説明

混合物製造装置

【課題】骨材、セメント及び水から混合物を均一かつ大量に連続して製造することが可能な混合物製造装置を提供する。
【解決手段】混合物製造装置1は、内部を混合室3とする略円筒状で、自身の中心軸M4回りに回転可能に軸支されたドラム4と、ドラム4の一端に設けられて、混合室3内に材料を投入するための投入口18と、ドラム4の他端に設けられて、混合室3内から製造された混合物を排出する排出口20と、混合室3内で、ドラム4の中心軸M4に対して下方に偏心して配設されるとともに、自身の中心軸M4回りに回転可能に軸支され、混合室3内の材料を攪拌するための略板状のパドル30が周方向に直交する面に対して中心軸M5と直交する軸線回りの傾斜角θ30を有して複数設けられた攪拌軸5と、ドラム4と攪拌軸5とを異なる角速度で回転させる回転駆動手段6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にダムの堤体などに使用されるCSGなどの混合物を製造するための混合物製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダムの堤体などの材料として、CSG(Cemented Sand and Gravel)が利用されている。CSGとは、河床砂礫など施工現場で採取される岩石質のCSG材料にセメント及び水を混合したものである。CSGは、このように施工現場で採取される材料を利用することができるので、コンクリートと比較して材料入手が容易で経済的であり、注目されている。
【0003】
ここで、CSG材料と骨材として、セメント及び水を混合して混合物としてCSGを製造する製造方法としては、基本的にコンクリートと同様であり、重量利用型や動力利用型などの製造装置が利用される。より具体的には、重量利用型とは、ドラムの内部に投入した材料をドラムの内周面に設けられた攪拌羽根によって掻き上げて、落下させて、材料の自重を利用して攪拌するものであり、ドラムを傾斜させ、あるいは、攪拌羽根を傾斜させることで、攪拌しながら混合した材料を排出することができる(例えば、特許文献1、2参照)。このため、重力利用型では、簡易かつ大量に製造することができ、製造能力及び経済性の点で利点を有する。
【0004】
一方、動力利用型では、ドラム内部で攪拌羽根を動力により回転させて、これによってドラム内部の材料を強制的に攪拌するものである。このような動力利用型は、攪拌羽根によって全体を均一に混合することができる。このため、土砂などの攪拌にも利用されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【特許文献1】特開昭59−145106号公報
【特許文献2】特許第3767724号公報
【特許文献3】特開昭51−107553号公報
【特許文献4】特開平9−75997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、CSG製造においては、施工現場で採取されるCSG材料を利用することから、コンクリートで使用される骨材と比較して、使用する材料の粒度が不均一である。このため、特に、特許文献1、2のような重力利用型であるCSG製造装置とすると、使用するCSG材料によっては、当該CSG材料と、セメント及び水とを均一に混合させることが困難となってしまう場合があった。また、特許文献3、4のような動力利用型であるCSG製造装置とすると、重力利用型に比較して均一に混合させることが可能であるものの、必要な製造能力を確保することができない問題があった。また、ドラムに滞留している材料を攪拌羽根によって強制的に混合するので、材料が十分混合されていない攪拌初期にセメントが攪拌羽根に付着してしまう場合があり、このような場合には、均一に混合することができなくなってしまう問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、材料として例えば骨材、セメント及び水から混合物を均一かつ大量に連続して製造することが可能な混合物製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は材料を混合して混合物を製造する混合物製造装置であって、内部を混合室とする略円筒状で、自身の中心軸回りに回転可能に軸支されたドラムと、 該ドラムの一端に設けられて、前記混合室内に材料を投入するための投入口と、前記ドラムの他端に設けられて、前記混合室内から製造された混合物を排出する排出口と、前記混合室内で、前記ドラムの中心軸に対して下方に偏心して配設されるとともに、自身の中心軸回りに回転可能に軸支され、前記混合室内の材料を攪拌するための略板状のパドルが周方向に直交する面に対して中心軸と直交する軸線回りの傾斜角を有して複数設けられた攪拌軸と、前記ドラムと前記攪拌軸とを異なる角速度で回転させる回転駆動手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、ドラムと攪拌軸とは、回転駆動手段により異なる角速度で回転させられている。このため、投入口から混合室内へ材料として例えば骨材、セメント及び水が投入されると、投入された材料は、ドラムの回転に伴って掻き上げられ、自重により落下することで攪拌されることとなる。また、ドラムの中心軸に対して下方に偏心した位置に攪拌軸が配設され、ドラムに対して相対的に回転していることから、混合室内の材料は、ドラムによって攪拌されながら、パドルによっても攪拌されることとなる。このため、使用する骨材の粒度が不均一であったとしても好適にセメント及び水とともに材料を攪拌して混合することができる。そして、パドルは、周方向に直交する面に対して中心軸と直交する軸線回りの傾斜角を有して設けられていることから、その傾斜角に応じて混合室内の材料を、攪拌しつつ一端側の投入口から他端側の排出口へ送り出すことができる。
【0009】
また、前記ドラムの内周面には、前記混合室内の材料を攪拌するための攪拌凸部材が、周方向の位置が異なるようにして軸方向に複数設けられていることが好ましい。
この構成によれば、混合室内の材料は、ドラムの回転に伴って攪拌凸部材によって的に掻き上げられることからより効果的に攪拌されることとなる。さらに、この攪拌凸部材が軸方向で、周方向に位置を異なるものとして複数設けられていることから、軸方向に配設された混合室内の材料を異なるタイミングで攪拌することとなり、より好適に攪拌することができる。
【0010】
また、前記パドルは、前記傾斜角を可変に前記攪拌軸に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、パドルの傾斜角を変化させることにより、パドルによる攪拌効率と排出効率とのバランスを調整することができ、使用される材料に応じて最適なバランスに調整することができる。
【0011】
また、前記ドラムの中心軸は、一端から他端へ下降するように僅かに傾斜していることが好ましい。
この構成によれば、ドラムの中心軸は、一端から他端へ下降するように僅かに傾斜しているので、混合した材料をより効率良く排出口へ送り出すことができる。
【0012】
また、前記回転駆動手段は、前記ドラムと前記攪拌軸とを正反異なる方向に回転させることがより好ましい。
この構成によれば、ドラムと攪拌軸とが正反異なる方向に回転していることから、ドラムと攪拌凸部材との速度差を大きくすることができ、より効果的に混合室内の材料を攪拌することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の混合物製造装置によれば、上記のようなドラム、攪拌軸、及び、回転駆動手段を備えているので、例えばCSGなどの混合物を均一かつ大量に連続して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1から図7は、この発明に係る第1の実施形態を示していて、混合物製造装置であるCSG製造装置を示している。この実施形態のCSG製造装置1は、ダムの堤体を例とすれば、該堤体をCSG(Cemented Sand and Gravel)で構築するために施工現場に設置されるもので、骨材として施工現場またはその近傍で採取される岩石質のCSG材料を使用し、該CSG材料にセメントと、水とを所定の混合比で混合して混合物としてCSGを製造するものである。図1及び図2に示すように、CSG製造装置1は、所定の設置場所に載置、固定される基台2と、内部を混合室3とする略円筒状で、基台2上に中心軸M4をほぼ水平として配設されて自身の中心軸M4回りに回転可能なドラム4と、ドラム4の内部に配設されて自身の中心軸M5回りに回転可能な攪拌軸5と、ドラム4及び攪拌軸5をそれぞれ回転させる回転駆動手段6とを備える。
【0015】
ドラム4は、基台2上に設けられたドラム支持手段10によって中心軸M4回りに回転可能に支持されている。ドラム支持手段10は、ドラム4の一端4a側に設けられた第一のドラム支持部11と、他端4b側に設けられた第二のドラム支持部12とを具備する。図3及び図4に示すように、第一のドラム支持部11及び第二のドラム支持部12は、ともに、基台2上に設けられた軸受13によってドラム4の中心軸M4と略平行な軸回りに回転可能に支持された一対の支持ローラ14、14を有している。そして、ドラム4は、第一のドラム支持部11及び第二のドラム支持部12のそれぞれと対応する位置で外周面に環状に設けられたガイドレール4cに、一対の支持ローラ14、14がそれぞれ当接することによって、自らの中心軸M4回りに回転可能に軸支されている。また、図5に示すように、第一のドラム支持部11は、さらに一対のスラストローラ15を有している。一対のスラストローラ15は、対応するドラム4の外周面のガイドレール4cの両端側において、基台2上に設けられた軸受16によって略鉛直な軸回りに回転可能に支持されており、ガイドレール4cは、一対のスラストローラ15によって挟み込まれている。このため、ドラム4は、自らの中心軸M4方向への移動が一対のスラストローラ15によって規制されつつ、中心軸M4回りに回転することが可能となっている。なお、図1及び図2において後述するように、ドラム4は、一端4aが材料の投入側、他端4bが製造されたCSGの排出側となっていて、前後の第一のドラム支持部11及び第二のドラム支持部12は、中心軸M4が一端4aから他端4bへ下降するように僅かに傾斜させてドラム4を支持している。
【0016】
ここで、図1及び図2に示すように、ドラム4の一端4a側の開口は、閉塞板17で閉塞されていている。閉塞板17には、上部に開口部17aが形成されていて、ホッパー18がドラム4の外部から内部へと配設されており、該ホッパー18を投入口として、外部からCSG材料、セメント及び水を投入することを可能としている。閉塞板17及びホッパー18は、ドラム4と独立して支持部材19によって基台2に支持されており、閉塞板17及びホッパー18が固定された状態でドラム4のみが回転可能となっている。また、ドラム4の他端4b側の開口には、基台2上に支持されて出口シュート20が設けられており、該出口シュート20を排出口として、混合室3内で製造されたCSGを外部へ排出することを可能としている。なお、ホッパー18上方には、CSG製造装置1と対応して、CSG材料、セメント及び水などを供給するための、コンベアやタンクなどの供給装置が配置されており、該供給装置により各材料を所定の混合比率となるように時間当りの供給量を略一定として連続供給することが可能となっている。
【0017】
また、ドラム4の内周面には、回転に伴って混合室3内の材料を攪拌するための攪拌凸部材25が複数形成されている。図6に示すように、攪拌凸部材25は、断面略矩形で径方向内側へ向かって突出しているとともに、中心軸M4に略平行に細長に配設され、固定ボルト25aによってドラム4の内周面に固定されている。攪拌凸部材25は、周方向に所定のピッチを有した環状の配列が中心軸M4方向に連続して設けられている。また、攪拌凸部材25の環状の配列で、中心軸M4方向に隣り合うもの同士では、攪拌凸部材25の周方向の位置が上記ピッチの半分ずつずれるように設定されており、これにより攪拌凸部材25は、中心軸M4方向に所謂千鳥状として、ドラム4の内周面全体に形成されている。該攪拌凸部材25は、後述するようにドラム4の回転に伴って内部の材料を掻き上げて攪拌させるためのものであり、通常突出する寸法は、1〜2cm程度であるが、攪拌凸部材25が設けられていない構成としても良い。この場合でも、ドラム4の回転に伴って、内部の材料は、ドラム4の内周面との摩擦によって掻き上げられ、攪拌されることとなる。
【0018】
また、図1から図4に示すように、攪拌軸5は、中心軸M5が、ドラム4の中心軸M4と略平行で、かつ、鉛直方向において、ドラム4の中心軸M4の下方に、また、水平方向において後述するドラム4の回転によって混合室3内の材料が掻き上げられる方へ偏心して配設されている。より具体的には、図3に示すように、攪拌軸5の中心軸M5の偏心位置は、ドラム4の中心軸M4から下ろした垂線から中心角φが25〜40度となるように傾斜した線N上となるようにドラム4の中心軸M4に対して偏心していることが望ましい。なお、本実施形態では中心角φを30度程度に設定している。また、図1から図4に示すように、攪拌軸5の両端5a、5bは、閉塞板17及び出口シュート20からそれぞれ突出し、軸受26、27によって回転可能に支持されている。軸受26、27は、基台2にそれぞれ設けられたプランマーブロック28を介して基台2に支持されている。なお、閉塞板17及び出口シュート20において、攪拌軸5が挿通された貫通孔には、それぞれシール部材29が設けられており、材料が内部から外部へ漏出してしまうのを規制している。
【0019】
また、混合室3内において、攪拌軸5の外周面には、攪拌軸5の回転に伴って混合室3内の材料を攪拌するパドル30が、径方向外側へ突出して設けられている。パドル30は、略板状で、攪拌軸5に取り付けられた状態で、径方向内側から外側へ幅広となる略台形状であり、本実施形態においては、攪拌軸5とドラム4の内周面とが最も近接した位置でパドル30の先端がドラム4内周面に形成された攪拌凸部材25と僅かな隙間を有する程度まで径方向外側へ突出している。本実施形態では、パドル30の先端と攪拌凸部材25との隙間は、1cm程度に設定されている。なお、前述のように攪拌凸部材25が設けられていない構成とした場合には、パドル30は、ドラム4の内周面と僅かに隙間を有する程度に突出させる。そして、このようなパドル30は、周方向に間隔を有して放射状に、また、中心軸M5方向にも等間隔で、複数設けられている。本実施形態では、パドル30は、中心軸M5方向同位置において、中心軸M5で対称となるように対をなして設けられるとともに、該パドル30の対が中心軸M5方向に等間隔に、かつ、パドル30の位置が中心軸M5回りに90度ずつ異なるようにして、中心軸M5方向に所謂千鳥状に設けられている。また、図4に示すように、中心軸M5を中心とするパドル30の先端までの距離によって決定されるパドル30の回転径D30は、ドラム4の内径D4の1/2より若干大きい径とするのが望ましい。具体的には、本実施形態では、ドラム4の内径D4が180cmであるのに対して、パドル30の回転径D30は110cmに設定されている。また、パドル30自体の回転径方向の長さ寸法L30としては、ドラム4の内径D4の1/8程度とすることが望ましい。これは、混合室3に収容される混合物の量は、混合室3の容積の約30%程度とすることが望ましく、この容積との関係で内径D4の1/8程度に調整される。
【0020】
ここで、図7に示すように、パドル30は、略板状のスペーサ31を介して固定治具32に固定され、該固定治具32によって攪拌軸5から径方向外側に突出する支持体5cに取り付けられている。支持体5cは、攪拌軸5の外周面において、各パドル30の取り付け位置に設けられており、断面略円形状に形成されている。また、固定治具32は、パドル30がボルト33によって固定されるパドル支持部34と、パドル支持部34と一側縁側で一体となっているとともに他側縁側で隙間を有するように設けられた締付部36とを有する。パドル支持部34と締付部36との互いに対向する面には、攪拌軸5の支持体5cと対応する断面略半円状の溝34a、36aが形成されており、該溝34a、36aに支持体5cを挿入してボルト35によってパドル支持部34に対して締付部36を固定することで、パドル支持部34と締付部36との間で支持体5cが締め付けられて固定され、これによりパドル30を固定治具32を介して攪拌軸5に固定することが可能である。ここで、ボルト35を緩めることで、パドル30及び固定治具32が着脱可能であるとともに、支持体5cの軸回りに回転させることが可能である。このため、混合室3内の材料の抵抗を受けるパドル30のパドル面30aについて、攪拌軸5の周方向(回転方向)に直交する面に対して攪拌軸5の中心軸M5と直交する軸回りの傾斜角θ30(図1及び図2参照)を調整してパドル30を固定することが可能となっている。なお、パドル30は、後述するように攪拌軸5の回転に伴って混合室3内の材料を攪拌しつつ、他端4b側の出口シュート20に向かって送り出す必要があり、該パドル面30aが出口シュート20に面するように傾斜している。
【0021】
次に、ドラム4及び攪拌軸5を回転させる回転駆動手段6の詳細について説明する。図2に示すように、回転駆動手段6は、ドラム4を回転させる第一の回転駆動部40と、第一の回転駆動部40と独立して攪拌軸5を回転させる第二の回転駆動部41とで構成されている。第一の回転駆動部40は、基台2上に支持されたモータ40a及び減速機40bと、減速機40bの出力軸40cに設けられたスプロケット40dと、ドラム4の外周面で周方向に配設する複数の歯4dとの間に巻回されたチェーン40eとを有する。歯4dは、チェーン40eが巻回される中心軸M4方向の位置において、チェーン40eの有するピッチと対応するピッチでドラム4の外周面に複数設けられている。このため、モータ40aを駆動させることで、モータ40aの回転駆動力は、減速機40bの出力軸40cからスプロケット40dを介してチェーン40eに伝達され、チェーン40eの走行によりドラム4を支持ローラ14、14上で中心軸M4回りに回転させることが可能となっている。
【0022】
また、第二の回転駆動部41は、基台2上に支持されたモータ41a及び減速機41bと、基台2上で軸受42、43によって減速機41bの出力軸41cと同軸回りに回転可能な伝達軸41dと、伝達軸41dに設けられたスプロケット41eと攪拌軸5の一端5aに設けられたスプロケット5dとの間に巻回されたチェーン41fとを有する。伝達軸41dにおいて、スプロケット41eは一端側に設けられているとともに、他端がチェーンカップリング41gによって減速機41bの出力軸41cと接続されている。このため、モータ41aを駆動させることで、モータ41aの回転駆動力は、減速機41bの出力軸41cからチェーンカップリング41gを介して伝達軸41dに伝達され、伝達軸41dを軸回りに回転させる。そして、伝達軸41dの回転は、スプロケット41eを介してチェーン41fに伝達され、このチェーン41fの走行によりスプロケット5dを介して攪拌軸5を中心軸M5回りに回転させることが可能となっている。なお、第一の回転駆動部40のモータ40aと、第二の回転駆動部41のモータ41aとは、図示しない制御部に接続されていて、制御部による制御により互いに独立して回転駆動し、ドラム4と攪拌軸5とを異なる角速度で回転させることが可能となっている。なお、ここでいう角速度が異なるとは、互いに等しい回転数で正反異なる方向に回転するものも含む。
【0023】
次に、この実施形態のCSG製造装置1の作用について説明する。まず、図示しない回転駆動手段6の第一の回転駆動部40及び第二の回転駆動部41の各モータ40a、41aを駆動させることにより、ドラム4及び攪拌軸5をそれぞれ所定の角速度で回転させる。ここでは、例えば、ドラム4がP方向へ、攪拌軸5がQ方向へと、ドラム4と攪拌軸5とが正反異なる方向に回転し、ドラム4に対して攪拌軸5を高回転数で回転するように設定されており、例えば、本実施形態では、ドラム4を10rpmの回転数で回転させるのに対して、攪拌軸5を38rpmの回転数で回転させている。そして、ドラム4及び攪拌軸5が回転している状態で、図示しない供給手段からそれぞれ混合比率と対応した単位時間当たり所定の供給量で、CSG材料、セメント及び水をホッパー18からドラム4内部の混合室3内へ供給する。以下、供給されたCSG材料、セメント及び水について説明を簡略化させるため、配合材料と称する。
【0024】
供給された配合材料は、ドラム4が回転し、ドラム4の内周面には攪拌凸部材25が突出しているため、攪拌凸部材25により掻き上げられ、自重により落下することとなり、これを繰り返すことで攪拌されることとなる。この際、複数の攪拌凸部材25が中心軸M4方向で千鳥状に配置し、周方向に位置を異なるものとしていることから、中心軸M4方向に配設された混合室3内の配合材料を異なるタイミングで攪拌することとなり、より好適に攪拌することができる。
【0025】
さらに、これに応じて、攪拌軸5がドラム4に対して下方に偏心して設けられ、角速度を異なるものとして攪拌軸5が回転していることからドラム4に対する攪拌軸5に設けられたパドル30の相対回転により、ドラム4の攪拌凸部材25によって攪拌されながら、パドル30によっても攪拌されることとなる。このため、使用するCSG材料の粒度が不均一であったとしても好適にセメント及び水とともに攪拌して混合することができる。特に、ドラム4と攪拌軸5とは正反異なる向きに回転しているのでドラム4と攪拌軸5との速度差を大きくすることができ、より効果的に攪拌することができる。さらに、水平方向において後述するドラム4の回転によって混合室3内の材料が掻き上げられる方へ偏心して配設されていることから、ドラム4によって掻き上げられる配合材料を落とし込むようにパドル30によって攪拌することとなり、より効果的に攪拌を行うことができる。
【0026】
なお、攪拌軸5の中心軸M5がドラム4の中心軸M4を通る垂線近傍に位置、すなわち図4に示す中心角φが約0度であったとしても、あるいは、中心角φが負の値(ドラム4が配合材料を掻き上げる側と反対側へ偏心)であったとしても、ドラム4によって掻き上げられる配合材料を落とし込む作用効果を期待することはできる。しかしながら、中心角φが0度を含む範囲、あるいは、負の値であると、パドル30で落とし込む配合材料の量が多くなる。このため、パドル30と攪拌凸部材25あるいはドラム4の内周面との間に骨材が噛み合ってしまうおそれが増大し、また、パドル30が受ける回転抵抗が大きくなり、パドル30に対する負荷が必要以上に増大してしまう。一方、中心角φが大きくすぎてしまうと、ドラム4の下方に堆積している配合材料をパドル30によって効果的に攪拌することができなくなってしまう。このため、上記のとおり、攪拌軸5の中心軸M5の偏心位置としては、ドラム4の中心軸M4を通る垂線に対して中心角φが25〜40度となる線N上となるようにすることが望ましい。
【0027】
また、パドル30は、周方向に直交する面に対して中心軸M5と直交する軸線回りの傾斜角θ30を有して設けられていることから、その傾斜角θ30に応じて混合室3内の配合材料を、攪拌しつつ一端4a側のホッパー18から他端4b側の出口シュート20へ向かって送り出すことができる。このため、図示しない供給手段から必要量の配合材料を順次ホッパー18に投入しながら、混合室3内で好適に攪拌し、攪拌して製造されたCSGを出口シュート20から連続的に排出させることができる。
【0028】
以上のように、本実施形態のCSG製造装置1では、上記のようなドラム4、攪拌軸5、及び、回転駆動手段6を備えているので、CSG材料、セメント及び水からCSGを均一かつ大量に連続して製造することができる。ここで、本実施形態においては、パドル30の傾斜角θ30を変化させるができるので、パドル30による攪拌効率と排出効率とのバランスを調整することができ、使用されるCSG材料に応じて最適なバランスに調整することができる。また、ドラム4の中心軸M4が一端4aから他端4bへ下降するように僅かに傾斜しているので、混合した配合材料をより効率良く出口シュート20へ送り出すことができる。さらに、第一の回転駆動部40によりドラム4を、また、第二の回転駆動部41により攪拌軸5をそれぞれに独立して回転させることができるので、使用するCSG材料の粒度、単体重量、含水比などの物性、要求される製造能力に応じて、ドラム4及び攪拌軸5をそれぞれ最適な角速度に設定することができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施形態のCSG製造装置の一部を破断した側面図である。
【図2】この発明の実施形態のCSG製造装置の一部を破断した上面図である。
【図3】この発明の実施形態のCSG製造装置の正面図である。
【図4】図1における切断線A−Aでの断面図である。
【図5】この発明の実施形態のCSG製造装置において、スラストローラ部分の詳細図である。
【図6】この発明の実施形態のCSG製造装置において、ドラムの内部構造を示した説明図である。
【図7】この発明の実施形態のCSG製造装置において、攪拌軸の詳細を示した説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 CSG製造装置(混合物製造装置)
3 混合室
4 ドラム
5 攪拌軸
6 回転駆動手段
18 ホッパー(投入口)
20 出口シュート(排出口)
25 攪拌凸部材
30 パドル
40 第一の回転駆動部
41 第二の回転駆動部
M4 (ドラムの)中心軸
M5 (攪拌軸の)中心軸
θ30 傾斜角


【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を混合して混合物を製造する混合物製造装置であって、
内部を混合室とする略円筒状で、自身の中心軸回りに回転可能に軸支されたドラムと、
該ドラムの一端に設けられて、前記混合室内に材料を投入するための投入口と、
前記ドラムの他端に設けられて、前記混合室内から製造された混合物を排出する排出口と、
前記混合室内で、前記ドラムの中心軸に対して下方に偏心して配設されるとともに、自身の中心軸回りに回転可能に軸支され、前記混合室内の材料を攪拌するための略板状のパドルが周方向に直交する面に対して中心軸と直交する軸線回りの傾斜角を有して複数設けられた攪拌軸と、
前記ドラムと前記攪拌軸とを異なる角速度で回転させる回転駆動手段とを備えることを特徴とする混合物製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の混合物製造装置において、
前記ドラムの内周面には、前記混合室内の材料を攪拌するための攪拌凸部材が、周方向の位置が異なるようにして軸方向に複数設けられていることを特徴とする混合物製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の混合物製造装置において、
前記パドルは、前記傾斜角を可変に前記攪拌軸に設けられていることを特徴とする混合物製造装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の混合物製造装置において、
前記ドラムの中心軸は、一端から他端へ下降するように僅かに傾斜していることを特徴とする混合物製造装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の混合物製造装置において、
前記回転駆動手段は、前記ドラムと前記攪拌軸とを正反異なる方向に回転させることを特徴とする混合物製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−196238(P2009−196238A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41175(P2008−41175)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(391049264)株式会社氣工社 (5)
【出願人】(398037365)株式会社ムツミ (2)
【Fターム(参考)】