説明

液状体の回転式スプレイ塗布方法及び装置

【課題】 表面に多数の微細な凹凸パターンでなる突起を有する被塗物へ成膜する際に、生産性を上げると共に、塗布むらをなくし均一にかつ薄く塗膜を形成させて塗布膜品質を大幅に向上させ得る液状体の回転式スプレイ塗布方法及び装置を提供する。
【解決手段】 搬送装置23により搬送される被塗物5に、回転中心Aを中心として回転する回転円周軌道B上に複数個配置されたスプレイガン40から液状体をスプレイして塗布するに当って、該スプレイガンを、その液状体のスプレイパターンが、表面に頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起5aを有した被塗物5の該突起の頂部S、谷部V及び側部DS、RS、US、LSに向けてスプレイされるように、該回転円周軌道B上に該被塗物の表面と所定角度α、θを有して向き合うにように取付け、液状体を該突起の頂部、谷部及び側部でなる塗布面に略均一にかつ薄い成膜を形成するように塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体シリコーンウェハー、ガラス基板、各種樹脂部材、及び金属平板等の被塗物に、液状フォトレジスト剤、表面保護膜剤、及び機能性塗布剤等の液状体を高速でスプレイ塗布して成膜するに際し、塗布付着効率の向上と塗布むらをなくし、均一に薄く成膜形成する回転式スプレイ塗布方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体シリコーンウェハーやガラス基板等の被塗物に乾燥膜厚10μ以下のレジスト剤や機能膜を成膜する場合、スピンコーターや、バーコーター等の塗布技術が盛んに使用されている。
【0003】
しかし、半導体シリコーンウェハーやガラス基板が平板状のものやレジスト剤を塗布する表面が平面状であればそれで良いが、図13に示すような平板状に数十ミクロンの凹凸パターン群Nの溝を持った(アスペクト比が大きい)、窪みや穴が空いていたりする場合は、スピンコーターやロールコーター及びスリットコーター等で塗布する際、段差の側面部や穴も含めての成膜は困難である。そのため、塗布材料をスプレイして成膜する方法が検討される。
【0004】
そのスプレイ方式は2流体スプレイ(俗にエアスプレイという)や、エアレススプレイ又は遠心力霧化式等の1流体スプレイがあるが、薄膜形成の場合は、液の微細な微粒化と低吐出量域での吐出安定性が薄膜を作成する絶対条件になるため、2流体スプレイが使用される。その場合、スプレイ霧化の欠点でもあるオーバースプレイミストが発生し、通常塗着効率が50%以下になってしまい被塗物用支持治具や同移動用コンベアが汚染され、それらの洗浄手入れに多くの工数も費やされ量産としての実用性が問題になる。
【0005】
また、これに静電気を印加して(一般に50〜100KV)塗着効率を増大しようとした場合、被塗物表面の表面固有抵抗値が10Ω/cm以下であれば静電気の力が作用して被塗物の平板周囲部に塗布粒子が集まり膜厚が平板周囲が厚く、中央部が薄くなる。また表面固有抵抗値が10Ω/cmよりも大きいと静電反発を起こして逆に塗布粒子は付着しずらくなる。そのため2流体スプレイ塗布で50%以上の塗着効率を向上させ、薄膜形成することとして次の方式がとられている。
【0006】
スプレイ塗布による成膜形成の場合、10μ以下の乾燥膜厚を得るには塗布液を霧化された粒径は通常1μ〜10μ前後に形成されるが、塗膜のムラや膜厚バラツキを低減させる塗布条件、及び発泡等がなくしかも塗布液の飛散を低減させる塗布条件は、被塗物への付着時のスプレイ霧化パターンP幅を50mm以下のようにできるだけ狭くし、0.3MPa以下の低い霧化エア圧力で吐出量も50cc/min以下に下げて何回も薄く塗り重ねするスプレイ方法が基本である。
すなわち、図12及び図14に示すように、塗布ガン4を直交座標型ロボットに搭載させて直交座標型ロボットY軸2の方向に往復動作させながらその往復動作の90度の直交座標型ロボットX軸1方向にスプレイ霧化パターンP幅の1/2以下の塗り重ねピッチで、被塗物5に対し連続塗布していくことが精度の良い膜厚を得るには必要となる。
【0007】
その場合、被塗物5の生産性をあげるには、塗布ガン4を複数持たせて塗布パターンを広くするか、直交座標型ロボットの塗布速度を早くすることが必要となる。ただ直交座標型ロボットの動作限界速度としては現在のものではせいぜい毎秒1mであるため、精度の良い膜厚を維持しながらの被塗物生産速度は直交座標型ロボット速度に依存してしまう。例えば直交座標型ロボットの動作限界速度が毎秒1mで、20mmのパターン幅を有する塗布ガンを1ガンとして、図13に示すような凹凸パターン群Nを持った1平方mの被塗物でビア(孔)又は突起5aの高さ(H1)50ミクロン、トップビア幅(R1)80ミクロン、ボトムビア幅(Q)50ミクロンとしたときの、凹凸パターンの各面をそれぞれ10μの成膜をスプレイで形成する場合、X軸1、Y軸2各方向から塗布ガン移動ピッチを5mmピッチでは10分以上は費やしてしまう。
【0008】
また、塗布ガン4を直交座標型ロボットZ軸3に複数持たせ、スプレイ霧化パターンPを一度に多数作成させて塗布ガン移動ピッチ間隔を広げる方法もあるが、各ガンの吐出量管理等でばらつきを生じたやすく、塗布膜のムラを発生しやすくなりあまり適さない。そのため0.5平方メートルの被塗物でさえもスプレイで薄膜形成する場合、生産性が良くないことが短所となっていた。このように上記の直線的動作の塗り重ね方式によって、塗布ムラの発生を抑えることや、生産速度の大幅向上を実現することは困難であった。
【0009】
一方、塗布生産性を向上させる塗布方法として、例えば特許文献1に記載されているような回転式スプレイ塗布装置(ロータリースプレー塗装装置)を適用することが考えられる。この回転式スプレイ塗布方法は、既に一般に塗装業界で瓦塗装とか、外壁建材への上塗り塗装等で一部使用されている。
【特許文献1】 特開2000−61364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のごとく、半導体シリコーンウェハーや大型ガラス基板等の被塗物に、液状フォトレジスト剤及び表面保護膜剤や機能性塗布剤等の液状体を高速でスプレイ塗布して成膜する際、塗布付着効率の向上と塗布むらをなくし、均一に薄く成膜形成するように塗布する上で、スピンコートやスリットコート及びロールコート方式では凹凸面を有する平板被塗物は均一性がなく、また前記直交座標型ロボットによるスプレイ方法では、ある一定の塗着効率を維持しながら塗布しようとすれば生産性が満足できないという問題がある。
【0011】
そして、生産性を向上させるために前記特許文献1に記載されているような回転式スプレイ塗布方法を、単に、表面に多数の微細な凹凸パターンでなる突起を有する半導体シリコーンウェハーやガラス基板及び各種樹脂部材等の被塗物へのスプレイ塗布に適用するだけでは、該無数の突起が形成される段差の側面部や穴、谷部などに所望する均一な薄膜形成はできないという問題がある。
【0012】
本発明は、前記の問題を解決しようとするものであり、半導体シリコーンウェハーやガラス基板等の表面に多数の微細な凹凸パターンでなる突起を有する被塗物へ成膜する際に、生産性を上げると共に、塗布むらをなくし均一にかつ薄く塗膜を形成させて塗布膜品質を大幅に向上させ、塗布液の飛散も抑えることが可能な回転式スプレイ塗布方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記の目的を達成するために、次のような回転式スプレイ塗布方法及び装置とした。すなわち、
(1)搬送装置により搬送される被塗物に、該被塗物搬送面と平行でかつ該被塗物搬送面よりも上方の面内で回転中心を中心として回転する回転円周軌道上に、間隔をおいて複数個配置されたスプレイガンから液状体をスプレイして塗布する液状体の回転式スプレイ塗布方法であって、該搬送装置で搬送される被塗物はその表面に頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起を有しており、該スプレイガンを、その液状体のスプレイパターンが該突起の頂部、谷部及び側部に向けてスプレイされるように、該回転円周軌道上に該被塗物の表面と所定角度を有して向き合うにように取付け、液状体を該突起の頂部、谷部及び側部でなる塗布面に略均一にかつ薄い成膜を形成するように塗布する液状体の回転式スプレイ塗布方法とした。
【0014】
これにより、被塗物が搬送されつつ、スプレイガンが該被塗物を略横断しながら回転されて被塗物に液状体が噴出されて塗布されることにより、塗布の生産性があがると共に、塗布に際してスプレイガンは液状体のスプレイパターンが被塗物表面の多数の突起の頂部、谷部及び側部に向けてスプレイされるように所定の角度を向けられているので、効率良く該多数の突起の頂部、谷部及び側部に略均一にかつ薄い成膜が形成される。また、
【0015】
(2)前記(1)液状体の回転式スプレイ塗布方法において、該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、そのスプレイパターンが該回転円周軌道上のガン取付け部の鉛直線に対して回転方向寄りに0〜45度の方向に向くように設定するようにした。
【0016】
このことにより、スプレイパターンの向かう方向が被塗物の突起の頂部や谷部だけでなく側面のうちの特に被塗物の搬送方向(進行方向)と交差する側の側面にも向けられることになり、真上からスプレイパターンが噴射されることに比して頂部や谷部はもとより突起の側面をも効率良く塗布することができる。また、
【0017】
(3)前記(2)の液状体の回転式スプレイ塗布方法において、該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、さらに、スプレイパターンが、該回転円周軌道上のガン取付け部の接線に対して外側に0〜45度の方向に向くように設定するようにした。
【0018】
このことにより、前記スプレイパターンの向かう方向が被塗物の突起の頂部や谷部のみでなく、突起の側面のうちの特に被塗物の搬送方向(進行方向)側に位置する側面にも向けられることになり、真上からスプレイパターンが噴射されることに比して突起の該側面をも効率良く塗布することができ、したがって前記突起の搬送方向と交差する側の側面に加えて、搬送方向側に位置する側面をも塗布することができ、突起の頂部、谷部及び側部を効率良く塗布することができる。また、
【0019】
(4)前記(3)の液状体の回転式スプレイ塗布方法において、搬送されている被塗物に対して、該回転円周軌道上を回転するスプレイガンにより搬送方向上流側において該被塗物表面の突起の下流側の側部(即ち被塗物の搬送方向側の側部)及び左右(即ち被塗物の搬送方向と交差する側)の一方側の側部を塗布するようにし、搬送方向下流側において該被塗物表面の突起の上流側の側部及び左右の他方側の側部を塗布するようにし、搬送方向の上流側と下流側においてそれぞれ頂部及び谷部を塗布するようにした。
【0020】
このことにより、被塗物の上流側と下流側で塗布するので塗布生産性が確実に向上されると共に突起の全ての側部が塗布され、また突起の頂部と谷部は斜めからスプレイパターンが噴射され側部の塗布に比べて粒子の密度が薄くなっても上流側と下流側で少なくとも2回塗布されるので突起の頂部、谷部及び側部に対して略均一厚みの塗膜を効率良く塗布することができる。また、
【0021】
(5)前記(1)〜(4)の液状体の回転式スプレイ塗布方法において、該被塗物は、その表面の該頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起が5〜300μmの段差パターンをもつ平板状被塗物とした。
【0022】
これにより、該段差パターンの多数の微細な突起を有する平板被塗物に対して該突起の頂部、谷部及び側部に対して略均一厚みの塗膜を効率良く塗布することができる。また、
【0023】
(6)前記(1)〜(5)の液状体の回転式スプレイ塗布方法において、該スプレイガンは、気体で液状体を霧化する2流体スプレイガンであり、該2流体スプレイガンは該回転円周軌道に等間隔で2〜12箇所配設され、該回転円周軌道の直径及び回転速度はそれぞれ500mm〜1500mm及び20〜80RPMであり、被塗物の搬送速度は1〜10m/minであり、該被塗物の表面と該2流体スプレイガンのノズルの吐出口先端との距離が30〜200mmであり、該被塗物は、塗布に先立ち温度が20〜80℃に予熱されたものであり、該液状体は、粘度が10〜800CPSであるとよい。
【0024】
これにより、2流体スプレイガンによって液の微細な微粒化と低吐出量域での吐出安定性が維持されて薄膜形成が達成され、かつ上記の各数値範囲内の適宜な値を採用することにより、生産性よく、被塗物の突起の頂部、谷部及び側部の表面に対して所望する薄い膜厚、例えば10μ前後の膜厚の塗膜を効率よく塗布することができるようになる。この場合、被塗物が予め該所定温度に予熱されることにより、塗布された液状体の溶媒が蒸発されて固形分が多くなるため、例えば突起の角や側面に塗布された液状体の垂れが防がれ付着が良好となり、頂部や谷部との膜厚の変化の少ないものとなり塗布むらが少なくなり全体的に薄い成膜が形成されることになる。また、
【0025】
(7)前記(6)の液状体の回転式スプレイ塗布方法において、該2流体スプレイガンは、先端部が角度3〜10度の長細く尖ったニードルと、該ニードル先端部との間で弁機構を構成し、該ニードル先端部に対応した形状の第1ノズル孔を有し該第1ノズル孔の出口径が0.2〜0.6mmである第1ノズルと、該第1ノズル孔の出口周囲を取り囲んで該第1ノズルとの間で環状の霧化用圧縮気体通路を形成し、下端に口径0.8〜1.5mmの第2ノズル孔を形成した第2ノズルと、該ニードルの後端部と当接可能に設けられ、該針状ニードル先端部と該第1ノズルの第1ノズル孔との開き間隙を極微小量調整可能なようにニードルの移動距離を8〜15μ単位で移動可能に設けたニードル移動量調整装置と、を有し、液状体吐出時に該ニードル移動量調節装置により該ニードル先端部と第1ノズル孔との間隙を調整して第1ノズルの第1ノズル孔から該ニードル先端部に沿って液状体を滲み出させながら該霧化用圧縮気体通路を流れる圧力が0.01〜0.4MPaである第1霧化用圧縮気体によって微粒化させつつ第2ノズルの第2ノズル孔から噴出させることにより、吐出液圧0.01〜0.4MPa、吐出量0.1〜30.0cm/minの液状体を吐出することにより、少量の液状体をスプレイする2流体スプレイガンとした。
【0026】
これにより、ニードル移動量調節装置、例えばマイクロアジャスト、によって、ニードル先端部と第1ノズル孔との間隙が極微小量、調整可能とされて少量の液状体が霧化されて第2ノズルから噴出(スプレイ)され、吐出量制御の熟練を要せず、再現性良く、少量の液体の定量吐出量の制御調整を容易に且つ確実に行なうことができる。したがって、被塗物の突起の頂部、谷部及び側部の表面に対して所望する薄膜、例えば10μ前後の薄い膜厚の塗膜を効率よく塗布することができるようになる。また、
【0027】
(8)前記(7)の液状体の回転式スプレイ塗布方法において、該第2ノズルの下端部に該第2ノズル孔を囲むようにして口径が1.0〜2.0mmの第3ノズル孔を有し該第3ノズル孔の周囲に第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体の複数の供給通路を形成した第3ノズルをさらに設け、該第2ノズル孔から噴出した噴出流を該第3ノズル孔を通して噴出させつつ該複数の圧縮気体供給通路から圧力が0.01〜0.4MPaである第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体を供給して衝突させることにより、該噴出流をさらに微粒化させ、かつ旋回させて拡散させ、被塗物に塗布するようにした。
【0028】
これにより、第2ノズルからスプレイされる噴出流がさらに微粒化される。同時に該噴出流は旋回されるのでスプレイ流が拡散される。これにより、被塗物の表面の突起の頂部、谷部及び側部の表面に対して薄い膜厚の塗膜を効率よく塗布することができるようになる。また、
【0029】
(9)前記(1)〜(8)の液状体の回転式スプレイ塗布方法において、該被塗物は、半導体シリコーンウェハー又はガラス基板又は各種透明部材又は各種樹脂部材又は金属平板であり、該液状体は、フォトレジスト剤又は表面保護膜剤又は機能性塗布剤とした。
【0030】
これにより、被塗物としての半導体シリコーンウェハー又はガラス基板又は各種樹脂部材又は金属平板に、液状体としての液状フォトレジスト剤又は表面保護膜剤又は機能性塗布剤を高速でスプレイ塗布して塗布付着効率の向上と塗布むらをなくし、均一に薄く成膜形成することができる。また、
【0031】
(10)搬送装置により搬送される被塗物に、該被塗物搬送面と平行でかつ該被塗物搬送面よりも上方の面内で回転中心を中心として回転する回転円周軌道上に、間隔をおいて複数個配置されたスプレイガンから液状体をスプレイして塗布する液状体の回転式スプレイ塗布装置であって、該搬送装置で搬送される被塗物はその表面に頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起を有しており、該スプレイガンを、その液状体のスプレイパターンが該突起の頂部、谷部及び側部に向けてスプレイされるように、該回転円周軌道上に該被塗物の表面と向き合う角度を調整可能に取付け、液状体を該突起の頂部、谷部及び側部でなる塗布面に略均一にかつ薄い成膜を形成するように塗布する液状体の回転式スプレイ塗布装置とした。
【0032】
これにより、被塗物が搬送されつつ、スプレイガンが該被塗物を略横断しながら回転されて被塗物に液状体が噴出されて塗布されることにより、塗布の生産性があがると共に、塗布に際してスプレイガンは液状体のスプレイパターンが被塗物表面の多数の突起の頂部、谷部及び側部に向けてスプレイされるように被塗物の表面と向き合う角度を調整可能に取付けられているので、該角度を所望の角度となるように調節することにより、該多数の突起の頂部、谷部及び側部に略均一にかつ薄い成膜を効率よく形成させることができるようになる。また、
【0033】
(11)前記(10)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、そのスプレイパターンが該回転円周軌道上のガン取付け部の鉛直線に対して回転方向寄りに角度0〜45度の方向に向くように該角度範囲で調整可能に取付けた。
【0034】
これにより、スプレイパターンの向かう方向が被塗物の突起の頂部や谷部だけでなく突起の側面のうちの特に被塗物の搬送方向(進行方向)と交差する側の側面にも向けられることになり、真上からスプレイパターンが噴射されることに比して頂部や谷部はもとより突起の該側面をも効率良く塗布することができる。そして、この場合、スプレイガンの被塗物の表面と向き合う角度をスプレイパターンが該回転円周軌道上のガン取付け部の鉛直線に対して回転方向寄りに角度0〜45度の範囲内で所望の角度に調整可能となることにより被塗物の突起の形状、すなわち頂部、谷部、側部の形状の違いに応じてスプレイパターンの適切な投入角度を選ぶことができ、均一な塗膜を形成できるようになる。また、
【0035】
(12)前記(11)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、さらに、スプレイパターンが、該回転円周軌道上のガン取付け部の接線に対して外側に角度0〜45度の方向に向くように該角度範囲で調整可能に取付けた。
【0036】
これにより、前記スプレイパターンの向かう方向が被塗物の突起の頂部や谷部だけでなく被塗物の突起の側面のうちの特に搬送方向(進行方向)側に位置する側面にも向けられることになり、真上からスプレイパターンが噴射されることに比して突起の該側面をも効率良く塗布することができ、したがって前記突起の搬送方向と交差する側の側面に加えて、搬送方向側に位置する側面をも塗布することができ、突起の頂部、谷部及び側部を効率良く塗布することができる。そして、この場合、スプレイガンの被塗物の表面と向き合う角度を、スプレイパターンが該回転円周軌道上のガン取付け部の接線に対して外側に該0〜45度の範囲内で所望の角度に調整可能となることにより、被塗物の突起の形状、すなわち頂部、谷部、側部の形状の違いに応じてスプレイパターンの適切な投入角度を選ぶことができ、均一な塗膜を形成できるようになる。また、
【0037】
(13)前記(12)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、搬送されている被塗物に対して、該回転円周軌道上を回転するスプレイガンにより搬送方向上流側において該被塗物表面の突起の下流側の側部及び左右の一方側の側部を塗布するようにし、搬送方向下流側において該被塗物表面の突起の上流側の側部及び左右の他方側の側部を塗布するようにし、搬送方向の上流側と下流側においてそれぞれ頂部及び谷部を塗布するようにした。
【0038】
これにより、被塗物の上流側と下流側で塗布するので塗布生産性が確実に向上されると共に突起の全ての側部が塗布され、また突起の頂部と谷部は斜めからスプレイパターンが噴射され側部の塗布に比べて粒子の密度が薄くなっても上流側と下流側で少なくとも2回塗布されるので突起の頂部、谷部及び側部に対して略均一厚みの塗膜を効率良く塗布することができる。また、
【0039】
(14)前記(10)〜(13)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、該被塗物は、その表面の該頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起が5〜300μmの段差パターンをもつ平板状被塗物とした。
【0040】
これにより、該段差パターンの多数の微細な突起を有する平板被塗物に対して該突起の頂部、谷部及び側部に対して略均一厚みの塗膜を効率良く塗布することができる。また、
【0041】
(15)前記(10)〜(14)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、該スプレイガンは、気体で液状体を霧化する2流体スプレイガンであり、該2流体スプレイガンは該回転円周軌道に等間隔で2〜12箇所配設され、該回転円周軌道の直径及び回転速度はそれぞれ500mm〜1500mm及び20〜80RPMであり、被塗物の搬送速度は1〜10m/minであり、該被塗物の表面と該2流体スプレイガンのノズルの吐出口先端との距離が30〜200mmであり、該被塗物は、塗布に先立ち温度が20〜80℃に予熱されたものであり、該液状体は、粘度が10〜800CPSとした。
【0042】
これにより、2流体スプレイガンによって液の微細な微粒化と低吐出量域での吐出安定性が維持されて薄膜形成が達成され、かつ上記の各数値範囲内の適宜な値を採用することにより、生産性よく、被塗物の突起の頂部、谷部及び側部の表面に対して所望する薄い膜厚、例えば10μ前後の膜厚の塗膜を効率よく塗布することができるようになる。この場合、被塗物が予め該所定温度に予熱されることにより、塗布された液状体の溶媒が蒸発されて固形分が多くなるため、例えば突起の角や側面に塗布された液状体の垂れが防がれ付着が良好となり、頂部や谷部との膜厚の変化の少ないものとなり塗布むらが少なくなり全体的に薄い成膜が形成されることになる。また、
【0043】
(16)前記(15)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、該2流体スプレイガンは、先端部が角度3〜10度の長細く尖ったニードルと、該ニードル先端部との間で弁機構を構成し、該ニードル先端部に対応した形状の第1ノズル孔を有し該第1ノズル孔の出口径が0.2〜0.6mmである第1ノズルと、該第1ノズル孔の出口周囲を取り囲んで該第1ノズルとの間で環状の霧化用圧縮気体通路を形成し、下端に口径0.8〜1.5mmの第2ノズル孔を形成した第2ノズルと、該ニードルの後端部と当接可能に設けられ、該針状ニードル先端部と該第1ノズルの第1ノズル孔との開き間隙を極微小量調整可能なようにニードルの移動距離を8〜15μ単位で移動可能に設けたニードル移動量調整装置と、を有し、液状体吐出時に該ニードル移動量調節装置により該ニードル先端部と第1ノズル孔との間隙を調整して第1ノズルの第1ノズル孔から該ニードル先端部に沿って液状体を滲み出させながら霧化用圧縮気体通路を流れる圧力が0.01〜0.4MPaである第1霧化用圧縮気体によって微粒化させつつ第2ノズルの第2ノズル孔から噴出させることにより、吐出液圧0.01〜0.4MPa、吐出量0.1〜30.0cm/minの液状体を吐出することにより、少量の液状体をスプレイする2流体スプレイガンとした。
【0044】
これにより、ニードル移動量調節装置、例えばマイクロアジャスト、によって、ニードル先端部と第1ノズル孔との間隙が極微小量、調整可能とされて少量の液状体が霧化されて第2ノズルから噴出(スプレイ)され、吐出量制御の熟練を要せず、再現性良く、少量の液体の定量吐出量の制御調整を容易に且つ確実に行なうことができる。したがって、被塗物の突起の頂部、谷部及び側部の表面に対して所望する薄膜、例えば10μ前後の薄い膜厚の塗膜を効率よく塗布することができるようになる。また、
【0045】
(17)前記(16)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、該第2ノズルの下端部に該第2ノズル孔を囲むようにして口径が1.0〜2.0mmの第3ノズル孔を有し該第3ノズル孔の周囲に第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体の複数の供給通路を形成した第3ノズルをさらに設け、該第2ノズル孔から噴出した噴出流を該第3ノズル孔を通して噴出させつつ該複数の圧縮気体供給通路から圧力が0.01〜0.4MPaである第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体を供給して衝突させることにより、該噴出流をさらに微粒化させ、かつ旋回させて拡散させ、被塗物に塗布するようにした。
【0046】
これにより、第2ノズルからスプレイされる噴出流がさらに微粒化される。同時に該噴出流は旋回されるのでスプレイ流が拡散される。これにより、被塗物の表面の突起の頂部、谷部及び側部の表面に対して薄い膜厚の塗膜を効率よく塗布することができるようになる。また、
【0047】
(18)前記(10)〜(17)の液状体の回転式スプレイ塗布装置において、さらに、スプレイ位置よりも上流側の該被塗物搬送装置の搬送部に設けた被塗物の幅及び長さを検知する被塗物検知センサと、該被塗物検知センサの信号に基づき該2流体スプレイガンの各々の塗布液及び霧化用圧縮気体の供給、停止を被塗物の幅及び長さに応じて司るためのガン吐出制御装置と、被塗物搬送装置の搬送面の下部に設けた被塗物を20℃〜100℃に加温可能なヒーターと、少なくとも被塗物搬送装置の被塗物搬送方向に沿う縁部に設けられスプレイミストの該ヒーターへの付着を防ぐためのエアカーテン噴出口とを設けた。
【0048】
これによって、被塗物は、搬送装置に載せられて、塗布開始に先立ち被塗物搬送装置の搬送面の下部に設けたヒーターにより20℃〜100℃に予熱される。そして被塗物は、所定温度に予熱された後、搬送装置により回転式スプレイ塗布装置に送られ、被塗物検知センサによって検知され、その検知信号がガン吐出制御装置に入力される。ガン吐出制御装置はその被塗物検知信号に基づき、回転円周軌道で回転している複数のスプレイガンのうち被塗物の側面から被塗物に最も接近して来たスプレイガンの弁機構を開く動作と霧化用圧縮気体を供給する動作を行なわせ、液状体(塗布液)の供給及び霧化用圧縮気体の供給が開始され、被塗物が塗布される。
【0049】
塗布されている間も、被塗物は該ヒーターによって加熱され所定温度に維持される。被塗物に付着しなかったスプレイミストは、エアーカーテン噴出口から上方へ噴出されて形成されるエアーカーテンにより搬送装置下部に位置するヒーター等の他部位への付着が防止されると共に飛散が抑えられる。
【発明の効果】
【0050】
前記したように、本発明では、表面に頂部と谷部が繰り返し形成された多数の微細な凹凸パターン等でなる突起を有する被塗物へ成膜する際に、生産性を上げることができると共に、塗布むらをなくし略均一にかつ薄い塗膜を形成させて塗布膜品質を大幅に向上させることができる。即ち、被塗物が特に数十ミクロンの凹凸を有する半導体シリコーンウェハーやガラス基板及び各種透明部材等である場合、液状体として液状フォトレジスト剤や表面保護膜剤及び機能性塗布剤等をスプレイ塗布する際に、従来の大きな欠点であった配線パターンエッジへの成膜不足、凹凸面の側面部の成膜不足や、従来のスプレイ塗布作業での塗布作業の生産速度が上がらないスループット(生産性)の弱小化を解消して、凹凸面各面部の均一な成膜と仕上がり向上と生産性アップが可能となり、塗布スプレイの連続量産作業が実現でき、材料使用量の削減、環境衛生の向上に大きく寄与し、次世代向けフラットパネルディスプレイ等のコスト削減に大きく貢献するなど、多くのメリットを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の被塗物送り出し装置と被塗物引き出し装置を備えた回転式スプレイ塗布装置の平面図(上図)及び正面図(下図)、図2は図1の回転式スプレイ塗布装置の部分を示す破断斜視図、図3は図2の回転式スプレイ塗布装置の部分の正面断面図、図4は本発明の回転円周軌道上に配されたスプレイガンの取付け状態の一実施形態を示す平面図、図5は図4のV〜V線矢視正面図、図6は本発明の実施形態の2流体スプレイガンの縦断面図、図7は図6のVII部の拡大図、図8は図7を底面視したときの第2、第3ノズル部分を示す図である。
【0052】
図9は凹凸形状パターンを有する被塗物の拡大説明図、図10は回転式スプレイ塗布装置による被塗物への液状体の塗布軌跡及び塗布状態を示す平面図、図11は本発明の被塗物送り出し装置と被塗物引き出し装置を備えた回転式スプレイ塗布装置の他の実施形態を示す平面図(上図)及び正面図(下図)である。
【0053】
先ず、図1、図2及び図3に示す回転式スプレイ塗布装置15について説明する。これら図1〜図3は2流体スプレガンを用いた大型ワーク用の回転式スプレイ塗布装置の実施形態を示すものであり、大型サイズのガラス基板又は各種透明部材等の被塗物5に、表面保護膜や機能性塗布剤等の塗布液(液状体)を高速でスプレイ塗布する2流体スプレガンを用いた量産型の回転式スプレイ塗布装置の実施形態を示すものである。
【0054】
回転式スプレイ塗布装置15は、周囲が壁で密閉されて形成された密閉室15bと、その内部に、被塗物の搬送方向と直行する方向(被塗物の幅方向)に間隔を空けてそれぞれ設けられ、かつ、被塗物の搬送方向に適宜の間隔をおいて搬送面が水平状態となるように設けられた複数の回転自在な被塗物搬送ローラ23で構成される被塗物搬送装置と、該被塗物搬送装置の搬送面と平行でかつ該被塗物搬送面よりも所定距離上方の面内で回転中心Aを中心として回転する回転円周軌道B上に2流体スプレイガン40を等間隔で複数個(本実施形態では8個)配置された回転式スプレイ装置本体15aと、該被塗物搬送装置の下部に後記する予熱ヒーターHで予め予熱された被塗物5をその温度に維持し続けるためヒーターとしての平面形状が矩形の遠赤外線ヒーター24と、該ヒーター24の外側周囲を取り囲むようにして、被塗物搬送装置(搬送ローラ23)支持部の外側に接して被塗物5の搬送方向に沿って延在すると共にその交差方向に配置され、上方に空気を噴出させてエアーカーテン25aを形成するためのエアーカーテン噴出口25と、該エアーカーテン噴出口25の外側周囲を取り囲むようにして、被塗物搬送装置に沿って延在して配置されると共にその交差方向に配置されてなる排気用バッフル板16から成る第1集塵装置と、その下部で間隔をおいて排気用内部ダクト32内に設置された排気フィルタ55でなる第2集塵装置と、から構成されている。
【0055】
図1の平面図(上図)の符号Cは2流体スプレイガン40の配置位置を示す。該回転式スプレイ装置本体15aは、その回転中心Aに位置した流体用回転継手20に取付けられ該継手20から回転円周軌道Bの円周方向に間隔を等しくして放射状に延びた複数本(本実施形態では8本)の水平回転式アーム19を有し、そのそれぞれの先端には2流体スプレイガン40が取付けられ、該アーム10の先端のスプレイガン取付け位置は該回転円周軌道Bを構成している。該回転式スプレイ装置本体15aの回転中心Aは、図1にも示すように平面視で該被塗物の搬送方向側の中心線5b上に位置している。
【0056】
該流体用回転継手20は可変速型ガン回転用電動機21により回転ギアボックス22及びベルト等の適宜の動力伝達機構を介して回転駆動される。回転ギアボックス22は密閉室15bの天井に支持されて取付けられている。また、該流体用回転継手20には、液状体(塗布液)配管及び圧縮空気(圧縮気体)配管がそれぞれ複数系列接続されて取付けられている。即ち、図3に示すように、密閉室15bには霧化エア用操作盤31と電磁弁及びバルブ箱28が設置され、該霧化エア用操作盤31と該流体用回転継手20の間には該電磁弁及びバルブ箱28を介してガン動作用エア配管30と霧化エア用エア配管29が接続されている。また、密閉室15bには塗布液供給ユニット26が設置され、該塗布液供給ユニット26と該流体用回転継手20の間には塗布液用配管27が接続されている。
【0057】
密閉室15bの天井には、図示していない給気(押込み)ブロワや給気ダクトでなる給気装置56が設置され、またその給気出口には給気フィルタ57が設けられている。密閉室15b内には該給気装置56及び給気フィルタ57により清浄空気が給気56aとして供給され、密閉室内で浮遊するスプレイミストを底部の集塵装置に誘導する。即ち、該給気56aは下方に行くにしたがいスプレイミストを伴って下降し下部の排気用バッフル板16に吸引される。密閉室内は常に給気が上方から下方にかけて平均風速0.2〜0.3m/秒で流通されている。
【0058】
該エアーカーテン噴出口25は、長尺のパイプ又はダクトの頂部に無数の空気噴出穴を直線上に穿って形成されている。該エアーカーテン噴出口25は、複数の長細状(スリット状)の空気噴出口として形成させても良い。第1集塵装置としての排気用バッフル板16は、多数の上方に突出して形成された排気流入穴と、その上部で該排気流入穴を覆うようにかつ該流入穴の外壁と僅かな隙間を持たせて排気が該流入穴に流入可能とした上部カバーとからなり、排気が該上部カバーの外周囲を下降して流れた後、該流入穴の外壁と該上部カバーの内壁との間の僅かの隙間を流通抵抗を付与されて通過上昇し、該上部カバーの天井内壁に衝突して反転、下降して内部ダクトに排出される構成とされている。
【0059】
また該第2集塵装置としての排気フィルタ55は繊維状フィルタで構成される。密閉室15b無いの排気に含まれるスプレイミストは排気が該排気用バッフル板16の排気流入穴の外壁と該上部カバーの僅かの隙間を通過上昇した後、該上部カバーの天井内壁に衝突して反転して下降する間で該流入穴の外壁と該上部カバーの内壁面で捕捉される。ここで半分以上の量のスプレイミストが集塵される。そして該排気フィルタ55でミストが最終的に除去される。清浄排気は排気用内部ダクト32を通過し排気チャンバー8に流入して排気口8aから外部へ排気される。なお排気口8aの下流には図示していない排気(吸引)ブロワが設置されている。
【0060】
図1に示すように、回転式スプレイ塗布装置15の被塗物搬送方向の上流側位置と下流側位置には、それぞれ被塗物送り出し装置I及び被塗物引き出し装置Jが設けられており、該被塗物送り出し装置I及び被塗物引き出し装置Jにはそれぞれ被塗物搬送ローラ23が回転式スプレイ塗布装置15の搬送ローラとそれぞれ上面高さ位置を等しくして設けられている。被塗物送り出し装置Iの下部には前記した被塗物5を予熱するための予熱用遠赤外線ヒーターHが設けられている。回転式スプレイ塗布装置15の密閉室15bの該被塗物送り出し装置I及び被塗物引き出し装置Jとの接続部には、それぞれ被塗物を該被塗物送り出し装置Iから回転式スプレイ塗布装置15に送り込むときに開かれる入口シャッター9a及び回転式スプレイ塗布装置15で塗布が完了した被塗物を回転式スプレイ塗布装置15から被塗物引き出し装置Jへ送り出すときに開かれる出口シャッター9bが取付けられている。
【0061】
該被塗物送り出し装置Iの被塗物搬送ローラ23の下流位置の回転式スプレイ塗布装置15の入口シャッター9aに近接した位置には、被塗物搬送ローラ23を挟む上下位置に透過型センサでなる被塗物検知センサ5cが設置されており、該被塗物検知センサ5cは被塗物送り出し装置Iを送られて来る被塗物5の幅及び長さを検知する。そして、被塗物検知センサ5cの検知信号は前記霧化エア用操作盤31と電磁弁及びバルブ箱28でなるガン吐出制御装置に送られ、各々の2流体スプレイガン40による塗布液及び霧化用圧縮空気の供給及び停止が行なわれる構成とされている。
【0062】
2流体スプレイガン40は、図4及び図5に示すように、その液状体のスプレイパターンが被塗物5表面の突起5aの頂部、谷部及び側部に向けてスプレイされるように、該回転円周軌道B上に該被塗物の表面と所定角度α、θを有して向き合うにように取付けられている。即ち、図5に示すように、該スプレイガン40の該被塗物5の表面と向き合う角度は、該スプレイガン40を正面視したとき、そのスプレイパターンの噴射方向SDが該回転円周軌道B上のガン取付け部の鉛直線VLに対してガンの回転方向(速度向い方向)寄りに0〜45度(本実施形態では15度)の方向に向くように設定される。即ち、ガン40は、そのスプレイパターンの噴射方向SDと回転円周軌道B上のガン取付け部の鉛直線VLとのなす角度θが0〜45度(本実施形態では15度)となるように取付け設定される。
【0063】
また、該スプレイガン40の該被塗物5の表面と向き合う角度は、図4に示すように、さらに、該スプレイガン40を平面視したとき、スプレイパターンの噴射方向SDが、該回転円周軌道B上のガン取付け部の接線TLに対して外側に0〜45度(本実施形態では15度)の方向に向くように設定されている。即ち、ガン40は、スプレイパターンの噴射方向SDと回転円周軌道B上のガン取付け部の接線TLとのなす角度αが0〜45度(本実施形態では15度)となるように取付け設定される。
【0064】
次に、図6〜図8に基づいて、本発明に適用される2流体スプレイガン40の実施形態を説明する。2流体スプレイガン40は液体(液状体、塗布液)を低吐出量、噴霧(噴射)するガンとして構成されており、中央に長くて極細のニードル本体48が上下動可能に位置されて設けられており、該ニードル本体48の上端部分にはエアピストン42bが固設されており、該エアピストン42bとエアピストンカバー42aとの間には、ニードル本体48を常に下方に付勢し(押圧し)、先端部が針状で長細く尖ったニードル先端部48aと第1ノズル47の第1ノズル孔47aとの間で構成される弁機構を閉じるためのばね42fが介装されている。該ニードル本体48とその周囲のガン本体41との間には液体供給通路46aが形成されており、その端部の配管46には前記塗布液用配管27(図3)が流体用回転継手20を介して接続される。
【0065】
該ガン本体41の下端部には第1ノズル47が固着されて取付けられている。第1ノズル47には該ニードル先端部48aが挿抜自在に嵌合可能である第1ノズル孔47aが該ニードル先端部の形状に対応したテーパ形状で形成されている。該第1ノズル47の外側には、第1ノズル47の周囲を取り囲んで第1ノズル47との間で下側に行くに従い断面積が小さくなる環状の第1霧化用圧縮気体の通路45aを形成し下端に第1ノズル孔47aの出口開口の周囲に絞られた小口径の第2ノズル孔49aを形成した第2ノズル49がガン本体41に固設されて取付けられている。即ち、第2ノズル49の内壁面は逆円錐形状に形成され下端は絞られて小口径D2の第2ノズル孔49aを形成している。該第2ノズル49の下端部には、第3ノズル50が固着されて取付けられており、該第3ノズル50はその出口開口で第2ノズル49の第2ノズル孔49aを取り囲むようにして形成されている。
【0066】
第3ノズル50には、図8にも示すように、平面視で第1ノズル孔47a及び第2ノズル孔49aの中心部、即ち針状ニードル先端部48aの軸心を中心とした同一円周上に等間隔で、正面視で傾斜されて穿設された複数の第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮空気の供給通路50bが形成されている。そして第3ノズル50の下端部は第2ノズル49の下面よりも所定距離突出して前記の第3ノズル孔50aが形成されると共に該第3ノズル孔50aの外側壁は逆円錐状の傾斜面50cが形成される。これにより該圧縮空気供給通路50bから噴出された第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮空気流は該傾斜面50cに沿って流れ、全周で整流された安定した渦巻流を形成し、この渦巻流が第3ノズル孔50aを噴出する噴出流に衝突し、安定した乱れがない旋回噴出流を形成する。これにより噴出流は安定して幅広く微細霧化されたものとなる。
【0067】
なお、第2ノズル孔49aから噴出した噴出流は、該第3ノズル孔50aの該突出した内部空間では第2霧化用兼渦巻形成用圧縮空気の流れに影響されることがないので、下方の被塗物方向に安定して噴出すると共に、第1ノズル47と第2ノズル49とで間で行なわれる第一段の液体霧化作用が安定して行なわれる。
【0068】
第3ノズルはガン本体41に対して押え用ナット51bで取付けられており、該押えナット51bは内部を箱状に形成されて該第2ノズル49と該第3ノズル50の外側との間で第二段霧化用圧縮空気の通路51aを構成している。該第二段霧化用圧縮空気の通路51aが接続される配管51及び第一霧化用圧縮空気の通路45aが接続される配管45には、図3に示すように流体用回転継手20、電磁弁及びバルブ箱28介して霧化エア用配管29が接続される。
【0069】
2流体スプレイガン40の上端部には、針状ニードル先端部48aと第1ノズル47の第1ノズル孔47aとの開き間隙を極微小量調整可能なニードル移動量調整装置としてのマイクロアジャスト42cが取付けられており、該マイクロアジャスト42cの下端にはマイクロアジャストエンド42dが形成されている。該マイクロアジャストエンド42dはニードル本体48の後端部(上端部)と当接可能に設けられている。
【0070】
そして、10〜800CPSの低粘度で吐出量0.1〜10.0cm/minの少量吐出の液体を微粒化し塗布するときにおいて、第1ノズル47の第1ノズル孔7aの出口開口径D1は、0.2〜0.6mmφであり、該針状のニードル先端部48aの角度は3〜10度であり、該第2ノズル49の第2ノズル孔49aの開口内径D2は、0.8〜1.5mmφであり、該第3ノズル50の第3ノズル孔50aの開口径D3は、1.0〜2.0mmφであり、該マイクロアジャスト42cによる針状ニードル先端部48aと第1ノズル孔47aとの開き間隙を極微小量調整するためのニードルの移動移動距離は、8〜15μ毎に(単位で)調整可能とされている。
【0071】
このように構成された2流体スプレイガン40は、前記霧化エア用操作盤31を作動させることにより、ガン動作用エア配管30、電磁弁及びバルブ箱28、及び流体用回転継手20を介してガン駆動用圧縮空気配管43からバルブエアピストン部42の中に圧縮空気が流れ、エアピストン42bをばね42fの弾発力に抗してマイクロアジャスト42c側に動作し、エアピストン42bと連結されているニードル本体48の後端部がマイクロアジャストエンド42dに突き当てられてニードル本体48のストロークが定位置で停止され、第1ノズル孔47aとニードル先端部48aとの直径方向の間隙が所定の間隔に保たれる。
【0072】
そしてニードル本体48のニードル先端部48aが、第1ノズル孔47aから離れて第1ノズル孔47aとの間に微小の間隙が形成され、液体供給通路46aにある液体が塗布液供給ユニット26の図示しない液体供給用定量供給ポンプの圧送圧力により、第1ノズル孔47a内部からニードル先端部48a表面に押出されると同時に、第1霧化用圧縮気体の通路45aから流れ出る第1霧化用圧縮空気のエゼクター効果により、ニードル先端部48a表面の液体は、第1ノズル孔47aの出口(下端)開口から吸引されて引き出され、該第1ノズル孔47aの出口開口部を引き出された液体は、同時に第1霧化用圧縮空気によって霧化、即ち微粒化され、第2ノズル49の第2ノズル孔49aを出て第3ノズル50の第3ノズル孔50a内へ噴出流として送られ、ここで第一段霧化パターン52が形成される。
【0073】
そして、該霧化されて形成された液体微粒子の噴出流である第一段霧化パターン52は、第二段霧化用圧縮空気の通路51aを介して第3ノズル50の複数の第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮空気の供給通路50bから流れ出る第二段霧化用圧縮空気によってエゼクター効果によりさらに微粒化されると共に旋回されて旋回流が形成され、渦巻状パターンの第二段霧化パターン53が形成され、被塗物5に付着、塗布される。
【0074】
以上のように、本実施形態では、出口開口径0.2〜0.6mmφの第1ノズル孔47aを有する第1ノズル47に対し、液体吐出を制御するバルブとしての役割であるニードル先端部48aが角度3〜10°の鋭角の構造を有して、第1ノズル47の第1ノズル孔47a及び第2ノズル49の第2ノズル孔49a、さらには第3ノズル50の第3ノズル孔50aにまで突き出させ、液体を吐出させる際、ニードル引き代としての開度を8〜15μ単位で調整可能な構造にしてエア霧化が行なわれる構成にされている。8〜15μ単位でニードル48の引き代が調整可能なマイクロアジャスト42cを取付けることにより、バルブ開閉毎の吐出量の再現性が確保され、安定吐出が得られる。
【0075】
液体吐出は、極細ニードル先端部48aに沿って液体がにじみ出るとき、その周囲の圧力0.01〜0.4MPaの第1霧化用圧縮空気流により負圧効果で液体が霧化されて、0.8〜1.5mmφの第2吐出ノズル49の第2ノズル孔49aから噴出され、口径1.0〜2.0mmφの第3ノズル50の第3ノズル孔50aから圧力0.01〜0.4Mpaの第2霧化用兼渦巻用圧縮空気流により衝突拡散によってさらなる液体の微粒化促進と霧化パターン領域の拡散が行なえる。
【0076】
なお、以上の2流体スプレイガン40の実施形態においては、第2ノズル49の下端部に第3ノズルをガン本体41に対して押え用ナット51bで取付けて二段霧化によるスプレイガンとした実施形態を示したが、本発明においては、該押え用ナット51b及び第3ノズルを省略して、第1ノズル47及び第2ノズル49で構成される一段霧化による2流体スプレイガンであってもよいものである。
【0077】
以上のように構成された第1実施形態の大型ワーク(被塗物)用の回転式スプレイ装置15の作動を説明する。即ち、大型サイズのガラス基板又は各種透明部材等の被塗物5に、表面保護膜や機能性塗布剤等の塗布液(液状体)を高速でスプレイ塗布する2流体スプレガンを用いた量産型の回転式スプレイ塗布装置の作動を説明する。
【0078】
図1〜図3において、被塗物送り出し装置Iにセットされた被塗物5は、被塗物搬送ローラー23の下部にある被塗物予熱用遠赤外線ヒーターHにより予熱完了後に、回転式スプレイ塗布装置15の運転準備が整えば自動搬送され、回転式スプレイ塗布装置15の入口部あるシャッター9aが開いて被塗物5は、回転式スプレイ塗布装置15の密閉室15b内に送り込まれる。被塗物5が回転式スプレイ塗布装置内に入るとシャッター9aは自動的に閉じられる。回転式スプレイ塗布装置の密閉室15b内では、回転式スプレイ塗布装置本体15aを構成する複数本の水平回転式アーム(ガンアーム)19の先端に取付けられた複数個の2流体スプレガン40が、ガン回転用電動機21により回転ギアボックス22及び流体用回転継手20を介して所定の回転数で回転している。
【0079】
シャッター9a付近に設置されている被塗物検知センサ5cによって被塗物(ワーク)5を検知された制御信号が、霧化エア用操作盤31に入力されると、2流体スプレガン40が被塗物5の幅のサイズよりも大きい50〜100mmの位置からスプレイ(オーバースプレイ)を開始して被塗物5を塗布していく。その塗布スプレイの間で被塗物5は、被塗物搬送用ローラー23の下部にある遠赤外線ヒーター24によって予熱温度を維持し続ける。
【0080】
2流体スプレイガン40から出る霧化粒子で、被塗物5のスプレイ塗布後の面17に付着しなかった粒子(スプレイミスト)は、排気装置系の第1集塵装置である排気用バッフル板16に大半が付着し、その後、第2集塵装置の排気フィルター55で集塵される。その際、排気用バッフル板16にたどり着かないで、他の箇所の例えば被塗物5の搬送下部に位置する該遠赤外線ヒーター24に付着しようとする霧化粒子が存在するが、それらは、被塗物5や遠赤外線ヒーター24の外側周囲を取り囲むように位置しているエアーカーテン噴出口25から上方へ噴出されるエアーカーテン25aの所定風速(略10m/秒)の上昇空気流に引き込まれて随伴されると共に給気装置56から供給されて密閉室15b内を下降する給気56aに随伴されて排気装置系の第1集塵装置である排気用バッフル板16に流入されることにより捕捉される。勿論、該エアーカーテン25aは該遠赤外線ヒーター24の外側空間に浮遊するスプレイミストの該ヒーター24への侵入も防止する。
【0081】
このようにして、該遠赤外線ヒーター24にスプレイミストが付着することが防がれる。即ち、該被塗物5に付着しなかったスプレイミストの他の部位への付着は、エアーカーテン25a及び給気56aにより、排気用バッフル板16に集塵されるようある一定の調整された風速、風向により規制、抑制される。図3に鎖線で示すようにエアーカーテン25aを形成した空気は所定高さ上昇した後、前記密閉室15b内を下降し排気用バッフル板16を介して排気ブロワにより吸引される給気56aの流れによって反転して給気56aに随伴される。該付着しなかった粒子(スプレイミスト)は排気用バッフル板16に大半が付着し、その後、第2集塵装置の排気フィルター55で集塵される。
【0082】
このように塗布が回転式スプレイ塗布装置15の密閉室15b内で行なわれ、かつ被塗物5に付着しなかった粒子は集塵されることにより密閉室15b内において飛散する粒子すなわち塗布液の滞留が防止される。
【0083】
塗布を終了した被塗物5は回転式スプレイプレイ装置15の下流側の出口シャッター9bが開かれ、後面の被塗物引き出し装置Jへ送り出される。なお、2流体スプレガン40の個数は、被塗物5の生産速度、成膜条件により決められる。
【0084】
ここで図9、図10に基づいて2流体スプレイ装置40を用いた回転式スプレイ塗布方法を説明する。
被塗物5の表面には縦横に頂部Sと谷部Vが繰り返されて多数の微細な突起5aが形成されており、この多数の突起の頂部Sと谷部Vは凹凸パターン群Nを形成している。この突起5aは5〜300μmのパターン段差H1を持つものである。このような表面に多数の微細な突起5aを有した被塗物5は、回転式スプレイ装置15内で搬送ローラ23上を搬送されており、一方、回転円周軌道B上で複数の2流体スプレイガン40を有した回転式スプレイ装置本体15aは、該搬送されている被塗物の上部で回転中心Aを被塗物5の搬送方向側の中心線5b上に位置されて回転されている。
【0085】
被塗物5の搬送方向上流側位置USPにおいて、図10及びその上流側凹凸パターン平面のE部拡大図に示すように、搬送されている被塗物5に対して、回転円周軌道B上を平面視で時計方向に回転している2流体スプレイガン40により被塗物表面の突起5aの搬送方向下流側に位置する側面(側部)DS、及び、搬送方向に対して右側に位置する側面(側部)RSに向けて液状体がスプレイ(噴射)されて該側面DS、RSに塗布される。図中、SDはスプレイパターンの噴射方向を示している。上流側USPで被塗物5の全幅の塗布を終了した2流体スプレイガン40は塗布動作を中止する。
【0086】
一方、搬送方向下流側位置DSPにおいて、図10及びその下流側凹凸パターン平面のF部拡大図に示すように、搬送されている被塗物5に対して、回転円周軌道B上を平面視で時計方向に回転している2流体スプレイガン40により被塗物表面の突起5aの搬送方向上流側に位置する側面(側部)US、及び、搬送方向に対して左側に位置する側面(側部)LSに向けて液状体がスプレイされ該側面US、LSに塗布される。そして、突起5aの頂部S及び谷部Vは搬送方向の上流側位置USPと下流側位置DSPの両側において液状体がそれぞれ塗布される。
【0087】
このような突起5aの側部DS、RS、US、LSの塗布において、前記図4及び図5において説明したように2流体スプレイガン40が回転円周軌道B上にそのスプレイパターンの噴射方向SDが被塗物5の表面と所定角度α、θを有して向き合うにように取付けられているので、該それぞれの側部に対して、スプレイパターンのスプレイ噴射方向SDがその突起の傾斜面である該側部DS、RS、US、LSに向けられることになるため、該側部に塗膜を確実に形成することができる。また、突起5aの頂部S、及び谷部Vの塗布においては、スプレイ噴射方向SDは斜めから及ぼされることになり、前記側部への噴射に比べて粒子の密度が薄くなったとしても上流側USPと下流側DSPで少なくとも2回塗布することにより所定の膜厚の塗膜を塗布することができる。従って突起5aの側部DS、RS、US、LS、頂部S、及び谷部Vに対して略均一厚みの塗膜を効率良く塗布するようにすることができる。そして、複数の2流体スプレイガン40を備えた回転式スプレイ塗布であり、かつ被塗物の上流側USPと下流側DSPで塗布するので、塗布生産性を確実に向上させることができる。
【0088】
次に、図11に基づいて、本発明の回転式スプレイ塗布装置の他の実施形態を説明する。なお、図11は上図が平面図であり、下図は正面図である。この回転式スプレイ塗布装置は前記図1〜図3の第1実施形態である大型ワーク用回転式スプレイ塗布装置を半導体シリコーンウェハー用として小型化したものである。図11において、回転式スプレイ塗布装置の前後面にはそれぞれ被塗物送り出しと引き出しを兼ねた装置I、Jが備えられている。
【0089】
本実施形態は、被塗物治具34に被塗物5である半導体シリコーンウェハーを複数個載せて搬送する構造となっている。また被塗物送り出し装置Iと被塗物引き出し装置Jが兼用になった被塗物送り出し装置I上部に、上下移動が可能な吸着接触式ヒーター33を設けた箇所に、被塗物5である半導体シリコーンウェハーが載置された被塗物治具34が吸着されて予熱され、一定温度に加温されたら、前記前記図1〜図3の第1実施形態の大型ワーク用2流体スプレイガンを備えた回転式スプレイ塗布装置と同様に、回転式スプレイ塗布装置15に移載され、塗布が行われる。
【0090】
塗布が行われた被塗物治具34は被塗物引き出し装置Jに移されるが、半導体の種類によっては、凹凸部の複雑で段差が大きい(高アスペクト比である)パターン分布を持ったものも最近多く生産されている。そのような場合に、塗布作業が終わり被塗物引き出し装置Jにて被塗物治具34は、再度その場所にて予熱のため吸着接触式ヒーター33にて吸引されて、90度インデックスされて90度回転し、予熱完了後、回転式スプレイ塗布装置15に移載され塗布が行われる。
【0091】
次に、図1〜図3に示した回転式スプレイ塗布装置15を用いて被塗物5に液状体(塗布液)を塗布する場合の好ましい塗布条件を示す。
(1)以下の塗布条件は、5μm〜60μmの段差パターン部を複数有する幅(WOS)500mm、長さ(LOS)1000mmの大きさの平板ガラス板の被塗物5に塗布する場合である。
(2)液状フォトレジスト剤で、粘度が10〜100CPS(固形分5〜30%)程度の塗布液材料が、所望するフラット面塗布膜厚さ[(1〜10μ)±1μ]には最適である。
(3)2流体スプレイガン40の各種の圧力としては、第1及び第2用霧化エア圧力が0.01〜0.4MPaであり、吐出液圧が0.01〜0.4MPaが最適条件である。
(4)2流体スプレイガン40の設置台数は、最小2台、最大12台であり、各々の液吐出量は、5〜30cc/minである。スプレイ吐出制御は被塗物幅WOSに対し+100mm多めに塗布するよう制御する。
(5)2流体スプレイガン40を有する回転円周軌道Bの回転直径は1000mmであり、回転数は40RPMが標準条件である。
(6)2流体スプレイガン40の第3ノズル50と被塗物4の間の距離は、40〜80mm(60mmが標準条件)であり、スプレイパターン幅Wの標準条件は、25mmである。
(7)被塗物搬送速度は、2m/minが標準である。
(8)2流体スプレイガン40の傾き(スプレイパターン噴射方向SD)は、外側15度(回転円周軌道B上のガン取付け部の接線TLに対して外側に15度)の方向であり、かつ、速度向い方向15度(回転円周軌道B上のガン取付け部の鉛直線VLに対してガンの回転方向寄りに15度)の方向が標準条件である。いずれの方向においても0〜10度の条件は被塗物形状により有効な場合もある。
(9)室温は、20〜30℃である。
(10)相対湿度は、30〜70%である。
(11)被塗物5の予熱温度は、40℃が標準条件である。但し、使用する塗布材料の溶剤種類によって変更が必要である。この条件の場合30〜70℃でも有効範囲内である。上記の諸条件は所望する膜厚状態を得るための標準条件である。
【0092】
前記の条件で、フラット面塗布膜厚さの目標値(10μ±1μ)を得るべく、行なった塗布テスト結果は次のとおりであった。図9の断面図に示す頂部Sと谷部Vが繰り返されて多数の微細な突起5aが形成された断面の凹凸パターン群Nを有する被塗物5の該パターン段差H1が40〜100μ、頂部Sのパターン幅Rが40〜80μ、谷部Vの底面幅Qが20〜60μである場合、被塗物面上のパターン上部(頂部S)では膜厚t2は10±1.2μであり、これに対し、底面部(谷部V)では膜厚t1は6〜8μであり、側面部では膜厚t3は7〜10μであり、パターン上部の肩の膜厚t4は4.5〜6μが得られた。このように突起のパターン上部、底面部、側面部、及び肩部にほぼ均一厚みの塗膜を形成させることができた。
【0093】
前記値は被塗物5の予熱温度として従来のスキャン塗布装置10より10℃程度落とすと肩の部分の膜厚t4が5.5μ以上となることが特徴であることが認められた。それは回転式スプレイ塗布装置15のガン速度が従来のスキャン塗布装置10の塗布速度より数倍速いためと、被塗物が適切温度に予熱されているために、溶剤が蒸発し、スプレイ粒子の被塗物へ付着時における固形分含有量が上がり、スプレイ粒子の垂れが適切に防がれて塗布されるためであると考えられる。
【0094】
また、2流体スプレイガン40の傾きは、外側方向15度、速度向い方向15度が、側面の塗り込みが上面(頂部S)と底面(谷部V)とほぼ均等に得られることになり、ある一定の角度をつけることにより、凹凸のある平面への塗り込みは好結果が得られることが分かった。図10にあるように、回転円周軌道B上を回転する2流体スプレイガン40が、まず被塗物5の搬送方向の上流側USPにて、突起5aの搬送方向下流側の側面部DSと右側面部RSのパターン面をしっかり塗布した後、回転円周軌動Bの反対側(被塗物5の搬送方向の下流側DSP)の2流体スプレイガン40によって突起5aの搬送方向上流側の側面部USと左側面部LSを塗布することによって、前後左右の両側面部は完全に塗布が可能となる。上面(頂部S)、底面(谷部V)については、回転円周軌動Bの被塗物搬送方向の上流側USPと下流側DSPにおいて2流体スプレイガン40により2回塗布されることにより、側面DS、RS、US、LSとほぼ同様の厚みの塗膜になるのである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】 本発明の第1実施形態の被塗物送り出し装置と被塗物引き出し装置を備えた回転式スプレイ塗布装置の平面図(上図)及び正面図(下図)である。
【図2】 図1の回転式スプレイ塗布装置の部分を示す破断斜視図である。
【図3】 図2の回転式スプレイ塗布装置の部分の正面断面図である。
【図4】 本発明の回転円周軌道上に配されたスプレイガンの取付け状態の一実施形態を示す平面図である。
【図5】 図4のV〜V線矢視正面図である。
【図6】 本発明の実施形態を示す2流体スプレイガンの縦断面図である。
【図7】 図6のVII部の拡大図である。
【図8】 図7を底面視したときの第2、第3ノズル部分を示す図である。
【図9】 凹凸形状パターン群を有する被塗物の拡大断面図である。
【図10】 回転式スプレイ塗布装置本体による被塗物への液状体の塗布軌跡及び塗布状態を示す平面図である。
【図11】 本発明の他の実施形態を示す被塗物送り出し装置と被塗物引き出し装置を備えた回転式スプレイ塗布装置の平面図(上図)及び正面図(下図)である。
【図12】 従来のスプレイガン往復動作方式(スキャン方式)のスプレイ塗布装置の破断斜視図である。
【図13】 凹凸状パターンを有する被塗物面の状態説明図である。
【図14】 従来のスプレイガン往復動作方式の状態説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1 直交座標型ロボットX軸
2 直交座標型ロボットY軸
3 直交座標型ロボットZ軸
4、40 2流体スプレイガン
5 被塗物
5a 突起
5c 被塗物検知センサ
6、23 被塗物搬送用ローラ
7 排気口
8 排気チャンバー
9 シャッター
10 スキャン式塗布装置
L スキャン式塗布ガン移動軌道
M 塗布ガン移動ピッチ
P スプレイ霧化パターン
N 凹凸パターン群
H1 ビア高さ(パターン段差、突起高さ)
R トップビア幅(パターン幅、頂部幅)
Q ボトムビア幅(底面幅、谷部幅)
S 突起の頂部
V 突起の谷部
14 塗布エアリア
15 回転式スプレイ塗布装置
15a 回転式スプレイ塗布装置本体
16 排気用バッフル板(第1集塵装置)
17 スプレイ塗布後の面
19 ガンアーム(水平回転式アーム)
20 流体用回転継手
21 ガン回転用電動機
22 ギヤボックス
24 遠赤外線ヒーター
25 エアーカーテン噴出口
25a エアーカーテン
A 回転式スプレイ塗布装置本体の回転円周軌道の回転中心
B 2流体スプレイガンの回転円周軌道
C 2流体スプレイガンの配置位置
D 被塗物搬送面
H 被塗物予熱用遠赤外線ヒーター
I 被塗物送り出し装置
J 被塗物引き出し装置
26 塗布液供給ユニット
27 塗布液用配管
28 電磁弁及びバルブ箱
29 霧化エア用エア配管
30 ガン動作用エア配管
31 霧化エア用操作盤
32 排気用内部ダクト
33 吸着接触式ヒーター
34 被塗物治具
42c ニードル移動量調整装置(2流体スプレイガン)
47 第1ノズル(2流体スプレイガン)
48 ニードル本体(2流体スプレイガン)
48a ニードル先端部(2流体スプレイガン)
49 第2ノズル(2流体スプレイガン)
50 第3ノズル(2流体スプレイガン)
55 排気フィルタ(第2集塵装置)
56 給気装置
56a 給気(清浄化用空気)
57 給気フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置により搬送される被塗物に、該被塗物搬送面と平行でかつ該被塗物搬送面よりも上方の面内で回転中心を中心として回転する回転円周軌道上に、間隔をおいて複数個配置されたスプレイガンから液状体をスプレイして塗布する液状体の回転式スプレイ塗布方法であって、該搬送装置で搬送される被塗物はその表面に頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起を有しており、該スプレイガンを、その液状体のスプレイパターンが該突起の頂部、谷部及び側部に向けてスプレイされるように、該回転円周軌道上に該被塗物の表面と所定角度を有して向き合うにように取付け、液状体を該突起の頂部、谷部及び側部でなる塗布面に略均一にかつ薄い成膜を形成するように塗布することを特徴とする液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項2】
該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、そのスプレイパターンが該回転円周軌道上のガン取付け部の鉛直線に対して回転方向寄りに0〜45度の方向に向くように設定することを特徴とする請求項1の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項3】
該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、さらに、スプレイパターンが、該回転円周軌道上のガン取付け部の接線に対して外側に0〜45度の方向に向くように設定することを特徴とする請求項2の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項4】
搬送されている被塗物に対して、該回転円周軌道上を回転するスプレイガンにより搬送方向上流側において該被塗物表面の突起の下流側の側部及び左右の一方側の側部を塗布するようにし、搬送方向下流側において該被塗物表面の突起の上流側の側部及び左右の他方側の側部を塗布するようにし、搬送方向の上流側と下流側においてそれぞれ頂部及び谷部を塗布するようにしたことを特徴とする請求項3の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項5】
該被塗物は、その表面の該頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起が5〜300μmの段差パターンをもつ平板状被塗物であることを特徴とする請求項1〜4の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項6】
該スプレイガンは、気体で液状体を霧化する2流体スプレイガンであり、該2流体スプレイガンは該回転円周軌道に等間隔で2〜12箇所配設され、該回転円周軌道の直径及び回転速度はそれぞれ500mm〜1500mm及び20〜80RPMであり、被塗物の搬送速度は1〜10m/minであり、該被塗物の表面と該2流体スプレイガンのノズルの吐出口先端との距離が30〜200mmであり、該被塗物は、塗布に先立ち温度が20〜80℃に予熱されたものであり、該液状体は、粘度が10〜800CPSであることを特徴とする請求項1〜5の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項7】
該2流体スプレイガンは、先端部が角度3〜10度の長細く尖ったニードルと、該ニードル先端部との間で弁機構を構成し、該ニードル先端部に対応した形状の第1ノズル孔を有し該第1ノズル孔の出口径が0.2〜0.6mmである第1ノズルと、該第1ノズル孔の出口周囲を取り囲んで該第1ノズルとの間で環状の霧化用圧縮気体通路を形成し、下端に口径0.8〜1.5mmの第2ノズル孔を形成した第2ノズルと、該ニードルの後端部と当接可能に設けられ、該針状ニードル先端部と該第1ノズルの第1ノズル孔との開き間隙を極微小量調整可能なようにニードルの移動距離を8〜15μ単位で移動可能に設けたニードル移動量調整装置と、を有し、液状体吐出時に該ニードル移動量調節装置により該ニードル先端部と第1ノズル孔との間隙を調整して第1ノズルの第1ノズル孔から該ニードル先端部に沿って液状体を滲み出させながら該霧化用圧縮気体通路を流れる圧力が0.01〜0.4MPaである第1霧化用圧縮気体によって微粒化させつつ第2ノズルの第2ノズル孔から噴出させることにより、吐出液圧0.01〜0.4MPa、吐出量0.1〜30.0cm/minの液状体を吐出することにより、少量の液状体をスプレイする2流体スプレイガンであることを特徴とする請求項6の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項8】
該第2ノズルの下端部に該第2ノズル孔を囲むようにして口径が1.0〜2.0mmの第3ノズル孔を有し該第3ノズル孔の周囲に第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体の複数の供給通路を形成した第3ノズルをさらに設け、該第2ノズル孔から噴出した噴出流を該第3ノズル孔を通して噴出させつつ該複数の圧縮気体供給通路から圧力が0.01〜0.4MPaである第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体を供給して衝突させることにより、該噴出流をさらに微粒化させ、かつ旋回させて拡散させ、被塗物に塗布するようにしたことを特徴とする請求項7の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項9】
該被塗物は、半導体シリコーンウェハー又はガラス基板又は各種透明部材又は各種樹脂部材又は金属平板であり、該液状体は、フォトレジスト剤又は表面保護膜剤又は機能性塗布剤であることを特徴とする請求項1〜8の液状体の回転式スプレイ塗布方法。
【請求項10】
搬送装置により搬送される被塗物に、該被塗物搬送面と平行でかつ該被塗物搬送面よりも上方の面内で回転中心を中心として回転する回転円周軌道上に、間隔をおいて複数個配置されたスプレイガンから液状体をスプレイして塗布する液状体の回転式スプレイ塗布装置であって、該搬送装置で搬送される被塗物はその表面に頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起を有しており、該スプレイガンを、その液状体のスプレイパターンが該突起の頂部、谷部及び側部に向けてスプレイされるように、該回転円周軌道上に該被塗物の表面と向き合う角度を調整可能に取付け、液状体を該突起の頂部、谷部及び側部でなる塗布面に略均一にかつ薄い成膜を形成するように塗布することを特徴とする液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項11】
該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、そのスプレイパターンが該回転円周軌道上のガン取付け部の鉛直線に対して回転方向寄りに角度0〜45度の方向に向くように該角度範囲で調整可能に取付けたことを特徴とする請求項10の液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項12】
該スプレイガンの該被塗物の表面と向き合う角度は、さらに、スプレイパターンが、該回転円周軌道上のガン取付け部の接線に対して外側に角度0〜45度の方向に向くように該角度範囲で調整可能に取付けたことを特徴とする請求項11の液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項13】
搬送されている被塗物に対して、該回転円周軌道上を回転するスプレイガンにより搬送方向上流側において該被塗物表面の突起の上流側の側部及び左右の一方側の側部を塗布するようにし、搬送方向下流側において該被塗物表面の突起の下流側の側部及び左右の他方側の側部を塗布するようにし、搬送方向の上流側と下流側においてそれぞれ頂部及び谷部を塗布するようにしたことを特徴とする請求項12の液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項14】
該被塗物は、その表面の該頂部と谷部が繰り返されて形成された多数の微細な突起が5〜300μmの段差パターンをもつ平板状被塗物であることを特徴とする請求項10〜13の液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項15】
該スプレイガンは、気体で液状体を霧化する2流体スプレイガンであり、該2流体スプレイガンは該回転円周軌道に等間隔で2〜12箇所配設され、該回転円周軌道の直径及び回転速度はそれぞれ500mm〜1500mm及び20〜80RPMであり、被塗物の搬送速度は1〜10m/minであり、該被塗物の表面と該2流体スプレイガンのノズルの吐出口先端との距離が30〜200mmであり、該被塗物は、塗布に先立ち温度が20〜80℃に予熱されたものであり、該液状体は、粘度が10〜800CPSであることを特徴とする請求項10〜14の液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項16】
該2流体スプレイガンは、先端部が角度3〜10度の長細く尖ったニードルと、該ニードル先端部との間で弁機構を構成し、該ニードル先端部に対応した形状の第1ノズル孔を有し該第1ノズル孔の出口径が0.2〜0.6mmである第1ノズルと、該第1ノズル孔の出口周囲を取り囲んで該第1ノズルとの間で環状の霧化用圧縮気体通路を形成し、下端に口径0.8〜1.5mmの第2ノズル孔を形成した第2ノズルと、該ニードルの後端部と当接可能に設けられ、該針状ニードル先端部と該第1ノズルの第1ノズル孔との開き間隙を極微小量調整可能なようにニードルの移動距離を8〜15μ単位で移動可能に設けたニードル移動量調整装置と、を有し、液状体吐出時に該ニードル移動量調節装置により該ニードル先端部と第1ノズル孔との間隙を調整して第1ノズルの第1ノズル孔から該ニードル先端部に沿って液状体を滲み出させながら霧化用圧縮気体通路を流れる圧力が0.01〜0.4MPaである第1霧化用圧縮気体によって微粒化させつつ第2ノズルの第2ノズル孔から噴出させることにより、吐出液圧0.01〜0.4MPa、吐出量0.1〜30.0cm/minの液状体を吐出することにより、少量の液状体をスプレイする2流体スプレイガンであることを特徴とする請求項15の液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項17】
該第2ノズルの下端部に該第2ノズル孔を囲むようにして口径が1.0〜2.0mmの第3ノズル孔を有し該第3ノズル孔の周囲に第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体の複数の供給通路を形成した第3ノズルをさらに設け、該第2ノズル孔から噴出した噴出流を該第3ノズル孔を通して噴出させつつ該複数の圧縮気体供給通路から圧力が0.01〜0.4MPaである第2霧化用兼渦巻流形成用圧縮気体を供給して衝突させることにより、該噴出流をさらに微粒化させ、かつ旋回させて拡散させ、被塗物に塗布するようにしたことを特徴とする請求項16の液状体の回転式スプレイ塗布装置。
【請求項18】
さらに、スプレイ位置よりも上流側の該被塗物搬送装置の搬送部に設けた被塗物の幅及び長さを検知する被塗物検知センサと、該被塗物検知センサの信号に基づき該2流体スプレイガンの各々の塗布液及び霧化用圧縮気体の供給、停止を被塗物の幅及び長さに応じて司るためのガン吐出制御装置と、被塗物搬送装置の搬送面の下部に設けた被塗物を20℃〜100℃に加温可能なヒーターと、少なくとも被塗物搬送装置の被塗物搬送方向に沿う縁部に設けられ、スプレイミストの該ヒーターへの付着を防ぐためのエアーカーテン噴出口、とを含むことを特徴とする請求項10〜17の液状体の回転式スプレイ塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−113019(P2009−113019A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309420(P2007−309420)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000111339)ノードソン株式会社 (4)
【Fターム(参考)】