説明

添加剤、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置

【課題】分散安定性の向上、且つ微粒化工程、分散工程、もしくは焼成後の、結晶異物発生を抑制する顔料分散液及び着色樹脂組成物の提供。
【解決手段】顔料、溶媒に式(1)で表される化合物を添加剤として含む顔料分散液、及び該分散液にバインダー樹脂等を含む着色樹脂組成物。


(式中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。Bは、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基、又は置換基を有していてもよい炭素数2〜12の複素環基を表す。R11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基などを表す。nは、0〜2の整数を表す。Zは、直接結合、又はスルホンアミド基、スルホンエステル基、アミド基、エステル基から選ばれる2価の基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤、顔料分散液、着色樹脂組成物(以下、「レジスト」と称することがある。)、カラーフィルタ、並びに液晶表示装置及び有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法等が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている。
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタに対しては、より高透過率(以下、「輝度」と称することもある。)・高コントラスト、且つ高色濃度が要求されるようになった。カラーフィルタの色を決める色材としては、耐熱性、耐光性等の観点から一般には顔料が用いられる。顔料としては、可視光波長領域における固有の透過吸収スペクトルが、バックライトの蛍光体発光スペクトルと合致するものが好適に用いられている。又、高輝度のカラーフィルタを製造するには、高い透過率を有する顔料を高度に微粒化し、更に顔料の粒度分布を粒子サイズの小さい領域で狭く制御して分散する必要があり、顔料粒径の制御技術も急速に発展している。
【0003】
例えば、赤色顔料としては、従来ジアントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が用いられてきた。特に、ジケトピロロピロール系顔料は透過性が高く、耐光性、耐熱性に優れているため、各種黄色顔料と組み合わせて用いられている。また、黄色顔料としてはキノフタロン系顔料が使用されている。
しかし、近年更に透過性の高い顔料系が求められており、新規顔料探索はもとより顔料の一次粒子径を微粒化し尚且つ、粒径分布狭くすることによる透過性の更なる向上が検討されている。
【0004】
顔料を微粒化する方法としては、例えば顔料と食塩等の水溶性の無機塩と水溶性の有機溶剤を共にニーダー等で機械的に混練した後、水洗により無機塩と有機溶剤を除去して微粒化した顔料を得るソルトミリング法のような方法がある。
しかしながら、上記方法により微粒化した顔料は、凝集及び結晶化などを起こし易い。その為、高輝度のカラーフィルタを得る為に、顔料分散液としては分散安定性を保ち、尚且つ顔料の結晶化を抑制するかが課題となっていた。
【0005】
こうした課題を解決するために、例えば、特許文献1〜5では顔料分散液を調製する際に、顔料にスルホ基やその塩を導入した顔料誘導体を混ぜることが開示されている。
しかしながら、前記の方法であっても、顔料分散液の安定性や、顔料の結晶化抑制が十分ではなく、この為、得られるカラーフィルタの輝度の更なる向上が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−160084号公報
【特許文献2】特開2006−265528号公報
【特許文献3】特開2007−23266号公報
【特許文献4】特表2004−505157号公報
【特許文献5】特開2009−186835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記課題を鑑みて、分散安定性の向上、且つ微粒化工程、分散工程、もしくは焼成後の、結晶異物発生を抑制する顔料分散液及び着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、輝度の高いカラーフィルタ、及び高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、結晶転移を抑制する目的で混合している顔料誘導体は、それ自身の配向性が高く、効果的に顔料の結晶転移を抑えきれていないこと、並びに、顔料誘導体自体の着色が、得られる画素の輝度低下をおこす一因であることを見出した。
つまり、結晶転移を抑制する目的で混合するには顔料誘導体のように凝集及び再配向による結晶化をおこしやすいものではなく、添加剤として、顔料との親和性をもちつつも、それ自体が凝集及び再配向による結晶化をおこしにくいものを用いることにより、分散液又は着色樹脂組成物を用いてレジストを形成した際に発生する顔料の結晶転移を抑制することが可能となる。また、添加剤が短波長領域に極大吸収波長を有すること、つまり、可視光領域に極大吸収波長を有さないことにより、結果的に前記課題を解決しうるものと推測した。
【0009】
更なる鋭意検討を行った結果、特定の構造を有する添加剤を用いることで、上記課題を解決することを見出して本発明に到達した。
即ち、本発明は、下記式(1)で表される化合物からなることを特徴とする、添加剤、顔料分散液、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
【0010】
【化1】

【0011】
(上記式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基、又は置換基を有していてもよい炭素数2〜12の複素環基を表す。
11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
【0012】
nは、0〜2の整数を表す。
Zは、直接結合、又は下記<2価の連結基群>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群>
【0013】
【化2】

【0014】
(上記式中、*は、A又は隣接するフェニル基との連結部位を表す。))
【発明の効果】
【0015】
本発明の添加剤は、顔料の凝集及び再配向を阻害し、更に顔料の透過性を損わない。その為、本発明の顔料分散液又は着色樹脂組成物を用いてカラーフィルタを形成した場合、顔料の透過性を損わないことから、得られるカラーフィルタの輝度が高い。また、本発明の添加剤は、短波長領域に極大吸収波長を有するため、添加による輝度低下を招き難い。
更に、得られる顔料分散液の粘度が低いため、高粘度による製造上の歩留まりなどが生じ難い。
【0016】
また、本発明のカラーフィルタを含むことで、高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の構成要件及び実施の形態等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
【0019】
又、「全固形分」とは、顔料分散液又は着色樹脂組成物に含まれる、後記する溶剤成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、特に断りの無い限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0020】
更に、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。尚、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定することで算出する。
本発明において、「芳香族環」とは「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を示すものとする。
【0021】
以下、先ずは本発明における添加剤について説明する。
<添加剤>
本発明における添加剤は、下記式(1)で表される化合物からなる、添加剤である。
【0022】
【化3】

【0023】
(上記式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基、又は置換基を有していてもよい炭素数2〜12の複素環基を表す。
11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
【0024】
nは、0〜2の整数を表す。
Zは、直接結合、又は下記<2価の連結基群>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群>
【0025】
【化4】

【0026】
(上記式中、*は、A又は隣接するフェニル基との連結部位を表す。))
(Aについて)
は、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
含窒縮合環としては、環状アミド結合が縮合した芳香族炭化水素環が挙げられる。例えば、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタム等が縮合した芳香族炭化水素環が挙げられる。一方、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフチル環などが挙げられる。
【0027】
上記環状脂肪族環状アミド結合が縮合した芳香族炭化水素環、つまり、含窒素縮合環の置換基を含めた好ましい例としては、下記<含窒素縮合環基群A>のものが挙げられる。<含窒素縮合環基群A>
【0028】
【化5】

【0029】
中でも、顔料と分子間水素結合を形成し易く、顔料表面への吸着が強固である点で、特に<含窒素縮合環基群A1>で挙げられる基が好ましい。
<含窒素縮合環基群A1>
【0030】
【化6】

【0031】
(上記式中、*は、Z又はフェニル基との連結部位を表す。)
における含窒素縮合環基が有していてもよい置換基としては、例えば、下記<置換基群W>の項のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
尚、上記構造中に含まれるベンゼン環は、連結基以外に置換基を有していてもよい。
<置換基群W>
置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアシルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基、スルファモイル基、置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基又は置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基、水酸基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸塩の基、カルボキシ基、カルボン酸塩の基、オキソ基、シアノ基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0032】
置換基を有していてもよいアルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常6以下、好ましくは4以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、ヒドロキシエチル基、1,2−ジヒドロキシプロピル基等の置換基を有していてもよい低級アルキル基が挙げられる。
【0033】
置換基を有していてもよいアルコキシ基は置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常6以下、好ましくは3以下である。該アルコキシ基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、スルホ基及びカルボキシ基などが挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2−ジヒドロキシプロポキシ基等の置換基を有していてもよい低級アルコキシ基が挙げられる。
【0034】
置換基を有していてもよいアルキルアミノ基は、−NR5152で表され、R51は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R52は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該アルキル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。該アルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
【0035】
置換基を有していてもよいアリールアミノ基は、−NR5354で表され、R53は、置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基を表し、R54は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。
5354におけるアルキル基の置換基を含めた総炭素数、有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該フェニル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該フェニル基及び該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。該アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0036】
置換基を有していてもよいアシルアミノ基は、−NH−COR55で表され、R55は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該アルキル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常1以上、通常4以下、好ましくは2以下である。該フェニル基は、置換基の炭素数が通常6以上、通常10以下、好ましくは8以下である。該ナフチル基は、置換基を含めた総炭素数が、通常10以上、通常14以下、好ましくは12以下である。該アルキル基、該フェニル基及び該ナフチル基に置換していてもよい基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが挙げられる。アシルアミノ基の具体例としては、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
【0037】
置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基は、−NH−SO61で表され、R61は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルホニルアミノ基の具体例としては、メチルスルホニルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0038】
置換基を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基は、−NH−SO62で表され、R62は置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルホニルアミノ基の具体例としては、ベンゼンスルホニルアミノ基、p−トリルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0039】
置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基は、−CO−NHR56で表され、R56は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルカルバモイル基の具体例としては、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0040】
置換基を有していてもよいアリールカルバモイル基は、−CO−NHR57で表され、R57は置換基を有していてもよいフェニル基又は、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールカルバモイル基の具体例としてはフェニルカルバモイル基、ナフチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0041】
置換基を有していてもよいアルキルスルファモイル基は、−SO−NHR58で表さ
れ、R58は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R51及びR52のアルキル基の場合に例示したものと同様である。該アルキルスルファモイル基の具体例としては、メチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0042】
置換基を有していてもよいアリールスルファモイル基は、−SO−NHR59で表され、R59は置換基を有していてもよいフェニル基又は、置換基を有していてもよいナフチル基を表す。該フェニル基及びナフチル基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例は、前記R53及びR54のフェニル基及びナフチル基の場合に例示したものと同様である。該アリールスルファモイル基の具体例としてはフェニルスルファモイル基、ナフチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0043】
スルホン酸塩の基、及びカルボン酸塩の基の塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属の塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属の塩、アルミニウム塩、銅塩等の各種金属塩、アンモニウム塩、アルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、又は有機アミンの塩等が挙げられる。
【0044】
前記アンモニウムの塩が有していてもよい置換基であるアルキル基又はヒドロキシアルキル基としては、炭素数1〜6の低級アルキル基及びヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキル基が挙げられる。
有機アミンとしては、例えば、炭素数1〜6の低級アルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン(例えば、カルボキシメチルアミン、カルボキシエチルアミン、カルボキシプロピルアミン、ジカルボキシメチルアミン等)等が挙げられる。
【0045】
これらの塩である場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、化合物の一分子内に複数種混在してもよいし、顔料分散液又は着色樹脂組成物中に複数種混在していてもよい。
スルホン酸塩の基及びカルボン酸塩の基として、好ましい塩は、水に対して低溶解度が必要な場合(例えば、微粒化工程に添加するなど)には、遊離酸型であるか、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩が好ましく、有機溶剤、分散剤や樹脂との親和性を持たせるためには、アンモニウム塩、置換基を有していてもよいアンモニウム塩、有機アミンの塩が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、なかでもフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0046】
(Bについて)
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基、及び置換基を有していてもよい炭素数2〜12の複素環基を表す。
におけるアルキル基の炭素数は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。前記範囲内であると、微粒化助剤や分散助剤として用いた場合、本発明の添加剤の有機溶剤に対する溶解が抑制され、顔料表面への効率的な吸着が可能である点で好ましい。
におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0047】
におけるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプルピル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
における芳香族環基の炭素数は、通常6〜10である。前記範囲内であると、式(1)で表される化合物の色相を短波長領域に極大吸収を有しやすく、得られるカラーフィルタにおいて所望の色が得られやすくなる点で好ましい。
【0048】
における芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基又は、単環又は二環性の複素環を含む基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。具体的には、ピリジニル基、ジピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾチアゾイル基、チアジアゾイル基等が挙げられる。中でも平面性に優れ、且つ顔料との間にπ−π相互作用を起こすことでより強固に顔料表面に吸着することが可能となる点で、置換基を有していてもよいベンゾチアゾイル基、チアジアゾイル基が好ましい。
【0049】
における芳香族環基は、置換基を有していてもよい。
における芳香族環基が有していてもよい置換基としては、Bの芳香族環基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例及び好ましい具体例、好ましい置換基の数は、<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
尚、スルホ基およびその誘導体、カルボキシル基およびその誘導体を置換基として有する場合、立体障害によって顔料表面に吸着した分散助剤同士の反発、及び極性を有することによって顔料表面に吸着した分散助剤同士の電気的反発で、顔料の凝集を抑制し易く、特に、Bに置換基として含まれていると、上記効果が得られ易い点で好ましい。
【0050】
(R11について)
11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
【0051】
11におけるアルキル基の炭素数は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。前記範囲内であると、微粒化助剤や分散助剤として用いた場合、本発明の添加剤の有機溶剤に対する溶解が抑制され、顔料表面への効率的な吸着が可能である点で好ましい。
11におけるアルキル基としては、炭素数が1〜3のアルキル基が分子全体の平面性を維持するために好ましい。メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプルピル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
【0052】
11におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、水酸基及びハロゲン原子等が挙げられる。
該アルコキシ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例及び好ましい具体例は、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0053】
11におけるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプルピル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
11におけるアルコキシ基の炭素数は、通常1〜5、好ましくは1〜3である。前記範囲内であると、微粒化助剤や分散助剤として用いた場合、本発明の添加剤の有機溶剤に対する溶解が抑制され、顔料表面への効率的な吸着が可能である点で好ましい。
【0054】
11におけるアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、水酸基及びハロゲン原子等が挙げられる。
該アルキル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基の好ましい置換基を含めた総炭素数、及び有していてもよい置換基の例及び好ましい具体例は、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0055】
11におけるアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、1,2―ジヒドロキシプロポキシ基等が挙げられる。
11における芳香族環基の炭素数は、通常6〜10である。前記範囲内であると、助剤自身の色相を短波長領域に極大吸収をもつように制御することが可能になる点で好ましい。
【0056】
11における芳香族環基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基又は、単環又は二環性の複素環由来の基が好ましい。複素環基を構成する炭素以外の原子としては、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子が挙げられる。複素環基が炭素以外の環を構成する原子を複数有する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。具体的には、ピリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾチアゾリニル基、フタルイミドイル基、ベンズイミダゾロニル基等が挙げられる。中でも平面性に優れ、且つ顔料との間にπ−π相互作用を起こすことでより強固に顔料表面に吸着することが可能となる点で、置換基を有していてもよいフェニル基ナフチル基が好ましく、平面性と顔料や分散剤と強固な水素結合が可能となる点でフタルイミドイル基、ベンズイミダゾロニル基が好ましい。R11における芳香族環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0057】
11の芳香族環基の好ましい置換基を含めた総炭素数、有していてもよい置換基の例及び好ましい具体例、好ましい置換基の数は、前記<置換基群W>の項で記載したものが挙げられる。
【0058】
(nについて)
nは、0〜2の整数を表す。
2価の連結基の個数が、平面性に影響を及ぼすことから、平面性に優れ、顔料とより吸着し易い点で、nは0であることが特に好ましい。
(Zについて)
Zは、直接結合、又は下記<2価の連結基群B>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群B>
【0059】
【化7】

【0060】
(上記式中、*は、A又は隣接するフェニル基との連結部位を表す。)
前記<2価の連結基B>は、いずれもAにおける含窒素縮合環の電子的効果(電子供与性や電子吸引性)を遮蔽し、隣接するフェニル基に電子的な影響を与えない。
そのため、式(1)で表される化合物は、nが1以上である場合は、Aにおける含窒素縮合環基の構造に寄らず、色調をより短波長領域に極大吸収を有する構造とすることができる。
【0061】
特に、前記<2価の連結基B>から選ばれる基における硫黄原子、及び炭素原子がAと結合する構造を含む場合、環Aは置換基として電子求引性基を有することになり、こ
れより式(1)で表される化合物の極大吸収波長をさらに短波長化できるため好ましい。
尚、前記<2価の連結基B>から選ばれる基、化合物的安定性、耐熱性、及び耐光性に優れる点で、−NH−CO−であることが特に好ましい。
【0062】
尚、Zと連結しているフェニル基は、連結部位以外に、置換基を有していてもよく、該置換基の具体例としては、前記<置換基群W>の項で記載のものが挙げられる。
但し、平面性をより良好に保つために、Zと連結しているフェニル基は、無置換であることが好ましい。
(具体例)
以下に、前記式(1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0063】
【化8】

【0064】
【化9】

【0065】
<本発明の効果が得られる理由>
本発明の添加剤を分散助剤及び微粒化助剤として用いた場合に、得られるカラーフィルタの輝度が特に高まる理由について以下の通り推測する。
前記式(1)で表される化合物は、アゾ結合、アミド結合、カルボニル結合が近傍に位置し、これらの基の間で分子内水素結合をすることにより、短波長領域に極大吸収を有しながらも高い平面性を有している。この短波長領域に有する極大吸収により、特に赤色顔料などにて長波長領域の透過性を損なわないので結果的に高輝度となる。
【0066】
一方で輝度の高い画素を得るための分散液としては、顔料粒子を一次粒子近傍サイズまで安定的に分散させる必要がある。本添加剤は上述したように高い平面性を有すると同時に、分子間のπ‐π相互作用する部分も有している。
更に、アゾ結合部位に含窒素複素環基を有する構造があり、該構造が分子間の水素結合部位として有効に機能する。
【0067】
ここで、より効率的に、顔料を分散、及び微粒化するためには、添加剤の顔料に対する親和性が重要となる。
前記式(1)で表される化合物は、高い平面性を有することによる顔料とのπ‐π相互作用、及びアゾ結合部位に含窒素複素環基を有する構造による顔料との分子間水素結合によって、顔料との親和性を高めている。
【0068】
つまりは、本発明の添加剤を微粒化工程や分散工程で添加すると、顔料表面や内部に取り込まれ易く、顔料の結晶性を阻害することができる。この為、本発明の添加剤は、顔料の分散工程、及び微粒化工程で用いられると、顔料分散液にて一時粒子サイズ近傍まで安定して分散が可能となる。
以上から、本発明の添加剤を用いて得られる画素は、輝度が高い。
【0069】
<用途>
本発明の添加剤は、カラーフィルタ用として用いることが好ましく、更に、顔料分散液や着色樹脂組成物に含有される、微粒化助剤又は分散助剤として用いることが好ましい。より具体的には、本発明の添加剤は顔料の微粒化工程又は分散工程時に添加することが好ましく、微粒化工程で用いられる場合は、微粒化助剤で、分散工程で用いられる場合は、分散助剤である。
【0070】
微粒化工程としては、顔料及び添加剤を機械的に粉砕して粒径を細かくする磨砕法が挙げられる。磨砕法は顔料及び添加剤をボールミル、サンドミル又はニーダーを用いて、磨砕剤として食塩などの水溶性無機塩、及び必要に応じてそれらを溶解しない水溶性有機溶剤とともに磨砕した後に、水洗などにより磨砕剤及び水溶性有機溶剤を除去して一次粒子を細かくする方法で、比較的均一な顔料及び/又は添加剤粒子が得られる。しかしながらこの微粒化工程時に発生する熱などのエネルギーにより顔料微粒子が結晶転移する現象が起こりやすいが、本発明の添加剤の共存下ではこの現象を抑制することが可能となる。
【0071】
分散工程としては上記方法にて得られた微細化された顔料組成物、本発明の添加剤、必要に応じて樹脂を溶剤と共にサンドミルなどの分散機で分散する手法が挙げられ、この手法により顔料分散液を得ることが出来る。この際、前述した様に顔料と添加剤などを予め混合し微細化処理した後、有機溶剤に分散又は溶解し、得られた分散物や溶液を混合してもよいし、微細化処理した顔料及び添加剤を有機溶剤に別々に添加して分散してもよい。ここで微粒化された顔料及び分散剤を有機溶剤に分散させる際に使用する分散機としては、特に制限は無いが、例えば、ニーダー、ロールミル、サンドミル、アトライタ、ホモミキサーなどの公知の分散機が挙げられる。上記分散工程時に適量の添加剤を分散助剤として添加することで得られる顔料分散液の分散状態を良好なものにすることが可能となり、結果的に得られた顔料分散液の粘度が低下する。
本発明の添加剤を含有する着色樹脂組成物は、上記の通り、特にカラーフィルタ用途(つまり、カラーフィルタ用着色樹脂組成物)として用いることが好ましい。
【0072】
<顔料分散液>
以下に本発明の顔料分散液の各構成成分を説明する。本発明の顔料分散液は、前記式(1)で表される添加剤、(A)顔料、及び(B)溶剤を含有する。
更に、これら成分以外の他の添加剤を含有していてもよい。
以下、各構成成分について説明する。
【0073】
[(A)顔料]
本発明の顔料分散液は、(A)顔料を含有し、発明の効果の点から、(A)顔料として、通常、赤色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
【0074】
各種顔料の化学構造としては、例えばアゾ系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。これらの他に種々の無機顔料等も利用可能である。
尚、本発明に使用できる顔料は、以下にその具体例をピグメントナンバーで示すが、これら例示によって限定されるものではない。
【0075】
先ず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
【0076】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58等である。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、並びに下記定義で表される顔料Y等が挙げられる。
【0077】
<顔料Y>
下記構造式で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性体に、他の化合物が挿入されてなる化合物。
【0078】
【化10】

【0079】
これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、154、155、180、185、及び顔料Yであり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、180、及び顔料Yである。
また、特に顔料分散液の粘度が大幅に低下するという本発明の効果が得られやすい点で、C.I.ピグメントイエロー138であることが特に好ましい。
【0080】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
【0081】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
【0082】
又、本発明の顔料分散液を使用し、後述するように着色樹脂組成物を調製してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリックスを形成してもよく、その場合には、黒色顔料を使用することができる。尚、黒色顔料は、単独で使用してもよく、赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。又、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。
本発明における顔料は、好ましくは、C.I.(カラーインデックス)ピグメントレッド177、ピグメントレッド242、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド264、及びピグメントレッド272、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー180、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、及びピグメントグリーン58、顔料Yからなる群より選択された少なくとも1種の顔料を用いることが好ましい。
【0083】
また、本発明における顔料は、C.I.(カラーインデックス)ピグメントレッド254であることが、本発明の添加剤との親和性が高く、より効果が得られ易い点で、特に好ましい。
又、本発明に使用可能な無機顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
【0084】
尚、上記各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、(A)顔料として、赤色顔料と黄色顔料とを併用したり、緑色顔料と黄色顔料とを併用
したりすることができる。
又、本発明に係る(A)顔料は、その平均一次粒径が、通常100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは20nm以上70nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径20nm以上60nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
【0085】
使用する(A)顔料の平均一次粒径を上記範囲とすることにより、消偏特性を良好に保ち、高いコントラストや透過率などを実現し、又、分散安定性が良好で、耐熱性や耐光性にも優れた顔料分散液及び着色樹脂組成物を得ることができる。
尚、顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。
先ず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。但し、有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
【0086】
【数1】

【0087】
こうして得られた(A)顔料は、単独で使用してもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で1種又は2種以上の顔料を混合して用いることができる。
本発明における(A)顔料の含有量は、固形分全量に対し、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下であり、又、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
【0088】
(A)顔料の含有量を上記範囲とすることにより、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎず、液晶セル化の際のギャップ制御等に悪影響を及ぼすことなく、且つ十分な画像形成性が得られるうえ、顔料の分散状態も維持され、凝集や沈降が生じにくく、結果として、増粘や輝度・コントラストの低下などといった問題を解消することができる。
【0089】
[(B)溶剤]
溶剤は、本発明において、上記成分のほか、場合により配合したこれら以外の成分等を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
溶剤としては、特に制限がなく、各成分を溶解又は分散させることができるものであればよい。このような溶剤としては、例えば国際公開公報WO2009/107734等に記載の溶剤等が挙げられる。
【0090】
又、これら溶剤に該当する市販のものとしては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、本発明の着色樹脂組成物全体に占める溶剤の含有割合は、特に制限されないが、その上限は通常99重量%以下とし、塗布に適した粘性等をも考慮すれば、好ましくは50
重量%以上、より好ましくは60重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。
【0091】
[微粒化助剤]
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、更に、微粒化助剤を含むことが好ましい。
微粒化助剤としては、前記微粒化工程時に生じる、顔料微粒子の結晶転移を抑制しうるものでは、特に種類が問わないが、特に得られる画素の輝度が高い点で、本発明の添加剤を微粒化助剤として用いることが好ましい。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物における微粒化助剤の含有量は、(A)顔料に対して、通常0.01重量%以上、好ましくは1重量%以上、また通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
上記範囲内であると、本発明の効果が良好に得られる点で好ましい。
【0092】
[(D)分散剤]
本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、変性アクリル系共重合体、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、変性アクリル系共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特に変性アクリル系共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体からなり、そのアミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(有効固形分換算)であるものが特に好ましい。 より好ましくは100〜140mgKOH/gである。
【0093】
上記範囲内であると、顔料表面への吸着力が十分で、分散安定性が良好である。
中でも、特開2009−025813号公報に記載の(メタ)アクリル系ブロック共重合体が好ましい。アクリル系ブロック共重合体は、(A)顔料を極めて効率よく分散できる。これは、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
【0094】
又、本発明において、アクリル系ブロック共重合体は、Aブロック及びBブロックからなるABブロック、及び/又はABAブロック共重合体であることが好ましい。
前記アクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、アミノ基を有し、アミノ基は、好ましくは−NR4142(但し、R41及びR42は、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表わされ、これを含む部分構造として好ましいものは、例えば下記式で表される。
【0095】
【化11】

【0096】
(但し、R41及びR42は、上記のR41及びR42と同義であり、R43は炭素数1
以上のアルキレン基であり、R44は水素原子又はメチル基を表す。)
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、またはエチレン基が好ましく、R44はメチル基であるのが好ましい。このような化合物として下記式で表される部分構造が挙げられる。
【0097】
【化12】

【0098】
上記の如きアミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、アミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。
【0099】
一方、本発明において、(D)分散剤のAブロックは、親溶媒性であり、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。
Aブロックとしては、例えば、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸塩系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、グリシジルエーテル系モノマー等のコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
【0100】
本発明における(D)分散剤は、上述するようなAブロックとBブロックとからなるABブロック又はABAブロック共重合型高分子化合物である。中でもABブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
【0101】
なお、分散剤のアミン価(有効固形分換算)は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/L HClO酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
【0102】
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
(但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。)
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、低い方が好ましく、通常50mgKOH/g以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
【0103】
顔料の平均一次粒径が小さい場合、比表面積が増大し単位面積当たりの分散剤吸着量が少なくなる。この場合、前記共重合体からなる分散剤は、他の分散剤よりも効果が大きく好適に用いられる。
本発明における分散剤は、着色樹脂組成物中の顔料全量に対し、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、また通常200重量%以下、更に好ましくは100重量%以下である。
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の分散剤を含んでいてもよい。その他の分散剤としては、例えば、例えば特開2006−343648号公報に記載のものが挙げられる。
【0104】
[分散助剤]
本発明の顔料分散液又は着色樹脂組成物には、本発明の添加剤を分散助剤として用いてもよく、またその他の分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001−220520号公報、特開2001−271004号公報、特開2002−179976号公報、特開2007−113000号公報、及び特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
【0105】
尚、本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物における分散助剤の含有量は、(A)顔料に対して通常0.1重量%以上、又、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
上記範囲内であると、分散助剤としての効果が有効に得られ、分散性及び分散安定性が良好である点で好ましい。
【0106】
その他の分散助剤を含有する場合も、分散助剤の添加量の合計が上記範囲内となるようにする。
尚、本発明の顔料分散及び着色樹脂組成物が分散助剤を含有する場合、該分散助剤としては本発明の添加剤から含まれるのが好ましい。
【0107】
[分散樹脂]
本発明の顔料分散液及び着色樹脂組成物には、後述する(C)バインダー樹脂もしくはその他のバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
【0108】
具体的には、後述する分散処理工程において、前述の(D)分散剤等の成分とともに、(C)バインダー樹脂を含有させることにより、該(C)バインダー樹脂が、(D)分散剤との相乗効果で(A)顔料の分散安定性に寄与する。結果として(D)分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
【0109】
このように、分散処理工程に使用される(C)バインダー樹脂を、分散樹脂と称することがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
分散樹脂としては、後述する各種(C)バインダー樹脂を使用することができる。
分散樹脂の酸価は0.5mgKOH/g以上が好ましく、1mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上が最も好ましく、また300mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g以下がより好ましく、150mgKOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
【0110】
又、分散樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が最も好ましく、また200000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下が最も好ましい。分子量を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、又、分散安定性が低下するのを防ぐこともできる。
【0111】
[(C)バインダー樹脂]
(C)バインダー樹脂は、硬化手段により好ましい樹脂は異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
【0112】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(C−1)」と称す場合がある。)
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
尚、樹脂(C−2)〜(C−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであればよく、各々、特開2009−025813号公報に同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
【0113】
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0114】
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0115】
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0116】
下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
【0117】
【化13】

【0118】
上記式(7)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(8)で表される構造を示す。
【0119】
【化14】

【0120】
上記式(8)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
【0121】
【化15】

【0122】
尚、前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
【0123】
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
【0124】
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり、また、耐熱性や強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0125】
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸
、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0126】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0127】
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0128】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
【0129】
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
尚、該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
【0130】
上述のバインダー樹脂(C−1)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
【0131】
なお、バインダー樹脂(C−1)の酸価は、通常10〜200mg−KOH/g、好ましくは15〜150mg−KOH/g、更に好ましくは25〜100mg−KOH/gである。
上記範囲内であると、現像液に対する溶解性が良好で、また膜荒れなどが生じ難いため好ましい。
【0132】
また、(C)バインダー樹脂の含有割合は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好
ましくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
【0133】
[(E)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、(E)重合性モノマーを含有することが好ましい。(E)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
【0134】
エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、前記光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(E)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
【0135】
(E)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
【0136】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0137】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0138】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリ
レンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0139】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0140】
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
【0141】
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(E)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。
【0142】
上記範囲内であると、現像溶解特性が低下しにくく、また製造や取り扱いが容易である。更に、光重合性能が落ち難く、画素の表面平滑性等の硬化性が良好であるため好ましい。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0143】
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)重合性モノマーの含有割合は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
また、(E)重合性モノマーの全色材に対する比率は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、また、通常200重量%以下、好ましくは150重量%以下、更に好ましくは110重量%以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が置き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が置き難いため好ましい。
【0144】
[(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(C)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(E)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始系及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始系を含有することが好ましい。なお、本発明において光重合開始系としての(F)成分とは、光重合開始剤(以下、任意に(F1)成分と称する)に重合加速剤(以下、任意に(F2)成分と称する)、増感色素(以下、任意に(F3)成分と称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
【0145】
(光重合開始系)
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始系を含有することが好ましい。光重合開始系は、通常、(F1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(F3)増感色素、(F2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0146】
光重合開始系を構成する(F1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
【0147】
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
【0148】
また、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕,1−(o−アセチルオキシム)、等が挙げられる。
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
【0149】
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる(F2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
【0150】
これらの(F1)光重合開始剤及び(F2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(F3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
【0151】
(F3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(F)光重合開始系の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。この含有割合が著しく低いと、露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起することがある。
【0152】
(熱重合開始系)
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始系(熱重合開始剤)の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の熱重合開始剤を用いることができる。
これらの熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0153】
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、調製方法としては、(A)顔料を含む溶剤中、(D)分散剤、前記式(1)で表される化合物、及び必要に応じて更に添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色分散液を調製する。該着色分散液に、(C)バインダー樹脂、必要に応じて、(E)重合性モノマー、及び(F)光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤などの添加剤を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0154】
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解又は分散された状態である。この着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタとしての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
【0155】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0156】
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
【0157】
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂 ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などに
よる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
【0158】
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート
法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
【0159】
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0160】
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
【0161】
放射線の露光量は、10〜10,000J/mが好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい

【0162】
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の
何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
【0163】
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
【0164】
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソによる柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
【0165】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
【0166】
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを含む有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
【0167】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【実施例】
【0168】
以下に、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[添加剤の合成]
(合成例1:化合物1の合成)
【0169】
【化16】

【0170】
5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン(2.61g、17.5mmol)を70%NMP水(100mL)に加えて、10℃に冷却したところへ、濃塩酸(8.0g)と亜硝酸ナトリウム(1.98g、28.7mmol)を加えて10℃で1時間攪拌した。
N−[4−[3−(ジエチルアミノ)プロピルスルファモイル]フェニル]−3−オキソブタンアミド(6.99g、17.5mmol)を水(100g)を加え、上記のジアゾニウム塩を含む液を炭酸ナトリウム水溶液を加えながら、pH=8.0、5℃で30分間で滴下した。
【0171】
得られた沈殿物をろ過して水(200g)洗浄し、黄色のケーキを得た。このケーキを乾燥して上記化合物1を得た。(8.35g、収率90%)
<合成例2:化合物2の合成>
【0172】
【化17】

【0173】
5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノン(14.9g、100mmol)、炭酸ナトリウム(5.26g、50mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(60mg、500mmol)をNMP(200mL)に加えて、4−ニトロベンゾイルクロライド(18.5g、100mmol)を加えて、室温で3時間攪拌した。得られた反応溶液を水(800ml)に放出し、ろ過してケーキを得た。
【0174】
上記にて得られたケーキを水(400ml)に加え、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10にした。液温を50℃にした後に水硫化ナトリウム(46g)加えて30分間攪拌した。得られた沈殿物をろ過して水(800g)洗浄し、褐色のケーキを得た。このケーキを乾燥して化合物2の前駆体を得た。(21.4g、収率80%)
合成例1にて5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンの代わりに本前駆体を用いて同様
の合成を行い、化合物2を得た(10.1g、収率89%)。
<合成例3:化合物3の合成>
【0175】
【化18】

【0176】
合成例1においてN−[4−[3−(ジエチルアミノ)プロピルスルファモイル]フェニ
ル]−3−オキソブタンアミドを3−オキソブタノイルアミノフェニル−6−メチルベン
ゾチアゾール−7−スルホン酸ナトリウムに変更した以外同様に行い、ウェットケーキ状のNa塩のアゾ化合物を得た。
【0177】
上記の方法で得られたアゾ化合物に水(600ml)を加えて1時間攪拌した後、20%塩化カルシウム水溶液(4.2g、8.0mmol)を加えて3時間攪拌した。得られた沈殿物をろ過して水(600ml)で洗浄した後、乾燥してカルシウム塩体3(4.8g、収率90%)を得た。
<合成例4:化合物4の合成>
【0178】
【化19】

【0179】
合成例3にて3−オキソブタノイルアミノフェニル−6−メチルベンゾチアゾール−7−スルホン酸ナトリウムを4−(1,3−ジオキソブチルアミノ)ベンゼンスルホン酸カリウムを用いた以外、合成例3と同様に行って、化合物4を得た(6.48g、収率85%)。
<合成例5:化合物5の合成>
【0180】
【化20】

【0181】
化合物4にて5−アミノ−2−ベンズイミダゾリノンの代わりに合成例2にて合成した前駆体を用いた以外同様に行い、化合物5を得た(8.26g、収率85%)。
<合成例6:化合物6の合成>
【0182】
【化21】

【0183】
C.I.ピグメントレッド254(100g)を25%発煙硫酸(900g)に添加し、50℃で4時間反応させた。冷却後、反応混合物を氷水中(10000ml)に析出させ、析出物を濾過及び水洗し、乾燥後水に懸濁させて20%塩化カルシウム水溶液を添加、その後濾過、洗浄を行い、水ペーストを得た。この水ペーストを乾燥させてスルホン酸カルシウム基が導入されたジケトピロロピロール誘導体、即ち化合物6(70g)を得た。尚、スルホ基の導入は1分子あたり平均0.8〜1であった。
<合成例7:化合物7の合成>
【0184】
【化22】

【0185】
合成例6にて塩化カルシウム水溶液を添加する代わりにアンモニア水を添加して、化合物7を得た(70g)。
[バインダー樹脂の合成]
(参考合成例1:樹脂Sの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部及びトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)66重量部を滴下し、及び2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール
0.7重量部及びハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダー樹脂のGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価80mgKOH/gであった。
【0186】
<分散剤BYK−LPN6919(ビックケミー社製)>
メタクリル酸系ABブッロク共重合体であり、アミン価は、121mgKOH/g、酸価は1mgKOH/g以下である。
Bブロックに含まれる窒素原子含有官能基を有する繰り返し単位のうち、約100モル%が下記式(i)で表わされる構造であり、又、下記式(ii)で表わされる繰り返し単位は、該メタクリル酸系ABブッロク共重合体を構成する単量体換算で1分子中における割合は7.5モル%であった。
【0187】
【化23】

【0188】
<微粒化顔料の作製、及び顔料分散液の調製>
(実施例1)
[化合物1を使用した赤色微粒化顔料(R−1)の作製]
微粒化助剤として合成例1で得られた化合物1(3.0重量部)、C.I.ピグメントレッド254(50重量部)、塩化ナトリウム(550重量部)、ジエチレングリコール(110重量部)、合成例2で得られた樹脂S(固形分量にて15重量部)を双腕型ニーダーに仕込み、50℃で4時間ソルベントソルトミリング法により微粒化した。この混練物を水7000重量部に投入し、30分間攪拌後、ろ過と水洗を行い、塩化ナトリウムとジエチレングリコールを除いた後、50℃で乾燥、粉砕し、赤色微粒化顔料(R−1)を得た。
【0189】
[顔料分散液の調製]
<化合物1を含む赤色微粒化顔料(R−1)を使用した赤色顔料分散液(1)の調製>
顔料として実施例1で得られた赤色微粒化顔料(R−1)(100重量部)、分散助剤として合成例7で得られた化合物7(9.6重量部)、参考合成例で得られた樹脂S(34.1重量部)、分散剤として「BYK−LPN6919」(ビックケミー社製)(38.6重量部)、溶剤としてPGMEA(669重量部)を撹拌混合し、ジルコニアビーズ(400重量部)加え、ビーズミルで6時間分散を行い、赤色顔料分散液(1)を調製した。
【0190】
尚、赤色顔料分散液(1)の調製を行って、1時間後の該分散液は、流動性があることが目視にて確認された。
[赤色顔料分散液(1)を含む着色樹脂組成物(1)の調製]
続いて、上記[顔料分散液の調製]にて得られた赤色顔料分散液(1)に、下記表1記載の各成分を混合し、各種着色樹脂組成物を調製した。
【0191】
(実施例2〜5、比較例1)
[化合物2〜6を使用した赤色微粒化顔料(R−2)〜(R−6)の作製]
実施例1において、化合物1の代わりに化合物2〜6を用いた以外同様にして、赤色微粒化顔料(R−2)〜(R−6)を得た。
[化合物2〜6を含む赤色微粒化顔料(R−2)〜(R−6)を使用した赤色顔料分散液(2〜6)の調製]
【0192】
実施例1にて用いた赤色微粒化顔料(R−1)を赤色微粒化顔料(R−2)〜(R−6)に変更した他は実施例1と同様に行い、赤色顔料分散液(2)〜(6)を得た。
[赤色顔料分散液(2)〜(6)を含む着色樹脂組成物(2)〜(6)の調製]
実施例1[赤色顔料分散液(1)を含む着色樹脂組成物(1)の調製]における赤色顔料分散液(1)を赤色顔料分散液(2)〜(6)に変更した他は、実施例1と同様にして着色樹脂組成物(2)〜(6)を調製した。
【0193】
【表1】

【0194】
[着色樹脂膜及び着色板の作成]
透明ガラス基板「AN−100」(旭硝子社製)上に、上記[着色樹脂組成物の調製]にて得られた各種着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行い、乾燥塗布膜を得た。
続いて、得られた乾燥塗布膜に対し、高圧水銀灯により60mJ/cmで露光を行った後、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを行い、各種着色樹脂膜を作製した
。尚、塗布に際してはポストベーク後、得られる乾燥塗布膜の色座標がx=0.648となる膜厚になるよう回転数を調整した。
【0195】
得られた着色樹脂膜の膜厚は2.4μm程度であった。この様に、透明ガラス基板上に着色樹脂膜を有する各種着色板を作製した。
[輝度(Y値)の測定]
上記[着色樹脂膜及び着色板の作成]にて得られた各種着色板を分光光度計「U−3310」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いC光源での色度(Y,x,y)を測定した。Y値の結果を表2に示す。
【0196】
【表2】

【0197】
表2に示すが如く、本発明の添加剤を含むことで、透過性が顕著に向上していることが分かる。つまり、本発明の添加剤を含む着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、輝度が高いことが分かる。
【0198】
[黄色顔料分散液の調製]
<化合物1を分散助剤として使用した黄色顔料分散液(7)の調製>
黄色顔料にC.I.ピグメントイエロー138(100重量部)、分散助剤として合成例1で得られた化合物1(9.6重量部)、参考合成例1で得られた樹脂S(34.1重量部)、分散剤として「BYK−LPN6919」(ビックケミー社製)(38.6重量部)、溶剤としてPGMEA(669重量部)を撹拌混合し、ジルコニアビーズ(400重量部)加え、ビーズミルで6時間分散を行い、黄色顔料分散液(7)を調製した。流動性は良好であった。
【0199】
<黄色顔料分散液(8)の調製>
前記<化合物1を分散助剤として使用した黄色顔料分散液(7)の調製>において、化合物1を使用しなかった以外は、同様にして、黄色顔料分散液(8)を調製した。流動性は著しく悪く、粘度測定が不可能であった。
【0200】
[3]顔料分散液の粘度
上記で得られた黄色顔料分散液(7)及び(8)を一日室温(23℃)下で保存した後に、E型粘度計「RE−80L」(東機産業社製)を用いて、室温(23℃)、20rpmで粘度の測定を行った。
結果を表3に示す。
【0201】
【表3】

【0202】
表3に示すが如く、本発明の添加剤を分散助剤に用いることで、顔料分散液の粘度が大幅に低下していることが分かる。
これより、顔料分散液が高粘度であることによる、製造上の歩留まりの低下を抑制しうる。
【符号の説明】
【0203】
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物からなることを特徴とする、添加剤。
【化1】

(上記式(1)中、Aは、置換基を有していてもよい含窒素縮合環基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基、又は置換基を有していてもよい炭素数2〜12の複素環基を表す。
11は、置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族環基を表す。
nは、0〜2の整数を表す。
Zは、直接結合、又は下記<2価の連結基群>から選ばれる2価の基を表す。
<2価の連結基群>
【化2】

(上記式中、*は、A又は隣接するフェニル基との連結部位を表す。))
【請求項2】
前記Aにおける含窒素縮合環基が、下記<含窒素縮合環基群A>から選ばれる基であることを特徴とする、請求項1に記載の添加剤。
<含窒素縮合環基群A>
【化3】

【請求項3】
請求項1又は2に記載の添加剤、(A)顔料、及び(B)溶剤を含有することを特徴とする、顔料分散液。
【請求項4】
前記(A)顔料が、C.I.(カラーインデックス)ピグメントレッド177、ピグメントレッド242、ピグメントレッド254、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー180、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、及びピグメントグリーン58、下記定義で表される顔料Yからなる群より選択された少なくとも1種の顔料を含有することを特徴とする、請求項3に記載の顔料分散液。
<顔料Y>
下記構造式で表されるアゾバルビツール酸のニッケルとの1:1錯体又はその互換異性
体に、他の化合物が挿入されてなる化合物。
【化4】

【請求項5】
更に、(D)分散剤を含有することを特徴とする、請求項3又は4に記載の顔料分散液。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の顔料分散液、及び(C)バインダー樹脂を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
【請求項7】
(A)顔料、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂、及び請求項1又は2に記載の添加剤を含有することを特徴とする、着色樹脂組成物。
【請求項8】
更に、(D)分散剤を含有することを特徴とする、請求項7に記載の着色樹脂組成物。
【請求項9】
更に、(E)重合性モノマーを含有することを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項10】
更に、(F)光重合開始系及び/又は熱重合開始系を含有することを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一項に記載された着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項12】
請求項11に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項13】
請求項11に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−197428(P2012−197428A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42187(P2012−42187)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】