説明

清掃用繊維製品の洗浄方法

【課題】マットやモップ等の清掃用繊維製品を洗浄する際に、再汚染がなく、優れた洗浄性が得られ、更に凝集沈殿性にも優れた洗浄方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤を含有する洗浄媒体を用いて清掃用繊維製品を洗浄する洗浄工程を少なくとも1回含む清掃用繊維製品の洗浄方法であって、全ての洗浄工程の少なくとも何れかにおいて炭素数14〜22の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩〔(A)成分〕が用いられ、且つ全ての洗浄工程においてノニオン界面活性剤〔(B)成分〕が用いられ、更に全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体中の(A)成分の総量と(B)成分の総量との重量比が特定範囲にある、清掃用繊維製品の洗浄方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の洗浄方法及び洗浄剤組成物に関し、特にダストコントロールの分野で用いられる繊維製品、例えば、店舗、オフィス、ホテル等の玄関マットやフロアマット、あるいはフロアクリーニング用モップ等の清掃用繊維製品の洗浄方法及び洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
油、泥、ほこり等の微細な粒子汚れを捕捉、保持して生活環境を向上させるダストコントロールの分野ではダストを捕捉、保持する為の油剤が含浸されたモップクロス、マット等の繊維を含む含油清掃用具が使用される。具体的には、店舗、オフィス、ホテル等で用いられる玄関マットやフロアーマット、フロアークリーニング用のモップ等が上げられる。
【0003】
これら含油清掃用具は、通常、使用−洗浄−油剤加工(再生処理)という一連の工程を経て、繰り返し使用される。このような繰り返し使用は、現在世界的に問題となっている環境汚染や資源浪費等を防止するという観点から非常に重要である。
【0004】
このような含油清掃用具においては、泥等の汚れが大量に共存し、又マットやモップには、汚れを吸着させるため、流動パラフィンが主成分の油剤が塗布されており、この汚れ、油剤の除去に関しては、多量の洗剤を使用する必要がある。しかしそれ以上に排水処理に必要とする薬剤コスト、またそこから発生する多量のスラッジの処理費用がかかり、非常に大きな経費負担となってしまう。
【0005】
このような背景から特許文献1には、非石鹸系アニオン界面活性剤、無機塩類、2価金属イオン捕捉剤を含有する、実質的にリン酸塩及びアルミノシリケートを含まない洗浄剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、非イオン界面活性剤と水溶性キレート剤とを含有し、アルカリ金属珪酸塩等の総量が所定範囲の洗浄媒体を用いて清掃用繊維製品を洗浄する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−194397号公報
【特許文献2】特開2005−272577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、洗剤製造装置への粉体の付着防止並びに連続洗濯機等の洗濯装置の配管やバルブの閉塞等のトラブルを回避できる洗浄剤組成物を得ようとするものであり、凝集沈殿性、洗浄性及び再汚染防止性をバランスよく向上させるには十分ではない。一方、特許文献2では、凝集沈殿性の向上に関しては言及されていない。
【0007】
本発明の課題は、ダストコントロールの分野で用いられる繊維製品、例えば、店舗、オフィス、ホテル等の玄関マットやフロアマット、あるいはフロアクリーニング用モップ等の清掃用繊維製品を洗浄する際に、再汚染が少なく、優れた洗浄性が得られ、更に凝集沈殿性にも優れた洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、界面活性剤を含有する洗浄媒体を用いて清掃用繊維製品を洗浄する洗浄工程を少なくとも1回含む清掃用繊維製品の洗浄方法であって、
全ての洗浄工程の少なくとも何れかにおいて炭素数14〜22の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩〔以下、(A)成分という〕が用いられ、且つ
全ての洗浄工程においてノニオン界面活性剤〔以下(B)成分という〕が用いられ、更に
全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体中の(A)成分の総量(X)と(B)成分の総量(Y)との重量比が(X)/(Y)=1/8〜1/2.2である、
清掃用繊維製品の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ダストコントロールの分野で用いられる繊維製品、例えば、店舗、オフィス、ホテル等の玄関マットやフロアマット、あるいはフロアクリーニング用モップ等の清掃用繊維製品を洗浄する際に、再汚染が少なく、優れた洗浄性が得られ、更に凝集沈殿性にも優れた洗浄方法が提供される。
【0010】
本発明の洗浄方法では、清掃用繊維製品に対して効率的な洗浄並びに排水処理を行うために、洗浄に使用する(A)成分と(B)成分の総量の比率(X)/(Y)を規定すると共に、石鹸に代表される生分解性に優れる界面活性剤を選択して使用することにより、排水処理費用の低減化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の洗浄方法の対象となる繊維製品は、ダストコントロールの分野で用いられる繊維製品、例えば、店舗、オフィス、ホテル等の玄関マットやフロアマット、あるいはフロアクリーニング用モップ等の清掃用繊維製品が挙げられ、更に清掃用繊維製品、清掃用含油繊維製品、清掃用マット、清掃用含油マット、清掃用含油モップ等が挙げられる。一般に、これら繊維製品は、汚れ量が非常に多いため、多量の洗剤や、排水処理(凝集沈殿、凝集加圧浮上、生物処理等)に関連する薬剤を必要とする。そこで、本発明では、効率的な洗浄並びに排水処理を行うために、洗浄に使用される(A)成分と(B)成分の総量の比率(X)/(Y)を規定すると共に、石鹸に代表される生分解性に優れる界面活性剤を選択して使用することを特徴とする。
【0012】
本発明の洗浄方法は、洗浄工程に係わらず、排水される洗剤成分、特に界面活性剤の比率を限定することにより凝集沈殿性/凝集加圧浮上/生物処理性を良好にし、排水処理費用の低減化を可能とする清掃用繊維製品の洗浄方法として有用である。
【0013】
本発明に用いられる洗浄媒体のうち、全ての洗浄工程の少なくとも何れかにおいて用いられるものは、炭素数14〜22の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩〔(A)成分〕を含有する。脂肪酸は飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でも良い。
【0014】
(A)成分としては、炭素数16〜18の脂肪酸のアルカリ金属塩が好ましく、具体的には、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
【0015】
また、本発明では、非石鹸系アニオン界面活性剤〔以下(C)成分という〕を全ての洗浄工程の少なくとも何れかで使用することができる。(C)成分としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等で、塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミン塩などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上混合して用いることができる。なかでも、生分解性、凝集沈殿性の観点から、アルキル硫酸塩、特に炭素数8〜22のアルキル硫酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩又はアンモニウム塩が好ましい。
【0016】
また、本発明に用いられる洗浄媒体は、全て、ノニオン界面活性剤〔(B)成分〕を含有する。(B)成分の非イオン界面活性剤としては、下記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤が好ましい。
1−O−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (I)
〔式中、R1は平均炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。p、q、rはそれぞれ平均付加モル数を表し、p≧0、r≧0、q=0.5〜5であり、p、rが同時に0になることはない。〕
【0017】
一般式(I)中、R1は平均炭素数10〜14のアルキル基、アルケニル基、更にアルキル基が好ましく、pは1〜10、特に2〜8が好ましく、qは0.5〜5であり、更に1〜4.5、特に1〜2が好ましく、rは1〜10、特に2〜8が好ましく、p+rは1〜30、更に2〜20、特に4〜15が好ましい。一般式(I)の非イオン界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(4.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル等が挙げられる。ここで、当該化合物に関し( )内はエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの平均付加モル数である(以下同様)。非イオン界面活性剤は、二種以上を使用することもできる。
【0018】
本発明に用いられる洗浄媒体は、全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体を基準とした、(A)成分の総量(X)と(B)成分の総量(Y)の重量比〔(X)/(Y)〕が、1/8〜1/2.2である。好ましくは1/5〜1/2.5である。この(X)/(Y)重量比が1/8未満であれば、イオン性が不足し凝集しにくくなる。一方、(X)/(Y)重量比が1/2.2超であれば、洗浄時における洗浄性が悪化すると共に、凝集沈殿、凝集加圧浮上において、アニオン量が過剰となり、必要とする無機凝集剤、その中和剤、高分子凝集剤の使用量が増し、またスラッジの排出量が増加してしまう。
【0019】
又、本発明に用いられる洗浄媒体、好ましくは(A)成分を含む洗浄媒体は、生分解性、凝集沈殿性の観点から、更に(C)成分を含むことができ、その場合、全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体を基準とした、(A)成分と(C)成分の総量(Z)〔(A)+(C)〕と(B)成分の総量(Y)との重量比〔(Z)/(Y)〕が1/8〜1/2.2であるのが好ましく、特に好ましくは1/5〜1/2.5である。
【0020】
本発明に用いられる洗浄媒体は、キレート剤を含有することができる。キレート剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ホスホン酸、トリポリリン酸、エチレングリコールビス−(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸、クエン酸、マレイン酸、DL−アラニン−N,N−ジ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、グルタミン酸−N,N−ジ酢酸、セリン−N,N−ジ酢酸、ポリアクリル酸、イソアミレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、ケイ酸、グルコン酸、ヒドロキシベンジルイミジノ酢酸、イミジノ酢酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が好ましい。
【0021】
本発明に用いられる洗浄媒体は、上記成分以外に(1)エタノール等のアルコール類及びエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、(2)パラトルエンスルホン酸又はその塩、安息香酸又はその塩、尿素等の減粘剤や可溶化剤(防腐剤としての効果を持つものもある)、(3)相調整、洗浄力向上のためのポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、(4)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤、(5)蛍光染料、(6)柔軟性付与を目的としたシリコーン、(7)消泡剤としてのシリカ、シリコーン、(8)香料、抗菌防腐剤等を含有することができる。
【0022】
<洗浄工程>
本発明の洗浄方法は、上記特定の洗浄媒体を、清掃用繊維製品と接触させて洗浄する洗浄工程を有する。洗浄媒体は、単一もしくは複数が用いられ、最終的に、本発明の洗浄方法において、(イ)全ての洗浄工程の少なくとも何れかにおいて(A)成分が用いられ、且つ(ロ)全ての洗浄工程において(B)成分が用いられるように、(A)成分、(B)成分を含有する。
【0023】
つまり、本発明では、洗浄媒体は、全ての洗浄工程において(B)成分を含み、何れかの洗浄工程において(A)成分及び(B)成分が用いられる。すなわち、洗浄工程が1回である場合は、洗浄媒体は(A)成分及び(B)成分の両方を含有する。また、洗浄工程が複数である場合は、全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体がそれぞれ(B)成分を含み、全ての洗浄工程で少なくとも何れかで用いられる洗浄媒体が(A)成分を含み、全ての洗浄工程を行った結果(A)成分と(B)成分の両方が適用されることとなる。
【0024】
洗浄媒体が(A)成分と(B)成分の両方を含有する場合、(A)成分を0.001〜0.5重量%、更に0.002〜0.2重量%含有することが好ましく、(B)成分を0.01〜1重量%、更に0.02〜0.2重量%含有することが好ましい。また、(B)成分を含有し、(A)成分を含有しない洗浄媒体においては、(B)成分の含有量は0.01〜1重量%、更に0.02〜0.2重量%が好ましい。更には、(A)成分及び(C)成分を含有する洗浄媒体を用いることもできる。何れの場合でも、洗浄媒体は、水溶性キレート剤を0.0001〜0.2重量%、更に0.0005〜0.2重量%含有することが好ましい。また、何れの場合でも、洗浄媒体は、水を90重量%以上、更に95重量%以上含有することが好ましい。
【0025】
(A)成分と(C)成分の重量比は、全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体を基準として、(A)成分/(C)成分=100/0〜50/50、更に100/0〜30/70が好ましい。
【0026】
なお、洗浄媒体に配合される成分は、一括添加しても、別々に添加してもいずれでもよい。
【0027】
本発明では、再汚染防止の点で、洗浄媒体は、好ましくは70℃未満、洗浄性を維持しつつ、再汚染を防止する観点から、より好ましくは50〜60℃で繊維製品と接触させる。
【0028】
また、洗浄媒体のpHは、洗浄温度において、好ましくは11以下、再汚染の防止の観点から、更に8〜10.8、特に8〜10であることが好ましい。
【0029】
本発明の洗浄方法は、上記のような洗浄工程を少なくとも1回含むが、複数の洗浄工程を有する場合、全ての洗浄工程を通じた(X)/(Y)重量比、更には好ましくは(Z)/(Y)重量比が本発明の範囲となるように洗浄媒体を用いる。一般に、ダストコントロールの分野では、回収された繊維製品は、砂落とし、予備洗浄、本洗浄、染色、油含浸等の処理工程を経て再利用されるが、本発明の製造方法は、このような予備洗浄、本洗浄に適用できる。なお、複数の洗浄工程で用いられる複数の洗浄媒体は、組成が同一でも異なっていてもよい。本洗浄に用いる洗浄媒体では、更に相当量のメタ珪酸ナトリウム、ソーダ灰等のアルカリ剤を含むことができる。
【実施例】
【0030】
実施例1〜5及び比較例1〜4
表1の洗浄媒体を用いて再汚染防止性と洗浄性、凝集沈殿性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0031】
(1)再汚染防止性
綿布を6cm×6cmに裁断し、25℃で粘度140mPa・sの鉱物油に含浸し、調製布とした。60℃、1Lの水道水に、表1の成分を該比率で投入し、洗浄媒体とし、これに鹿沼赤土2.5g、カーボンブラック1gを入れてターゴトメータ(回転数80rpm/min)にて5分間撹拌、分散させ汚染液を調製した。この汚染液に、前記調製布を入れ、ターゴトメータ(回転数80rpm/min)にて洗浄を60℃で5分間行い、すすぎ1分、脱水、プレス乾燥を行った。洗浄後の試験白布を目視観察し、以下の基準で評価した。
【0032】
◎:汚れが付着していない。
○:汚れがすこし付着する。
△:よごれがある程度付着する
×:汚れがはっきりと付着する。
【0033】
(2)洗浄性
綿白布を6cm×6cmに裁断し、25℃で粘度140mPa・sの鉱物油に含浸し、更に鹿沼赤土を付着させて汚染布を調製した。以下、上記再汚染防止性の評価と同様に洗浄媒体を調製し、ターゴトメータ(回転数80rpm/min)にて洗浄を60℃で5分間行い、すすぎ1分、脱水、プレス乾燥を行った。洗浄、乾燥後の汚染布を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:汚れ落ちがはっきりとわかる。
○:汚れ落ちがわかる。
×:汚れ落ちがわからない。
【0034】
(3)凝集沈殿性試験
前記(2)の洗浄性の評価で洗浄が終わった後の洗浄媒体を用いて凝集沈殿性試験を行った。まず洗浄後の各洗浄媒体(温度20℃)1Lを攪拌し、硫酸バンドを2000ppmになるように添加し、pHを約5に設定、その後1%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に合わせた。さらに凝集剤としてポリアクリルアミド(重量平均分子量約1100万)を1000ppm添加し、5分攪拌後、5分間静置後の液を観察し、以下の基準で評価した。
◎:完全に凝集分離し、液部分は透明である。
○:凝集分離し、液部分はほぼ透明である。
△:凝集分離するが、液部分は白濁状態である。
×:凝集分離せず、液全体が懸濁状態である。
【0035】
【表1】

【0036】
・ノニオン(1):一般式(I)において、R1がラウリル基、pが3、qが1.5、rが3のもの
・ノニオン(2):一般式(I)において、R1がラウリル基、pが5、qが1.5、rが5のもの
・石鹸:花王(株)製、月星中低温石鹸(炭素数16、18の飽和、不飽和脂肪酸ナトリウム塩が有効分として50重量%)、表中の数値は有効分の重量%である。
・アニオン(1):ラウリル硫酸ナトリウム、表中の数値は有効分の重量%である。
【0037】
実施例6〜10及び比較例5〜7
表2の洗浄媒体を用いて洗浄性と凝集沈殿性を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。なお、表2中の成分で共通するものは表1と同じものである。表2の(X)/(Y)重量比、(Z)/(Y)重量比は、全洗浄媒体を基準にした比率である。
【0038】
(1)洗浄性
綿白布を6cm×6cmに裁断し、25℃で粘度140mPa・sの鉱物油に含浸し、更に鹿沼赤土を付着させて汚染布を調製した。60℃、1Lの水道水に、表2の第一の洗浄媒体の成分を該比率で投入し、第一の洗浄媒体とし、また、同様にして第二の洗浄媒体を調製した。第一の洗浄媒体で前記汚染布の洗浄をターゴトメータ(回転数80rpm/min)にて60℃で5分間行い、その後布を軽く絞った後、第二の洗浄媒体で同様に洗浄し、その後すすぎ1分、脱水、プレス乾燥を行った。洗浄、乾燥後の汚染布を目視観察し、実施例1等と同様の基準で評価した。
【0039】
(2)凝集沈殿性試験
前記(1)の洗浄性の評価で洗浄が終わった後の第一、第二の洗浄媒体を用いて凝集沈殿性試験を行った。洗浄が終わった後の第一、第二の洗浄媒体を混ぜ合わせ、その混合液から1Lをサンプルとして採取し、実施例1等と同様に凝集沈殿性を評価した。
【0040】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を含有する洗浄媒体を用いて清掃用繊維製品を洗浄する洗浄工程を少なくとも1回含む清掃用繊維製品の洗浄方法であって、
全ての洗浄工程の少なくとも何れかにおいて炭素数14〜22の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩〔以下、(A)成分という〕が用いられ、且つ
全ての洗浄工程においてノニオン界面活性剤〔以下(B)成分という〕が用いられ、更に
全ての洗浄工程で用いられる洗浄媒体中の(A)成分の総量(X)と(B)成分の総量(Y)との重量比が(X)/(Y)=1/8〜1/2.2である、
清掃用繊維製品の洗浄方法。
【請求項2】
更に、全ての洗浄工程の少なくとも何れかにおいて非石鹸系アニオン界面活性剤〔以下(C)成分という〕が用いられ、(A)成分と(C)成分の総量(Z)と、(B)成分の総量(Y)との重量比が(Z)/(Y)=1/8〜1/2.2である請求項1記載の清掃用繊維製品の洗浄方法。
【請求項3】
非石鹸系アニオン界面活性剤が、炭素数8〜22のアルキル硫酸のナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩又はアンモニウム塩である請求項2記載の清掃用繊維製品の洗浄方法
【請求項4】
ノニオン界面活性剤が、下記式(I)で示されるノニオン界面活性剤である請求項1〜3の何れか1項記載の清掃用繊維製品の洗浄方法。
1−O−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (I)
〔式中、R1は平均炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。p、q、rはそれぞれ平均付加モル数を表し、p≧0、r≧0、q=0.5〜5であり、p、rが同時に0になることはない。〕

【公開番号】特開2007−209946(P2007−209946A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35135(P2006−35135)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】