説明

減少した黄変性を有する発光ダイオード硬化性アクリレート

歯科用組成物、及び発光ダイオード(LED)硬化ユニットを用いて組成物を硬化させる方法。一態様によれば、多官能アクリレート化合物;カンファーキノン及び少なくとも1種類のアミンを含む開始剤;及び無色の抗黄変剤;を含む組成物は、LED硬化ユニットを用いて硬化させると、酸素阻止層を有しない傷の付かない表面を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用組成物に関し、より詳しくは重合性の歯科用組成物に関し、より詳しくは、発光ダイオード(LED)及び他の光源を用いることによって重合させることができ、酸素阻止層を形成せずに、且つ望ましくない黄変を減少させるか又は起こさないで硬化する、多官能アクリレート化合物を含む重合性の歯科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科用のシーラント及び接着剤は臨床現場において幅広く用いられている。望ましい特性としては、安全性、効力、耐久性、及び好ましい美容的特性が挙げられる。歯科用組成物は、貯蔵安定性で、配合しやすく、患者に適用するのが困難になるほどには速く硬化しないことが好ましい。
【0003】
歯科用組成物は、しばしば、歯科医又は技師によって(例えば、光、自己硬化、又は二重硬化によって)重合させるモノマーを含む。しかしながら、多くの歯科用組成物は、その表面上に問題の多い「酸素阻止層」(OIL)又は「未硬化層」を形成する。この層の重合は、雰囲気空気中の分子状酸素の存在によって抑止される。その結果、不完全な重合が起こり、表面がねばねばして粘着性になり、表面の硬度の低下をもたらし、及び/又は薄い表面が存在する場合には硬化しない。
【0004】
問題の多い未硬化層を形成しないで完全に硬化する歯科用組成物を提供するために幾つかの試みが行われている。かかる組成物としては、AFR Imaging Corp.(Portland, Oregon)によって販売されている可視光硬化歯科用樹脂である「Extoral」として知られている組成物が挙げられる。Extoralは、通常の歯科用硬化光を照射すると、速やかに硬化して、光沢のある硬質(しかしながら脆性)の表面を生成する。Extoralの組成は専有されていて公に知られていないが、その臭気はメチルメタクリレートの存在と矛盾している。強い臭気は患者及び歯科医/技師の両方に不快感を与え、技工室において用いるのを困難にし、臨床現場において用いるのを殆ど不可能にする。
【0005】
これに対応して、米国特許出願10/224,795(参照として本明細書中に包含する)は、酸素阻止層を有さず、揮発性組成物に関係する強い臭気を有しない歯科用組成物に関する。したがって、米国特許出願10/224,795においては、完全に硬化し、従前の組成物において見られる悪臭を生成せずに硬化する歯科用組成物が開示されている。かかる組成物は、ハロゲン又は他の光源の硬化ユニットによって良好に機能するが、歯科用のLED光硬化ユニットに曝露すると、酸素阻止層を形成せずに速やかに硬化しない。LED光ユニットは、その長い稼働時間、有効な発光スペクトルにおける差、及びユニットの携帯性のために最近ではよりポピュラーになってきた。上記記載の特許出願では、歯科用組成物を、酸素阻止層を形成しない硬質硬化性で高光沢の組成物を生成させるための光開始剤としてカンファーキノン(CQ)或いはCQとアミンのコンプレックス又は系と一緒に用いることが開示されているが、これらの光開始剤は幾つかの用途においてはそれらを歯科用組成物において使用することが排除される欠点を有する。より詳しくは、非酸素阻止硬化を与えるためにLED硬化光源と一緒に本発明において用いる比較的高い濃度のCQ及びアミンを用いると、樹脂開始剤系を硬化照射にかけた後に硬化樹脂において顕著な黄色がかった色調が生成したことが観察された。これは、CQ及びCQ−アミン系を、低い濃度で単独で、或いは硬化照射プロセス中にそれらの初めの色を消失する着色染料又は他の光漂白性着色剤組成物と組み合わせて用いる従来技術の教示と対照的である。例えば、米国特許6,528,555の表1及び4欄51〜60行、5欄3〜9行、及び8欄46〜50行を参照。
【0006】
歯科用のLED光硬化ユニット下で酸素阻止層を形成せずに速やかに硬化するCQ又はCQとアミンの系の歯科用組成物を生成させるためには、CQ又はCQとアミンの系のレベルを非常に高くしなければならず、それによってかかる歯科用組成物を用いて行われる修復物に黄色に近い蛍光色調が与えられる。このため、増加したレベルのCQ又はCQとアミンの系によって歯科用組成物をLED光硬化ユニット下で且つより幅広い波長範囲にわたって速やかに硬化させることが可能であるが、それらの美容的欠点のために増加したレベルのCQ及びCQとアミンの系は歯科用組成物において用いられていない。確実に、極度に黄色の歯科修復物は殆どの用途において美容的に許容できないので、CQ及びCQとアミンの系を高い量で用いるとそれらを含む組成物の用途が大きく制限される。したがって、酸素阻止層を形成せず且つ独特の黄色の色調を生成せずに硬化するLED硬化性歯科用組成物は、当該技術において高く評価されるであろう。
【0007】
光漂白性染料は、CQ及びCQとアミンの系と一緒に歯科用組成物において用いられているが、これらの系は実際には、光を当てると消失する着色染料を組成物に加える。例えば、米国特許6,528,555の4欄50行〜5欄10行を参照。更に、この染料は光漂白性であるが、CQ又はCQとアミンの系によって与えられた色は残留する。要するに、歯科用組成物に鮮やかな初期の色を与えて歯科表面への組成物の適用を視覚化するのを助ける光漂白性着色剤又は染料と組み合わせてCQを用いるコンプレックス開始剤/染料の系(ここで、この染料は組成物の照射中にこの鮮やかな色の一部又は全てを消失させる)を用いることが公知である。この参考文献においては、CQ又はCQとアミンの開始剤系を単独で用いることは教示されておらず、高濃度のCQ又はCQとアミンの系を用いることによって硬化プロセス全体の酸素阻止を減少させることは開示されていない。それ自体では、光漂白性染料を用いることで高濃度のCQ又はCQとアミンの系を用いた際に固有のそれらの照射中の黄変を減少させることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、同時にCQ及びアミンの光開始剤系を用いることによって与えられる激しい黄色の色調を減少又は排除しながら、歯科修復物を、酸素阻止層を有しない硬質で傷の付かない表面に硬化させることを可能にする歯科用組成物及び方法を開発することは大きな有用性を有するであろう。更に、変色を減少させるか又は全く起こさないで、及び/又は、種々の異なる波長にわたる可視光によって硬化し、標準的な歯科用LED光硬化ユニットを用いて酸素阻止層を形成しないで有効に且つ速やかに硬化させることのできる組成物を提供することは、高く評価されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本発明は、重合性歯科用組成物に関する。本発明の一態様によれば、酸素阻止層を形成せずに、顕著な望ましくない黄色の色調を減少させるか又は全く起こさないで硬化する歯科用組成物は、多官能アクリレート化合物、カンファーキノン及びアミンの混合物、コンプレックス、又は系などの開始剤系、及び硬化照射線に曝露した際に開始剤の変色を目に見えて減少させる無色の抗黄変剤を含む。他の態様においては、無色の抗黄変剤はヨードニウムイオンであってよい。更に、他の態様では、無色の抗黄変剤として、場合によっては4−(2−ヒドロキシ−1−テトラデシクロオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;又は4,4’−ジメンチル−ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;を用いる。更に場合によっては、組成物はエタノールのようなアルコールを含んでいてもよい。最後に、硬化照射線は、場合によっては、おそらくは可視スペクトル内の光を発するLED光源からのものであってよい。
【0010】
本発明の他の態様は、分子あたり少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの官能基を有していてよい多官能アクリレート化合物、カンファーキノン及びアミンのような開始剤、及び硬化照射線に曝露した際に開始剤の変色を目に見えて減少させる無色の抗黄変剤を含む。場合によっては、多官能アクリレート化合物はアクリル酸エリトリトールであってよい。例えば、アクリル酸エリトリトールは、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、又はカプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートであってよい。更に、組成物は、場合によっては、硬化して酸素阻止層を有しない表面を形成するように配合することができる。更に場合によっては、組成物は、LED光源に曝露すると硬化して酸素阻止層を形成しないように配合することができる。更に、組成物は、場合によっては、500mW/cmの強度のLED光源に特定の時間曝露して硬化させることができる。例えば、特定の時間は50又は30秒間未満であってよい。
【0011】
更に、上記に記載の組成物は、場合によっては界面活性剤又は香味料を含んでいてよく、或いは100cpより低い粘度を有するように配合することができる。
【0012】
本発明の他の態様は、多官能アクリレート化合物、カンファーキノン又はカンファーキノンアミンのような開始剤、及び硬化照射線に曝露した際に開始剤系の変色を目に見えて減少させる無色の抗黄変剤を含み、更にLED光源に曝露すると酸素阻止層を有しない表面を有して硬化する。場合によっては、組成物は、LED光源に50秒未満、30秒未満、又は10秒の硬化時間曝露すると傷の付かない表面に硬化させることができる。更に場合によっては、組成物は、LED光源に曝露した際に変色を50%減少させる。
【0013】
説明:
本発明は、重合性歯科用組成物、より詳しくは、LED及び他の光源を用いることによって重合させることができ、減少した黄変で硬化する多官能アクリレート化合物を含む重合性歯科用組成物に関する。これらの組成物及び方法の態様及び例を、以下に順番に議論する。
【0014】
組成物:
一態様は、多官能アクリレート化合物、開始剤、及び無色の抗黄変剤を含む歯科用組成物に関する。多官能アクリレート化合物は、分子あたり少なくとも3つのアクリレート官能基を含む化合物である。組成物は、好ましくは、その悪臭のためにメチルメタクリレートを含まない。組成物は、硬化させると、好ましくは酸素阻止層を形成せず、好ましくは無色の抗黄変剤を用いない歯科用化合物と比較して減少した黄変で硬化する。
【0015】
A.開始剤:
上記で議論したように、歯科用組成物は開始剤を含む。開始剤としては、酸化ホスフィン開始剤及びカンファーキノン(CQ)系が挙げられ、これらは共開始剤又は官能基としてアミンを含んでいてよい。かかる開始剤の例としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン(PPD)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO)、TPO−L、Irgacure 819、Darocure 4265、カンファーキノン(CQ)、CQとアミンの系、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。アミン共開始剤を必要とするか又はしないで光開裂することのできる他の開始剤は、本態様による有用性を有する。開始剤は、一般に、組成物中に任意の濃度で存在させることができ、通常は歯科用組成物の重合を開始するように機能する。開始剤の例は、米国出願10/224,795及び11/200,924(いずれもその全てを参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。
【0016】
CQ及びCQとアミンの系のようなある種の開始剤は、組成物に実質的な黄変を与える副作用を有して硬化することが、当該技術において知られている。しかしながら、CQ及びCQとアミンの系は、また、可視光によって重合を開始させることができ、比較的大きな硬化深さを与えることも知られている。更に、CQ及びCQとアミンの系は、比較的高濃度で用いると、酸素阻止層を形成せずに速やかに重合して傷の付かない表面を与える。而して、CQ及びCQとアミンの系のような開始剤は酸素阻止層を形成しないで歯科用組成物を硬化させるのに用いることができるが、歯科修復分野におけるそれらの適用は、硬化した後においても修復物に与えられる大きな変色のために、過去においては相手にされていなかった。それにもかかわらず、本発明の特定の好ましい態様によれば、CQ及びCQとアミンの系は、無色の抗黄変剤と組み合わせると美容的な欠点を与えないで用いることができる。
【0017】
特定の代表的な態様によれば、開始剤の濃度範囲としては、組成物の約1重量%以下、組成物の少なくとも約1重量%、組成物の少なくとも約2重量%、組成物の少なくとも約3重量%、組成物の少なくとも約4重量%、組成物の少なくとも約5重量%、組成物の少なくとも約6重量%、組成物の少なくとも約7重量%、乃至組成物中における開始剤の飽和レベル、或いはこの間の任意の割合(パーセンテージ)が挙げられる。また、蒸発させることによって組成物中における望ましいより高い有効な開始剤濃度を与えるアセトン又はエタノールのような揮発性の歯科用溶媒の存在下においてより低い濃度を与えることができることも考えられる。共開始剤、官能基、又は添加剤として共役又は芳香族アミンを用いるCQとアミンの開始剤系を用いると、共開始剤、官能基、又は添加剤として共役又は芳香族アミンを用いないCQとアミンの開始剤系よりも、酸素阻止層を形成せずに硬化する迅速硬化性の歯科用組成物を製造するのにより有効であることが示されたことが認められる。
【0018】
CQとアミンの開始剤を用いる特定の代表的な態様においては、約1重量%〜約4重量%のモノマーを用いて完全に硬化したポリマーを得ることによって酸素阻止層を形成しない重合を得ることができることが認められるであろう。飽和レベル以下のより高い濃度の開始剤によって完全に硬化したポリマーを製造することができるが、組成物の約1重量%〜約7重量%の濃度によって完全に硬化したポリマーが得られることが示された。更に、本発明の他の態様は、1種類より多い開始剤を用いることを含む。例えば、完全に硬化したポリマーを製造するために、約4重量%のCQ及び約3重量%のアミンを有効に用いることができる。以下の更なる例は、用いる種々の割合の例を示す。
【0019】
本発明によれば、歯科用組成物と一緒にCQとアミンの開始剤系組成物を用いることにより、UV照射又は可視スペクトルの外側の光を用いる必要なしに重合を開始させることが可能になることが認められるであろう。更に、CQ及びCQとアミンの開始剤系は低いモル吸光率を示し、これにより低い強度レベルにおいても可視光を修復組成物内に深く浸透させることが可能になる。更に、現在のLED光硬化システムによって発せられる光の波長はCQ及びCQとアミンの光開始剤系の吸収波長によく対応しているために、CQ又はCQとアミンの光開始剤系を用いることは、今日の歯科において用いられているLED光による開始に特によく適している。
【0020】
B.無色の抗黄変剤:
上記で議論したように、特定の態様による歯科用組成物は、CQ又はCQとアミンの光開始剤系の黄変を減少させるために用いる無色の抗黄変剤を含む。これらの無色の抗黄変剤は、しばしば、硬化光源に曝露した際にカチオン性を示し、硬化プロセス中に生成する組成物の黄色の副生成物を酸化することによって硬化した歯科用組成物の黄色の着色を減少させると考えられている。無色の抗黄変剤としては、ヨードニウム開始剤として知られている種類の化合物が挙げられる。ヨードニウム開始剤は、式:R(式中、Xは任意のハロゲンのカチオン(X=Br、Cl、F、又はI)であり、Rは任意の官能基であってよい)のものを含み、ヨードニウムイオンは開鎖又は環式の構造であってよい。幾つかの代表的なヨードニウム開始剤としては、SarCat CD-1012(ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート塩:[4−(2−ヒドロキシ−1−テトラデシクロオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート);UV 9392C:(4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;及びOmnical C440:(4,4’−ジメンチル−ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート);が挙げられる。
【0021】
特定の代表的な態様によれば、無色の抗黄変剤の濃度範囲としては、組成物の約1重量%以下、組成物の少なくとも約1重量%、組成物の少なくとも約2重量%、組成物の少なくとも約3重量%、組成物の少なくとも約4重量%、組成物の少なくとも約5重量%、組成物の少なくとも約6重量%、組成物の少なくとも約7重量%、乃至組成物中における開始剤の飽和レベル、或いはこの間の任意の割合が挙げられる。また、蒸発させることによって組成物中における望ましいより高い有効な開始剤濃度を与えるアセトンのような揮発性の歯科用溶媒の存在下においてより低い濃度を与えることができることも考えられる。
【0022】
実験によって、無色の抗黄変剤を含ませると硬化プロセス中に生成する開始剤の副生成物の光分解によって引き起こされる変色が目に見えて減少し、これにより、LED光を用いることによって歯科用組成物を硬化させることができることが示された。具体的には、無色の抗黄変剤を含む組成物を白色の混合紙上で混合し、約500mW/cm〜約1000mW/cmの強度レベルでLED光源を5〜10秒間照射し、観察して目に見える色の減退が起こったかどうかを求めた。例えば、特定の代表的な態様によれば、無色の抗黄変剤の濃度範囲としては、組成物の約0.5重量%以下、組成物の少なくとも約1重量%、組成物の少なくとも約2重量%、乃至組成物中における無色の抗黄変剤の飽和レベル、或いはこの間の任意の割合が挙げられる。試験によって、約0.5重量%〜約2.0重量%の無色の抗黄変剤を存在させると、無色の抗黄変剤を用いない開始剤硬化ポリマーと比較して硬化モノマーの大きな白化が得られることが示された。
【0023】
これにより、開始剤を含む組成物を、かかる組成物に通常関係する美容的な問題点を起こすことなく用いることができる。したがって、本発明の一態様によれば、揮発性溶媒を含まない美的に満足できる組成物を、酸素阻止層を形成せずに硬化させることができる。更に、本発明の他の態様によれば、開始剤及び無色の抗黄変剤を組成物と共に用いることにより、可視光源を用いて組成物を硬化させることによって美的に満足できるポリマーを得ることができる。例えば、LED光硬化ユニットを用いてかかる組成物を硬化させ、機能的で美的に満足できる修復物を達成するために電池駆動光硬化ユニットを用いることができる。
【0024】
具体的には、以下の実施例において更に議論するように、無色の抗黄変剤を用いることによって、開始剤が美容的に使用できない黄変を示さない程度まで硬化組成物を変色することなく、増加したレベルのCQ及び共役又は芳香族アミンの光開始剤系を用いることができる。幾つかの場合においては、1%未満の光開始剤を組成物に含ませることにより、黄変が半分に減少する。したがって、無色の抗黄変剤を用いることにより、減少した曝露時間でLED光硬化ユニットを用いる場合においても酸素阻止層を形成せずに硬化する美容的に有用な歯科用化合物を製造することができる。
【0025】
C.多官能アクリレート化合物:
多官能アクリレート化合物は、一般に、任意の多官能アクリレート化合物であってよい。更に、多官能アクリレート化合物は、分子あたり少なくとも3つのアクリレート官能基を互いに比較的密な空間的近接さで有していてよい。かかる多官能アクリレート化合物の例としては、6官能性芳香族ウレタンアクリレートオリゴマー、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。互いに比較的密な空間的近接さで、分子あたり3つのアクリレート官能基を有する他の多官能アクリレート化合物、分子あたり4つのアクリレート官能基を有する化合物、分子あたり5つのアクリレート官能基を有する化合物、分子あたり6つのアクリレート官能基を有する化合物、分子あたり7つのアクリレート官能基を有する化合物、分子あたり8つのアクリレート官能基を有する化合物、分子あたり9つのアクリレート官能基を有する化合物、及び分子あたり10個のアクリレート官能基を有する化合物も、本発明による有用性を有していると考えられる。より大きな数のオリゴアクリレート又はポリアクリレートを組成物に加えることができる。
【0026】
多官能アクリレート化合物は、単一の多官能アクリレート化合物、或いは1種類より多い多官能アクリレート化合物の混合物を含んでいてよい。多官能アクリレート化合物は、一般に、組成物の任意の濃度で存在させることができる。濃度範囲の例としては、組成物の少なくとも約20重量%、及び組成物の少なくとも約30重量%が挙げられる。具体的な濃度の例としては、組成物の約20重量%、約30重量%、約40重量%、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、並びにこれらの間の全ての割合が挙げられる。
【0027】
具体的な多官能アクリレートの例は、米国出願10/224,795及び11/200,924(いずれもその全てを参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。
【0028】
D.他の態様:
更なる態様としては、コモノマーを更に含む歯科用組成物が挙げられる。1つの代表的な態様によれば、コモノマーを多官能アクリレート化合物と共に重合する。コモノマーは、一般に、任意のタイプのコモノマーであってよく、好ましくは組成物中に存在する1種類又は複数の選択された多官能アクリレート化合物と同等か又はそれよりも高い表面張力を有する非揮発性アクリレート化合物である。コモノマーの例としては、モノアクリレート化合物、ジアクリレート化合物、トリアクリレート化合物、又はテトラアクリレート化合物が挙げられる。モノアクリレートの例はカプロラクトンアクリレートである。ジアクリレート化合物の例は、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エポキシジアクリレート、ウレタンジメタクリレート、及びウレタンジアクリレートである。トリアクリレート化合物の例はトリメチロールプロパントリアクリレートである。テトラアクリレートの例はジトリメチロールプロパンテトラアクリレートである。他の態様によれば、それらの比較的高い表面張力のために、かかるアクリレートのエトキシル化形態が好ましい可能性がある。
【0029】
他の態様によれば、歯科用組成物は、揮発性の非反応性溶媒を更に含んでいてもよい。かかる溶媒の例としては、アセトン、エタノール、並びに、アセトンと水、エタノールと水、及び/又はアセトン、エタノール、水の混合物、或いはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0030】
歯科用組成物は、更に、充填剤、ナノフィラー、ガラス粒子、又は他の歯科用材料を含んでいてよい。かかる充填剤の例としては、Ox-50、シラン処理Ox-50、及びフッ化物放出剤でもあるFerroからのガラスイオノマー粉末IXG 1944RGWが挙げられる。これらの態様は全て本開示の範囲内である。
【0031】
方法:
更なる態様は、上記記載の歯科用組成物を用いる方法に関する。表面を封止する方法は、表面を得;多官能アクリレート化合物、開始剤、及び無色の抗黄変剤を含む組成物を表面に施し;組成物を硬化させて封止された表面又は修復物を得る;ことを含むことができる。封止された表面又は修復物は、好ましくは酸素阻止層を含まない。
【0032】
表面は、一般に、封止すべき任意の表面であってよく、現時点では、歯科表面、歯、歯科インプラント、義歯、骨、指の爪、又は足指の爪であることが好ましい。更に、表面は、歯科用組成物のような予め適用された歯科用組成物のものであってよい。
【0033】
硬化は、一般に、組成物を速やかに硬化させるのに十分な任意の手段によって行うことができる。硬化工程は、現時点においては、光硬化を含むことが好ましい。光硬化は、当該技術において通常用いられているLED光硬化ユニットを用いて、可視光によって行うことができる。光の強度は、好ましくは、歯科技工室又は歯科医院において用いるのに好適なものである。光強度範囲の例としては、約50mW/cm以上、約100mW/cm以上、約200mW/cm以上、約300mW/cm以上、約400mW/cm以上、約500mW/cm以上、約600mW/cm以上、約800mW/cm以上、及び約2000mW/cm以上、あるいはこれらのレベルの間の任意の強度範囲が挙げられ、より高い光強度を用いることもできると理解される。
【0034】
光強度の具体的な例としては、約50mW/cm、約100mW/cm、約150mW/cm、約200mW/cm、約250mW/cm、約300mW/cm、約350mW/cm、約400mW/cm、約450mW/cm、約500mW/cm、約600mW/cm、約800mW/cm、及び約2000mW/cmが挙げられる。また、より高い光強度を用いることもできる。一態様においては、可視光を用いる。可視光は、任意の波長、例えば青色範囲(400〜500nm)のものであってよく、或いは種々の波長の混合光、例えば白色光であってよい。用いる光の強度は、用いる光の波長に基づいて選択することができる。例えば、歯科医によって、青色波長の光源を用いるBiscoのVIP(登録商標)歯科用光硬化システムを用いることができる。また、歯科器具用に、Jeneric-Pentron Cure-Lite Plusライトボックスシステム又はDentsply, Inc.からのTriadライトボックスシステムのような歯科技工室用光硬化システムを用いることができる。また、水雰囲気モードを用いないでその光源のみのモードを用いるBiscoのATL(登録商標)システムを用いることもできる。更に、Dentsply(York, Pennsylvania)からのSMARTLITE(登録商標) iQ (登録商標)LEDシステムのような任意のLED硬化システムを硬化のために用いることができる。
【0035】
光硬化の時間は、一般に、任意の時間であってよい。現時点で好ましい時間範囲としては、約2分以下、約1分以下、約30秒未満、約20秒未満、約15秒未満、約10秒未満、及び約5秒未満が挙げられる。光硬化時間の具体的な例としては、約1分、約30秒、約20秒、約15秒、約10秒、約5秒、約3秒、約2秒、及び約1秒が挙げられる。手順及び歯科従事者の便宜のために治療時間を短縮するためには、より短い光硬化時間が一般に好ましい。しかしながら、より長い光硬化時間によって更なる漂白が得られ、これを用いて従事者によって定められる理想的な陰影を得ることができる。
【0036】
一態様によれば、種々の波長の光ユニットを用いて、LED又はハロゲン光源のような種々の光源を用いることを可能にすることができる。
【0037】
本発明の好ましい態様を示すために以下の実施例を与える。以下の実施例において開示されている技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者らによって見出された技術を示すものであり、その実施のための好ましい形態を構成すると考えることができることが、当業者によって認識される。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示されている特定の態様において多くの変更を行うことができ、この変更はなお同等又は類似の結果を与えることを認識するであろう。
【0038】
本発明を、その特定の好ましい形態に関してかなり詳細に説明するが、他の形態も可能である。したがって、特許請求の範囲の精神及び範囲は、ここに含まれる好ましい形態の説明に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下は、上記で議論した幾つかの態様の実施例である。これらの実施例は明確化のためのみに与えるものであり、任意の態様を記載されている工程、構造、又は材料に限定するものではない。
【実施例】
【0040】
便宜のために、本明細書全体にわたって用いる化合物及び略号を表1に列記する。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例1:「酸素阻止層を形成しない(NOIL)」組成物の調製:
NOIL組成物は、少なくとも2つの成分:多官能アクリレート化合物及び開始剤(例えばホスフィンオキシド)を含む。また、希釈剤(例えば、エトキシル化ジ-又はトリ-アクリレート)を加えて、多官能アクリレートの取扱い性及び/又は開始剤の溶解性を向上させることもできる。溶媒、重合性コモノマー、開始剤、界面活性剤、ガラス充填剤、蛍光又はリン光化合物、染料、着色剤、フッ化物、並びに歯科及び歯科矯正分野において用いられる他の材料のような更なる材料を組成物に含ませることができる。
【0043】
実施例2:黄色が減少したNOIL組成物の調製:
黄色が減少したNOIL組成物の1つの例は、無色の抗黄変剤としてUV9392Cを用いる。種々の例を表2に示し、一態様にしたがって形成することのできる組成物を示す。表2における数値は、組成物中のそれぞれの化合物の量を重量%で示すものである。
【0044】
【表2】

【0045】
CR−1(架橋樹脂を用いた)の光硬化は、1000mW/cmの強度を用いるLED光によって4%のCQ組成物を2〜3秒間硬化させて傷の付かない表面を得ることができることを示す。しかしながら、CR−1組成物は、美的に満足できない黄色の色調に硬化する。
【0046】
CR−1Aの光硬化は、基組成物であるCR−1にUV9392Cを加えると硬化化合物の白色化が増加することを示す。更に、UV9392Cにより、照射時間及び/又は光強度を増加させることによって組成物を更に漂白することが可能になる。而して、CR−1Aは、照射時間又は強度を通して色の調和又は調節を可能にする能力を有している。
【0047】
VIP光硬化システムを用いて500mW/cmの光強度において10秒間CR−3を光硬化させると、傷の付かない表面が得られた。更に、スカイライト光硬化システムを用いて800mW/cm〜900mW/cmの光強度において7秒間CR−3を光硬化させると、傷の付かない表面が得られた。いずれの方法を用いてCR−3を硬化させても、CR−1の硬化において見られたものよりも高い変色が得られた。更に、CR−1Aとは異なり、照射時間を変化させることによる色変化(漂白)特性は見られなかった。
【0048】
VIP光硬化システムを用いて500mW/cmの光強度において8秒間CR−4を光硬化させると、傷の付かない表面が得られた。更に、スカイライト光硬化システムを用いて1000mW/cmの光強度において5秒間CR−4を光硬化させると、傷の付かない表面が得られた。最後に、100mW/cmの光強度に50秒間曝露すると、CR−4はまた傷の付かない表面に硬化した。それぞれの方法を用いてCR−4組成物を硬化させると、化合物の大きな白色化が得られ、無色の抗黄変剤を用いないで通常用いられるCQ開始組成物よりも美容的により満足できる硬化修復物が得られ、CR−1組成物において見られたものに近接するか及び/又はそれを超える漂白結果が与えられた。更に、照射時間及び強度を増加させることによる色変化(漂白)特性は累進的であった。
【0049】
実施例3:無色の抗黄変剤の使用:
他の代表的な組成物においては、表2に示すものと同等の組成物において、UV9392Cに代えてCD−1012の光開始剤を用いた。表2に示すように、CD−1012を2重量%未満乃至4重量%超の範囲で歯科用組成物に加えて、400mW/cmの光強度で20〜30秒間硬化させた後に残留色の大きな減退を与えた。実際、試験は、1重量%のCD−1012を用いると、幾つかの硬化組成物の色指数が約50%減少し、美容的に満足できる修復物が生成することを示した。
【0050】
実施例4:光阻止剤組成物の更なる例:
【0051】
【表3】

【0052】
代表的な組成物においては、組成物は上記表3に示すように調製した。400mW/cmの光強度を用いて20〜30秒間BLED−3Aを光硬化させると、HunterLab (登録商標)分光光度計(Ultrascan XE)を用いて測定して、BLED−3と比較して約45%黄色が減退した。特に、試験は、400mW/cmの光強度を用いて20〜30秒間組成物を硬化させると、BLED−3対BLED−3Aに関して表3及び4に示す色のシフトが起こったことを示す。目視検査によって、BLED−3AはBLED−3Bよりも少ない残留色を有していたことが示された。更に、膜厚の影響を考慮すると、1.0%のCD−1012によって色が約50%減退した。
【0053】
【表4】

【0054】
上記表4において、より大きな数値は色のシフトがより大きいことを示し、より高い数値は色の増加に対応する。上記に示したように、歯科修復物は、それが配置される基体と同じ色であることが好ましい。BLED−3Aは、1重量%に無色の抗黄変剤を加えているために非常に良好な美的特性を有することが分かる。更に、BLED−3Bの試験によって、BLED−3よりも黄変を減少したが、黄変の減少はBLED−3Aによって示されるものほどは大きくなかったことが示された。
【0055】
【表5】

【0056】
代表的な組成物において、表5に示す組成物は、9.97gのSR399、0.31gのCQ、5.0mgのMEHQ、10.0gの29ADD、及び10.50gのEtOHを含むBLED−4から誘導された。更に、BLED−4Aは、10.00gのBLED−4及び150mgのEDMABを含む。更に、BLED−4Bは、1.20gのBLED−4及び36mgのCN386を用いて形成した。
【0057】
450mW/cmの光強度を用いて組成物を光硬化させると次の結果が得られた。全てのBLED−4Aの組の樹脂は7秒間の硬化後に傷が付かない状態になり、一方BLED−4B1は30秒後に未だ傷を付けることができた。しかしながら、BLED−4B1は30秒の曝露後にほぼ無色であり、一方BLED−4A、BLED−4A1、及びBLED−4A2は、40秒後にそれらの黄色の多くを保持していた。しかしながら、BLED−4A5及びBLED−4A6は、40秒において黄変の大きな低減を示した。CN386に代えてC440を用いた更なる調製物により、C440は、CN386に代えて用いることができ、より低い濃度で用いて類似の結果を達成することができることが示された。
【0058】
上記に示した代表的な態様及び方法に加えて、Omnical C440を用いると、組成物においてエタノールと組み合わせた場合には組成物の漂白又は酸化が増大することが示された。更に、Omnical C440及びCD−1012の両方を用いると、広範囲の波長にわたって高い吸光率が得られ、BLED−3は400nm付近で高い吸光度を示した。更に、CD−1012及びOmnical C440の両方を用いた組成物に関するピーク吸光度は、約468nmにおいて現れた。
【0059】
ここで開示し特許請求する全ての組成物及び/又は方法は、本開示を考慮して、過度の実験を行うことなく製造し実施することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい態様に関して説明したが、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載した組成物及び/又は方法に対して、並びに方法の工程若しくは一連の工程において、変更を加えることができることは当業者に明らかであろう。より具体的には、同等又は類似の結果を達成しながら本明細書中に記載した薬剤に代えて化学的に関連する特定の薬剤を用いることができることは明らかである。当業者に明らかな類似の置換及び修正は全て、本発明の精神、範囲、及び概念内にあるものとみなされる。
【0060】
例えば、上記の多官能アクリレート、開始剤、抑制剤、及び光開始剤に加えて、Additive 29(ADD29)のような界面活性剤を用いてレベリングを促進させることができる。実例としては、界面活性剤は、組成物の0.01〜1.0重量%、例えば0.05〜0.10重量%を構成する。当該技術において公知のように、他の成分を加えることができる。
【0061】
組成物に香味料を加えることによって、より心地よい組成物を得ることができることが理解される。香味料を用いて、臭気を消したり、或いは単純により心地よい生成物を与えることができる。代表的な香味料としては、チモール、スペアミント、ペパーミント、ユーカリ、ウィンターグリーン、及びシナモンのようなエッセンシャルオイルが挙げられる。更なる実例としては、COE-Soft(GC America, Alsip, IL)を用いることができる。1:1の最終組成物:COE-Softの比により心地よい香味が得られる。これら及び他の香味料は、当該技術において公知であり、本発明の任意の組成物中において用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)多官能アクリレート化合物;
(b)カンファーキノン及びアミンを含む、多官能アクリレート化合物の光重合を開始させることのできる開始剤系;及び
(c)硬化照射線に曝露した際に開始剤系の変色を目に見えて減少させるように機能させることのできる無色の抗黄変剤;
を含む歯科用組成物。
【請求項2】
無色の抗黄変剤がヨードニウムイオンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
無色の抗黄変剤が、[4−(2−ヒドロキシ−1−テトラデシクロオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;4−オクチルフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート;及び4,4’−ジメンチル−ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート;からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
アルコールを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アルコールがエタノールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
硬化照射がLED光硬化ユニットを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
LED光硬化ユニットが可視スペクトル内の光を生成するように操作できる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
開始剤系がカンファーキノン及び共役アミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
共役アミンが芳香族アミンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
多官能アクリレート化合物が分子あたり4つ以上のアクリレート官能基を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
多官能アクリレート化合物がアクリル酸エリトリトールである、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
アクリル酸エリトリトールが、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート;ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールペンタアクリレート;及びカプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート;からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が硬化して酸素阻止層を有しない表面を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
LED光源に曝露すると、組成物が硬化して酸素阻止層を有しない表面を形成し、開始剤系の黄変を減少させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも約500mW/cmの強度を有するLED光源に特定の時間曝露すると、組成物が硬化して酸素阻止層を有しない表面を形成し、変色を減少させる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
特定の時間が50秒未満である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
特定の時間が30秒未満である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
開始剤系が組成物の約1.5重量%より多い割合を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
開始剤系が組成物の約1重量%より多い割合を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
開始剤系が組成物の約0.5重量%より多い割合を構成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
香味料を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が100cpより低い粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
(a)多官能アクリレート化合物;
(b)カンファーキノン及び少なくとも1種類のアミンを含む、多官能アクリレート化合物の光重合を開始させることのできる開始剤系;
(c)LED光源に曝露した際に開始剤系の黄変を目に見えて減少させるように機能させることのできる無色の抗黄変剤;
を含み、
(d)LED光源に曝露すると、組成物が酸素阻止層を有しない表面を形成する;
歯科用組成物。
【請求項25】
組成物が、LED光源に50秒未満の硬化時間曝露すると傷の付かない表面に硬化するように機能させることができる、請求項21に記載の歯科用組成物。
【請求項26】
硬化時間が30秒未満である、請求項22に記載の歯科用組成物。
【請求項27】
硬化時間が10秒未満である、請求項22に記載の歯科用組成物。
【請求項28】
LED光源に曝露した際に組成物が変色を50%減少させる、請求項22に記載の歯科用組成物。
【請求項29】
(a)多官能アクリレート化合物;
(b)カンファーキノン(CQ)及び少なくとも1種類のアミンを含み、組成物の少なくとも約1.5%を構成する開始剤系;及び
(c)組成物の少なくとも約0.5%を構成する無色の抗黄変剤;
を含む歯科用組成物。

【公表番号】特表2009−542724(P2009−542724A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518638(P2009−518638)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/072907
【国際公開番号】WO2008/006047
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(500200133)ビスコ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】