説明

混相ミスト噴霧システム

【課題】噴霧する空間内の物を濡らすことなく、噴霧する空間内の気体の濃度を適正値に制御する混相ミスト噴霧システムを提供する。
【解決手段】混相ミスト噴霧システムは、気体のマイクロバブルを液体中に発生するマイクロバブル発生装置と、上記マイクロバブルが混入された液体を加圧する第1液体加圧装置と、液体を加圧する第2液体加圧装置と、上記気体の濃度および上記液体の蒸気圧に従って上記加圧されたマイクロバブルが混入された液体または上記加圧された液体のいずれかを選択する選択弁と、上記選択された液体を一流体方式でマイクロバブルが混入された微粒子ミストとして噴霧する噴霧装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バブルを内包するミストを噴霧する混相ミスト噴霧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、厨房や食品工場などの内部の殺菌や脱臭のためにオゾンのバブルを混入させた水を噴霧することが行われている。そして、オゾンのバブルを混入させた水の噴霧はエジェクターを用いて行われており、ノズルからディフューザーに向かう水流の途中に発生する負圧の箇所でオゾンガスが吸引されてバブルとして混入され、ディフューザーからオゾンのバブルを混入されたミストとして噴霧される。
一方、オゾンを混合した高圧水の噴霧についても提案されており、高圧水とオゾン含有エアーをノズルへ送り、ノズルから高圧水の複数条の噴霧流れをそれぞれ独立に噴霧し、ノズル外で複数条の噴霧流れを合流している。また、その高圧水の噴霧流れの合流点に生じる負圧によりオゾン含有エアーを吸引してこれを高圧水の合流した噴霧流れに混合し、対象物に噴射して洗浄または殺菌する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−283764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、オゾンのバブルを混入させた水を噴霧するだけでは、噴霧する空間の湿気の影響を受けて反応速度が変化しオゾン濃度が過剰になる恐れがあるという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、噴霧する空間内の物を濡らすことなく、噴霧する空間内の気体の濃度を適正値に制御する混相ミスト噴霧システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる混相ミスト噴霧システムは、気体のマイクロバブルを液体中に発生するマイクロバブル発生装置と、上記マイクロバブルが混入された液体を加圧する第1加圧送水装置と、液体を加圧する第2加圧送水装置と、上記気体の濃度および上記液体の蒸気圧に従って上記加圧されたマイクロバブルが混入された液体または上記加圧された液体のいずれかを選択する選択弁と、上記選択された液体を一流体方式でマイクロバブルが混入された微粒子ミストとして噴霧する噴霧装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係わる混相ミスト噴霧システムの効果は、気体のマイクロバブルが混入された微粒子ミストと液体だけの微粒子ミストを噴霧する空間内の気体の濃度および液体の蒸気圧に独立して従って噴霧するので、気体の濃度と液体の蒸気圧を独立して制御でき、気体の濃度が過剰になる恐れを排除することである。
また、高圧に加圧された液体を噴霧するとミストの粒子径は微細になり、蒸散するまでの時間が短時間で済むので、室内の壁や物を濡らすことがないということである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明に係わる混相ミスト噴霧システムは、液滴の中に気泡(以下、バブルと称し、径が50μm以下のバブルをマイクロバブルと称する)が混入された液相および気相の混相からなる混相ミストと液相だけの液相ミストを独立して噴霧するシステムである。特に、噴霧される混相ミストおよび液相ミストは、ザウター粒径が30μm以下の微粒子ミストであり、蒸散速度が速いので混相ミストおよび液相ミストの噴霧により周辺のものが濡れることがないシステムである。この発明に係わる液相と気相は適宜用途により選択することができるが、以下の説明では液相を水で構成し、気相をオゾンガスまたは酸素ガスで構成した場合を例に挙げて説明する。
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係わる混相ミスト噴霧システムの構成図である。図2は、この発明の実施の形態1に係わる加圧水供給装置の構成を示すブロック図である。図3は、この発明の実施の形態1に係わる制御装置の機能ブロック図である。図4は、この発明の実施の形態1に係わる噴霧ノズルの中心軸に沿った断面図である。図5は、噴霧された混相ミストの粒度分布の測定結果を示す図である。図6は、ミストの噴霧のタイミングチャートである。
【0010】
この発明の実施の形態1に係わる混相ミスト噴霧システムは、気相がオゾンガスおよび液相が水で構成され、オゾンガスがマイクロバブルとして混入された混相ミストと水だけの液相ミストを噴霧するオゾン水ミスト噴霧システムである。そして、このオゾン水ミスト噴霧システムは、殺菌や脱臭するシステムとして活用される。
実施の形態1に係わるオゾン水ミスト噴霧システム1は、図1に示すように、オゾンガスを所定量含有し且つ所定の湿度である雰囲気に管理される空間を形成する部屋2の天井3に配設された噴霧ノズル4、噴霧ノズル4に供給される加圧水が配水される加圧水配水管5、加圧水配水管5を介して加圧水を供給する加圧水供給装置6、空間のオゾンガス濃度を測定して加圧水供給装置6に送信するオゾンガスセンサ8、空間の湿度を測定して加圧水供給装置6に送信する温湿度センサ9を備える。
加圧水供給装置6は、オゾンガスを発生するオゾンガス発生装置11、オゾンガスのマイクロバブルを混入された水を蓄える水槽12、オゾンガスのマイクロバブルを水槽12内の水中に発生するマイクロバブル発生装置13、マイクロバブルが混入された水を加圧して送水する第1加圧送水装置14、水を加圧して送水する第2加圧送水装置15、加圧水供給装置6を制御する制御装置16を備える。
【0011】
オゾンガス発生装置11は、放電を利用してオゾンガスを発生する一般的な装置である。
マイクロバブル発生装置13は、一般的な高速旋回流方式のマイクロバブル発生装置であるが、径が50μm以下のマイクロバブルを発生するように制御される装置である。
【0012】
第1加圧送水装置14および第2加圧送水装置15は、構成が同様であり、第1加圧送水装置14について説明する。第1加圧送水装置14は、図2に示すように、高圧ポンプ40、高圧ポンプ40の下流側に配設された元弁41、主配水管42内の水を排水する流路を開閉する排水弁43、加圧水配水管5への加圧水の供給を選択する選択弁44から構成されている。
【0013】
そして、元弁41と選択弁44とは、主配水管42で連通され、主配水管42の途中から分岐する排水配管46により排水弁43が主配水管42に連通されている。主配水管42、排水配管46、加圧水配水管5はそれぞれステンレスからできている。また、高圧ポンプ40と元弁41とは、ゴム製のブレードホース47により連通され、容積式の高圧ポンプ40により発生する脈動を平滑化している。
また、加圧水中に含まれる塵埃を取り除くために、高圧ポンプ40の出口に図示しない20μm角開口のフィルタが介在されている。
なお、高圧ポンプ40で加圧した後、一旦高圧貯蔵容器などに貯蔵してから加圧水配水管5に送水しても良い。
【0014】
制御装置16は、図3に示すように、温湿度センサ9により計測された乾球温度および湿球温度に基づいて水の噴霧量を算出する液体噴霧量算出手段50、オゾンガスセンサ8により計測されたオゾンガス濃度に基づきオゾンガスの噴霧量を算出する気体噴霧量算出手段51、オゾンガスの噴霧量から第1加圧送水装置14から送水する第1送水量を算出する第1送水量算出手段52、水の噴霧量から第1送水量を減算して得た第2送水量を算出する第2送水量算出手段53、第1送水量および第2送水量に従って第1加圧送水装置14および第2加圧送水装置15を制御する噴霧シーケンス制御手段54、湿り空気線図が記憶されている空気線図データベース55を有している。この制御装置16は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路を有するコンピュータから構成されている。
【0015】
液体噴霧量算出手段50は、温湿度センサ9から入力される乾球温度DT(℃)および湿球温度WT(℃)から湿り空気線図に基づき相対湿度RH(%)を算出する。
次に、液体噴霧量算出手段50は、相対湿度RHが所定の値以上の場合、水の噴霧量を零とし、逆に、相対湿度RHが所定の値未満の場合、相対湿度RH(%)に基づいて水の噴霧量を算出する。
【0016】
気体噴霧量算出手段51は、オゾンガスセンサ8から入力されるオゾンガス濃度に基づいてオゾンガスの噴霧量を算出する。
第1送水量算出手段52は、オゾンガスの噴霧量に従って第1送水量を算出する。
第2送水量算出手段53は、水の噴霧量から第1送水量を減算して第2送水量を算出する。
例えば、オゾンガスの噴霧量がAグラムとし、オゾンガスのマイクロバブルの水に対する混入率をγとすると単位時間当たりA/γグラムの水を第1加圧送水装置14から送水し、水の噴霧量がBグラムとすると、(B−A/γ)グラムの水を第2加圧送水装置15から送水する。
また、オゾンガスの噴霧量が零グラムとすると、第2加圧送水装置15からBグラムの水を送水する。
【0017】
噴霧ノズル4は、図4に示すように、略円筒状のハウジング20を有している。そして、円筒状のハウジング20の中心軸に沿って、加圧水配水管5から供給された加圧水を受ける上流側の径が下流側の径より大きい2段の円柱状の加圧水受け空洞21、感圧逆止弁22を収納し、加圧水受け空洞21の下流側の径より大きく、一端が中心軸方向に突き出されたリブ23により外縁部が仕切られた弁収納空洞24、駒25を収納し、リブ23の下流側に位置し、加圧水受け空洞21の上流側の径と等しい円柱状の空洞26およびその空洞26に連なる漏斗状の空洞27からなる噴流生成空洞28、漏斗状の空洞27の先端に連なるオリフィス29が連なって設けられている。
【0018】
そして、弁収納空洞24には、加圧水受け空洞21の下流側の開口21aを開閉する感圧逆止弁22が挿入されている。
感圧逆止弁22は、加圧水受け空洞21の下流側の開口21aに当接したとき、加圧水の流れを遮断する遮断球30、一端が遮断球30に当接し遮断球30に所定のバネ圧が掛けられるように撓んで他端がリブ23に固定されるバネ31から構成されている。所定のバネ圧は、加圧水受け空洞21における水圧が1MPaに達したときに遮断球30と加圧水受け空洞21の開口21aとが離間するようにバネ31のバネ定数が設定されている。なお、所定のバネ圧を低く設定すると、離間したとき高圧に達するまでに時間がかかり径の大きな水滴が噴霧されることになる。また、所定のバネ圧が噴霧水圧に近いと、遮断球30が開口21aから充分に離間できないので、水量に制約を受けてしまう。このような理由から所定のバネ圧は、0.4〜1.5MPaが好ましい。
【0019】
さらに、噴流生成空洞28では、加圧水を旋回噴流として噴出し、漏斗状の空洞27の内側面に衝突させるための駒25が円柱状の空洞26の内側面に接しながら噴霧ノズル4の中心軸方向に摺動しながら移動する。駒25には、側面に螺旋状の溝32が掘られ、その溝32と円柱状の空洞26の内側面とにより加圧水を旋回して噴出する旋回流路が形成される。
【0020】
加圧水配水管5から分岐して圧力変換器(株式会社共和電業製、型式PVD−100ka、測定レンジ0〜10MPa)17が取り付けられて、噴霧ノズル4の加圧水受け空洞21に掛かる水圧を計測し、それを噴霧水圧としている。通常は、この噴霧水圧と高圧ポンプ40の出力水圧との関係を予め求めておいて、高圧ポンプ40の出力水圧を管理することにより、噴霧水圧を管理する。なお、水圧の測定には、ブルドン管圧力計などを用いてもよい。
【0021】
次に、噴霧ノズル4において加圧水が噴霧される手順について説明する。
加圧水受け空洞21に加圧水が注水され、水圧が所定の値に達すると、遮断球30を押して加圧水が弁収納空洞24内に流れ込む。
そして、リブ23の中央に形成された孔23aから加圧水が駒25の一方の端面を押して駒25が噴霧ノズル4の中心軸に沿って漏斗状の空洞27の方向に移動され、駒25の側面の溝32を通って加圧水が旋回されながら通過し、溝32の端部から噴流される。
この噴流が漏斗状の空洞27の内側面に衝突して、衝突噴流になりミストとしてオリフィス29から噴霧される。
【0022】
次に、噴霧されたミストについて説明する。この発明におけるミストは、小さな径の水滴を意味する。そして、ミストの平均粒径は、噴霧ノズル4の中心軸上でオリフィス29の先端から50mm離れた箇所でレーザ回折法により測定した体面積平均粒径(ザウター平均径と称す。)を用いる。レーザ回折法において、レーザ回折粒径測定器(Malvern Instruments社製、マスターサイズーS型、使用レーザ:HeーNeレーザ)を用いて、5回同様に測定し、その平均値をミストの平均粒径として用いている。
実施の形態1で使用した噴霧ノズル4から噴霧水圧5MPaのときザウター平均粒径が図5に示すように20μmであった。なお、噴霧水圧が低いとミストの平均粒径が大きくなり、また、噴霧水圧が高いとミストの平均粒径が小さくなるとともに噴霧流量が多くなるが、高すぎると配管などに大きな衝撃波が加わり、安全上好ましくない。これらの理由から噴霧水圧は、2MPa〜10MPaの間が好ましい。さらに、ザウター平均粒径が20μm以下になるように噴霧水圧は5MPa〜10MPaの間が好ましい。
【0023】
なお、ミストの平均粒径として、レーザ回折粒径測定器を用いて測定しているが、他にドプラー位相粒径測定器などを用いて測定してもよい。このとき、測定器の種類により、平均粒径が異なるので、同一条件で噴霧したミストを測定して対比することが必要である。例えば、噴霧ノズル4から噴霧水圧5MPaのときに噴霧されたミストの90%体積粒径が60μm、10%体積粒径が3μmであった。
【0024】
次に、加圧水を第1加圧送水装置14から供給するシーケンスについて図6を参照して説明する。なお、第2加圧送水装置15から加圧水を供給するシーケンスも図6と同様であり、説明は省略する。
噴霧シーケンス制御手段54は、まず元弁41を開放する。同時に排水弁43を開放する。
次に、噴霧シーケンス制御手段54は、高圧ポンプ40をONして、加圧水をブレードホース47から主配水管42に送水する。そうすると、主配水管42内に残っている空気が排水弁43から水と一緒に押し出されて、主配水管42内が均一な水圧が掛かるようになる。
次に、噴霧シーケンス制御手段54は、排水弁43を閉じる。それにより、主配水管42内の水圧が所望の水圧、例えば、6MPaに達する。
次に、噴霧シーケンス制御手段54は、噴霧ノズル4に連なる選択弁44を開放して、加圧水が加圧水配水管5を経由して噴霧ノズル4に供給される。このときの加圧水受け空洞21に注水されて加わる水圧は4秒の間にほぼ0MPaから6MPaに達する。このように水圧が1MPa以上になると、噴霧ノズル4の感圧逆止弁22が開放されてミストの噴霧が開始される。
【0025】
逆に、ミストの噴霧を終了するときには、噴霧シーケンス制御手段54は、排水弁43を開放して主配水管42内の水圧を減少させる。そうすると、加圧水受け空洞21の水圧が1MPa以下に低下するので、感圧逆止弁22が閉まり、ミストの噴霧が終了される。
そして、排水弁43が開放されてから約3秒経過後高圧ポンプ40をOFFし、選択弁44を閉じる。その後、元弁41と排水弁43とを閉じる。
【0026】
このように、主配水管42内の水圧を所望の値に一旦安定したのち、加圧水配水管5に給水することにより、噴霧ノズル4に給水される加圧水の水圧が数秒の間で0MPaから6MPaに変化することができる。そして、感圧逆止弁22が急激に開放され、水圧の低い状態で噴霧される時間を短くすることができるので、水圧が低い状態で噴霧されたときにみられる大きな粒径のミストが殆ど噴霧されることがない。
また、排水弁43を開放すると主配水管42内の水圧が急激に低下し、感圧逆止弁22が急激に閉められ、水圧の低い状態で噴霧される時間が短くすることができるので、水圧が低い状態で噴霧されたときにみられる大きな粒径のミストが殆ど噴霧されることがない。
【0027】
次に、噴霧されるミストに混入されるオゾンガスのマイクロバブルについて説明する。水槽12内の水に混入されるオゾンガスのマイクロバブルは、径が50μm以下であるので、加圧水配水管5内の水に混入されるオゾンガスのマイクロバブルは、水が6MPaに加圧されているので径が13μm以下になる。一方、噴霧されたミストの平均粒径が20μmであるのでミストの中にオゾンガスのマイクロバブルが内包されてミストと一緒に拡散していく。そして、ミストが蒸散するのに従ってオゾンガスが放出される。
【0028】
また、水圧が2MPaであれば、マイクロバブルの径は18μm以下に縮小され、且つ図5に示すように、噴霧されるミストの平均粒径が30μm位になるので、水圧が下限の2MPaにしてもミストの中にオゾンガスのマイクロバブルが内包されてミストと一緒に拡散していく。
【0029】
このようなオゾン水ミスト噴霧システム1は、オゾンガスの噴霧量を第1加圧送水装置14から混相ミストとして噴霧し、湿度を所定の値に維持するための水の噴霧量が混相ミストだけでは足りない場合、残りの水の噴霧量を第2加圧送水装置15から送水するので、湿度を所定の値に維持できるとともにオゾンガスの濃度が過剰になることを避けることができる。
また、オゾンガスを径が50μm以下のマイクロバブルにして水に混入させた後、水を2MPa以上の高圧に加圧してマイクロバブルの径を縮小したままミストにして噴霧するので、中にオゾンガスのマイクロバブルが混入したままのミストを噴霧することができる。
また、水を2MPa以上の高圧に加圧して噴霧するので、ミストの平均粒子径が30μm以下となり、蒸散速度が速く、部屋内の壁や物を濡らすことがなくなる。
また、水槽12内の水に径が50μm以下のオゾンガスのマイクロバブルを混入するので、大気圧の水中でもマイクロバブルは長時間に亘って浮遊し、噴霧される水に含有されるオゾンガスの濃度を高めることができる。このため、少ない水量でオゾンガスを空間に拡散させることができる。
【0030】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係わる混相ミスト噴霧システムの構成図である。図8は、この発明の実施の形態2に係わる制御装置の機能ブロック図である。
この発明の実施の形態2に係わる混相ミスト噴霧システムは、気相が酸素ガスおよび液相が水で構成され、酸素ガスがマイクロバブルとして混入された混相ミストと水だけの液相ミストを噴霧する酸素水ミスト噴霧システムである。そして、この酸素水ミスト噴霧システムは、疲労回復またはリラクゼーションのための高濃度の酸素雰囲気の部屋を提供するシステムとして活用される。
実施の形態2に係わる酸素水ミスト噴霧システム7は、図7に示すように、実施の形態1に係わるオゾン水ミスト噴霧システム1とオゾンガス発生装置11の代わりに酸素ガス発生装置35、オゾンガスセンサ8の代わりに酸素ガスセンサ36、制御装置16の代わりに制御装置16Bが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
【0031】
酸素ガス発生装置35は、窒素ガスを優先的に吸着する吸着剤を利用して空気中より酸素ガスを分離し供給する一般的な装置である。なお、酸素ガスを供給することができれば如何なる方法で酸素ガスを発生しても良い。
酸素ガスセンサ36は、雰囲気の酸素ガス濃度を計測し制御装置16Bに伝送する一般的なセンサである。
実施の形態2に係わる制御装置16Bは、図8に示すように、実施の形態1に係わる制御装置16と気体噴霧量算出手段51Bおよび第1送水量算出手段52Bが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
気体噴霧量算出手段51Bは、酸素ガスセンサ36により計測された酸素濃度に基づいて酸素ガスの噴霧量を算出する。
第1送水量算出手段52Bは、酸素ガスの噴霧量に従って第1送水量を算出する。
【0032】
このような酸素水ミスト噴霧システム7は、酸素ガスの噴霧量を第1加圧送水装置14から混相ミストとして噴霧し、湿度を所定の値に維持するための水の噴霧量が混相ミストだけでは足りない場合、残りの水の噴霧量を第2加圧送水装置15から送水するので、湿度を所定の値に維持できるとともに酸素ガスの濃度が過剰になることを避けることができる。
また、酸素ガスを径が50μm以下のマイクロバブルにして水に混入させた後、水を2MPa以上の高圧に加圧してマイクロバブルの径を縮小したままミストにして噴霧するので、中に酸素ガスのマイクロバブルが混入したままのミストを噴霧することができる。
また、水を2MPa以上の高圧に加圧して噴霧するので、ミストの平均粒子径が30μm以下となり、蒸散速度が速く、部屋内の壁や物を濡らすことがなくなる。
また、水槽12内の水に径が50μm以下の酸素ガスのマイクロバブルを混入するので、大気圧の水中でもマイクロバブルは長時間に亘って浮遊し、噴霧される水に含有される酸素ガスの濃度を高めることができる。このため、少ない水量で酸素ガスを空間に拡散させることができる。
【0033】
ここで、バブルを内包するミストを噴霧することを記載したが、バブルは必ずしもミストに内包されることに限らない。例えば、バブルの径が30μm、ミストの径が30μmの場合、バブルはミストに内包されずにミストの噴霧とともに放出されるので、効率良く酸素を空間内に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる混相ミスト噴霧システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる加圧水供給装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係わる制御装置の機能ブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係わる噴霧ノズルの中心軸に沿った断面図である。
【図5】噴霧された混相ミストの粒度分布の測定結果を示す図である。
【図6】ミストの噴霧のタイミングチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係わる混相ミスト噴霧システムの構成図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係わる制御装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1 オゾン水ミスト噴霧システム、2 部屋、3 天井、4 噴霧ノズル、5 加圧水配水管、6 加圧水供給装置、7 酸素水ミスト噴霧システム、8 オゾンガスセンサ、9 温湿度センサ、11 オゾンガス発生装置、12 水槽、13 マイクロバブル発生装置、14 第1加圧送水装置、15 第2加圧送水装置、16、16B 制御装置、17 圧力変換器、20 ハウジング、21 空洞、21a 開口、22 感圧逆止弁、23 リブ、23a 孔、24 弁収納空洞、25 駒、26、27 空洞、28 噴流生成空洞、29 オリフィス、30 遮断球、31 バネ、32 溝、35 酸素ガス発生装置、36 酸素ガスセンサ、40 高圧ポンプ、41 元弁、42 主配水管、43 排水弁、44 選択弁、46 排水配管、47 ブレードホース、50 液体噴霧量算出手段、51、51B 気体噴霧量算出手段、52、52B 第1送水量算出手段、53 第2送水量算出手段、54 噴霧シーケンス制御手段、55 空気線図データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体のマイクロバブルを液体中に発生するマイクロバブル発生装置と、
上記マイクロバブルが混入された液体を加圧する第1加圧送水装置と、
液体を加圧する第2加圧送水装置と、
上記気体の濃度および上記液体の蒸気圧に従って上記加圧されたマイクロバブルが混入された液体または上記加圧された液体のいずれかを選択する選択弁と、
上記選択された液体を一流体方式でマイクロバブルが混入された微粒子ミストまたは液相だけの微粒子ミストとして噴霧する噴霧装置と、
を備えることを特徴とする混相ミスト噴霧システム。
【請求項2】
上記気体のマイクロバブルはオゾンガスのバブルであり、上記液体は水であり、
上記微粒子ミストを噴霧することにより殺菌または脱臭することを特徴とする請求項1に記載の混相ミスト噴霧システム。
【請求項3】
上記気体のマイクロバブルは酸素ガスのバブルであり、上記液体は水であり、
上記微粒子ミストを噴霧することにより疲労回復またはリラクゼーションの機能を有する雰囲気を形成することを特徴とする請求項1に記載の混相ミスト噴霧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−168266(P2008−168266A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6000(P2007−6000)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】