説明

温度校正装置及び温度校正方法

【課題】熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を適切に校正する。
【解決手段】温度校正装置の温度検査治具10は、熱処理板上に載置される被処理ウェハ70と、被処理ウェハ70上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する4つの測温抵抗体71と、被処理ウェハ70上に設けられ、測温抵抗体71と電気的に接続され、且つ被処理ウェハ70の温度計測時に接触子が接触する8つのコンタクトパッド72とを有している。8つのコンタクトパッド72は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されている。温度校正装置の制御部では、コンタクトパッド72と接触子を介して測定される測温抵抗体71の抵抗値に基づいて被処理ウェハ70の温度を計測し、さらに当該計測された被処理ウェハ70の温度に基づいて熱処理板の温度を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置、及び当該温度校正装置を用いた温度校正方法に関する。なお、ここで言う校正とは、熱処理機構の温度を計測し、当該熱処理機構の温度を所望の値に調節することを意味する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィー工程では、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布した後の加熱処理(プリベーキング処理)、レジスト膜に所定のパターンを露光した後の加熱処理(ポストエクスポージャーベーキング処理)、露光されたレジスト膜を現像した後の加熱処理(ポストベーキング処理)などの種々の熱処理が行われている。また、これら加熱処理後にウェハの温度を調節する熱処理も行われている。さらに、エッチング処理や成膜処理などのプラズマ処理においても、ウェハの温度を調節する熱処理が行われている。
【0003】
上述した熱処理は、例えば熱処理装置において所定の温度に設定された熱処理板上にウェハを載置して行われる。そして、この熱処理を適切に行うためには、熱処理板上のウェハの温度分布を事前に計測し、当該計測結果に基づいて熱処理板の温度を適宜補正することが重要である。そこで、従来、この熱処理におけるウェハの温度を計測することが行われている。
【0004】
かかるウェハの温度の計測には、従来より種々の計測装置が用いられてきた。有線式の計測装置を用いた場合、ウェハ上に温度センサが複数設けられ、当該温度センサと外部に設けられた計測回路がケーブルで接続される。かかる場合、ケーブルによってウェハの搬送が制限され、しかも搬送のための制御が煩雑になる。また、このケーブルによって熱処理を行う空間を密閉空間とすることができず、本来測定されるべき処理空間が再現されず、正確な温度測定を行うことができない。
【0005】
また、無線式の計測装置を用いた場合、温度センサと計測回路は共にウェハ上に設けられる。かかる場合、ウェハ上に多数の部品が搭載されるため、その構造が複雑になると共に、これらの計測回路が高温下において誤作動を起こす恐れがある。また、ウェハ全体の体積(厚さ)が大きくなるため、ウェハの搬送時や温度測定時に、ウェハが他の装置と干渉するおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献1には、複数の温度センサと、当該複数の温度センサのセンサ出力を出力信号として出力する接点とがウェハ表面に設けられたウェハ型温度センサを用いることが提案されている。かかる場合、熱処理装置の内部に設けられた接触子をウェハ上の接点に接触させる。接点からの出力信号は、接触子を介して熱処理装置の外部に設けられたデータ管理部に出力される。そして、データ管理部では、出力信号に基づいて、ウェハの温度が判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−187619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1の方法を用いた場合、ウェハ型温度センサが熱処理板上の所定の位置に配置されない、すなわちウェハ型温度センサが所定の位置から水平面内で回転した状態で熱処理板上に載置される場合がある。かかる場合、ウェハ型温度センサ上の接点が所定の位置に配置されず、当該接点に接触子が適切に接触しない。そうすると、温度センサのセンサ出力はデータ管理部に出力されず、ウェハの温度を適切に計測することができない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を適切に校正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体と、前記基板上に設けられ、前記測温抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数のコンタクトパッドと、前記コンタクトパッドと前記接触子を介して測定される前記測温抵抗体の抵抗値に基づいて前記基板の温度を計測する制御部と、を有し、前記複数のコンタクトパッドは、前記基板の周縁部に沿って連続して配置されていること特徴としている。なお、前記制御部は、前記計測された基板の温度に基づいて前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0011】
本発明によれば、先ず、基板上のコンタクトパッドに接触子を接触させ、当該コンタクトパッドと接触子を介して測温抵抗体の抵抗値を測定する。このとき、コンタクトパッドは基板の周縁部に沿って連続して配置されているので、例えば基板が所定の位置から水平面内で回転した状態であっても、接触子はコンタクトパッドに確実に接触する。このため、測温抵抗体の抵抗値が確実に測定される。次に、測定された測温抵抗体の抵抗値に基づいて、基板の温度を計測する。そして、計測された基板の温度に基づいて、熱処理機構の温度を調節できる。このように、本発明によれば、基板の温度を適切に計測して、熱処理機構の温度を適切に調節することができる。そして、このように温度調節された熱処理機構によって、後続の基板に対する熱処理を適切に行うことができる。
【0012】
前記温度校正装置は、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ前記測温抵抗体の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有する基準抵抗体と、前記基板上に設けられ、前記基準抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数の基準コンタクトパッドと、を有し、前記複数のコンタクトパッドと前記複数の基準コンタクトパッドは、前記基板の周縁部に沿って連続して配置されていてもよい。
【0013】
複数の前記測温抵抗体でホイートストンブリッジ回路を形成し、前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。なお、ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるとは、当該ホイートストンブリッジ回路の中点間の電位差がゼロになる状態をいい、すなわちホイートストンブリッジ回路のオフセット電圧がゼロになる状態をいう。
【0014】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0015】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数形成され、前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0016】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であってもよい。
【0017】
前記測温抵抗体と前記前記コンタクトパッドは、水平方向に所定の距離離間して配置されていてもよい。
【0018】
前記コンタクトパッドは、前記基板の表面から鉛直方向に所定の距離離間して配置されていてもよい。
【0019】
前記基板の表面であって、前記コンタクトパッドの直下には、断熱層が形成されていてもよい。
【0020】
前記熱処理装置は、前記熱処理機構の上方において昇降自在に設けられた蓋部材を有し、前記接触子は、前記コンタクトパッドに対向するように前記蓋部材の下面に配置され、前記蓋部材が所定の位置に下降した際に前記コンタクトパッドと前記接触子が接触してもよい。
【0021】
別な観点による本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、温度校正装置を用いて前記熱処理機構の温度を校正する温度校正方法であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体と、前記基板上の周縁部に沿って連続して配置され、前記測温抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数のコンタクトパッドと、から構成される前記温度校正装置を用いて、前記熱処理機構上に載置された基板上のコンタクトパッドに前記接触子を接触させ、当該コンタクトパッドと接触子を介して前記測温抵抗体の抵抗値を測定する第1の工程と、前記測定された測温抵抗体の抵抗値に基づいて前記基板の温度を計測する第2の工程と、を行うことを特徴としている。
【0022】
前記温度校正装置は、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ前記測温抵抗体の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有する基準抵抗体と、前記基板上に設けられ、前記基準抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数の基準コンタクトパッドと、を有し、前記複数のコンタクトパッドと前記複数の基準コンタクトパッドは、前記基板の周縁部に沿って連続して配置され、前記第1の工程において、前記基準コンタクトパッドに前記接触子を接触させ、当該基準コンタクトパッドと接触子を介して前記基準抵抗体の抵抗値を測定してもよい。
【0023】
前記温度校正方法は、前記計測された基板の温度に基づいて前記熱処理機構の温度を調節する第3の工程を有していてもよい。
【0024】
複数の前記測温抵抗体でホイートストンブリッジ回路を形成し、前記第3の工程において、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0025】
前記第3の工程において、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0026】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数形成され、前記第3の工程において、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0027】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であり、前記第3の工程において、前記領域毎に前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0028】
前記測温抵抗体と前記前記コンタクトパッドは、水平方向に所定の距離離間して配置されていてもよい。
【0029】
前記コンタクトパッドは、前記基板の表面から鉛直方向に所定の距離離間して配置されていてもよい。
【0030】
前記基板の表面であって、前記コンタクトパッドの直下には、断熱層が形成されていてもよい。
【0031】
前記熱処理装置は、前記熱処理機構の上方において昇降自在に設けられた蓋部材を有し、前記接触子は、前記コンタクトパッドに対向するように前記蓋部材の下面に配置され、前記第1の工程において、前記蓋部材が所定の位置に下降した際に前記コンタクトパッドと前記接触子が接触するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を適切に校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態にかかる温度校正装置と熱処理装置の構成の概略を示す説明図である。
【図2】熱処理板の構成の概略を示す平面図である。
【図3】温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図4】温度検査治具の構成の概略を示す側面図である。
【図5】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図6】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図7】ホイートストンブリッジ回路の構成の概略を示す説明図である。
【図8】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図9】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図10】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す側面図である。
【図11】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる温度校正装置1と、当該温度校正装置1が適用される熱処理装置2の構成の概略を示す説明図である。温度校正装置1は、熱処理装置2に対して後述する熱処理機構としての熱処理板50の温度の調節を行い、当該熱処理板50に載置される温度検査治具10を有している。また、熱処理装置2は、熱処理板50上に基板としてのウェハWを載置して、当該ウェハWの熱処理を行う。
【0035】
熱処理装置2は、図1に示すように側面に温度検査治具10又はウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器20を有している。処理容器20内には、上側に位置して鉛直方向に昇降動自在な蓋部材30と、下側に位置して蓋部材30と一体となって処理室Kを形成する熱板収容部31が設けられている。
【0036】
蓋部材30は、略円筒形状を有している。蓋部材30の下面外周部には突起部40が形成され、当該突起部40が熱板収容部31と当接して処理室Kが形成されるようになっている。また、蓋部材30の下面には、鉛直下方に延伸する、例えばポゴピン等の接触子41が複数設けられている。接触子41には、導電性を有する材料が用いられる。複数の接触子41は、温度検査治具10の後述するコンタクトパッド72に対応(対向)して配置されている。すなわち、複数の接触子41は後述する被処理ウェハ70の周縁部に沿って配置されており、図1の例においては一断面における接触子41の配置を示している。また、蓋部材30の上面中央部には、排気部42が設けられている。処理室K内の雰囲気は、排気部42から均一に排気される。
【0037】
熱板収容部31は、熱処理板50を収容して熱処理板50の外周部を保持する環状の保持部材51と、その保持部材51の外周を囲む略筒状のサポートリング52を備えている。
【0038】
熱処理板50は、図2に示すように複数、例えば4つの熱板領域R、R、R、Rに区画されている。熱処理板50は、例えば平面視において4等分に区画されている。すなわち、熱板領域R、R、R、Rは、それぞれ中心角が90度の扇形状を有している。
【0039】
熱処理板50の各熱板領域R〜Rには、電気供給により発熱するヒータ53が個別に内蔵され、各熱板領域R〜R毎に加熱できる。各熱板領域R〜Rのヒータ53の発熱量は、後述する制御部100により調節されている。制御部100は、ヒータ53の発熱量を調節して、各熱板領域R〜Rの温度を所定の温度に制御できる。
【0040】
図1に示すように熱処理板50の下方には、温度検査治具10又はウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン60が設けられている。昇降ピン60は、昇降駆動機構61により鉛直方向に昇降できる。熱処理板50の中央部付近には、熱処理板50を厚み方向に貫通する貫通孔62が形成されている。昇降ピン60は、熱処理板50の下方から上昇して貫通孔62を通過し、熱処理板50の上方に突出できるようになっている。
【0041】
次に、温度校正装置1の構成について説明する。温度校正装置1は、図1に示したように熱処理板50上に載置される温度検査治具10を有している。温度検査治具10は、図3に示すように基板としての被処理ウェハ70を有している。被処理ウェハ70は、ウェハWと同一材料、例えばシリコンで構成され、ウェハWと一の平面形状を有している。なお、正確な温度を測定する為、被処理ウェハ70は実際のウェハWと同一であることが望ましいが、これに限られず、形状、材質等が異なっていても構わない。
【0042】
被処理ウェハ70上には、複数、例えば4つの測温抵抗体71、複数、例えば8つのコンタクトパッド72、及び測温抵抗体71とコンタクトパッド72を電気的に接続する配線73が形成されている。これら測温抵抗体71、コンタクトパッド72、配線73は、例えば被処理ウェハ70にフォトリソグラフィー処理を行うことによって一括して形成される。なお、被処理ウェハ70が導体である場合には、これらの素子が形成される前に、表面に十分な絶縁加工を行えばよい。
【0043】
測温抵抗体71は、温度変化に対して抵抗値が変化する抵抗体であり、例えばRTD(Resistance Temperature Detector)やサーミスタなどが用いられる。測温抵抗体71は、被処理ウェハ70の温度の測定点に配置されている。なお、測温抵抗体71の配置や数は、本実施の形態に限定されず任意に設定することができる。
【0044】
コンタクトパッド72には、図4に示すように熱処理板50の温度調節時に接触子41が接触する。コンタクトパッド72には、導電性を有する材料、例えばアルミニウムが用いられる。図3に示すようにコンタクトパッド72は、一の測温抵抗体71に対して2つ設けられている。すなわち、測温抵抗体71の抵抗値はいわゆる2線接続式で測定される。そして、一のコンタクトパッド72は正極として機能し、他のコンタクトパッド72は負極として機能する。
【0045】
また、複数のコンタクトパッド72は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されている。また、コンタクトパッド72は、測温抵抗体71から水平方向に所定の距離Dだけ離間して配置されている。この所定の距離Dは、コンタクトパッド72に接触子41が接触した際に、当該接触子41の接触によって測温抵抗体71が温度変化の影響を受けない距離に設定される。すなわち、本実施の形態では、接触子41が接触することによって、測温抵抗体71が設けられた領域において被処理ウェハ70の温度が低下しない。実際に処理されるウェハWには、当該接触子41は接触しないのだから、このようにすれば実際のウェハWの温度を正確に測定することが可能になる。所定の距離Dは、被処理ウェハ70の材料や熱処理温度等に応じて設定される。例えば被処理ウェハ70には径300mmのシリコンが用いられ、当該被処理ウェハ70の熱処理温度が150℃の場合、所定の距離Dは例えば20mmとなる。
【0046】
なお、配線73には、コンタクトパッド72と同様に、例えばアルミニウムが用いられる。
【0047】
また、温度校正装置1は、図1に示すように熱処理装置2の外部に設けられた制御部100を有している。制御部100は、例えばコンピュータであって、例えばプロセッサ、メモリ、アンプ、スイッチなどを備えた計測回路を有している。この計測回路によって、制御部100は、測温抵抗体71の抵抗値等を計測することができる。また、制御部100は、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、例えば測温抵抗体71の抵抗値に基づいて、熱処理板50の温度(ヒータ53の発熱量)を調節するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部100にインストールされたものであってもよい。また、熱処理装置2自体が、熱処理板50の温度を調節する温度調節機構を有している場合は、制御部100は、計測した温度に基づいて、当該温度調節機構を制御するものであってもよい。熱処理装置2が有する機能に応じて、適宜対応すればよい。
【0048】
次に、以上のように構成された温度校正装置1を用いて、熱処理装置2の熱処理板50の温度を調節する方法について説明する。
【0049】
先ず、温度検査治具10が、熱処理装置2に搬入される。温度検査治具10は、予め上昇して待機していた昇降ピン60に受け渡される。その後、昇降ピン60が下降して、温度検査治具10が熱処理板50上に載置される。このとき、熱処理板50の各熱板領域R〜Rは、制御部100によって予め定められた初期温度に調節されている。その後、蓋部材30が所定の位置に下降して、当該蓋部材30が閉じられる。そして、所定の時間、熱処理板50上に載置された温度検査治具10の被処理ウェハ70に対して熱処理が行われる。
【0050】
一方、熱処理板50上に載置された温度検査治具10のコンタクトパッド72には、接触子41が接触している。このとき、コンタクトパッド72は被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されているので、被処理ウェハ70が所定の位置から水平面内で回転した状態で熱処理板50上に載置されても、接触子41はコンタクトパッド72に確実に接触する。各コンタクトバッド72間の隙間は、当該隙間に接触子41が接触する可能性が無視できるほどに小さくしておくことが望ましい。そして、被処理ウェハ70に対する熱処理の終了後、コンタクトパッド72から接触子41を介して制御部100に、測温抵抗体71の抵抗値の測定結果が出力される。次に、制御部100において、測定された測温抵抗体71の抵抗値に基づいて、被処理ウェハ70の温度を計測する。このとき、被処理ウェハ70の温度の面内分布を可視化してもよい。そして、計測された被処理ウェハ70の温度に基づいて、当該被処理ウェハ70の温度が所定の温度になるように、熱処理板50の温度を調節する。このとき、制御部100は、熱処理板50の温度を熱板領域R〜R毎に調節する。
【0051】
以上のように熱処理板50の温度が調節されると、昇降ピン60を上昇させ、温度検査治具10が熱処理装置2から搬出される。こうして、熱処理板50の温度が調節される。
【0052】
なお、1回の温度調節ですべての測温抵抗体71の抵抗値(被処理ウェハ70の温度)を所定の値にできない場合は、複数回の温度調節を行う。すなわち、被処理ウェハ70の熱処理、測温抵抗体71の抵抗値の測定、及び熱処理板50の温度調節が繰り返し行われ、被処理ウェハ70が所定の温度で均一に熱処理される。
【0053】
以上の実施の形態によれば、コンタクトパッド72が被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されているので、被処理ウェハ70が所定の位置から水平面内で回転した状態で熱処理板50上に載置されても、接触子41はコンタクトパッド72に確実に接触する。このため、測温抵抗体71の抵抗値を確実に測定でき、熱処理板50上の被処理ウェハ70の温度を適切に計測することができる。したがって、この計測された被処理ウェハ70の温度に基づいて、熱処理板50の温度を適切に調節することができる。そして、このように温度調節された熱処理板50によって後続のウェハWに対する熱処理を適切に行うことができる。
【0054】
また、測温抵抗体71とコンタクトパッド72は、水平方向に所定の距離Dだけ離間して配置されているので、コンタクトパッド72に接触子41が接触した際に、当該接触子41の接触によって測温抵抗体71が温度変化の影響を受けない。したがって、測温抵抗体71の抵抗値を正確に測定することができる。
【0055】
さらに、熱処理板50は複数の熱板領域R〜Rに区画され、各熱板領域R〜Rに個別にヒータ53が内蔵されている。このため、各熱板領域R〜R毎に温度を調節することができ、熱処理板50の温度調節をより厳密に行うことができる。
【0056】
以上の実施の形態では、一の測温抵抗体71に対して2つのコンタクトパッド72を接続し、いわゆる2線接続式で測温抵抗体71の抵抗値を測定していたが、2線接続式に代えて4線接続式を用いてもよい。かかる場合、一の測温抵抗体71に対して4つのコンタクトパッド72が接続される。そして、4線接続式を用いた場合、測温抵抗体71の抵抗値をより正確に測定することができる。
【0057】
以上の実施の形態において、図5に示すように複数の測温抵抗体71のうち、一の測温抵抗体を基準抵抗体110としてもよい。基準抵抗体110は、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ測温抵抗体71の抵抗値と所定量以上、例えば300Ω以上解離した抵抗値を有している。基準抵抗体110は、温度変化に応じて抵抗値が変化したとしても、他の測温抵抗体71から区別できるほど、抵抗値の変化帯域が異なるか、変化の幅が十分に小さければよい。また、基準抵抗体110には、2つの基準コンタクトパッド111が配線112を介して電気的に接続されている。基準コンタクトパッド111には、熱処理板50の温度調節時に接触子41が接触する。基準コンタクトパッド111と配線112には、導電性を有する材料、例えばアルミニウムが用いられる。そして、複数のコンタクトパッド72と複数の基準コンタクトパッド111は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されている。
【0058】
かかる場合、基準抵抗体110は、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ測温抵抗体71の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有しているので、被処理ウェハ70を熱処理中に測定される、測温抵抗体71の抵抗値と基準抵抗体110の抵抗値を区別することができる。これによって、制御部100において、熱処理板50に対する基準抵抗体110の位置を把握することができるので、他の測温抵抗体71の位置を把握することができ、熱処理板50上の被処理ウェハ70の水平面内における位置も把握することができる。すなわち、基準抵抗体110及び測温抵抗体71の位置と、熱処理板50の熱板領域R〜Rを対応付けることができる。したがって、本実施の形態によれば、熱処理板50の温度調節を熱板領域R〜R毎に適切に行うことができる。
【0059】
以上の実施の形態の温度検査治具10において、図6に示すように被処理ウェハ70上には、ホイートストンブリッジ回路120が形成されていてもよい。各ホイートストンブリッジ回路120は、上述した4つの測温抵抗体71を有している。また、ホイートストンブリッジ回路120の頂点部には、金属パッド121が配置されている。そして、測温抵抗体71と金属パッド121は、配線122で接続されている。また、金属パッド121とコンタクトパッド72は、配線123で接続されている。コンタクトパッド72は、上記実施の形態と同様に、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されている。これら金属パッド121と配線122、123には、導電性を有する材料、例えばアルミニウムが用いられる。なお、本実施の形態において、金属パッド110には接触子41が接触しないため、当該金属パッド110を省略して、配線122と配線123を直接接続してもよい。
【0060】
図7に示すようにホイートストンブリッジ回路120では、直列する2つの測温抵抗体71、71の両端部に設けられた一対の金属パッド121a、121a、すなわちコンタクトパッド72a、72aは、ホイートストンブリッジ回路120に電圧を印加するために用いられる。また、直列する2つの測温抵抗体71、72の中間点に設けられた一対の金属パッド121b、121b、すなわちコンタクトパッド72b、72bは、当該コンタクトパッド72b、72b間の電圧を測定するために用いられる。すなわち、コンタクトパッド72b、72bは、ホイートストンブリッジ回路120におけるオフセット電圧を測定するために用いられる。なお、図7中の矢印は、ホイートストンブリッジ回路71に電圧を印加した際の電流を示している。
【0061】
かかる場合、熱処理後の被処理ウェハ70に対して、当該被処理ウェハ70上のコンタクトパッド72a、72aに接触子41を介して所定の電圧が印加される。続いて、コンタクトパッド72b、72bから接触子41を介して制御部100に、測定結果の信号が出力される。こうして制御部100では、ホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧(コンタクトパッド72b、72b間の電圧)が測定される。そして、制御部100では、複数のホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度の調節が行われる。すなわち、制御部100は、複数のホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度を熱板領域R〜R毎に調節する。
【0062】
なお、ホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧がゼロになるとは、当該ホイートストンブリッジ回路120における4つの測温抵抗体71の抵抗値が等しくなるということである。すなわち、ホイートストンブリッジ回路120が設けられた被処理ウェハ70の温度が均一になるということである。したがって、すべてのホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧がゼロになると、被処理ウェハ70全体で温度が均一になる。
【0063】
本実施の形態によれば、被処理ウェハ70上に形成されたホイートストンブリッジ回路120が平衡状態となるように、すなわち、ホイートストンブリッジ回路120におけるオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度が調節される。かかる場合、オフセット電圧がゼロになるので、ホイートストンブリッジ回路120における4つの測温抵抗体71の抵抗値、すなわちこれら測温抵抗体71で計測される被処理ウェハ70の温度が等しくなる。しかも、被処理ウェハ70上のすべてのホイートストンブリッジ回路120におけるオフセット電圧がゼロになるので、これらのホイートストンブリッジ回路120における被処理ウェハ70の温度が等しくなる。したがって、本実施の形態によれば、被処理ウェハ70を水平面内で均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を適切に調節することができる。換言すれば、本実施の形態は、熱処理板50の温度調節に際し、被処理ウェハ70の温度の面内均一性が確保できればよく、絶対的な温度調節が不要な場合に特に有用である。熱処理板50の設定出力は、本来、信用に値するものであるが、時間の経過に伴って、出力値がばらつく個体が出てくることは実際の現場ではよくあることである。このような場合は、面内の均一性が確保された時点で、温度調節が十分になされたとみなすことができる。
【0064】
また、ホイートストンブリッジ回路120は4つの測温抵抗体71を備えているため、従来の方法を用いると、4箇所の温度が計測される。そうすると、これら4つのパラメータを用いて熱処理板50の温度が調節されることになる。これに対して、本実施の形態によれば、熱処理温度50の温度を調節するために用いるパラメータは、ホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧の1つのみである。このように本実施の形態によればパラメータ数が少ないため、簡易な制御で熱処理板50の温度を調節することができる。したがって、熱処理板50のヒータ53にかかる負荷を小さくできると共に、熱処理板50の温度調節を短時間で行うことができる。
【0065】
さらに、上記実施の形態では、1つの測温抵抗体71に対して2つのコンタクトパッド72(2本の配線73)が設けられている。これに対して、ホイートストンブリッジ回路120では、4つの測温抵抗体71に対して4つのコンタクトパッド72(4本の配線122)が設けられている。したがって、本実施の形態のようにホイートストンブリッジ回路120を用いた場合、コンタクトパッド72の数や配線の本数を減少させることができる。
【0066】
以上の実施の形態では、熱処理板50の温度調節を行うパラメータとして、ホイートストンブリッジ回路120におけるオフセット電圧が用いられていたが、このオフセット電圧に加えて、ホイートストンブリッジ回路120における電流値を用いてもよい。
【0067】
かかる場合、熱処理装置2において、熱処理板50上に載置された温度検査治具10に熱処理を行った後、当該温度検査治具10におけるホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧に加えて、当該ホイートストンブリッジ回路120の電流値が測定される。そして、制御部100では、すべてのホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧がゼロになると共に、ホイートストンブリッジ71の電流値が所定の値になり、且つすべてのホイートストンブリッジ回路120における電流値が等しくなるように、熱処理板50の温度が調節される。
【0068】
本実施の形態によれば、被処理ウェハ70上のすべてのホイートストンブリッジ回路120における測温抵抗体71の抵抗値を等しく所定の値にすることができる。したがって、被処理ウェハ70を所定の温度で均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を調節することができる。かかる場合でも、熱処理温度50の温度を調節するためのパラメータは、ホイートストンブリッジ回路120のオフセット電圧と電流値の2つであるため、従来よりも簡易な制御で熱処理板50の温度を調節することができる。
【0069】
なお、以上の実施の形態において、制御部100には、例えばホイートストンブリッジ回路120における電流値と被処理ウェハ70の温度との関係を示すテーブル(図示せず)が記録されていてもよい。かかる場合、制御部100では、測定されたホイートストンブリッジ回路120の電流値に基づき、上記テーブルを用いて、被処理ウェハ70の温度が計測される。これにより、熱処理後の被処理ウェハ70の絶対温度を把握することができる。
【0070】
以上の実施の形態において、図8に示すように複数のホイートストンブリッジ回路120のうち、一のホイートストンブリッジ回路を基準ホイートストンブリッジ回路130としてもよい。基準ホイートストンブリッジ回路130は、4つの測温抵抗体71に代えて、4つの上記基準抵抗体110を有している。また、基準ホイートストンブリッジ回路120は、4つのコンタクトパッド72に代えて、4つの上記基準コンタクトパッド111を有している。そして、複数のコンタクトパッド72と基準コンタクトパッド111は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されている。なお、基準ホイートストンブリッジ回路120の他の構成は、上記実施の形態におけるホイートストンブリッジ回路71の構成と同様であるので説明を省略する。
【0071】
以上のように基準抵抗体110は、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ測温抵抗体71の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有しているので、図5に示した上記実施の形態と同様に、制御部100において、熱処理板50に対する基準抵抗体110の位置を把握することができ、基準抵抗体110及び測温抵抗体71の位置と、熱処理板50の熱板領域R〜Rを対応付けることができる。したがって、本実施の形態によれば、熱処理板50の温度調節を熱板領域R〜R毎に適切に行うことができる。
【0072】
以上の実施の形態では、被処理ウェハ70上に複数のホイートストンブリッジ回路120が設けられていていたが、例えば図9に示すようにこれらホイートストンブリッジ回路120を一体にした回路140を形成してもよい。回路140は、複数の測温抵抗体71と複数の金属パッド121が格子状に配置された構成を有している。すなわち、回路140において、複数の測温抵抗体71は並列に配置されている。かかる場合、回路140の頂点部における一対の金属パッド121a、121a、すなわちコンタクトパッド72a、72aは、回路140に電圧を印加するために用いられる。
【0073】
かかる場合、熱処理後の被処理ウェハ70に対して、当該被処理ウェハ70上のコンタクトパッド72a、72aに接触子41を介して所定の電圧が印加される。続いて、他のコンタクトパッド72から接触子41を介して制御部100に、測定結果の信号が出力される。こうして制御部100では、各測温抵抗体71の抵抗値を測定することができ、当該測定された抵抗値に基づいて熱処理板50の温度を調節することができる。
【0074】
また、上記実施の形態のように1つの測温抵抗体71に対して2つのコンタクトパッド72(2本の配線73)が設けられている場合に比べて、コンタクトパッド72の数や配線の本数を減少させることができる。
【0075】
なお、以上の実施の形態では、回路140には複数の測温抵抗体71が並列に配置されていたが、直列に配置してもよい。かかる場合でも、熱処理板50の温度を調節できると共に、コンタクトパッド72の数や配線の本数を減少させることができる。
【0076】
以上の実施の形態の温度検査治具10において、図10に示すようにコンタクトパッド72は、支持部材150に支持されて、被処理ウェハ70の表面から鉛直方向に所定の距離H、例えば500μmだけ離間して配置されていてもよい。支持部材150には、例えばフレキシブルケーブル、リジッド基板等が用いられる。かかる場合、コンタクトパッド72に接触子41が接触した際に、当該接触子41の接触によって測温抵抗体71が温度変化の影響を受けない。すなわち、本実施の形態では、接触子41が接触することによって、測温抵抗体71が設けられた被処理ウェハ70の温度が低下しない。したがって、測温抵抗体71の抵抗値を正確に測定することができる。また、かかる場合、熱処理板50の温度調節を行った後、熱処理装置2において製品用のウェハWを熱処理板50上に載置して熱処理する際、接触子41の先端部は被処理ウェハ70の表面に到達しない。したがって、接触子41がウェハWに接触することがなく、ウェハWの損傷等を回避することができる。
【0077】
また、以上の実施の形態の温度検査治具10において、図11に示すように被処理ウェハ70の表面であって、コンタクトパッド72の直下には、断熱層160が形成されていてもよい。断熱層160には、例えばナノシリコン(nc−Si)層等の多孔質断熱層が用いられる。かかる場合、断熱層160によって、コンタクトパッド72に接触子41が接触した際に、当該接触子41の接触による測温抵抗体71が温度変化の影響を確実に防止することができる。したがって、測温抵抗体71の抵抗値を正確に測定することができる。
【0078】
以上の実施の形態では、熱処理板50は、4つの熱板領域R〜Rに区画されていたが、その数は任意に選択できる。また、熱処理板50の熱板領域R〜Rの形状も任意に選択できる。
【0079】
また、以上の実施の形態の熱処理装置2において行われる熱処理は、例えばフォトリソグラフィー処理における熱処理であってもよいし、エッチング処理や成膜処理などのプラズマ処理における熱処理であってもよい。この場合にウェハWに移動する熱は、熱処理板50にからの熱に限られず、エッチングガスやプラズマからの伝熱も含むことになる。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0081】
1 温度校正装置
2 熱処理装置
10 温度検査治具
30 蓋部材
41 接触子
50 熱処理板
70 被処理ウェハ
71 測温抵抗体
72 コンタクトパッド
100 制御部
110 基準抵抗体
111 基準コンタクトパッド
120 ホイートストンブリッジ回路
130 基準ホイートストンブリッジ回路
160 断熱層
〜R 熱板領域
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体と、
前記基板上に設けられ、前記測温抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数のコンタクトパッドと、
前記コンタクトパッドと前記接触子を介して測定される前記測温抵抗体の抵抗値に基づいて前記基板の温度を計測する制御部と、を有し、
前記複数のコンタクトパッドは、前記基板の周縁部に沿って連続して配置されていること特徴とする、温度校正装置。
【請求項2】
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ前記測温抵抗体の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有する基準抵抗体と、
前記基板上に設けられ、前記基準抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数の基準コンタクトパッドと、を有し、
前記複数のコンタクトパッドと前記複数の基準コンタクトパッドは、前記基板の周縁部に沿って連続して配置されていること特徴とする、請求項1に記載の温度校正装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記計測された基板の温度に基づいて前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項1又は2に記載の温度校正装置。
【請求項4】
複数の前記測温抵抗体でホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3に記載の温度校正装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項4に記載の温度校正装置。
【請求項6】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数形成され、
前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項4又は5に記載の温度校正装置。
【請求項7】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であることを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項8】
前記測温抵抗体と前記前記コンタクトパッドは、水平方向に所定の距離離間して配置されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項9】
前記コンタクトパッドは、前記基板の表面から鉛直方向に所定の距離離間して配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項10】
前記基板の表面であって、前記コンタクトパッドの直下には、断熱層が形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項11】
前記熱処理装置は、前記熱処理機構の上方において昇降自在に設けられた蓋部材を有し、
前記接触子は、前記コンタクトパッドに対向するように前記蓋部材の下面に配置され、
前記蓋部材が所定の位置に下降した際に前記コンタクトパッドと前記接触子が接触することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項12】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、温度校正装置を用いて前記熱処理機構の温度を校正する温度校正方法であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体と、
前記基板上の周縁部に沿って連続して配置され、前記測温抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数のコンタクトパッドと、から構成される前記温度校正装置を用いて、
前記熱処理機構上に載置された基板上のコンタクトパッドに前記接触子を接触させ、当該コンタクトパッドと接触子を介して前記測温抵抗体の抵抗値を測定する第1の工程と、
前記測定された測温抵抗体の抵抗値に基づいて前記基板の温度を計測する第2の工程と、を行うことを特徴とする、温度校正方法。
【請求項13】
前記温度校正装置は、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ前記測温抵抗体の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有する基準抵抗体と、前記基板上に設けられ、前記基準抵抗体と電気的に接続され、且つ前記基板の温度計測時に接触子が接触する複数の基準コンタクトパッドと、を有し、
前記複数のコンタクトパッドと前記複数の基準コンタクトパッドは、前記基板の周縁部に沿って連続して配置され、
前記第1の工程において、前記基準コンタクトパッドに前記接触子を接触させ、当該基準コンタクトパッドと接触子を介して前記基準抵抗体の抵抗値を測定することを特徴とする、請求項12に記載の温度校正方法。
【請求項14】
前記計測された基板の温度に基づいて前記熱処理機構の温度を調節する第3の工程を有することを特徴とする、請求項12又は13に記載の温度校正方法。
【請求項15】
複数の前記測温抵抗体でホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記第3の工程において、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項14に記載の温度校正方法。
【請求項16】
前記第3の工程において、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項15に記載の温度校正方法。
【請求項17】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数形成され、
前記第3の工程において、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項15又は16に記載の温度校正方法。
【請求項18】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であり、
前記第3の工程において、前記領域毎に前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項19】
前記測温抵抗体と前記前記コンタクトパッドは、水平方向に所定の距離離間して配置されていることを特徴とする、請求項12〜18のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項20】
前記コンタクトパッドは、前記基板の表面から鉛直方向に所定の距離離間して配置されていることを特徴とする、請求項12〜19のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項21】
前記基板の表面であって、前記コンタクトパッドの直下には、断熱層が形成されていることを特徴とする、請求項12〜20のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項22】
前記熱処理装置は、前記熱処理機構の上方において昇降自在に設けられた蓋部材を有し、
前記接触子は、前記コンタクトパッドに対向するように前記蓋部材の下面に配置され、
前記第1の工程において、前記蓋部材が所定の位置に下降した際に前記コンタクトパッドと前記接触子が接触することを特徴とする、請求項12〜21のいずれかに記載の温度校正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−230022(P2012−230022A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98990(P2011−98990)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】