混練押出装置及び混練押出装置の起動方法
【課題】混練押出装置の起動時に混練押出機からの樹脂取り出し量を少なく抑制することができ、定常運転に移行した場合の樹脂品質の悪化やカッティング運転での問題を防止でき、装置構成の大型化や複雑化をも防止できるようにする。
【解決手段】本発明の混練押出装置1には、ダイバータ12を備えた混練押出機2と、この混練押出機2を駆動する電動機3と、この電動機3に駆動用電力を供給する電源装置4とを有し、電源装置4には、電動機3を定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する起動用電力供給部17と、電動機3を定常運転時の出力で高速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する運転用電力供給部18と、電動機3へ供給する起動用電力供給部17からの駆動用電力を運転用電力供給部18からの駆動用電力に切り替える電源切換装置19と、が備えられている。
【解決手段】本発明の混練押出装置1には、ダイバータ12を備えた混練押出機2と、この混練押出機2を駆動する電動機3と、この電動機3に駆動用電力を供給する電源装置4とを有し、電源装置4には、電動機3を定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する起動用電力供給部17と、電動機3を定常運転時の出力で高速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する運転用電力供給部18と、電動機3へ供給する起動用電力供給部17からの駆動用電力を運転用電力供給部18からの駆動用電力に切り替える電源切換装置19と、が備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練押出装置及び混練押出装置の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂ペレットの製造に用いる混練押出機は、樹脂の投入部と、投入された樹脂をロータやスクリュ等で混練させつつ送り出す混練部と、混練され溶融状態となった溶融樹脂を押し出す押出部とを有したものであり、押出部の出口部分(下流側)に水中カット造粒装置などの造粒機が連結されて、この造粒機でペレットへの造粒が行われるようになっている。
【0003】
このような混練押出機に対し、混練部のロータやスクリュ等を回転駆動させるための電動機と、この電動機に駆動用電力を供給する電源装置とが備えられることで混練押出装置が構成される。電動機には、混練する樹脂の種類や処理量に応じて、数千kW〜一万kWを超える出力の中から最適なものが選出される。
混練押出装置の起動時には、電動機を起動し、次に混練押出機の投入部から少量の樹脂を投入し、押出部の出口手前に設けられた開口部(ダイバータ)から溶融した樹脂を混練押出機の機外へ取り出したり、押出部と造粒機とを分離させて、押出部の出口に設けられたダイプレートから溶融した樹脂を混練押出機の機外へ取り出したりする。そして、取り出した樹脂の溶融状態を確認後、ダイバータの閉鎖や押出部への造粒機の連結を行って、連続した定常運転に移行する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
ところで、近年では処理量の増加が要求されることで、混練押出機として、混練室の内径(口径)が大きな大型混練押出機が使用されることが多くなってきている。この混練押出機では、起動時に投入する樹脂の流量が少ないと、樹脂の滞留時間が増えることになる。さらに、混練部内では定常運転時と同じ高速の定速回転が樹脂に加えられることになって、少ない投入量の樹脂に比して過剰となる回数のせん断力が樹脂に加えられることになる。
【0005】
これらが要因となって樹脂温度が必要以上に上昇してしまうことになる。もし、このような樹脂の状態のまま定常運転へ移行したとすると、実際の定常運転では溶融した樹脂として品質上の問題が生じたり、造粒機でのカッティング運転が困難になったりする問題があった。
このような理由により、起動時に投入する樹脂の流量は定常運転時に可及的に近づける(流量を多くする)のが好ましいとされる。しかしその反面、混練押出機から取り出した樹脂を人手作業で処理する場合では、流量をむやみに増やすことは好ましくない。そこで、混練押出機から取り出した樹脂の溶融状態を確認後、流量が多い場合の人手作業が不要となるように、排出される多量の樹脂を搬送装置でプラント建屋の屋外などへ搬出する方法が提案されている(例えば、特許文献3,4参照)。
【0006】
なお、上記したような混練押出機における起動時の問題を回避する一つの策として、電動機とは別に起動用の小型電動機を備えさせ、混練押出装置を起動させる際の低速での回転駆動はこの起動用の小型電動機を用いるものとし、混練押出装置を定常運転へ移行させるときに電動機に切り替えて、この電動機により高速の定速回転駆動を行う方法も提案されている(例えば、特許文献5,6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−220486号公報
【特許文献2】特開2009−220333号公報
【特許文献3】特表2002−522253号公報
【特許文献4】特開2007−181949号公報
【特許文献5】特開2008−30442号公報
【特許文献6】特開2009−51032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3,4に開示された混練押出機から取り出した樹脂を搬送装置でプラント建屋の屋外などへ搬出する方法では、起動時の投入樹脂量は多くできるが、取り出される樹脂の量も多いために環境への悪影響が大きくなる問題があった。
特許文献5,6に開示された電動機とは別に起動用の小型電動機を備えさせる方法では2台の電動機によって装置構成が大型且つ複雑となり、設備コストだけでなく、ひいてはペレットの製造コストも高くなる問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、混練押出装置の起動時に混練押出機からの樹脂取り出し量を少なく抑制することができ、定常運転に移行した場合の樹脂品質の悪化やカッティング運転での問題を防止でき、更に装置構成の大型化や複雑化をも防止できるようにした混練押出装置及び混練押出装置の起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る混練押出装置には、ダイバータを備えた混練押出機と、この混練押出機を駆動する電動機と、この電動機に駆動用電力を供給する電源装置とを有し、前記電源装置には、前記電動機を定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する起動用電力供給部と、前記電動機を定常運転時の出力で高速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する運転用電力供給部と、前記電動機へ供給する起動用電力供給部からの駆動用電力を運転用電力供給部からの駆動用電力に切り替える電源切換装置と、が備えられていることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記起動用電力供給部は、電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を当該電動機へ供給する電源であるとよい。
好ましくは、前記電源は、変圧器と可変電圧可変周波数電源装置とからなるとよい。
また、本発明に係る混練押出装置の起動方法は、混練押出機が備えているダイバータを開き、混練押出機に定常運転時より少ない流量の樹脂を投入し、前記混練押出機を駆動する電動機を起動用電力供給部からの駆動電力により定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させ、前記起動用電力供給部からの駆動電力による電動機の駆動中に樹脂の流量を増加し、前記樹脂の流量増加によって起動用電力供給部からの駆動用電力による電動機の最高出力を超える負荷が電動機に発生する際に、運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えて電動機を定常運転時の出力で高速回転させ、前記ダイバータを閉じて定常運転に移行することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を前記起動用電力供給部から当該電動機へ供給するとよい。
好ましくは、前記混練押出機の起動の際には、起動用電力供給部により電動機の回転数を定常運転時の回転数まで上昇させ、その後、前記電動機へ供給する駆動電力を運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る混練押出装置及び混練押出装置の起動方法は、混練押出装置の起動時に混練押出機からの樹脂取り出し量を少なく抑制することができ、定常運転に移行した場合の樹脂品質の悪化やカッティング運転での問題を防止でき、更に装置構成の大型化や複雑化をも防止できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る混練押出装置の第1実施形態を模式的に示した側面図である。
【図2】本発明に係る混練押出装置の起動方法において電動機の回転速度を制御する状況を示したグラフである。
【図3】本発明に係る混練押出装置の第2実施形態を模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る混練押出装置の第1実施形態を示している。
この混練押出装置1は、樹脂を混練し押出する混練押出機2と、この混練押出機2を駆動する電動機3(主電動機)と、この電動機3に駆動用電力を供給する電源装置4とを有している。
【0016】
混練押出機2は、樹脂の投入部7と、投入された樹脂を混練する混練部と混練され溶融状態となった樹脂を下流へと送る搬送部とを備えたロータやスクリュ等を有している。本実施形態においては、この混練押出機2に対し、その出口部分(下流側)に水中カット造粒装置などの造粒機10が連結されて、この造粒機10によってペレットへの造粒が行われるようになっている。
【0017】
混練押出機2には、出口手前にダイバータ12(開口部)が設けられており、このダイバータ12を開けば、混練部で混練され且つ溶融された樹脂を混練押出機2の機外へ取り出すことができるようになっている。また、混練押出機2と造粒機10とを分離させると、混練押出機2の先端に取付部9を介して備えられたダイプレート13から溶融樹脂を混練押出機2の機外へ取り出すことができるようになっている。
【0018】
混練押出機2と電動機3との連結間には減速機15が設けられており、この減速機15により電動機3の駆動回転が減速されたうえで、混練押出機2におけるロータやスクリュ等に伝達されるようになっている。
電動機3には、定速回転駆動の誘導電動機や同期電動機が使用されている。この電動機3は、混練する樹脂の種類や処理量に応じて、数千kW〜一万kWを超える出力の中から最適なものが選出されている。
【0019】
電源装置4は、三相交流電源16からの電力を元に混練押出装置1の起動の際に必要とされる電力を電動機3に供給する仕様の起動用電力供給部17と、三相交流電源16からの電力を元に混練押出装置1の定常運転の際に必要とされる電力を電動機3に供給する仕様の運転用電力供給部18と、電動機3に対する電力供給をこれら起動用電力供給部17と運転用電力供給部18との間で切り替える電源切換装置19とを有している。
【0020】
起動用電力供給部17は、電動機3に対し、混練押出装置1を定常運転させる時の出力より小さな出力で低速回転させるものである。例えば、電動機3が定格10,000kWを出力するものであるとした場合、起動用電力供給部17には、定格の60%以下の出力を最高出力とするように電動機3に電力を供給するものを採用すればよい。
本実施形態において起動用電力供給部17は、定常運転させる時の出力より小さな出力とするための変圧器20と、電動機3の回転速度制御を可能にするために、可変電圧可変周波数電源装置(VVVF)21とを有した構成としてある。また、可変電圧可変周波数電源装置21は、容量が電動機3の出力の60%に相当する6,000kWのものを採用した。
【0021】
起動用電力供給部17の最高出力を60%以下に設定することの理由は、次の通りである。
すなわち、混練押出装置1の起動時において、混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の流量は、樹脂取り出し作業の作業性を考慮するとできる限り少量であることが望ましく、多くとも定常運転時に混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の最大流量の半分以下とすべきである。混練押出機2に投入する樹脂の流量を半分以下に少なくすることに伴い、混練押出機2の混練部8ではロータ又はスクリュの回転速度も低速でよいことになって、このとき混練部8で必要とされるトルクを基に電動機3の消費動力を算出すると、電動機3の定格出力の60%以下でよいことを本願発明者らは知見した。
【0022】
一方、運転用電力供給部18は、電動機3に対し、混練押出装置1を定常運転に即した出力で高速回転させるためのものである。当然に、電動機3が定格10,000kWを出力するものであるとした場合、運転用電力供給部18には、電動機3をその最大能力で駆動できる出力(電動機3の定格出力の100%)のものを採用する必要がある。それ故、運転用電力供給部18としては、この三相交流電源16の出力をそのまま電動機3へ供給できるようにするための直結回路(バイパス)を構成させればよいことになる。
【0023】
電源切換装置19は、前記したように電動機3に対する電力供給状態を起動用電力供給部17と運転用電力供給部18との間で切り替えるためのもので、本実施形態では、起動用電力供給部17の回路を接続したり切断したりする開閉器からなる起動側切換部19aと、運転用電力供給部18の回路を接続したり切断したりする開閉器からなる運転側切換部19bとを有したものとしてある。
【0024】
次に、本発明に係る混練押出装置1の使用態様に基づき、本発明に係る混練押出装置の起動方法を説明する。
まず、混練押出機2のダイバータ12を開け、また混練押出機2から造粒機10を分離させて取付部9に取り付けられているダイプレート13を開放状態(外部へ露出した状態)にする。また、電源装置4の電源切換装置19において、起動側切換部19aを「入」にし、運転側切換部19bを「切」にすることで、起動用電力供給部17を選択しておく。そして、この起動用電力供給部17からの電力を供給して電動機3を起動し、この電動機3によって混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュを回転駆動させるようにする。
【0025】
このとき、起動用電力供給部17において可変電圧可変周波数電源装置21を制御することで、電動機3の回転速度が、混練押出装置1を定常運転させるときの回転速度(最高回転速度)に対する50%〜80%程度の低速回転となるように設定する。当然に、この起動用電力供給部17の制御で、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュの回転速度も低速回転となる。
【0026】
次に、原料樹脂供給機(図示略)を起動し、混練押出機2に対して投入部7から原料樹脂を投入する。このとき樹脂を投入する流量は、樹脂取り出し作業の作業性を考慮し、混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の最大流量に対して約10%〜40%程度とするのが好ましい。
このようにして、混練押出機2のダイバータ12やダイプレート13から混練により溶融した樹脂を取り出しできる状態とし、取り出された樹脂の溶融状態を確認する。取り出した樹脂の溶融温度が高すぎる場合は、起動用電力供給部17における可変電圧可変周波数電源装置21を制御して、電動機3の回転速度を更に低下させる。これにより、混練押出機2のロータ又はスクリュの回転速度も下げて、樹脂温度を低下させる。
【0027】
このような起動用電力供給部17を用いた混練押出装置1の起動運転では、混練押出機2における混練部内での樹脂流量は少ないので、電動機3に作用する負荷は定格出力時の60%以下、すなわち6,000kW以下に収まる。
混練押出機2のダイバータ12やダイプレート13から取り出した樹脂の溶融状態が適正になれば、ダイバータ12側から樹脂が取り出される状態を維持させつつ、混練押出機2の押出部9を造粒機10と連結させる。
【0028】
そして、造粒機10内に冷却水を供給させながら、この造粒機10内でカッター(図示略)を回転させ、このカッターを混練押出機2(押出部9)のダイプレート13に接触させる。この際ダイバータ12を閉じることで定常運転に移行する。このようにして、造粒機10内でペレットの製造が開始されることになる。
図2に示すように、起動用電力供給部17の出力能力の範囲内(可変電圧可変周波数電源装置21の最高出力、即ち最大容量に至るまで)で、電動機3の回転速度を徐々に増速させてゆきながら、混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の流量を増加させてゆく。
【0029】
このときの電動機3に対して行う増速は、混練押出装置1が定常運転を行う際の電動機3の回転速度を上限として行う。また、混練押出機2に対する樹脂投入流量の増加は、混練押出装置1が定常運転を行う際の最高流量に対する約40%〜50%程度を上限とするようにして行う。
混練押出機2に対する樹脂投入流量の増加に伴い、電動機3に対する負荷も増加し、やがては起動用電力供給部17における可変電圧可変周波数電源装置21の出力(容量)を超える負荷が発生する(電動機3の消費動力が可変電圧可変周波数電源装置21の定格出力を超える)ようになる。
【0030】
そこで、この負荷の発生時に、電源切換装置19において起動側切換部19aを「切」にし、運転側切換部19bを「入」にするように、自動又は手動により切換動作させる。これにより、電動機3に対する駆動電力の電力供給状態が、起動用電力供給部17により供給される状態から運転用電力供給部18により供給される状態へと切り換わる。
ペレットの生産計画に応じ、混練押出機2に対する樹脂の投入流量を、最高投入流量の50%〜100%の範囲内で設定し、これより以降を混練押出装置1の定常運転とする。定常運転中は樹脂処理量を上げて運転しているので、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュが最高回転速度で回転駆動されても、混練部8内で樹脂が滞留する時間が適正に保たれるので、溶融した樹脂の温度が設定温度を超えて上昇することはない。このようにして、それ以降、適正な温度で混練、造粒運転が行われることになる。
【0031】
なお、図2に示す如く、電動機3に対する負荷は、処理量に応じ、電動機定格出力(動力)が100%(本実施形態では最大10,000kW)となるまで許容されるものであることは言うまでもない。
[第2実施形態]
図3は、本発明に係る混練押出装置1の第2実施形態を示している。
【0032】
この第2実施形態では、電動機3と混練押出機2との連結間に設ける減速機15が、2段変速機を備えた構成とされている。混練押出装置1としての起動方法は、基本的には第1実施形態と同じである。
ただ、第2実施形態では、定常運転時において、混練押出機2に対する樹脂の投入流量が、最高投入流量の50%〜80%とするような場合(低生産量の運転を行う場合)に、起動前から減速機15を低速ギヤ側に設定しておき、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュの回転速度を、低速域に固定しておく。
【0033】
これに対し、定常運転時において、混練押出機2に対する樹脂の投入流量が、最高投入流量の80%〜100%とするような場合(高生産量の運転を行う場合)に、起動前から減速機15を高速ギヤ側に設定しておき、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュの回転速度を、高速域に固定しておく。
なお、このような減速機15のギヤ切換は、混練押出機2を停止して行うのが好適である。
【0034】
以上、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、起動用電力供給部17の最高出力を電動機3の出力の60%として説明を行ったが、40%であってもよい。混練押出装置1の起動時において必要とされるトルクから算出された電動機3の消費動力に見合う出力であれば60%以下のいずれの値でもよい。
【0035】
また、電源切換装置19として起動側切換部19aと運転側切換部19bの2つを備えた場合を例示したが、起動側と運転側とを一つの切換部で切り替えるものでもよい。
また、混練押出機2の構成は何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1 混練押出装置
2 混練押出機
3 電動機
4 電源装置
7 投入部
8 混練部
9 取付部
10 造粒機
12 ダイバータ
13 ダイプレート
15 減速機
16 三相交流電源
17 起動用電力供給部
18 運転用電力供給部
19 電源切換装置
19a 起動側切換部
19b 運転側切換部
20 変圧器
21 可変電圧可変周波数電源装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練押出装置及び混練押出装置の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂ペレットの製造に用いる混練押出機は、樹脂の投入部と、投入された樹脂をロータやスクリュ等で混練させつつ送り出す混練部と、混練され溶融状態となった溶融樹脂を押し出す押出部とを有したものであり、押出部の出口部分(下流側)に水中カット造粒装置などの造粒機が連結されて、この造粒機でペレットへの造粒が行われるようになっている。
【0003】
このような混練押出機に対し、混練部のロータやスクリュ等を回転駆動させるための電動機と、この電動機に駆動用電力を供給する電源装置とが備えられることで混練押出装置が構成される。電動機には、混練する樹脂の種類や処理量に応じて、数千kW〜一万kWを超える出力の中から最適なものが選出される。
混練押出装置の起動時には、電動機を起動し、次に混練押出機の投入部から少量の樹脂を投入し、押出部の出口手前に設けられた開口部(ダイバータ)から溶融した樹脂を混練押出機の機外へ取り出したり、押出部と造粒機とを分離させて、押出部の出口に設けられたダイプレートから溶融した樹脂を混練押出機の機外へ取り出したりする。そして、取り出した樹脂の溶融状態を確認後、ダイバータの閉鎖や押出部への造粒機の連結を行って、連続した定常運転に移行する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
ところで、近年では処理量の増加が要求されることで、混練押出機として、混練室の内径(口径)が大きな大型混練押出機が使用されることが多くなってきている。この混練押出機では、起動時に投入する樹脂の流量が少ないと、樹脂の滞留時間が増えることになる。さらに、混練部内では定常運転時と同じ高速の定速回転が樹脂に加えられることになって、少ない投入量の樹脂に比して過剰となる回数のせん断力が樹脂に加えられることになる。
【0005】
これらが要因となって樹脂温度が必要以上に上昇してしまうことになる。もし、このような樹脂の状態のまま定常運転へ移行したとすると、実際の定常運転では溶融した樹脂として品質上の問題が生じたり、造粒機でのカッティング運転が困難になったりする問題があった。
このような理由により、起動時に投入する樹脂の流量は定常運転時に可及的に近づける(流量を多くする)のが好ましいとされる。しかしその反面、混練押出機から取り出した樹脂を人手作業で処理する場合では、流量をむやみに増やすことは好ましくない。そこで、混練押出機から取り出した樹脂の溶融状態を確認後、流量が多い場合の人手作業が不要となるように、排出される多量の樹脂を搬送装置でプラント建屋の屋外などへ搬出する方法が提案されている(例えば、特許文献3,4参照)。
【0006】
なお、上記したような混練押出機における起動時の問題を回避する一つの策として、電動機とは別に起動用の小型電動機を備えさせ、混練押出装置を起動させる際の低速での回転駆動はこの起動用の小型電動機を用いるものとし、混練押出装置を定常運転へ移行させるときに電動機に切り替えて、この電動機により高速の定速回転駆動を行う方法も提案されている(例えば、特許文献5,6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−220486号公報
【特許文献2】特開2009−220333号公報
【特許文献3】特表2002−522253号公報
【特許文献4】特開2007−181949号公報
【特許文献5】特開2008−30442号公報
【特許文献6】特開2009−51032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3,4に開示された混練押出機から取り出した樹脂を搬送装置でプラント建屋の屋外などへ搬出する方法では、起動時の投入樹脂量は多くできるが、取り出される樹脂の量も多いために環境への悪影響が大きくなる問題があった。
特許文献5,6に開示された電動機とは別に起動用の小型電動機を備えさせる方法では2台の電動機によって装置構成が大型且つ複雑となり、設備コストだけでなく、ひいてはペレットの製造コストも高くなる問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、混練押出装置の起動時に混練押出機からの樹脂取り出し量を少なく抑制することができ、定常運転に移行した場合の樹脂品質の悪化やカッティング運転での問題を防止でき、更に装置構成の大型化や複雑化をも防止できるようにした混練押出装置及び混練押出装置の起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る混練押出装置には、ダイバータを備えた混練押出機と、この混練押出機を駆動する電動機と、この電動機に駆動用電力を供給する電源装置とを有し、前記電源装置には、前記電動機を定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する起動用電力供給部と、前記電動機を定常運転時の出力で高速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する運転用電力供給部と、前記電動機へ供給する起動用電力供給部からの駆動用電力を運転用電力供給部からの駆動用電力に切り替える電源切換装置と、が備えられていることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記起動用電力供給部は、電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を当該電動機へ供給する電源であるとよい。
好ましくは、前記電源は、変圧器と可変電圧可変周波数電源装置とからなるとよい。
また、本発明に係る混練押出装置の起動方法は、混練押出機が備えているダイバータを開き、混練押出機に定常運転時より少ない流量の樹脂を投入し、前記混練押出機を駆動する電動機を起動用電力供給部からの駆動電力により定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させ、前記起動用電力供給部からの駆動電力による電動機の駆動中に樹脂の流量を増加し、前記樹脂の流量増加によって起動用電力供給部からの駆動用電力による電動機の最高出力を超える負荷が電動機に発生する際に、運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えて電動機を定常運転時の出力で高速回転させ、前記ダイバータを閉じて定常運転に移行することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を前記起動用電力供給部から当該電動機へ供給するとよい。
好ましくは、前記混練押出機の起動の際には、起動用電力供給部により電動機の回転数を定常運転時の回転数まで上昇させ、その後、前記電動機へ供給する駆動電力を運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る混練押出装置及び混練押出装置の起動方法は、混練押出装置の起動時に混練押出機からの樹脂取り出し量を少なく抑制することができ、定常運転に移行した場合の樹脂品質の悪化やカッティング運転での問題を防止でき、更に装置構成の大型化や複雑化をも防止できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る混練押出装置の第1実施形態を模式的に示した側面図である。
【図2】本発明に係る混練押出装置の起動方法において電動機の回転速度を制御する状況を示したグラフである。
【図3】本発明に係る混練押出装置の第2実施形態を模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る混練押出装置の第1実施形態を示している。
この混練押出装置1は、樹脂を混練し押出する混練押出機2と、この混練押出機2を駆動する電動機3(主電動機)と、この電動機3に駆動用電力を供給する電源装置4とを有している。
【0016】
混練押出機2は、樹脂の投入部7と、投入された樹脂を混練する混練部と混練され溶融状態となった樹脂を下流へと送る搬送部とを備えたロータやスクリュ等を有している。本実施形態においては、この混練押出機2に対し、その出口部分(下流側)に水中カット造粒装置などの造粒機10が連結されて、この造粒機10によってペレットへの造粒が行われるようになっている。
【0017】
混練押出機2には、出口手前にダイバータ12(開口部)が設けられており、このダイバータ12を開けば、混練部で混練され且つ溶融された樹脂を混練押出機2の機外へ取り出すことができるようになっている。また、混練押出機2と造粒機10とを分離させると、混練押出機2の先端に取付部9を介して備えられたダイプレート13から溶融樹脂を混練押出機2の機外へ取り出すことができるようになっている。
【0018】
混練押出機2と電動機3との連結間には減速機15が設けられており、この減速機15により電動機3の駆動回転が減速されたうえで、混練押出機2におけるロータやスクリュ等に伝達されるようになっている。
電動機3には、定速回転駆動の誘導電動機や同期電動機が使用されている。この電動機3は、混練する樹脂の種類や処理量に応じて、数千kW〜一万kWを超える出力の中から最適なものが選出されている。
【0019】
電源装置4は、三相交流電源16からの電力を元に混練押出装置1の起動の際に必要とされる電力を電動機3に供給する仕様の起動用電力供給部17と、三相交流電源16からの電力を元に混練押出装置1の定常運転の際に必要とされる電力を電動機3に供給する仕様の運転用電力供給部18と、電動機3に対する電力供給をこれら起動用電力供給部17と運転用電力供給部18との間で切り替える電源切換装置19とを有している。
【0020】
起動用電力供給部17は、電動機3に対し、混練押出装置1を定常運転させる時の出力より小さな出力で低速回転させるものである。例えば、電動機3が定格10,000kWを出力するものであるとした場合、起動用電力供給部17には、定格の60%以下の出力を最高出力とするように電動機3に電力を供給するものを採用すればよい。
本実施形態において起動用電力供給部17は、定常運転させる時の出力より小さな出力とするための変圧器20と、電動機3の回転速度制御を可能にするために、可変電圧可変周波数電源装置(VVVF)21とを有した構成としてある。また、可変電圧可変周波数電源装置21は、容量が電動機3の出力の60%に相当する6,000kWのものを採用した。
【0021】
起動用電力供給部17の最高出力を60%以下に設定することの理由は、次の通りである。
すなわち、混練押出装置1の起動時において、混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の流量は、樹脂取り出し作業の作業性を考慮するとできる限り少量であることが望ましく、多くとも定常運転時に混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の最大流量の半分以下とすべきである。混練押出機2に投入する樹脂の流量を半分以下に少なくすることに伴い、混練押出機2の混練部8ではロータ又はスクリュの回転速度も低速でよいことになって、このとき混練部8で必要とされるトルクを基に電動機3の消費動力を算出すると、電動機3の定格出力の60%以下でよいことを本願発明者らは知見した。
【0022】
一方、運転用電力供給部18は、電動機3に対し、混練押出装置1を定常運転に即した出力で高速回転させるためのものである。当然に、電動機3が定格10,000kWを出力するものであるとした場合、運転用電力供給部18には、電動機3をその最大能力で駆動できる出力(電動機3の定格出力の100%)のものを採用する必要がある。それ故、運転用電力供給部18としては、この三相交流電源16の出力をそのまま電動機3へ供給できるようにするための直結回路(バイパス)を構成させればよいことになる。
【0023】
電源切換装置19は、前記したように電動機3に対する電力供給状態を起動用電力供給部17と運転用電力供給部18との間で切り替えるためのもので、本実施形態では、起動用電力供給部17の回路を接続したり切断したりする開閉器からなる起動側切換部19aと、運転用電力供給部18の回路を接続したり切断したりする開閉器からなる運転側切換部19bとを有したものとしてある。
【0024】
次に、本発明に係る混練押出装置1の使用態様に基づき、本発明に係る混練押出装置の起動方法を説明する。
まず、混練押出機2のダイバータ12を開け、また混練押出機2から造粒機10を分離させて取付部9に取り付けられているダイプレート13を開放状態(外部へ露出した状態)にする。また、電源装置4の電源切換装置19において、起動側切換部19aを「入」にし、運転側切換部19bを「切」にすることで、起動用電力供給部17を選択しておく。そして、この起動用電力供給部17からの電力を供給して電動機3を起動し、この電動機3によって混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュを回転駆動させるようにする。
【0025】
このとき、起動用電力供給部17において可変電圧可変周波数電源装置21を制御することで、電動機3の回転速度が、混練押出装置1を定常運転させるときの回転速度(最高回転速度)に対する50%〜80%程度の低速回転となるように設定する。当然に、この起動用電力供給部17の制御で、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュの回転速度も低速回転となる。
【0026】
次に、原料樹脂供給機(図示略)を起動し、混練押出機2に対して投入部7から原料樹脂を投入する。このとき樹脂を投入する流量は、樹脂取り出し作業の作業性を考慮し、混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の最大流量に対して約10%〜40%程度とするのが好ましい。
このようにして、混練押出機2のダイバータ12やダイプレート13から混練により溶融した樹脂を取り出しできる状態とし、取り出された樹脂の溶融状態を確認する。取り出した樹脂の溶融温度が高すぎる場合は、起動用電力供給部17における可変電圧可変周波数電源装置21を制御して、電動機3の回転速度を更に低下させる。これにより、混練押出機2のロータ又はスクリュの回転速度も下げて、樹脂温度を低下させる。
【0027】
このような起動用電力供給部17を用いた混練押出装置1の起動運転では、混練押出機2における混練部内での樹脂流量は少ないので、電動機3に作用する負荷は定格出力時の60%以下、すなわち6,000kW以下に収まる。
混練押出機2のダイバータ12やダイプレート13から取り出した樹脂の溶融状態が適正になれば、ダイバータ12側から樹脂が取り出される状態を維持させつつ、混練押出機2の押出部9を造粒機10と連結させる。
【0028】
そして、造粒機10内に冷却水を供給させながら、この造粒機10内でカッター(図示略)を回転させ、このカッターを混練押出機2(押出部9)のダイプレート13に接触させる。この際ダイバータ12を閉じることで定常運転に移行する。このようにして、造粒機10内でペレットの製造が開始されることになる。
図2に示すように、起動用電力供給部17の出力能力の範囲内(可変電圧可変周波数電源装置21の最高出力、即ち最大容量に至るまで)で、電動機3の回転速度を徐々に増速させてゆきながら、混練押出機2の投入部7へ投入する樹脂の流量を増加させてゆく。
【0029】
このときの電動機3に対して行う増速は、混練押出装置1が定常運転を行う際の電動機3の回転速度を上限として行う。また、混練押出機2に対する樹脂投入流量の増加は、混練押出装置1が定常運転を行う際の最高流量に対する約40%〜50%程度を上限とするようにして行う。
混練押出機2に対する樹脂投入流量の増加に伴い、電動機3に対する負荷も増加し、やがては起動用電力供給部17における可変電圧可変周波数電源装置21の出力(容量)を超える負荷が発生する(電動機3の消費動力が可変電圧可変周波数電源装置21の定格出力を超える)ようになる。
【0030】
そこで、この負荷の発生時に、電源切換装置19において起動側切換部19aを「切」にし、運転側切換部19bを「入」にするように、自動又は手動により切換動作させる。これにより、電動機3に対する駆動電力の電力供給状態が、起動用電力供給部17により供給される状態から運転用電力供給部18により供給される状態へと切り換わる。
ペレットの生産計画に応じ、混練押出機2に対する樹脂の投入流量を、最高投入流量の50%〜100%の範囲内で設定し、これより以降を混練押出装置1の定常運転とする。定常運転中は樹脂処理量を上げて運転しているので、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュが最高回転速度で回転駆動されても、混練部8内で樹脂が滞留する時間が適正に保たれるので、溶融した樹脂の温度が設定温度を超えて上昇することはない。このようにして、それ以降、適正な温度で混練、造粒運転が行われることになる。
【0031】
なお、図2に示す如く、電動機3に対する負荷は、処理量に応じ、電動機定格出力(動力)が100%(本実施形態では最大10,000kW)となるまで許容されるものであることは言うまでもない。
[第2実施形態]
図3は、本発明に係る混練押出装置1の第2実施形態を示している。
【0032】
この第2実施形態では、電動機3と混練押出機2との連結間に設ける減速機15が、2段変速機を備えた構成とされている。混練押出装置1としての起動方法は、基本的には第1実施形態と同じである。
ただ、第2実施形態では、定常運転時において、混練押出機2に対する樹脂の投入流量が、最高投入流量の50%〜80%とするような場合(低生産量の運転を行う場合)に、起動前から減速機15を低速ギヤ側に設定しておき、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュの回転速度を、低速域に固定しておく。
【0033】
これに対し、定常運転時において、混練押出機2に対する樹脂の投入流量が、最高投入流量の80%〜100%とするような場合(高生産量の運転を行う場合)に、起動前から減速機15を高速ギヤ側に設定しておき、混練押出機2における混練部8のロータ又はスクリュの回転速度を、高速域に固定しておく。
なお、このような減速機15のギヤ切換は、混練押出機2を停止して行うのが好適である。
【0034】
以上、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、起動用電力供給部17の最高出力を電動機3の出力の60%として説明を行ったが、40%であってもよい。混練押出装置1の起動時において必要とされるトルクから算出された電動機3の消費動力に見合う出力であれば60%以下のいずれの値でもよい。
【0035】
また、電源切換装置19として起動側切換部19aと運転側切換部19bの2つを備えた場合を例示したが、起動側と運転側とを一つの切換部で切り替えるものでもよい。
また、混練押出機2の構成は何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1 混練押出装置
2 混練押出機
3 電動機
4 電源装置
7 投入部
8 混練部
9 取付部
10 造粒機
12 ダイバータ
13 ダイプレート
15 減速機
16 三相交流電源
17 起動用電力供給部
18 運転用電力供給部
19 電源切換装置
19a 起動側切換部
19b 運転側切換部
20 変圧器
21 可変電圧可変周波数電源装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイバータを備えた混練押出機と、この混練押出機を駆動する電動機と、この電動機に駆動用電力を供給する電源装置とを有し、
前記電源装置には、
前記電動機を定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する起動用電力供給部と、
前記電動機を定常運転時の出力で高速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する運転用電力供給部と、
前記電動機へ供給する起動用電力供給部からの駆動用電力を運転用電力供給部からの駆動用電力に切り替える電源切換装置と、
が備えられていることを特徴とする混練押出装置。
【請求項2】
前記起動用電力供給部は、電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を当該電動機へ供給する電源であることを特徴とする請求項1に記載の混練押出装置。
【請求項3】
前記電源は、変圧器と可変電圧可変周波数電源装置とからなることを特徴とする請求項2に記載の混練押出装置。
【請求項4】
混練押出機が備えているダイバータを開き、
混練押出機に定常運転時より少ない流量の樹脂を投入し、
前記混練押出機を駆動する電動機を起動用電力供給部からの駆動電力により定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させ、
前記起動用電力供給部からの駆動電力による電動機の駆動中に樹脂の流量を増加し、
前記樹脂の流量増加によって起動用電力供給部からの駆動用電力による電動機の最高出力を超える負荷が電動機に発生する際に、運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えて電動機を定常運転時の出力で高速回転させ、
前記ダイバータを閉じて定常運転に移行する
ことを特徴とする混練押出装置の起動方法。
【請求項5】
前記電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を前記起動用電力供給部から当該電動機へ供給することを特徴とする請求項4に記載の混練押出装置の起動方法。
【請求項6】
前記混練押出機の起動の際には、起動用電力供給部により電動機の回転数を定常運転時の回転数まで上昇させ、その後、前記電動機へ供給する駆動電力を運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の混練押出装置の起動方法。
【請求項1】
ダイバータを備えた混練押出機と、この混練押出機を駆動する電動機と、この電動機に駆動用電力を供給する電源装置とを有し、
前記電源装置には、
前記電動機を定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する起動用電力供給部と、
前記電動機を定常運転時の出力で高速回転させる駆動用電力を当該電動機へ供給する運転用電力供給部と、
前記電動機へ供給する起動用電力供給部からの駆動用電力を運転用電力供給部からの駆動用電力に切り替える電源切換装置と、
が備えられていることを特徴とする混練押出装置。
【請求項2】
前記起動用電力供給部は、電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を当該電動機へ供給する電源であることを特徴とする請求項1に記載の混練押出装置。
【請求項3】
前記電源は、変圧器と可変電圧可変周波数電源装置とからなることを特徴とする請求項2に記載の混練押出装置。
【請求項4】
混練押出機が備えているダイバータを開き、
混練押出機に定常運転時より少ない流量の樹脂を投入し、
前記混練押出機を駆動する電動機を起動用電力供給部からの駆動電力により定常運転時の出力より小さな出力で低速回転させ、
前記起動用電力供給部からの駆動電力による電動機の駆動中に樹脂の流量を増加し、
前記樹脂の流量増加によって起動用電力供給部からの駆動用電力による電動機の最高出力を超える負荷が電動機に発生する際に、運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えて電動機を定常運転時の出力で高速回転させ、
前記ダイバータを閉じて定常運転に移行する
ことを特徴とする混練押出装置の起動方法。
【請求項5】
前記電動機の最高出力を定格出力の60%以下とする駆動用電力を前記起動用電力供給部から当該電動機へ供給することを特徴とする請求項4に記載の混練押出装置の起動方法。
【請求項6】
前記混練押出機の起動の際には、起動用電力供給部により電動機の回転数を定常運転時の回転数まで上昇させ、その後、前記電動機へ供給する駆動電力を運転用電力供給部からの駆動電力に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の混練押出装置の起動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−18205(P2013−18205A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153843(P2011−153843)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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