説明

渦電流減速装置

【課題】 制動力のコントロールが容易で、かつ、小型化、軽量化を図れる渦電流減速装置を提供する。
【解決手段】 回転軸2及び固定側5の一方に設けられ渦電流が生起される制動部材4と、回転軸2及び固定側5の他方に設けられ上記制動部材4に磁極が近接して対向配置された電磁石6とを有し、その電磁石6が、上記磁極を構成する鉄心20と、その鉄心20の外周部に配設されたコイル21とを有する渦電流減速装置1において、上記鉄心20に両磁極が接続され上記鉄心20を上記コイル21による磁化方向と反対向きに磁化する磁石部材31を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石を用いた渦電流減速装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大型車両の摩擦ブレーキを補助する減速装置として、磁力により渦電流を生起させることで制動力を得る渦電流減速装置が用いられている。その渦電流減速装置には、電磁石を使用して磁力を得るものと、永久磁石を使用して磁力を得るものとがある。
【0003】
例えば、電磁石を使用する渦電流減速装置は、車両の変速機の出力軸に取り付けられた制動ディスクと、その制動ディスクに近接して対向配置された電磁石とを有する。その電磁石は、磁極を構成する鉄心と、その鉄心を磁化するためのコイルとを有する。車両を減速制動する場合には、コイルに電流を流して鉄心から磁束を発生させ、その磁力により制動ディスクに渦電流を生起させるようにしている(特許文献1)。
【0004】
また、電磁石の代わりに永久磁石を使用するものでは、減速制動のON、OFFに合わせて、永久磁石の位置を移動させることで、制動ディスクに渦電流を生起させるようにしている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−173474号公報
【特許文献2】特開2003−199321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電磁石は、永久磁石に較べるとあまり磁力が強くない。十分な磁力を得るためにはサイズの大きな電磁石を使用する必要がある。このことが、渦電流減速装置の小型化、軽量化を図る場合に問題となってしまう。
【0007】
一方、希土類などからなる永久磁石は、サイズが小さいものでも強力な磁力を有するが、磁力をコントロールできない。このことは、渦電流減速装置の制動力のコントロールを困難にしてしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、制動力のコントロールが容易で、かつ、小型化、軽量化を図れる渦電流減速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、回転軸及び固定側の一方に設けられ渦電流が生起される制動部材と、回転軸及び固定側の他方に設けられ上記制動部材に磁極が近接して対向配置された電磁石とを有し、その電磁石が、上記磁極を構成する鉄心と、その鉄心の外周部に配設されたコイルとを有する渦電流減速装置において、上記鉄心に両磁極が接続され上記鉄心を上記コイルによる磁化方向と反対向きに磁化する磁石部材を設けたものである。
【0010】
上記電磁石と上記磁石部材とが、上記回転軸の周方向に沿って並べて配置されたものでもよい。
【0011】
上記電磁石と上記磁石部材とが、上記回転軸の半径方向に沿って並べて配置されたものでもよい。
【0012】
好ましくは、上記電磁石が上記回転軸の周方向に複数設けられ、それら電磁石毎に上記磁石部材が各々設けられたものである。
【0013】
上記制動部材が、上記回転軸と同芯的に設けられた制動ディスクからなり、上記電磁石が、上記制動ディスクと上記回転軸の軸方向に間隔を隔てて設けられ、その電磁石の少なくとも一方の磁極が、上記制動ディスクの側面に対向して配置されたものでもよい。
【0014】
上記制動部材が、上記回転軸と同芯的に設けられた円筒状の制動ドラムからなり、上記電磁石が、上記制動ドラムの内周側または外周側に設けられ、その電磁石の少なくとも一方の磁極が、上記制動ドラムの内周面または外周面に対向して配置されたものでもよい。
【0015】
好ましくは、上記磁石部材が、上記鉄心に一体または別体で接続されるU字形の磁極部材と、そのU字形の磁極部材に嵌め込まれた永久磁石とを有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電磁石を用いるので渦電流減速装置の制動力のコントロールを容易にすることができ、かつ磁石部材により電磁石の磁力を高めることで渦電流減速装置の小型化、軽量化を図ることができる。電気の消費量を少なくすることができるという優れた効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0018】
本実施形態の渦電流減速装置は、例えば車両の補助ブレーキとして使用するものであり、車両の変速機の出力軸(以下、回転軸)に制動力を付与するように構成される。
【0019】
[第一の実施形態]
第一の実施形態を図1から図3に基づき説明する。渦電流減速装置1は、回転軸2に設けられ渦電流が生起される制動部材4と、固定側5に設けられ制動部材4に磁極が近接して対向配置された電磁石6とを有する。
【0020】
本実施形態の制動部材4は、回転軸2と同芯的に設けられた制動ディスク8からなる。制動ディスク8は、リング状に形成され回転軸2を同芯的に囲うように配置される。回転軸2の外周部にフランジ9a、9bが取り付けられ、そのフランジ9a、9bには、放射状に突出する支持アーム10が取り付けられ、さらにその支持アーム10には、支持ディスク7が取り付けられる。制動ディスク8は、その支持ディスク7に取り付けられる。制動ディスク8は、例えば溶接などで支持ディスク7に接合される。
【0021】
制動ディスク8は、導電体でありかつ磁性材料である材料(例えば、本実施形態では低炭素鋼)から形成される。また、支持ディスク7と、支持アーム10と、フランジ9a、9bとは、アルミニウムなどの非磁性材料から形成され、制動ディスク8の磁気が回転軸2に漏れない構造となっている。
【0022】
以上の制動ディスク8が、本実施形態では、回転軸2の軸方向に間隔を隔てて二枚配置される。具体的には、図1および図2(b)に示すように、支持アーム10の先端部が回転軸2の軸方向に広がるU字形に形成され、そのU字形の先端部に支持ディスク7、7が各々設けられ、これら支持ディスク7、7に制動ディスク8、8が各々取り付けられる。
【0023】
本実施形態の電磁石6は、制動ディスク8、8と回転軸2の軸方向に間隔を隔てて設けられ、その両磁極を制動ディスク8、8の側面8a、8aに対向して配置される。
【0024】
電磁石6は、両磁極を構成する鉄心20とその鉄心20の外周部に配設されるコイル21とを有する。
【0025】
鉄心20は、固定側5(具体的には、車両のトランスミッションリアカバー)に固定された支持部材24により支持され、二枚の制動ディスク8、8の間に配置される。鉄心20は、回転軸2の軸方向に沿って直線的に延びる略直方体に形成され、両端部には、支持部材24が挿入される固定穴25が形成される。鉄心20の両端面が、制動ディスク8、8の内側の側面8a、8aと、各々近接して対向するように配置される。なお、図3(a)および図3(b)において、二点鎖線により鉄心20と後述する磁石部材31との境界を示した。鉄心20は、磁性材料(例えば、本実施形態では、低炭素鋼)から形成される。しかしながら、鉄心20は、必ずしも制動ディスク8のように導電体である必要はない。なお、支持部材24はアルミニウムなどの非磁性体から形成され、電磁石6の磁気が固定側5に漏れない構造となっている。
【0026】
コイル21は、鉄心20の中央部を囲う図示しない巻枠に、電線を巻回することで形成される。その電線は、図示しない電流供給装置に接続され、渦電流減速装置1の作動に合わせて適宜電流が供給されるようになっている。電線に電流を流すことにより、鉄心20の長手方向の両端部に、電磁石6の磁極が各々構成される。本実施形態では、図3(a)および図3(b)において、鉄心20の左端部がN極、右端部がS極となるように電線に電流が流される。
【0027】
特に、本実施形態の渦電流減速装置1には、鉄心20に両磁極が接続され鉄心20をコイル21による磁化方向と反対向きに磁化する磁石部材31が設けられる。本実施形態では、その磁石部材31が、磁極部材32とその磁極部材32に接続された永久磁石34とを有する。
【0028】
磁極部材32は、断面矩形かつU字形に形成され、その長手方向の両端部32a、32aが鉄心20に各々接続される。磁極部材32の両端部32a、32aは、コイル21を挟むようにコイル21の外側の鉄心20に接続される。
【0029】
永久磁石34は、U字形の磁極部材32の長手方向の中央部32bに嵌め込まれる。永久磁石34は、図示しない防水のためのアルミプレートなどで覆われる。その永久磁石34により磁極部材32の両端部32a、32aに、磁石部材31の磁極が各々形成される。本実施形態では、永久磁石34が、図3(a)および図3(b)において、左側がN極、右側がS極となる向きに配置され、鉄心20を通過する磁路Crを形成する(図3(a)および図3(b)において点線で示す)。永久磁石34は、例えば希土類−コバルト磁石である。
【0030】
本実施形態では、磁極部材32が鉄心20と一体とされることで磁極部材32が鉄心20に接続される。したがって、磁極部材32も鉄心20と同じ磁性材料(本実施形態では、低炭素鋼)から形成される。
【0031】
さらに、電磁石6は回転軸2の周方向に複数設けられる。磁石部材31は、上述のようにその磁極部材32が鉄心20と一体的に形成されるので、電磁石6毎に複数設けられる。より詳細には、電磁石6が、制動ディスク8の周方向に偶数個配置され、それら電磁石6は、制動ディスク8の周方向に沿って磁極の極性が交互に異なるように各々配置される。
【0032】
さらに、本実施形態では、図2(b)に示されるように、電磁石6と磁石部材31とが、回転軸2の周方向に沿って並べて配置される。各磁石部材31は、電磁石6に対し同一側に配置される。
【0033】
次に、本実施形態の渦電流減速装置1の作用を説明する。
【0034】
コイル21の非通電時、永久磁石34による磁束Iは、鉄心20と磁極部材32との内で閉じた磁路Crを形成する(図3(a)参照)。したがって、制動ディスク8には渦電流が生起されず、回転軸2に制動力が働くことはない。
【0035】
コイル21の通電時、コイル21により鉄心20を通る磁界が形成され、その磁界により鉄心20の両端部から磁束iが発生する(図3(b)参照)。その磁束iが、図2(b)に示すように、鉄心20と制動ディスク8とを通る磁路Cfを形成し、それにより制動ディスク8に渦電流が生起される。その渦電流に基づき回転軸2に制動力が付与される。本実施形態では、永久磁石34により鉄心20にコイル21の磁界とは反対向きの磁界(以下、逆磁界)を常時発生させているので、従来よりも大きな制動力を回転軸2に付与することができる。
【0036】
制動力の大きさは、鉄心20と制動ディスク8との間(図3(b)においてP点)の磁束iにより決まる。その磁束iは、コイル21に流す電流を大きくすると増加していき、鉄心20が磁気飽和することで上限に達する。つまり、最大制動力は、鉄心20が飽和した時の電流値が大きいほど、大きくなる。
【0037】
鉄心20の磁気飽和は、コイル21が巻回された部分(図3(b)においてC点)において生じる。C点の磁束Iとコイル21に流れる電流Jとの関係を図4(a)に基づき説明する。なお、縦軸を磁束Iとし、横軸を電流Jとする。
【0038】
コイル21の非通電時(J=0)、逆磁界があるために磁束Iは負の磁束Irとなり、磁石部材31のない従来例(点線で示す、I=0)よりも低くなる。磁束Iは電流Jを大きくすると増加し鉄心20が飽和するとそれ以上増加しなくなる。磁束Iは従来と同じ飽和値Isに収束する。本実施形態では鉄心20の飽和時の電流Jは、従来例と同じ電流Jaと、負の磁束Irを打ち消す電流Jr(逆磁界に相当する電流)とを加えたものとなる。つまり、本実施形態では従来に較べて逆磁界分だけ飽和時の電流値を大きくすることができる。
【0039】
図4(b)は、P点の磁束iと、コイル21に流れる電流との関係を示したものであり、コンピュータを用いた数値解析結果に基づくものである。なお、縦軸を磁束iとし、横軸を電流Jとする。
【0040】
逆磁界による磁束Iは、上述したように鉄心20と磁極部材32とに封じ込められているために磁束iには影響を及ぼさない。したがって、コイル21の非通電時、磁束iは従来(点線で示す)と同じく0である。一方、本実施形態における磁束iの上限は、上述したように鉄心20の飽和時の電流値が従来よりも較べて大きいため、その電流値の差分Jrだけ従来よりも大きくなる(ia+ir)。
【0041】
このように、鉄心20をコイル21による磁化方向と反対向きに磁化する磁石部材31を設けることで、鉄心20が飽和する電流値を高めることができ、それにより鉄心20の磁極から発生する磁束密度を高めることがでる。つまり、電磁石6の磁力を高めることができる。
【0042】
したがって、渦電流減速装置1の制動力を高めることができる。また、鉄心20のサイズが小さくとも十分な制動力が得られるので、渦電流減速装置1の小型化、軽量化を図ることができる。所定の制動力を得るために必要な電流値が従来に較べ小さいので(図4(b)参照)、電気の消費量を少なくすることができる。電磁石6を用いているため、コイル21に流す電流値を加減することで、回転軸2に付与する制動力を容易にコントロールすることができる。
【0043】
特に、本実施形態の渦電流減速装置1は、永久磁石により鉄心を反対方向に磁化したことに特徴を有する。すなわち、永久磁石を鉄心の磁化方向に配置し電磁石の磁力をアシストするのではなく、敢えてアシストする方向と反対方向に永久磁石を配置している。これにより鉄心を磁気が通りやすくなり、従来よりも鉄心の磁気飽和が遅くなる。つまり、電磁石の磁力は従来よりも強くなる。
【0044】
その他に、磁石部材31の両磁極を電磁石6の鉄心20に各々接続することで、磁石部材31の磁気を、磁石部材31および電磁石6に閉じ込めることができ、制動時以外に回転軸2に制動力が働くことを確実に防止することができる。
【0045】
[第二の実施形態]
第二の実施形態を図5に基づき説明する。第二の実施形態は、電磁石と磁石部材との配置が第一の実施形態と異なる以外、第一の実施形態とほぼ同様である。なお、図5(a)および図5(b)では、図1から図3に示したものと同一要素には、同一符号を付した。
【0046】
第二の実施形態では、電磁石6と磁石部材31とが回転軸2の半径方向に並べて配置される。全ての磁石部材31は電磁石6よりも半径方向内側に配置される。
【0047】
この第二の実施形態でも、第一の実施形態と同様の効果を得られる。
【0048】
[第三の実施形態]
第三の実施形態を図6に基づき説明する。第三の実施形態は、主に電磁石と磁石部材との構造が第一の実施形態と異なる。そこで、図6では、電磁石と磁石部材のみを示し、制動部材など他のものは省略した。また、図1から図3に示したものと同一要素には、同一符号を付した。
【0049】
第三の実施形態では、U字形に形成された磁極部材42が鉄心44とは別体で形成される。そのU字形の磁極部材42の両端部には断面逆台形状の凸部45が各々形成され、鉄心44に形成された凹部46とスライド嵌合する。この嵌合により、鉄心44と磁極部材42とが接続される。
【0050】
磁極部材42は電磁鋼板から形成される。磁極部材42の中央部には永久磁石34が嵌め込まれる。鉄心44と磁極部材42とに固定穴25、48が各々設けられ、鉄心44と磁極部材42とが別々に支持されるようになっている。
【0051】
この第三の実施形態でも、上述の第一の実施形態と同様の効果を得ることができ、さらに、鉄心44と磁石部材42とを別体にすることで、各々が単純な形状となり、効率良く製造することができる。
【0052】
[第四の実施形態]
第四の実施形態を図7に基づき説明する。第四の実施形態は、制動部材として制動ドラムを用いるものである。そのために、鉄心の形状が第一の実施形態と異なる。なお、図7において、図1から図3に示したものと同一要素には、同一符号を付す。また、回転軸や固定側は省略した。
【0053】
制動部材4は、回転軸と同芯的に設けられた円筒状の制動ドラム51からなる。電磁石6は、制動ドラム51の内周側に設けられる。電磁石6は、固定側に取り付けられた支持ディスク52に固定され、回転軸2の周方向に複数設けられる。
【0054】
鉄心54は、第一の実施形態の鉄心20の両端部に、半径方向外側に延びる延出部54a、54aを各々設けたものであり、U字形に形成される。鉄心54は、延出部54a、54aの端面が制動ドラム51の内周面に各々近接して対向するように配置される。延出部54a、54aにより各々電磁石6の磁極が構成される。なお、磁極部材32は鉄心54と一体とされる。
【0055】
コイル21の通電時に、電磁石6は自身の両磁極による磁路Cf1と、両隣りの電磁石6とによる磁路Cf2とを形成する。それら磁路Cf1と磁路Cf2とにより制動ドラム21に渦電流が生起される。
【0056】
この第四の実施形態でも、第一の実施形態と同様の効果を得られる。
【0057】
[第五の実施形態]
第五の実施形態を図8に基づき説明する。第五の実施形態は、主に鉄心の構造が第四の実施形態と異なる以外第五の実施形態と同じ概略構造を有する。そこで、図8では、電磁石と磁石部材のみを示し、制動部材など他のものは省略した。また、図7に示したものと同一要素には、同一符号を付した。
【0058】
第五の実施形態の鉄心61は、コイル21が巻回された芯部62が別体で形成されたものであり、その芯部62は、両端部に各々形成された断面逆台形状の凸部64を、鉄心61に各々形成された凹部65にスライド嵌合して接続される。
【0059】
この第五の実施形態は、U字形の部材(鉄心61と磁極部材32とを含む)と直線状の芯部62とから構成することができ、それぞれを単純な形状として効率良く製造することができる。また、芯部62にコイル21を巻回した後、芯部62を鉄心61に組み付けることができると共に、直線状の芯部62にコイル21を巻回するのでコイル巻き作業や電磁石の製造を容易かつ効率的にすることができる。
【0060】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、様々な変形例や応用例が考えられるものである。
【0061】
例えば、制動ディスクまたは制動ドラムを固定側に設け、電磁石と磁石部材とを回転軸に設けるようにしてもよい。
【0062】
また、電磁石と磁石部材とは様々な相対位置に配置することが可能であり、例えば、電磁石と磁石部材とを回転軸の軸方向に並べて配置してもよい。
【0063】
また、電磁石を制動ドラムや制動ディスクの外周側に設けるようにしてもよい。電磁石を制動ドラムの外周側に設ける場合、その電磁石の少なくとも一方の磁極を、外周面に対向配置することが好ましい。
【0064】
また、コイルは、電線を巻回した後にさらにモールドすることで、形成してもよい。
【0065】
また、磁極部材の形状はU字形に限らず様々な形状が可能であり、永久磁石は磁極部材の任意の位置に設けることが可能である。
【0066】
また、磁石部材を永久磁石のみで構成してもよい。さらに、磁石部材は、永久磁石に代えて電磁石を用いることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る一実施形態による渦電流減速装置の正面図を示す。
【図2】(a)は、図1の一部拡大図を示し、(b)は、図1の平面図を示す。
【図3】(a)は、電磁石と磁石部材とにおける非通電時の磁気の流れを示す。(b)は、電磁石と磁石部材とにおける通電時の磁気の流れ示す。
【図4】(a)は、本実施形態および従来の渦電流減速装置におけるコイルに流れる電流と、図3(b)中C点の磁束との関係図を示す。(b)は、本実施形態および従来の渦電流減速装置におけるコイルに流れる電流と、図3(b)中P点の磁束との関係図を示す。
【図5】(a)は、第二の実施形態の渦電流減速装置の正面図を示し、(b)は、図5(a)の平面図を示す。
【図6】(a)は、第三の実施形態の電磁石と磁石部材との正面図を示す。(b)は、図6(a)の側面図を示す。
【図7】第四の実施形態の渦電流減速装置の側面図を示す。
【図8】第五の実施形態の電磁石と磁石部材との正面図を示す。
【符号の説明】
【0068】
1 渦電流減速装置
2 回転軸
4 制動部材
5 固定側
6 電磁石
8 制動ディスク
20、44、54、61 鉄心
21 コイル
31 磁石部材
32、42、64b 磁極部材
34 永久磁石
51 制動ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸及び固定側の一方に設けられ渦電流が生起される制動部材と、回転軸及び固定側の他方に設けられ上記制動部材に磁極が近接して対向配置された電磁石とを有し、その電磁石が、上記磁極を構成する鉄心と、その鉄心の外周部に配設されたコイルとを有する渦電流減速装置において、上記鉄心に両磁極が接続され上記鉄心を上記コイルによる磁化方向と反対向きに磁化する磁石部材を設けたことを特徴とする渦電流減速装置。
【請求項2】
上記電磁石と上記磁石部材とが、上記回転軸の周方向に沿って並べて配置された請求項1記載の渦電流減速装置。
【請求項3】
上記電磁石と上記磁石部材とが、上記回転軸の半径方向に沿って並べて配置された請求項1記載の渦電流減速装置。
【請求項4】
上記電磁石が上記回転軸の周方向に複数設けられ、それら電磁石毎に上記磁石部材が各々設けられた請求項1から3いずれかに記載の渦電流減速装置。
【請求項5】
上記制動部材が、上記回転軸と同芯的に設けられた制動ディスクからなり、上記電磁石が、上記制動ディスクと上記回転軸の軸方向に間隔を隔てて設けられ、その電磁石の少なくとも一方の磁極が、上記制動ディスクの側面に対向して配置された請求項1から4いずれかに記載の渦電流減速装置。
【請求項6】
上記制動部材が、上記回転軸と同芯的に設けられた円筒状の制動ドラムからなり、上記電磁石が、上記制動ドラムの内周側または外周側に設けられ、その電磁石の少なくとも一方の磁極が、上記制動ドラムの内周面または外周面に対向して配置された請求項1から4いずれかに記載の渦電流減速装置。
【請求項7】
上記磁石部材が、上記鉄心に一体または別体で接続されるU字形の磁極部材と、そのU字形の磁極部材に嵌め込まれた永久磁石とを有する請求項1から6いずれかに記載の渦電流減速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−94642(P2006−94642A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277618(P2004−277618)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】