説明

減圧弁付き接続具

【課題】減圧弁の交換を容易にすることができる減圧弁付き接続具を提供する。
【解決手段】給水栓と給水配管とを接続する減圧弁付き接続具であって、中空部26が形成された本体20と、中空部26の内周面に沿って挿入された減圧弁40と、本体20に形成された開口20bを塞ぐ蓋21とを備え、蓋21と減圧弁40とが直列的に配置されており、蓋21は本体20に対し着脱可能であり、蓋21を本体20から取り外した際に、本体20の開口20bを介して本体20に対する減圧弁40の出し入れが可能である。このことにより、接続具全体を交換することなく、減圧弁だけの交換が可能になり、給水栓の設置状態を維持した状態での減圧弁の交換も可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水栓と配管とを接続する接続具に減圧弁を内蔵した減圧弁付き接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面台や浴槽に湯水を供給するための器具として、給水栓が用いられている。適温の吐出流を供給するための給水栓には、湯用配管と水用配管とが接続されている。給水栓に備えたレバー、摘み等を調節することにより、湯量と水量との配分を変化させ、適温の吐出流が得られることになる。
【0003】
給水栓へ供給される湯や水の水圧を所定の圧力以下に抑えるために、減圧弁を用いる場合がある。例えば下記特許文献1には、給水栓と湯用配管の端末部との間、及び給水栓と水用配管の端末部との間のそれぞれに、減圧弁を介在させて使用する例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−121784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
減圧弁は弁の開閉にスプリングを用いており、スプリングのばね定数が異なれば、減圧できる水圧の範囲も異なることになる。したがって、減圧弁を用いる場合には、適切なばね定数のスプリングを備えた減圧弁を用いる必要がある。
【0006】
一方、減圧弁により制限すべき水圧の範囲は、給水栓の設置場所によって異なる。このため、減圧弁内のスプリングのばね定数を決定するには、給水栓の設置場所における確認作業が必要であった。この場合、取り付けた減圧弁が適切でなければ、ばね定数の異なるスプリングを備えた減圧弁に交換して再度確認作業を行うことになる。
【0007】
前記特許文献1の図1、2の構成では、減圧弁を交換するには、減圧弁付きの水栓本体を2個の接続具から取り外した後、水栓本体から減圧弁を取り外す必要がある。また、2個の減圧弁のうち片方の減圧弁のみの交換が必要な場合であっても、一旦水栓本体を2個の接続具から取り外す必要があった。したがって、特許文献1の構成は、給水栓設備を設置した後に、減圧弁を交換するには適した構成ではなかった。
【0008】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するためのものであり、減圧弁の交換を容易にすることができる減圧弁付き接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の減圧弁付き接続具は、給水栓と給水配管とを接続する減圧弁付き接続具であって、中空部が形成された本体と、前記中空部の内周面に沿って挿入された減圧弁と、前記本体に形成された開口を塞ぐ蓋とを備え、前記蓋と前記減圧弁とが直列的に配置されており、前記蓋は前記本体に対し着脱可能であり、前記蓋を前記本体から取り外した際に、前記本体の前記開口を介して前記本体に対する前記減圧弁の出し入れが可能であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、蓋を接続具の本体から取り外すことにより、減圧弁の出し入れが可能であるので、接続具全体を交換することなく、減圧弁だけの交換が可能になる。また、蓋の固定は接続具への固定で完結するので、蓋の取り外しのために、接続具を給水栓や給水配管から取り外す必要はなく、給水栓の設置状態において減圧弁の交換が可能になる。さらに、蓋と減圧弁とは直列的に配置されていることにより、減圧弁の本体からの取り出し及び減圧弁の本体への収納も容易になる。したがって、本発明の減圧弁付き接続具によれば、給水栓の設置場所において、減圧弁の交換をしつつ適切なばね定数のスプリングを備えた減圧弁の選択する際の作業が容易になる。あわせて、減圧弁が製品寿命に達したときの交換作業も容易になる。
【0011】
前記本発明の減圧弁付き接続具においては、前記蓋と前記減圧弁との間に管状部材が介在していることが好ましい。この構成によれば、螺合を用いることなく、簡単な構造で、本体内における減圧弁の固定を確実にすることができる。また、管状部材を配置しても、管状部材の中空部を水が流動するので、本体内の水の流れが妨げられることはない。
【0012】
また、前記減圧弁は、前記本体と螺合することなく前記本体内に配置されていることが好ましい。この構成によれば、減圧弁交換がより容易になる。
【0013】
さらに、前記給水栓に接続される流出側接続管が前記本体から立設しており、前記減圧弁は、前記減圧弁の軸方向が前記流出側接続管の立設方向になるように配置されていることが好ましい。この構成によれば、流出用接続管の先端の出代寸法を短くできる。このことにより、接続具に接続された給水栓に荷重が加わった際に、接続具の給水配管側の取り付け部が受ける荷重を小さくでき、接続具の破損防止や脱落防止に有利になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続具全体を交換することなく、減圧弁だけの交換が可能になり、給水栓の設置状態を維持した状態で減圧弁の交換が可能になる。さらに、さらに、蓋と減圧弁とは直列的に配置されていることにより、減圧弁の本体からの取り出し及び減圧弁の本体への収納も容易になる。このことにより、給水栓の設置場所において、減圧弁の交換をしつつ適切なばね定数のスプリングを備えた減圧弁の選択する際の作業が容易になる。あわせて、減圧弁が製品寿命に達したときの交換作業も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る減圧弁付き接続具を、浴室用の給水栓に取り付けた状態を示す斜視図。
【図2】図1に示した接続具1の近傍を示す平面図。
【図3】本発明の一実施の形態において、接続具1を給水栓3及び水用配管14に接続する前の状態を示す側面図。
【図4】本発明の一実施の形態に係る接続具1を壁面2に固定した状態における縦断面図。
【図5】図4の接続具1から減圧弁40を取り外した状態を示す分解図。
【図6】減圧弁の一例を示す断面図。
【図7】本発明の別の実施の形態に係る接続具の縦断面図。
【図8】図7の接続具1aから減圧弁40を取り外した状態を示す分解図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態に係る減圧弁付き接続具について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る減圧弁付き接続具(以下、単に「接続具」という。)を、浴室用の給水栓に取り付けた状態を示す斜視図である。図2は、図1の接続具1近傍を示す平面図である。
【0017】
図1では、浴室の壁面2に接続具1が取り付けられている。図2に示したように、壁面2には2個の接続具1が取り付けられている。2個の接続具1のうち、一方の接続具1は壁面2に内蔵された水用配管14に接続されており、他方の接続具1は壁面2に内蔵された湯用配管15に接続されている。水用配管14及び湯用配管15は、それぞれ水、湯が供給される給水配管である。
【0018】
図2に示したように、各接続具1には給水栓3が接続されている。図1、2に示したように、給水栓3には、2個の流量調節用摘み4が設けられており、吐出部6(図1)に導く湯量と水量とをそれぞれ別個に調節することが可能である。このことにより、図1において、吐出部6から使用者の求める適温の吐出流が浴槽10内に吐出されることになる。
【0019】
図1に示したように、給水栓3には、チューブ8が接続されており、チューブ8の先端には、シャワーヘッド7が取り付けられている。給水栓3には切り替え摘み9が設けられており、吐出部6から吐出をシャワーヘッド7からの吐出に切り替えることができる。
【0020】
図3は、接続具1を給水栓3及び水用配管14に接続する前の状態を示す側面図である。図3は水用配管14側を図示しているが、湯用配管15(図2)側についても同じ構造である。接続具1は、本体20が蓋21で塞がれている。接続具1の上側には、ケース部22が設けられ、ケース部22内に流出用接続管23(図4)が挿入されている。接続具1の下側には流入用接続管25が設けられている。流入用接続管25には、水用配管14からの水が流入する。この水は、接続具1の内部を流動し流出用接続管23を経て流出することになる。
【0021】
流入用接続管25の外周面及び水用配管14の内周面には、ねじが形成されている。接続具1全体を流入用接続管25の軸回りに回転させながら、流入用接続管25を水用配管14に螺合させることにより、流入用接続管25が水用配管14に固定されることになる。このことにより、接続具1が壁面2に固定されることになる。
【0022】
一方、給水栓3には、外周面にねじが形成された接続管16が形成されている。接続具1の流出用接続管23には、内周面にねじが形成されたナット24が取り付けられている。ナット24を回転させながら、ナット24を接続管16に螺合させることにより、接続管16に接続具1が接続されることになる。このことにより、接続具1が給水栓3に固定されることになる。
【0023】
同様に、湯用配管15(図2)側の接続具1を、壁面2及び給水栓3に固定することにより、図2に示したように、給水栓3が2個の接続具1を介して壁面2に取り付けられた状態になる。
【0024】
図4は、接続具1を壁面2に固定した状態における縦断面図を示している。図5は、図4の接続具1から減圧弁40を取り外した状態を示す分解図である。図5に示したように、本体20は縦筒部20aを備えており、縦筒部20aには中空部26が形成されている。中空部26の内周面に沿って減圧弁40を縦筒部20a内に挿入することにより、図4に示したように、縦筒部20a内に減圧弁40が内蔵された状態になる。減圧弁40と縦筒部20aの内周面との間のシール性を向上させるために、縦筒部20aの内周面にOリング33を取り付けてもよい。図4、5では、減圧弁40の内部構造の図示は省略しており、内部構造については、後に図6を参照しながら説明する。
【0025】
図4において、本体20の下部には、横配管27が取り付けられている。横配管27の端部に締付部材28が螺合することにより、横配管27が本体20に固定されている。横配管27には、流入用接続管25が一体になっている。前記の通り、流入用接続管25には、図2に示した水用配管14又は湯用配管15が接続されることになる。
【0026】
本体20の上部には、ケース部22が設けられている。ケース部22に流出用接続管23が螺合して固定されている。図3を用いて説明した通り、ナット24を給水栓3の接続管16(図3)に螺合させることにより、接続管16に流出用接続管23が接続されることになる。
【0027】
蓋21の外周面及び本体20の端部近傍の内周面には、ねじが形成されている。蓋21を回転させながら、蓋21を本体20に螺合させることにより、蓋21は本体20に固定されることになる。蓋21と減圧弁40との間には、管状部材22が介在している。このことにより、減圧弁40は縦筒部20a内部の面29と管状部材22とで位置移動が規制されることになる。この構成では、螺合を用いることなく、簡単な構造で本体内における減圧弁40の固定を確実にすることができる。管状部材22が減圧弁40を押圧するようにすれば、減圧弁40の固定はより確実になる。また、管状部材22を配置しても、管状部材22の中空部を水が流動するので、本体20内の水の流れが妨げられることはない。
【0028】
図4の状態から、本体20に螺合した蓋21を回転させて螺合を緩めることにより、蓋21を本体20から取り外すことができる。このことにより、図5に示したように、本体20の開口20bから、管状部材22及び減圧弁40を取り出すことができ、減圧弁40の交換が可能になる。減圧弁40の交換の理由や交換作業の詳細は、減圧弁40の詳細を説明した後に説明する。
【0029】
以下、図6を参照しながら、減圧弁40の詳細を説明する。図6では、説明の便宜上、減圧弁40に加え管状部材22も図示している。図1、2における2個の接続具1には、それぞれ減圧弁40を内蔵しているが、各減圧弁40の構造は同じであり、減圧弁40内における湯や水の流動状態についても同じである。以下の説明では、減圧弁40内に水用配管14(図2)からの水が流動する場合について説明する。
【0030】
減圧弁40は、筒体41と筒体42とが螺合して本体43を形成している。本体43内には、ストレーナ45、弁座部材46及弁体50が直列的に配置されている。ストレーナ45は網状体であり、水の通過が可能である。弁座部材46には開口48が形成されており、ストレーナ45を通過した水は開口48を経て、弁座部材46を通過することができる。弁体50は管状部51を備えており、管状部51の端部を囲むように、受圧部52を形成している。
【0031】
減圧弁40内には、さらに支持部材54及びガイド55が直列的に配置されている。支持部材54及びガイド55は、中央部に開口を形成しており、これらの開口を弁体50の管状部51が挿通している。ガイド55の外周部は、筒体411の端面で押さえられている。支持部材54の下端面は、筒体42の面42a上の弁座部材46に当接している。このため、支持部材54及びガイド55は、本体43内において、位置移動が規制されて固定されている。
【0032】
弁体50の受圧部52とガイド55との間には、スプリング60が配置されている。スプリング60は、線材がコイル状に巻回されたものであり、スプリング60の内周側を弁体50の管状部51が挿通している。弁体50の受圧部52は、外周面が筒体41の内周面に、Oリング58でシールされた状態ではめ込まれている。弁体50は、受圧部52の外周面が筒体41の内周面上を摺動しながら、減圧弁40の軸方向に、弁座部材46に向かって移動可能である。この移動による空気の流通のために、本体43には空気抜き穴(図示せず)が形成されている。
【0033】
図4において、横配管27内を矢印a、b方向に進んだ水は、図6において減圧弁40の流入口44から減圧弁40内に流入する(矢印d)。減圧弁40内に流入した水は、ストレーナ45を通過して、弁座部材46に形成された開口48を通過する(矢印e)。開口48を通過した水は、弁体50の管状部51内に流入する(矢印f)。管状部51内を通過した水は、管状部材22内に流入し、開口22aを経て(矢印g)、流出用接続管23(図4)に至り、接続具1から流出する(図4の矢印c)。
【0034】
以下の説明において、減圧弁40への水の流入側(流入口44側)を1次側と呼び、減圧弁40からの水の流出側(管状部材22側)を2次側と呼ぶ。2次側の圧力が上がると、受圧部52の受圧面52aに加わる圧力が増加する。この圧力が一定圧以上になると、スプリング60が圧縮されながら、弁体50は弁座部材46に向かって移動することになる。
【0035】
弁体50の移動量が増加すると、弁体50の管状部51の開口53内に弁座47が進入し、開口53の開口面積が狭められ、2次側の水圧が低下することになる。2次側の圧力が設定圧以上であれば、管状部51の開口53が弁座47で完全に塞がれ、2次側への水の供給が停止することになる。この際、給水栓3の吐出部6(図1)から水が吐出することにより、2次側の圧力が低下し受圧面52aに加わる圧力も低下する。
【0036】
この場合、スプリング60の反発力により、弁体50は管状部材22側に向かって移動することになる。この移動により、管状部51の開口53が弁座47から遠ざかるので、2次側への水の供給が再開することになる。これ以降において、2次側の圧力が増加した場合は、前記の動作が繰り返されることになる。したがって、本実施の形態においては、給水配管に減圧弁40が介在していることにより、2次側の圧力は設定圧力以下に抑えられることになる。
【0037】
2次側設定圧は、減圧弁40内のスプリング60(図6)のばね定数を変化させることにより調節可能である。一方、1次側圧力の変動範囲は設置場所によって異なり、2次側設定圧を接続具1の設置前に事前に決定することは困難である。したがって、2次側設定圧は設置場所において確認作業を行いながら決定することになる。確認作業を確実にするには、図1に示したように、給水栓3を設置した状態で行う必要がある。2次側の圧力が許容範囲内に収まらない場合は、接続部1内の減圧弁40を交換して、再度確認作業を行うことになる。この場合、交換後の減圧弁40を、交換前の減圧弁40に比べばね60のばね定数が異なるものとすることにより、2次側設定圧を変更することができる。
【0038】
以下、減圧弁40の交換作業について説明する。図4に示したように、減圧弁40は、縦筒部20a内に収納されているので、減圧弁40の交換の際には、減圧弁40を内蔵した縦筒部20a内への水の供給を止めておく必要がある。図4に示したように、接続具1は止水弁30を備えている。止水弁30には、パッキン31がねじ32により固定されている。止水弁30を回転移動させることにより、流入用接続管25内の流路を塞ぐことができ、矢印a、b方向の水の流れを止めることができる。このことにより、減圧弁40の交換の際には、作業場所から離れることなく、減圧弁40を内蔵した縦筒部20a内へ水の供給を止めることができる。
【0039】
前記のとおり、図5に示したように、本体20から蓋21を取り外すことにより、減圧弁40を接続具1から取り外すことができる。蓋21の固定は、接続具1への固定により完結している。このため、蓋21の取り外しは図1、2のように、給水栓3の設置状態で可能である。したがって、蓋21の取り外しの際には、給水栓3を接続具1から取り外す必要はなく、接続具1を壁面2から取り外す必要もない。このため、取り外した部品の持ち運びは不要になり、取り外した部品の設置スペースも不要となる。
【0040】
また、図4、5に示したように蓋21と減圧弁40とは直列的に配置されている。このことにより、減圧弁40の取り出しが容易になるとともに、減圧弁40の収納も容易になる。さらに、減圧弁40を本体20と螺合させることなく、本体20内に配置するようにすれば、減圧弁40の出し入れがより容易になる。この場合、減圧弁40の出し入れに必要な工具は、簡易な工具で足りることになる。
【0041】
減圧弁40を取り出した後の接続具1に、新たな減圧弁40を接続具1に収納する際には、前記と逆の手順を行えばよい。この場合も、給水栓3及び接続具1を取り外すことなく、作業することが可能になる。したがって、本実施の形態の接続具1によれば、給水栓3及び接続具1の設置状態を維持しつつ、減圧弁40を容易に交換することが可能になる。このため、本実施の形態の接続具1は、例えばホテル等において、多数の部屋に、給水栓設備を設置する場合に適している。
【0042】
減圧弁40の交換の際には、スプリング60のばね定数の異なる複数の減圧弁40を用意しておき、減圧弁40を交換しながら、最適な減圧弁40を選択してもよい。この方法では、減圧弁40の分解によるスプリング60の交換作業は不要になる。
【0043】
また、前記の例では、給水栓設備の設置時における減圧弁40の交換について説明したが、給水栓設備の設置を終え、実際に使用を開始した後においても、減圧弁40の交換が必要な場合がある。図6を用いて説明したように、減圧弁40内には可動部があり、可動部が消耗し本来の性能が発揮できない状態になったときには、減圧弁40の交換が必要になる。この場合においても、本実施の形態の接続具1によれば、給水栓設備の設置の場合と同様に、減圧弁40を容易に交換することが可能になる。
【0044】
図7は、本発明の別の実施の形態に係る接続具1aの縦断面図を示している。図7では、図4に示した接続具1と同一構成の部分には、同一番号を付してその説明は省略する。図7の接続具1aは、構成部品の配置及び流路構成が図4の接続具1と異なっている。このことにより、接続具1aは接続具1に比べ、流出用接続管23の先端の壁面からの出代寸法d2を短くしている。出代寸法d2を短くすることにより、図1、2において、給水栓3の壁面2からの出代寸法も短くなる。この構成によれば、給水栓3に荷重が加わった際の、接続具1aの壁面2への取り付け部が受ける荷重を小さくでき、接続具1aの破損防止や脱落防止に有利になる。
【0045】
以下の説明は、接続具1aを水用配管14に接続した例で説明するが、湯用配管15に接続した場合も同様である。図7において、本体61は縦筒部61aと横筒部61bとを備えている。縦筒部61aには流出用接続管23が横向きに設けられており、横筒部61b内には減圧弁40が内蔵されている。水用配管14から流入用接続管25に水が供給され(矢印h)、この水は減圧弁40内に流入する(矢印i)。減圧弁40内における水の流動状態は、図6の矢印d、e、f及びgで示した通りである。減圧弁40から流出した水は、管状部材22の流出口22aから流出し(矢印k)、流路63及び流路64を通り(矢印l、m)、流出用接続管23から流出する(矢印n)。
【0046】
図4では接続管1の設置状態おいて、減圧弁40が縦置きされているのに対し、図7では接続管1aの設置状態において、減圧弁40が横置きされている。すなわち、減圧弁40は、減圧弁40の軸方向が流出側接続管23の立設方向になるように配置されている。図4の接続管1においては、縦筒部20aに減圧弁40を内蔵しているので、縦筒部20aの内径は減圧弁40の径より大きくする必要がある。これに対し、図7の接続管1aにおいては、縦筒部61a内には減圧弁40を内蔵していないので、縦筒部61a内は水の流路が確保されていれば足りることになる。
【0047】
このため、図7の縦筒部61aの外径は、図4の縦筒部20aの外径よりも小さくすることができる。このことにより、図7に示した縦筒部61aの壁面2からの出代寸法d1は、図4に示した縦筒部20aの壁面2からの出代寸法d1よりも短くすることができる。したがって、接続具1aは接続具1に比べ、流出用接続管23の先端の壁面2からの出代寸法d2を短くすることができる。図7では、流出用接続管23が縦筒部61a内に埋設しているが、図4と同様の配置にした場合であっても、図7の出代寸法d2が図4の出代寸法d2より小さくなることには変わりない。
【0048】
図1、2において、給水栓3に人がもたれかかる等により荷重が加わった場合には、給水栓3に直接接続されている図7の流出用接続管23を介して、接続具1aに荷重が加わることになる。この荷重印加により、接続具1aの壁面2への取り付け部に荷重が集中することになる。図7の構成のように、流出用接続管23の出代寸法d2を短くすることにより、給水栓3に荷重が加わった際の、接続具1aの壁面2への取り付け部が受ける荷重を小さくでき、接続具1aの破損防止や脱落防止に有利になる。
【0049】
図8は、図7の接続具1aから減圧弁40を取り外した状態を示す分解図である。図7の状態から、本体61に螺合した蓋21を回転させて螺合を緩めることにより、蓋21を本体61から取り外すことができる。図8は、横筒部61bの中空部62に収納されていた管状部材22及び減圧弁40を、横筒部61bの開口61cから取り出した状態を示している。
【0050】
図7の構成においても、図4の構成と同様に、蓋21と減圧弁40とは直列的に配置されている。このことにより、減圧弁40の取り出しが容易になるとともに、減圧弁40の収納も容易になる。また、減圧弁40を本体61と螺合させることなく、本体61内に配置するようにすれば、減圧弁40の出し入れがより容易になる点も図4の構成と同様である。さらに、蓋21の取り外しについても、図4の構成と同様に、図1、2のように給水栓3の設置が完了している状態で可能である。すなわち、蓋21の取り外しの際には、給水栓3を接続具1から取り外す必要はなく、接続具1を壁面2から取り外す必要もない。このため、減圧弁40の接続具1aに対する出し入れは容易であり、減圧弁40の交換は容易になる。
【0051】
前記実施形態においては、減圧弁40は図6に示した構成の例で説明したが、この構成に限るものではない。2次側圧力が上昇した際に、スプリング60のばね圧に抗して弁体50が移動し、弁体50の開口部が弁座47で塞がれる内部構造であれば、他の構成であってもよい。また、本体43の形状についても、接続具の中空部に収納可能な形状であれば、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1a 接続具
3 給水栓
14 水用配管
15 湯用配管
20,61 本体
20b,61c 開口
21 蓋
22 管状部材
23 流出側接続管
25 流入側接続管
26,62 中空部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水栓と給水配管とを接続する減圧弁付き接続具であって、
中空部が形成された本体と、
前記中空部の内周面に沿って挿入された減圧弁と、
前記本体に形成された開口を塞ぐ蓋とを備え、
前記蓋と前記減圧弁とが直列的に配置されており、
前記蓋は前記本体に対し着脱可能であり、
前記蓋を前記本体から取り外した際に、前記本体の前記開口を介して前記本体に対する前記減圧弁の出し入れが可能であることを特徴とする減圧弁付き接続具。
【請求項2】
前記蓋と前記減圧弁との間に管状部材が介在している請求項1に記載の減圧弁付き接続具。
【請求項3】
前記減圧弁は、前記本体と螺合することなく前記本体内に配置されている請求項1又は2に記載の減圧弁付き接続具。
【請求項4】
前記給水栓に接続される流出側接続管が前記本体から立設しており、前記減圧弁は、前記減圧弁の軸方向が前記流出側接続管の立設方向になるように配置されている請求項1から3のいずれかに記載の減圧弁付き接続具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−132234(P2012−132234A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286016(P2010−286016)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(300071731)株式会社ヴィクトリー (8)
【Fターム(参考)】