説明

温度応答性の機能性顔パックおよびその製造方法

温度感応イソプロピルアクリルアミドとポリウレタン共重合物のキトサン修飾ヒドロゲルをセルロース織物上に配置して形成された、温度応答性の機能性顔パックおよびその製造方法である。長所としては、機能性ヒドロゲルは体温付近で可逆の膨脹と収縮を発生することができ、且つポリウレタンの混入によって高温でのイソプロピルアクリルアミドの脱水を抑制することができる。イソプロピルアクリルアミドとポリウレタンの共重合物をセルロース不織布の表面に配置させ、不織布が支持物の働きをし、ゲルの強度を向上する。天然のアルカリ性の多糖類キトサンをゲルシートの外面に結合させ、顔パックの快適性だけでなく、皮膚の親水性を向上し、且つ顔パックに抗菌性をもたらす。このゲル顔パックは多種の栄養素を充填することができ、体温におけるゲルの収縮によって充填される栄養素と水分が放出される。必要ならば、この温度応答性の機能性顔パックは何回も利用することが可能であり、個別の様々な要求を満足させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に感応する特殊のヒドロゲルに関し、より詳細には、温度感応イソプロピルアクリルアミドとポリウレタン共重合物のキトサン修飾ヒドロゲルをセルロース織物上に配置して形成された、温度応答性の機能性顔パックおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロゲルは、吸水によって膨張する網状架橋高分子で、固体と液体の両方の特徴をもち、一定の形状があるが、また大きな変形もできる。外部の環境例えば温度、pH値、イオン強度、化学物質、圧力および光電などの刺激作用の状態で、ヒドロゲルが可逆変形および体積変化を生ずることができるので、環境に感応する高分子ヒドロゲルとも呼ばれている。親水性のほかには、ヒドロゲルが良好な透過性を持っているので、水と酸素が通過することができる。且つ適切に架橋したヒドロゲルは、柔軟性と弾性に優れ、人体の軟組織に似ている。従って、高分子ヒドロゲルは生物材料に利用され、コンタクトレンズ、組織の工学枠組、人工筋肉、乳房の人工補充物、薬物緩慢担体および傷用包帯類などを含んでいる。最近、ヒドロゲルは美容の顔パックとして益々人々に注目されている。例えば米国特許5,420,118/1993には保湿快適性ポリアクリル酸共重合体ヒドロゲルの顔パックの製造方法が提供されている。中国特許CN2462923にはヒドロゲル美容スキンケアパックの製造方法が提供されている。当該スキンケアパックは、底層、ヒドロゲル層と保護層から構成され、ヒドロゲル層は、各種類の美容に特殊効果がある成分を有し、保湿、美白、皮膚細胞の活性化および皮膚の皺改善などの効果がある。このヒドロゲル顔パックは繰り返し数回使用できるそうです。米国特許6,761,896/2004にはポリヒドロキシカルボキシル酸ヒドロゲルスキンケアパックが提供され、静態磁気層と栄養素が充填されたヒドロゲル層から構成され、磁気層が生成された熱は、皮膚の皺改善と皮膚の栄養素吸収の促進に有利である。
【0003】
特許文献と論文の調査により、現在のヒドロゲル顔パック中のヒドロゲルは、刺激応答性、特に温度感応性はない。人体はただ顔パックからの受動的な拡散放出によって栄養素を吸収し、且つヒドロゲルの力学強度はまだ改善が必要である。同時に、既存の多数のヒドロゲルは抗菌性がないし、皮膚との親和性も弱い。従って、刺激応答性の機能、皮膚の親水性を向上、抗菌と力学的性能が良い顔パックの開発は注目されている。
【0004】
ポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)は特殊なポリマーであり、最低の臨界溶解温度(LCST) がある。温度は32-34℃以下になると、ポリマーは水に溶解される。この温度以上になると、ポリマーは水性相から析出される(K. C. Gupta, K. Khandekar, Temperature-responsive cellulose by Ceric(IV) ion-initiated graft copolymerization of N-isopropylacrylamide, Biomacromolecules 2003, 4:758-765を参照)。架橋されたPNIPAAmヒドロゲルは、LCST以上でヒドロゲルが収縮され、LCST以下でヒドロゲルが膨脹される。温度の変化によって、吸水率と充填した薬物の放出を制御することができる。この特性は既に温度感応性薬物の放出担体と温度感応性半透明膜に利用されている(A. Chilkoti, M. R. Dreher, D. E. Meyer, D. Raucher, Targeted drug delivery by thermally responsive polymers, Advanced Drug Delivery Reviews 2002, 54: 613-630を参照)。但しPNIPAAmヒドロゲルはLCST以上で強く脱水し(C. K. Han,Y. H. Bae, Inverse thermally-reversible gelation of aqueous N-isopropylacrylamide copoltmer solution, Polymer 1998, 39: 2809-2814を参照)、短時間で急に水が失われるので、顔パックへの応用は不向きである。ある研究結果では、ポリウレタンヒドロゲルはある程度の弾性と高い膨脹性を有し、且つ生物との相溶性が良いことが判明している。ある研究報道により、ゲルが織物上に配置されると、ゲルの力学的強度を向上することができ、且つゲル自身の物性は変わらない(J. O. Karlsson, P. Gatenholm, Solid-supported wettable hydrogels prepared by ozone induced grafting, Polymer 37: 4251-4256を参照) 。天然のアルカリ性の多糖類として、キトサンは生物との相溶性が良く、無毒、刺激性が無く、皮膚との親和性が良く、成膜性が良くおよび抗菌性などの長所を持っている(Z. T. Zhang, L. Chen, J. M. Ji, Y. L. Huang, D. H. Chen, Antibcterial properties of cotton fabrics treated with Chitosan , Textile Research Journal, 2003, 73:1103-1106)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、温度応答性機能性顔パックを提供することにある。当該顔パック材料のゲル層自身には栄養素例えばアロエ、ビタミンなどを充填することができる。体温の状態で使用する時、温度に感応するゲルは、収縮することによってゲルの間に充填させた栄養素が放出され、水分が緩慢に滲出される。その顔パックの応答温度は32-35℃の間で調整することが可能であり、温度応答の速度が速く、短時間で急に水が失われることがなくなり、快適且つ柔軟で強く、且つ顔パック自身にも抗菌性を持たせた。
【0006】
本発明のもう一方の目的は、前記温度応答性の機能性顔パックの製造方法を提供することにある。この方法による製造された温度応答性の機能性顔パックは、各種の栄養素を充填することができ、且つ体温の状態で、温度に感応するヒドロゲルは収縮によってゲルの中に充填させた栄養素が緩慢に放出される。その顔パックの応答温度は32-35℃の間で調整することが可能であり、温度応答の速度が速く、短時間で急に水が失われることがなくなり、快適且つ柔軟で強く、且つ顔パック自身にも抗菌性を持たせた。
【0007】
本発明は、温度感応イソプロピルアクリルアミドとポリウレタン共重合物のキトサン修飾ヒドロゲルが配置されたセルロース織物を温度応答性の機能性顔パックの製造基材として採用した。製造した織物で支持される、イソプロピルアクリルアミドとポリウレタン共重合物のキトサン修飾ヒドロゲル表面の顔パックは、キトサンの導入によって当該顔パックに抗菌性を持たせる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一番目の目的は以下の技術によって達成できる。温度応答性機能性顔パックはビニルを含有するアニオンポリウレタンプレポリマー(AVPU)を製造し、AVPU、イソプロピルアクリルアミド単体およびメチレンビスアクリルアミド架橋剤をセルロース不織布の表面に共重合させることによって、軽度架橋したゲル(cr-PNIPAAM/PU)は形成され、不織布に配置されたcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル表面層にキトサンを修飾させることによって製造された。
【0009】
製造されたAVPUには、ポリエーテルジオール10-60重量部、カルボキシルを含有した
ジオール3-20重量部、脂肪族ジイソシアネート12-30重量部、ヒドロキシアクリル酸エステル5-11重量部および溶媒50-200重量部が含まれる。
【0010】
架橋したポリイソプロピルアクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドを配置させたセルロース不織布には、AVPU 0.2-2重量部、トリエチルアミン0.05-0.1重量部、イソプロピルアクリルアミド1-10重量部、メチレンビスアクリルアミド0.01-2重量部、開始剤0.001-0.02重量部、促進剤0.001-0.01重量部、不織布0.02-0.1重量部、脱イオン水10-50重量部が含まれる。
【0011】
キトサンで修飾させた表面には、cr-PNIPAAM/PUヒドロゲルで配置させた不織布0.1-10重量部、カルボジイミド(EDC)0.02-0.5重量部、キトサン0.05-1重量部、pH4-5の緩衝液10-50重量部が含まれる。
【0012】
本発明が提供された温度応答性機能性顔パックにおける、前記キトサンの分子量は5000〜50,000の間である。
【0013】
本発明が提供された温度応答性機能性顔パックにおける、カルボキシル基を含有したジオールのAVPUの製造における含有量は5-15重量%である。
【0014】
本発明が提供された温度応答性機能性顔パックにおける、前記ポリウレタンとイソプロピルアクリルアミドとの重量比は1:1〜1:5である。
【0015】
本発明が提供された温度応答性機能性顔パックにおける、前記架橋剤の添加量はイソプロピルアクリルアミドの15〜5重量%である。
【0016】
本発明のもう一方の目的は以下のように達成できる。温度応答性機能性顔パックの製造方法は以下の工程を含む。
【0017】
a)ビニルを含有するアニオンポリウレタンプレポリマー(AVPU)を製造する工程、
b)AVPU、イソプロピルアクリルアミド単体とメチレンビスアクリルアミド架橋剤をセルロース不織布の表面に共重合させることによって、軽度架橋したヒドロゲル(cr-PNIPAAM/PU)を形成する工程、
c)不織布に配置されたcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル層の表面にキトサンを修飾させ、または水溶性キトサンを水溶性ポリウレタン溶液中に直接溶解させ、不織布に配置されたイソプロピルアクリルアミドとポリウレタン共重合物のキトサン修飾ヒドロゲルを得る工程。
【0018】
本発明が提供された製造方法には、前記ビニルを含有するアニオンポリウレタンプレポリマー(AVPU)を製造するステップが含まれ、溶媒50-200重量部の中、窒素の保護の状態で、ポリエーテルジオール10-60重量部と、カルボキシルを含有したジオール3-20重量部と、脂肪族ジイソシアネート12-30重量部とを80℃の温度の状態で反応させ、ブロックドイソシアネートのプレポリマーが得られる。得られたプレポリマーの中にヒドロキシアクリル酸エステル5-11重量部を添加し、60-70℃で5時間に連続反応させ、ビニルを含有するアニオンポリウレタン単体(AVPU)が得られる。
【0019】
本発明が提供された製造方法には、前記AVPU、イソプロピルアクリルアミド単体とメチレンビスアクリルアミド架橋剤をセルロース不織布の表面に共重合させることによって、軽度架橋したヒドロゲル(cr-PNIPAAM/PU)が形成される以下の工程が含まれる。
【0020】
0.2-2重量部のAVPUを一番目の容器の中に加え、トリエチルアミン0.05-0.1重量部を加え、均一に攪拌し、脱イオン水10-50重量部を滴下し、清澄な水溶性ポリウレタン溶液が得られる。さらにイソプロピルアクリルアミド単体1-10重量部を加え、溶解してから、メチレンビスアクリルアミド架橋剤0.01-2重量部を加える。溶解した後に、開始剤0.001-0.02重量部と促進剤0.001-0.01重量部を加え、均一に攪拌する。上記均一に攪拌された混合液を一番目の容器から容器の底に不職布0.02-0.1重量部が配置されている二番目の容器の中に移し、二番目の容器に窒素を通気しながら酸素除去を30分間行ってから密閉し、室温で8時間反応させ、不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのヒドロゲルが得られる。
【0021】
本発明が提供された製造方法には、前記キトサンで不織布に配置されたcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル層の表面を修飾させる以下のステップが含まれ、不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのヒドロゲルを脱イオン水で数回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして、24時間以上浸漬し、3-10時間ごとに一回脱イオン水を交換し、第一回精製を行う。第一回精製したヒドロゲル0.1-10重量部をEDC 0.02-0.5重量部を含有する緩衝液10-50重量部(pH4-5)の中に含浸させ、1時間処理した後、キトサン0.05-1重量部を加え、室温で24時間反応させる。脱イオン水を用いて生成物に洗浄を行い、未反応の不純物を除去し、中性にしてから、継続して脱イオン水中に24-168時間浸漬させ、3-10時間ごとに一回脱イオン水を交換し、第二回精製を行い、不織布に配置されたイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られる。
【0022】
本発明が提供された製造方法には、さらに合成ポリウレタンの原料に使用されるポリエーテルジオールに予め脱水を行う工程、原料中のイソプロピルアクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドを再結晶することによって精製する工程および原料中のキトサンを透析することによって精製する工程が含まれる。
【0023】
本発明が提供された製造方法には、栄養素をヒドロゲルに予め含浸させる工程が含まれる。
【発明の効果】
【0024】
本発明が提供される温度応答性機能性顔パックおよびその製造方法は、既存技術のヒドロゲル顔パック技術と比較すると、以下の特徴がある。
(1)温度に感応するポリイソプロピルアクリルアミドと水溶性アニオンポリウレタンを共重合させ、ヒドロゲルは体温付近で可逆の膨脹と収縮を発生することができ、且つポリウレタンの混入によって高温でのイソプロピルアクリルアミドの脱水を抑制することができる。
(2)イソプロピルアクリルアミドとポリウレタンの共重合物をセルロース不織布の表面に配置させ、不織布が支持物の働きをし、ヒドロゲルの強度を向上する。
(3)天然のアルカリ性の多糖類キトサンをゲルシートの外面に結合させ、ヒドロゲルの本体の構造も保持し、相転移温度が変わらない。
(4)ヒドロゲル顔パックをある程度の厚みを保持させ、具体的な用途に応じて多種類の栄養素例えばアロエ、ビタミンなどを充填することができる。体温の状態でヒドロゲルは、収縮することによって予め充填した各種類の栄養素と水が機能的に放出される。
(5)顔パックは繰返し利用することが可能であり、個別の様々な要求を満足させる。顔パックを清潔になるように交替で何回も熱水と冷水に浸し、個々に要求によってヒドロゲルを単一又は異なる成分の栄養素の混合溶液に含浸させ、吸着が飽和に達してから使用することが可能である。又は、どんな栄養素を吸着しなくても直接使用することができる。従って、非常にフレキシブルで便利に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明による温度応答性機能性顔パックは、不織布を支持にしており、ポリウレタンとイソプロピルアクリルアミドを共重合した後、キトサンで修飾すること、又は共重合の時に混入することによって形成された。この温度応答性機能性顔パックの理化学的特長は、抗菌性を有し、且つ温度応答による栄養素の放出を制御して実現できる。当該顔パックは相転移温度(32℃)以下で無色又は薄色の透明なゲル状膜となり、弛緩状態となって、相転移温度以上で白色の不透明なゲル状膜に転換し、同時に収縮する。顔パックの構成構造は中間が不織布で、周りが温度に感応するヒドロゲルであり、果肉入りゼリーの構造に似ているが、中間が全般的な一層膜である。この顔パックの製造は以下の工程を含む。
【0026】
1)ビニルを含有するアニオンポリウレタンプレポリマー(AVPU)を製造する工程、
2)AVPU、イソプロピルアクリルアミド単体とメチレンビスアクリルアミド架橋剤をセルロース不織布の表面に共重合させることによって、軽度架橋したヒドロゲル(cr-PNIPAAM/PU)を形成する工程、
3)不織布に配置されたcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル層の表面にキトサンを修飾させ、または水溶性キトサンを水溶性ポリウレタン溶液中に直接溶解させ、不織布に配置されたイソプロピルアクリルアミドとポリウレタン共重合物のキトサン修飾ヒドロゲルを得る工程。
詳細な説明は以下の通りである。
【0027】
(1)AVPUの製造
溶媒50-200重量部の中、窒素の保護の状態で、ポリエーテルジオール10-60重量部と、カルボキシルを含有したジオール3-20重量部と、脂肪族ジイソシアネート12-30重量部とを80℃の温度の状態で反応させ、ブロックドイソシアネートのプレポリマーが得られる。これをベースとして、ヒドロキシアクリル酸エステル5-11重量部を添加し、60-70℃で5時間に連続反応させ、ビニルを含有するアニオンポリウレタン単体(AVPU)が得られる。その組成分は以下の通りである。
ポリエーテルジオール 10-60重量部
カルボキシルを含有したジオール 3-20重量部
脂肪族ジイソシアネート 12-30重量部
ヒドロキシアクリル酸エステル 5-11重量部
溶媒 50-200重量部
【0028】
(2) 架橋したポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのヒドロゲルが配置された不織布
上記AVPU0.2-2重量部を一番目の容器、例えば三口フラスコの中に加え、トリエチルアミン0.05-0.1重量部を加え、均一に攪拌し、脱イオン水10-50重量部を滴下し、清澄な水溶性ポリウレタン溶液が得られる。さらにイソプロピルアクリルアミド単体1-10重量部を加え、溶解してから、メチレンビスアクリルアミド架橋剤0.01-2重量部を加える。溶解した後に、開始剤0.001-0.02重量部と促進剤0.001-0.01重量部を加え、均一に攪拌する。混合液を一番目の容器から容器の底に不織布0.02-0.1重量部が配置されている円錐フラスコの中に移し、窒素を通気しながら酸素除去を30分間行ってから密閉し、室温で8時間反応させる。その組成分は以下の通りである。
AVPU 0.2-2重量部
トリエチルアミン 0.05-0.1重量部
イソプロピルアクリルアミド 1-10重量部
メチレンビスアクリルアミド 0.01-2重量部
開始剤 0.001-0.02重量部
促進剤 0.001-0.01重量部
脱イオン水 10-50重量部
【0029】
(3)キトサンによる表面修飾
前記不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのヒドロゲルを脱イオン水で数回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして、24時間以上浸漬し、4時間ごとに一回脱イオン水を交換し、さらに精製を行う。精製されたヒドロゲル0.1-10重量部をEDC 0.02-0.5重量部を含有する緩衝液10-50重量部(pH4-5)の中に含浸し、1時間処理した後、キトサン0.05-1重量部を添加し、室温で24時間反応させる。脱イオン水を用いて繰返し洗浄を行い、未反応の不純物を除去し、中性にする。継続して脱イオン水中に24-168時間浸漬し、3-10時間ごとに一回脱イオン水を交換し、さらに精製を行い、最終的に不織布に配置されたイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られる。その組成分は以下の通りである。
不織布に配置されたcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル 0.1-10重量部
カルボジイミド(EDC) 0.02-0.5重量部
キトサン 0.05-1重量部
pH4-5の緩衝液 10-50重量部
【0030】
本発明の不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルの中にアニオンポリウレタンのカルボキシル含有量は、ポリウレタンとイソプロピルアクリルアミドに比例し、架橋剤の添加量とキトサンの分子量は幅広い範囲で可変であり、特に制限はないが、本発明の目的をより良く実現するため、ジオールカルボキシル酸が15-5重量%であること、ポリウレタンとイソプロピルアクリルアミドとの重量比が1:1〜1:5であること、架橋剤の添加量がイソプロピルアクリルアミドの15〜5重量%であることが好ましく、キトサンの分子量が5000〜50,000の間が好ましく抗菌効果がより良くなる。
【0031】
以下具体的な実施例によって本発明をより詳細に述べるが、いくつか説明をする。
(1)本発明に関する合成ポリウレタン原料のポリエーテルジオールは脱水処理が必要で、イソプロピルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドは再結晶による精製が必要で、キトサンは透析による精製が必要である。
【0032】
(2)本発明では、織物の表面に配置されたヒドロゲルの示差走査熱量法(DSC)による相転移温度の測定は、ヒドロゲルのサンプルを8-15mg計量し、密閉したアルミ製容器に入れ、Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によってサンプルの熱転移温度を測定し、温度範囲は20〜50℃で、昇温速度は5℃/minである。
【0033】
(3)抗菌実験は菌の集落の計数法により抗菌率を計算する。
ARR=(N1−N2)/N2
式中のN1とN2はそれぞれヒドロゲル顔パックにおける培養する前後の菌の集落数。実験用菌類は大腸菌(E.coli)と黄色葡萄球菌(S.aureus)である。
【0034】
(4)顔パック中の常用のビタミンCを栄養素の模型として、ヒドロゲル中に充填された栄養素の温度応答性による放出することを説明する。ビタミンCが空気中で酸化変性しやすく、チオ硫酸ソーダ溶液はビタミンCに安定作用があることを考慮し、放出はチオ硫酸ソーダの薄溶液の中で行う。紫外線−可視光線分光測光器上でビタミンC濃度を測定し、最大吸収波長は264nmである。
【0035】
(実施例1)
ポリテトラヒドロフランエーテルジオール10g、ジメチロールプロピオン酸3.13gとジメチルホルムアミド50gを攪拌器、温度計と回流コンデンサー付き四口フラスコの中に加え、反応物を溶解し、均一に混合した後、窒素15分間を通気して、イソホロンジイソシアネート11.12gを加え、80℃の状態で4時間反応させる。そして、60-70℃に降温して、メタクリル酸−2−オキシエチル4.77gを加え、継続して5時間に反応させ、無色又は薄黄色で、粘性のビニルを含有するアニオンポリウレタン単体(AVPU) が得られる。
【0036】
AVPU0.5gを四口フラスコの中に加え、トリエチルアミン0.25gを滴下し、5分間攪拌して、脱イオン水60gを滴下し、10分間強く攪拌して、イソプロピルアクリルアミド2.5gとメチレンビスアクリルアミド0.2gを加え、溶解した後、過硫酸アンモニウム0.05gとテトラメチルエチレンジアミン0.03gを加え、均一に攪拌した後、事前に用意したセルロース不織布200gを敷いてある円錐フラスコに移し、窒素を通気しながら酸素除去を20分間行ってから密閉し、室温で8時間静置、反応させる。
【0037】
上記得られた不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンヒドロゲルを大量の脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして24時間浸漬し、4時間ごとに水を交換し、さらに精製する。
【0038】
精製したヒドロゲルは、カルボジイミド50mgを含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの緩衝液(pH4.7)10gに含浸され、1時間処理した後、1%キトサン(分子量10,000、デアセチレーション度合80%)を含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの溶液(pH4.7)1gを加え、室温で24時間反応させる。脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の不純物を除去し、中性にする。そして脱イオン水に24時間浸漬し、4時間ごとに水を交換し、最終的に不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られた。
【0039】
Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によって測定したサンプルの熱転移温度は33.2℃である。
【0040】
抗菌性測定は以下の通りであり、大腸菌(E.coli)と黄色葡萄球菌(S.aureus)をそれぞれ75mlの肉スープペプトンの液体培養基に接種し、振とうテープルに置き、37℃、130rpmの状態で24時間培養した後、希釈し、顕微鏡計数法で菌液の濃度を確認する。測定された大腸菌(E.coli)の濃度は1.2×103個/ml、黄色葡萄球菌(S.aureus) の濃度は1.2×105個/mlである。肉スープペプトンを用意し、菌液10mlをヒドロゲル顔パックの表面に添加する。また、顔パックなしの菌液10mlも用意する。37℃の培養箱で24時間培養させ、顕微鏡によりばい菌の成長状況を観察する。抗菌率ARR=70%である。
【0041】
ビタミンCの温度応答性放出測定は以下の通りであり、Vc 0.01gを0.04%のチオ硫酸ソーダの水溶液100mlの中に溶解する。不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルをこの溶液に1時間含浸し、そして、同濃度のチオ硫酸ソーダの水溶液でヒドロゲル表面を洗浄し、表面に付着されたVcを除去する。Vcが吸着されたヒドロゲルをそれぞれ20℃と37℃の0.04%のチオ硫酸ソーダの水溶液の中に含浸し、初期に5分間ごとに溶液中のVcの濃度を測定するが、0.5時間後1時間ごとに測定し、8時間継続して調査する。
【0042】
溶液中のVc濃度により、初期の1時間内に、37℃の状態におけるヒドロゲルの収縮によるVcの放出の速度は20℃時の3-4倍で、後期はヒドロゲル中の多数のVcも放出されたため、37℃時の放出速度は遅くなり、20℃時の2倍しかない。
【0043】
(実施例2)
実施例1によって合成されたAVPU 0.8gを四口フラスコに加え、トリエチルアミン0.3gを滴下し、5分間攪拌して、脱イオン水60gを滴下し、10分間強く攪拌して、イソプロピルアクリルアミド2.5gとメチレンビスアクリルアミド0.2gを加え、溶解した後、過硫酸アンモニウム0.05gとテトラメチルエチレンジアミン0.03gを加え、均一に攪拌した後、事前に用意したセルロース不織布200gを敷いてある円錐フラスコに移し、窒素を通気しながら酸素除去を20分間行ってから密閉し、室温で8時間静置、反応させる。
【0044】
上記得られた不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンヒドロゲルを大量の脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして48時間浸漬し、3-5時間ごとに脱イオン水を交換し、さらに精製する。
【0045】
精製したヒドロゲルは、カルボジイミド50mgを含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの緩衝液(pH4.7)10gに含浸され、1時間処理した後、1%キトサン(分子量10,000、デアセチレーション度合80%)を含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの溶液(pH4.7)1gを加え、室温で24時間反応させる。脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の不純物を除去し、中性にする。そして脱イオン水に24時間浸漬し、4時間ごとに脱イオン水を交換し、最終的に不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られた。
【0046】
Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によって測定したサンプルの熱転移温度は34.5℃である。
【0047】
実施例1の抗菌性測定方法によって測定されたヒドロゲル顔パックの抗菌率ARR=75%である。
【0048】
実施例1のVc濃度測定方法によってVc放出速度を測定する。初期の1時間内に、37℃の状態におけるヒドロゲルの収縮によるVcの放出の速度は20℃時の3倍で、後期はヒドロゲル中の多数のVcも放出されたため、37℃時の放出速度は遅くなり、20℃時の2倍しかない。
【0049】
(実施例3)
実施例1によって合成されたAVPU 0.8gを四口フラスコに加え、トリエチルアミン0.3gを滴下し、5分間攪拌して、脱イオン水60gを滴下し、10分強く攪拌して、イソプロピルアクリルアミド2.5gとメチレンビスアクリルアミド0.2gを加え、溶解した後、過硫酸アンモニウム0.05gとテトラメチルエチレンジアミン0.03gを加え、均一に攪拌した後、事前に用意したセルロース不織布200gを敷いてある円錐フラスコに移し、窒素を通気しながら酸素除去を20分間行ってから密閉し、室温で8時間静置、反応させる。
【0050】
上記得られた不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンヒドロゲルを大量の脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして64時間浸漬し、3-8時間ごとに水を交換し、さらに精製する。
【0051】
精製したヒドロゲルは、カルボジイミド50mgを含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの緩衝液(pH4.7)10gに含浸され、1時間処理した後、1%キトサン(分子量5000、デアセチレーション度合85%)を含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの溶液(pH4.7)1gを加え、室温で24時間反応させる。脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の不純物を除去し、中性にする。そして脱イオン水に24時間浸漬し、4時間ごとに脱イオン水を交換し、最終的に不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られた。
【0052】
Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によって測定したサンプルの熱転移温度は33.0℃である。
【0053】
実施例1の抗菌性測定方法によって測定されたヒドロゲル顔パックの抗菌率ARR=80%である。
【0054】
実施例1のVc濃度測定方法によってVc放出速度を測定する。初期の1時間内に、37℃の状態におけるヒドロゲルの収縮によるVcの放出の速度は20℃時の3-4倍で、後期はヒドロゲル中の多数のVcも放出されたため、37℃時の放出速度は遅くなり、20℃時の2倍しかない。
【0055】
(実施例4)
ポリテトラヒドロフランエーテルジオール10g、ジメチロールプロピオン酸5.0gとジメチルホルムアミド50gを攪拌器、温度計と回流コンデンサー付き四口フラスコの中に加え、反応物を溶解し、均一に混合した後、窒素15分間を通気して、イソホロンジイソシアネート14.0gを加え、80℃の状態で4時間反応させる。そして、60-70℃に降温して、メタクリル酸−2−オキシエチル4.77gを加え、継続5時間に反応させ、無色又は薄黄色で、粘性のビニルを含有するアニオンポリウレタン単体(AVPU) が得られる。
【0056】
AVPU 0.5gを四口フラスコの中に加え、トリエチルアミン0.3gを滴下し、5分間攪拌して、脱イオン水60gを滴下し、10分間強く攪拌して、イソプロピルアクリルアミド2.5gとメチレンビスアクリルアミド0.2gを加え、溶解した後、過硫酸アンモニウム0.05gとテトラメチルエチレンジアミン0.03gを加え、均一に攪拌した後、事前に用意したセルロース不織布200gを敷いてある円錐フラスコに移し、窒素を通気しながら酸素除去を20分間行ってから密閉し、室温で8時間静置、反応させる。
【0057】
上記得られた不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンヒドロゲルを大量の脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして48時間浸漬し、3-7時間ごとに脱イオン水を交換し、さらに精製する。
【0058】
精製したヒドロゲルは、カルボジイミド50mgを含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの緩衝液(pH4.7)10gに含浸され、1時間処理した後、1%キトサン(分子量10,000、デアセチレーション度合80%)を含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの溶液(pH4.7)1gを加え、室温で24時間反応させる。脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の不純物を除去し、中性にする。そして脱イオン水に24時間浸漬し、4時間ごとに脱イオン水を交換し、最終的に不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られた。
【0059】
Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によって測定したサンプルの熱転移温度は35.2℃である。
【0060】
実施例1の抗菌性測定方法によって測定されたヒドロゲル顔パックの抗菌率ARR=83%である。
【0061】
実施例1のVc濃度測定方法によってVc放出速度を測定する。初期の1時間内に、37℃の状態におけるヒドロゲルの収縮によるVcの放出の速度は20℃時の2-4倍で、後期はヒドロゲル中の多数のVcも放出されたため、37℃時の放出速度は遅くなり、20℃時の1.5倍しかない。
【0062】
(実施例5)
ポリテトラヒドロフランエーテルジオール10g、ジメチロールプロピオン酸3.13gとジメチルホルムアミド50gを攪拌器、温度計と回流コンデンサー付き四口フラスコの中に加え、反応物を溶解し、均一に混合した後、窒素15分間を通気して、イソホロンジイソシアネート11.12gを加え、80℃の状態で4時間反応させる。そして、60-70℃に降温して、メタクリル酸−2−オキシエチル4.77gを加え、継続5時間に反応させ、無色又は薄黄色で、粘性のビニルを含有するアニオンポリウレタン単体(AVPU) が得られる。
【0063】
AVPU 0.5gを四口フラスコの中に加え、トリエチルアミン0.25gを滴下し、5分間攪拌して、脱イオン水60gを滴下し、10分強く攪拌して、イソプロピルアクリルアミド2.5gとメチレンビスアクリルアミド0.5gを加え、溶解した後、過硫酸アンモニウム0.05gとテトラメチルエチレンジアミン0.03gを加え、均一に攪拌した後、事前に用意したセルロース不織布200gを敷いてある円錐フラスコに移し、窒素を通気しながら酸素除去を20分間行ってから密閉し、室温で8時間静置、反応させる。
【0064】
上記得られた不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンヒドロゲルを大量の脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして64時間浸漬し、4-6時間ごとに脱イオン水を交換し、さらに精製する。
【0065】
精製したヒドロゲルは、カルボジイミド50mgを含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの緩衝液(pH4.7)10gに含浸され、1時間処理した後、1%キトサン(分子量10,000、デアセチレーション度合80%)を含有する塩酸/テトラメチルエチレンジアミンの溶液(pH4.7)1gを加え、室温で24時間反応させる。脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の不純物を除去し、中性にする。そして脱イオン水に24時間浸漬し、4時間ごとに脱イオン水を交換し、最終的に不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られた。
【0066】
Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によって測定したサンプルの熱転移温度は33.2℃である。
【0067】
実施例1の抗菌性測定方法によって測定されたヒドロゲル顔パックの抗菌率ARR=86%である。
【0068】
実施例1のVc濃度測定方法によってVc放出速度を測定する。初期の1時間内に、37℃の状態におけるヒドロゲルの収縮によるVcの放出の速度は20℃時の4倍で、後期はヒドロゲル中の多数のVcも放出されたため、37℃時の放出速度は遅くなり、20℃時の1.8倍しかない。
【0069】
(実施例6)
実施例1によって合成されたAVPU 0.8gを四口フラスコに加え、トリエチルアミン0.3gを滴下し、5分間攪拌して、まず脱イオン水10gを滴下し、それから脱イオン水50gを用いて、ある程度のキトサン(分子量5000、デアセチレーション度合80%)を溶解し、キトサンの量は、キトサン中のアミノとAVPU中のカルボキシルの1:1モル比に基づいて添加し、溶解されたキトサン溶液も四口フラスコに滴下し、10分間強く攪拌して、イソプロピルアクリルアミド2.5gとメチレンビスアクリルアミド0.2gを加え、溶解した後、過硫酸アンモニウム0.05gとテトラメチルエチレンジアミン0.03gを加え、均一に攪拌した後、事前に用意したセルロース不織布200gを敷いてある円錐フラスコに移し、窒素を通気しながら酸素除去を20分間行ってから密閉し、室温で8時間静置、反応させる。
【0070】
上記得られた不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンヒドロゲルを大量の脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして144時間浸漬し、3-6時間ごとに脱イオン水を交換し、さらに精製する。最終的に不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られた。
【0071】
Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によって測定したサンプルの熱転移温度は33.1℃である。
【0072】
抗菌性測定は以下の通りであり、大腸菌(E.coli)と黄色葡萄球菌(S.aureus)をそれぞれ75mlの肉スープペプトンの液体培養基に接種し、振とうテープルに置き、37℃、130rpmの状態で24時間培養した後、希釈し、顕微鏡計数法で菌液の濃度を確認する。測定された大腸菌(E.coli)の濃度は1.2×103個/ml、黄色葡萄球菌(S.aureus) の濃度は1.2×105個/mlである。肉スープペプトンを用意し、菌液10mlをヒドロゲル顔パックの表面に添加する。また、顔パックなしの菌液10mlも用意する。37℃の培養箱で24時間培養させ、顕微鏡によりばい菌の成長状況を観察する。抗菌率ARR=80%である。
【0073】
ビタミンCの温度応答性放出測定は以下の通りであり、Vc 0.01gを0.04%のチオ硫酸ソーダの水溶液100mlの中に溶解する。不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルをこの溶液に1時間含浸し、そして、同濃度のチオ硫酸ソーダの水溶液でヒドロゲル表面を洗浄し、表面に附着されたVcを除去する。Vcが吸着されたヒドロゲルをそれぞれ20℃と37℃の0.04%のチオ硫酸ソーダの水溶液の中に含浸させ、初期に5分間ごとに溶液中のVcの濃度を測定するが、0.5時間後1時間ごとに測定し、8時間継続して調査する。
【0074】
溶液中のVc濃度により、初期の1時間内に、37℃の状態におけるヒドロゲルの収縮によるVcの放出の速度は20℃時の3-4倍で、後期はヒドロゲル中の多数のVcも放出されたため、37℃時の放出速度は遅くなり、20℃時の2- 3倍しかない。
【0075】
(実施例7)
実施例1によって合成されたAVPU 0.8gを四口フラスコに加え、トリエチルアミン0.3gを滴下するように加え、5分間攪拌して、まず脱イオン水10gを滴下し、それから脱イオン水50gを用いて、ある程度のキトサン(分子量5000、デアセチレーション度合80%)を溶解させ、キトサンの量は、キトサン中のアミノとAVPU中のカルボキシルの1:1モル比に基づいて添加し、溶解したキトサン溶液も四口フラスコに滴下し、10分間強く攪拌して、イソプロピルアクリルアミド2.5gとメチレンビスアクリルアミド0.2gを加え、溶解した後、過硫酸アンモニウム0.05gとテトラメチルエチレンジアミン0.03gを加え、均一に攪拌した後、事前に用意したセルロース不織布200gを敷いてある円錐フラスコに移し、窒素を通気しながら酸素除去を20分間行ってから密閉し、室温で8時間静置、反応させる。
【0076】
上記得られた不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンヒドロゲルを大量の脱イオン水を用いて三回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去し、そして168時間浸漬し、3-5時間ごとに水を交換し、さらに精製する。最終的に不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られた。
【0077】
Elmer Perkin DSC-7示差走査熱量計によって測定したサンプルの熱転移温度は34.4℃である。
【0078】
実施例1の抗菌性測定方法によって測定されたヒドロゲル顔パックの抗菌率ARR=85%である。
【0079】
実施例1のVc濃度測定方法によってVc放出速度を測定する。初期の1時間内に、37℃の状態におけるヒドロゲルの収縮によるVcの放出の速度は20℃時の3倍で、後期はヒドロゲル中の多数のVcも放出されたため、37℃時の放出速度は遅くなり、20℃時の1-2倍しかない。
【0080】
上記の実施例は、本発明に対してさらに説明するためであり、本発明の保護範囲を制限するものではなく、本分野の技術者は本発明の内容に基づき、本発明の保護範囲を超えない状態で、本発明の内容をその他の面で改良および調整できることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルを含有するアニオンポリウレタンプレポリマー(AVPU)を製造し、AVPU、イソプロピルアクリルアミド単体およびメチレンビスアクリルアミド架橋剤をセルロース不織布の表面に共重合させることによって、軽度架橋したヒドロゲル(cr-PNIPAAM/PU)が形成され、不織布に配置されるキトサン修飾cr-PNIPAAM/PUヒドロゲル表面層が形成された温度応答性の機能性顔パックであって、
製造されたAVPUには、ポリエーテルジオール10-60重量部、カルボキシル基を含有したジオール3-20重量部、脂肪族ジイソシアネート12-30重量部、ヒドロキシアクリル酸エステル5-11重量部および溶媒50-200重量部が含まれ、
架橋されたポリイソプロピルアクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドを配置させたセルロース不織布には、AVPU0.2-2重量部、トリエチルアミン0.05-0.1重量部、イソプロピルアクリルアミド1-10重量部、メチレンビスアクリルアミド0.01-2重量部、開始剤0.001-0.02重量部、促進剤0.001-0.01重量部、不織布0.02-0.1重量部、脱イオン水10-50重量部が含まれ、
キトサンで修飾させた表面には、不織布に配置したcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル0.1-10重量部、カルボジイミド(EDC)0.02-0.5重量部、キトサン0.05-1重量部、pH4-5の緩衝液10-50重量部が含まれる、ことを特徴とする温度応答性の機能性パック。
【請求項2】
前記キトサンの分子量は5000〜50,000の間で、前記カルボキシル基を含有したジオールのAVPUの製造における含有量は5-15重量%であることを特徴とする請求項1記載の温度応答性の機能性顔パック。
【請求項3】
前記ポリウレタンプレポリマーとイソプロピルアクリルアミドとの重量比は1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1記載の温度応答性の機能性顔パック。
【請求項4】
前記メチレンビスアクリルアミド架橋剤の添加量はイソプロピルアクリルアミドの15〜5重量%であることを特徴とする請求項1記載の温度応答性の機能性顔パック。
【請求項5】
a)ビニルを含有するアニオンポリウレタンプレポリマー(AVPU)を製造する工程と、
b)AVPU、イソプロピルアクリルアミド単体とメチレンビスアクリルアミド架橋剤をセルロース不織布の表面に共重合させることによって、軽度架橋したヒドロゲル(cr-PNIPAAM/PU)を形成する工程と、
c)不織布に配置されたcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル層の表面にキトサンを修飾させ、または水溶性キトサンを水溶性ポリウレタン溶液中に直接溶解させ、不織布に配置されたイソプロピルアクリルアミドとポリウレタン共重合物のキトサン修飾ヒドロゲルを得る工程と、を含むことを特徴とする温度応答性の機能性顔パックの製造方法。
【請求項6】
前記ビニルを含有するアニオンポリウレタンプレポリマーを製造する工程は、
溶媒50-200重量部中、窒素の保護の状態で、ポリエーテルジオール10-60重量部と、カルボキシルを含有したジオール3-20重量部と、脂肪族ジイソシアネート12-30重量部とを70〜90℃の温度の状態で反応させ、ブロックドイソシアネートのプレポリマーが得られることであり、
得られたプレポリマーの中にヒドロキシアクリル酸エステル5-11重量部を添加し、50-70℃で4-6時間に連続反応させ、ビニルを含有するアニオンポリウレタン単体(AVPU)が得られることであることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記AVPU、イソプロピルアクリルアミド単体とメチレンビスアクリルアミド架橋剤をセルロース不織布の表面に共重合させることによって、軽度架橋したヒドロゲル(cr-PNIPAAM/PU)を形成する工程は、
10〜30℃の状態で、まずAVPU 0.2-2重量部を一番目の容器の中に加え、それからトリエチルアミン0.05-0.1重量部を加え、均一に攪拌し、脱イオン水10-50重量部を滴下し、清澄な水溶性ポリウレタン溶液が得られることと、
さらにイソプロピルアクリルアミド単体1-10重量部を加え、溶解してから、メチレンビスアクリルアミド架橋剤0.01-2重量分を加え、溶解した後に、開始剤0.001-0.02重量部および促進剤0.001-0.01重量部を加え、均一に攪拌することと、
上記均一に攪拌された混合液を一番目の容器から、容器の底に不職布0.02-0.1重量部が配置されている二番目の容器の中に移し、二番目の容器に窒素を通気しながら酸素除去を30分間行ってから密閉し、室温で1-24時間反応させ、不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのヒドロゲルが得られることと、を含むことを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
不織布に配置されたcr-PNIPAAM/PUヒドロゲル層の表面を修飾させる工程は、
不織布に配置されたポリイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのヒドロゲルを脱イオン水で数回洗浄し、未反応の単体と不純物を除去することと、
その後、24時間以上浸漬し、3-10時間ごとに一回脱イオン水を交換し、第一回精製を行うことと、
第一回精製されたヒドロゲル0.1-10重量部は、カルボジイミド(EDC)0.02-0.5重量部を含有する緩衝液10-50重量部の中(pH4-5)に含浸され、1時間処理した後、キトサン0.05-1重量部を加え、室温で1-24時間反応させることと、
脱イオン水を用いて生成物を洗浄し、未反応の不純物を除去し、中性にしてから、継続して脱イオン水中に24-168時間浸漬し、3-10時間ごとに一回脱イオン水を交換し、第二回精製を行い、不織布に配置されたイソプロピルアクリルアミドとポリウレタンのキトサン修飾ヒドロゲルが得られることと、を含むことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
合成ポリウレタンの原料に使用されるポリエーテルジオールに予め脱水を行う工程、原料中のイソプロピルアクリルアミドとメチレンビスアクリルアミドを再結晶することによって精製する工程および原料中のキトサンを透析することによって精製する工程を含むことを特徴とする請求項6から請求項8の何れか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
栄養素をヒドロゲルに予め含浸させる工程を含むことを特徴とする請求項6から請求項9の何れか1項に記載の製造方法。

【公表番号】特表2008−546723(P2008−546723A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517297(P2008−517297)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000928
【国際公開番号】WO2006/136074
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507417662)香港理工大学 (1)
【Fターム(参考)】