説明

液量検出用無線ICタグおよび液体ボトル

【課題】大がかりな装置を設けることなく、閉栓したままの状態の液体ボトル内の液量を検出する。
【解決手段】粘着層2aを備えるシール2と、該シール2に設けられ、一方向に並んで配置される複数の環状のアンテナ3と、該アンテナ3を介して給電され、かつ、該アンテナ3を介して外部に情報を送信する無線IC5とを備える液量検出用無線ICタグ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液量検出用無線ICタグおよび液体ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダ内の液体量を自動敵意計測する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この装置は、シリンダ内の液体表面に浮揚体を浮かべて、上方に配置されたレーザ変位計から入射させたレーザ光によって浮揚体の位置を検出し、検出結果に基づいてシリンダ内の液体量を算出するものである。
【0003】
【特許文献1】特開平6−347309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている液量計測装置は、シリンダ毎にレーザ変位計を設ける必要があり、多数の容器内に収容されている液体の量をそれぞれ検出するためには多数のレーザ変位計が必要となるという問題がある。また、特許文献1の液量計測装置においては、シリンダの上方からレーザ光をシリンダ内に入射させるために、シリンダとしては上方に開放されたものしか適用できず、蓋で密閉された液体ボトルに適用するには、蓋を測定の都度に開く必要があり、さらに、液面に浮揚体を浮かべる必要があり、異物の混入を嫌う液体の場合には適していない。
【0005】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、大がかりな装置を設けることなく、閉栓したままの状態の液体ボトル内の液量を検出することができる液量検出用無線ICタグおよび液体ボトルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、粘着層を備えるシールと、該シールに設けられ、一方向に並んで配置される複数の環状のアンテナと、該アンテナを介して給電され、かつ、該アンテナを介して外部に情報を送信する無線ICとを備える液量検出用無線ICタグを提供する。
【0007】
本発明によれば、液体を収容する容器の外面に粘着層によってシールを貼り付ける際に、該シールに設けられた複数の環状のアンテナが容器の高さ方向に沿って並ぶように配置して貼り付けるだけで、容器内の液面位置に応じて、各アンテナに接続された無線ICから情報を読み出すことができるようになる。すなわち、外部装置から発せられた電波が環状のアンテナに作用すると、アンテナを貫通する磁界の形成によってアンテナを流れる電流が発生する。この電流が無線ICに供給されることにより給電され、無線IC内の情報が読み出され、アンテナを介して外部装置に送信される。
【0008】
この場合において、アンテナの全体が液面の下方に配置されているときには、液体によって磁界の形成が阻害されるので、外部装置を作用させても、無線ICからの情報の送信が行われず、情報を読み出すことができない。液面位置が下降してアンテナが液面の情報に露出すると、それまで阻害されていた磁界が形成されるようになり、そのアンテナに接続されている無線ICから情報が読み出される。
【0009】
したがって、液面が下降するに従って、液面上方に露出するアンテナが増えていき、情報が読み出される無線ICの数が増えていくので、読み出される情報を異ならせたり、情報量を増やしたりすることができ、簡易に容器内の液量を検出することができる。また、本発明によれば、容器の側面に貼り付けるだけで内部の液量を検出でき、蓋を閉めたままの状態でも、あるいは、容器が不透明であっても、大がかりな装置を使用することなく容器内の液量を検出することができる。
【0010】
上記発明においては、前記アンテナより大きい環状の大アンテナと、該大アンテナを介して給電され、かつ、該大アンテナを介して、他の前記アンテナから送信された情報を受信して外部に送信する他の無線ICとを備えていてもよい。
このようにすることで、より多くの磁界が内部に形成されてより強力な信号を送受信可能な大アンテナおよびそれに接続されている他の無線ICによって、それよりも小さいアンテナから送信されてくる情報を中継して外部に送信することができる。これにより、複数のアンテナを微細化して液量の検出の分解能を向上することができる。
【0011】
また、本発明は、液体を収容可能な容器と、該容器の外面に貼り着けられた上記いずれかの液量検出用無線ICタグとを備え、前記液量検出用無線ICタグのアンテナが、前記容器の軸方向に並ぶように、前記液量検出用無線ICタグが貼り着けられている液体ボトルを提供する。
また、本発明は、液体を収容可能な容器と、該容器の外面に貼り着けられた液量検出用無線ICタグとを備え、該液量検出用無線ICタグが、前記容器の高さ方向に並んで配置される複数の環状のアンテナと、該アンテナを介して給電され、かつ、該アンテナを介して外部に情報を送信する無線ICとを備える液体ボトルを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大がかりな装置を設けることなく、閉栓したままの状態の液体ボトル内の液量を検出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る液量検出用無線ICタグ1について、図1〜図5を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る液量検出用無線ICタグ1は、図1〜図3に示されるように、片面に粘着層2aが設けられたシール2に一方向に並んで配列された複数の環状の小アンテナ3と、該小アンテナ3より十分に大きな大アンテナ4と、これらアンテナ3,4に接続された無線IC5,6とを備えている。各無線IC5,6は、例えば、異なる情報を記憶する不揮発性のメモリ(図示略)を備えている。各無線IC5,6は、外部から供給される電波によってアンテナ3,4の内部を貫通するように形成される磁界によってアンテナ3,4に流れる電流を給電されて、メモリに記憶している情報をアンテナ3,4を介して外部に送信するようになっている。
【0014】
このように構成された本実施形態に係る液量検出用無線ICタグ1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る液量検出用無線ICタグ1を用いて容器7内の液量を検出するには、粘着層2aによって、図2に示されるように、シール2を容器7の外面に貼り付ける。この際に、シール2に設けられた複数の環状の小アンテナ3が容器7の高さ方向に沿って並ぶように配置して貼り付ける。
【0015】
そして、例えば、図3に示されるように、外部装置としての読み取り装置10を、該読み取り装置10からの電波Sが液量検出用無線ICタグ1に届く位置まで近接させる。
大アンテナ4は小アンテナ3より十分に大きく形成されているので、大アンテナ4の全体が容器7内の液体Wの液面A以下の位置に配置されていても、読み取り装置10からの電波Sによって、微弱な磁界が発生し、該大アンテナ4に接続されている無線IC6のメモリ内の情報を外部に送信する。これにより、読み取り装置10からの電波Sが届いた容器7については大アンテナ4に接続された無線IC6内の情報を読み取ることによって、読み取りが正常に行われたことを確認することができる。
【0016】
また、液面Aの上方に露出している小アンテナ3が存在する場合(図2では、最上位の小アンテナ3のみ露出。)には、該小アンテナ3内にも磁界が形成されるので、その小アンテナ3に接続されている無線IC5のメモリ内に記憶されている情報も外部に送信される。小アンテナ3から出力される無線信号は、小アンテナ3が小さく構成される程微弱な信号強度となる。
【0017】
本実施形態に係る液量検出用無線ICタグ1によれば、小アンテナ3とともに大アンテナ4が備えられ、小アンテナ3から送信された信号R1は、大アンテナ4を中継して信号R2となって外部に送信されるので、小アンテナ3からの信号R1は微弱であっても、外部の読み取り装置10によってより強度の高い信号R2を読み取ることができる。したがって、小アンテナ3を小さく構成し、その配列数を増加させることにより、液面A検出の分解能を向上することができる。
【0018】
そして、液面Aの上方に露出している小アンテナ3が存在する場合には、読み取り装置10は、大アンテナ4が接続されている無線IC6の情報と、液面Aの上方に露出している小アンテナ3が接続されている無線IC5の情報とを読み取ることができる。その結果、容器7内の液体Wは、図4に示されるように、情報を送信してきた最上位の無線IC5の小アンテナ3に対応する位置に液面Aを配置する量だけ収容されていることがわかる。
【0019】
このように、本実施形態に係る液量検出用無線ICタグ1によれば、液体Wを収容している容器7の表面に貼り付けるだけで、レーザ変位計のような大がかりな装置を使用することなく、また、容器7を密閉した状態に維持したまま、しかも、不透明な容器7内に貯留されている液体Wについても、その液量を検出することができる。さらに、無線式の読み取り装置10を用いるだけで、多数の容器7内に貯留されている液体Wの液量を一度に検出することができるという利点がある。
【0020】
例えば、多数の液状の薬品等を複数の容器7に収容して、複数の保管場所に保管している場合において、各保管場所に読み取り装置10を備え付けておけば、図5に示されるように、遠隔の場所において、全ての保管場所に収容されている全ての容器7内の液量を監視することができる。
【0021】
なお、本実施形態においては、4個の小アンテナ3と1個の大アンテナと4を有する場合について例示したが、これに限定されるものではなく、小アンテナ3は任意の数でよい。
また、小アンテナ3からの微弱な信号を読み取り可能な読み取り装置10を採用する場合には、大アンテナ4を備えていなくてもよい。
【0022】
また、本実施形態においては、液量検出用無線ICタグ1について説明したが、上述した液量検出用無線ICタグ1を外面に貼り付けた液体ボトル7を構成してもよい。この場合には、小アンテナ3が液体ボトル7の高さ方向に並んで配列されている必要がある。
また、シール式の液量検出用無線ICタグ1について説明したが、これに代えて、液体ボトル7の外面に直接、小アンテナ3および大アンテナ4とこれらアンテナ3,4に接続された無線IC5,6とを固定することにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る液量検出用無線ICタグを示す斜視図である。
【図2】図1の液量検出用無線ICタグを貼り付けた容器を示す正面図である。
【図3】図1の液量検出用無線ICタグを用いて、読み取り装置により液量を読み取る作業を説明する図である。
【図4】図3の読み取り装置により検出された信号の有無を示す図表である。
【図5】図1の液量検出用無線ICタグを薬剤の在庫管理に利用した場合の画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 液量検出用無線ICタグ
2 シール
2a 粘着層
3 小アンテナ(アンテナ)
4 大アンテナ
5,6 無線IC
7 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層を備えるシールと、
該シールに設けられ、一方向に並んで配置される複数の環状のアンテナと、該アンテナを介して給電され、かつ、該アンテナを介して外部に情報を送信する無線ICとを備える液量検出用無線ICタグ。
【請求項2】
前記アンテナより大きい環状の大アンテナと、該大アンテナを介して給電され、かつ、該大アンテナを介して、他の前記アンテナから送信された情報を受信して外部に送信する他の無線ICとを備える請求項1に記載の液量検出用無線ICタグ。
【請求項3】
液体を収容可能な容器と、
該容器の外面に貼り着けられた請求項1または請求項2に記載の液量検出用無線ICタグとを備え、
前記液量検出用無線ICタグのアンテナが、前記容器の軸方向に並ぶように、前記液量検出用無線ICタグが貼り着けられている液体ボトル。
【請求項4】
液体を収容可能な容器と、
該容器の外面に貼り着けられた液量検出用無線ICタグとを備え、
該液量検出用無線ICタグが、前記容器の高さ方向に並んで配置される複数の環状のアンテナと、該アンテナを介して給電され、かつ、該アンテナを介して外部に情報を送信する無線ICとを備える液体ボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−25727(P2010−25727A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186894(P2008−186894)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】