説明

渡り通路用目地装置

【課題】左右の建物が水平方向に回動するような揺れが生じても、その揺れを吸収して損傷するのを防止できる渡り通路用目地装置を得る。
【解決手段】一方の建物2の渡り通路用開口部5の下部躯体水平方向に固定されたスライドレール6と、このスライドレール6に沿ってスライド移動する渡り通路用開口部5の両側部位に手摺が位置するように取付けられた門型支柱8と、他方の建物11に形成された渡り通路用躯体14と、この渡り通路用躯体14の床面に一端部がスライド移動可能に支持され、他端部の中央部がスライドレール6に沿って移動可能でかつ一端部が水平方向に回動可能に係合された目地プレート16と、渡り通路用躯体14の両側部にスライド移動可能に取付けられた手摺の門型支柱8と、この目地プレート用門型支柱18のほぼ中央部に固定された枢支ピン15で取付けられる取付板21とで渡り通路用目地装置1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の建物間を接続するための渡り通路用目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の渡り通路用目地装置は、一方の建物の外側通路の外側壁面に形成された渡り通路用開口部と、この渡り通路用開口部と対応する他方の建物より突出された、該渡り通路用開口部と目地部を介して設けられた渡り通路とに、該渡り通路に対しては左右方向にスライド移動可能で、前記渡り通路用開口部に対しては前後方向にスライド移動可能な目地プレートおよび、両側部にJ字状の手摺を設けていた。
【0003】
このため、一方の建物と他方の建物とが異なる前後、左右方向の揺れ動きには損傷することなく、その揺れ動きを吸収することができるが、一方の建物が水平方向に回動するような揺れ動きにはL字状の手摺は損傷してしまうという欠点があった。
【特許文献1】特許第3154957号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、左右の建物が水平方向に回動するような揺れ動きが生じても、その揺れ動きを吸収して損傷するのを防止することができるとともに、異なる前後左右方向の揺れ動きも確実に吸収して、損傷するのを防止することができる渡り通路用目地装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は一方の建物の外側通路の外側壁面に形成された渡り通路用開口部の下部躯体にほぼ水平方向に固定されたスライドレールと、このスライドレールに沿ってスライド移動する、前記渡り通路用開口部の両側部位に前後方向の手摺あるいは壁が位置するように取付けられた門型支柱と、前記一方の建物の渡り通路用開口部と目地部を介して接続できるように他方の建物に形成された渡り通路用躯体と、この渡り通路用躯体の床面に一端部が左右方向にスライド移動可能に支持され、他端部の中央部が前記スライドレールに該スライドレールに沿って移動可能で、かつ一端部が水平方向に回動可能に係合ピンで係止された目地プレートと、この目地プレートの両側部に固定され、あるいは渡り通路用躯体の両側部にスライド移動可能に取付けられた左右方向の手摺あるいは壁と、この左右方向の手摺あるいは壁の前記門型支柱側の端部に隙間を介して固定された、該門型支柱とほぼ同形状の目地プレート用門型支柱と、この目地プレート用門型支柱のほぼ中央部に固定された前記門型支柱のほぼ中央部に枢支ピンで取付けられる取付板とで渡り通路用目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)一方の建物の外側通路の外側壁面に形成された渡り通路用開口部の下部躯体にほぼ水平方向に固定されたスライドレールと、このスライドレールに沿ってスライド移動する、前記渡り通路用開口部の両側部位に前後方向の手摺あるいは壁が位置するように取付けられた門型支柱と、前記一方の建物の渡り通路用開口部と目地部を介して接続できるように他方の建物に形成された渡り通路用躯体と、この渡り通路用躯体の床面に一端部が左右方向にスライド移動可能に支持され、他端部の中央部が前記スライドレールに該スライドレールに沿って移動可能で、かつ一端部が水平方向に回動可能に係合ピンで係止された目地プレートと、この目地プレートの両側部に固定され、あるいは渡り通路用躯体の両側部にスライド移動可能に取付けられた左右方向の手摺あるいは壁と、この左右方向の手摺あるいは壁の前記門型支柱側の端部に隙間を介して固定された、該門型支柱とほぼ同形状の目地プレート用門型支柱と、この目地プレート用門型支柱のほぼ中央部に固定された前記門型支柱のほぼ中央部に枢支ピンで取付けられる取付板とで構成されているので、一方の建物と他方の建物とのいずれか一方が水平方向に回動するように揺れ動いても、左右の手摺あるいは壁面と、目地プレートの両側部に固定された前後手摺あるいは壁面とは固定されていないので、損傷することなく、その揺れ動きに追従して移動することができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、門型支柱と目地プレート用門型支柱とは取付板の枢支ピンを支点に回動するため、門型支柱に枢支ピンで枢支された目地プレート用門型支柱、目地プレートおよび前後の手摺あるいは壁面をスムーズに回動させることができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、一方の建物の渡り通路用開口部と他方の建物の渡り通路との間は目地プレート、左右の手摺あるいは壁面および前後の手摺あるいは壁面で覆われ、異なる前後方向へ揺れ動いても隙間なく覆うことができるので、安全に使用することができる。
【0011】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、門型支柱と目地プレート用門型支柱との間を伸縮カバーで覆うので、より安全に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図9に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1は本発明の渡り通路用目地装置で、この渡り通路用目地装置1は一方の建物2の外側通路3の外側壁面4に形成された渡り通路用開口部5と、この渡り通路用開口部5の外側下部位置の躯体4aにほぼ水平方向に固定されたスライドレール6と、このスライドレール6に沿ってスライド移動するスライド移動体7と、このスライド移動体7に下端部が固定された前記渡り通路用開口部5とほぼ同じ開口部となる門型支柱8と、この門型支柱8の両側部の支柱8a、8aに固定されるとともに、前記スライド移動体7に固定された前後方向の手摺9、9と、前記一方の建物2の渡り通路用開口部5と目地部10を介して接続できるように他方の建物11に形成された床12と両側壁13、13が形成された渡り通路用躯体14と、この渡り通路用躯体14の床12に一端部が左右方向にスライド移動可能に支持され、他端部の中央部が前記門型支柱8のほぼ中央部に位置するスライド移動体7に枢支ピン15で枢支された目地プレート16と、前記門型支柱8と隙間17を有するように前記目地プレート16の両側部に固定された、該門型支柱8とほぼ同じ大きさの目地プレート用門型支柱18と、この目地プレート用門型支柱18に固定されるとともに、前記目地プレート16の両側部に固定された前記渡り通路用躯体14の両側壁13、13との間に隙間が生じないように所定量重なり合う左右方向の手摺19、19と、前記目地プレート用門型支柱18のほぼ中央部に固定された、前記門型支柱8のほぼ中央部と枢支ピン20で枢支される取付板21と、前記門型支柱8と前記目地プレート用門型支柱18との間の隙間17を覆うように取付けられた、クッション材やゴムシートを用いた伸縮カバー22とで構成されている。
【0014】
上記構成の渡り通路用目地装置1は一方の建物2と他方の建物11の両方あるいは一方が水平方向に回動するように地震等で揺れ動いた場合、図7に示すように、目地プレート16および目地プレート用門型支柱18、左右の手摺19、19は枢支ピン15、20を支点に回動し、その揺れ動きを吸収できる。
また、一方の建物2と他方の建物11が異なる左右方向に揺れ動いた場合、図9に示すように、目地プレート16および左右方向の手摺19、19は渡り通路用躯体14の床12および両側壁13、13に沿ってスライド移動し、渡り通路用開口部5、渡り通路用躯体14の両側壁13、13との間に左右方向の手摺19、19が位置して、開口部が生じるのを防止することができる。
さらに、一方の建物2と他方の建物11が異なる前後方向に揺れ動いた場合、図8に示すように、スライドレール6に沿ってスライド移動体7、門型支柱8および前後方向の手摺9、9がスライド移動し、渡り通路用開口部5を前後方向の手摺9、9によって隙間が生じないように覆うことができる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0015】
次に、図10ないし図22に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、門型支柱8の両側部位にスライド移動体7に前後方向の壁23、23を固定するとともに、目地プレート用門型支柱18と目地プレート16の両側部に左右方向の壁24、24を固定した点で、このように前後方向の壁23、23と左右方向の壁24、24を左右の手摺や前後方向の手摺にかえて使用した渡り通路用目地装置1Aにしても
前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0017】
図13ないし図15に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、左右方向の壁24、24の上面に天井25を取付けた点で、このように構成された渡り通路用目地装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0018】
図16ないし図18に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、渡り通路用躯体14の目地部側床面に目地プレート16がスライド移動可能な凹部26を形成し、該凹部26を目地プレート16がスライド移動可能にカバー板27で覆うとともに、目地プレート用門型支柱18に固定された左右方向の手摺19、19をカバー板27上をスライド移動できるように取付けた点で、このように構成した渡り通路用目地装置1Cにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られる。
なお、28、28は左右方向の手摺19、19を左右方向にスライド移動可能にガイドするガイド部材である。
【0019】
図19ないし図22に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、渡り通路用躯体14の野も側壁13、13の外側下部位置にほぼ水平状態で固定されたスライドレール29、29と、このスライドレール29、29に支持されて左右方向にスライド移動する前記側壁13、13覆い前記目地プレート16と一体に形成された左右の手摺壁30、30と、門型支柱8Aの上部辺8aの上面に上方に突出する用に一体あるいは別体に形成された振れ止めレール32と、この振れ止めレール32を前後方向にスライド移動するように該振れ止めレール32の上部位置の一方の建物2の渡り通路用開口部5の外側躯体4bにほぼ水平方向に固定されたクランク状のガイド片31とを用いた点で、このように構成された渡り通路用目地装置1Dにしても、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、門型支柱8Aの上部が前後方向に振れるのを確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は渡り通路用目地装置を製造する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の渡り通路用開口部の説明図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態の前後方向の手摺が取付けられた門型支柱の説明図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の目地プレートの説明図。
【図6】左右方向の手摺が取付けられた目地プレート用門型支柱の説明図。
【図7】本発明を実施するための最良の第1の形態の水平方向に回動した状態の説明図。
【図8】本発明を実施するための最良の第1の形態の異なる前後方向に移動した状態の説明図。
【図9】本発明を実施するための最良の第1の形態の異なる左右方向に移動した状態の説明図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図。
【図12】図10の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図。
【図15】図13の15−15線に沿う断面図。
【図16】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図17】図16の17−17線に沿う断面図。
【図18】図16の18−18線に沿う断面図。
【図19】本発明を実施するための第5の形態の平面図。
【図20】図19の20−20線に沿う断面図。
【図21】本発明を実施するための第5の形態の前後方向の手摺が取付けられた門型支柱の説明図。
【図22】図19の22−22線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0022】
1、1A、1B、1C、1D:渡り通路用目地装置、
2:一方の建物、 3:外側通路、
4:外側壁面、 5:渡り通路用開口部、
6:スライドレール、 7:スライド移動体、
8、8A:門型支柱、 9:前後方向の手摺、
10:目地部、 11:他方の建物、
12:床、 13:側壁、
14:渡り通路用躯体、 15:枢支ピン、
16:目地プレート、 17:隙間、
18:目地プレート用門型支柱、 19:左右方向の手摺、
20:枢支ピン、 21:取付板、
22:伸縮カバー、 23:前後方向の壁、
24:左右方向の壁、 25:天井、
26:凹部、 27:カバー板、
28:ガイド部材、 29:スライドレール、
30:手摺壁、 31:ガイド片、
32:振れ止めレール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の建物の外側通路の外側壁面に形成された渡り通路用開口部の下部躯体にほぼ水平方向に固定されたスライドレールと、このスライドレールに沿ってスライド移動する、前記渡り通路用開口部の両側部位に前後方向の手摺あるいは壁が位置するように取付けられた門型支柱と、前記一方の建物の渡り通路用開口部と目地部を介して接続できるように他方の建物に形成された渡り通路用躯体と、この渡り通路用躯体の床面に一端部が左右方向にスライド移動可能に支持され、他端部の中央部が前記スライドレールに該スライドレールに沿って移動可能で、かつ一端部が水平方向に回動可能に係合ピンで係止された目地プレートと、この目地プレートの両側部に固定され、あるいは渡り通路用躯体の両側部にスライド移動可能に取付けられた左右方向の手摺あるいは壁と、この左右方向の手摺あるいは壁の前記門型支柱側の端部に隙間を介して固定された、該門型支柱とほぼ同形状の目地プレート用門型支柱と、この目地プレート用門型支柱のほぼ中央部に固定された前記門型支柱のほぼ中央部に枢支ピンで取付けられる取付板とからなることを特徴とする渡り通路用目地装置。
【請求項2】
一方の建物の外側通路の外側壁面に形成された渡り通路用開口部の下部躯体にほぼ水平方向に固定されたスライドレールと、このスライドレールに沿ってスライド移動する、前記渡り通路用開口部の両側部位に前後方向の手摺あるいは壁が位置するように取付けられた門型支柱と、前記一方の建物の渡り通路用開口部と目地部を介して接続できるように他方の建物に形成された渡り通路用躯体と、この渡り通路用躯体の床面に一端部が左右方向にスライド移動可能に支持され、他端部の中央部が前記スライドレールに該スライドレールに沿って移動可能で、かつ一端部が水平方向に回動可能に係合ピンで係止された目地プレートと、この目地プレートの両側部に固定され、あるいは渡り通路用躯体の両側部にスライド移動可能に取付けられた左右方向の手摺あるいは壁と、この左右方向の手摺あるいは壁の前記門型支柱側の端部に隙間を介して固定された、該門型支柱とほぼ同形状の目地プレート用門型支柱と、この目地プレート用門型支柱のほぼ中央部に固定された前記門型支柱のほぼ中央部に枢支ピンで取付けられる取付板と、前記門型支柱と前記目地プレート用門型支柱との間の隙間を覆うように取付けられた、伸縮可能なゴム材や遊びを有するように設けたシート材等の伸縮カバーとからなることを特徴とする渡る通路用目地装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−41245(P2009−41245A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206492(P2007−206492)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】