説明

減圧弁

【課題】減圧弁からダイヤフラムを取り外すことなく、減圧弁の内部を容易にメンテナンスすることができるようにする。
【解決手段】減圧弁10は、一次室16と、これに連通孔18を介して連通する二次室22と、ダイヤフラム26により二次室22と区画され、外部に連通する大気室24とを形成するハウジング12を有する。ハウジング12には、一次室16と連通孔18を形成し、ハウジング12に対して着脱可能な着脱部材36が設けられている。着脱部材36をハウジング12から取り外すことで、ダイヤフラム26を取り外すことなく、減圧弁10の内部を用意にメンテナンスすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は減圧弁のメンテナンス構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
減圧弁は、二次側の流体圧力を、一次側の流体圧力より下げ、かつ一定に保つ装置である。このような減圧弁においては、二次側の流体圧力と大気圧との圧力差に基づいて弾性変形するダイヤフラムの動作により弁の開度を調整するダイヤフラム型のものが多用されている。
【0003】
下記特許文献1には、一次側室と、一次側室に弁口を介して連通する二次側室とを有する弁箱と、弁箱の上壁にダイヤフラムを介して形成されたダイヤフラム室を有する保護カバーとから構成されるハウジングを有する減圧弁が記載されている。この減圧弁は、ダイヤフラム室に設けられ、ダイヤフラムを二次側室のほうへ押圧する調整ばねと、ダイヤフラムに弁棒を介して弁口を開閉する弁体とを有する。さらに、この減圧弁は、一端がピストン部を介して弁体に接続し、他端が弁箱の下部蓋から外部に突出する進退部材と、進退部材の他端に接続し、進退部材を進退させる駆動手段とを有する。駆動手段を作動すると、進退部材を介して弁体が押し上げられる。この押し上げにより、弁体が弁口を閉じて一次側の流体が止水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−20108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の減圧弁においては、これの内部で問題が生じた場合、例えば弁と弁口との間に異物が詰まり弁が正常に動作しなくなった場合、減圧弁自体を新規のものに交換していたため、メンテナンスのコストが高くなるという問題がある。
【0006】
メンテナンスのコストを低減するため、減圧弁を分解して問題箇所を修理する方法が考えられるが、減圧弁を分解及び組み立てをする際に扱う部品点数が多く、手間がかかるという問題がある。また、減圧弁の分解時にダイヤフラムを取り外すと、減圧弁の気密性の確保のため、そのダイヤフラムを再利用することはできず、新規のものに交換しなければならないという問題がある。また、減圧弁の組み立て時に新規のダイヤフラムを用いたとしても、減圧弁の気密性の確認のため、減圧弁の製造元に性能試験を依頼しなければならず、時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、減圧弁からダイヤフラムを取り外すことなく、簡易な構造で、内部を容易にメンテナンスすることができる減圧弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一次側の管路から流体が流入する一次室と、この一次室に連通孔を介して連通するとともに二次側の管路に流体が流出する二次室と、外部に連通する大気室とを有するハウジングと、ハウジングの内部に設けられ、二次室と大気室とを区画形成するダイヤフラムと、ダイヤフラムに接続され、二次室の流体圧力と大気室の大気圧との圧力差により弾性変形するダイヤフラムの動作により連通孔を開閉する弁体が形成された弁軸と、大気室に設けられ、弁体に対して連通孔を開放する方向の付勢力をダイヤフラムに付勢するダイヤフラムばねと、を有する減圧弁において、一次室と連通孔を形成し、ハウジングに対して着脱可能な着脱部材を有することを特徴とする。
【0009】
また、ハウジングは、軸方向に沿って二次室から外部に連通する開口部を有し、この開口部に着脱部材を嵌り合うように設けられることができる。
【0010】
また、着脱部材は、弁体が連通孔に対して全開のときに弁軸に当接する当接部を有し、弁軸が当接部に当接した状態で、着脱部材が軸方向に移動することでダイヤフラムばねの伸縮量を調整することができる。
【0011】
また、着脱部材とハウジングとの接合部に配置され、ここを封止する封止部材を有することができる。
【0012】
また、ダイヤフラムばねの一端に当接してダイヤフラムばねの付勢力を受けるとともに、ダイヤフラムを保持するダイヤフラム保持部を有し、弁軸は、ダイヤフラム保持部に対して、軸方向に離隔可能に接続され、ハウジングから着脱部材を取り出すとき、弁軸がダイヤフラム保持部から離れて着脱部材とともにハウジングから取り出されることができる。
【0013】
また、着脱部材は、一次側の管路から一次室に流入する流体を濾過するフィルタを有することができる。
【0014】
また、着脱部材は、一次室を形成する一次室形成部と、一端が一次室形成部に連接し、他端が外部に露出して一次室形成部を軸方向に移動させる駆動部とを有することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の減圧弁によれば、ダイヤフラムを取り外すことなく、内部を容易にメンテナンスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の減圧弁の構成を示す断面図である。
【図2】ダイヤフラムばねの伸縮量を調整するときの減圧弁の構成を示す断面図である。
【図3】ハウジング本体から調整部材を取り外したときの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る減圧弁の実施形態について、図を用いて説明する。図1は、本実施形態の減圧弁10の構成を示す断面図である。
【0018】
減圧弁10は、ハウジング12を有する。ハウジング12には、一次側の管路14から流体が流入する一次室16と、この一次室16に連通孔18を介して連通するとともに二次側の管路20に流体が流出する二次室22と、外部に連通する大気室24とが形成される。
【0019】
また、ハウジング12には、ダイヤフラム26が設けられ、このダイヤフラム26が二次室22と大気室24とを区画形成する。ダイヤフラム26の二次室22側には、ダイヤフラム26の動作により連通孔18を開閉する弁体28を有する弁軸30が接続される。一方、ダイヤフラム26の大気室24側には、弁体28に対して連通孔18を開放する方向の付勢力をダイヤフラム26に付勢するダイヤフラムばね32が接続される。
【0020】
次に、本実施形態の減圧弁10の詳細な構造について説明する。ハウジング12は、ハウジング本体34と、ハウジング本体34に対して着脱可能な着脱部材36と、ハウジング本体34に対して着脱可能なカバー38とを有する。
【0021】
ハウジング本体34には、一次側の管路14に接続される一次側ポート40と、二次側の管路20に接続される二次側ポート42とが取り付けられている。
【0022】
ハウジング本体34の上面には、上部開口部44が形成されている。上部開口部44の周囲には、上部開口部44を縁取るようにハウジング本体34の端部の面がある。この面は、後述するようにカバー38と接合する面である。
【0023】
一方、ハウジング本体34の下面には、下部開口部46が形成されている。この下部開口部46は、弁軸30が延伸する方向(以降、軸方向と記す)に沿って、上部開口部44に連通するように形成されている。
【0024】
着脱部材36は、略円筒形状であり、下部開口部46に嵌り合うようにハウジング本体34に取り付けられる。具体的には、着脱部材36の外周面の一部に雄ねじが形成され、この雄ねじにねじ結合する雌ねじが下部開口部46に内周面の一部に形成され、着脱部材36を下部開口部46に締め付けることにより、着脱部材36をハウジング本体34に取り付けることができる。また、着脱部材36を回動させることにより、着脱部材36を軸方向に移動させることができる。ここで、着脱部材36と外周面と、下部開口部46の内周面とが接合する部分のことを、以降、接合部48と記す。
【0025】
着脱部材36は、一次室16を形成する一次室形成部50と、一端が一次室形成部50に連接し、他端が外部に露出して一次室形成部50を軸方向に移動させる駆動部52とを有する。
【0026】
一次室形成部50の内部には、空間が形成されており、この空間が一次室16となる。また、一次室形成部50には、一次室16と二次室22とを連通させる連通孔18と、連通孔18の一次室16側の開口を縁取るように弁座54とが形成されている。
【0027】
一次室16と二次室22には、連通孔18を貫通するように弁軸30が設けられている。弁軸30には、弁座54に対応する形状の弁体28が形成されている。弁軸30は、弁体28が弁座54に接触してこれを閉じる状態と、弁体28が弁座54から離れてこれを開く状態とに作動する。
【0028】
また、一次室形成部50は、弁ばね56と弁ばね台座58とを有する。弁ばね台座58は、連通孔18に対向する一次室形成部50の壁、言い換えれば駆動部52に接触する壁を貫通するように、例えばねじ結合により着脱可能に設けられる。弁ばね56は、一次室16内に設けられ、その一端が弁ばね台座58に当接し、他端が弁軸30に当接している。弁ばね56により弁軸30を介して弁体28には弁座54を閉じる方向、すなわち一次室16から連通孔18を介して二次室22に向かう方向(図1の矢印X1方向)に付勢する付勢力が加えられている。
【0029】
また、一次室形成部50には、一次室16と一次側ポート40とを連通する流路60が形成される。この流路60であって、一次室形成部50の外周面に位置する部分には、流体を濾過するフィルタ62が設けられる。フィルタ62が流体に含まれる異物と除去することにより、減圧弁10の不具合、例えば連通孔18と弁軸30との間に異物が詰まり弁が正常に動作しなくなってしまうことを未然に防ぐことができる。
【0030】
また、一次室形成部50の外周面であって、二次室22側の端部の外周面には、第一雄ねじ64が形成され、この雄ねじ64にねじ結合する第一雌ねじ66が下部開口部46に内周面に形成されている。この構成により、一次室形成部50は、これの回動により軸方向に移動可能に、そしてハウジング本体34に対して着脱可能に取り付けられる。なお、一次室形成部50とハウジング本体34がねじ結合するのであれば、雄ねじと雌ねじが、それぞれ、一次室形成部50の外周面と下部開口部46の内周面とのいずれに形成されてもよい。
【0031】
また、一次室形成部50の外周面であって、軸方向において第一雄ねじ64と流路60との間の外周面に、これの外側から環状の第一封止部材68が設けられる。第一封止部材68は、例えばOリングであり、一次室形成部50が下部開口部46に嵌り合うとき、接合部48に隙間なく嵌合し、ここを封止する。これにより、下部開口部46の内周面と一次室形成部50の外周面との隙間を通って、流体が、一次側ポート40から二次室22に浸入することを防止することができる。
【0032】
駆動部52は、一端が一次室形成部50に連接し、他端が外部に露出するように下部開口部46に設けられる。駆動部52と一次室形成部50は、同期して回動するように連接される。具体的には、駆動部52と一次室形成部50の当接面には、互いが係合する係合部(図示せず)、例えば突起部とこれが嵌る穴部とが互いの当接面にそれぞれ形成されている。駆動部52の他端には、矩形の駆動孔70が形成されている。この駆動孔70に係合する操作手段(図示せず)、例えばハンドルを装着し、これを回転操作することにより、駆動部52とこれに同期して一次室形成部50とを回動させ、これらを軸方向に移動させることができる。なお、本実施形態においては、駆動部52を回動させるときに操作手段を駆動部52に装着する場合について説明したが、この構成に限定されず、常時、操作手段が駆動部52に装着されていてもよい。
【0033】
また、駆動部52の外周面であって、外部側の端部の外周面には、第二雄ねじ72が形成され、この雄ねじ72にねじ結合する第二雌ねじ74が下部開口部46に内周面に形成されている。この構成により、駆動部52は、これの回動により軸方向に移動可能に、そしてハウジング本体34に対して着脱可能に取り付けられる。
【0034】
また、駆動部52の外周面であって、軸方向において第2雄ねじ72と一次室形成部50との間の外周面に、これの外側から環状の第二封止部材76が設けられる。第二封止部材76は、例えばOリングであり、駆動部52が下部開口部46に嵌り合うとき、接合部48に隙間なく嵌合し、ここを封止する。これにより、下部開口部46の内周面と駆動部52の外周面との隙間を通って、流体が一次側ポート40から外部に漏れ出すことを防止することができる。なお、第二封止部材76は駆動部52に設けられる場合について説明したが、この構成に限定されない。流体が一次側ポート40から結合部48を介して外部に漏れ出すことを防止するのであれば、第二封止部材76を一次室形成部50に設けてもよい。
【0035】
駆動部52の第二雄ねじ74であって、ハウジング本体34から突出する部分には、これにねじ結合するナット78が取り付けられる。ナット78の締め付けにより、駆動部52は、軸方向への移動が規制され、ハウジング本体34に固定される。
【0036】
カバー38は、ハウジング本体34の上部開口部44を覆う蓋である。カバー38は、上部開口部44に対応する部分が隆起した形状である。カバー38の外周部には、上部開口部44を縁取るようにハウジング本体34に形成された端部の面に対向し、この面に接合する面が形成されている。ハウジング本体34とカバー38とを接合させ、これらを締結ボルト80で締め付けることにより、カバー38がハウジング本体34に固定されて上部開口部44を覆う。ここで、ハウジング本体34とカバー38が接合する部分のことを、以降、接合部82と記す。
【0037】
ダイヤフラム26は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材料または金属を基材として膜状に形成される。ダイヤフラム26は、上部開口部44を覆い、ハウジング本体34とカバー38とにより挟み付けられて装着される。上述したように上部開口部44に対応する、カバー38の部分が隆起しているので、上部開口部44を覆う部分は、ダイヤフラム26と、これに対し所定の間隔をあけて配置されたカバー38とにより構成される。この構成により、カバー38とダイヤフラム26との間の間隔に空間が形成される。この空間が大気室24であり、この大気室24は、カバー38に形成された貫通孔84により外部と連通し、常に大気圧の状態となる。このように、ダイヤフラム26は、上部開口部44を覆うことにより、ハウジング本体34側の二次室22とカバー38側の大気室24を区画形成する。
【0038】
ダイヤフラム26は、これの外周部にシール部86を有し、シール部86が接合部82に挿入される。シール部86は、締結ボルト80の締め付けにより、ハウジング本体34とカバー38に隙間なく密着するので、ハウジング12の気密性が向上する。
【0039】
ダイヤフラム26の中央域には、これを保持するダイヤフラム保持部88が設けられている。ダイヤフラム保持部88は、大気室24側に位置する第一保持部90と、二次室22側に位置する第二保持部92とを有し、これらの保持部90,92がダイヤフラム26を挟持する。本実施形態のダイヤフラム26は、これの中央域に孔が形成され、この孔の縁にシール部94を有する。シール部94は、第一及び第二保持部90,92の間に挿入され、ボルト(図示せず)で第一及び第二保持部90,92を締め付けることにより、第一及び第二保持部90,92に隙間なく密着する。なお、ダイヤフラム26の中央域の形成される孔の大きさは、第一及び第二保持部90,92を締結するボルトの軸部の径より大きく、かつ第一及び第二保持部90,92より小さければ、任意の大きさにすることができる。
【0040】
第二保持部92には、弁軸30が軸方向に離隔可能に接続されている。具体的には、第二保持部92は、これの表面に軸方向に伸びる突起部(図示せず)を有し、弁軸30は、この突起部に対応する穴部を有し、突起部に穴部がスライド可能に嵌ることにより、第二保持部92と弁軸30が軸方向に離隔可能に接続される。
【0041】
大気室24には、上述したようにダイヤフラムばね32が設けられている。ダイヤフラムばね32の一端は、ダイヤフラム26に対向するカバー38の壁面に当接し、他端は、第一保持部90に当接している。ダイヤフラムばね32からダイヤフラム26とダイヤフラム保持部88を介して弁軸30には、弁体28が弁座54を開ける方向、すなわち二次室22から連通孔18を介して一次室20に向かう方向(図1の矢印X2方向)に付勢する付勢力が加えられている。つまり、ダイヤフラムばね32は、弁ばね56に対して逆向きの付勢力を発揮する。なお、ダイヤフラムばね32のばね荷重は、弁ばね56のばね荷重より大きく設定されている。このため、減圧弁10に流体が導入されない状態においては、弁軸30がX2方向に移動して弁体28が弁座54から離れ、連通孔18は開放状態になる。
【0042】
減圧弁10が流体圧力を減圧する動作について説明する。一次側の管路14から一次側ポート40を介して一次室20に流入した流体は、連通孔18を通過することにより減圧され二次室22に流れ込む。これにより、二次室22の流体の圧力と大気室24の圧力との圧力差に基づいてダイヤフラム26がX1方向に向かう力F1を受ける。このとき、ダイヤフラム26は、弁ばね56から弁軸30を介してX1方向に向かう力F2と、ダイヤフラムばね32からX2方向に向かう力F3とを受ける。これらの力によりダイヤフラム26がX1またはX2方向に弾性変形し、X1方向に向かう力F1とF2の合計と、X2方向に向かう力F3とが均衡した時点において、弁体28が保持される。この均衡により、連通孔18の開度が決定される。一方、X1方向に向かう力とX2に向かう力がそれぞれ変化すると、ダイヤフラム26が弾性変形し、弁体28の均衡する位置が変化するため、連通孔18の開度が変化する。例えば、二次室22の流体の圧力が大きくなるにつれてX1方向に向かう力F1が大きくなるので、ダイヤフラム26はX1方向に動作し、弁体28は連通孔18を閉じる方向(X1方向)に移動する。一方、二次室22の流体の圧力が小さくなるにつれてX1方向に向かう力F1が小さくなるので、ダイヤフラム26はX2方向に動作し、弁体28は連通孔18を開ける方向(X2方向)に移動する。このようなダイヤフラム26の動作により、減圧弁10は流体圧力を減圧するとともに、二次側の流体圧力を一定に保つことができる。
【0043】
次に、ダイヤフラムばね32の伸縮量を調整する動作について、図2を用いて説明する。なお、図1と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態の一次室形成部50は、弁体28が連通孔18に対して全開のときに弁軸30に当接する当接部96を有する。当接部96は、連通孔18の二次室22側の開口を縁取るように形成される。また、連通孔18とダイヤフラム保持部88との間にある弁軸30の少なくとも一部は、連通孔18の径より大きく形成されている。
【0045】
上述したように、減圧弁10に流体が導入されない状態においては、弁軸30がX2方向に移動して弁体28が弁座54から離れ、連通孔18は開放状態になる。このとき、弁軸30は当接部96に当接し、X2方向への移動が規制される。
【0046】
この状態において、ナット78を駆動部52から取り外して、駆動部52の固定を解除する。そして、駆動部52に形成される駆動孔70に係合する操作手段を装着し、これを操作することにより、駆動部52とこれに同期して一次室形成部50とを回動させる。この回動により、駆動部52と一次室形成部50を軸方向(X1またはX2方向)に移動させることができる。このとき、一次室形成部50は、当接部94により弁軸30に当接しているため、弁軸30とダイヤフラム保持部88を介してダイヤフラムばね32に接続している。よって、操作手段の操作により、着脱部材36と弁軸30とダイヤフラム保持部88を軸方向に移動させることができ、この移動により、ダイヤフラムばね32の伸縮量を調整することができ、この伸縮量に応じてダイヤフラム26に加えられる付勢力を調整することができる。
【0047】
次に、ハウジング本体34から着脱部材36を取り外したときの状態を、図3を用いて説明する。なお、図1及び2と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
ハウジング本体34から着脱部材36を取り外す場合、まず、ナット78を駆動部52から取り外して、駆動部52の固定を解除する。そして、駆動部52に形成される駆動孔70に係合する操作手段を装着し、これを操作することにより、駆動部52とこれに同期して一次室形成部50とを回動させ、X2方向に移動させる。この動作により、一次室形成部50と駆動部52、すなわち着脱部材36をハウジング本体34から取り外すことができる。ここで、上述したように、弁軸30は、ダイヤフラム保持部88に対して、軸方向に離隔可能に接続されている。よって、着脱部材36の取り外し動作のとき、弁軸30は、一次室形成部50とともにハウジング本体34から取り外される。なお、ハウジング本体34に着脱部材36を取り付けるときは、この作業の手順を逆に行なえばよい。
【0049】
このような構成により、従来の減圧弁に比べ、減圧弁10を分解及び組み立てをする際に扱う部品点数が少なくなり、作業工数を減らすことができる。また、減圧弁10の分解時にダイヤフラム26を取り外すことはないので、二次室22と大気室24との間の気密性を維持することができる。また、着脱部材36をハウジング本体34に取り付けるとき、第一及び第二封止部材68,78を新規なものに交換することにより、一次室16と二次室22との間、および一次室16と外部との間の気密性を確保することができる。第一及び第二封止部材68,78においては、取扱いが容易で安価なOリングを使用することにより、手間とコストを削減することができる。また、フィルタ62を容易に交換することができる。さらに、一次室形成部50から弁ばね台座58を取り外すことにより、一次室16内と、そこに設けられた弁ばね56を容易に点検することができる。
【0050】
本実施形態においては、着脱部材36が一次室形成部50と駆動部52から構成される場合について説明したが、この構成に限定されない。一次室形成部50と駆動部52が円筒状に一体に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 減圧弁、12 ハウジング、16 一次室、18 連通孔、22 二次室、24 大気室、26 ダイヤフラム、28 弁体、30 弁軸、32 ダイヤフラムばね、34 ハウジング本体、36 着脱部材、38 カバー、44 上部開口部、46 下部開口部、48 接合部、50 一次室形成部、52 駆動部、54 弁座、56 弁ばね、58 弁ばね台座、62 フィルタ、68 第一封止部材、70 駆動孔、76 第二封止部材、78 ナット、88 ダイヤフラム保持部、94 当接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側の管路から流体が流入する一次室と、この一次室に連通孔を介して連通するとともに二次側の管路に流体が流出する二次室と、外部に連通する大気室とを有するハウジングと、
ハウジングの内部に設けられ、二次室と大気室とを区画形成するダイヤフラムと、
ダイヤフラムに接続され、二次室の流体圧力と大気室の大気圧との圧力差により弾性変形するダイヤフラムの動作により連通孔を開閉する弁体が形成された弁軸と、
大気室に設けられ、弁体に対して連通孔を開放する方向の付勢力をダイヤフラムに付勢するダイヤフラムばねと、
を有する減圧弁において、
一次室と連通孔を形成し、ハウジングに対して着脱可能な着脱部材を有する、
ことを特徴とする減圧弁。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧弁において、
ハウジングは、軸方向に沿って二次室から外部に連通する開口部を有し、
この開口部に着脱部材が嵌り合うように設けられる、
ことを特徴とする減圧弁。
【請求項3】
請求項2に記載の減圧弁において、
着脱部材は、弁体が連通孔に対して全開のときに弁軸に当接する当接部を有し、
弁軸が当接部に当接した状態で、着脱部材が軸方向に移動することでダイヤフラムばねの伸縮量を調整する、
ことを特徴とする減圧弁。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の減圧弁において、
着脱部材とハウジングとの接合部に配置され、ここを封止する封止部材を有する、
ことを特徴とする減圧弁。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の減圧弁において、
ダイヤフラムばねの一端に当接してダイヤフラムばねの付勢力を受けるとともに、ダイヤフラムを保持するダイヤフラム保持部を有し、
弁軸は、ダイヤフラム保持部に対して、軸方向に離隔可能に接続され、
ハウジングから着脱部材を取り出すとき、弁軸がダイヤフラム保持部から離れて着脱部材とともにハウジングから取り出される、
ことを特徴とする減圧弁。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の減圧弁において、
着脱部材は、一次側の管路から一次室に流入する流体を濾過するフィルタを有する、
ことを特徴とする減圧弁。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つの記載の減圧弁において、
着脱部材は、一次室を形成する一次室形成部と、一端が一次室形成部に連接し、他端が外部に露出して一次室形成部を軸方向に移動させる駆動部とを有する、
ことを特徴とする減圧弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−250438(P2010−250438A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97157(P2009−97157)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】