説明

混注装置

【課題】混注処理の一部又は全部を自動的に行うとともに、輸液バッグの被曝を防止できる混注装置を提供する。
【解決手段】混注装置1は、薬剤容器10を保持する第1ロボットアーム21と注射器11の注射針を上記第1ロボットアーム21により保持されている上記薬剤容器10の口部に差し込む動作及び上記注射器11の注射針を輸液バッグ12の混注口に差し込む動作を行う第2ロボットアーム22とからなる混注動作部2と、上記混注動作部2を収容する混注処理室204と、上記混注処理室204内に薬剤容器10及び注射器11を供給する供給部100と、上記混注処理室204の外側で輸液バッグ12を保持し、この輸液バッグ12の混注口を上記混注処理室204に形成された混注連通口202bに位置させる輸液バッグ保持部4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抗ガン剤などの薬剤を輸液(補液)に混合調整する混注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液に混合される抗ガン剤などの薬剤は被曝の危険性を生じさせるため、このような薬剤などを輸液に混合調整する混注処理を陰圧に設定された安全キャビネットにおいて行うようにしている。そして、上記薬剤として粉末状の薬剤が封入されたバイアル瓶を用いて混注を行う場合、薬剤調合者は、輸液バッグ内から輸液を注射器により吸い取り、この注射器の注射針をバイアル瓶のキャップ部(ゴム栓)に通し、この注射器内の輸液をバイアル瓶内に注ぎ込む。そして、薬剤調合者は、上記薬剤が溶け込んだ輸液を上記注射器内に吸い取る。上記薬剤はバイアル瓶内に一定量封入されているので、薬剤調合者は、必要な量の薬剤が輸液に溶け込むまで複数のバイアル瓶に輸液を注入して吸い取る作業を繰り返し行う。薬剤調合者は、必要な量の薬剤を輸液に溶け込ませた後、注射器の注射針を輸液バッグの混注口に差し込んで注射器内の上記薬剤が溶け込んだ輸液を輸液バッグ内に戻すことを行う。
【0003】
上記バイアル瓶に限らず、アンプル内の薬液を輸液に注入する混注処理も行われる。上記アンプルを用いる混注処理においては、頭部が切り取られたアンプル内の薬液を注射器内に吸い上げ、注射器の注射針を輸液バッグの混注口に差し込んで注射器内の薬液を輸液バッグ内に注入することになる。
【0004】
ところで、特許文献1には、放射線薬剤による被曝の危険を回避して分注を行う放射線薬剤分注装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−244759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の内容では、輸液バッグ内に薬液を注入する混注装置として用いるようにはなっておらず、また、輸液バッグに対する被曝防止の技術は何ら示されていない。
【0007】
この発明は、上記の事情に鑑み、混注処理の一部又は全部を自動的に行うとともに、輸液バッグの被曝を防止できる混注装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明の混注装置は、薬剤容器を保持する容器保持部と、注射器を保持し、当該注射器におけるシリンダ部へのピストン部の挿入量を変化させる注射器保持部と、を備え、上記注射器の注射針を上記容器保持部により保持されている上記薬剤容器の口部に差し込む動作及び上記注射器の注射針を輸液バッグの混注口に差し込む動作を行う混注動作部と、上記混注動作部を収容する混注処理室と、上記混注処理室の外側で上記輸液バッグを保持し、この輸液バッグの混注口を上記混注処理室に形成された混注連通口に位置させる輸液バッグ保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成であれば、上記容器保持部と注射器保持部と差し込み動作部とを備える混注動作部によって混注処理の一部又は全部を自動的に行うことができる。また、上記輸液バッグは上記混注処理室の外側に配置されるので、輸液バッグの被曝も防止できる。
【0010】
上記混注処理室内へ上記薬剤容器及び注射器を供給する供給部を有し、この供給部が設置される側と同じ側に上記混注連通口及び上記輸液バッグ保持部を配置させてもよい。
【0011】
また、薬剤容器と注射器と輸液バッグとがセットされる調整コンテナ内に上記輸液バッグ保持部が存在し、上記調整コンテナから上記混注処理室内に上記薬剤容器及び注射器が供給されるようにしてもよい。これによれば、上記輸液バッグを上記調整コンテナから取り出す必要がない。このため、上記調整コンテナに表示された患者情報や処方情報或いは上記調整コンテナに装着したICタグ(例えば、RFID:Radio Frequency Identification)に記録されている患者情報や処方情報を書き換える必要がない。
【0012】
上記混注処理室内へ上記薬剤容器及び注射器を供給する供給部を有し、この供給部が設置される側とは反対の側に上記混注連通口及び上記輸液バッグ保持部を配置させてもよい。この構成において、上記輸液バッグと上記薬剤容器と上記注射器とがセットされる調整コンテナ内から上記輸液バッグを取り出し、この輸液バッグを上記輸液バッグ保持部に渡すようにしてもよい。
【0013】
これらの混注装置において、混注処理済みの輸液バッグを袋詰めする袋詰め装置を備えていてもよい。また、上記薬剤容器と注射器と輸液バッグとがセットされた同一の調整コンテナまたは当該調整コンテナとは別のコンテナに収容するようにしてもよい。また、上記輸液バッグの混注口を清掃する清掃具を備えてもよい。
【0014】
また、上記薬剤容器と注射器と輸液バッグとがセットされる調整コンテナ内に上記輸液バッグ保持部が存在する混注装置において、上記容器保持部と上記注射器保持部とが上記混注処理室内で左右に分かれて配置されるとともに、上記調整コンテナを上記容器保持部に近い位置から上記注射器保持部に近い位置へと搬送する搬送部が備えられており、上記調整コンテナが上記容器保持部の近くに搬送されたときに、上記混注処理室内に上記薬剤容器及び注射器を供給する動作が行われ、上記調整コンテナが上記注射器保持部の近くに搬送されたときに、上記調整コンテナ内の上記輸液バッグ保持部で保持されている上記輸液バッグの混注口を上記混注処理室に形成された上記混注連通口に位置させる動作が行われるようにしてもよい。
【0015】
上記混注処理室の下方に当該混注処理室に通じるダストボックスが配置されており、上記搬送部は上記調整コンテナを上記混注処理室の下方であって上記ダストボックスの後方側を搬送するようにしてもよい。これによれば、混注装置の正面側から上記ダストボックスの出し入れが行える。
【0016】
上記調整コンテナ内に上記薬剤容器および注射器が載置される薬剤用トレイと上記輸液バッグ保持部とが設けられており、上記搬送部と上記混注処理室とを連通させるシャッターが開いたときに上記薬剤用トレイが上記混注処理室内に露呈されるようにしてもよい。
【0017】
上記搬送部内は上記混注処理室内よりも陽圧であるのがよい。
【0018】
上記容器保持部としてロボットアームを備えており、このロボットアームが上記混注処理室内に入れられた注射器を掴み、この注射器を上記注射器保持部に受け取らせるようにしてもよい。
【0019】
また、この発明の混注装置は、薬剤容器の薬液を輸液バッグに移す混注装置において、薬剤容器を保持するロボットアームと、注射器を保持し、当該注射器におけるシリンダ部へのピストン部の挿入量を変化させるロボットアームとを備えており、上記注射器の注射針を上記薬剤容器の口部に差し込む動作及び上記注射器の注射針を輸液バッグの混注口に差し込む動作が上記ロボットアームの動作により行われるようにしたことを特徴とする。
【0020】
上記輸液バッグの混注口から注射針を抜くときには上記混注口を上に向けることとしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
この発明であれば、混注処理の一部又は全部を自動的に行うことができ、また、上記輸液バッグは上記混注処理室の外側に配置されるので、輸液バッグの被曝を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態に係る混注装置を示した斜視図である。
【図2】図1の混注装置の供給部を示した斜視図である。
【図3】図1の混注装置の供給部及び本体部を示した斜視図である。
【図4】図1の混注装置の本体部を示した斜視図である。
【図5】図1の混注装置の本体部を示した斜視図である。
【図6】図1の混注装置の本体部を示した斜視図である。
【図7】図1の混注装置の本体部を示した斜視図である。
【図8】図1の混注装置の本体部を示した斜視図である。
【図9】図1の混注装置の本体部の輸液バッグ保持部を示した斜視図である。
【図10】図1の混注装置の本体部の輸液バッグ保持部を示した斜視図である。
【図11】図1の混注装置の本体部を示した斜視図である。
【図12】図1の混注装置の本体部の輸液バッグ保持部を示した斜視図である。
【図13】この発明の他の実施形態に係る混注装置を示した斜視図である。
【図14】図13の混注装置の供給部を拡大した斜視図である。
【図15A】図13の調整コンテナに設けられた輸液バッグ揺動機構を示した正面図である。
【図15B】図13の調整コンテナに設けられた輸液バッグ揺動機構を示した側面図である。
【図16】この発明の他の実施形態に係る混注装置を示した説明図である。
【図17】図16の混注装置の制御系を示した概略のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示しているように、混注装置1は、供給部100と本体部200と袋詰め装置300とから成る。
【0024】
上記供給部100は、コンテナ収容室101と、このコンテナ収容室101上に形成された供給操作室102と、からなる。上記コンテナ収容室101には、複数の調整コンテナ103を収容できるようになっている。上記調整コンテナ103は、例えばゴンドラリフト式に循環される構造になっており、最も上側の調整コンテナ103が上記供給操作室102に位置する。各調整コンテナ103には、患者ごと又は施用ごとに注射器11、薬剤容器10、輸液バッグ12などがセットされており、このようにセットされた調整コンテナ103がコンテナ収容室101に収容される。
【0025】
例えば、各調整コンテナ103には、患者名等の人が認識する文字の他に混注装置1のコントローラ(マイクロコンピュータ)が各種情報を認識するためのバーコードが付される。例えば、上記供給操作室102に調整コンテナ103が位置すると、この調整コンテナ103に付されているバーコードが図示しないバーコードリーダよって読み取られ、上記コントローラはこれから開始する混注処理の内容を認識する。具体的には、上記コントローラは、上記の読み取られたバーコードにより特定される、患者情報、医師情報、混注動作プログラム、処方内容情報(使用する薬剤の種類や本数等)、調整手順情報(溶解元/溶解先薬品、作業内容、容量/溶解量、抜取量)を図示しない記憶部から読み出す。上記混注動作プログラムは、薬剤容器10の種類によって異なる場合もあり(例えば、粉状薬剤入りバイアル瓶とアンプルのどちらを用いるか)、また、使用する薬剤容器10の本数により所定動作の繰り返し回数が決まることになる。
【0026】
そして、上記コントローラは、ディスプレイ105に上記処方内容情報及び調整手順情報を表示する。ここで、上記調整手順情報は、例えば、横軸を上記の溶解元/溶解先薬品、作業内容等の並びとし、縦軸を時間軸(ステップ)とする表形式で表示しており、例えば、最初のステップの上記溶解元/溶解先薬品の欄には「輸液C 500ml」のごとく表記し、上記作業の欄には「抜取」のごとく表記する。もちろん、ディスプレイ105にその他の表示を行うようにしてもよい。
【0027】
上記供給操作室102には、天井側に基端部が固定された供給ロボット104が設置されている。この供給ロボット104は、上記コントローラによって制御され、上記調整コンテナ103にセットされている薬剤容器10、注射器11、輸液バッグ12などを取り出す動作を実行する。上記供給操作室102に1つの調整コンテナ103が位置決めされて位置し、この調整コンテナ103内の上記薬剤容器10、注射器11、輸液バッグ12などの配置が決められているならば、上記調整コンテナ103を撮像して画像認識などの処理を特に行わなくても上記薬剤容器10、注射器11、輸液バッグ12などを上記供給ロボット104によって正確に取り出すことができる。なお、上記供給ロボット104によって上記輸液バッグ12などを取り出した際に、上記輸液バッグ12等に付されているバーコードを図示しないバーコードリーダに読み取らせ、上記処方内容情報において指定されている輸液バッグ等が用いられているか否かを上記コントローラが判断するようになっていてもよい。
【0028】
図2にも示すように、上記供給操作室102は、連通開口106によって上記本体部200の混注処理室204に連通している。そして、上記供給ロボット104は、上記調整コンテナ103から取り出した薬剤容器等を上記連通開口106を通して上記混注処理室204内に設けられているひだ付きベルトコンベヤ部3上に移送する。なお、上記連通開口106には上記ひだ付きベルトコンベヤ部3への薬剤容器等の移送の際に上記コントローラによって開けられるシャッター118が設けられている。
【0029】
また、図3にも示すように、上記供給ロボット104は、上記調整コンテナ103から取り出した輸液バッグ12をコンベヤ107上に載せる。このコンベヤ107は、上記連通開口106の箇所において同じくコンベヤからなる輸液バッグ搬送部5に近接して配置されており、上記コンベヤ107上に載せられた上記輸液バッグ12は上記輸液バッグ搬送部5へと移送されるようになっている。上記輸液バッグ搬送部5は、上記混注処理室204の外側(この例では下方側)に配置されており、上記輸液バッグ12は上記混注処理室204内を通ることなく運ばれる。
【0030】
上記図1に示したように、上記本体部200は、混注動作部2と、上記ひだ付きベルトコンベヤ部3と、輸液バッグ保持部4と、上記輸液バッグ搬送部5と、ダスト部6と、を備える。そして、この実施形態では、陰圧に設定される安全キャビネット201内に、上記混注動作部2と、上記ひだ付きベルトコンベヤ部3と、上記輸液バッグ保持部4と、上記輸液バッグ搬送部5とが配置されている。そして、仕切り板202と仕切り床203とによって混注処理室204を形成し、この混注処理室204内に上記混注動作部2とひだ付きベルトコンベヤ部3とを位置させ、上記混注処理室204の外に上記輸液バッグ保持部4と輸液バッグ搬送部5とを配置している。なお、上記安全キャビネット201の外(大気圧空間)に上記輸液バッグ保持部4と上記輸液バッグ搬送部5とを配置してもよく、このようにする場合には、上記安全キャビネット201自体が混注処理室となる。
【0031】
上記混注動作部2は、上記供給部100の側に配置された第1ロボットアーム21と、上記輸液バッグ保持部4の側に配置された第2ロボットアーム22とから成り、後述の差し込み動作を実行する。上記第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22は、その基端部が床側に固定されている。
【0032】
図4にも示しているように、上記第1ロボットアーム21の先端部には、一対の把持爪を広げたり狭めたりすることで物体を把持する把持部21aが設けられている。この実施形態では、上記把持部21aによって容器保持部が構成されている。上記一対の把持爪は、例えばねじ切りの方向が互いに逆にされたねじ部を有する図示しない送りねじに螺合されている。この送りねじが図示しないモーターによって回転されると、上記一対の把持爪が移動して把持動作が行われる。上記第1ロボットアーム21は複数の動作軸を備えており、把持した物体の姿勢(傾き)を変えることができる。そして、上記一対の把持爪の互いに向き合う側面(把持面)の中央側には、薬剤容器10(図では薬剤容器としてアンプルを示している)の把持に適した大きさの凹部が形成されており、上記把持面の先端側には注射器11の注射針11d(キャップ付き)の把持に適した大きさの凹部が形成されている。この実施形態では、上記第1ロボットアーム21の動作によって注射針11dの着脱も行うようにしている。
【0033】
上記第2ロボットアーム22の先端部には、注射器11を保持し、当該注射器11におけるシリンダ部11aへのピストン部11bの挿入量を変化させる注射器保持部22aが設けられている。例えば、上記注射器保持部22aは、注射器11におけるシリンダ部11aを保持する保持部と、上記注射器11におけるピストン部11bの後部を保持し、上記ピストン部11bを移動させる移動部と、から成る。上記保持部は上記シリンダ部11aを横方向から挟み込む一対の可動爪部22b及び上記シリンダ部11aの鍔部を係止する係止部22cを有する。なお、上記シリンダ部11aの断面形状が変化しないように弱い力で可動爪部22bが上記シリンダ部11aを掴んでいても、上記係止部22cを有することによって上記シリンダ部11aがその軸方向(上記ピストン部11bの移動方向)に移動しないという利点が有る。上記一対の可動爪部22bは、例えば、ねじ切りの方向が互いに逆にされたねじ部を有する図示しない送りねじに螺合されている。上記送りねじが図示しないモーターによって回転されると、上記可動爪部22bによる上記シリンダ部11aの把持及び非把持動作が行われる。そして、上記移動部は、上記ピストン部11bの後端部が係止されるスライダー部22dと、このスライダー部22dにおける図示しないナット部が螺合される送りねじ22eと、この送りねじ22eを回転させる図示しないモーターと、から成る。上記送りねじ22eが上記モーターによって回転されると、上記スライダー部22dが上記ピストン部11bの移動方向に移動する。上記スライダー部22dは例えば上記注射器保持部22aの本体部外面によってガイドされる。
【0034】
上記第2ロボットアーム22は複数の動作軸を備えており、把持した物体の姿勢(傾き)を変えることができる。そして、この実施形態では、上記第2ロボットアーム22によって、上記注射器11の注射針11dを上記第1ロボットアーム21の把持部21a(容器保持部)により保持されている上記薬剤容器10の口部に差し込む動作及び上記注射器11の注射針11dを輸液バッグ12の混注口に差し込む動作を行う差し込み動作が実行される。
【0035】
上記ひだ付きベルトコンベヤ部3は、上記薬剤容器10の胴部の直径よりも狭い間隔でひだ部3aを有しており、隣り合う2枚のひだ部3aの間で上記薬剤容器10をベルト面から浮かせた状態で保持するようになっている。また、各ひだ部3aの中央部には切欠き部が形成されており、この切欠き部が存在することで上記第1ロボットアーム21の把持部21aによる薬剤容器10の把持動作が行いやすくなっている。また、上記ひだ付きベルトコンベヤ部3上には、注射器置き台31も載せ置くことができるようになっている。この注射器置き台31には、注射器11を寝かせた状態で載せておくことができる。また、上記注射器置き台31の中央部には凹部が形成されており、この凹部が存在することで上記第2ロボットアーム22の上記可動爪部22bによる上記シリンダ部11aの把持動作が行いやすくなっている。更に、上記注射器置き台31に形成されている穴に注射針11dを立てた状態でセットできるようになっており、上記第1ロボットアーム21の把持部21aによる注射針11dの把持動作が行いやすくなっている。なお、上記調整コンテナ103には、上記注射器11が上記注射器置き台31に載せられた状態で収められており、上記注射器置き台31ごと調整コンテナ103から注射器11をベルトコンベヤ部3に載せることができる。
【0036】
図5にも示すように、上記ひだ付きベルトコンベヤ部3の終端折り返し箇所に隣接して重量計7が設けられている。上記重量計7の計測値は表示部において表示されるとともに上記コントローラに出力されるようにしている。上記第2ロボットアーム22は、上記可動爪部22bによって上記注射器11を把持し、この注射器11を上記重量計7上に置く動作を実行する。上記コントローラは、この計量動作を、例えば空の状態の注射器11の重量を計測する時と、必要本数の薬剤容器10から薬液を注射器11内に吸い取った時とに実行させる。このようにした場合、上記コントローラは、それぞれの時点で得られた上記重量計7の計測値の差から注射器11内に必要量の薬液が存在するか否かを判断することができる。なお、上記コントローラは、注射器11内に必要量の薬液が存在しないと判断した場合、混注動作を中断し、上記ディスプレイ105にエラー表示を行ってもよい。
【0037】
図6にも示すように、上記第1ロボットアーム21の手前位置には、アンプルカッター8が設置されている。このアンプルカッター8には薬剤容器10であるアンプルの先端部が挿入される円形穴からなる穴刃部が形成されている。上記第1ロボットアーム21は、その把持部21aによって上記薬剤容器10を上記ひだ付きベルトコンベヤ部3から掴み上げ、上記薬剤容器10の先端部を上記穴刃部に下側から差し込むことができる。
【0038】
図7に示すように、上記第1ロボットアーム21は、上記薬剤容器10の先端部を上記穴刃部に差し込んだ状態で上記薬剤容器10の胴体部を傾ける動作を実行する。この動作により、上記薬剤容器10の先端部が胴体部から切り離され、上記薬剤容器10の口部が露呈される。そして、上記先端部は、重力によって上記穴刃部から落下する。上記アンプルカッターの穴刃部の下方にはダスト用開口210が形成されている。さらに、上記ダスト用開口210の両隣にはダスト用開口211、212が形成されている。これらダスト用開口210、211、212は上記ダスト部6に連通している。上記ダスト部6には図示しないゴミ袋を設置することができ、上記薬剤容器10の他、注射器11や注射器置き台31などを分別回収できるようになっている。
【0039】
上記第1ロボットアーム21は、その把持部21aによって把持している上記薬剤容器10を立てて上記露呈された口部を上方に向ける。また、上記第2ロボットアーム22は、上記可動爪部22bによって把持している上記注射器11を立ててその注射針11dを下方に向ける。そして、このようにした状態で薬剤容器10と注射器11を互いに近づけ、注射器11の注射針11dを薬剤容器10の上記口部に差し込む。なお、薬剤容器10がゴムキャップ付きのバイアル瓶である場合には、上記ゴムキャップに対して注射針11dを真っ直ぐに差し込むようにする。
【0040】
図8に示すように、上記第1ロボットアーム21及び上記第2ロボットアーム22は、上記薬剤容器10内の薬液を注射器11内に吸い取るときに、上記薬剤容器10及び注射器11の姿勢を斜めにする。なお、上記薬剤容器10としてアンプルを用いる場合においては、上記薬剤容器10からある程度の液薬を吸い上げ、その後に上記薬剤容器10を垂直方向を基準に100度程度傾斜させて上記口部の側(首部)に薬液を移動させた状態を形成することにより、注射器11の注射針11dの先端を上記薬剤容器10の底に着けないで薬液を極力残さずに吸い上げることが可能になる。
【0041】
図9に示すように、上記仕切り板202には、上記輸液バッグ搬送部5の終端折り返し箇所の近傍において、輸液バッグ通過開口202aが形成されている。そして、上記輸液バッグ保持部4は、上記仕切り板202の外側で上記輸液バッグ搬送部5の終端折り返し箇所に対面するように配置されている。上記輸液バッグ保持部4は本体部41(図9では省略しているので、図12参照)とコンベヤ部42とコンベヤ支持部43とチャック部44とからなる。上記コントローラは、上記輸液バッグ搬送部5を動作させて、上記輸液バッグ12を上記輸液バッグ保持部4へと搬送することができる。さらに、上記コントローラは、上記コンベヤ部42を動作させることにより、上記輸液バッグ12を上記コンベヤ支持部43上に移動させる。
【0042】
上記チャック部44は、一対の爪部からなる。例えば、各爪部の基端側に形成された図示しない歯車部にはウォームギヤが歯合されており、各爪部の上記基端側と先端側の間に回動支点が設けられ、上記ウォームギヤが回転することによって各爪部が回動し、チャック動作が行われる。上記チャック部44は、上記輸液バッグ12が上記コンベヤ部42上に移動するときには、この移動の障害にならないように開いている。また、上記チャック部44における上記ウォームギヤ等は、上記コンベヤ支持部43の下面側に設けられており、上記コンベヤ支持部43が位置変化すればそれに追随して位置変化して上記輸液バッグ12の混注口の保持状態を維持する。もちろん、上記のような機構とは異なる機構のチャック部44を採用することもできる。
【0043】
そして、上記チャック部44は、上記輸液バッグ12の全体が上記コンベヤ部42上に完全に移動すると、図10に示すように、上記輸液バッグ12の混注口を横から挟み込む。なお、上記輸液バッグ12の全体が上記コンベヤ部42上に完全に移動したかどうかを判断するために、上記輸液バッグ保持部4の上方にビデオカメラを設けておき、このビデオカメラの撮像画像を画像解析して上記輸液バッグ12が所定の位置に到達したことを判断するようにしてもよい。また、例えば、上記輸液バッグ通過開口202aに上記輸液バッグ12の混注口を検知するフォトセンサ等を設けておき、このセンサで上記輸液バッグ12の混注口を検知したときに上記輸液バッグ12が規定の位置に到達したと判断するようにしてもよい。もちろん、他の方法で上記輸液バッグ12の全体が上記コンベヤ部42上に完全に移動したことを判断するようにしてもよい。
【0044】
上記輸液バッグ保持部4の本体部41の下面にはガイド溝が形成されており、このガイド溝は上記輸液バッグ保持部4を支持する支持テーブル410上のガイド凸部401に係合している。上記ガイド凸部401は上記コンベヤ部42による上記輸液バッグ12の搬送方向と直交する方向(上記仕切り板202に沿った方向)に形成されている。また、上記本体部41の下面には、図示しない移動ナットが設けられており、この移動ナットに送りねじ402が螺合されている。この送りねじ402は上記支持テーブル410上に設けられており、この送りねじ402が図示しないモーターによって回転されると、上記輸液バッグ保持部4は上記ガイド凸部401に案内されて奥側へと移動される。
【0045】
図11及び図12にも示しているように、上記仕切り板202には、上記輸液バッグ保持部4が最も奥側へと移動されたときの上記輸液バッグ12の混注口が位置する箇所に、混注連通口202bが形成されている。この混注連通口202bは縦長の形状を有している。なお、上記混注連通口202bがシャッター等で開閉されるようにしてもよい。そして、上記輸液バッグ保持部4において、上記コンベヤ部42を支持している上記コンベヤ支持部43は、その支持穴43aに上記本体部41の図示しない突起部が嵌合されることによって上記本体部41に回動可能に支持されている。上記コンベヤ支持部43の回動によって、上記輸液バッグ12はシーソーのように揺動し、混注口を下に向けたり或いは上に向けたりすることができる。ここで、例えば、上記本体部41の後端面には、モーター41aによって回転される送りねじ41bに移動ナット41cが螺合されており、上記モーター41aが回転すると移動ナット41cが横方向に移動する。また、上記コンベヤ支持部43の後端面には、横斜め方向に係合溝43bが形成されている。そして、この係合溝43bに上記移動ナット41cの突起部41dが係合している。これにより、上記モーター41aを回転駆動することで上記突起部41dが上記コンベヤ支持部43の後端を上げ下げし、上記コンベヤ支持部43において上記揺動動作をさせることができる。もちろん、このような機構とは異なる機構によって上記コンベヤ支持部43を揺動動作させるようにしてもよい。
【0046】
上記第2ロボットアーム22は、上記コンベヤ部42上で混注口を例えば下に向けた或いは上に向けた状態の上記輸液バッグ12の上記混注口に、上記混注連通口202bから、上記注射器11の注射針11dを差し込む。そして、上記注射器保持部22aを動作させて、注射器11内の薬液を上記輸液バッグ12に注入する。なお、この注入後に、注射器11の重量を重量計7を用いて計ってもよい。上記コントローラは、この重量計測により、注射器11内の必要本数分の薬液の全てを上記輸液バッグ12に注入したかどうかを判断することができる。また、上記コントローラは、上記の重量計測後に、上記第2ロボットアーム22等に、注射器11等を廃棄する動作を実行させる。
【0047】
上記混注処理室204には、清掃具220及びこれを収容する収容部221が置かれている。上記コントローラは、上記注射器11等の廃棄後に、上記第2ロボットアーム22に、上記清掃具220の把手を把持させる動作を実行させ、さらに、上記清掃具220を用いて上記輸液バッグ12の混注口を清掃する動作を実行させる。
【0048】
上記コントローラは、上記清掃後に、上記チャック部44による混注口の係止動作を解除させ、上記コンベヤ部42を動作させる。これにより、上記混注済で且つ清掃済の輸液バッグ12は、その後端側から上記袋詰め装置300側へと案内されていく。
【0049】
上記図1に示しているように、上記袋詰め装置300は、上記後端側から落ちてくる上記輸液バッグ12を、開口部301を通して受け取り、袋詰め作業を行うようになっている。上記袋詰め装置300は、直線往復式の包装機やロータリー式の包装機等の既存の袋詰め機構を利用すればよく、例えば、袋となる透明ビニールを送り出す供給部302、上記開口部301を通して受け取った上記輸液バッグ12を上記透明ビニールで包む包装部303、上記包装部303を揺動させる揺動部304、この揺動部304によって傾斜されて落ちていく上記輸液バッグ12を受ける収容コンテナ305が配置される収容部306を備える。なお、上記収容コンテナ305を一つの輸液バッグ12が収容される程度の大きさとする場合には、薬剤容器10や注射器11等を収容するスペースが不要である分、上記収容コンテナ305を上記調整コンテナ103に比べて小さくできる。換言すれば、上記調整コンテナ103から取り出した輸液バッグ12に対して混注処理を行い、この混注済の輸液バッグ12を調整コンテナ103よりも小さな別の収容コンテナ305に移し替ることで、混注装置1における上記収容部306を小さくできることになる。
【0050】
また、図1に示しているように、上記混注処理室204には監査カメラ205が設置されている。上記コントローラは、上記監査カメラ205で撮像された画像を図示しない記録部(例えば、ハードディスクドライブ)に記録するようにしてもよい。
【0051】
以上説明したように、混注装置1は上記混注動作部2を備えたので、混注処理の一部又は全部を自動的に行うことができる。また、上記輸液バッグ12は上記混注処理室204の外側に配置されるので、薬液による上記輸液バッグ12の被曝も防止できる。また、上記清掃具220を用いて上記輸液バッグ12の混注口を清掃するようにしたので、上記混注口に薬液が付着したままとなるのを防止することができる。また、上記袋詰め装置300を備えたので、被曝を受けなかった上記輸液バッグ12を清潔なまま処置室まで移送することが可能になる。
【0052】
図13に示す混注装置1Aは、上記袋詰め装置300、上記輸液バッグ保持部4、上記ひだ付きベルトコンベヤ部3、上記輸液バッグ搬送部5等を備えないタイプの混注装置である。この混注装置1Aにおける調整コンテナ103には、調整ケース13が設けられており、この調整ケース13に必要本数の薬剤容器10と注射器11とがセットされている。上記混注装置1Aの供給室100に配備される供給ロボット104は、上記調整コンテナ103から上記調整ケース13を取り出し、この調整ケース13を連通開口106から本体部200の混注処理室204内に搬送する。この搬送操作により、上記調整ケース13が規定の位置に正しく置かれ、第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22は薬剤容器10や注射器11を正確に把持することができる。この混注装置1Aでは上記第1ロボットアーム21と第2ロボットアーム22の互いの位置が入れ替わっており、上記第2ロボットアーム22が上記連通開口106の近くに位置している。そして、この第2ロボットアーム22の前方に重量計7が配置されている。なお、上記重量計7が置かれる台の下方には空間部が形成されており、この空間部を上記調整ケース13が通過することになる。
【0053】
また、この混注装置1Aにおける上記調整コンテナ103には、輸液バッグ12がその混注口を上記連通開口106の側に向くように寝かされた状態で配置されている。すなわち、この混注装置1Aにおいては、上記調整コンテナ103内において上記輸液バッグ12を保持する輸液バッグ揺動台113aが配置されている。なお、上記輸液バッグ12の上記混注口が対面する上記調整コンテナ103の側面には、図14にも示すように、カット領域103aが形成されており、上記輸液バッグ12を上記調整コンテナ103から出さなくても上記混注口に注射針を差し込むことができる。ここに示す例では、調整コンテナ103から注射器11や薬剤容器10を上記連通開口106から上記混注処理室204内に入れた後、上記調整コンテナ103を奥側に移動(コンベヤによる移動、供給ロボット104による押し動作によるスライド等)させると、上記調整コンテナ103内の輸液バッグ12の混注口が混注連通口108の形成箇所に位置するようにしている。上記混注連通口108を用いて上記輸液バッグ12の混注口に上記混注処理室204から上記注射器11の注射針を差し込むことができる。なお、上記連通開口106が混注連通口108を兼ねる構成とすることもできる。
【0054】
図15A及び図15Bに示すように、上記調整コンテナ103内に上記輸液バッグ12を揺動させる揺動機構113を設けておき、上記輸液バッグ12の混注口に注射器11の注射針を差し込むときに、上記混注口を斜め上方に向けたり或いは斜め下方に向けるようにしてもよい。具体的には、上記揺動機構113は、上記調整コンテナ103内に設けられた輸液バッグ揺動台113aが水平軸113bによって、シーソー状に揺動自在となるように設けられたものである。上記輸液バッグ揺動台113aには、上記輸液バッグ12の混注口を固定する図示しないチャック部が設けられている。また、上記調整コンテナ103の底部には開口103cが形成されている。この開口103cを通して混注装置1の側に設けられているシーソー動作部109の動作片109aを輸液バッグ揺動台113aの下面に当ててこの輸液バッグ揺動台113aを揺動させることができる。上記動作片109aはモーター109bにより回動動作されるようになっている。上記モーター109bは上記コントローラによって制御される。なお、上記調整コンテナ103を上記奥側に移動させるときには、この移動を妨げないように上記動作片109aは水平状態に位置される。
【0055】
上記第2ロボットアーム22は、薬剤容器10から必要量の薬液を注射器11内に取り込んだ後、上記混注連通口108から上記注射器11の注射針を供給操作室102内に向け、上記カット領域103aから上記輸液バッグ12の混注口に上記注射針を差し込む。そして、上記第2ロボットアーム22は、上記注射器11内の薬液を上記輸液バッグ12内に注入する。薬液注入済の注射器11、薬剤容器10及び上記調整ケース13は、ダスト用開口からダスト部6へと廃棄される。この場合、上記調整コンテナ103には、混注済の輸液バッグ12が残されることになり、この輸液バッグ12は上記調整コンテナ103ごと供給操作室102から取り出される。
【0056】
上記の混注装置1Aにおいても、上記輸液バッグ12は上記混注処理室204の外側に配置されるので、薬剤による上記輸液バッグ12の被曝を防止することができる。また、この混注装置1Aは上記輸液バッグ12を大きく移動させることが不要であるので、装置の小型化が図れる。なお、この混注装置1Aにおいて、上記薬剤容器10等を搬送するひだ付きベルトコンベヤ部を設けることもできる。また、供給操作室102に隣接して袋詰め装置を配備しておき、混注済の上記輸液バッグ12を供給ロボット104が持ち上げて上記袋詰め装置に渡すようにしてもよい。この袋詰めした輸液バッグ12を元の調整コンテナ103に戻してもよいし、これとは別の1つの輸液バッグが納まる程度の小さな収容コンテナに収容するようにしてもよい。
【0057】
図16に示す混注装置1Bは、上記混注装置1Aと同様、上記袋詰め装置300、上記輸液バッグ保持部4、上記ひだ付きベルトコンベヤ部3、上記輸液バッグ搬送部5等を備えないタイプの混注装置である。図17にこの混注装置1Bの制御系の概略構成を示している。また、他の実施形態の混注装置と同様、上記混注装置1Bの第1、第2ロボットアーム21、22等はコントローラ500によって制御される。
【0058】
上記混注装置1Bにおける調整コンテナ130内には、上記薬剤容器10および注射器11が載置される薬剤用トレイ131と、上記輸液バッグ12が保持される上記輸液バッグ保持部132とがセパレートされて各々可動に設けられている。上記輸液バッグ保持部132には、上記輸液バッグ12の混注口を固定する図示しないチャック部が設けられている。なお、上記薬剤容器10がアンプルである場合、このアンプルは上記薬剤用トレイ131で寝かせずに斜めに立てられた状態でセットされる。このようにセットされると、アンプルの首部に薬剤が溜まるのが防止される。
【0059】
また、上記混注装置1Bの混注動作部2は、他の実施形態の混注装置と同様、容器保持部となる上記第1ロボットアーム21と注射器保持部となる上記第2ロボットアーム22とを左右に備えており、上記注射器11の注射針を上記第2ロボットアーム22により保持されている上記薬剤容器10の口部に差し込む動作及び上記注射器11の注射針を上記輸液バッグ12の混注口に差し込む動作を行う。
【0060】
また、上記混注装置1Bは、上記第1ロボットアーム21及び第2ロボットアーム22の基端部を天井側に配置している。このため、上記混注処理室204内の床面の清掃が容易になっている。また、上記混注装置1Bは、上記調整コンテナ130を上記第1ロボットアーム21に近い位置から上記第2ロボットアーム22に近い位置へと搬送するコンテナ搬送部50を備えている。そして、上記調整コンテナ130が上記第1ロボットアーム21の近くに搬送されたときに、上記第1ロボットアーム21によって上記薬剤容器10及び注射器11が上記混注処理室204内に供給される。また、上記調整コンテナ130が上記第2ロボットアーム22の近くに搬送されたときに、上記調整コンテナ130の上記輸液バッグ保持部132で保持されている上記輸液バッグ12の混注口を上記混注処理室204に形成された上記混注連通口204aに位置させる動作が行われる。
【0061】
上記混注処理室204の下面には開口が形成されており、この開口下に上記混注処理室204に通じるダストボックス213が配置される。上記コンテナ搬送部50は、上記調整コンテナ130を上記混注処理室204の下方であって上記ダストボックス213の後方側を搬送するように設けられている。これにより、混注装置の正面側から上記ダストボックス213の出し入れが行える。図16では、上記コンテナ搬送部50の搬送経路を示すために、上記コンテナ搬送部50内を移動する上記調整コンテナ130を二点鎖線で示している。上記コンテナ搬送部50内に同時に複数の上記調整コンテナ130が存在するわけではない。
【0062】
上記混注装置1Bの前面左側には、上記コンテナ搬送部50に通じる蓋52が設けられており、この蓋52を開けて上記調整コンテナ130を上記コンテナ搬送部50に入れることができる。上記コントローラ500は、上記調整コンテナ130が上記コンテナ搬送部50内の規定の位置に達したことを、図示しない搬送モーターの駆動パルス数或いは位置検知センサの出力に基づいて判断すると、上記調整コンテナ130の搬送を一旦停止する。この停止位置には、上記コンテナ搬送部50と上記混注処理室204とを連通させるシャッター53が水平方向にスライド可能に設けられている。
【0063】
また、上記コンテナ搬送部50には、上記停止位置で停止された上記調整コンテナ130における上記薬剤用トレイ131を昇降させる昇降部が設けられている。この昇降部は例えば4本の昇降可能に設けられたシャフトによって上記薬剤用トレイ131を下から持ち上げる。なお、上記調整コンテナ130の下面には上記4本のシャフトが通る貫通孔が形成されている。
【0064】
上記コントローラ500は、上記調整コンテナ130を停止させた後、上記薬剤用トレイ131を上昇させるとともに、上記シャッター53を開ける。上記シャッター53が開けられたときには、上記薬剤用トレイ131が上記混注処理室204内に露呈されることになる。図16では、上記薬剤用トレイ131および注射器11等が上記混注処理室204内に露呈された状態を示している。
【0065】
そして、上記コントローラ500は、上記第1ロボットアーム21および上記第2ロボットアーム22を制御し、上記混注処理室204内に露呈された上記薬剤用トレイ131上の注射器11を上記第1ロボットアーム21で掴み、この注射器11を上記第2ロボットアーム22に受け取らせる。上記薬剤用トレイ131の上記薬剤容器10は上記第1ロボットアーム21によって上記混注処理室204内の図示しないホルダーに一旦預けられる。上記混注装置1Bにおいては、上記第1ロボットアーム21と上記昇降部と上記シャッター53とによって、上記混注処理室204内に上記薬剤容器10及び注射器11を供給する供給部が構成される。
【0066】
上記コントローラ500は、上記薬剤用トレイ131から全ての薬剤容器10等を上記混注処理室204内に入れた後、上記昇降部のシャフトを降下させる動作、上記シャッター53を閉める動作、上記調整コンテナ130を上記第2ロボットアーム22に近い位置へと搬送する動作を行う。ここで先述の混注装置1Aでは、供給ロボット104は、上記薬剤容器10および注射器11がセットされている上記調整ケース13を上記調整コンテナ103から取り出して本体部200の混注処理室204内に入れていた。これに対し、上記混注装置1Bでは、上記第1ロボットアーム21が上記薬剤用トレイ131上の薬剤容器10等を掴んで上記混注処理室204内に入れることができる。このため、上記薬剤用トレイ131は上記調整コンテナ130内に残り、上記薬剤用トレイ131を繰り返し使用することができる。
【0067】
上記コンテナ搬送部50内であって上記第2ロボットアーム22に近い位置には、輸液バッグ昇降傾斜部54が設けられている。そして、上記調整コンテナ130における上記輸液バッグ保持部132には2個の係合穴部132aが上記調整コンテナ130の縁からはみ出して設けられている。上記コントローラ500は、上記調整コンテナ130を上記輸液バッグ昇降傾斜部54の前まで搬送した後、上記輸液バッグ昇降傾斜部54のフック部54aを上記係合穴部132aに下から引っかけて、上記輸液バッグ保持部132を上昇させ、上記輸液バッグ12の混注口を上記混注連通口204aに位置させる。上記輸液バッグ昇降傾斜部54は上記輸液バッグ保持部132を傾斜させて上記輸液バッグ12の混注口を上向きまたは下向きにすることができる。ここで、上記コントローラ500は、上記輸液バッグ12の混注口から注射針を抜くときには上記混注口を上に向けるように上記輸液バッグ昇降傾斜部54を制御する。このように上記混注口を上に向けると、注射針を抜いたときに上記輸液バッグ12の混注口から液漏れが生じるのを防止できる。
【0068】
上記混注装置1Bの上部側には図示しないファン装置が設けられており、フィルターを介して外部空気が上記混注処理室204内および上記コンテナ搬送部50内に供給される。また、空気の供給量よりも空気の吸引排出量を多くすることにより、上記混注処理室204内および上記コンテナ搬送部50内を陰圧にしている。そして、上記コンテナ搬送部50よりも上記混注処理室204の空気の吸引排出量を多くすることにより、上記コンテナ搬送部50の圧力が上記混注処理室204内に対し陽圧となるようにしている。このため、上記シャッター53が開けられた状態で上記混注処理室204と上記コンテナ搬送部50とが連通しても、上記混注処理室204内の空気が上記コンテナ搬送部50の側に流れ込むことはない。
【0069】
上記混注装置1Bでは、1つの調整コンテナ130を上記コンテナ搬送部50に手操作で供給したが、多数に積み上げられた調整コンテナ103が順次的に上記コンテナ搬送部50に自動供給されるようにしてもよい。また、上記混注処理室204内の天井に紫外線殺菌灯を設け、混注処理の開始後や開始前に上記混注処理室204内を殺菌するようにしてもよい。また、上記混注処理室204内の隅々に紫外線が照射されるように、上記紫外線殺菌灯を上記第1ロボットアーム21と上記第2ロボットアーム22との間に配置してもよい。また、上記調整コンテナ130を上記混注装置1Bの前面側から上記コンテナ搬送部50内に供給したが、上記調整コンテナ130を上記混注装置1Bの側面側から上記コンテナ搬送部50内に供給してもよい。また、上記調整コンテナ130の排出についても、上記混注装置1Bの前面側または側面側のいずれの側から行ってもよい。
【0070】
なお、これらの実施形態においては、混注動作部2をロボットアームにより構成したが、例えば注射器11を保持して回動させる動作を特許文献1の回転機構を用いて行うようにしてもよいものである。また、これらの実施形態においては、上記輸液バッグ12と上記薬剤容器10と上記注射器11とがセットされる調整コンテナ103を上記供給部100に供給することとしたが、このような調整コンテナ103を用いることに限定するものではない。例えば、上記供給部100の上記供給操作室102において、薬剤容器配置箇所と注射器配置箇所と輸液バッグ配置箇所等とを予め決めておき、オペレータが必要な薬剤容器10と注射器11と輸液バッグ12等を各配置箇所にセットするようにしてもよい。
【0071】
また、薬剤容器10として粉状の薬剤が入れられているバイアル瓶を用いる場合には、上記輸液バッグ12に注射器11の注射針を差し入れ、上記輸液バッグ12から輸液を注射器11に吸い込み、この吸い込んだ輸液を上記バイアル瓶内に注ぎ込む処理が行われる。上記吸い込みにおいては、上記混注口が斜め下方に向くように輸液バッグ12を傾倒させるのが望ましい。また、上記バイアル瓶内に輸液を注ぎ込むときには、図8に示したように、注射器11及びバイアル瓶を傾けることで、バイアル瓶の底の薬剤に輸液が直接にかからないようにする(泡立たないようにする)のが望ましい。また、バイアル瓶内に輸液を注入した後、薬剤が輸液に確実に溶け込むように、上記バイアル瓶を把持する第1ロボットアーム21がこのバイアル瓶に対してシェーキング動作を行ってもよい。このシェーキング動作は、バイアル瓶に対する直線的な往復運動とバイアル瓶を回転させる回転運動の一方又は両方からなるのがよい。また、第1ロボットアーム21がこのようなシェーキング動作を行うのではなく、混注処理室204内にシェーキング専用の装置を設けておき、第1ロボットアーム21が上記のシェーキング専用の装置との間でバイアル瓶の受け渡しを行うようにしてもよい。
【0072】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1B 混注装置
10 薬剤容器
11 注射器
11a シリンダ部
11b ピストン部
2 混注動作部
21 第1ロボットアーム
22 第2ロボットアーム
3 ひだ付きベルトコンベヤ部
4 輸液バッグ保持部
41 本体部
42 コンベヤ部
5 輸液バッグ搬送部
50 コンテナ搬送部
6 ダスト部
100 安全キャビネット
101 コンテナ収容室
102 供給操作室
103 調整コンテナ
108 混注連通口
113a 輸液バッグ揺動台(輸液バッグ保持部)
130 調整コンテナ
131 薬剤用トレイ
132 輸液バッグ保持部
200 本体部
201 安全キャビネット
202b 混注連通口
220 清掃具
204 混注処理室
204a 混注連通口
300 袋詰め装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器の薬液を輸液バッグに移す混注装置において、薬剤容器を保持するロボットアームと、注射器を保持し、当該注射器におけるシリンダ部へのピストン部の挿入量を変化させるロボットアームとを備えており、上記注射器の注射針を上記薬剤容器の口部に差し込む動作及び上記注射器の注射針を輸液バッグの混注口に差し込む動作が上記ロボットアームの動作により行われるようにしたことを特徴とする混注装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−52250(P2013−52250A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251019(P2012−251019)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【分割の表示】特願2012−550256(P2012−550256)の分割
【原出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】