説明

液滴吐出装置及びそのパージ方法

【課題】加圧時における加圧波形の急峻な立ち上がりを実現し、ノズル内の気泡や固形物等の除去を可能とする。さらに、高流量吐出時の圧力変動を抑える。
【解決手段】機能液(12)が収容される第1空間(14)を形成する第1容器(16)と当該第1容器(16)を収容する第2容器(22)の間に形成される第2空間(24)の圧力を調整する圧力調整装置(26)を備え、第1容器(16)と吐出ヘッド(34)とをつなぐ流路(30)にバルブ(36)を設ける。第1容器(16)の少なくとも一部は、第2空間(24)の圧力に応じて変形する可撓性部材で形成される。バルブ(36)と圧力調整装置(26)を制御する制御装置(40)は、まず、バルブ(36)を閉じた状態で第2空間(24)を減圧し第2容器(22)の内面に第1容器(16)の可撓性部材を固定する。その後、第2空間(24)を加圧しバルブ(36)を開いて吐出ヘッド(34)の吐出口から機能液を吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴吐出装置及びそのパージ方法に係り、特に、インクその他の機能液を吐出するための吐出口(ノズル)が複数配列された吐出ヘッドを備える液滴吐出装置における機能液の供給並びに圧力調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の吐出ヘッドを用いた液滴吐出装置は、印刷分野に限らず、電子回路の配線パターンの形成やカラーフィルター、液晶装置など、各種のデバイスの製造分野に利用されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された液滴吐出装置は、機能液を収容する第1容器の少なくとも一部が可撓性を有する膜(薄いシート)で形成されており、当該第1容器を収容した第2容器は、金属やプラスチック板など、硬い板状の部材を組み合わせて形成されている。第1容器と第2容器の間の空間(第2空間)の空気圧力を圧力調整装置により調整することによって、第1容器の変形量を制御し、当該第1容器に繋がる吐出ヘッドの内部圧力を調整する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−161750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、機能液としてのインクをノズルから吐出して記録媒体上に描画を行うインクジェット記録装置では、ノズルの目詰まり防止やノズル面の清掃、不良ノズルの回復等を目的として、記録ヘッド(吐出ヘッド)を描画領域外のメンテナンスエリアに移動させて、ヘッド加圧によるパージやノズル吸引、ノズル面のワイピング等のメンテナンス(「クリーニング」ともいう。)を行い、その後再び記録ヘッドを記録媒体上に戻して印刷を開始するというシーケンスが採用されているものが多い。機能液としてインク以外の液(例えば、導電性微粒子を分散媒に分散させた液など)を用いる液滴吐出装置においても同様のメンテナンス動作が実施される。
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成によって加圧パージを行うと、圧力調整装置による加圧時の加圧波形の立ち上がりが第1容器の膜の弾性によって鈍ってしまうため、当該加圧動作によってノズル内の気泡や固形分(増粘インクや異物など)を適切に排出除去することができない。
【0007】
また、吐出ヘッドのラインヘッド化(長尺化)や高画質化(多ノズル高密度化)によって、描画動作時の吐出によるインク流量が増大し、圧力変動が大きくなると、第1容器の膜の弾性のみでは圧力変動を抑えることができなくなる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、加圧時における加圧波形の急峻な立ち上がりを実現し、ノズル内の気泡や固形物の除去を可能とする液滴吐出装置及びそのパージ方法を提供することを目的とする。また、さらに、高流量吐出時の圧力変動を抑えることができる液滴吐出装置及びそのパージ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、機能液の液滴を吐出する吐出口が形成された吐出面を有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに対して流路を介して接続され、当該流路を通して前記吐出ヘッドに供給する前記機能液が収容される第1空間を形成する第1容器と、前記第1容器の外側を覆い、前記第1容器を収容する第2容器と、前記第2容器内の前記第1容器と前記第2容器との間に形成される第2空間の圧力を調整する圧力調整装置と、前記第1容器の前記第1空間と前記吐出ヘッドとをつなぐ前記流路に設けられたバルブと、前記バルブの開閉動作及び前記圧力調整装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記第1容器の少なくとも一部は、前記第2空間の圧力に応じて変形する可撓性部材で形成され、前記制御装置は、前記バルブを閉じた状態で、前記圧力調整装置によって前記第2空間を減圧して前記第2容器の内面に前記第1容器の前記可撓性部材を固定し、その後、前記圧力調整装置によって前記第2空間を加圧し前記バルブを開くことによって、前記吐出ヘッドを加圧し、前記吐出口から前記機能液を吐出させる制御を行うことを特徴とする液滴吐出装置を提供する。
【0010】
他の発明態様については、本明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加圧開始時に急峻な圧力の立ち上がりを実現でき、その力で吐出口から勢いよく機能液を押し出すことができるため、気泡や固形物等を効果的に除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る液滴吐出装置の構成図
【図2】加圧曲線の例を示す圧力波形図
【図3】加圧調整の手順を示すフローチャート
【図4】第1実施形態に係る液滴吐出装置の動作説明図
【図5】第2実施形態に係る液滴吐出装置の構成図
【図6】負圧調整の手順を示すフローチャート
【図7】吐出ヘッドの構成例を示す平面透視図
【図8】ヘッドの他の構造例を示す平面透視図
【図9】図7中のA−A線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る液滴吐出装置の構成図である。この液滴吐出装置10は、機能液12が収容される第1空間14を形成する第1容器(以下「機能液袋」という。)16と、この機能液袋16を内部に収容した第2容器(以下「機能液袋タンク」という。)22と、機能液袋タンク22と機能液袋16との間の空間(以下「第2空間」という。)24の圧力を調整する圧力調整装置26と、機能液袋16に流路30を介して接続される吐出ヘッド34と、機能液袋16から吐出ヘッド34までの間をつなぐ流路30に設けられた液バルブ36と、当該液バルブ36及び圧力調整装置26の動作を制御する制御装置40と、を備える。
【0015】
機能液12としては、例えば、インク、樹脂液、液晶、微粒子など機能性材料を分散媒に分散させたものなど、各種の液体、或いは液状体が含まれる。
【0016】
機能液袋16の少なくとも一部は、第2空間24の圧力に応じて変形可能な可撓性を有する膜で構成されている。例えば、機能液袋16は、樹脂のシートで形成されている。ゴムシートのように弾性を持つ材料で構成されていてもよいし、復元力のない非弾性材料、或いは、復元力が極めて小さい(実質的に無視できる程度の)低弾性材料であってもよい。本例では、機能液袋16の略全周面が弾性を持つシートで構成されたパック状のインク袋であるとする。なお、機能液の出口となる流路接続部や、機能液の補充口などの部分については必ずしも可撓性の部材で構成される必要がないことは明らかであり、これらの部分を除外する意味で「略全周面」と表現した。また、機能液袋16の一部を可撓性膜で構成する場合、可撓性膜を支持するフレーム部分は剛性の高い部材が用いられる。
【0017】
機能液袋16は気密構造を有し、機能液袋16の第1空間14は、実質的に閉じた空間(ほぼ密閉された空間)となっている。機能液袋16は、機能性液が密閉封入された使い切り型(カートリッジタイプ)のインクバックであってもよいし、弁や蓋による開閉可能な液補充口を有し、必要に応じて液の再充填が可能な構成でもよい。
【0018】
機能液袋タンク22は、金属板や硬いラスチック板など、変形しにくい高剛性の材料からなる部材で構成された容器である。機能液袋タンク22の容器形状(立体形状)については、特に限定はないが、例えば、特許文献1の[図14]に示されているような、略6面体の箱形形状とされる。機能液袋タンク22は、機能液袋16の周囲を覆い、かつ、気密性を保てる構造となっている。すなわち、機能液袋タンク22は、圧力調整装置26による加圧/減圧によって、当該タンクの容積が変化しない、或いは、変化したとしても無視できる程度に極めて小さい変化しか生じないものである。
【0019】
圧力調整装置26は、チューブなどの配管部材による流路28を介して第2空間24に接続されている。圧力調整装置26は、第2空間24に気体(例えば、空気)を供給する気体供給機能と、第2空間24から気体を排出(吸引)する排気機能とを兼ね備えた手段である。例えば、圧力調整装置26は、気体供給手段としての送気用のポンプと、排気手段としての排気用の真空ポンプとを備え、これらを必要に応じて切り換えて使用できる構成となっている。或いはまた、一つのポンプでこれら2つの役割を兼ねる構成も可能である。
【0020】
圧力調整装置26による加圧(気体供給)/減圧(排気)の動作は制御装置40によって制御される。圧力調整装置26によって第2空間24に気体を供給することによって、第2空間24の圧力を高める(加圧する)ことができる。また、圧力調整装置26によって第2空間24から気体を排出することで、第2空間24の圧力を下げる(減圧する)ことができる。圧力調整装置26による排気動作により、第2空間24の圧力を少なくとも大気圧よりも低下させることができる。
【0021】
機能液袋タンク22内に収容されている機能液袋16は吐出ヘッド34のノズル面34Aよりも高い位置に配置することができる。機能液袋16内に収容された機能液の液面の高さと、吐出ヘッド34の吐出口の高さ(ノズル面34Aの高さ)の位置関係、すなわち、水頭差に応じて、第2空間の圧力を調整することによって、吐出ヘッド34の吐出口から機能液の漏出を防止することができる。
【0022】
吐出ヘッド34としては、周知のインクジェットヘッドと同様の構成を採用することができる。吐出ヘッド34の構造例は後述するが(図7〜9)、吐出ヘッド34は、機能液を吐出するための吐出口となる複数のノズルが形成された吐出面(ノズル面)34Aを有する。吐出ヘッド34の内部には、各ノズルに対応した圧力室と、各圧力室に機能性を供給するための内部供給流路等が形成されており、各圧力室にはノズルから機能液を吐出するための吐出エネルギーを発生させる吐出エネルギー発生素子が設けられている。
【0023】
吐出ヘッド34と機能液袋16の間をつなぐ流路30に設置された液バルブ36は、制御装置40によって開閉動作が制御される弁である。本実施形態では、圧力調整装置26と液バルブ36の連携によって吐出ヘッド34の内部圧力が制御される。
【0024】
図2は、本実施形態によって実現する理想的な加圧曲線の一例である。図2の横軸は時間、縦軸は圧力を表す。図示の加圧曲線は、吐出ヘッド34の加圧パージを行う際に適用される。加圧パージは、ノズル内の気泡や固形物等を取り除くために、吐出ヘッド34内の機能液を加圧し、ノズルから機能液を強制的に押し出す動作である。本例の場合、第2空間24を加圧して機能液袋16の第1空間14を収縮させることにより、機能液袋16内の液が加圧され、流路30を介して繋がる吐出ヘッド34の全ノズルが一斉に加圧される。
【0025】
このような加圧パージにおける理想的な加圧曲線は、図2に例示したように、加圧開始時は急峻な圧力の立ち上がりによる加圧を行い、加圧終了時には、ゆっくりと圧力を低下させるなだらかな圧力開放を行うものである。一例として、図2において、加圧開始(初期圧力P0)から最大圧力Pmaxの値に到達するまでに要する時間T1は1秒以下である。この立ち上がり時間T1は短いほど好ましく、好ましくは、0.7秒以下、より好ましくは、0.5秒以下である。
【0026】
このような急峻な圧力加圧による力により、ノズルから機能液が勢いよく押し出され、ノズル内の気泡や固形物等を効果的に取り除くことができる。また、パージ後、加圧終了時には、高圧力(Pmax)の状態から徐々に圧力を開放し、ゆっくりと時間をかけて初期圧力Pに戻す。なお、初期圧力Pはノズルからの液漏れを防止する観点から大気圧よりも低い値(負圧)に設定される。
【0027】
この圧力開放に要する時間Tは、加圧の立ち上がりに要する時間Tよりも長いものとする。好ましくは、TはTの2倍以上とし、より好ましくは3倍以上、さらに好ましくは4倍以上とする。図2ではTがTの5倍〜6倍程度の例を示した。
【0028】
このように、圧力開放時間を長くするとともに、その単位時間あたりの圧力変化量(変化率)も小さいことが好ましい。加圧立ち上がり時の傾きをαとするとき(α=(Pmax−P)/T1)、圧力開放時の単位時間あたりの圧力変化量(傾き(変化率)は、「−α」よりも傾斜の緩やかなもの(微分値の絶対値がαよりも小さなもの)とする。
【0029】
このような、なだらかな圧力開放により、ノズル面付近(ノズル内)における機能液のメニスカス(気液界面)の振動が抑制され、圧力変動ばたつきによるノズルからの気泡吸い込みを防止することが可能となる。
【0030】
図3は加圧調整手順を示すフローチャートである。まず、液バルブ36を閉じる(ステップS12)。次に、圧力調整装置26で負圧に引き、機能液袋16を機能液袋タンク22の内壁に固定する(ステップS14)。このステップS14の動作を図4に示した。なお、図示の都合上、図4では制御装置40を省略して描いた。
【0031】
液バルブ36を閉じた状態で、圧力調整装置26によって第2空間24(図1参照)の気体を排出することで、第2空間24の圧力に応じて機能液袋16が変形し、図4のように、機能液袋16を機能液袋タンク22の壁(内壁面)に固定した状態とすることができる。このとき、機能液袋16の第1空間14容積は、機能液袋タンク22の壁で規制される最大容積となる。つまり、機能液袋16は、第2空間24を減圧することによって、その可撓性膜が機能液袋タンク22の壁に到達し、壁との接触によって機能液袋16の膨張が制限されるように、機能液袋タンク22の大きさ(容量)、機能液袋16の大きさ、可撓性膜の面積、可撓性膜の弾性係数などが設計される。
【0032】
こうして、機能液袋16を機能液袋タンク22の壁に固定した後、この状態から圧力調整装置26で機能液袋タンク22に気体を供給し、加圧に必要な圧力に圧力を調整する(図3のステップS16)。そして、この圧力調整動作の開始と同時に、又は圧力調整動作を開始した後に、液バルブ36を開ける(ステップS18)。圧力調整動作の開始タイミングから液バルブ36を開けるタイミングまでの時間差(時間遅れ)の許容範囲として、例えば、100msec以内までの時間差は許容できる。
【0033】
このような手順によれば、加圧開始時に、機能液袋16は機能液袋タンク22の壁に張り付いている状態であるため、機能液袋16は実質的に剛体とみなすことができ、ステップS16〜S18の動作によって、機能液袋16は一気に収縮し、図2で説明した急峻な圧力の立ち上がりを実現できる。
【0034】
この加圧動作によって、吐出ヘッド34のノズルから機能液が押し出され、加圧パージが行われる。加圧によってノズルから機能液が押し出され、機能液袋16内の液が減少していくため、一定の圧力を維持するためには、圧力調整装置26で加圧し続ける。
【0035】
加圧(パージ)を止めるときは、圧力調整装置26にて排気を行う。すなわち、加圧開始後所定時間経過後に圧力調整装置26で排気を開始し、第2空間24の圧力を強制的に下げることで、図2で説明したような、緩やかな圧力変化による圧力開放を実現できる。なお、加圧終了時に液バルブ36は閉じられる。
【0036】
機能液袋16の可撓性膜の部分が弾性を持たない部材であっても、同様の加圧曲線を実現できる。ただし、機能液袋16の可撓性膜として弾性部材が用いられている場合には、機能液袋16の弾性によって、一層なだらかな圧力開放を実現できる。
【0037】
これにより、加圧停止後のメニスカスの揺れが抑制され、ノズルからの気泡吸い込みを防止できる。
【0038】
上記の加圧パージ動作は、例えば、装置起ち上げ時、印字開始前(印刷ジョブの開始前)、ジョブ実行中の所定時間間隔ごと、所定枚数の印刷を実行した後、或いは、オペーレータの操作による指示の入力に応じて随時など、適宜のタイミングで実施される。
【0039】
<第2実施形態>
図5は第2実施形態に係る液滴吐出装置の構成図である。図5中、図1で示した例と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0040】
図5に示した液滴吐出装置50は、圧力調整装置26と機能液袋タンク22との間にエアタンク(補助タンク)52を有している。エアタンク52は流路28Aを介して圧力調整装置26と連結され、流路28Bを介して機能液袋タンク22と連結される。
【0041】
エアタンク52は、機能液袋タンク22と同様に、剛性の高い部材で構成されており、その容積は実質的に一定である。エアタンク52を設ける意義は、次のとおりである。
【0042】
すなわち、機能液袋タンク22と機能液袋16の間の空間(第2空間24)が広すぎると、機能液袋16を機能液袋タンク22の壁に張り付ける際に、袋の膜の伸び量が大きくなり、機能液袋16の寿命が短くなる。機能液袋16の長寿命化の観点からすると、機能液袋タンク22は、できるだけ小さい方が望ましいことになる。その一方、機能液袋タンク22の容積を小さくし過ぎると、通常の吐出動作時(吐出ヘッド34の内圧を負圧に調整している状態)における空気室(第2空間24)の大きさが小さくなり、当該空気室の空気弾性が小さくなる(エアダンパ機能が低下する)。第2空間24の空気弾性が小さくなると、負圧調整時における圧力調整性能が落ちてしまう。
【0043】
そこで、図5のように、エアタンク52を設けることで、空気弾性を大きくさせ、負圧調整時の圧力調整性能を確保する。これにより、機能液袋タンク22を大きくすることなく、機能液袋タンク22以外の補助タンク(エアタンク52)によってエアダンパの機能を大きくできる。
【0044】
図6は、図5の構成における負圧調整手順を示したフローチャートである。まず、液バルブ36を閉じる(ステップS22)。その後、圧力調整装置26でエアタンク52及び機能液袋タンク22内を目標負圧に調整する。その後、液バルブ36を開ける。
【0045】
このような構成によれば、機能液袋16の弾性だけでなく、エアタンク52の空気弾性も利用できるため、高流量吐出時の急激な圧力変動をエアダンパの作用によって抑えることができる。また、機能液袋16の長寿命化も達成できる。
【0046】
<第1実施形態、第2実施形態の利点>
(1)急峻な圧力立ち上がりにより、ノズル内の気泡や固形物等の除去が可能である。
【0047】
(2)なだらかな圧力開放により、ノズルからの気泡吸い込みを防止できる。
【0048】
(3)図5で説明したエアタンクを備える構成により、エアダンパの機能を大きくすることができ、高流量吐出時の圧力変動を抑えることができる。
【0049】
(4)図5で説明したエアタンクを備える構成により、第2空間24の広さを適切に設計して機能液袋16の長寿命化を図ることができる。
【0050】
<吐出ヘッドの構成例>
次に、吐出ヘッド34の構成例について説明する。ここでは、カラーインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)に用いられるインクジェット記録ヘッドを例示する。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色のインクを吐出するために、インク色ごとに設けられる各録ヘッドの構成は同様であるため、これらを代表して符号250によってヘッドを示す。
【0051】
図7(a) はヘッド250の構造例を示す平面透視図であり、図7(b) はその一部の拡大図である。また、図8はヘッド250の他の構造例を示す平面透視図、図9は記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル251に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図7中のA−A線に沿う断面図)である。
【0052】
図7(a)(b)に示したように、ヘッド250は、インク吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)253をマトリクス状に2次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(用紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0053】
ヘッド250は、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型の記録ヘッドであり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列(2次元配列ノズル)が形成されている。ヘッド250は、記録媒体124の搬送方向と略直交する方向に延在するように設置される。
【0054】
図示せぬ用紙搬送手段(ドラムやベルトなど)によって記録媒体124を一定の速度で搬送し、この搬送方向について、記録媒体124とヘッド250を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体124の画像形成領域に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
【0055】
記録媒体124の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録媒体124の描画領域の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図7(a) の構成に代えて、図8(a)に示すように、複数のノズル251が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール250’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体124の描画領域の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成する態様や、図8(b)に示すように、ヘッドモジュール250”を一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
【0056】
なお、一つのヘッドモジュール250’、250”を「吐出ヘッド34」と解釈してもよいし、ヘッドモジュールを繋ぎ合わせた長尺ヘッドを「吐出ヘッド34」と解釈してもよい。
【0057】
また、シングルパス印字用のフルライン型プリントヘッドは、記録媒体124の全面を描画範囲とする場合に限らず、記録媒体124の面上の一部が描画領域となっている場合には、所定の描画領域内の描画に必要なノズル列が形成されていればよい。
【0058】
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており(図7(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル251への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0059】
図9に示すように、ヘッド250は、ノズル251が形成されたノズルプレート251Aと、圧力室252や共通流路255等の流路が形成された流路板252P等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート251Aは、ヘッド250のノズル面(インク吐出面)250Aを構成し、各圧力室252にそれぞれ連通する複数のノズル251が2次元的に形成されている。
【0060】
流路板252Pは、圧力室252の側壁部を構成するとともに、共通流路255から圧力室252にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口254を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図9では簡略的に図示しているが、流路板252Pは一枚又は複数の基板を積層した構造である。
【0061】
ノズルプレート251A及び流路板252Pは、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
【0062】
共通流路255はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に供給される。
【0063】
圧力室252の一部の面(図9において天面)を構成する振動板256には、個別電極257を備えた圧電アクチュエータ258が接合されている。本例の振動板256は、圧電アクチュエータ258の下部電極に相当する共通電極259として機能するニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)から成り、各圧力室252に対応して配置される圧電アクチュエータ258の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
【0064】
個別電極257に駆動電圧を印加することによって圧電アクチュエータ258が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、圧電アクチュエータ258が元の状態に戻る際、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
【0065】
かかる構造を有するインク室ユニット253を図7(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル251が一定のピッチP=Ls/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
【0066】
また、本発明の実施に際してヘッド250におけるノズル251の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。例えば、図7で説明したマトリクス配列に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
【0067】
なお、インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、圧電アクチュエータ(圧電素子)に限らず、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
【0068】
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0069】
<記録媒体について>
「記録媒体」は、吐出ヘッドのノズルから吐出された液滴によってドットが記録される媒体の総称であり、印字媒体、被記録媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
【0070】
<ヘッドと記録媒体を相対移動させる手段について>
上述の実施形態では、停止したヘッドに対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体に対してヘッドを移動させる構成も可能である。なお、シングルパス方式のフルライン型の記録ヘッドは、通常、被記録媒体の送り方向(搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。
【0071】
<ヘッド構成の変形例について>
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。なお、インクジェット方式の印字ヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別にヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
【0072】
<本発明の応用例について>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェットシステムに広く適用できる。
【0073】
<本発明の応用例について>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線記録装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能液として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェットシステム(「液滴吐出装置」に相当)に広く適用できる。
【0074】
<付記>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0075】
(発明1):機能液の液滴を吐出する吐出口が形成された吐出面を有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに対して流路を介して接続され、当該流路を通して前記吐出ヘッドに供給する前記機能液が収容される第1空間を形成する第1容器と、前記第1容器の外側を覆い、前記第1容器を収容する第2容器と、前記第2容器内の前記第1容器と前記第2容器との間に形成される第2空間の圧力を調整する圧力調整装置と、前記第1容器の前記第1空間と前記吐出ヘッドとをつなぐ前記流路に設けられたバルブと、前記バルブの開閉動作及び前記圧力調整装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記第1容器の少なくとも一部は、前記第2空間の圧力に応じて変形する可撓性部材で形成され、前記制御装置は、前記バルブを閉じた状態で、前記圧力調整装置によって前記第2空間を減圧して前記第2容器の内面に前記第1容器の前記可撓性部材を固定し、その後、前記圧力調整装置によって前記第2空間を加圧し前記バルブを開くことによって、前記吐出ヘッドを加圧し、前記吐出口から前記機能液を吐出させる制御を行うことを特徴とする液滴吐出装置。
【0076】
この発明によれば、第2容器の内面に固定された状態の第1容器は、加圧開始時に実質的に剛体の容器とみなせるため、この状態から第2空間を加圧すると、第1容器は一気に収縮して急激な圧力上昇となる。この急峻な圧力加圧による吐出力によりノズル内の気泡や固形物等を取り除くことが可能である。
【0077】
(発明2):発明1に記載の液滴吐出装置において、前記制御装置は、前記吐出ヘッドを加圧して所定時間経過後に、前記圧力調整装置によって前記第2空間を減圧し、前記加圧時の圧力立ち上げに要す時間よりも長い時間をかけて緩やかに圧力開放を行うように前記圧力調整装置を制御することを特徴とする。
【0078】
かかる態様によれば、加圧終了時に、なだらかな(緩やかな)圧力開放を行うことで、ノズル面付近の機能液表面の振動(圧力変動ばたつき)を抑制することができる。これにより、ノズルからの気泡の吸い込みを防止することが可能となる。
【0079】
(発明3):発明1又は2に記載の液滴吐出装置において、前記可撓性部材は、弾性部材であることを特徴とする。
【0080】
ゴムシートのような弾性膜(弾性部材)を用いて構成された第1容器を用いることにより、第1容器の弾性に加えて、第2空間の減圧による強制的な圧力制御によって、一層なだらかな(緩やかな)圧力開放を実現できる。
【0081】
(発明4):発明1から3のいずれか1項に記載の液滴吐出装置において、前記圧力調整装置と前記第2容器との間にエアタンクが設けられ、前記エアタンクを介して前記圧力調整装置と前記第2容器とが接続されていることを特徴とする。
【0082】
かかる態様によれば、エアタンク内の気体の弾性を利用して、圧力調整が可能であり、高流量吐出時の圧力変動に対しても効果的に抑制できる。
【0083】
(発明5):発明4に記載の液滴吐出装置において、前記吐出ヘッドの内圧を負圧に調整する際に、前記制御装置は、前記バルブを閉じた状態で前記圧力調整装置により前記エアタンク及び前記第2空間を目標負圧に調整し、その後、前記バルブを開く制御を行うことを特徴とする。
【0084】
かかる態様によれば、吐出ヘッドを適切な負圧に調整できるとともに、吐出ヘッドの吐出口から機能液を吐出しているときのヘッド内圧力の変動をエアダンパの作用によって抑えることができる。
【0085】
(発明6):発明1から5のいずれか1項に記載の液滴吐出装置において、前記圧力調整装置は、前記第2空間に気体を供給する気体供給手段と、前記第2空間の気体を排出する排気手段と、を含んで構成され、前記第2空間に気体を供給することによって前記第2空間を加圧し、前記第2空間の気体を排出することによって前記第2空間を減圧することを特徴とする。
【0086】
例えば、気体供給手段としての加圧ポンプと、排気手段として真空ポンプとを設けて、これらを必要に応じて切り換えて使用する構成を採用できる。
【0087】
(発明7):機能液の液滴を吐出する吐出口が形成された吐出面を有する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドに対して流路を介して接続され、当該流路を通して前記吐出ヘッドに供給する前記機能液が収容される第1空間を形成する第1容器と、前記第1容器の外側を覆い、前記第1容器を収容する第2容器と、前記第2容器内の前記第1容器と前記第2容器との間に形成される第2空間の圧力を調整する圧力調整装置と、前記第1容器の前記第1空間と前記吐出ヘッドとをつなぐ前記流路に設けられたバルブと、を備え、前記第1容器の少なくとも一部は、前記第2空間の圧力に応じて変形する可撓性部材で形成された液滴吐出装置における前記吐出ヘッドのパージ方法であって、前記バルブを閉じる工程と、前記バルブを閉じた状態で、前記圧力調整装置によって前記第2空間を減圧して前記第2容器の内面に前記第1容器の前記可撓性部材を固定する工程と、前記第1容器の前記可撓性部材を前記第2容器の内面に固定した後、前記圧力調整装置によって前記第2空間を加圧する工程と、前記第2空間の加圧開始と同時に、又は加圧開始後に、前記バルブを開く工程と、前記バルブを開いて前記吐出ヘッドを加圧することにより、前記吐出口から前記機能液を吐出させる工程と、を有することを特徴とするパージ方法。
【0088】
発明7に係るパージ方法によれば、急峻な圧力加圧による吐出力によりノズル内の気泡や固形物等を取り除くことが可能である。
【0089】
発明7において、発明2から6に記載の特徴を組み合わせる態様も可能である。
【符号の説明】
【0090】
10…液滴吐出装置、12…機能液、14…第1空間、16…機能液袋(第1容器)、22…機能液袋タンク(第2容器)、24…第2空間、26…圧力調整装置、30…流路、34…吐出ヘッド、34A…ノズル面(吐出面)、36…液バルブ、40…制御装置、50…液滴吐出装置、52…エアタンク、250…ヘッド、251…ノズル、252…圧力室、258…圧電アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能液の液滴を吐出する吐出口が形成された吐出面を有する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドに対して流路を介して接続され、当該流路を通して前記吐出ヘッドに供給する前記機能液が収容される第1空間を形成する第1容器と、
前記第1容器の外側を覆い、前記第1容器を収容する第2容器と、
前記第2容器内の前記第1容器と前記第2容器との間に形成される第2空間の圧力を調整する圧力調整装置と、
前記第1容器の前記第1空間と前記吐出ヘッドとをつなぐ前記流路に設けられたバルブと、
前記バルブの開閉動作及び前記圧力調整装置の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記第1容器の少なくとも一部は、前記第2空間の圧力に応じて変形する可撓性部材で形成され、
前記制御装置は、前記バルブを閉じた状態で、前記圧力調整装置によって前記第2空間を減圧して前記第2容器の内面に前記第1容器の前記可撓性部材を固定し、その後、前記圧力調整装置によって前記第2空間を加圧し前記バルブを開くことによって、前記吐出ヘッドを加圧し、前記吐出口から前記機能液を吐出させる制御を行うことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記吐出ヘッドを加圧して所定時間経過後に、前記圧力調整装置によって前記第2空間を減圧し、前記加圧時の圧力立ち上げに要す時間よりも長い時間をかけて緩やかに圧力開放を行うように前記圧力調整装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記可撓性部材は、弾性部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記圧力調整装置と前記第2容器との間にエアタンクが設けられ、前記エアタンクを介して前記圧力調整装置と前記第2容器とが接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記吐出ヘッドの内圧を負圧に調整する際に、
前記制御装置は、前記バルブを閉じた状態で前記圧力調整装置により前記エアタンク及び前記第2空間を目標負圧に調整し、その後、前記バルブを開く制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記圧力調整装置は、前記第2空間に気体を供給する気体供給手段と、前記第2空間の気体を排出する排気手段と、を含んで構成され、前記第2空間に気体を供給することによって前記第2空間を加圧し、前記第2空間の気体を排出することによって前記第2空間を減圧することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
機能液の液滴を吐出する吐出口が形成された吐出面を有する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドに対して流路を介して接続され、当該流路を通して前記吐出ヘッドに供給する前記機能液が収容される第1空間を形成する第1容器と、
前記第1容器の外側を覆い、前記第1容器を収容する第2容器と、
前記第2容器内の前記第1容器と前記第2容器との間に形成される第2空間の圧力を調整する圧力調整装置と、
前記第1容器の前記第1空間と前記吐出ヘッドとをつなぐ前記流路に設けられたバルブと、を備え、
前記第1容器の少なくとも一部は、前記第2空間の圧力に応じて変形する可撓性部材で形成された液滴吐出装置における前記吐出ヘッドのパージ方法であって、
前記バルブを閉じる工程と、
前記バルブを閉じた状態で、前記圧力調整装置によって前記第2空間を減圧して前記第2容器の内面に前記第1容器の前記可撓性部材を固定する工程と、
前記第1容器の前記可撓性部材を前記第2容器の内面に固定した後、前記圧力調整装置によって前記第2空間を加圧する工程と、
前記第2空間の加圧開始と同時に、又は加圧開始後に、前記バルブを開く工程と、
前記バルブを開いて前記吐出ヘッドを加圧することにより、前記吐出口から前記機能液を吐出させる工程と、
を有することを特徴とするパージ方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−187854(P2012−187854A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54185(P2011−54185)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】