説明

液晶装置及び電子機器

【課題】例えば、タッチパネル機能を有する表示装置において、指示手段の位置を正確に特定する。
【解決手段】赤外光センサ150は、指示手段Fによって検知用赤外光IR1が反射されることによって生じた反射赤外光IR2、及び外光に含まれる赤外光を検出する。赤外線センサ150によって検出された反射赤外光IR2及び外光に含まれる赤外光の夫々に対応した受光信号は、受光信号処理回路部215によって処理され、当該処理された受光信号は、位置検出・光強度検出回路部216に転送される。位置検出・光強度検出回路部216は、画像表示領域10aのうち反射赤外光IR2を検出した赤外光センサ150が配置されている領域に指示手段Fが重なっていることを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、タッチパネル機能を有する液晶装置、及びそのような液晶装置を具備してなる電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液晶装置では、複数の画素部毎に、或いは任意の個数の画素部を一群とする群毎に光センサを配置し、画素部を透過する透過光による画像表示、及び指等の指示手段を介した当該液晶装置への情報の入力を可能にする、所謂タッチパネル機能を有する液晶装置が提案されている。このような液晶装置では、指或いは指示部材等の指示手段が液晶装置の表示面に触れたこと、或いは表示面上で動いたことが光センサ等の受光素子によって検知され、当該液晶装置への情報の入力が可能になっている。例えば、非特許文献1によれば、低温ポリシリコン(Low Temperature Poly Silicon:LTPS)を有するTFTからなる駆動回路の動作によって画像を表示可能な液晶装置であって、各画素に配置された光センサによって取得された指示手段の画像に基づいて各種情報を入力可能なタッチパネル機能を有する液晶装置が開示されている。
【0003】
このような液晶装置では、指示手段の周囲が明るい場合には、表示面に近づく、或いは表示面に接触する指示手段の影がその周囲の明るい領域と識別されることによって指示手段の位置等が特定される。他方、このような液晶装置では、指示手段の周囲が暗い場合、即ち外光に含まれる可視光成分の光強度が低い場合、液晶装置の表示面から出射された画像を表示する光が指示手段によって反射され、該反射された反射光を検出用の光として外光と区別して検出することによって指示手段の位置等が特定される。
【0004】
したがって、可視光を検出することによって指示手段を検知する際には、表示面の表示領域から出射される光、即ち画像を表示する光の光強度と、外光に含まれる可視光成分の光強度との相対的な大小関係に起因して、指示手段の画像を特定できなくなる問題点がある。より具体的には、外光に含まれる可視光成分、及び表示面から出射される光の夫々の光強度が略等しくなる条件下では、可視光を遮る指示手段の影、及び指示手段によって反射された反射光の夫々の光強度の差に応じて特定される指示手段の輪郭を特定することが困難になり、指示手段の位置等を特定することが困難になる。言い換えれば、外光に含まれる可視光成分、及び表示面から出射される光の夫々の光強度の相対的な大小関係に起因して、指示手段を特定できなくなる光強度の範囲、即ち不感帯が生じてしまう。
【0005】
そこで、特許文献1では、表示面から赤外光等の非可視光を出射し、指示手段によって反射された非可視光を検出することによって、指示手段を介した各種情報の入力を可能にする画像表示装置が提案されている。
【0006】
【非特許文献1】Touch Panel Function Integrated LCD Using LTPS Technology,N.Nakamura et al,IDW/AD'05 p.1003-1006
【特許文献1】特開2006−301864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された画像表示装置は、外光に含まれる赤外光等の非可視光の光強度に関係なく表示面から赤外光を出射する。したがって、画像表示装置の動作時には、常時、赤外光を出射するために消費される消費電力が発生する問題点がある。
【0008】
また、特許文献1に開示された画像表示装置によれば、表示面において赤外光を出射するための専用の開口部が設けられるため、表示面の表示領域において実質的に画像を表示する表示光を透過させるための開口領域が狭められてしまい、各画素に占める開口領域の割合である開口率の低下を招く問題点もある。加えて、赤外光を検出するためのセンサが画像表示の邪魔にならないように、センサが配置されたセンサ領域から出射される可視光を吸収する可視光カットフィルタを配置する必要も生じる。
【0009】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、指等の指示手段を正確に検知することによって、指等の指示手段を介して各種情報を正確に入力可能なタッチパネル機能を有する液晶装置、及びそのような液晶装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液晶装置は上記課題を解決するために、第1基板と、前記第1基板に対向するように配置された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板間に挟持された液晶層と、前記第2基板から見て前記液晶層に臨まない側に位置する表示面に照射された外光のうち前記表示面の表示領域に位置する指示手段によって遮られなかった外光に含まれる赤外光を検出する検出手段と、前記照射された外光の光強度が所定値より低い場合に、前記表示領域において前記指示手段を検知するための検知用赤外光を前記指示手段に向かって出射する出射手段とを備え、前記検出手段は、前記照射された外光の光強度が所定値より低い場合に、前記検知用赤外光のうち前記指示手段によって反射された反射赤外光を検出する。
【0011】
本発明に係る液晶装置によれば、第1基板は、例えば、TFT等の半導体素子を含む駆動回路が形成されたTFTアレイ基板であり、第2基板は、TFTアレイ基板等の第1基板に対向するように配置された対向基板である。液晶層は、第1基板及び第2基板間に挟持されている。液晶層は、当該液晶装置の動作時に、画像信号に応じてその配向状態が制御され、後述する出射手段から出射された光に含まれる可視光を変調する。変調光は、表示面上の表示領域に出射される。
【0012】
外光は、第2基板から見て液晶層に臨まない側に位置する表示面に照射される。より具体的には、例えば、表示面は、対向基板の両面のうち液晶層に臨まない側に位置する面である。また、偏光板等の光学系を構成する板状の光学部材が対向基板上に配置されている場合には、最も上層に配置された光学部材の表面が表示面になる。本発明に係る液晶装置によれば、その動作時に、当該液晶装置の外部である表示面の上側から表示面に外光が照射される。液晶装置の動作時において、指等の指示手段を表示面に接触、或いは近接させることによって当該液晶装置に各種情報を入力する場合、表示面の表示領域に位置する指示手段によって、表示面に照射される外光の一部が遮られる。より具体的には、表示面に画像を表示するために当該表示面から出射される光の光強度が外光の光強度より低い場合、表示面の表示領域のうち平面的に見て指示手段が重なる領域に指示手段の影が投影される。
【0013】
ここで、外光は、可視光だけでなく、赤外光も含んでいるため、表示面のうち平面的に見て指示手段が重なる領域では、外光に含まれる可視光だけでなく赤外光も指示手段によって遮られる。
【0014】
検出手段は、表示面に照射される外光のうち表示面の表示領域に位置する指示手段によって遮られなかった外光に含まれる赤外光を検出する。検出手段によって検出された赤外光によれば、表示面上の表示領域において、赤外光が検出された領域及び赤外光が検出されなかった領域が区別可能になり、指示手段の形状、及び表示面上における指示手段の位置を特定できる。より具体的には、表示面に投影された指示手段の影を特定することによって、当該影の位置、及び形状等に応じて表示面上における指示手段の位置、サイズ及び形状等を特定でき、液晶装置に各種情報を入力可能になる。
【0015】
また、外光の光強度が低くなっていくに伴い、外光に含まれる赤外光の光強度も通常低くなっていく。したがって、照射された外光の光強度が所定値より低い場合、外光に含まれる赤外光のうち指示手段に遮られることなく表示面に照射された赤外光と、指示手段の表面から表示面に照射された赤外光との夫々を区別することが困難になり、平面的に見た指示手段の位置、及びサイズ、並びに形状を検知することが困難になる。
【0016】
そこで、出射手段は、照射された外光の光強度が所定値より低い場合に、表示領域において、指示手段を検知するための検知用赤外光を前記指示手段に向かって出射する。このような検知用赤外光の光強度は、外光に含まれる赤外光の光強度より高く設定されている。検知用赤外光は、指等の指示手段の表面で反射され、当該反射された反射赤外光が検出手段によって検出される。このような反射赤外光の光強度は、外光に含まれる赤外光の光強度より高い。したがって、外光の光強度が所定値より低い場合に、反射赤外光が検出されることによって、表示面のうち平面的に見て指示手段が重なる領域と、指示手段が重ならない領域とが区別可能になり、指示手段の位置、サイズ、及び形状を検知可能になる。
【0017】
このように本発明に係る液晶装置によれば、外光の光強度が低下することによって、表示面上において指示手段が重なる領域と、重ならない領域とを区別できなくなる不感帯が生じることをなくすことができ、外光の光強度に左右されず、指示手段の位置等を正確に検知可能である。したがって、本発明に係る液晶装置によれば、指示手段を介して表示面から各種情報を当該液晶装置に正確に入力可能になる。
【0018】
加えて、本発明に係液晶装置によれば、外光の光強度が所定値より低くなった場合に、出射手段が検知用赤外光を出射する。したがって、液晶装置の動作時において、外光の光強度と無関係に常時液晶装置から指示手段に向かって検知用赤外光を出射する場合に比べて、検知用赤外光を出射する際に消費される消費電力を低減できる。
【0019】
本発明に係る液晶装置の一の態様では、前記所定値は、前記反射赤外光及びノイズを識別可能な前記検出手段の感度に基づいて規定されていてもよい。
【0020】
この態様によれば、例えば、半導体素子を含んで構成される検出手段の感度は、その設計、及び材料によって限界値が存在する。加えて、液晶装置の動作時には、当該液晶装置の外部から各種ノイズが検出手段に検出されてしまう。特に、外光の光強度が低くなるに伴い、検出手段が赤外光を検出する際の検出誤差の一因となるノイズの影響が相対的に大きくなり、指示手段を正確に検知することが困難になる。同様に、検知用赤外光の光強度が低い場合には、反射赤外光及びノイズを識別して指示手段を検知することが困難になる。そこで、この態様では、検知用赤外光を出射する基準となる所定値を、反射赤外光及びノイズを識別可能な検出手段の感度によって規定する。
【0021】
したがって、この態様では、検知用赤外光の光強度が一定の値に固定された場合に限定されず、検出手段の感度に応じて検知用赤外光及びノイズを識別できるように所定値を便宜設定可能である。
【0022】
本発明に係る液晶装置の他の態様では、前記照射された外光の光強度が所定値より低い場合に、前記検知用赤外光が前記出射手段から出射されるように前記出射手段を制御する制御手段とを備えていてもよい。
【0023】
この態様によれば、例えば、制御手段によって検知用赤外光の光強度、及び出射タイミングを選択することも可能である。このような制御手段は、第1基板或いは第2基板に形成されていてもよいし、液晶装置及び外部回路を相互に電気的に接続するFPC等の接続手段に搭載されていてもよい。
【0024】
本発明に係る液晶装置の他の態様では、前記出射手段は、前記表示領域に画像を表示するための表示用光を生成する表示用光源と、前記検知用赤外光を生成し、且つ前記検知用赤外光の光強度を変更可能な赤外光源と、前記表示用光及び前記検知用赤外光を前記表示領域に導く導光手段とを有していてもよい。
【0025】
この態様によれば、表示用光源は、画像を表示するために必要となる可視光を生成する。赤外光源は、例えば、検知用赤外光を生成可能なGaAs系化合物半導体からなる半導体発光素子を含んで構成されている。赤外光源は、制御手段の制御下で検知用赤外光の光強度を変更できる。尚、表示用光は、例えば、400乃至700nm程度の波長を有する可視光を含んでおり、検知用赤外光は、可視光より長波長域の赤外領域に含まれている。このような検知用赤外光としては、例えば、800乃至1000nmの波長を有しているほうが好ましい。
【0026】
導光手段は、表示用光源から出射された表示用光、及び赤外光源から出射された検知用赤外光の夫々を表示領域に導く。導光手段は、可視光を含む表示用光、及び検知用赤外光の夫々の透過率が相対的に高いアクリル樹脂等の透明材料を用いて構成されているほうが、高精度で指示手段を検知し、且つ高品位で画像を表示するためには好ましい。
【0027】
この態様では、前記表示用光及び前記検知用赤外光の夫々の光路に沿って前記液晶層の両側の夫々に配置され、且つ各々の光軸が互いに交差する第1偏光板及び第2偏光板とを備えていてもよい。
【0028】
この態様によれば、例えば、第1偏光板及び第2偏光板は、各々の光軸が直交するように、所謂クロスニコルとなるように配置されている。このような第1偏光板及び第2偏光板によれば、例えば、TN(Twisted Nematic)液晶からなる液晶層を用いて表示用光を変調し、ノーマリーホワイトモードによって画像を表示可能である。クロスニコル配置となるように相対的な位置が設定された第1偏光板及び第2偏光板は、赤外光の透過率が他の波長領域の光に比べて高いため、赤外光源で生成された検知用赤外光の損失を殆ど伴うことなく、効率良く、且つ高精度で指示手段を検知可能である。加えて、この態様によれば、検知用赤外光の光強度は、画像を表示するための表示用光の光強度とは独立に制御可能である。このような第1偏光板及び第2偏光板は、例えば、アクリル樹脂に染色系色素を添加した材料を用いて構成可能である。
【0029】
加えて、この態様によれば、画像を表示するための表示用光は、第1偏光板及び第2偏光板間に介在する液晶層によって変調されるため、検知用赤外光を表示面から出射することなく、単に画像を表示するだけの液晶装置の設計を大きく変更することなく、当該液晶装置のタッチパネル機能の高めることが可能である。
【0030】
本発明に係る液晶装置の他の態様では、前記検出手段は、前記第1基板上において前記表示領域を構成する複数の画素部の開口領域を互いに隔てる非開口領域に形成された複数の赤外光センサを有しており、前記検知用赤外光は、前記表示用光と共に前記開口領域から出射されてもよい。
【0031】
この態様によれば、「開口領域」とは、第1基板上に設けられた画素部のうち実質的に画像表示に寄与する光が透過する領域をいい、「非開口領域」とは、第1基板上において開口領域を互いに隔て、且つ画像表示に寄与する光が遮られる領域をいう。また、画素部が互いに異なる色光を出射する複数のサブ画素部を含んで構成されている場合には、画像を表示する光が実質的に透過されず、且つ複数のサブ画素部の夫々の開口領域を互いに隔てる領域も非開口領域の範疇に含まれる。
【0032】
非開口領域に形成された赤外光センサによれば、開口領域を透過する光が遮られることがない。加えて、検知用赤外光を出射するための専用の領域を表示領域内に設けなくてもよいため、開口領域が狭められることなく、高品位の画像表示が可能である。
【0033】
この態様では、前記第1基板上において、前記非開口領域の縁の少なくとも一部を規定し、前記指示手段によって遮られなかった外光に含まれる赤外光、及び前記反射赤外光を透過すると共に、前記指示手段によって遮られなかった外光に含まれる可視光を遮光する第1遮光膜とを備えていてもよい。
【0034】
この態様によれば、非開口領域に形成された画素スイッチング用TFT等の半導体素子に可視光が照射されることを低減でき、光リーク電流の発生を抑制できる。加えて、第1遮光膜によれば、指示手段によって反射された反射赤外光、及び外光に含まれる赤外光を透過させることから、画像を表示するための表示性能を低下させることなく、赤外光を用いた指示手段の検知が可能になる。
【0035】
第1遮光膜は、例えば、開口領域の縁の少なくとも一部を規定する、所謂ブラックマトリクスとして赤外光センサに重なるように形成されている。このようなブラックマトリクスは、可視光を遮光し、且つ赤外光及び反射赤外光を透過可能なように、例えば、赤外光を透過するアクリル樹脂に、可視光を吸収する染料及び顔料等の材料を混ぜ込むことによって形成されている。
【0036】
本発明に係る液晶装置の他の態様では、前記第1基板上において、前記赤外光センサに重なるように前記非開口領域に形成されており、前記赤外光センサに向かって前記表示面から入射する可視光を吸収する吸収手段とを備えていてもよい。
【0037】
この態様によれば、表示領域において赤外光センサから出射される可視光が吸収手段によって吸収される。したがって、表示すべき画像中に赤外光センサから出射された可視光が含まれることなく、赤外光センサを設けることによって画像の表示性能は低下しない。加えて、吸収手段によれば、赤外光センサに可視光が照射されることを低減できるため、可視光の照射に起因して生じる赤外光センサの誤動作も防止できる。
【0038】
この態様では、前記画素部は、前記表示用光のうち互いに異なる複数の色光の夫々を透過可能な複数種のカラーフィルタの夫々を有する複数のサブ画素部を有しており、前記吸収手段は、前記第1基板上において、前記複数種のカラーフィルタの少なくとも2種のカラーフィルタの夫々と同種の材料で構成された少なくとも2つの膜部が相互に積層された積層体であってもよい。
【0039】
この態様によれば、画素部は、例えば、表示用光を変調した後、赤色、緑色、及び青色の夫々の色光を透過可能な赤色用カラーフィルタ、緑色用カラーフィルタ及び青色用カラーフィルタ等の複数種のカラーフィルタの夫々を介して各々のサブ画素部に対応した色光を出射する。このようなカラーフィルタは、液晶層から見て第2基板側に配置されている。
【0040】
吸収手段は、第1基板上において、前記複数種のカラーフィルタの少なくとも2種のカラーフィルタの夫々と同種の材料で構成された少なくとも2つの膜部が相互に積層された積層体である。したがって、カラーフィルタを形成する工程と共通の工程によって少なくとも2つの膜部を形成することが可能であり、カラーフィルタを形成する工程と別の工程によって膜部を形成する場合に比べて、簡便な工程で膜部を形成可能である。このような少なくとも2つの膜部は、例えば、赤色用カラーフィルタ及び緑色用カラーフィルタの夫々を構成する材料と同種の材料で構成された膜部である。このような2つの膜部を互いに積層してなる吸収手段によれば、可視光を遮光しつつ、赤外光を透過させることが可能である。
【0041】
本発明に係る液晶装置の他の態様では、前記第1基板上において前記赤外光センサの下層側に形成されており、前記赤外光センサに前記表示用光及び前記検知用赤外光が照射されないように前記前記表示用光及び前記検知用赤外光を遮光する第2遮光膜とを備えていてもよい。
【0042】
この態様によれば、表示用光及び検知用赤外光を遮光できるため、これら光が照射されることに起因して生じる赤外光センサの誤動作を低減できる。
【0043】
尚、第2遮光膜は、第1基板上に形成された他の素子の一部、或いは配線を構成する導電膜等の遮光性を有する膜と同層に共通の工程を用いて形成可能である。
【0044】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の液晶装置を具備してなる。
【0045】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る液晶装置を具備してなるので、タッチパネル機能を有し、且つ高品位の表示が可能な、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末などの各種電子機器を実現できる。また、本発明に係る電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することが可能である。
【0046】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る液晶装置及び電子機器の各実施形態を説明する。
【0048】
<1:液晶装置>
<1−1:液晶装置の全体構成>
先ず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る液晶装置1の全体構成を説明する。図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置1の平面図であり、図2は、図1のII−II´断面図である。本実施形態に係る液晶装置1は、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式で駆動される。
【0049】
図1及び図2において、液晶装置1では、本発明の「第1基板」の一例であるTFTアレイ基板10と、本発明の「第2基板」の一例である対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素部が設けられる表示領域たる画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0050】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0051】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。尚、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域が存在する。言い換えれば、本実施形態においては特に、TFTアレイ基板10の中心から見て、この額縁遮光膜53より以遠が周辺領域として規定されている。
【0052】
液晶装置1は、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、及びセンサ用走査回路204を備えている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域において、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺の一方に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。センサ用走査回路204は、画像表示領域10aを介して走査線駆動回路104に向かい合うように設けられている。走査線駆動回路104及びセンサ用走査回路204は、額縁遮光膜53に覆われるように形成された複数の配線105によって相互に電気的に接続されている。
【0053】
TFTアレイ基板10上の周辺領域には、後述する赤外光センサ、及び赤外光センサを駆動すると共に、当該赤外光センサから出力される信号を処理する回路部を含むセンサ制御回路部201が形成されている。外部回路接続端子102は、外部回路及び液晶装置1を電気的に接続する接続手段の一例であるフレキシブル(FPC)基板200に設けられた接続端子に接続されている。液晶装置1が有するバックライトは、FPC200に搭載されたIC回路等から構成されるバックライト制御回路202によって制御される。
【0054】
尚、センサ制御回路部201及びバックライト制御回路202の夫々は、液晶装置1に内蔵されていてもよいし、液晶装置1の外部に形成されていてもよい。また、センサ制御回路201に電気的に接続されたモジュールコントローラ、当該モジュールコントローラの制御下で走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101の夫々の駆動を制御すると共に、バックライト制御回路202に各種制御信号を供給する表示信号制御回路が、TFTアレイ基板10、FPC200、或いは液晶装置1の外部に設けられている。
【0055】
対向基板20の4つのコーナー部には、TFTアレイ基板10及び対向基板20間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0056】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0057】
液晶装置1は、第1偏光板301、第2偏光板302、及び本発明の「出射手段」の一例であるバックライト206を備えている。第1偏光板301は、TFTアレイ基板10の図中下側においてバックライト206及びTFTアレイ基板10間に配置されている。第2偏光板302は、対向基板20上に配置されている。液晶装置1は、その動作時に、第2偏光板302の両面のうち対向基板20に臨まない側に位置する表示面302sに画像を表示する。
【0058】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の回路部に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
【0059】
<1−2:液晶装置の回路構成>
次に、図3を参照しながら、液晶装置1の回路構成を説明する。図3は、液晶装置1の主要な回路構成を示したブロック図である。
【0060】
図3において、液晶装置1は、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、表示信号制御回路218、モジュールコントローラ217、センサ用走査回路204、受光信号処理回路215、位置検出・光強度検出回路216、表示部110、本発明の「制御手段」の一例であるバックライト制御回路202を構成する可視光制御回路202a及び赤外光制御回路202bを備えている。
【0061】
表示部110は、後述するようにマトリクス状に配列された複数の画素部から構成されている。データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、モジュールコントローラ217及び表示信号制御回路218の制御下で走査信号、及び画像信号を所定のタイミングで表示部110に供給し、各画素部を駆動する。
【0062】
センサ用走査回路部204は、受光信号処理回路部215及び位置検出・光検出回路部216と共にセンサ制御回路部201を構成する。センサ制御回路部201は、後述する赤外光センサ212と共に、本発明の「検出手段」の一例を構成している。センサ用走査回路部204は、液晶装置1の動作時に、後述する赤外光センサを動作させるための信号を各赤外光センサに供給する。受光信号処理回路部215は、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに設けられた赤外光センサによって検出された受光信号を処理する。位置検出・光強度検出回路部216は、受光信号処理回路215が供給された処理済信号を演算することによって、表示面302sを指示する指等の指示手段の位置、形状及びサイズを特定する。
【0063】
可視光源制御回路部202aは、バックライト206が有する可視光源から出射される可視光の光強度を制御する。赤外光制御回路部202bは、バックライト206が有する赤外光源から出射される赤外光の光強度を制御する。赤外光制御回路202bは、表示面302sに照射される外光に含まれる赤外光の光強度に応じて、指示手段を検知可能なように赤外光源から出射される検知用赤外光の光強度、及び出射タイミングを選択することが可能である。
【0064】
<1−3:指示手段の検知方法>
次に、図4乃至図9を参照しながら、液晶装置1によって実行可能な指示手段の検知方法の概要を説明しつつ、受光信号処理回路部215及び位置検出・光強度検出回路部216の機能を詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る液晶装置によって実行可能な検知方法の主要な手順を示したフローチャートである。図5は、外光に含まれる赤外光の光路を図式的に示した概念図である。図6は、外光に含まれる赤外光を検出することによって取得された画像の概念図の一例である。図7は、バックライトから出射された検知用赤外光の光路を図式的に示した概念図である。図8は、検知用赤外光を検出することによって取得された画像の概念図の一例である。図9は、外光に含まれる赤外光の光強度と、赤外光センサの感度との関係を示したグラフの概念図である。尚、本実施形態に係る検知方法によれば、液晶装置1は、表示面302sを指示する指等の指示手段の位置、サイズ及び形状等の各種情報を取得可能になる。液晶装置1は、本実施形態に係る検知方法を実行することによって指示手段を介した各種情報の入力が可能になるように構成されている。
【0065】
図4及び図5に示すように、赤外光センサ150は、表示面302sに照射される外光に含まれる赤外光IR0のうち指示手段Fによって遮られなかった赤外光IR0を検出する(ステップS10)。次に、受光信号処理回路部215は、赤外線センサ150によって検出された赤外光IR0に対応した受光信号を処理する。処理された受光信号は、位置検出・光強度検出回路部216に転送される。位置検出・光強度検出回路部216は、赤外光IR0の光強度が所定値より低いか否かを判定する(ステップS20)。赤外光IR0の光強度が所定値以上である場合には、画像表示領域10aのうち赤外光IR0を検出しなかった赤外光センサ150が配置されている領域に指示手段が重なるように位置していることが検知される(ステップS30)。
【0066】
より具体的には、図6に示すように、赤外光IR0を検出することによって取得された画像G1のうち指等の指示手段Fの影の部分である領域部分Fbは、表示面302sに赤外光IR0が照射された領域部分Wに比べて赤外光の光強度が低い部分、言い換えれば、赤外光について暗い領域部分となる。位置検出・光強度検出回路部216は、領域部分Fbを特定することによって、指示手段Fの画像表示領域10aにおける位置、形状、及びサイズを特定する。位置等が特定された指示手段Fによって液晶装置1に対して各種情報の入力が可能になる。
【0067】
次に、図4及び図7に示すように、ステップS20において、外光の含まれる赤外光の光強度が所定値より低いと判定された場合には、バックライト制御回路202の制御下でバックライト206から検知用赤外光IR1が表示面302sに向かって出射される(ステップS40)。検知用赤外光IR2は、赤外光センサ150の感度に応じて反射赤外光IR2及びノイズを識別できるように便宜変更可能である。
【0068】
次に、赤外光センサ150は、指示手段Fによって検知用赤外光IR1が反射されることによって生じた反射赤外光IR2、及び外光に含まれる赤外光を検出する(ステップS50)。
【0069】
次に、赤外線センサ150によって検出された反射赤外光IR2及び外光に含まれる赤外光の夫々に対応した受光信号は、受光信号処理回路部215によって処理され、当該処理された受光信号は、位置検出・光強度検出回路部216に転送される。位置検出・光強度検出回路部216は、画像表示領域10aのうち反射赤外光IR2を検出した赤外光センサ150が配置されている領域に指示手段Fが重なっていることを検知する。(ステップS60)。
【0070】
より具体的には、図8に示すように、反射赤外光IR2を検出することによって取得された画像G2のうち指等の指示手段Fを示す領域部分Fwは、外光に含まれる赤外光が表示面302sに照射された画像部分である領域部分Bに比べて赤外光の光強度が高い部分、言い換えれば、赤外光について明るい領域部分となる。位置検出・光強度検出回路部216は、領域部分Fwを特定することによって、指示手段Fの画像表示領域10aにおける位置、形状、及びサイズを特定する。位置等が特定された指示手段Fによって液晶装置1に対して各種情報の入力が可能になる。
【0071】
再び、図4において、液晶装置1は、指示手段の検知処理が終了した否かが判定される(ステップS70)。指示手段の検知処理が終了していない場合には、再度ステップS10に戻り、外光に含まれる赤外光の光強度が所定値より低いか否かに応じて互いに異なる手順で指示手段Fが検知される。
【0072】
ここで、図9を参照しながら、検知用赤外光IR1を出射するか否かの基準となる所定値について説明する。
【0073】
図9において、ノイズと識別して赤外光を検出できる赤外光センサ150の検出感度は、外光に含まれる赤外光の光強度が低下していくにしたがって低下する。図9においては、外光に含まれる赤外光の光強度に対する赤外光センサ150の感度の変化を感度特性線で示している。
【0074】
ここで、指示手段Fを検知するためには、赤外光センサ150は、外光に含まれる赤外光IR0と、指示手段Fによって反射された反射赤外光IR2とを、ノイズと識別して検出できなければならない。赤外光センサ150が、例えば、フォトダイオード等の半導体素子を含んで構成されている場合、赤外光センサ150の感度について、その設計、及び材料によって限界値が存在する。加えて、液晶装置1の動作時には、液晶装置1の外部から各種ノイズが赤外光センサ150に検出されてしまう。特に、外光の光強度が低くなるに伴い、赤外光センサ150が赤外光IR0を検出する際の検出誤差の一因となるノイズの影響が相対的に大きくなり、指示手段Fを正確に検知することが困難になる。
【0075】
より具体的には、外光に含まれる赤外光IR0のうち指示手段Fに遮られることなく表示面302sに照射された赤外光IR0と、指示手段Fの表面から表示面302sに照射された赤外光との夫々を区別することが困難になり、平面的に見た指示手段Fの位置、及びサイズ、並びに形状を検知することが困難になる。
【0076】
そこで、液晶装置1によって実行可能な指示手段の検知方法によれば、検知用赤外光IR1を表示面302sに向かって出射するか否かを判定する基準となる所定値をノイズレベルNに設定している。したがって、ノイズレベルNに対応する赤外光の光強度Aより外光に含まれる赤外光の光強度が低い場合には、液晶装置1は外光に含まれる赤外光IR0を検出することによって指示手段Fを検知するのではなく、バックライト206から出射された検知用赤外光IR1が指示手段Fの表面によって反射された反射赤外光IR2を検出することによって指示手段Fを検知する。
【0077】
尚、検知用赤外光IR1の光強度が低い場合には、反射赤外光IR2及びノイズを識別して指示手段Fを検知することが困難になる。したがって、赤外光源制御回路202bは、赤外光センサ150が反射赤外光IR2及びノイズを識別できるように、バックライト206を制御する。即ち、赤外光制御回路292bは、ノイズレベルNに対応した赤外光の光強度Aより高い光強度を有する検知用赤外光IR1がバックライト206から出射されるようにバックライト206を制御する。
【0078】
このように、液晶装置1によれば、外光に含まれる赤外光IR0の光強度が光強度Aより低い場合に、反射赤外光IR2が検出されることによって、表示面302sのうち平面的に見て指示手段Fが重なる領域と、指示手段Fが重ならない領域とが区別可能になり、指示手段Fの位置、サイズ、及び形状を検知可能になる。
【0079】
したがって、液晶装置1によれば、外光の光強度が低下することによって、表示面302s上において指示手段Fが重なる領域と、重ならない領域とを区別できなくなる不感帯が生じることをなくすことができ、外光の光強度に左右されず、指示手段Fの位置等を正確に検知可能である。液晶装置1よれば、指示手段Fの位置等の各種情報を正確に検知可能であるため、指示手段Fを介して表示面302sから各種情報を液晶装置1に正確に入力可能になる。
【0080】
加えて、液晶装置1によれば、外光に含まれる赤外光の光強度が光強度A以上である場合に、外光に含まれる赤外光を検出し、外光に含まれる赤外光の光強度が光強度Aより低い場合に、検知用赤外光IR1が指示手段Fによって反射された反射赤外光IR2を検出する。したがって、液晶装置1の動作時において、外光の光強度と無関係に常時液晶装置1から指示手段Fに向かって検知用赤外光Fを出射する場合に比べて、検知用赤外光IR1を出射する際に消費される消費電力を低減できる。
【0081】
<1−4:画素部の構成>
次に、図10乃至図17を参照しながら、液晶装置1の画素部の構成を詳細に説明する。図10は、液晶装置1の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図11は、画素部の図式的平面図である。図12は、図11のXII−XII´断面図である。図13は、図11のXIII−XIII´断面図である。図14は、図13に示した断面を詳細に示した断面図である。尚、図10では、TFTアレイ基板10上にマトリクス状に配置された複数の画素部のうち実質的に画像の表示に実質的に寄与する部分の回路構成を示している。また、図12乃至図15では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0082】
図10を参照しながら、画素部の回路構成を説明する。図10において、液晶装置1の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素部72の夫々は、赤色を表示するサブ画素部72R、緑色を表示するサブ画素部72G、及び青色を表示するサブ画素部72Bを含んで構成されている。したがって、液晶装置1は、カラー画像を表示可能な表示装置である。サブ画素部72R、72G及び72Bの夫々は、画素電極9a、TFT30、及び液晶素子50aを備えている。TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、液晶装置1の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0083】
TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、液晶装置1は、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
【0084】
液晶層50に含まれる液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各サブ画素部の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各サブ画素部の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置1からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。蓄積容量70は、画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶素子50aと並列に付加されている。容量電極線300は、蓄積容量70が有する一対の電極のうち固定電位側の電極である。
【0085】
次に、図11乃至図15を参照して、画素部を構成するサブ画素部72R、72G及び72Bの具体的な構成を説明する。
【0086】
図11において、画素部72は、X方向に沿って配列された3つのサブ画素部72R、72G及び72B、並びに、センサ部84を有している。
【0087】
サブ画素部72R、72G及び72Bサブ画素部の夫々は、開口部73R、73G及び73Bの夫々を有している。液晶装置1の動作時において、開口部73R、73G及び73Bの夫々から赤色光、緑色光、及び青色光の夫々が出射されることによって液晶装置1によるカラー画像の表示が可能になる。加えて、サブ画素部72R、72G及び72Bの夫々は、各サブ画素部をスイッチングするTFT30を有している。
【0088】
センサ部84は、開口部83及びTFT回路部80を有している。センサ部84は、表示面302sを指示する指示手段Fを検知する際に、外光に含まれる赤外光、又は、指示手段Fによって反射された反射赤外光IR2を開口部83を介して受光する。TFT回路部80は、センサ部84が有する赤外光センサ等の受光素子を駆動する。
【0089】
図12乃至図14において、液晶装置1は、第1遮光膜153、本発明の「吸収手段」の一例である可視光カットフィルタ155、バックライト206、第1偏光板301及び第2偏光板302、第2遮光膜11、並びに、3種類のカラーフィルタ154R、154G及び154Bを備えている。
【0090】
バックライト206は、本発明の「導光手段」の一例である導光板206a、表示用光源206b、及び赤外光源206cを備えて構成されており、図中TFTアレイ基板10の下側に配置されている。
【0091】
表示用光源206bは、画像表示領域10aに画像を表示するための表示用光L1を生成する。表示用光L1は、可視光であり、各サブ画素部の駆動に応じて液晶層50によって変調される。
【0092】
赤外光源206cは、赤外光制御回路部202bの制御下において、検知用赤外光IR1を生成する。赤外光源206cは、赤外光制御回路部202bの制御下で検知用赤外光IR1の光強度を変更可能に構成されている。赤外光源206cは、例えば、光強度のピークが860nmである赤外光を生成可能なGaAs系化合物半導体からなる半導体発光素子を含んで構成されている。したがって、赤外光源206cは、反射赤外光IR2をノイズと識別可能なように、光強度Aより高い光強度の検知用赤外光IR1を出射できる。
【0093】
表示用光L1と共に画像表示領10aに出射される検知用赤外光IR1は、人の視覚によって検知されないため、画像表示に影響を与えることない。加えて、赤外光制御回路202bは、画像を表示するための表示用光L1の光強度とは独立に検知用赤外光IR1の光強度を制御可能であるため、指示手段Fを正確に検知するために光強度Aより高い光強度を有する検知用赤外光IR1を画像表示領域10aに出射しても、画像表示に影響を与えることなく、液晶装置1の表示性能を低下させることがない。
【0094】
導光板206aは、例えば、表示用光L1及び赤外光IR1を透過可能なアクリル樹脂で構成されており、表示用光L1及び検知用赤外光IR1を画像表示領域10aに導く。したがって、導光板206aによれば、画像表示領域10aに表示用光L1及び検知用赤外光IR1の両方を導くことができる。液晶装置1は、指示手段Fを検知するために、表示用光L1及び検知用赤外光IR1のうち検知用赤外光IR1を利用し、画像表示に表示用光L1を利用する。
【0095】
第1偏光板301及び第2偏光板302の夫々は、互いに同様の構造を有している。より具体的には、第1偏光板301及び第2偏光板302の夫々は、延伸されたPVA(ポリビニルアルコール)膜をTAC(トリアセチルセルロース)で構成された保護フィルムによって挟み込んで構成されている。第1偏光板301及び第2偏光板302は、各々の光軸が互いに直交するようにクロスニコル配置されている。
【0096】
したがって、第1偏光板301及び第2偏光板302によれば、例えば、TN(Twisted Nematic)液晶からなる液晶層50を用いて表示用光L1を変調し、ノーマリーホワイトモードによって画像を表示可能である。このような第1偏光板301及び第2偏光板302は、ヨウ素系或いは有機系の染料を含んで構成されており、赤外光を透過する。より具体的には、第1偏光板301及び第2偏光板302の夫々における赤外光の透過率は、他の波長領域の光に比べて高い。したがって、液晶装置1は、検知用赤外光IR1の損失を殆ど伴うことなく、効率良く、且つ高精度で指示手段Fに検知用赤外光IR1を照射可能である。
【0097】
ここで、図16を参照しながら、第1偏光板301のみ(即ち、単板)について光の透過率を測定した透過率の波長依存性と、クロスニコル配置された第1偏光板301及び第2偏光板302を透過する光の透過率を測定した透過率の波長依存性とを比較する。
【0098】
図16に示すように、単板の場合、1mm乃至700nmの波長帯域に含まれる赤外光の殆どを透過する反面、可視光のうち約700nm以下の波長帯域に含まれる可視光成分が透過する。一方、第1偏光板301及び第2偏光板302が相互にクロスニコル配置されている場合、約700nm以下の可視光成分は殆ど透過させることなく、赤外光の殆どを透過させる。したがって、液晶装置1によれば、バックライト206から出射された検知用赤外光IR1を用いた指示手段Fの検知が可能になる反面、画像を表示するための表示用光L1が画像表示領域10aに出射されなくなり、画像の表示ができなくなるようにも思われる。
【0099】
しかしながら、液晶装置1の動作時には、表示用光L1は、液晶層50によって変調されるため、変調された表示用光L1は、相互にクロスニコル配置された第1偏光板301及び第2偏光板302を透過できる。したがって、液晶装置1によれば、相互にクロスニコル配置された一対の偏光板を含み、且つ単に画像を表示するだけの液晶装置の設計を大きく変更することなく、検知用赤外光IR1を用いた指示手段Fの検知が可能になる。
【0100】
図12乃至図14において、サブ画素部73Rは、表示用光L1が液晶層50によって変調された変調光のうち赤色光を透過可能なカラーフィルタ154Rを介して赤色光を表示する。サブ画素部73G及び73Bの夫々は、サブ画素部73Rと同様に、カラーフィルタ154G及び154Bの夫々を介して緑色光及び青色光の夫々を表示する。
【0101】
赤外光センサ150は、平面的に見て開口部83に臨むようにTFTアレイ基板10上に形成されている。赤外光センサ150は、既に述べたように、センサ制御回路部201と共に、本発明の「検出手段」の一例を構成しており、TFTアレイ基板10上に形成された絶縁膜41上に形成され、絶縁膜42に覆われている。
【0102】
赤外光センサ150は、例えば、TFT回路部80が有するTFT等の半導体素子を形成する工程と共通の工程によって形成されており、結晶性シリコン、或いはGaAs等の半導体を用いたPINダイオード、又はPbSを用いた光電動素子等の受光素子である。赤外光センサ150は、表示面302sを介して開口部83に入射する反射赤外光IR2、或いは外光に含まれる赤外光IR0を検出する。
【0103】
外光に含まれる赤外光IR0の光強度が光強度Aより低い場合に画像表示領域10aに出射される検知用赤外光IR1は、開口部73R、73G及び73Bの夫々を介して表示面302sから外部に液晶装置1の外部に出射される。したがって、液晶装置1によれば、各サブ画素部の開口部73R、73G及び73Bの夫々から出射される表示用光L1R、L1G及びL1Bと共に、検知用赤外光IR1を画像表示領域10a全体に出射できるため、検知用赤外光IR1を出射するためだけの専用の開口部を画像表示領域10a内に設けなくてもよい。したがって、実質的に画像表示に寄与する開口領域が狭められることなく、高品位の画像表示が可能である。尚、表示用光L1R、L1G及びL1Gの夫々は、変調された表示用光L1のうちカラーフィルタ154R、154G及び154Bの夫々によって選択的に透過された赤色光、緑色光及び青色光の夫々である。
【0104】
図13及び図14に示すように、第1遮光膜153は、開口領域の縁の少なくとも一部を規定する、所謂ブラックマトリクスであり、可視光を遮光し、且つ赤外光を透過可能なように、例えば、赤外光を透過するアクリル樹脂に、可視光を吸収する染料及び顔料等の材料を混ぜ込むことによって形成されている。第1遮光膜153は、TFTアレイ基板10上において、指示手段Fによって遮られなかった外光に含まれる赤外光IR0、及び反射赤外光IR2を透過する共に、指示手段Fによって遮られなかった外光に含まれる可視光L2を遮光する。
【0105】
したがって、第1遮光膜153によれば、非開口領域に形成された画素スイッチング用TFT30等の半導体素子、及びTFT回路部80に表示面302s側から可視光L2が照射されることを低減でき、TFT30及びTFT回路部80に含まれる半導体素子に発生する光リーク電流を低減できる。加えて、第1遮光膜153によれば、指示手段Fによって反射された反射赤外光IR2、及び外光に含まれる赤外光を透過させるため、画像を表示するための表示性能を低下させることなく、指示手段Fの検知性能をより高めることができる。
【0106】
図11乃至図14に示すように、赤外光センサ150は、TFTアレイ基板10上において、画素部72の開口領域を互いに隔てる非開口領域に形成されている。加えて、液晶装置1では、開口部73R、73G及び73Bから表示用光L1R、L1G及びL1Bの夫々と共に検知用赤外光IR1が出射される。したがって、液晶装置1によれば、別途検知用赤外光IR1を出射するためのスペースをTFTアレイ基板10上に形成しなくてもよいため、その分画素部の開口領域を拡げることも可能であり、画素部における開口率を高めることができる。
【0107】
図11乃至図14に示すように、液晶装置1は、カラーフィルタ154R、154G及び154Bを備えている。カラーフィルタ154R、154G及び154Bは、各サブ画素部72R、72G及び72Bの夫々の開口部73R、73G及び73Bに臨むように液晶層50から見て対向基板20側に形成されている。カラーフィルタ154R、154G及び154Bは、変調された表示用光L1のうち表示用光L1R、L1G及びL1Bの夫々を透過する。このようなカットフィルタ154R、154G及び154Bの夫々は、例えば、アントラキノン系顔料、臭素化銅フタロシアニン系顔料及び銅フタロシアニン系顔料の夫々からなる顔料を含んで構成されている。
【0108】
ここで、図17を参照しながら、カットフィルタ154R、154G及び154Bの夫々について光の透過率の波長特性を説明する。
【0109】
図17に示すように、カットフィルタ154R、154G及び154Bの夫々は、可視光のうち赤色光(波長610乃至750nm)、緑色光(波長500乃至560nm)、青色光(波長435乃至480nm)の夫々の光を選択的に透過させる。
【0110】
再び、図12乃至図14において、液晶装置1は、本発明の「吸収手段」の一例である可視光カットフィルタ155を備えている。可視光カットフィルタ155は、カラーフィルタ154R、154G及び154Bと同様に液晶層50から見て対向基板20側に形成され、且つ平面的に見て非開口領域において赤外光センサ150に重なるように形成されている。
【0111】
可視光カットフィルタ155は、カラーフィルタ154R、154G及び154Bの少なくとも2種類のカラーフィルタの夫々と同種の材料で構成された少なくとも2つの膜部155R及び155Bから構成されている。より具体的には、膜部155R及び155Gの夫々は、カットフィルタ154R及び154Gの夫々と同種の材料を用いて構成されている。
【0112】
可視光カットフィルタ155は、赤外光センサ150側から表示面302sに向かって出射される可視光を吸収する。したがって、画像表示領域10aに表示すべき画像中に赤外光センサ150側から出射された可視光が含まれることなく、赤外光センサ150を設けることによって画像の表示性能は低下しない。より具体的には、例えば、表示面302sを見た場合に、非開口領域に形成された赤外光センサ150が視認されることを低減でき、画像のコントラストが低下することが抑制される。
【0113】
加えて、可視光カットフィルタ155は、赤外光センサ150から見て表示面302s側から表示面302sに入射する可視光L2を吸収する。したがって、赤外光センサ150に可視光L2が照射されることを低減でき、可視光L2の照射に起因して生じる赤外光センサ150の誤動作も防止できる。
【0114】
可視光カットフィルタ155は、膜部155R及び155Gが相互に積層された積層体である。膜部155R及び155Gは、カラーフィルタ154R及び154Gの夫々を形成する工程と共通の工程によって形成されている。したがって、対向基板20にカラーフィルタ154R及び154Gの夫々を形成する工程と別の工程によって膜部155R及び155Gを形成する場合に比べて、簡便な工程で膜部155R及び155Gを形成可能である。
【0115】
尚、赤外光は、可視光カットフィルタ155を透過することが可能である。したがって、可視光カットフィルタ155は、可視光を吸収しつつ、外光に含まれる赤外光及び反射赤外光IR2を透過させることができる。したがって、非開口領域に照射される赤外光が赤外光センサ150に到達し、指示手段Fの検知が可能になる。
【0116】
液晶装置1は、TFTアレイ基板10上において赤外光センサ150の下層側に形成された第2遮光膜11を備えている。
【0117】
第2遮光膜11は、金属膜等の遮光性を有する材料から構成されており、バックライト206から出射された可視光L1及び検知用赤外光IR1が赤外光センサ150に照射されないように、これら光を遮光する。したがって、第2遮光膜150によれば、表示用光L1及び検知用赤外光IR1が照射されることに起因して生じる赤外光センサ150の誤動作を低減できる。このような第2遮光膜11は、TFTアレイ基板10上に形成された他の素子の一部、或いは配線を構成する導電膜等の遮光性を有する膜と同層に共通の工程を用いて形成可能である。
【0118】
加えて、第2遮光膜11は、TFT回路部80及び画素スイッチング用TFT30に重なるようにTFTアレイ基板10上に延びている。したがって、第2遮光膜11によれば、画素スイッチング用TFT30、及びTFT回路部80を遮光することもでき、TFT30及びTTF回路部80の誤動作を低減することも可能である。
【0119】
次に、図15を参照しながら、センサ部84の詳細な構成を説明する。
【0120】
図15において、TFT回路部80は、赤外光センサ150を駆動するTFT89を有している、TFT89は、半導体層1aは、コンタクトホール181及び182、ソース電極91、ドレイン電極92、並びにゲート電極3a1を有している。
【0121】
半導体層1aは、例えば低温ポリシリコン層であり、ゲート電極3a1に重なるチャネル領域1a´、ソース領域1b´、及びドレイン領域1c´を含んでいる。チャネル領域1a´には、TFT89の動作時に、走査線3aに電気的に接続されたゲート電極3a1からの電界によりチャネルが形成される。絶縁膜42の一部を構成する絶縁膜42aのうちゲート電極3a1及び半導体層1a間に延びる部分は、TFT89のゲート絶縁膜を構成している。ソース領域1b´及びドレイン領域1c´の夫々は、チャネル領域1a´の両側の夫々にミラー対称に形成されている。
【0122】
ゲート電極3a1は、ポリシリコン膜等の導電膜や、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pd、Al等の金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等によって形成されており、ソース領域1b´及びドレイン領域1c´に重ならないように絶縁膜42aを介してチャネル領域1a´上に設けられている。
【0123】
尚、TFT89は、ソース領域1b´及びドレイン領域1c´の夫々に低濃度ソース領域及び低濃度ドレイン領域の夫々が形成されたLDD(Lightly Doped Drain)構造を有していてもよい。
【0124】
コンタクトホール181及び182の夫々は、絶縁膜42を構成する絶縁膜42a、及び42bを半導体層1aまで貫通するように形成されており、ソース領域1b´及びドレイン領域1c´の夫々に電気的に接続されている。ソース電極91及びドレイン電極92の夫々は、絶縁膜42b上に形成され、且つコンタクトホール181及び182の夫々に電気的に接続されている。ソース電極91及びドレイン電極92の夫々は、絶縁膜42cに覆われており、不図示の配線層を介して赤外光センサ150及び他の配線に電気的に接続されている。
【0125】
赤外光センサ150は、半導体層150a、コンタクトホール183及び184、ソース電極93、及びドレイン電極94を有している。半導体層150aは、絶縁膜41上に形成されたN型半導体層150b´及びP型半導体層150c´、これら半導体層間に形成され、且つこれら半導体層より相対的に電気抵抗が大きい中間層150a´を有している。コンタクトホール183及び184は、絶縁膜42a、42bを半導体層150aまで貫通するように形成されており、N型半導体層150b´及びP型半導体層150c´の夫々に電気的に接続されている。ソース電極93及びドレイン電極94の夫々は、絶縁膜42b上に形成されており、コンタクトホール183及び184の夫々に電気的に接続されている。
【0126】
外光に含まれる赤外光及び反射赤外光IR2が半導体層150aに照射された際には、照射された赤外光の光強度に応じて赤外光センサ150に電流が流れる。図3に示した受光信号処理回路部215によって処理される受光信号は、赤外光センサ150に流れる電流に対応した信号である。赤外光センサ150に流れる電流に対応した受光信号を受光信号処理回路部215、および位置検出・光強度検出回路部216によって順次処理することによって、表示面302sを指示する指示手段の位置等が特定でき、指示手段を介して液晶装置1に対する各種情報を入力が可能になる。
【0127】
以上説明したように、液晶装置1によれば、指等の指示手段を検知できなくなる不感帯を生じさせることなく、タッチパネル機能を有する液晶装置1に対して指示手段を介した各種情報の正確な入力が可能になる。加えて、液晶装置1によれば、TFTアレイ基板10上の開口領域から表示用光と共に検知用赤外光を出射できるため、各画素部における開口率を高めることができ、タッチパネル機能を設けつつ高品位の画像表示が可能になる。また、液晶装置1によれば、タッチパネル機能を有しない液晶装置の設計を大きく変更することなく、且つ可視光カットフィルタをカラーフィルタと共通の工程で形成できるため、低廉なコストで高品位な画像表示、及び正確なタッチパネル機能を有する液晶装置を提供できる。
【0128】
(変形例1)
次に、図18を参照しながら、液晶装置1の変形例を詳細に説明する。図18は、本実施形態に係る液晶装置の一変形例における図15に対応する断面図である。尚、以下で説明する各変形例では、上述した液晶装置1と共通する部分に共通の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0129】
図18において、本例に係る液晶装置は、チャネル領域1a´の下層側においてチャネル領域1a´に重なるゲート電極3a2を有している。言い換えれば、本例に係る液晶装置においてTFT回路部80に含まれるTFT89aは、ゲート電極がチャネル領域の下層側に形成された逆スタガ型の素子構造を有している。ゲート電極3a2は、本発明の「第2遮光膜」の一例の一部を構成している。ゲート電極3a2は、第2遮光膜11と共に絶縁膜40上に互いに共通の工程を利用して形成されており、バックライト206から出射された可視光L1を遮光する。したがって、ゲート電極3a2を遮光膜として利用することによって簡単な素子構成でTFT89aを構成できると共に、簡便な製造プロセスによってTFT89aを形成可能である。
【0130】
(変形例2)
次に、図19において、本実施形態に係る液晶装置の他の変形例を説明する。図19は、本実施形態に係る液晶装置の他の変形例における図15に対応する断面図である。
【0131】
図19において、本例に係る液晶装置が備える赤外光センサ151は、図中上下方向、即ちTFTアレイ基板10上に形成される複数の積層要素が互いに積層される積層方向に沿って、絶縁膜42a上に順次積層された下電極150a、N型半導体層150b、受光層150c及びP型半導体層150d、上電極150eを有するPINダイオードである。
【0132】
下電極151aは、絶縁膜42a上に形成されたゲート電極3a1と同層に形成されている。したがって、下電極151aは、ゲート電極3a1と共通の工程を利用して形成可能である。上電極151eは、絶縁膜42c上に形成されている。ここで、画素電極は、絶縁膜42cを最上層として構成された絶縁膜42上に形成されているため、画素電極を形成する工程と共通の工程を利用して上電極151eを形成できる。したがって、本例に係る液晶装置によれば、赤外光センサ151の下電極151a及び上電極151eを、TFTアレイ基板10上に形成された他の部分を形成する工程を利用して形成可能であり、液晶装置の製造プロセスが煩雑になることを低減でき、製造コストを抑制できる。
【0133】
<2:電子機器>
次に、図20及び図21を参照しながら、上述した液晶装置を具備してなる電子機器の実施形態を説明する。
【0134】
図20は、上述した液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図20において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶パネル1005の背面にバックライトを付加することにより構成されており、タッチパネル機能を有し、且つ高い開口率によって表示品位が高められている。
【0135】
次に、上述した液晶装置を携帯電話に適用した例について説明する。図21は、本実施形態の電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図21において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。携帯電話1300によれば、開口率が高められており、高品位の画像表示が可能であると共に、指等の指示手段によって表示面を介して正確に情報を入力可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本実施形態に係る液晶装置の平面図である。
【図2】図1のII−II´断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の主要な回路構成を示したブロック図である。
【図4】本実施形態に係る液晶装置によって実行可能な検知方法の主要な手順を示したフローチャートである。
【図5】外光に含まれる赤外光の光路を図式的に示した概念図である。
【図6】外光に含まれる赤外光を検出することによって取得された画像の概念図の一例である。
【図7】バックライトから出射された検知用赤外光の光路を図式的に示した概念図である。
【図8】検知用赤外光を検出することによって取得された画像の概念図の一例である。
【図9】外光に含まれる赤外光の光強度と、赤外光センサの感度との関係を示したグラフの概念図である。
【図10】本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域における等価回路である。
【図11】本実施形態に係る液晶装置が有する画素部の図式的平面図である。
【図12】図11のXII−XII´断面図である。
【図13】図11のXIII−XIII´断面図である。
【図14】図11のXIV−XIV´断面図である。
【図15】図14に示した断面を詳細に示した断面図である。
【図16】一枚の偏光板(即ち、単板)と、クロスニコル配置された一対の偏光板との夫々における光の透過率の波長依存性を示したグラフである。
【図17】光の波長に対して各カットフィルタにおける光の透過率を示したグラフである。
【図18】本実施形態に係る液晶装置の一変形例における図15に対応する断面図である。
【図19】本実施形態に係る液晶装置の他の変形例における図15に対応する断面図である。
【図20】本実施形態に係る電子機器の一例を示した斜視図である。
【図21】本実施形態に係る電子機器の他の例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0137】
1・・・液晶装置、10・・・TFTアレイ基板、20・・・対向基板、50・・・液晶層、72・・・画素部、150、151・・・赤外光センサ、201・・・センサ制御回路部、202・・・バックライト制御回路部、206・・・バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向するように配置された第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板間に挟持された液晶層と、
前記第2基板から見て前記液晶層に臨まない側に位置する表示面に照射された外光のうち前記表示面の表示領域に位置する指示手段によって遮られなかった外光に含まれる赤外光を検出する検出手段と、
前記照射された外光の光強度が所定値より低い場合に、前記表示領域において、前記指示手段を検知するための検知用赤外光を前記指示手段に向かって出射する出射手段とを備え、
前記検出手段は、前記照射された外光の光強度が所定値より低い場合に、前記検知用赤外光のうち前記指示手段によって反射された反射赤外光を検出すること
を特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記所定値は、前記反射赤外光及びノイズを識別可能な前記検出手段の感度に基づいて規定されていること
を特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記照射された外光の光強度が所定値より低い場合に、前記検知用赤外光が前記出射手段から出射されるように前記出射手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記出射手段は、前記表示領域に画像を表示するための表示用光を生成する表示用光源と、前記検知用赤外光を生成し、且つ前記検知用赤外光の光強度を変更可能な赤外光源と、前記表示用光及び前記検知用赤外光を前記表示領域に導く導光手段とを有すること
を特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記表示用光及び前記検知用赤外光の夫々の光路に沿って前記液晶層の両側の夫々に配置され、且つ各々の光軸が互いに交差する第1偏光板及び第2偏光板と
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記第1基板上において前記表示領域を構成する複数の画素部の開口領域を互いに隔てる非開口領域に形成された複数の赤外光センサを有しており、
前記検知用赤外光は、前記表示用光と共に前記開口領域から出射されること
を特徴とする請求項4又は5に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記第1基板上において前記赤外光センサに重なり、且つ前記非開口領域の縁の少なくとも一部を規定し、前記指示手段によって遮られなかった外光に含まれる赤外光、及び前記反射赤外光を透過すると共に、前記指示手段によって遮られなかった外光に含まれる可視光を遮光する第1遮光膜と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記第1基板上において前記赤外光センサに重なるように前記非開口領域に形成されており、前記赤外光センサに向かって前記表示面から入射する可視光を吸収する吸収手段と
を備えたことを特徴とする請求項6又は7に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記画素部は、前記表示用光のうち互いに異なる複数の色光の夫々を透過可能な複数種のカラーフィルタの夫々を有する複数のサブ画素部を有しており、
前記吸収手段は、前記第1基板上において、前記複数種のカラーフィルタの少なくとも2種のカラーフィルタの夫々と同種の材料で構成された少なくとも2つの膜部が相互に積層された積層体であること
を特徴とする請求項8に記載の液晶装置。
【請求項10】
前記第1基板上において前記赤外光センサの下層側に形成されており、前記赤外光センサに前記表示用光及び前記検知用赤外光が照射されないように前記前記表示用光及び前記検知用赤外光を遮光する第2遮光膜と
を備えたことを特徴とする請求項6乃至9の何れか一項に記載の液晶装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の液晶装置を具備してなること
を特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2008−241807(P2008−241807A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78426(P2007−78426)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】