説明

混練装置

【課題】機械的エネルギー入力効率を向上させ、作動空間内で生ずる剪断および拡散フローゾーンを変化させ、処理している製品の品質を高めることができる混練装置を得る。
【解決手段】流動性のあるばら材料、プラスチック物質および/またはペースト状の物質を混合するための混練装置1であって、ケーシング2によって包囲した作動空間9と、ケーシング2内で回転および並進運動を行わせよう混練ベーン4を設けた作動部材3と、ケーシング2に取り付けて作動空間9内に突出する混練ピン6とを有する該混練装置において、混練ベーン4および混練ピン6のうち少なくとも一方の主表面を、少なくとも部分的に自由曲面として形成し、処理している物質に対する剪断、混合、延伸、折り曲げ、練成のうち少なくとも一つの作用に影響するよう、とくに、最適化または最大化するよう形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練装置に関し、このような混練装置は、とくに、流動性のあるばら材料、プラスチック物質および/またはペースト状の物質を混合するのに使用される。例えば、粘性‐プラスチック物質を処理したり、プラスチック材料を均質化および可塑化したり、充填剤および強化添加剤を混合したり、ならびに食品業界、化学/医薬業界、およびアルミニウム業界における開始材料の製造に使用したりする。混練装置の作動部材は、通常、材料を軸線方向に送り出すいわゆるスクリューとして構成する。
【背景技術】
【0002】
従来の混練装置においては、作動部材は、単に回転運動をするだけである。さらに、作動部材が回転とともに並進移動する混練装置も知られている。作動部材の運動の軌跡は、とくに、主軸が回転に伴って正弦波運動をすることによって特徴付けられる。この運動の軌跡によれば、ケーシングに取り付ける混練ピンまたは混練歯のような部品を装着することができる。さらに、この目的のため、スクリューに羽根を付け、互いに離散した混練ベーンを形成する。主軸に配置したスクリュー羽根(混練ベーン)とケーシングに装着する部品とが相互作用し、種々の処理ゾーンで所望の剪断/混練作用を生ずる。直前に述べたこのような混練装置としては、登録商標、「Buss KO-KNEADER」として市販されているものが当業者に知られている。
【0003】
従来、混練ベーンおよび混練ピンの主表面は、旋盤加工、ミリング加工、放電加工等の従来の加工方法で製造していた。これら素子のジオメトリ(幾何学的形状)は、平坦面、丸み付け部、および曲面をつなぎ合わせたインライン構成で実現していた。このような機械加工方法に共通する一つの欠点としては、比較的単純な表面ジオメトリしか形成することができず、移動する混練ベーンおよび静止混練ピンとの間に最大剪断速度がある一つのポイントもしくは一つのラインでしか生じない特徴的な剪断フィールドおよび拡散フローフィールドをもたらし、したがって、剪断を受ける製品に対してエネルギー散逸(消尽)を生ずる。換言すれば、各混練ベーンの正弦波状の軸線方向運動によって、各剪断サイクル毎に、混練ベーンおよび混練ピンが最大限接近し、また最大剪断速度となるのがある一つのラインでのみ生じ、処理している製品において、剪断変形/剪断エネルギー散逸(消尽)を生ずる。多くの用途に適合するようにした主表面のジオメトリによって、流動性のあるばら材料、プラスチック物質および/または粘性物質を混合するという目的は達成できるが、混練ベーンおよび/または混練ピンのジオメトリによって処理に付加的な影響を及ぼすことができることが望ましい。例えば、特許文献1には、冒頭で述べたような、平坦面、丸み付け部および曲面によるインライン構成で形成した種類の混練ベーンのための作動部材が記載されている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1,262,303号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の混練装置を改善し、スクリューにおける混練ベーンおよび/または混練ピンのジオメトリを、所望の特性に適合させる付加的な要件を満たすことができ、例えば、機械的エネルギー入力効率を向上させ、作動空間内で生ずる剪断および拡散フローゾーンを変化させ、処理している製品の品質を高めることができるようにするにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を達成するため、本発明混練装置は、混練ベーンおよび混練ピンのうち少なくとも一方の主表面を、少なくとも部分的に自由曲面として形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明混練装置によれば、混練ベーンおよび/または混練ピンの主表面は、少なくとも部分的に自由曲面として形成したため、例えば、混練ベーンとこの混練ベーンに対応する混練ピンとの間に存在するギャップを利用できるようになるという新た効果が得られる。とくに、このギャップの寸法および輪郭は、回転運動を伴う軸線方向運動を考慮してランダムに変化させることができる。
【0007】
次に、図面につき本発明の好適な実施例を説明する。
【0008】
図1及び図2には、本発明による混練装置のタイプを説明するため、線図的に示した混練装置1の縦断面及び横断面を示す。この混練装置1は、ケーシング2で包囲した作動空間9を有し、この作動空間9は、回転及び並進運動を行わせる作動部材3を収容する。こき作動部材3には、混練ベーン4を設け、この混練ベーン4は、周方向に配列したねじ状の羽根として構成し、ケーシング2に装着した混練ピン6に対して、軸線方向の通過開口5を生ずる。図2から明らかなように、ケーシング2は、温度制御用のドリル孔7を設けた2個の部分2a,2bにより構成する。これら温度制御用のドリル孔7において、液状又はガス状の媒体が循環し、ケーシング又は作動空間を冷却および/または加熱する。このような混練装置における一つの基本的構成としては、例えば、特許文献2に記載されているものがある。
【特許文献2】スイス国特許278,575号明細書
【0009】
混練装置1は、さらに、1個以上のバッフルリング10を有することを特徴とし、このバッフルリングによって、処理している製品は、規定された軸線方向に沿って通過するよう整流される。このようなバッフルリングとしては、例えば、特許文献3に記載されているものがある。本発明の最後の特徴点として、ケーシングを、交換を容易にするよう設計された磨耗シェル(図示せず)で内張りする。磨耗シェルを設けることに関しては、特許文献4に記載されているものがある。
【特許文献3】独国特許出願公開第2014693号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第548,022号公報
【0010】
図3において、混練ピン6を通過する混練ベーン4によって、従来と同様に構成した混練装置内で生ずる製品物質Pにおける特徴的な剪断ゾーン及び拡散フローゾーンを線図的に示す。混練ベーン4の回転方向を、楕円矢印25で示すとともに、混練ベーン4の並進運動を双頭矢印26で示す。混練ベーン4の回転運動の結果、混練ベーンの先端は、製品物質Pを、矢印11で示すように分配させる。混練ピン6と混練ベーン4の主表面23と混練ピン6に対向して通過する混練ベーン4との間にギャップ8が存在し、このギャップ8の幅は、作動部材の回転及び並進運動によって変化する。このギャップ8において、製品物質Pに矢印13で示す剪断作用を生ずる。混練ピン6の上流域及び下流域の双方で、製品物質Pは、回転矢印14,15で示すように、リレー式に伝わりまた再指向される。冒頭で述べたように、混練ベーン4及び混練ピン6の最大接近、及び製品物質Pにおける最大剪断速度は、剪断サイクルにつき対応の混練ベーン4の正弦波的な軸線方向運動のため、一つのラインでのみ実現する。
【0011】
図4には、作動部材の並進運動における運動軌跡を簡略化して示し、ケーシング2の内面または作動空間のシェル表面を全長で示し、単に1個の混練ベーン4を示す。図面を分かり易くするため、混練ピン6を、丸い素子として示す。この図面の意図は、隣接する混練ピン6に対して従来技術のように設計した混練ベーン4の運動を示すことにある。しかし、理解を容易にするため、この運動の軌跡を、運動学的に逆転させて示す。すなわち、混練ベーン4を静止させ、並進運動を伴う作動部材3の回転運動から生ずる正弦波的経路に沿って混練ピン6が移動するものと仮定している。この図から明らかなように、混練ベーン4の2個の主表面23,24と、通過する混練ピン6との間にギャップ16が存在し、このギャップ16の幅および輪郭を混練ベーン4、関連の混練ピン6、および回転する作動部材3の軸線方向に推移するジオメトリ(形状)によって示す。従来技術のように設計した混練ベーン4を有する主表面23,24のジオメトリ形状は、単に平坦面と、丸み付け部と、単純な直線的湾曲面よりなるため、混練ベーン4と通過する混練ピン6との間におけるギャップ16の形状は、ある制限された範囲内でのみ影響を受け、この結果、例えば、最大剪断作用は、あるラインに沿ってのみ得られるだけとなる。
【0012】
剪断サイクルあたり、あるラインに沿ってのみ最大となるこれら剪断速度によって、これまでの若干の用途では、処理している製品物質Pに対する剪断変形/エネルギー散逸(消尽)が制限された程度にしか生ずることはできず、したがって、作動空間9および作動部材3の長さを増大することが必要になり、または、所望の結果が得られないことになる。従来通りに形成した混練ベーン4/混練ピン6では、ギャップ16および作動空間内の自由空間を最適化することはできない。自由空間の合計は、静止状態に留まるドウェル時間に大きく影響する。いずれにせよ、従来技術のように設計した混練ベーン4の主表面23,24を設計する際の自由度が制限されているため、各場合において、ギャップ16は、必要条件を満たすのに限界があり、したがって、最適とは言えない次善の処理しか得られない。
【0013】
図5には、本発明により設計した混練ベーン4aに対する混練ピン6の運動を線図的に示す。混練ベーン4aの2個の主表面23,24は、この場合、自由曲面として形成し、混練ピン6の正弦波的運動経路によって規定される自由曲面の輪郭によく適合し、したがって、各混練ベーン4と通過する混練ピン6との間の自由空間16aは、均一な形状となる。この場合、最適化された剪断作用が、混練ベーン4aの主表面23a,24aと通過する混練ピン6との間のギャップ型自由空間16aによって得られ、この自由空間16aは、比較的一定の幅であり、混練ベーン4aの各主表面23a,24aに沿って狭いものである。この自由空間のギャップの寸法は、混練装置の作動部材における公称直径の0.005〜0.03倍である。
【0014】
図6に、本発明による設計の他の混練ベーン4bに対する混練ピン6の運動を線図的に示す。この場合、やはり、混練ベーン4bの2個の主表面23b,24bを自由曲面として形成し、この場合、均一で狭いギャップ16bに末広がりの自由空間17bを後続させる。また、この場合、均一で狭いギャップ16bは、強い剪断ゾーンをなし、末広がりの自由空間17bでは、処理する物質に規定の弛緩を生ずるようにする。
【0015】
図7に、本発明による設計の他の混練ベーン4cに対する混練ピン6の運動を線図的に示す。この場合も、やはり、混練ベーン4cの2個の主表面23c,24cを自由曲面として形成し、この場合、混練ベーン4cの縦断面は、プロペラ形状にする。混練ベーンのこの形状は、広範囲の目的を達成する、いわゆる「ファンブレード」として特別に設計することができる。混練ベーンのアタック角度、すなわち、混練ベーンの長手方向中心ラインと、作動部材の長手方向中心ラインとの間の角度は、広範囲にわたり変化する。90゜以下(<90゜)の角度で、確実な順送り作用を生ずる。90゜ではバッフル作用を生ずる。実際、90゜以上(>90゜)の角度では、逆送り作用を生ずる。上述の流体‐機械的機能は、プラスチック物質のみならず、粉末化物質にも適用できる。混練ベーンの回転/並進運動によって、混練ベーンは、処理している製品に対して「鋤」のような掘り起こしを行う。混練ベーンの先端に多少の丸みを付けることにより、折り返し特性を持たせることができ、より大きな丸みを付ければ付けるほど、製品に対する前方への圧力がより大きくなり、丸みを小さくすればするほど、製品に対する切り込みおよび/または折り込み作用が強くなる。上述した双方の実施例場合、およびこれら実施例の中間的な実施例は、以下の技術的処理、すなわち、前方圧力付与→エネルギー散逸(消尽)→処理している製品の湿潤化および/またはガス・空気除去のための表面再生、を利用することができる。
【0016】
図8、図9、図10および図11は、それぞれ混練装置の縦断面を線図的に示し、それぞれ混練ベーンおよび混練ピンの縦断面を示す。
【0017】
図8は、従来型の混練ピン6および従来型の混練ベーン4を示す。この図面から明らかなように、混練ベーン4の主表面23と通過する混練ピン6との間に、ギャップ型の自由空間16が存在し、この自由空間16の幅および輪郭は、混練ベーン4、対応の混練ピン6および回転する作業部材の軸線方向に推移するジオメトリによって示す。従来技術のように設計した混練ベーン4の主表面23,24のジオメトリ形状は、単に平坦面、丸め部、および直線的湾曲面を有するものであるため、混練ベーン4と通過する混練ピン6との間のギャップ型自由空間16は、上述したように、ある限定範囲でしか影響を受けない。
【0018】
図9は、従来技術のように設計した従来型の混練ピン6と、本発明による第1の実施例で設計した混練ベーン4dとを示す。混練ベーン4dの2個の主表面23d,24dは、凸状の断面を有し、ギャップ16dは上向きに末広がりとなる。このことにより、処理する製品の剪断変形は、作動部材であるスクリューモジュールの運動において、深さ全体まで一定に維持され、半径方向に増加する周速度は、自由空間16dを適合させることによって、コア直径から外径にいたるまで補償され、この結果、剪断ギャップは半径方向に増大する。
【0019】
図10は、従来技術のように設計した従来型の混練ピン6eと、本発明による第2の実施例で設計した混練ベーン4eとを示す。混練ベーン4dの2個の主表面23e,24eは、凹状の断面を有し、ギャップ16eは、混練ベーン4eの主表面23eと混練ピン6eとの間で上向きに末広がりとなる。このことにより、処理する製品の剪断変形を、作動部材であるスクリューモジュールの運動において、深さ全体まで変化させ、半径方向に増加する周速度は、自由空間16eを過比例的に適合させることによって、コア直径から外径にいたるまで補償され、この場合、剪断ギャップを半径方向により深い位置にいくに従って増大させ、強い剪断作用を受けないようにする。
【0020】
図11は、本発明により設計した混練ピン6fと、本発明により設計した混練ベーン4fとを示す。混練ピン6fおよび混練ベーン4fの2個の互いに対向する主表面24f,25fは、混練ピン6fと混練ベーン4fとの間の半径方向ギャップ26fが多少均一で狭いものとなるようにし、この結果、処理する物質に強い剪断作用を生ずるようにする。このことにより、処理する製品の剪断変形を、作動部材であるスクリューモジュールの運動において、深さまで変化させ、半径方向に増加する周速度は、自由空間16fにテーパを付けて剪断ギャップの寸法を半径方向に減少することによって、コア直径から外径にいたるまで適合させ、剪断変形をより高め、したがって、より強い剪断作用およびエネルギー散逸(消尽)作用を生ずるようにする。
【0021】
図12は、複数個の混練ベーン4aを有するスクリューモジュール27を示す。このスクリューモジュール27には、内歯26を設け、駆動軸(図示せず)に取り付ける。実際の作動部材は、駆動軸と、案内および駆動用の部材として作用する中心駆動軸に取り付けた複数個のこのようなスクリューモジュール27とによって形成する。このようなスクリューモジュール27によって得られる基本的な利点は、個々にもしくは組み合わせユニットとして交換することができる点にある。個別の必要条件により、モジュールは、例えば、混練ベーンの主表面を異なる設計にすることで、異なる設計にすることができる。図示の実施例では、各混練ベーン4aの両側2個の主表面23a,24aは、いかなるポイントにおいても、明確なナチュラル開始点がない自由曲面となるようにする。
【0022】
このようなモジュール27は、混練装置を軸線方向に順次異なる処理ゾーンを生ずるよう区域化するのに使用できる。したがって、異なる形態の混練ベーンを有するモジュールを、直列的に配置し、混練ピンもこれに適合するよう配置し、例えば、自由曲面が異なる形状になるようにする。
【0023】
図13〜図16に、それぞれ混練装置1の横断面における異なる形状の混練ベーン4を設けた作動部材3を線図的に示す。これら4つの実施例は、特に、自由曲面が異なることにより、混練ベーンの半径方向シェル表面が異なる。図13の構成では、混練ベーン4は従来技術の形状であり、各混練ベーン4の半径方向シェル表面と、作動空間9を包囲するケーシング2の内面との間に均一な半径方向ギャップ19が存在する。図14に示す実施例では、混練ベーン4gの半径方向シェル表面は、らくだのこぶのような突起20を設けることにより変化を付け、幅が変化する半径方向ギャップ19gを生じ、この突起20は、半径方向に発生する剪断ピークを大幅に減少する。図15の実施例では、各混練ベーン4hの湾曲したシェル表面21の半径が変化する特徴を有し、上述の作用を併せ持つのが必要な場合、半径方向剪断および拡散フローを得るための連続する「呼吸」的な現象を半径方向ギャップ19hがとるようにする。最後の例として、図16に、各混練ベーン4iの起点部分および終点部分に丸みを付け、半径方向ギャップ19iの幅が一定の例を示す。これらの丸み付けは、スクリューモジュール27の混合効率および長期間のレスポンスを向上させるものであり、通常磨滅によって生ずるジオメト形状を排除し、有効寿命全体にわたり、一つに規定された特性輪郭が一定に維持されるようにしたものである。
【0024】
混練ベーンおよび混練ピンを設計する場合、各混練ベーンにおける2個の側方の主表面および各混練ピンの主表面を設計することによって、とくに、剪断速度の特性分布を、半径方向に調整できる。このことは、とくに、物質の粘性、作動部材およびこの作動部材に配置した混練ベーンの絶対周速度に関して、機能を調整した素子を使用することにより可能となる。
【0025】
各混練ピンおよび/または混練ベーンの主表面を、少なくとも部分的に自由曲面となるように形成することによって、各混練ピンと各混練ベーンとの間のギャップの半径方向輪郭および軸線方向の輪郭を、例えば、剪断/混練機能に関して要求される条件に適合させることができる。
【0026】
混練ピンおよび/または混練ベーンの主表面を形成することに加えて、混練装置の他の素子、例えば、作動部材のシェル表面、バッフルリングの主表面、ならびに磨耗シェルのシェル表面も、少なくとも部分的に自由曲面として形成することができる。さらに、従来通りの表面形状、例えば、平坦形状、円形、球形、および単純湾曲形状の表面と、自由曲面とを組み合わせることもできる。
【0027】
上述の実施例は、本発明が、混練ベーンおよび/または混練ピンの主表面を、移送、剪断、溶融、混合、練り込み、脱気、冷却等の処理動作に適合させることを示したもので、処理における特別な目的を達成するよう精密な構成、設計および製造することにより、適合させることができる。
【0028】
規定される表面形状が限定した数しか利用できない場合に、この手法を逆にする。これら基本形状を組み合わせることにより、それぞれの場合におけるプロセスの技術的必要条件および従来通りの機械的技法の可能性を、設計および製造技術において、近似的に割り出す。この結果の折衷案は、これまでの技術を利用する点で限界があった。三次元的な設計によりもたらされる十分な融通性により、理論的処理技術と、現実との乖離を、最近の手法(設計および製造技術の双方において)によって少なくすることができる。本発明は、この意味において、三次元ジオメトリ設計によって得られる十分な融通性によって、既存の用途分野を広げることができるものであり、またこれまで利用されなかった新たな用途にも、適用できるようになる。
【0029】
上述の混練装置は、とくに、流動性のあるばら材料、プラスチック物質および/またはペースト状物質の混合に適しており、流動性のあるばら材料とは、例えば、粉体、粒体、薄片体等であると理解されたいが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】混練装置の線図的断面図である。
【図2】図1に線図的に示す混練装置の横断面図である。
【図3】混練ピンを通過する混練ベーンによって生ずる製品物質の特徴的な剪断および拡散フローゾーンを示す説明図である。
【図4】混練ピンと従来通りの混練ベーンとの間における回転運動を示す線図的説明図である。
【図5】混練ピンと本発明の第1実施例により形成した混練ベーンとの間の回転運動を示す線図的説明図である。
【図6】混練ピンと本発明の第2実施例により形成した混練ベーンとの間の回転運動を示す線図的説明図である。
【図7】混練ピンと本発明の第3実施例により形成した混練ベーンとの間の回転運動を示す線図的説明図である。
【図8】従来型の混練ピンおよび従来型の混練ベーンを有する混練装置の線図的縦断面図である。
【図9】従来型の混練ピンおよび本発明により構成した一つの実施例である混練ベーンを有する混練装置の線図的縦断面図である。
【図10】従来型の混練ピンおよび本発明により構成した他の実施例である混練ベーンを有する混練装置の線図的縦断面図である。
【図11】本発明により構成した一つの実施例である混練ピンおよび本発明により構成した一つの実施例である混練ベーンを有する混練装置の線図的縦断面図である。
【図12】本発明により形成した混練ベーンを有するスクリューモジュールの斜視図である。
【図13】従来型の半径方向シェル表面を有する混練ベーンを設けた混練装置の横断面である。
【図14】本発明により形成した半径方向シェル表面の一つの実施例を有する混練ベーンを設けた混練装置の横断面である。
【図15】本発明により形成した半径方向シェル表面の他の実施例を有する混練ベーンを設けた混練装置の横断面である。
【図16】本発明により形成した半径方向シェル表面のさらに他の実施例を有する混練ベーンを設けた混練装置の横断面である。
【符号の説明】
【0031】
1 混練装置
2 ケーシング
2a,2b ケーシング部分
3 作動部材
4 混練ベーン
5 通過開口
6 混練ピン
7 ドリル孔
8 ギャップ
9 作動空間
10 バッフルリング10
14 回転矢印
15 回転矢印
16 ギャップ16
17 自由空間
19 半径方向ギャップ
20 突起
21 シェル表面
23 混練ベーンの主表面
24 混練ベーンの主表面
26 内歯
27 スクリューモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
とくに、流動性のあるばら材料、プラスチック物質および/またはペースト状の物質を混合するための混練装置(1)であって、ケーシング(2)によって包囲した作動空間(9)と、前記ケーシング(2)内で回転および並進運動を行わせよう混練ベーン(4)を設けた作動部材(3)と、前記ケーシング(2)に取り付けて前記作動空間(9)内に突出する混練ピン(6)とを有する該混練装置において、前記混練ベーン(4)および前記混練ピン(6)のうち少なくとも一方の主表面を、少なくとも部分的に自由曲面(23a〜23f)として形成したことを特徴とする混練装置。
【請求項2】
混練ベーン(4)および混練ピン(6)のうち少なくとも一方における主表面の三次元ジオメトリを、少なくとも部分的にナチュラル開始点のない形状にした請求項1記載の混練装置。
【請求項3】
混練ベーン(4b,4c)における少なくとも混練ピン(6b,6c)に対向する主表面(23a〜23f)を、自由曲面として構成した請求項1または2記載の混練装置。
【請求項4】
混練ピン(6c)における少なくとも混練ベーン(4c)に対向する主表面(25c)を、自由曲面として構成した請求項1または2記載の混練装置。
【請求項5】
前記混練ベーン(4)および前記混練ピン(6)のうち少なくとも一方の主表面を、前記作動部材(3)により並進運動を生じ、処理している物質に対する剪断、混合、延伸、折り曲げ、練成のうち少なくとも一つの作用に影響するよう、とくに、最適化または最大化するよう形成した請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の混練装置。
【請求項6】
各混練ベーン(4a)の主表面(23a)を、対応する混練ピン(6)に適応させ、混練ピン(6)と混練ベーン(4a)との間に、混練装置(1)における作動部材の公称直径の0.005〜0.03倍とした均一なギャップ(16a)を生ずるよう形成した請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の混練装置。
【請求項7】
混練装置(1)に、軸線方向に順次異なる処理ゾーンを設け、前記混練ベーン(4)および前記混練ピン(6)のうち少なくとも一方の主表面を、異なる処理ゾーンで異なる形状に形成した請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の混練装置。
【請求項8】
混練ベーン(4b,4c)および混練ピンのうち少なくとも一方の主表面(23b,24b,23c,24c)を、少なくとも部分的に、処理する物質に規定された拡散フローゾーンを生ずる形状に形成した請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の混練装置。
【請求項9】
前記混練ベーン(4g,4h)の半径方向シェル表面を、少なくとも部分的に自由曲面として形成した請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の混練装置。
【請求項10】
前記混練ベーン(a)の少なくとも一部分における主表面(23a,24a)を、正弦波形状表面として形成した請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の混練装置。
【請求項11】
前記混練ピンの少なくとも一部分における主表面を、正弦波形状表面として形成した請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の混練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−210333(P2007−210333A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26859(P2007−26859)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(507040264)ブス アーゲー (2)
【Fターム(参考)】