説明

液漏れ検出装置

【課題】長期間、間断なく電気信号を測定する必要がなく、また、簡易な構造を有する、液漏れ検出装置を提供する。
【解決手段】警笛204に圧縮気体を送り込むための分岐送風管202の途中領域に切替弁206を設け、この切替弁206の開閉制御を電気信号ではなく、フロート205と切替弁206とを連結し、有機溶液等の液面高さが許容高さを超えた際に切替弁206を閉状態から開状態に切り替えて警笛204に気体を送り込むためのリンク機構207を用いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装置等からの液漏れを検知し報知するための液漏れ検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置等からの液漏れを検出する方法として、液面警報器が用いられる。この液面警報器は、液面警報器の有するフロート(浮き子)の上下変化を電気信号等に変えて警報する方法が採用されている。このような液面警報器を採用するものとして下記特許文献1が挙げられる。しかし、この方法は、長期間、間断なく電気信号を測定しなければならない。
【0003】
また、液漏れの検出対象が有機溶液の場合には、引火、爆発のおそれを解消するために、装置には防爆のためのカバーを取り付ける必要があり、液漏れの発生を視認により確認することができない。
【特許文献1】特開2000−121414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、従来の液漏れ検出装置を用いた場合に、長期間、間断なく電気信号を測定しなければならない点、防爆型においては液漏れの発生を視認により確認することができない点である。したがって、本発明の目的は、長期間、間断なく電気信号を測定する必要がなく、また、装置が覆われていても液漏れを容易に確認することができる、液漏れ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に基づいた液漏れ検出装置においては、液体の漏れを報知するために用いられる液漏れ検出装置であって、漏れた液体を蓄積する容器と、気体を送風する送風管と、上記送風管の一方端側に連結され、上記送風管内に気体を送り出す送風装置と、上記送風管の他方端側に連結され、上記送風管内に送り出された気体を用いて鳴らされる警笛と、上記容器に蓄積された液体の液面に浮かぶフロートと、上記送風管の途中領域に設けられ、上記送風管の管路を閉鎖する状態と開放する状態とを切り替える切替弁と、上記フロートと上記切替弁とを連結し、上記液体の液面高さが許容高さを超えた際に上記切替弁を閉状態から開状態に切り替えて上記警笛に気体を送り込むためのリンク機構と、を有している。
【発明の効果】
【0006】
この発明に基づいた液漏れ検出装置によれば、警笛に気体を送り込むための送風管内の途中領域に切替弁を設け、この切替弁の開閉制御を電気信号ではなく、フロートと切替弁とを連結し、液体の液面高さが許容高さを超えた際に切替弁を閉状態から開状態に切り替えて警笛に気体を送り込むためのリンク機構を用いている。
【0007】
これにより、長期間、間断なく電気信号を測定する必要がなく、液体の液面高さが許容高さを超えた際には、リンク機構により切替弁が開状態となり、警笛が鳴らされることで、装置の使用者・管理者等に、報知することができる。
【0008】
また、防爆型の装置においては、漏れた液体を蓄積する容器が覆われ、容器内部を確認することができないが、このような場合でも、警笛が鳴らされることで、装置の使用者・管理者等に、液体の漏れが許容範囲を超えていることを容易に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明に基づいた実施の形態における液漏れ検出装置について、図1から図3を参照して説明する。本実施の形態においては、水溶液や有機溶液の液体の圧送に用いられるダイヤフラムポンプに、本発明に基づく液漏れ検出装置を適用した場合について説明する。なお、図1は、本実施の形態における液漏れ検出装置200の概略構成を示す図であり、図2は、本実施の形態における液漏れ検出装置200の詳細構造を示す拡大断面図であり、図3は、本実施の形態における液漏れ検出装置200が作動した状態を示す拡大断面図である。
【0010】
(ダイヤフラムポンプ100)
ダイヤフラムポンプ100は、内部に設けられるダイヤフラムをはじめポンプ本体の表面がフッ素樹脂等により覆われ、金属イオンによる汚染防止、腐食性の雰囲気中での使用を可能としている。ダイヤフラムポンプ100は、駆動源(送風装置)107として圧縮気体や高圧ガス(例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素など)等の圧縮気体が用いられ、圧縮気体送風管103が、スプール弁102を介して、ダイヤフラムポンプ100の本体に導入されている。ダイヤフラムポンプ100には、消音装置としてサイレンサ105が、配管104を介して設けられている。
【0011】
また、本ダイヤフラムポンプ100が、有機溶液の圧送に用いられる場合、防爆構造であることが要求される。そのため、ダイヤフラムポンプ100自体が、金属板などからなる防護カバー110により覆われている。したがって、ダイヤフラムポンプ100の駆動時には、ダイヤフラムポンプ100そのものを直接見ることはできない。
【0012】
ダイヤフラムポンプ100における液漏れが発生する主要箇所は、配管104およびサイレンサ105を通じて発生することが経験的に知られている。そこで、本実施の形態においては、配管104に、液漏れ検出装置200を配設している。以下、この液漏れ検出装置200の詳細構造について、図2を参照して説明する。
【0013】
(液漏れ検出装置200)
図2に示すように、本実施の形態における液漏れ検出装置200は、ダイヤフラムポンプ100から漏れた液体を蓄積する容器201を有している。また、駆動源(送風装置)107からダイヤフラムポンプ100へ送られる圧縮気体送風管103から分岐する分岐送風管202が設けられ、この分岐送風管202の一端には、分岐送風管202内に送り出された圧縮気体を用いて鳴らされる警笛204が連結されている。
【0014】
容器201の内部においては分岐送風管202が通過するとともに、分岐送風管202の途中領域に、分岐送風管202の管路を閉鎖する状態と開放する状態とを切り替える切替弁206が設けられている。分岐送風管202は、切替弁206を挟んで、第1送風管202aと第2送風管202bとを有し、警笛204は、第2送風管202bに連結されている。
【0015】
切替弁202は、弁体206aと、この弁体206aを摺動可能に収容し、第1送風管202aおよび第2送風管202bに連結される弁体収容管206bとを有している。第1送風管202aは、弁体収容管206bの一端側に連結され、第2送風管202bは、弁体収容管206bの中間領域に交差するように連結されている。弁体206aは、弁体収容管206bと第2送風管202bとの連結口を、閉鎖する位置と開放する位置との間を摺動することで、分岐送風管202の管路を閉鎖する状態と開放する状態との実現を可能とする。
【0016】
容器201内には、容器201内に蓄積された液体の液面に浮かぶフロート205が配設され、このフロート205と切替弁206との間には、リンク機構207が設けられている。リンク機構207の具体的構成としては、第1リンクバー207aと第2リンクバー207cとを有し、第1リンクバー207aと第2リンクバー207cとは、略V字形状を構成するように連結され、この連結部207bが回転自在に軸支持されている。第1リンクバー207aの一端側は弁体206aに当接し、第2リンクバー207cの一端側にはフロート205が連結されている。
【0017】
上記構成からなる液漏れ検出装置200によれば、まず、図2に示す状態では、容器201内には、液体は蓄積されていない。その結果、フロート205は、容器201の底に位置する。また、弁体206aは、第1リンクバー207aに押されて、弁体収容管206bと第2送風管202bとの連結口を閉鎖する位置に留まることになる。なお、弁体206aには、第1送風管202a側から圧縮気体圧が加わるが、この圧縮気体圧により弁体206aが第1リンクバー207aを押して移動することはない。
【0018】
次に、図3を参照して、液体が、容器201内に蓄積され、液体の液面高さが許容高さを超えた場合について説明する。フロート205が液体の液面の上昇にともない上昇する。その結果、リンク機構207が、連結部207bを回転中心として、反時計方向に回転する。
【0019】
これにより、第1リンクバー207aが、図中の左方向に移動する。弁体206aには、第1送風管202a側から圧縮気体圧が加わっていることから、弁体206aも、図中の左方向に移動する。その結果、弁体206aは、弁体収容管206bと第2送風管202bとの連結口を開放する位置に移動する。
【0020】
弁体206aが、弁体収容管206bと第2送風管202bとの連結口を開放する位置に移動することで、第1送風管202aの流路F1と第2送風管202bの流路F2とが、弁体収容管206bを介して連通し、警笛204に圧縮気体が送りこまれ、警笛204が大きく鳴ることになる。
【0021】
以上、本実施の形態における液漏れ検出装置によれば、警笛204に圧縮気体を送り込むための分岐送風管202の途中領域に切替弁206を設け、この切替弁206の開閉制御を電気信号ではなく、フロート205と切替弁207とを連結し、液体の液面高さが許容高さを超えた際に切替弁207を閉状態から開状態に切り替えて警笛204に気体を送り込むためのリンク機構207を用いている。
【0022】
これにより、長期間、間断なく電気信号を測定する必要がなく、液体の液面高さが許容高さを超えた際には、リンク機構207により切替弁207が開状態となり、警笛204が鳴らされることで、装置の使用者・管理者等に、報知することができる。
【0023】
さらに、本実施の形態に示すように、液体として液体を用いた場合には、ダイヤフラムポンプ100の駆動時に、ダイヤフラムポンプ100そのものを直接見ることはできないが、このような場合であっても、上記した比較的簡易な機構からなる液漏れ検出装置200の採用で、装置の使用者・管理者等に、液体の漏れが許容範囲を超えていることを容易に報知することができる。
【0024】
なお、本実施の形態においては、ダイヤフラムポンプを用いて液体を圧送する場合について説明したが、ダイヤフラムポンプに限らず、様々な形式のポンプに本発明の液漏れ検出装置を適用することが可能である。また、液漏れ検出の対象は、ポンプに限らず、液漏れ検知が必要な装置に対して、本発明の液漏れ検出装置を広く適用することが可能である。さらに、送風装置として、ダイヤフラムポンプの駆動に用いられる圧縮気体を兼用する場合について説明しているが、警笛を鳴らすことができる専用の送風装置や高圧ガス(例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素など)ラインを別途設けることも可能である。
【0025】
以上、本発明に基づく実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明に基づいた実施の形態における液漏れ検出装置の概略構成を示す図である。
【図2】この発明に基づいた実施の形態における液漏れ検出装置の詳細構造を示す拡大断面図である。
【図3】この発明に基づいた実施の形態における液漏れ検出装置が作動した状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0027】
100 ダイヤフラムポンプ、102 スプール弁、103 圧縮気体送風管、104 配管、105 サイレンサ、107 駆動源(送風装置)、110 防護カバー、200 液漏れ検出装置、201 容器、202 分岐送風管、202a 第1送風管、202b 第2送風管、204 警笛、205 フロート、206 切替弁、206a 弁体、206b 弁体収容管、207 リンク機構、207a 第1リンクバー、207b 連結部、207c 第2リンクバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の漏れを報知するために用いられる液漏れ検出装置であって、
漏れた液体を蓄積する容器と、
気体を送風する送風管と、
前記送風管の一方端側に連結され、前記送風管内に気体を送り出す送風装置と、
前記送風管の他方端側に連結され、前記送風管内に送り出された気体を用いて鳴らされる警笛)と、
前記容器に蓄積された液体の液面に浮かぶフロートと、
前記送風管の途中領域に設けられ、前記送風管の管路を閉鎖する状態と開放する状態とを切り替える切替弁と、
前記フロートと前記切替弁とを連結し、前記液体の液面高さが許容高さを超えた際に前記切替弁を閉状態から開状態に切り替えて前記警笛に気体を送り込むためのリンク機構と、
を備える、液漏れ検出装置。
【請求項2】
送風装置から送り出される圧縮気体を駆動源とするダイヤフラムポンプの液漏れ検出装置であって、
前記ダイヤフラムポンプから漏れた液体を蓄積する容器と、
前記送風装置からダイヤフラムポンプに向かう送風管から分岐する分岐送風管と、
前記分岐送風管に連結され、前記分岐送風管)内に送り出された気体を用いて鳴らされる警笛と、
前記容器に蓄積された液体の液面に浮かぶフロートと、
前記分岐送風管の途中領域に設けられ、前記分岐送風管の管路を閉鎖する状態と開放する状態とを切り替える切替弁と、
前記フロートと前記切替弁とを連結し、前記液体の液面高さが許容高さを超えた際に前記切替弁を閉状態から開状態に切り替えて前記警笛に気体を送り込むためのリンク機構と、
を備える、ダイヤフラムポンプの液漏れ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−236723(P2009−236723A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84009(P2008−84009)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】