は、例えば、ポリシリコンによって形成されているが、アモルファスシリコンによって形成されていても良い。
【0020】
画素電極PEは、各画素PXに配置され、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、液晶層LQを介して複数の画素PXの画素電極PEに対して共通に配置されている。このような画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されているが、アルミニウムなどの他の金属材料によって形成されても良い。
【0021】
アレイ基板ARは、共通電極CEに電圧(コモン電圧)を印加するための給電部VSを備えている。この給電部VSは、例えば、表示領域R1の外側の非表示領域R2に形成されている。共通電極CEは、表示領域R1の外側に引き出され、図示しない導電部材を介して、給電部VSと電気的に接続されている。
【0022】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
【0023】
図2に示すように、画素PXは、破線で示したように、第1方向Xに沿った長さが第2方向Yに沿った長さよりも短い長方形状である。ゲート配線G1及びゲート配線G2は、第1方向Xに沿って延出している。補助容量線C1は、隣接するゲート配線G1とゲート配線G2との間に配置され、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線S1及びソース配線S2は、第2方向Yに沿って延出している。画素電極PEは、隣接するソース配線S1とソース配線S2との間に配置されている。また、この画素電極PEは、ゲート配線G1とゲート配線G2との間に位置している。
【0024】
図示した例では、画素PXにおいて、ソース配線S1は左側端部に配置され、ソース配線S2は右側端部に配置されている。厳密には、ソース配線S1は当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ソース配線S2は当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。また、画素PXにおいて、ゲート配線G1は上側端部に配置され、ゲート配線G2は下側端部に配置されている。厳密には、ゲート配線G1は当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ゲート配線G2は当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。補助容量線C1は、画素の略中央部に配置されている。
【0025】
スイッチング素子SWは、図示した例では、ゲート配線G1及びソース配線S1に電気的に接続されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G1とソース配線S1の交点に設けられ、そのドレイン配線はソース配線S1及び補助容量線C1に沿って延長され、補助容量線C1と重なる領域に形成されたコンタクトホールCHを介して画素電極PEと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域に設けられ、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域からほとんどはみ出すことはなく、表示に寄与する開口部の面積の低減を抑制している。
【0026】
複数の画素電極PEは、第1方向X及び第2方向Yに間隔を置いて並べられている。複数の画素電極PEは、それぞれ第2方向Yに沿って延出して形成された主画素電極PAを含んでいる。
【0027】
この実施形態において、画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及びコンタクト部PCを含んでいる。主画素電極PAは、コンタクト部PCから画素PXの上側端部付近及び下側端部付近まで第2方向Yに沿って直線的に延出している。このような主画素電極PAは、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。コンタクト部PCは、補助容量線C1と重なる領域に位置し、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。このコンタクト部PCは、主画素電極PAよりも幅広に形成されている。
【0028】
このような画素電極PEは、ソース配線S1とソース配線S2との略中間の位置、つまり、画素PXの中央に配置されている。ソース配線S1と画素電極PEとの第1方向Xに沿った間隔は、ソース配線S2と画素電極PEとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。
【0029】
共通電極CEは、複数の主共通電極CAを含んでいる。複数の主共通電極CAは、X−Y平面内において、第1方向Xに間隔を置いて並べられ、第1方向Xに複数の主画素電極PAを挟み、それぞれ主画素電極PAと略平行な第2方向Yに沿って直線的に延出している。あるいは、主共通電極CAは、ソース配線Sとそれぞれ対向するとともに主画素電極PAと略平行に延出している。このような主共通電極CAは、帯状に形成され、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する。
【0030】
図示した例では、主共通電極CAは、第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、画素PXの左右両端部にそれぞれ配置されている。以下では、これらの主共通電極CAを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称する。主共通電極CALはソース配線S1と対向し、主共通電極CARはソース配線S2と対向している。
【0031】
画素PXにおいて、主共通電極CALは左側端部に配置され、主共通電極CARは右側端部に配置されている。厳密には、主共通電極CALは当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、主共通電極CARは当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0032】
画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、画素電極PEと主共通電極CAとは、第1方向Xに沿って交互に配置されている。これらの画素電極PEと主共通電極CAとは、互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAのいずれも画素電極PEとは重ならない。
【0033】
すなわち、隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の画素電極PEが位置している。換言すると、一対の主共通電極(主共通電極CAL及び主共通電極CAR)は、画素電極PEの直上の位置を挟んだ両側に配置されている。あるいは、画素電極PEは、主共通電極CALと主共通電極CARとの間に配置されている。このため、主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARは、第1方向Xに沿ってこの順に配置されている。
【0034】
これらの画素電極PEと共通電極CEとの第1方向Xに沿った間隔は略一定である。すなわち、主共通電極CALと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔は、主共通電極CARと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。
【0035】
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNをIII−III線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。なお、ここでは、説明に必要な箇所のみを図示している。
図3に示すように、液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARの背面側には、バックライトユニット4が配置されている。バックライトユニット4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0036】
アレイ基板ARは、光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。ソース配線Sは、第1層間絶縁膜11の上に形成され、第2層間絶縁膜12によって覆われている。なお、図示しないゲート配線や補助容量線は、例えば、第1絶縁基板10と第1層間絶縁膜11の間に配置されている。画素電極PEは、第2層間絶縁膜12の上に形成されている。この画素電極PEは、隣接するソース配線Sのそれぞれの直上の位置よりもそれらの内側に位置している。
【0037】
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、表示領域R1の略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEなどを覆っており、第2層間絶縁膜12の上にも配置されている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
なお、アレイ基板ARは、さらに、共通電極CEの一部を備えていても良い。
【0038】
対向基板CTは、光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。この対向基板CTは、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、共通電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。
【0039】
ブラックマトリクスBMは、各画素PXを区画し、画素電極PEと対向する開口部APを形成する。すなわち、ブラックマトリクスBMは、ソース配線S、ゲート配線、補助容量線、スイッチング素子などの配線部に対向するように配置されている。ここでは、ブラックマトリクスBMは、第2方向Yに沿って延出した部分のみが図示されているが、第1方向Xに沿って延出した部分を備えていてもよい。このブラックマトリクスBMは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する内面20Aに配置されている。
【0040】
カラーフィルタCFは、各画素PXに対応して配置されている。すなわち、カラーフィルタCFは、第2絶縁基板20の内面20Aにおける開口部APに配置されるとともに、その一部がブラックマトリクスBMに乗り上げている。第1方向Xに隣接する画素PXにそれぞれ配置されたカラーフィルタCFは、互いに色が異なる。例えば、カラーフィルタCFは、赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料からなる赤色カラーフィルタCFRは、赤色画素に対応して配置されている。青色に着色された樹脂材料からなる青色カラーフィルタCFBは、青色画素に対応して配置されている。緑色に着色された樹脂材料からなる緑色カラーフィルタCFGは、緑色画素に対応して配置されている。これらのカラーフィルタCF同士の境界は、ブラックマトリクスBMと重なる位置にある。
【0041】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。このオーバーコート層OCは、カラーフィルタCFの表面の凹凸の影響を緩和する。
【0042】
共通電極CEは、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されている。この共通電極CEと画素電極PEとの第3方向Zに沿った間隔は略一定である。第3方向Zとは、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向、あるいは、液晶表示パネルLPNの法線方向である。
【0043】
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、表示領域R1の略全体に亘って延在している。この第2配向膜AL2は、共通電極CE及びオーバーコート層OCなどを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0044】
これらの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2には、液晶層LQの液晶分子を初期配向させるための配向処理(例えば、ラビングや光配向処理)がなされている。この実施形態において、液晶層LQは、例えば、正の誘電率異方性を有し、すなわちp型液晶で形成されている。
【0045】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサにより、所定のセルギャップ、例えば2〜7μmのセルギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で、表示領域R1の外側のシール材SBによって貼り合わせられている。
【0046】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。
【0047】
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板10の外面10Bには、第1光学素子OD1が接着剤などにより貼付されている。この第1光学素子OD1は、液晶表示パネルLPNのバックライトユニット4と対向する側に位置しており、バックライトユニット4から液晶表示パネルLPNに入射する入射光の偏光状態を制御する。この第1光学素子OD1は、第1偏光軸(あるいは第1吸収軸)AX1を有する第1偏光板PL1を含んでいる。
【0048】
対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板20の外面20Bには、第2光学素子OD2が接着剤などにより貼付されている。この第2光学素子OD2は、液晶表示パネルLPNの表示面側に位置しており、液晶表示パネルLPNから出射した出射光の偏光状態を制御する。この第2光学素子OD2は、第2偏光軸(あるいは第2吸収軸)AX2を有する第2偏光板PL2を含んでいる。
【0049】
第1偏光軸AX1と、第2偏光軸AX2とは、例えば、直交する位置関係にあるため、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2はクロスニコル配置されている。このとき、一方の偏光板は、例えば、その偏光軸が液晶分子の初期配向方向と平行または直交するように配置されている。この実施形態において、初期配向方向が第2方向Yと平行であるため、一方の偏光板の偏光軸は、第2方向Yと平行、あるいは、第1方向Xと平行である。
【0050】
図2において、(a)で示した例では、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0051】
また、図2において、(b)で示した例では、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0052】
次に、上記構成の液晶表示パネルLPNの動作について説明する。
図2及び図3に示すように、液晶層LQに電圧が印加されていない状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていない状態(OFF時)には、液晶層LQの液晶分子LMは、その長軸が第1配向膜AL1の配向処理方向及び第2配向膜AL2の配向処理方向を向くように配向している。このようなOFF時が初期配向状態に相当し、OFF時の液晶分子LMの配向方向が初期配向方向に相当する。
【0053】
なお、厳密には、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているとは限らず、配向膜の近傍ではプレチルトしている。このため、ここでの液晶分子LMの初期配向方向とは、OFF時の液晶分子LMの長軸をX−Y平面に正射影した方向である。以下では、説明を簡略にするために、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているものとし、X−Y平面と平行な面内で回転するものとして説明する。
【0054】
OFF時においては、液晶分子LMは、図2に破線で示したように、その長軸が第2方向Yと略平行な方向に初期配向する。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yと平行(あるいは、第2方向Yに対して0°)である。
【0055】
バックライトユニット4からのバックライトは、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光の偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態によって異なる。OFF時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
【0056】
一方、液晶層LQに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態(ON時)では、画素電極PEと共通電極CEとの間に基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。液晶分子LMは、電界の影響を受け、その長軸が図中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。
【0057】
後述するが、液晶層LQは、複数の第1液晶層LQ1及び複数の第2液晶層LQ2を有している。複数の画素PXは、少なくとも第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2を1つずつ含んでいる。この実施形態において、各画素PXの第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、補助容量線Cと対向した領域を境に第2方向Yに隣合っている。
【0058】
図2に示した第2液晶層LQ2の例では、画素電極PEと主共通電極CALとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CARとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。
【0059】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向は、画素電極PEを境界として複数の方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインを形成する。つまり、一画素PXには、複数のドメインが形成される。
【0060】
このようなON時には、バックライトユニット4から液晶表示パネルLPNに入射したバックライトは、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶層LQに入射したバックライトは、その偏光状態が変化する。このようなON時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
【0061】
図4は、図2に示した液晶表示パネルLPNの第2液晶層LQ2に重なった領域における画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界、及び、この電界による液晶分子LMのダイレクタと透過率との関係を説明するための図である。
【0062】
図4に示すように、OFF状態では、液晶分子LMは、第2方向Yに略平行な方向に初期配向している。画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が形成されたON状態では、液晶分子LMのダイレクタ(あるいは液晶分子LMの長軸方向)が、X−Y平面内で、第1偏光板PL1の第1偏光軸AX1及び第2偏光板PL2の第2偏光軸AX2に対して概ね45°ずれた状態となったときに、液晶の光学的な変調率が最も高くなる(つまり、開口部での透過率が最大となる)。
【0063】
図示した例では、ON状態となったとき、主共通電極CALと画素電極PEとの間、及び、主共通電極CARと画素電極PEとの間のそれぞれの液晶分子のダイレクタは、画素電極PEに対して45°傾いた方向を向く。これにより、ピーク透過率が得られる。このとき、一画素あたりの透過率分布に着目すると、画素電極PE上及び共通電極CE上においては透過率が略ゼロとなる一方で、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙では、略全域に亘って高い透過率が得られる。
【0064】
なお、ソース配線S1の直上に位置する主共通電極CAL及びソース配線S2の直上に位置する主共通電極CARは、それぞれブラックマトリクスBMと対向しているが、これらの主共通電極CAL及び主共通電極CARは、ともにブラックマトリクスBMの第1方向Xに沿った幅と同等以下の幅を有しており、ブラックマトリクスBMと重なる位置よりも画素電極PEの側に延在していない。このため、一画素あたり、表示に寄与する開口部は、ブラックマトリクスBMの間もしくはソース配線S1とソース配線S2との間の領域のうち、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の領域に相当する。
【0065】
上記のように構成された液晶表示装置によれば、各画素PXは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出した主画素電極PAと、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出した一対の主共通電極CAとを有している。
【0066】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び主共通電極CA間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。
【0067】
次に、上記液晶表示装置から得られる他の効果について説明する。
画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙において高い透過率が得られるため、一画素あたりの透過率を十分に高くするためには、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することで対応することが可能となる。また、画素ピッチが異なる製品仕様に対しては、電極間距離を変更する(つまり、画素PXの略中央に配置された画素電極PEに対して主共通電極CAの配置位置を変更する)ことで、図4に示したような透過率分布のピーク条件を利用することが可能となる。つまり、本実施形態の表示モードにおいては、比較的画素ピッチが大きな低解像度の製品仕様から比較的画素ピッチが小さい高解像度の製品仕様まで、微細な電極加工を必ずしも必要とせず、電極間距離の設定により種々の画素ピッチの製品を提供することが可能となる。したがって、高透過率且つ高解像度の要求を容易に実現することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態によれば、図4に示したように、ブラックマトリクスBMと重なる領域での透過率分布に着目すると、透過率が十分に低下している。これは、共通電極CEの位置よりも当該画素の外側に電界の漏れが発生せず、また、ブラックマトリクスBMを挟んで隣接する画素間で不所望な横電界が生じないため、ブラックマトリクスBMと重なる領域の液晶分子がOFF時(あるいは黒表示時)と同様に初期配向状態を保っているためである。したがって、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0069】
また、アレイ基板ARと対向基板CTとの位置合わせにずれが生じた際に、画素電極PEを挟んだ両側の共通電極CEとの水平電極間距離に差が生じることがある。しかしながら、このような合わせずれは、全ての画素PXに共通に生じるため、画素PX間での電界分布に相違はなく、画像の表示に及ぼす影響はきわめて小さい。また、例えアレイ基板ARと対向基板CTとの間で合わせズレが生じたとしても、隣接する画素への不所望な電界の漏れを抑制することが可能となる。このため、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態によれば、主共通電極CAは、それぞれソース配線Sと対向している。特に、主共通電極CAL及び主共通電極CARがそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置されている場合には、主共通電極CAL及び主共通電極CARがソース配線S1及びソース配線S2よりも画素電極PE側に配置された場合と比較して、開口部APを拡大することができ、画素PXの透過率を向上することが可能となる。
【0071】
また、主共通電極CAL及び主共通電極CARをそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置することによって、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することが可能となり、より水平に近い横電界を形成することが可能となる。このため、従来の構成であるIPSモード等の利点である広視野角化も維持することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態によれば、一画素内に複数のドメインを形成することが可能となる。このため、複数の方向で視野角を光学的に補償することができ、広視野角化が可能となる。
【0073】
なお、上記の例では、液晶層LQは、正の誘電率異方性を有しているため、液晶分子LMの初期配向方向が第2方向Yと平行である場合について説明したが、液晶分子LMの初期配向方向は、図2に示したように、第2方向Yを斜めに交差する斜め方向Dであっても良い。ここで、第2方向Yに対する初期配向方向Dのなす角度θ1は、0°より大きく45°より小さい角度である。なお、このなす角度θ1については、5°〜30°程度、より望ましくは20°以下とすることが液晶分子LMの配向制御の観点で極めて有効である。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yに対して0°乃至20°の範囲内の方向と略平行であることが望ましい。
【0074】
言い換えると、第1配向膜AL1は、第2方向Y又は第2方向Yから20°以内に傾斜した方向に付近の液晶分子LMを初期配向させるように形成されている方が望ましい。第2配向膜AL2も、同様に、第2方向Y又は第2方向Yから20°以内に傾斜した方向に付近の液晶分子LMを初期配向させるように形成されている方が望ましい。
【0075】
なお、ON時においても、画素電極PE上あるいは共通電極CE上では、横電界がほとんど形成されない(あるいは、液晶分子LMを駆動するのに十分な電界が形成されない)ため、液晶分子LMは、OFF時と同様に初期配向方向からほとんど動かない。このため、画素電極PE及び共通電極CEがITOなどの光透過性の導電材料によって形成されていても、これらの領域ではバックライト光がほとんど透過せず、ON時において表示にほとんど寄与しない。したがって、画素電極PE及び共通電極CEは、必ずしも透明な導電材料によって形成される必要はなく、アルミニウムや銀、銅などの導電材料を用いて形成しても良い。
【0076】
なお、本実施形態においては、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられ主共通電極CAと対向する(あるいはソース配線Sと対向する)第2主共通電極(シールド電極)を備えていても良い。この第2主共通電極は、主共通電極CAと略平行に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2主共通電極を設けることにより、ソース配線Sからの不所望な電界をシールドすることが可能である。
【0077】
また、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられゲート配線Gや補助容量線Cと対向する第2副共通電極(シールド電極)を備えていても良い。この第2副共通電極は、主共通電極CAと交差する方向に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2副共通電極を設けたことにより、ゲート配線Gや補助容量線Cからの不所望な電界をシールドすることが可能である。このような第2主共通電極や第2副共通電極を備えた構成によれば、更なる表示品位の劣化を抑制することが可能となる。
【0078】
上記のように、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置について説明したが、次に、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、さらに優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置について説明する。
【0079】
図2及び図3に示すように、第2液晶層LQ2は、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向とは異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第2方向Yに略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0080】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、補助容量線Cから画素PXの一短辺SS1に向かって配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、補助容量線Cから画素PXの他短辺SS2に向かって配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0081】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、補助容量線Cより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、補助容量線Cより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0082】
上記のように構成された第1の実施形態に係る液晶表示装置によれば、上述したように焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができる。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0083】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0084】
また、液晶層LQはp型液晶で形成され、液晶分子LMの長軸は斜め電界に沿った方向に配向するため、液晶分子LMの極角及び方位角の両方を規定することができる。ここで、X−Y平面内においてY軸からの角度を方位角とし、X−Y平面に対して法線方向に沿ったZ軸からの角度を極角とした。上記のことから、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は強いものである。
【0085】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0086】
次に、第2の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0087】
図5は、第2の実施形態に係る液晶表示パネルLPNを対向基板CT側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。
図5に示すように、共通電極CEは、複数の副共通電極CBをさらに含んでいる。この実施形態において、複数の副共通電極CBは対向基板CT側に形成されている。複数の副共通電極CBは、第2方向Yに間隔を置いて並べられ、第2方向Yに複数の主画素電極PAを挟んでいる。複数の副共通電極CBは、それぞれ第1方向Xに沿って延出している。
【0088】
複数の副共通電極CBは、複数の主共通電極CAと一体又は連続的に形成されている。このため、複数の副共通電極CB(CBU、CBB)は、複数の主共通電極CAと電気的に接続されている。給電部VSから与えられる電圧(コモン電圧)は、複数の主共通電極CA及び複数の副共通電極CBに与えられる。
【0089】
この実施形態では、画素電極PEが十字状に形成された点、及び、共通電極CEが一画素PXを取り囲むように格子状に形成された点で、上記第1の実施形態と相違している。すなわち、画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及び副画素電極PBを備えている。主画素電極PAは、副画素電極PBから画素PXの上側端部付近及び下側端部付近まで第2方向Yに沿って直線的に延出している。副画素電極PBは、第1方向Xに沿って延出している。この副画素電極PBは、補助容量線C1と重なる領域に位置し、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子と電気的に接続されている。図示した例では、副画素電極PBが画素PXの略中央に設けられており、画素電極PEは、十字状となっている。
【0090】
副共通電極CBは、ゲート配線Gの各々と対向している。図示した例では、副共通電極CBは第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、以下では、これらを区別するために、図中の上側の副共通電極をCBUと称し、図中の下側の副共通電極をCBBと称する。副共通電極CBUは、画素PXの上側端部に配置され、ゲート配線G1と対向している。つまり、副共通電極CBUは、当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。また、副共通電極CBBは、画素PXの下側端部に配置され、ゲート配線G2と対向している。つまり、副共通電極CBBは、当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0091】
画素電極PEと共通電極CEとの位置関係に着目すると、主画素電極PAと主共通電極CAとは第1方向Xに沿って交互に配置され、副画素電極PBと副共通電極CBとは第2方向Yに沿って交互に配置されている。すなわち、隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の主画素電極PAが位置し、第1方向Xに沿って主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARの順に並んでいる。また、隣接する副共通電極CBB及び副共通電極CBUの間には、1本の副画素電極PBが位置し、第2方向Yに沿って副共通電極CBB、副画素電極PB、及び、副共通電極CBUの順に並んでいる。
【0092】
このような構造例によれば、OFF時において第2方向Yに初期配向していた液晶分子LMは、ON時に画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界の影響を受け、その長軸が図中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。画素電極PEと主共通電極CAL及び副共通電極CBBとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CAR及び副共通電極CBBとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CAL及び副共通電極CBUとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の左上を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CAR及び副共通電極CBUとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の右上を向くように配向する。
【0093】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、4つのドメインに互いに異なる電界を作用させることができるため、視野角を拡大できることはもちろん、第1の実施形態(図2など)よりも液晶分子LMの配向規制力を強くすることができる。
上記のように構成された液晶表示装置においても、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができる。
【0094】
次に、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、さらに優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置の実施例1乃至4について説明する。次に挙げる実施例は、限定的に列挙するものではなく、一例を列挙するものである。すなわち、この実施形態に係る液晶表示装置は、実施例1乃至4に限らず、種々変形可能である。なお、実施例1乃至4では、説明に必要な箇所のみを図示して説明する。
【0095】
(実施例1)
図6は、図5に示した液晶表示パネルLPNをVI−VI線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0096】
図5及び図6に示すように、各画素PXの第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、副画素電極PB(補助容量線C)と対向した領域を境に第2方向Yに隣合っている。第2液晶層LQ2は、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向とは異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第2方向Yに略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0097】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、副画素電極PBから画素PXの一短辺SS1に向かった第1配向処理方向PD1に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、副画素電極PBから画素PXの他短辺SS2に向かった第2配向処理方向PD2に別の配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、それぞれ第2方向Yに略平行であって、互いに逆向きである。
【0098】
第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、画素PXの一短辺SS1から副画素電極PBに向かった第2配向処理方向PD2に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、画素PXの他短辺SS2から副画素電極PBに向かった第1配向処理方向PD1に別の配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0099】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0100】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、一短辺SS1より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、他短辺SS2より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0101】
なお、第1液晶層LQ1や第2液晶層LQ2の中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0102】
図7は、図5に示した液晶表示パネルLPNをVII−VII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図8は、図5に示した液晶表示パネルLPNをVIII−VIII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。なお、図7及び図8は、画素PXの他短辺SS2側から見た図である。
【0103】
図5、図7及び図8に示すように、実施例1では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0104】
さらに、実施例1では、対向基板CT近傍の液晶分子LMの配向方向及び液晶層LQの中間部付近の液晶分子LMの配向方向も横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。すなわち、液晶層LQの全体に亘って液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0105】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶層LQの全域に亘って液晶分子LMをプレチルトさせることができる。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、ともにホモジニアス配向をとるため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は一層強いものである。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0106】
(実施例2)
図9は、実施例2の液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0107】
図9及び図5に示すように、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、副画素電極PBから画素PXの一短辺SS1に向かった第1配向処理方向PD1に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、副画素電極PBから画素PXの他短辺SS2に向かった第2配向処理方向PD2に別の配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
その他、実施例2の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置と同様に形成されている。
【0108】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0109】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0110】
なお、第1液晶層LQ1や第2液晶層LQ2の中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、液晶分子LMは、第1液晶層LQ1の中間部や第2液晶層LQ2の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0111】
図10は、実施例2の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図11は、上記実施例2の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。
【0112】
図10及び図11、並びに図5に示すように、実施例2では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0113】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶分子LMをプレチルトさせることができる。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0114】
また、第1液晶層LQ1を挟む第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に施される配向処理方向は同じ向きであり、第2液晶層LQ2を挟む第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に施される配向処理方向も同じ向きである。この場合、黒表示の場合に光漏れが少なく、高コントラスト比を実現することができる。
【0115】
(実施例3)
図12は、実施例3の液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0116】
図12及び図5に示すように、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2、すなわち第2配向膜AL2の全域には、第2配向処理方向PD2に配向処理(例えば、ラビング)が施されている。
その他、実施例3の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置と同様に形成されている。
【0117】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0118】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、一短辺SS1より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0119】
なお、第1液晶層LQ1において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0120】
第2液晶層LQ2において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、液晶分子LMは、第2液晶層LQ2の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0121】
図13は、実施例3の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図14は、上記実施例3の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。
【0122】
図13及び図14、並びに図5に示すように、実施例3では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0123】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶分子LMをプレチルトさせることができる。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
また、第2配向膜AL2に施される配向処理は、1種類でよいため、上記実施例1に比べて製造工程を少なくすることができ、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【0124】
(実施例4)
図15は、実施例4の液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0125】
図15及び図5に示すように、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2、すなわち第2配向膜AL2の全域には、第1配向処理方向PD1に配向処理(例えば、ラビング)が施されている。
その他、実施例4の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置と同様に形成されている。
【0126】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0127】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、他短辺SS2より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0128】
なお、第1液晶層LQ1において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、液晶分子LMは、第1液晶層LQ1の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0129】
第2液晶層LQ2において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0130】
図16は、実施例4の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図17は、上記実施例4の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。
【0131】
図16及び図17、並びに図5に示すように、実施例4では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0132】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶分子LMをプレチルトさせることができる。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
また、第2配向膜AL2に施される配向処理は、1種類でよいため、上記実施例1に比べて製造工程を少なくすることができ、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【0133】
上記のように構成された第2の実施形態に係る実施例1乃至4の液晶表示装置によれば、各画素PXは、主画素電極PA、副画素電極PB及び一対の主共通電極CAを有している。主画素電極PAは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出している。副画素電極PBは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第1方向Xに沿って延出し主画素電極PAと電気的に接続されている。一対の主共通電極CAは、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出している。
【0134】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び副画素電極PB、並びに主共通電極CA及び副共通電極CB間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0135】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0136】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0137】
なお、上記第2の実施形態において、液晶表示装置は、副画素電極PB及び副共通電極CBを有しているが、液晶表示装置は、副画素電極PB及び副共通電極CB無しに形成されていてもよく、この場合も上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0138】
次に、第3の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0139】
図18は、第3の実施形態に係る液晶表示パネルLPNを対向基板CT側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。図19は、上記第3の実施形態に係る液晶表示パネルLPNの一部を示す分解斜視図であり、一画素に含まれる第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4と、上記一画素に重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【0140】
図18及び図19に示すように、液晶層LQは、複数の第1液晶層LQ1、複数の第2液晶層LQ2、複数の第3液晶層LQ3及び複数の第4液晶層LQ4を有している。複数の画素PXは、少なくとも第1液晶層LQ1、第2液晶層LQ2、第3液晶層LQ3及び第4液晶層LQ4を1つずつ含んでいる。
【0141】
この実施形態の各画素PXにおいて、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2、並びに第3液晶層LQ3及び第4液晶層LQ4は、それぞれ主画素電極PAと対向した領域を境に第1方向Xに隣合っている。第1液晶層LQ1及び第3液晶層LQ3、並びに第2液晶層LQ2及び第4液晶層LQ4は、補助容量線Cと対向した領域を境に第2方向Yに隣合っている。
【0142】
図18に示す例では、画素PXの左上の領域に第1液晶層LQ1が形成され、画素PXの右上の領域に第2液晶層LQ2が形成され、画素PXの左下の領域に第3液晶層LQ3が形成され、画素PXの右下の領域に第4液晶層LQ4が形成されている。
【0143】
第1偏光軸AX1と、第2偏光軸AX2とは、例えば、直交する位置関係にあるため、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2はクロスニコル配置されている。ここで、X−Y平面において、第1方向X及び第2方向Yから45°傾斜した方向を第4方向d4、第4方向d4に直交した方向を第5方向d5とする。
【0144】
この実施形態において、図18の(a)に示すように、第1偏光板PL1は、第1偏光軸AX1が第4方向d4に平行となるように配置され、第2偏光板PL2は、第2偏光軸AX2が第5方向d5に平行となるように配置されている。
【0145】
又は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、図18の(b)に示すように配置されていてもよい。図18の(a)に示す例では、第1偏光板PL1は、第1偏光軸AX1が第5方向d5に平行となるように配置され、第2偏光板PL2は、第2偏光軸AX2が第4方向d4に平行となるように配置されている。
【0146】
第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4は、互いに異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第4液晶層LQ4の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第4方向d4に略平行であり、互いに略180°異なっている。第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向及び第3液晶層LQ3の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第5方向d5に略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0147】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、第4方向d4に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第3配向処理方向PD3に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0148】
第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、第5方向d5に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第4配向処理方向PD4に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0149】
第3液晶層LQ3と対向した領域の第1配向膜AL1には、第5方向d5に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第5配向処理方向PD5に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0150】
第4液晶層LQ4と対向した領域の第1配向膜AL1には、第4方向d4に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第6配向処理方向PD6に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0151】
第3配向処理方向PD3及び第6配向処理方向PD6は、それぞれ第4方向d4に略平行であって、互いに逆向きである。第4配向処理方向PD4及び第5配向処理方向PD5は、それぞれ第5方向d5に略平行であって、互いに逆向きである。
【0152】
これにより、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、アレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、画素PXの中央より周縁側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0153】
第2配向膜AL2には、複数種類の配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第6配向処理方向PD6に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第5配向処理方向PD5に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第3液晶層LQ3と対向した領域の第2配向膜AL2には、第4配向処理方向PD4に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第4液晶層LQ4と対向した領域の第2配向膜AL2には、第3配向処理方向PD3に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0154】
これにより、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、画素PXの周縁より中央側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0155】
なお、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する。このため、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4は、それぞれホモジニアス配向を採る。
【0156】
ここで、第2配向膜AL2には、上記の例に限らず、他の配向処理が施されていてもよい。
例えば、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第3配向処理方向PD3に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第4配向処理方向PD4に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第3液晶層LQ3と対向した領域の第2配向膜AL2には、第5配向処理方向PD5に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第4液晶層LQ4と対向した領域の第2配向膜AL2には、第6配向処理方向PD6に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0157】
これにより、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、画素PXの中央より周縁側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0158】
なお、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、液晶分子LMは、液晶層の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する。そして、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4は、それぞれスプレイ配向を採る。
【0159】
なお、第2配向膜AL2に施した配向処理は上述した例に限定されるものではなく、種々変形可能である。第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4がそれぞれ上述したホモジニアス配向及びスプレイ配向の何れかを採るように、第2配向膜AL2に配向処理が施されていればよい。
【0160】
第3の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0161】
さらに、第3の実施形態では、対向基板CT近傍の液晶分子LMの配向方向及び液晶層LQの中間部付近の液晶分子LMの配向方向も横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。すなわち、液晶層LQの全体に亘って液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0162】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶層LQの全域に亘って液晶分子LMをプレチルトさせることができる。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、ともにホモジニアス配向をとるため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は一層強いものである。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0163】
上記のように構成された第3の実施形態に係る液晶表示装置によれば、各画素PXは、主画素電極PA及び一対の主共通電極CAを有している。主画素電極PAは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出している。一対の主共通電極CAは、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出している。
【0164】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び主共通電極CA間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0165】
第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4の全てを合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0166】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0167】
次に、第4の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第2の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0168】
図20は、第4の実施形態に係る液晶表示パネルLPNを対向基板側CTから見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。
【0169】
図21は、上記第4の実施形態に係る液晶表示パネルLPNの一部を示す分解斜視図であり、一画素PXに含まれる第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2と、上記一画素PXに重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【0170】
図20及び図21に示すように、液晶層LQは、負の誘電率異方性を有し、すなわちn型液晶で形成されている。なお、詳しい説明は省略するが、誘電率異方性が正負逆となる関係上、ネガ型液晶材料の場合、上記した角度θ1が45°〜135°、望ましくは70°〜110°とすることが好ましい。
【0171】
液晶層LQは、複数の第1液晶層LQ1及び複数の第2液晶層LQ2を有している。複数の画素PXは、少なくとも第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2を1つずつ含んでいる。
【0172】
この実施形態の各画素PXにおいて、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、主画素電極PAと対向した領域を境に第1方向Xに隣合っている。
【0173】
図20に示す例では、画素PXの左側の領域に第1液晶層LQ1が形成され、画素PXの右側の領域に第2液晶層LQ2が形成されている。
【0174】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、互いに異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第1方向Xに略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0175】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、第1方向Xに平行であり、主画素電極PAから画素PXの一長辺LS1に向かった第7配向処理方向PD7に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0176】
第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、第1方向Xに平行であり、主画素電極PAから画素PXの他長辺LS2に向かった第8配向処理方向PD8に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0177】
第7配向処理方向PD7及び第8配向処理方向PD8は、それぞれ第1方向Xに略平行であって、互いに逆向きである。これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより一長辺LS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより他長辺LS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0178】
第2配向膜AL2にも配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第8配向処理方向PD8に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第7配向処理方向PD7に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0179】
これにより、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、一長辺LS1より主画素電極PA側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、他長辺LS2より主画素電極PA側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0180】
なお、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する。このため、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、それぞれホモジニアス配向を採る。
【0181】
ここで、第2配向膜AL2には、上記の例に限らず、他の配向処理が施されていてもよい。
例えば、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第7配向処理方向PD7に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第8配向処理方向PD8に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0182】
これにより、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより一長辺LS1側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより他長辺LS2側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0183】
なお、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2において、液晶分子LMは、液晶層の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する。そして、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、それぞれスプレイ配向を採る。
【0184】
なお、第2配向膜AL2に施した配向処理は上述した例に限定されるものではなく、種々変形可能である。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2がそれぞれ上述したホモジニアス配向及びスプレイ配向の何れかを採るように、第2配向膜AL2に配向処理が施されていればよい。
【0185】
第4の実施形態においても、上記第2の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0186】
さらに、第4の実施形態では、対向基板CT近傍の液晶分子LMの配向方向及び液晶層LQの中間部付近の液晶分子LMの配向方向も横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。すなわち、液晶層LQの全体に亘って液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0187】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶層LQの全域に亘って液晶分子LMをプレチルトさせることができる。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、ともにホモジニアス配向をとるため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は強いものである。各画素PXは、主画素電極PA及び主共通電極CAだけでなく副画素電極PB及び副共通電極CBも有しているため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は一層強いものである。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0188】
上記のように構成された第4の実施形態に係る液晶表示装置によれば、各画素PXは、主画素電極PA、副画素電極PB及び一対の主共通電極CAを有している。主画素電極PAは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出している。副画素電極PBは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第1方向Xに沿って延出し主画素電極PAと電気的に接続されている。一対の主共通電極CAは、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出している。
【0189】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び副画素電極PB、並びに主共通電極CA及び副共通電極CB間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0190】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0191】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0192】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0193】
例えば、上述した第2及び第4の実施形態において、画素電極PEはI字状に形成され、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしていてもよい。次に、画素電極PEがI字状に形成された場合の例を、図22を用いて説明する。図22は、第2及び第4の実施形態に係る変形例の液晶表示パネルLPNを対向基板CT側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【0194】
図22に示すように、画素電極PEは、主画素電極PA、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGを有している。これらの主画素電極PA、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、互いに電気的に接続されている。本実施形態においては、画素電極PEの全体がアレイ基板ARに備えられている。
【0195】
主画素電極PAは、第2方向Yに長手方向を持っている。第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、第1方向Xに沿って延出している。第2副画素電極PGは、第1副画素電極PFから離間している。
【0196】
図示した例では、画素電極PEは、I字状に形成されている。より具体的には、主画素電極PAは、略画素中央部において第2方向Yに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、それぞれ画素PXの上側端部及び下側端部において第1方向Xに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。
【0197】
なお、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、上下画素間に配置されても良い。つまり、第1副画素電極PFは図示した当該画素PXとその下側の画素(図示せず)との境界に跨って配置されても良いし、第2副画素電極PGは図示した当該画素PXとその上側の画素(図示せず)との境界に跨って配置されてもよい。
【0198】
第1副画素電極PFは、主画素電極PAの一端部に結合し、主画素電極PAからその両側に向かって延出している。第2副画素電極PGは主画素電極PAの他端部に結合し、主画素電極PAからその両側に向かって延出している。これらの第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、主画素電極PAと略直交している。なお、第1副画素電極PFは主画素電極PAの一端部よりもわずかに他端部寄りに結合していても良いし、同様に、第2副画素電極PGは主画素電極PAの他端部よりもわずかに一端部寄りに結合していても良い。画素電極PEは、例えば、第2副画素電極PGにおいて図示を省略したスイッチング素子と電気的に接続されている。
【0199】
共通電極CEは、主共通電極CA及び副共通電極CBを有している。これらの主共通電極CA及び副共通電極CBは、互いに電気的に接続されている。このような共通電極CEは、画素電極PEとは電気的に絶縁されている。本実施形態においては、共通電極CEにおいて、主共通電極及び副共通電極の少なくとも一部は、対向基板CTに備えられている。
【0200】
一対の主共通電極CAは、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに延出して形成されている。X−Y平面内において、主共通電極CAのいずれも主画素電極PAとは重ならず、主共通電極CAのそれぞれと主画素電極PAとの間には略等しい間隔が形成されている。
【0201】
副共通電極CBは、第1方向Xに沿って延出している。副共通電極CBは、第1副画素電極PFと第2副画素電極PGとの間に配置されている。X−Y平面内において、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGのいずれも副共通電極CBとは重ならず、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGのそれぞれと副共通電極CBとの間には略等しい間隔が形成されている。
【0202】
図示した例では、主共通電極CAは、第2方向Yに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。副共通電極CBは、第1方向Xに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。なお、主共通電極CAは第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、以下では、これらを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称する。主共通電極CAL及び主共通電極CARは、副共通電極CBとそれぞれ繋がっている。
【0203】
主共通電極CAL及び主共通電極CARは左右画素間に配置されている。すなわち、主共通電極CALは図示した当該画素PXとその左側の画素(図示せず)との境界に跨って配置され、主共通電極CARは図示した当該画素PXとその右側の画素(図示せず)との境界に跨って配置されている。
【0204】
隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の主画素電極PAが位置している。このため、主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARは、第1方向Xに沿ってこの順に配置されている。つまり、主画素電極PAと主共通電極CAとは第1方向Xに沿って交互に配置されている。これらの主画素電極PAと、主共通電極CAL及び主共通電極CARとは、互いに略平行に配置されている。また、主共通電極CALと主画素電極PAとの距離は、主共通電極CARと主画素電極PAとの距離と略同等である。
【0205】
隣接する第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGの間には、1本の副共通電極CBが位置している。このため、第1副画素電極PF、副共通電極CB及び第2副画素電極PGは、第2方向Yに沿ってこの順に配置されている。つまり、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGと副共通電極CBとは第2方向Yに沿って交互に配置されている。これらの第1副画素電極PF、副共通電極CB及び第2副画素電極PGは、互いに略平行に配置されている。また、第1副画素電極PFと副共通電極CBとの距離は、第2副画素電極PGと副共通電極CBとの距離と略同等である。
【0206】
つまり、図示した例では、一画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとで区画された4つの領域(主として表示に寄与する開口部あるいは透過部)が形成される。
【0207】
なお、ここでは詳述しないが、主共通電極CAの少なくとも1つは、主共通電極CAと略平行に(あるいは第2方向Yに沿って)延出するソース配線Sと対向していてもよい。また、第1副画素電極PF、第2副画素電極PG及び副共通電極CBのいずれか1つは、これらと略平行に(あるいは第1方向Xに沿って)延出するゲート配線Gや補助容量線Cと対向していてもよい。
【0208】
上述した実施形態に係る液晶表示装置は、例えば、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータなどのOA(オフィス−オートメーション)機器の表示部や、電子手帳等の携帯情報機器の表示部、あるいはカメラ一体型VTR等の表示部に適用可能である。
【符号の説明】
【0209】
LPN…液晶表示パネル、PX…画素、SS1…一短辺、SS2…他短辺、LS1…一長辺、LS2…他長辺、AR…アレイ基板、G…ゲート配線、C…補助容量線、S…ソース配線、PE…画素電極、PA…主画素電極、PB,PF,PG…副画素電極、AL1…第1配向膜、CT…対向基板、CE…共通電極、CA…主共通電極、CB…副共通電極、AL2…第2配向膜、LQ…液晶層、LQ1…第1液晶層、LQ2…第2液晶層、LQ3…第3液晶層、LQ4…第4液晶層、LM…液晶分子、PL1…第1偏光板、PL2…第2偏光板、X…第1方向、Y…第2方向、Z…第3方向、d4…第4方向、d5…第5方向、PD1〜PD8…配向処理方向。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の利点から特に注目を集めている。特に、各画素にスイッチング素子を組み込んだアクティブマトリクス型液晶表示装置においては、IPS(In-Plane Switching)モードやFFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界(フリンジ電界も含む)を利用した構造が注目されている。
【0003】
例えば、IPSモードの液晶表示装置は、液晶層を挟持する基板間で液晶分子が捻れていないホモジニアス構造をとる液晶表示パネルを備えている。この液晶表示パネルは、同一基板上に形成された画素電極と共通電極とを備え、基板の主面に対してほぼ平行な水平電界で液晶分子をスイッチングする。また、液晶表示パネルは、それぞれの外面に互いに偏向軸方向が直交するように配置された偏光板を備えている。一方の偏光板は、その偏光軸が一方の基板に接している液晶分子の長軸方向と平行または直交するように配置されている。
【0004】
IPSモード液晶表示装置は、このような偏光板の配置により、電圧無印加時に黒色画面を表示し、映像信号に対応した電圧を画素電極に印加することにより徐々に光透過率が増加して白色画面を表示する。このような表示特性が得られるのは、以下のような原理に基づく。すなわち、画素電極と共通電極との間に形成される水平電界により、液晶分子が水平電界の向きに配列しようとして基板主面とほぼ平行な平面内で回転する。このような液晶分子の配列状態により、液晶パネルを通過する光の偏光状態が変わる。これにより、偏光板を通過するすなわち液晶表示パネルを透過する光の透過率が変調される。
【0005】
液晶表示パネル内において、液晶分子の配列状態が同じであっても、液晶表示パネルに入射する光の入射方向によって透過光の偏光状態は変化する。このため、入射方向に対応して光の透過率が異なる。しかしながら、IPSモード液晶表示装置では、液晶分子が基板主面とほぼ平行な平面内で回転するため、透過光の入射方向に対して偏光状態が大きく影響しないので、視野角依存性は小さく、広い視野角特性を有するといった特徴がある。
【0006】
しかし、IPSモード液晶表示装置では、同一基板上に画素電極と共通電極を備えているため、電界が複雑に積層された膜を通ることに起因する焼き付きが発生してしまう非常に大きな問題である。
【0007】
一方で、アレイ基板に形成された画素電極と、対向基板に形成された共通電極との間に、横電界あるいは斜め電界を形成し、液晶分子をスイッチングする技術も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−192822号公報
【特許文献2】特開平09−160041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に係る液晶表示装置は、
第1基板と、
前記第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板と、
前記第1基板及び第2基板間に挟持された複数の第1液晶層、並びに前記第1基板及び第2基板間に挟持され前記第1液晶層の液晶分子の初期配向とは異なる方向に前記液晶分子の初期配向を採る複数の第2液晶層を有した液晶層と、
第1方向及び前記第1方向に直交した第2方向にマトリクス状に設けられ、それぞれ前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、それぞれ前記第1方向に沿った長さが前記第2方向に沿った長さよりも短い複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
前記第1基板上に形成され、前記第2方向に沿って延出した主画素電極と、
前記第2基板上に形成され、前記第1方向に前記主画素電極を挟んで位置し前記第2方向に沿って延出した一対の主共通電極と、を有していることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示パネルをIII−III線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、図2に示した液晶表示パネルにおける画素電極と共通電極との間に形成される電界、及び、この電界による液晶分子のダイレクタと透過率との関係を説明するための図である。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る実施例1の液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図6】図6は、図5に示した液晶表示パネルをVI−VI線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図7】図7は、図5に示した液晶表示パネルをVII−VII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図8】図8は、図5に示した液晶表示パネルをVIII−VIII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る実施例2の液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図10】図10は、上記実施例2の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図11】図11は、上記実施例2の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る実施例3の液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図13】図13は、上記実施例3の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図14】図14は、上記実施例3の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図15】図15は、第2の実施形態に係る実施例4の液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層に電圧が印加されていない状態を示す図である。
【図16】図16は、上記実施例4の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図17】図17は、上記実施例4の液晶表示パネルの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層に電圧が印加されている状態を示す図である。
【図18】図18は、第3の実施形態に係る液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図19】図19は、上記第3の実施形態に係る液晶表示パネルの一部を示す分解斜視図であり、一画素に含まれる第1乃至第4液晶層と、上記一画素に重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【図20】図20は、第4の実施形態に係る液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の構造例を概略的に示す平面図である。
【図21】図21は、上記第4の実施形態に係る液晶表示パネルの一部を示す分解斜視図であり、一画素に含まれる第1液晶層及び第2液晶層と、上記一画素に重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【図22】図22は、上記第2及び第4の実施形態に係る変形例の液晶表示パネルを対向基板側から見たときの一画素の他の構造例を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係る液晶表示装置について詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。始めに、IPS(In-Plane Switching)モード及びFFS(Fringe Field Switching)モードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採るための液晶表示装置の構成について説明する。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0014】
図1に示すように、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、アレイ基板AR及び対向基板CT間に挟持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示する表示領域R1を備えている。表示領域R1は、アレイ基板AR、対向基板CT及び液晶層LQに重なっている。この表示領域R1には、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXが位置している(但し、m及びnは正の整数である)。
【0015】
液晶表示パネルLPNは、表示領域R1において、n本のゲート配線G(G1〜Gn)、n本の補助容量線C(C1〜Cn)、m本のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。ゲート配線G及び補助容量線Cは、例えば、第1方向Xに沿って略直線的に延出している。これらのゲート配線G及び補助容量線Cは、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿って交互に並列配置されている。ここでは、第1方向Xと第2方向Yとは互いに略直交している。ソース配線Sは、ゲート配線G及び補助容量線Cと交差している。ソース配線Sは、第2方向Yに沿って略直線的に延出している。なお、ゲート配線G、補助容量線C、及び、ソース配線Sは、必ずしも直線的に延出していなくても良く、それらの一部が屈曲していてもよい。
【0016】
各ゲート配線Gは、表示領域R1の外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、表示領域R1の外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。これらのゲートドライバGD及びソースドライバSDの少なくとも一部は、例えば、アレイ基板ARに形成され、コントローラを内蔵した駆動ICチップ2と接続されている。
【0017】
各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CEなどを備えている。保持容量Csは、例えば補助容量線Cと画素電極PEとの間に形成される。補助容量線Cは、補助容量電圧が印加される電圧印加部VCSと電気的に接続されている。
【0018】
なお、本実施形態においては、液晶表示パネルLPNは、画素電極PEがアレイ基板ARに形成される一方で共通電極CEの少なくとも一部が対向基板CTに形成された構成であり、これらの画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界を主に利用して液晶層LQの液晶分子をスイッチングする。画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界は、第1方向Xと第2方向Yとで規定されるX−Y平面あるいは基板主面に対してわずかに傾いた斜め電界(あるいは、基板主面にほぼ平行な横電界)である。
【0019】
スイッチング素子SWは、例えば、nチャネル薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、トップゲート型あるいはボトムゲート型のいずれであっても良い。また、スイッチング素子SWの半導体層は、例えば、ポリシリコンによって形成されているが、アモルファスシリコンによって形成されていても良い。
【0020】
画素電極PEは、各画素PXに配置され、スイッチング素子SWに電気的に接続されている。共通電極CEは、液晶層LQを介して複数の画素PXの画素電極PEに対して共通に配置されている。このような画素電極PE及び共通電極CEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する導電材料によって形成されているが、アルミニウムなどの他の金属材料によって形成されても良い。
【0021】
アレイ基板ARは、共通電極CEに電圧(コモン電圧)を印加するための給電部VSを備えている。この給電部VSは、例えば、表示領域R1の外側の非表示領域R2に形成されている。共通電極CEは、表示領域R1の外側に引き出され、図示しない導電部材を介して、給電部VSと電気的に接続されている。
【0022】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNを対向基板側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。ここでは、X−Y平面における平面図を示している。
【0023】
図2に示すように、画素PXは、破線で示したように、第1方向Xに沿った長さが第2方向Yに沿った長さよりも短い長方形状である。ゲート配線G1及びゲート配線G2は、第1方向Xに沿って延出している。補助容量線C1は、隣接するゲート配線G1とゲート配線G2との間に配置され、第1方向Xに沿って延出している。ソース配線S1及びソース配線S2は、第2方向Yに沿って延出している。画素電極PEは、隣接するソース配線S1とソース配線S2との間に配置されている。また、この画素電極PEは、ゲート配線G1とゲート配線G2との間に位置している。
【0024】
図示した例では、画素PXにおいて、ソース配線S1は左側端部に配置され、ソース配線S2は右側端部に配置されている。厳密には、ソース配線S1は当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ソース配線S2は当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。また、画素PXにおいて、ゲート配線G1は上側端部に配置され、ゲート配線G2は下側端部に配置されている。厳密には、ゲート配線G1は当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界に跨って配置され、ゲート配線G2は当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。補助容量線C1は、画素の略中央部に配置されている。
【0025】
スイッチング素子SWは、図示した例では、ゲート配線G1及びソース配線S1に電気的に接続されている。このスイッチング素子SWは、ゲート配線G1とソース配線S1の交点に設けられ、そのドレイン配線はソース配線S1及び補助容量線C1に沿って延長され、補助容量線C1と重なる領域に形成されたコンタクトホールCHを介して画素電極PEと電気的に接続されている。このようなスイッチング素子SWは、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域に設けられ、ソース配線S1及び補助容量線C1と重なる領域からほとんどはみ出すことはなく、表示に寄与する開口部の面積の低減を抑制している。
【0026】
複数の画素電極PEは、第1方向X及び第2方向Yに間隔を置いて並べられている。複数の画素電極PEは、それぞれ第2方向Yに沿って延出して形成された主画素電極PAを含んでいる。
【0027】
この実施形態において、画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及びコンタクト部PCを含んでいる。主画素電極PAは、コンタクト部PCから画素PXの上側端部付近及び下側端部付近まで第2方向Yに沿って直線的に延出している。このような主画素電極PAは、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する帯状に形成されている。コンタクト部PCは、補助容量線C1と重なる領域に位置し、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子SWと電気的に接続されている。このコンタクト部PCは、主画素電極PAよりも幅広に形成されている。
【0028】
このような画素電極PEは、ソース配線S1とソース配線S2との略中間の位置、つまり、画素PXの中央に配置されている。ソース配線S1と画素電極PEとの第1方向Xに沿った間隔は、ソース配線S2と画素電極PEとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。
【0029】
共通電極CEは、複数の主共通電極CAを含んでいる。複数の主共通電極CAは、X−Y平面内において、第1方向Xに間隔を置いて並べられ、第1方向Xに複数の主画素電極PAを挟み、それぞれ主画素電極PAと略平行な第2方向Yに沿って直線的に延出している。あるいは、主共通電極CAは、ソース配線Sとそれぞれ対向するとともに主画素電極PAと略平行に延出している。このような主共通電極CAは、帯状に形成され、第1方向Xに沿って略同一の幅を有する。
【0030】
図示した例では、主共通電極CAは、第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、画素PXの左右両端部にそれぞれ配置されている。以下では、これらの主共通電極CAを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称する。主共通電極CALはソース配線S1と対向し、主共通電極CARはソース配線S2と対向している。
【0031】
画素PXにおいて、主共通電極CALは左側端部に配置され、主共通電極CARは右側端部に配置されている。厳密には、主共通電極CALは当該画素PXとその左側に隣接する画素との境界に跨って配置され、主共通電極CARは当該画素PXとその右側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0032】
画素電極PEと主共通電極CAとの位置関係に着目すると、画素電極PEと主共通電極CAとは、第1方向Xに沿って交互に配置されている。これらの画素電極PEと主共通電極CAとは、互いに略平行に配置されている。このとき、X−Y平面内において、主共通電極CAのいずれも画素電極PEとは重ならない。
【0033】
すなわち、隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の画素電極PEが位置している。換言すると、一対の主共通電極(主共通電極CAL及び主共通電極CAR)は、画素電極PEの直上の位置を挟んだ両側に配置されている。あるいは、画素電極PEは、主共通電極CALと主共通電極CARとの間に配置されている。このため、主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARは、第1方向Xに沿ってこの順に配置されている。
【0034】
これらの画素電極PEと共通電極CEとの第1方向Xに沿った間隔は略一定である。すなわち、主共通電極CALと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔は、主共通電極CARと主画素電極PAとの第1方向Xに沿った間隔と略同等である。
【0035】
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNをIII−III線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図である。なお、ここでは、説明に必要な箇所のみを図示している。
図3に示すように、液晶表示パネルLPNを構成するアレイ基板ARの背面側には、バックライトユニット4が配置されている。バックライトユニット4としては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0036】
アレイ基板ARは、光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。ソース配線Sは、第1層間絶縁膜11の上に形成され、第2層間絶縁膜12によって覆われている。なお、図示しないゲート配線や補助容量線は、例えば、第1絶縁基板10と第1層間絶縁膜11の間に配置されている。画素電極PEは、第2層間絶縁膜12の上に形成されている。この画素電極PEは、隣接するソース配線Sのそれぞれの直上の位置よりもそれらの内側に位置している。
【0037】
第1配向膜AL1は、アレイ基板ARの対向基板CTと対向する面に配置され、表示領域R1の略全体に亘って延在している。この第1配向膜AL1は、画素電極PEなどを覆っており、第2層間絶縁膜12の上にも配置されている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
なお、アレイ基板ARは、さらに、共通電極CEの一部を備えていても良い。
【0038】
対向基板CTは、光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。この対向基板CTは、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、共通電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。
【0039】
ブラックマトリクスBMは、各画素PXを区画し、画素電極PEと対向する開口部APを形成する。すなわち、ブラックマトリクスBMは、ソース配線S、ゲート配線、補助容量線、スイッチング素子などの配線部に対向するように配置されている。ここでは、ブラックマトリクスBMは、第2方向Yに沿って延出した部分のみが図示されているが、第1方向Xに沿って延出した部分を備えていてもよい。このブラックマトリクスBMは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する内面20Aに配置されている。
【0040】
カラーフィルタCFは、各画素PXに対応して配置されている。すなわち、カラーフィルタCFは、第2絶縁基板20の内面20Aにおける開口部APに配置されるとともに、その一部がブラックマトリクスBMに乗り上げている。第1方向Xに隣接する画素PXにそれぞれ配置されたカラーフィルタCFは、互いに色が異なる。例えば、カラーフィルタCFは、赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。赤色に着色された樹脂材料からなる赤色カラーフィルタCFRは、赤色画素に対応して配置されている。青色に着色された樹脂材料からなる青色カラーフィルタCFBは、青色画素に対応して配置されている。緑色に着色された樹脂材料からなる緑色カラーフィルタCFGは、緑色画素に対応して配置されている。これらのカラーフィルタCF同士の境界は、ブラックマトリクスBMと重なる位置にある。
【0041】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。このオーバーコート層OCは、カラーフィルタCFの表面の凹凸の影響を緩和する。
【0042】
共通電極CEは、オーバーコート層OCのアレイ基板ARと対向する側に形成されている。この共通電極CEと画素電極PEとの第3方向Zに沿った間隔は略一定である。第3方向Zとは、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向、あるいは、液晶表示パネルLPNの法線方向である。
【0043】
第2配向膜AL2は、対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面に配置され、表示領域R1の略全体に亘って延在している。この第2配向膜AL2は、共通電極CE及びオーバーコート層OCなどを覆っている。このような第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0044】
これらの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2には、液晶層LQの液晶分子を初期配向させるための配向処理(例えば、ラビングや光配向処理)がなされている。この実施形態において、液晶層LQは、例えば、正の誘電率異方性を有し、すなわちp型液晶で形成されている。
【0045】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサにより、所定のセルギャップ、例えば2〜7μmのセルギャップが形成される。アレイ基板ARと対向基板CTとは、所定のセルギャップが形成された状態で、表示領域R1の外側のシール材SBによって貼り合わせられている。
【0046】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。
【0047】
アレイ基板ARの外面、つまり、アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板10の外面10Bには、第1光学素子OD1が接着剤などにより貼付されている。この第1光学素子OD1は、液晶表示パネルLPNのバックライトユニット4と対向する側に位置しており、バックライトユニット4から液晶表示パネルLPNに入射する入射光の偏光状態を制御する。この第1光学素子OD1は、第1偏光軸(あるいは第1吸収軸)AX1を有する第1偏光板PL1を含んでいる。
【0048】
対向基板CTの外面、つまり、対向基板CTを構成する第2絶縁基板20の外面20Bには、第2光学素子OD2が接着剤などにより貼付されている。この第2光学素子OD2は、液晶表示パネルLPNの表示面側に位置しており、液晶表示パネルLPNから出射した出射光の偏光状態を制御する。この第2光学素子OD2は、第2偏光軸(あるいは第2吸収軸)AX2を有する第2偏光板PL2を含んでいる。
【0049】
第1偏光軸AX1と、第2偏光軸AX2とは、例えば、直交する位置関係にあるため、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2はクロスニコル配置されている。このとき、一方の偏光板は、例えば、その偏光軸が液晶分子の初期配向方向と平行または直交するように配置されている。この実施形態において、初期配向方向が第2方向Yと平行であるため、一方の偏光板の偏光軸は、第2方向Yと平行、あるいは、第1方向Xと平行である。
【0050】
図2において、(a)で示した例では、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0051】
また、図2において、(b)で示した例では、第2偏光板PL2は、その第2偏光軸AX2が液晶分子LMの初期配向方向(第2方向Y)に対して直交する(つまり、第1方向Xに平行となる)ように配置され、また、第1偏光板PL1は、その第1偏光軸AX1が液晶分子LMの初期配向方向に対して平行となる(つまり、第2方向Yと平行となる)ように配置されている。
【0052】
次に、上記構成の液晶表示パネルLPNの動作について説明する。
図2及び図3に示すように、液晶層LQに電圧が印加されていない状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていない状態(OFF時)には、液晶層LQの液晶分子LMは、その長軸が第1配向膜AL1の配向処理方向及び第2配向膜AL2の配向処理方向を向くように配向している。このようなOFF時が初期配向状態に相当し、OFF時の液晶分子LMの配向方向が初期配向方向に相当する。
【0053】
なお、厳密には、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているとは限らず、配向膜の近傍ではプレチルトしている。このため、ここでの液晶分子LMの初期配向方向とは、OFF時の液晶分子LMの長軸をX−Y平面に正射影した方向である。以下では、説明を簡略にするために、液晶分子LMは、X−Y平面に平行に配向しているものとし、X−Y平面と平行な面内で回転するものとして説明する。
【0054】
OFF時においては、液晶分子LMは、図2に破線で示したように、その長軸が第2方向Yと略平行な方向に初期配向する。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yと平行(あるいは、第2方向Yに対して0°)である。
【0055】
バックライトユニット4からのバックライトは、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光の偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態によって異なる。OFF時においては、液晶層LQを通過した光は、第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
【0056】
一方、液晶層LQに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態(ON時)では、画素電極PEと共通電極CEとの間に基板と略平行な横電界(あるいは斜め電界)が形成される。液晶分子LMは、電界の影響を受け、その長軸が図中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。
【0057】
後述するが、液晶層LQは、複数の第1液晶層LQ1及び複数の第2液晶層LQ2を有している。複数の画素PXは、少なくとも第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2を1つずつ含んでいる。この実施形態において、各画素PXの第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、補助容量線Cと対向した領域を境に第2方向Yに隣合っている。
【0058】
図2に示した第2液晶層LQ2の例では、画素電極PEと主共通電極CALとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CARとの間の領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。
【0059】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、液晶分子LMの配向方向は、画素電極PEを境界として複数の方向に分かれ、それぞれの配向方向でドメインを形成する。つまり、一画素PXには、複数のドメインが形成される。
【0060】
このようなON時には、バックライトユニット4から液晶表示パネルLPNに入射したバックライトは、その一部が第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶層LQに入射したバックライトは、その偏光状態が変化する。このようなON時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
【0061】
図4は、図2に示した液晶表示パネルLPNの第2液晶層LQ2に重なった領域における画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界、及び、この電界による液晶分子LMのダイレクタと透過率との関係を説明するための図である。
【0062】
図4に示すように、OFF状態では、液晶分子LMは、第2方向Yに略平行な方向に初期配向している。画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が形成されたON状態では、液晶分子LMのダイレクタ(あるいは液晶分子LMの長軸方向)が、X−Y平面内で、第1偏光板PL1の第1偏光軸AX1及び第2偏光板PL2の第2偏光軸AX2に対して概ね45°ずれた状態となったときに、液晶の光学的な変調率が最も高くなる(つまり、開口部での透過率が最大となる)。
【0063】
図示した例では、ON状態となったとき、主共通電極CALと画素電極PEとの間、及び、主共通電極CARと画素電極PEとの間のそれぞれの液晶分子のダイレクタは、画素電極PEに対して45°傾いた方向を向く。これにより、ピーク透過率が得られる。このとき、一画素あたりの透過率分布に着目すると、画素電極PE上及び共通電極CE上においては透過率が略ゼロとなる一方で、画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙では、略全域に亘って高い透過率が得られる。
【0064】
なお、ソース配線S1の直上に位置する主共通電極CAL及びソース配線S2の直上に位置する主共通電極CARは、それぞれブラックマトリクスBMと対向しているが、これらの主共通電極CAL及び主共通電極CARは、ともにブラックマトリクスBMの第1方向Xに沿った幅と同等以下の幅を有しており、ブラックマトリクスBMと重なる位置よりも画素電極PEの側に延在していない。このため、一画素あたり、表示に寄与する開口部は、ブラックマトリクスBMの間もしくはソース配線S1とソース配線S2との間の領域のうち、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の領域に相当する。
【0065】
上記のように構成された液晶表示装置によれば、各画素PXは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出した主画素電極PAと、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出した一対の主共通電極CAとを有している。
【0066】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び主共通電極CA間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。
【0067】
次に、上記液晶表示装置から得られる他の効果について説明する。
画素電極PEと共通電極CEとの間の電極間隙において高い透過率が得られるため、一画素あたりの透過率を十分に高くするためには、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することで対応することが可能となる。また、画素ピッチが異なる製品仕様に対しては、電極間距離を変更する(つまり、画素PXの略中央に配置された画素電極PEに対して主共通電極CAの配置位置を変更する)ことで、図4に示したような透過率分布のピーク条件を利用することが可能となる。つまり、本実施形態の表示モードにおいては、比較的画素ピッチが大きな低解像度の製品仕様から比較的画素ピッチが小さい高解像度の製品仕様まで、微細な電極加工を必ずしも必要とせず、電極間距離の設定により種々の画素ピッチの製品を提供することが可能となる。したがって、高透過率且つ高解像度の要求を容易に実現することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態によれば、図4に示したように、ブラックマトリクスBMと重なる領域での透過率分布に着目すると、透過率が十分に低下している。これは、共通電極CEの位置よりも当該画素の外側に電界の漏れが発生せず、また、ブラックマトリクスBMを挟んで隣接する画素間で不所望な横電界が生じないため、ブラックマトリクスBMと重なる領域の液晶分子がOFF時(あるいは黒表示時)と同様に初期配向状態を保っているためである。したがって、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0069】
また、アレイ基板ARと対向基板CTとの位置合わせにずれが生じた際に、画素電極PEを挟んだ両側の共通電極CEとの水平電極間距離に差が生じることがある。しかしながら、このような合わせずれは、全ての画素PXに共通に生じるため、画素PX間での電界分布に相違はなく、画像の表示に及ぼす影響はきわめて小さい。また、例えアレイ基板ARと対向基板CTとの間で合わせズレが生じたとしても、隣接する画素への不所望な電界の漏れを抑制することが可能となる。このため、隣接する画素間でカラーフィルタの色が異なる場合であっても、混色の発生を抑制することが可能となり、色再現性の低下やコントラスト比の低下を抑制することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態によれば、主共通電極CAは、それぞれソース配線Sと対向している。特に、主共通電極CAL及び主共通電極CARがそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置されている場合には、主共通電極CAL及び主共通電極CARがソース配線S1及びソース配線S2よりも画素電極PE側に配置された場合と比較して、開口部APを拡大することができ、画素PXの透過率を向上することが可能となる。
【0071】
また、主共通電極CAL及び主共通電極CARをそれぞれソース配線S1及びソース配線S2の直上に配置することによって、画素電極PEと主共通電極CAL及び主共通電極CARとの間の電極間距離を拡大することが可能となり、より水平に近い横電界を形成することが可能となる。このため、従来の構成であるIPSモード等の利点である広視野角化も維持することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態によれば、一画素内に複数のドメインを形成することが可能となる。このため、複数の方向で視野角を光学的に補償することができ、広視野角化が可能となる。
【0073】
なお、上記の例では、液晶層LQは、正の誘電率異方性を有しているため、液晶分子LMの初期配向方向が第2方向Yと平行である場合について説明したが、液晶分子LMの初期配向方向は、図2に示したように、第2方向Yを斜めに交差する斜め方向Dであっても良い。ここで、第2方向Yに対する初期配向方向Dのなす角度θ1は、0°より大きく45°より小さい角度である。なお、このなす角度θ1については、5°〜30°程度、より望ましくは20°以下とすることが液晶分子LMの配向制御の観点で極めて有効である。つまり、液晶分子LMの初期配向方向は、第2方向Yに対して0°乃至20°の範囲内の方向と略平行であることが望ましい。
【0074】
言い換えると、第1配向膜AL1は、第2方向Y又は第2方向Yから20°以内に傾斜した方向に付近の液晶分子LMを初期配向させるように形成されている方が望ましい。第2配向膜AL2も、同様に、第2方向Y又は第2方向Yから20°以内に傾斜した方向に付近の液晶分子LMを初期配向させるように形成されている方が望ましい。
【0075】
なお、ON時においても、画素電極PE上あるいは共通電極CE上では、横電界がほとんど形成されない(あるいは、液晶分子LMを駆動するのに十分な電界が形成されない)ため、液晶分子LMは、OFF時と同様に初期配向方向からほとんど動かない。このため、画素電極PE及び共通電極CEがITOなどの光透過性の導電材料によって形成されていても、これらの領域ではバックライト光がほとんど透過せず、ON時において表示にほとんど寄与しない。したがって、画素電極PE及び共通電極CEは、必ずしも透明な導電材料によって形成される必要はなく、アルミニウムや銀、銅などの導電材料を用いて形成しても良い。
【0076】
なお、本実施形態においては、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられ主共通電極CAと対向する(あるいはソース配線Sと対向する)第2主共通電極(シールド電極)を備えていても良い。この第2主共通電極は、主共通電極CAと略平行に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2主共通電極を設けることにより、ソース配線Sからの不所望な電界をシールドすることが可能である。
【0077】
また、共通電極CEは、対向基板CTに備えられた主共通電極CAに加えて、アレイ基板ARに備えられゲート配線Gや補助容量線Cと対向する第2副共通電極(シールド電極)を備えていても良い。この第2副共通電極は、主共通電極CAと交差する方向に延出し、しかも、主共通電極CAと同電位である。このような第2副共通電極を設けたことにより、ゲート配線Gや補助容量線Cからの不所望な電界をシールドすることが可能である。このような第2主共通電極や第2副共通電極を備えた構成によれば、更なる表示品位の劣化を抑制することが可能となる。
【0078】
上記のように、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置について説明したが、次に、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、さらに優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置について説明する。
【0079】
図2及び図3に示すように、第2液晶層LQ2は、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向とは異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第2方向Yに略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0080】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、補助容量線Cから画素PXの一短辺SS1に向かって配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、補助容量線Cから画素PXの他短辺SS2に向かって配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0081】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、補助容量線Cより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、補助容量線Cより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0082】
上記のように構成された第1の実施形態に係る液晶表示装置によれば、上述したように焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができる。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0083】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0084】
また、液晶層LQはp型液晶で形成され、液晶分子LMの長軸は斜め電界に沿った方向に配向するため、液晶分子LMの極角及び方位角の両方を規定することができる。ここで、X−Y平面内においてY軸からの角度を方位角とし、X−Y平面に対して法線方向に沿ったZ軸からの角度を極角とした。上記のことから、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は強いものである。
【0085】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0086】
次に、第2の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0087】
図5は、第2の実施形態に係る液晶表示パネルLPNを対向基板CT側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。
図5に示すように、共通電極CEは、複数の副共通電極CBをさらに含んでいる。この実施形態において、複数の副共通電極CBは対向基板CT側に形成されている。複数の副共通電極CBは、第2方向Yに間隔を置いて並べられ、第2方向Yに複数の主画素電極PAを挟んでいる。複数の副共通電極CBは、それぞれ第1方向Xに沿って延出している。
【0088】
複数の副共通電極CBは、複数の主共通電極CAと一体又は連続的に形成されている。このため、複数の副共通電極CB(CBU、CBB)は、複数の主共通電極CAと電気的に接続されている。給電部VSから与えられる電圧(コモン電圧)は、複数の主共通電極CA及び複数の副共通電極CBに与えられる。
【0089】
この実施形態では、画素電極PEが十字状に形成された点、及び、共通電極CEが一画素PXを取り囲むように格子状に形成された点で、上記第1の実施形態と相違している。すなわち、画素電極PEは、互いに電気的に接続された主画素電極PA及び副画素電極PBを備えている。主画素電極PAは、副画素電極PBから画素PXの上側端部付近及び下側端部付近まで第2方向Yに沿って直線的に延出している。副画素電極PBは、第1方向Xに沿って延出している。この副画素電極PBは、補助容量線C1と重なる領域に位置し、コンタクトホールCHを介してスイッチング素子と電気的に接続されている。図示した例では、副画素電極PBが画素PXの略中央に設けられており、画素電極PEは、十字状となっている。
【0090】
副共通電極CBは、ゲート配線Gの各々と対向している。図示した例では、副共通電極CBは第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、以下では、これらを区別するために、図中の上側の副共通電極をCBUと称し、図中の下側の副共通電極をCBBと称する。副共通電極CBUは、画素PXの上側端部に配置され、ゲート配線G1と対向している。つまり、副共通電極CBUは、当該画素PXとその上側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。また、副共通電極CBBは、画素PXの下側端部に配置され、ゲート配線G2と対向している。つまり、副共通電極CBBは、当該画素PXとその下側に隣接する画素との境界に跨って配置されている。
【0091】
画素電極PEと共通電極CEとの位置関係に着目すると、主画素電極PAと主共通電極CAとは第1方向Xに沿って交互に配置され、副画素電極PBと副共通電極CBとは第2方向Yに沿って交互に配置されている。すなわち、隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の主画素電極PAが位置し、第1方向Xに沿って主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARの順に並んでいる。また、隣接する副共通電極CBB及び副共通電極CBUの間には、1本の副画素電極PBが位置し、第2方向Yに沿って副共通電極CBB、副画素電極PB、及び、副共通電極CBUの順に並んでいる。
【0092】
このような構造例によれば、OFF時において第2方向Yに初期配向していた液晶分子LMは、ON時に画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される電界の影響を受け、その長軸が図中の実線で示したようにX−Y平面と略平行な平面内で回転する。画素電極PEと主共通電極CAL及び副共通電極CBBとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の左下を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CAR及び副共通電極CBBとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の右下を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CAL及び副共通電極CBUとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して反時計回りに回転し、図中の左上を向くように配向する。画素電極PEと主共通電極CAR及び副共通電極CBUとで囲まれた領域内の液晶分子LMは、第2方向Yに対して時計回りに回転し、図中の右上を向くように配向する。
【0093】
このように、各画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成された状態では、4つのドメインに互いに異なる電界を作用させることができるため、視野角を拡大できることはもちろん、第1の実施形態(図2など)よりも液晶分子LMの配向規制力を強くすることができる。
上記のように構成された液晶表示装置においても、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができる。
【0094】
次に、焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、さらに優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置の実施例1乃至4について説明する。次に挙げる実施例は、限定的に列挙するものではなく、一例を列挙するものである。すなわち、この実施形態に係る液晶表示装置は、実施例1乃至4に限らず、種々変形可能である。なお、実施例1乃至4では、説明に必要な箇所のみを図示して説明する。
【0095】
(実施例1)
図6は、図5に示した液晶表示パネルLPNをVI−VI線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0096】
図5及び図6に示すように、各画素PXの第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、副画素電極PB(補助容量線C)と対向した領域を境に第2方向Yに隣合っている。第2液晶層LQ2は、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向とは異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第2方向Yに略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0097】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、副画素電極PBから画素PXの一短辺SS1に向かった第1配向処理方向PD1に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、副画素電極PBから画素PXの他短辺SS2に向かった第2配向処理方向PD2に別の配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第1配向処理方向PD1及び第2配向処理方向PD2は、それぞれ第2方向Yに略平行であって、互いに逆向きである。
【0098】
第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、画素PXの一短辺SS1から副画素電極PBに向かった第2配向処理方向PD2に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、画素PXの他短辺SS2から副画素電極PBに向かった第1配向処理方向PD1に別の配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0099】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0100】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、一短辺SS1より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、他短辺SS2より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0101】
なお、第1液晶層LQ1や第2液晶層LQ2の中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0102】
図7は、図5に示した液晶表示パネルLPNをVII−VII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図8は、図5に示した液晶表示パネルLPNをVIII−VIII線で切断したときの断面構造を概略的に示す断面図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。なお、図7及び図8は、画素PXの他短辺SS2側から見た図である。
【0103】
図5、図7及び図8に示すように、実施例1では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0104】
さらに、実施例1では、対向基板CT近傍の液晶分子LMの配向方向及び液晶層LQの中間部付近の液晶分子LMの配向方向も横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。すなわち、液晶層LQの全体に亘って液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0105】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶層LQの全域に亘って液晶分子LMをプレチルトさせることができる。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、ともにホモジニアス配向をとるため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は一層強いものである。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0106】
(実施例2)
図9は、実施例2の液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0107】
図9及び図5に示すように、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、副画素電極PBから画素PXの一短辺SS1に向かった第1配向処理方向PD1に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、副画素電極PBから画素PXの他短辺SS2に向かった第2配向処理方向PD2に別の配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
その他、実施例2の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置と同様に形成されている。
【0108】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0109】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0110】
なお、第1液晶層LQ1や第2液晶層LQ2の中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、液晶分子LMは、第1液晶層LQ1の中間部や第2液晶層LQ2の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0111】
図10は、実施例2の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図11は、上記実施例2の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。
【0112】
図10及び図11、並びに図5に示すように、実施例2では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0113】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶分子LMをプレチルトさせることができる。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0114】
また、第1液晶層LQ1を挟む第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に施される配向処理方向は同じ向きであり、第2液晶層LQ2を挟む第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に施される配向処理方向も同じ向きである。この場合、黒表示の場合に光漏れが少なく、高コントラスト比を実現することができる。
【0115】
(実施例3)
図12は、実施例3の液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0116】
図12及び図5に示すように、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2、すなわち第2配向膜AL2の全域には、第2配向処理方向PD2に配向処理(例えば、ラビング)が施されている。
その他、実施例3の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置と同様に形成されている。
【0117】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0118】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、一短辺SS1より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0119】
なお、第1液晶層LQ1において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0120】
第2液晶層LQ2において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、液晶分子LMは、第2液晶層LQ2の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0121】
図13は、実施例3の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図14は、上記実施例3の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。
【0122】
図13及び図14、並びに図5に示すように、実施例3では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0123】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶分子LMをプレチルトさせることができる。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
また、第2配向膜AL2に施される配向処理は、1種類でよいため、上記実施例1に比べて製造工程を少なくすることができ、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【0124】
(実施例4)
図15は、実施例4の液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図6に対応した図であり、液晶層LQに電圧が印加されていない状態を示す図である。
【0125】
図15及び図5に示すように、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2、すなわち第2配向膜AL2の全域には、第1配向処理方向PD1に配向処理(例えば、ラビング)が施されている。
その他、実施例4の液晶表示装置は、実施例1の液晶表示装置と同様に形成されている。
【0126】
これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより他短辺SS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0127】
また、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、副画素電極PBより一短辺SS1側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、他短辺SS2より副画素電極PB側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0128】
なお、第1液晶層LQ1において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、液晶分子LMは、第1液晶層LQ1の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する(スプレイ配向)。
【0129】
第2液晶層LQ2において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する(ホモジニアス配向)。
【0130】
図16は、実施例4の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図7に対応した図であり、第1液晶層LQ1に電圧が印加されている状態を示す図である。図17は、上記実施例4の液晶表示パネルLPNの他の断面構造を概略的に示す断面図であり、上記実施例1における図8に対応した図であり、第2液晶層LQ2に電圧が印加されている状態を示す図である。
【0131】
図16及び図17、並びに図5に示すように、実施例4では、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0132】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶分子LMをプレチルトさせることができる。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
また、第2配向膜AL2に施される配向処理は、1種類でよいため、上記実施例1に比べて製造工程を少なくすることができ、ひいては製造コストの低減を図ることができる。
【0133】
上記のように構成された第2の実施形態に係る実施例1乃至4の液晶表示装置によれば、各画素PXは、主画素電極PA、副画素電極PB及び一対の主共通電極CAを有している。主画素電極PAは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出している。副画素電極PBは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第1方向Xに沿って延出し主画素電極PAと電気的に接続されている。一対の主共通電極CAは、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出している。
【0134】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び副画素電極PB、並びに主共通電極CA及び副共通電極CB間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0135】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0136】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0137】
なお、上記第2の実施形態において、液晶表示装置は、副画素電極PB及び副共通電極CBを有しているが、液晶表示装置は、副画素電極PB及び副共通電極CB無しに形成されていてもよく、この場合も上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0138】
次に、第3の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0139】
図18は、第3の実施形態に係る液晶表示パネルLPNを対向基板CT側から見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。図19は、上記第3の実施形態に係る液晶表示パネルLPNの一部を示す分解斜視図であり、一画素に含まれる第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4と、上記一画素に重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【0140】
図18及び図19に示すように、液晶層LQは、複数の第1液晶層LQ1、複数の第2液晶層LQ2、複数の第3液晶層LQ3及び複数の第4液晶層LQ4を有している。複数の画素PXは、少なくとも第1液晶層LQ1、第2液晶層LQ2、第3液晶層LQ3及び第4液晶層LQ4を1つずつ含んでいる。
【0141】
この実施形態の各画素PXにおいて、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2、並びに第3液晶層LQ3及び第4液晶層LQ4は、それぞれ主画素電極PAと対向した領域を境に第1方向Xに隣合っている。第1液晶層LQ1及び第3液晶層LQ3、並びに第2液晶層LQ2及び第4液晶層LQ4は、補助容量線Cと対向した領域を境に第2方向Yに隣合っている。
【0142】
図18に示す例では、画素PXの左上の領域に第1液晶層LQ1が形成され、画素PXの右上の領域に第2液晶層LQ2が形成され、画素PXの左下の領域に第3液晶層LQ3が形成され、画素PXの右下の領域に第4液晶層LQ4が形成されている。
【0143】
第1偏光軸AX1と、第2偏光軸AX2とは、例えば、直交する位置関係にあるため、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2はクロスニコル配置されている。ここで、X−Y平面において、第1方向X及び第2方向Yから45°傾斜した方向を第4方向d4、第4方向d4に直交した方向を第5方向d5とする。
【0144】
この実施形態において、図18の(a)に示すように、第1偏光板PL1は、第1偏光軸AX1が第4方向d4に平行となるように配置され、第2偏光板PL2は、第2偏光軸AX2が第5方向d5に平行となるように配置されている。
【0145】
又は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、図18の(b)に示すように配置されていてもよい。図18の(a)に示す例では、第1偏光板PL1は、第1偏光軸AX1が第5方向d5に平行となるように配置され、第2偏光板PL2は、第2偏光軸AX2が第4方向d4に平行となるように配置されている。
【0146】
第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4は、互いに異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第4液晶層LQ4の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第4方向d4に略平行であり、互いに略180°異なっている。第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向及び第3液晶層LQ3の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第5方向d5に略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0147】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、第4方向d4に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第3配向処理方向PD3に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0148】
第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、第5方向d5に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第4配向処理方向PD4に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0149】
第3液晶層LQ3と対向した領域の第1配向膜AL1には、第5方向d5に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第5配向処理方向PD5に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0150】
第4液晶層LQ4と対向した領域の第1配向膜AL1には、第4方向d4に平行であり、画素PXの中央から周縁に向かった第6配向処理方向PD6に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0151】
第3配向処理方向PD3及び第6配向処理方向PD6は、それぞれ第4方向d4に略平行であって、互いに逆向きである。第4配向処理方向PD4及び第5配向処理方向PD5は、それぞれ第5方向d5に略平行であって、互いに逆向きである。
【0152】
これにより、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、アレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、画素PXの中央より周縁側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0153】
第2配向膜AL2には、複数種類の配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第6配向処理方向PD6に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第5配向処理方向PD5に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第3液晶層LQ3と対向した領域の第2配向膜AL2には、第4配向処理方向PD4に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第4液晶層LQ4と対向した領域の第2配向膜AL2には、第3配向処理方向PD3に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0154】
これにより、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、画素PXの周縁より中央側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0155】
なお、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する。このため、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4は、それぞれホモジニアス配向を採る。
【0156】
ここで、第2配向膜AL2には、上記の例に限らず、他の配向処理が施されていてもよい。
例えば、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第3配向処理方向PD3に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第4配向処理方向PD4に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第3液晶層LQ3と対向した領域の第2配向膜AL2には、第5配向処理方向PD5に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第4液晶層LQ4と対向した領域の第2配向膜AL2には、第6配向処理方向PD6に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0157】
これにより、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、画素PXの中央より周縁側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0158】
なお、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、液晶分子LMは、液晶層の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する。そして、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4は、それぞれスプレイ配向を採る。
【0159】
なお、第2配向膜AL2に施した配向処理は上述した例に限定されるものではなく、種々変形可能である。第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4がそれぞれ上述したホモジニアス配向及びスプレイ配向の何れかを採るように、第2配向膜AL2に配向処理が施されていればよい。
【0160】
第3の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0161】
さらに、第3の実施形態では、対向基板CT近傍の液晶分子LMの配向方向及び液晶層LQの中間部付近の液晶分子LMの配向方向も横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。すなわち、液晶層LQの全体に亘って液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0162】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶層LQの全域に亘って液晶分子LMをプレチルトさせることができる。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、ともにホモジニアス配向をとるため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は一層強いものである。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0163】
上記のように構成された第3の実施形態に係る液晶表示装置によれば、各画素PXは、主画素電極PA及び一対の主共通電極CAを有している。主画素電極PAは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出している。一対の主共通電極CAは、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出している。
【0164】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び主共通電極CA間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0165】
第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4の全てを合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0166】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0167】
次に、第4の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。この実施形態において、他の構成は上述した第2の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0168】
図20は、第4の実施形態に係る液晶表示パネルLPNを対向基板側CTから見たときの一画素PXの構造例を概略的に示す平面図である。
【0169】
図21は、上記第4の実施形態に係る液晶表示パネルLPNの一部を示す分解斜視図であり、一画素PXに含まれる第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2と、上記一画素PXに重なった領域の配向膜及び偏光板を概略的に示す図である。
【0170】
図20及び図21に示すように、液晶層LQは、負の誘電率異方性を有し、すなわちn型液晶で形成されている。なお、詳しい説明は省略するが、誘電率異方性が正負逆となる関係上、ネガ型液晶材料の場合、上記した角度θ1が45°〜135°、望ましくは70°〜110°とすることが好ましい。
【0171】
液晶層LQは、複数の第1液晶層LQ1及び複数の第2液晶層LQ2を有している。複数の画素PXは、少なくとも第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2を1つずつ含んでいる。
【0172】
この実施形態の各画素PXにおいて、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、主画素電極PAと対向した領域を境に第1方向Xに隣合っている。
【0173】
図20に示す例では、画素PXの左側の領域に第1液晶層LQ1が形成され、画素PXの右側の領域に第2液晶層LQ2が形成されている。
【0174】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、互いに異なる方向に液晶分子LMの初期配向を採っている。この実施形態において、第1液晶層LQ1の液晶分子LMの初期配向及び第2液晶層LQ2の液晶分子LMの初期配向は、それぞれ第1方向Xに略平行であり、互いに略180°異なっている。
【0175】
第1配向膜AL1には、複数種類の配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第1配向膜AL1には、第1方向Xに平行であり、主画素電極PAから画素PXの一長辺LS1に向かった第7配向処理方向PD7に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0176】
第2液晶層LQ2と対向した領域の第1配向膜AL1には、第1方向Xに平行であり、主画素電極PAから画素PXの他長辺LS2に向かった第8配向処理方向PD8に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0177】
第7配向処理方向PD7及び第8配向処理方向PD8は、それぞれ第1方向Xに略平行であって、互いに逆向きである。これにより、第1液晶層LQ1のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより一長辺LS1側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2のアレイ基板ARの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより他長辺LS2側でアレイ基板ARから対向基板CT側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0178】
第2配向膜AL2にも配向処理が施されている。
この実施形態では、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第8配向処理方向PD8に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第7配向処理方向PD7に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0179】
これにより、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、一長辺LS1より主画素電極PA側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、他長辺LS2より主画素電極PA側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0180】
なお、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2において、中間部付近の液晶分子LMは、アレイ基板AR近傍の液晶分子LM及び対向基板CT近傍の液晶分子LMと略均一なプレチルト角を持って配向する。このため、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、それぞれホモジニアス配向を採る。
【0181】
ここで、第2配向膜AL2には、上記の例に限らず、他の配向処理が施されていてもよい。
例えば、第1液晶層LQ1と対向した領域の第2配向膜AL2には、第7配向処理方向PD7に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
第2液晶層LQ2と対向した領域の第2配向膜AL2には、第8配向処理方向PD8に配向処理(例えば、マスクラビング)が施されている。
【0182】
これにより、第1液晶層LQ1の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより一長辺LS1側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。第2液晶層LQ2の対向基板CTの近傍の液晶分子LMは、主画素電極PAより他長辺LS2側で対向基板CTからアレイ基板AR側に立ち上がるようにプレチルトしている。
【0183】
なお、第1乃至第4液晶層LQ1乃至LQ4において、中間部付近の液晶分子LMは、略水平(プレチルト角が略ゼロ)に配向する。このため、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2において、液晶分子LMは、液晶層の中間部を境界として、第1配向膜AL1の近傍及び第2配向膜AL2の近傍において対称となるようなプレチルト角を持って配向する。そして、第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、それぞれスプレイ配向を採る。
【0184】
なお、第2配向膜AL2に施した配向処理は上述した例に限定されるものではなく、種々変形可能である。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2がそれぞれ上述したホモジニアス配向及びスプレイ配向の何れかを採るように、第2配向膜AL2に配向処理が施されていればよい。
【0185】
第4の実施形態においても、上記第2の実施形態と同様に、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0186】
さらに、第4の実施形態では、対向基板CT近傍の液晶分子LMの配向方向及び液晶層LQの中間部付近の液晶分子LMの配向方向も横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。すなわち、液晶層LQの全体に亘って液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしている。
【0187】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように、液晶層LQの全域に亘って液晶分子LMをプレチルトさせることができる。第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2は、ともにホモジニアス配向をとるため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は強いものである。各画素PXは、主画素電極PA及び主共通電極CAだけでなく副画素電極PB及び副共通電極CBも有しているため、液晶分子LMの配向規制力(配向強度)は一層強いものである。このため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0188】
上記のように構成された第4の実施形態に係る液晶表示装置によれば、各画素PXは、主画素電極PA、副画素電極PB及び一対の主共通電極CAを有している。主画素電極PAは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第2方向Yに沿って延出している。副画素電極PBは、第1絶縁基板10(アレイ基板AR)上に形成され、第1方向Xに沿って延出し主画素電極PAと電気的に接続されている。一対の主共通電極CAは、第2絶縁基板20(対向基板CT)上に形成され、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに沿って延出している。
【0189】
液晶表示装置は、主画素電極PA及び副画素電極PB、並びに主共通電極CA及び副共通電極CB間に形成される電界が主に液晶層LQに加わるように構成されている。上記電界は、IPSモードの液晶表示装置のように複雑に積層された膜を通ることは無い。このため、IPSモードの液晶表示装置やFFSモードの液晶表示装置に比べて焼き付きに対して強い(焼き付きの発生を低減することができる)横電界モードあるいは斜め電界モードを採る液晶表示装置が得られるものである。また、横電界(斜め電界)により液晶分子LMの配向方向を所望の方向に規定し易いように液晶分子がプレチルトしている。
【0190】
第1液晶層LQ1及び第2液晶層LQ2の両方を合わせて、4つのドメインを形成し易いように液晶分子をプレチルトさせることができるため、上記液晶表示装置は、優れたコントラストの視角特性を得ることもできる。
【0191】
上記のことから、IPSモード及びFFSモードに比べて焼き付きの発生を低減することができる横電界モードあるいは斜め電界モードを採ることができ、優れたコントラストの視角特性を得ることができる液晶表示装置を得ることができる。
【0192】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0193】
例えば、上述した第2及び第4の実施形態において、画素電極PEはI字状に形成され、アレイ基板AR近傍の液晶分子LMの配向方向を横電界(斜め電界)により所望の方向に規定し易いように、液晶分子がプレチルトしていてもよい。次に、画素電極PEがI字状に形成された場合の例を、図22を用いて説明する。図22は、第2及び第4の実施形態に係る変形例の液晶表示パネルLPNを対向基板CT側から見たときの一画素PXの他の構造例を概略的に示す平面図である。
【0194】
図22に示すように、画素電極PEは、主画素電極PA、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGを有している。これらの主画素電極PA、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、互いに電気的に接続されている。本実施形態においては、画素電極PEの全体がアレイ基板ARに備えられている。
【0195】
主画素電極PAは、第2方向Yに長手方向を持っている。第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、第1方向Xに沿って延出している。第2副画素電極PGは、第1副画素電極PFから離間している。
【0196】
図示した例では、画素電極PEは、I字状に形成されている。より具体的には、主画素電極PAは、略画素中央部において第2方向Yに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、それぞれ画素PXの上側端部及び下側端部において第1方向Xに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。
【0197】
なお、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、上下画素間に配置されても良い。つまり、第1副画素電極PFは図示した当該画素PXとその下側の画素(図示せず)との境界に跨って配置されても良いし、第2副画素電極PGは図示した当該画素PXとその上側の画素(図示せず)との境界に跨って配置されてもよい。
【0198】
第1副画素電極PFは、主画素電極PAの一端部に結合し、主画素電極PAからその両側に向かって延出している。第2副画素電極PGは主画素電極PAの他端部に結合し、主画素電極PAからその両側に向かって延出している。これらの第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGは、主画素電極PAと略直交している。なお、第1副画素電極PFは主画素電極PAの一端部よりもわずかに他端部寄りに結合していても良いし、同様に、第2副画素電極PGは主画素電極PAの他端部よりもわずかに一端部寄りに結合していても良い。画素電極PEは、例えば、第2副画素電極PGにおいて図示を省略したスイッチング素子と電気的に接続されている。
【0199】
共通電極CEは、主共通電極CA及び副共通電極CBを有している。これらの主共通電極CA及び副共通電極CBは、互いに電気的に接続されている。このような共通電極CEは、画素電極PEとは電気的に絶縁されている。本実施形態においては、共通電極CEにおいて、主共通電極及び副共通電極の少なくとも一部は、対向基板CTに備えられている。
【0200】
一対の主共通電極CAは、第1方向Xに主画素電極PAを挟んで位置し第2方向Yに延出して形成されている。X−Y平面内において、主共通電極CAのいずれも主画素電極PAとは重ならず、主共通電極CAのそれぞれと主画素電極PAとの間には略等しい間隔が形成されている。
【0201】
副共通電極CBは、第1方向Xに沿って延出している。副共通電極CBは、第1副画素電極PFと第2副画素電極PGとの間に配置されている。X−Y平面内において、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGのいずれも副共通電極CBとは重ならず、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGのそれぞれと副共通電極CBとの間には略等しい間隔が形成されている。
【0202】
図示した例では、主共通電極CAは、第2方向Yに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。副共通電極CBは、第1方向Xに沿って直線的に延出した帯状に形成されている。なお、主共通電極CAは第1方向Xに沿って2本平行に並んでおり、以下では、これらを区別するために、図中の左側の主共通電極をCALと称し、図中の右側の主共通電極をCARと称する。主共通電極CAL及び主共通電極CARは、副共通電極CBとそれぞれ繋がっている。
【0203】
主共通電極CAL及び主共通電極CARは左右画素間に配置されている。すなわち、主共通電極CALは図示した当該画素PXとその左側の画素(図示せず)との境界に跨って配置され、主共通電極CARは図示した当該画素PXとその右側の画素(図示せず)との境界に跨って配置されている。
【0204】
隣接する主共通電極CAL及び主共通電極CARの間には、1本の主画素電極PAが位置している。このため、主共通電極CAL、主画素電極PA、及び、主共通電極CARは、第1方向Xに沿ってこの順に配置されている。つまり、主画素電極PAと主共通電極CAとは第1方向Xに沿って交互に配置されている。これらの主画素電極PAと、主共通電極CAL及び主共通電極CARとは、互いに略平行に配置されている。また、主共通電極CALと主画素電極PAとの距離は、主共通電極CARと主画素電極PAとの距離と略同等である。
【0205】
隣接する第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGの間には、1本の副共通電極CBが位置している。このため、第1副画素電極PF、副共通電極CB及び第2副画素電極PGは、第2方向Yに沿ってこの順に配置されている。つまり、第1副画素電極PF及び第2副画素電極PGと副共通電極CBとは第2方向Yに沿って交互に配置されている。これらの第1副画素電極PF、副共通電極CB及び第2副画素電極PGは、互いに略平行に配置されている。また、第1副画素電極PFと副共通電極CBとの距離は、第2副画素電極PGと副共通電極CBとの距離と略同等である。
【0206】
つまり、図示した例では、一画素PXにおいて、画素電極PEと共通電極CEとで区画された4つの領域(主として表示に寄与する開口部あるいは透過部)が形成される。
【0207】
なお、ここでは詳述しないが、主共通電極CAの少なくとも1つは、主共通電極CAと略平行に(あるいは第2方向Yに沿って)延出するソース配線Sと対向していてもよい。また、第1副画素電極PF、第2副画素電極PG及び副共通電極CBのいずれか1つは、これらと略平行に(あるいは第1方向Xに沿って)延出するゲート配線Gや補助容量線Cと対向していてもよい。
【0208】
上述した実施形態に係る液晶表示装置は、例えば、ワードプロセッサやパーソナルコンピュータなどのOA(オフィス−オートメーション)機器の表示部や、電子手帳等の携帯情報機器の表示部、あるいはカメラ一体型VTR等の表示部に適用可能である。
【符号の説明】
【0209】
LPN…液晶表示パネル、PX…画素、SS1…一短辺、SS2…他短辺、LS1…一長辺、LS2…他長辺、AR…アレイ基板、G…ゲート配線、C…補助容量線、S…ソース配線、PE…画素電極、PA…主画素電極、PB,PF,PG…副画素電極、AL1…第1配向膜、CT…対向基板、CE…共通電極、CA…主共通電極、CB…副共通電極、AL2…第2配向膜、LQ…液晶層、LQ1…第1液晶層、LQ2…第2液晶層、LQ3…第3液晶層、LQ4…第4液晶層、LM…液晶分子、PL1…第1偏光板、PL2…第2偏光板、X…第1方向、Y…第2方向、Z…第3方向、d4…第4方向、d5…第5方向、PD1〜PD8…配向処理方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板と、
前記第1基板及び第2基板間に挟持された複数の第1液晶層、並びに前記第1基板及び第2基板間に挟持され前記第1液晶層の液晶分子の初期配向とは異なる方向に前記液晶分子の初期配向を採る複数の第2液晶層を有した液晶層と、
第1方向及び前記第1方向に直交した第2方向にマトリクス状に設けられ、それぞれ前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、それぞれ前記第1方向に沿った長さが前記第2方向に沿った長さよりも短い複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
前記第1基板上に形成され、前記第2方向に沿って延出した主画素電極と、
前記第2基板上に形成され、前記第1方向に前記主画素電極を挟んで位置し前記第2方向に沿って延出した一対の主共通電極と、を有していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶層は、正の誘電率異方性を有し、
前記各画素は、前記第2方向に隣合う前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、
前記第1液晶層の液晶分子の初期配向及び前記第2液晶層の液晶分子の初期配向は、それぞれ前記第2方向に略平行であり、互いに略180°異なっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記各画素は、前記第1基板上に形成され、第1方向に沿って延出し前記主画素電極と電気的に接続された副画素電極をさらに有し、
前記各画素の第1液晶層及び第2液晶層は、前記副画素電極と対向した領域を境に前記第2方向に隣合い、
前記第1液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は、前記副画素電極より前記画素の一短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトし、
前記第2液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は、前記副画素電極より前記画素の他短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトしていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記各画素は、前記第1基板上に形成され、第1方向に沿って延出した補助容量線をさらに含み、
前記各画素の第1液晶層及び第2液晶層は、前記補助容量線と対向した領域を境に前記第2方向に隣合い、
前記第1液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は、前記補助容量線より前記画素の一短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトし、
前記第2液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は前記補助容量線より前記画素の他短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトしていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1液晶層及び第2液晶層の少なくとも一方は、ホモジニアス配向を採ることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶層は、負の誘電率異方性を有し、
前記各画素は、
前記第1基板上に形成され、第1方向に沿って延出し前記主画素電極と電気的に接続された副画素電極をさらに有し、
前記主画素電極を境に前記第1方向に隣合う前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、
前記第1液晶層の初期分子配向及び前記第2液晶層の初期分子配向は、それぞれ前記第1方向に略平行であり、互いに略180°異なっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に隙間を置いて対向配置された第2基板と、
前記第1基板及び第2基板間に挟持された複数の第1液晶層、並びに前記第1基板及び第2基板間に挟持され前記第1液晶層の液晶分子の初期配向とは異なる方向に前記液晶分子の初期配向を採る複数の第2液晶層を有した液晶層と、
第1方向及び前記第1方向に直交した第2方向にマトリクス状に設けられ、それぞれ前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、それぞれ前記第1方向に沿った長さが前記第2方向に沿った長さよりも短い複数の画素と、を備え、
前記各画素は、
前記第1基板上に形成され、前記第2方向に沿って延出した主画素電極と、
前記第2基板上に形成され、前記第1方向に前記主画素電極を挟んで位置し前記第2方向に沿って延出した一対の主共通電極と、を有していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶層は、正の誘電率異方性を有し、
前記各画素は、前記第2方向に隣合う前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、
前記第1液晶層の液晶分子の初期配向及び前記第2液晶層の液晶分子の初期配向は、それぞれ前記第2方向に略平行であり、互いに略180°異なっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記各画素は、前記第1基板上に形成され、第1方向に沿って延出し前記主画素電極と電気的に接続された副画素電極をさらに有し、
前記各画素の第1液晶層及び第2液晶層は、前記副画素電極と対向した領域を境に前記第2方向に隣合い、
前記第1液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は、前記副画素電極より前記画素の一短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトし、
前記第2液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は、前記副画素電極より前記画素の他短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトしていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記各画素は、前記第1基板上に形成され、第1方向に沿って延出した補助容量線をさらに含み、
前記各画素の第1液晶層及び第2液晶層は、前記補助容量線と対向した領域を境に前記第2方向に隣合い、
前記第1液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は、前記補助容量線より前記画素の一短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトし、
前記第2液晶層の前記第1基板の近傍の液晶分子は前記補助容量線より前記画素の他短辺側で前記第1基板から前記第2基板側に立ち上がるようにプレチルトしていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1液晶層及び第2液晶層の少なくとも一方は、ホモジニアス配向を採ることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶層は、負の誘電率異方性を有し、
前記各画素は、
前記第1基板上に形成され、第1方向に沿って延出し前記主画素電極と電気的に接続された副画素電極をさらに有し、
前記主画素電極を境に前記第1方向に隣合う前記第1液晶層及び第2液晶層を1つずつ含み、
前記第1液晶層の初期分子配向及び前記第2液晶層の初期分子配向は、それぞれ前記第1方向に略平行であり、互いに略180°異なっていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−64889(P2013−64889A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203786(P2011−203786)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】
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