説明

温度検出ユニットおよび温度検出ユニットを備えた調理容器

【課題】 鍋を加工せずに装着でき、鍋の温度を正確に検出できる温度検出ユニットまた
はその温度検出ユニットを有する調理容器を提供する。
【解決手段】
鍋21の側面の温度を検出する温度センサ26と、前記温度センサ26からの出力信号を
赤外線で送信する赤外線送信器35とを備え、接触部25の外方に延出する挟持部44と
、挟持部44を接触部25方向に付勢させるバネ50を設け、挟持部44を移動させ、接
触部25と挟持部44の間隔を調整する操作部材42により、間隔を調節して、鍋21の
側部を挟持して、鍋21の温度を検出することを特徴とする温度検出ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、赤外線で温度情報を送信する送信手段を有する温度検出ユニット
、およびこの温度検出ユニットを備えた調理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
調理容器の取手部分に温度センサと赤外線送信器を内臓し、赤外線通信温度情報を加熱
調理器に送信する調理用器が存している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また加熱調理器に温度センサを設置し、RFIDタグを取手に収納し、加熱容器にRF
IDのリーダーを搭載して温度情報を無線によって送信するものが存している(例えば特
許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−158407号公報
【特許文献2】特開2005―312890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す調理容器では、赤外線送信器有する温度検出ユニットが取手
内部に収納されており、製造時に赤外線送信器を取手に固定しなくてはならない為、生産
性が悪いという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に示す調理容器は温度検出ユニットを収納する取手が取り外し可能で
さまざまな調理用具に使用できるが、温度センサを鍋に取り付ける構成であるために鍋自
体に対し加工が必要であり、生産コストが高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、鍋を加工せずに装着でき、鍋の温度を正確
に検出できる温度検出ユニットまたはその温度検出ユニットを有する調理容器を提供する
ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明の温度検出ユニットは、鍋の温度を検出す
る温度検出ユニットであって、鍋に接触する接触部と、接触部の外方に延出して設けられ
る挟持部と、前記挟持部を移動させ、接触部と挟持部の間隔を調整する移動手段と、前記
挟持部を接触部方向に付勢させる付勢手段と、前記接触部に設けられ鍋の側面の温度を検
出する温度検知手段と、前記温度検出手段からの出力信号を赤外線で送信する送信手段と
を備え、前記移動手段により前記挟持部と前記接触部の間隔を調節して、鍋の側部を挟持
し、鍋の温度を検出することを特徴とする。
【0008】
他に、上記目的を達成するために、請求項2の発明の温度検出ユニットを備えた調理容
器は、鍋と鍋の温度を検出する温度検出ユニットとで構成される調理容器であって、前記
温度検出ユニットは、鍋に接触する接触部と、接触部の外方に設けられる挟持部と、前記
挟持部を移動させ、接触部と挟持部の間隔を調整する移動手段と、前記挟持部を接触部方
向に付勢させる付勢手段と、前記接触部に設けられ鍋の側面の温度を検出する温度検知手
段と、前記温度検出手段からの出力信号を赤外線で送信する送信手段とを備え、前記移動
手段により前記挟持部と前記接触部の間隔を調節して、鍋の側部を着脱可能に挟持するこ
とを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、温度検出ユニットを鍋と着脱可能にしたため、鍋に温度検出ユニット
を固定する加工をする必要が無く、コストを安くできる。さらに挟持部を接触部側に付勢
するように設けたため、接触面が鍋の外面に接触し、温度センサが鍋の正確な表面温度を
検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施例について、図1乃至図6を参照して説明する。
図2は、誘導加熱調理器の全体の概略図である。また図1は、誘導加熱調理器と調理容
器の縦断面図である。図3は調理容器の斜視図である。図4は温度検出ユニットの斜視図
である。図5は温度検出ユニットを鍋からはずした通常状態の温度検出ユニット断面図で
ある。図6は、操作部材を移動した状態の温度検出ユニット断面図である。
図2に示すように、キャビネット1の内部には誘導加熱調理器2が収納されている。
この誘導加熱調理器2はトッププレート3とその下方の加熱ケース4により構成されて
いる。そのうち、トッププレート3は耐熱ガラス製でキャビネット1の上面に固定されて
おり、一方加熱ケース4はキャビネット1の内部に収納されている。
加熱ケース4前面には操作パネル5が固定されており、電源スイッチ、加熱調整可能な
スイッチ等が配置されている。
【0011】
またトップレート3の上面には、円形状の加熱マーク6が施されており、この加熱マー
ク6に調理容器20を載置するように目印となっている。そして、加熱マーク6に隣接し
た位置に赤外線が透光可能な透光部7が形成されている。
そして図1に示すように加熱ケース4の内部には加熱マーク6の下方には誘導加熱コイ
ル8が設置されており、その中央にはトッププレート3を介して調理容器20の温度を検
出する温度センサ9が設けられている。
【0012】
また透光部7の下方には、赤外線受光部10が設けられており、トッププレート3の透
光部7を通過した赤外線を受光する機能を有している。
その他、加熱ケース4内には制御部11と駆動部12が設けられていて、この制御部1
1は、温度センサ9や赤外線送信器35からの情報に基づいて演算し調理容器20の温度
算出等を行うとともに、操作パネル5から入力された調理条件に基いた誘導加熱コイル8
の加熱制御等誘導加熱調理器2全体の制御を行う。また駆動部12は、この制御部11の
命令により誘導加熱コイル8に入力する電圧を制御して、加熱出力を調整する機能をして
いる。
【0013】
次に、図3乃至図6により温度検出ユニット22および調理容器20の構成を説明する

調理容器20は、図3に示すように鍋21と鍋21の側部に装着される温度検出ユニッ
ト22とから構成されている。この温度検出ユニット22は、図5、図6に基づき後述す
るように鍋21に対し着脱可能に設けられている。
後述するようにこの温度検出ユニット22は、鍋21の温度を検知し、その温度情報を
赤外線で下方に送信する機能を有するものであり、略逆L字状に形成されていて、鍋21
の側面に沿った温度検知部23と、温度検知部23から垂直に外方に延出された延出部2
4とから構成される。
【0014】
温度検知部23には、鍋21と接する部分(以降接触部25と称す)に温度検出手段で
ある温度センサ26が縦方向に並んで3つ収納されている。
接触部25の収納部27に収納される温度センサ26は、弾性のクッション28を介し
て収納され、自由状態では接触部25の接触面より温度センサ26が少し外に出る状態で
収納されており、鍋21に直接接触することで鍋21の温度を検出できるように構成され
ている。
さらに温度検知部23には、温度センサ26の出力を読み取り、赤外線通信の情報に変
換するための処理回路30、処理回路30及び後述する赤外線送信器35を駆動する為の
バッテリ31が収納されている。
【0015】
また延出部24には、裏面に送信手段である赤外線送信器35が設けられており、この
赤外線送信器35から温度センサ26が出力した温度情報を下方に向けて送信するように
構成されている。その他延出部24にはバッテリ31から処理回路30に電源の供給を開
始させる電源スイッチ36設けられている。
【0016】
そして、さらに温度検出ユニット22には鍋21と着脱可能にするように固定ユニット
40が設けられている。
この固定ユニット40は、固定器具41と、移動手段である操作部材42で構成されて
おり、そのうち固定器具41は、逆L字状に形成されており、操作部材42に固定され、
所定の長さを有する固定部43と、固定部43から接触部25と平行に延びる挟持部44
とで構成されている。
この固定ユニット40は、温度検知部23の上部に形成されたスライド溝45に収納さ
れており、スライド溝45から連通して形成されている接触部25の開口46から固定器
具41の挟持部44が温度検知部23の外方(図示側方)に位置する構成となる。
【0017】
また操作部材42は、図4に示すように温度検知部23の上面に形成された移動ガイド
部47である溝状の開口から上方に露出しており、移動ガイド部47に沿って接触部25
方向にスライド可能に構成されている。
またこのスライド溝45内には、接触部25と操作部材42の間にバネ50が設置され
ており、操作部材42は自由状態で接触部25とは反対方向に付勢されて操作部材42が
移動ガイド部47の延出部24方向奥側に位置する。そのため固定器具41の挟持部44
は接触部25側に付勢される。この状態が図5に示す通常状態となる。
しかして、この通常状態(図5)から操作部材42を接触部25方向にスライドさせる
ことにより、図6のようにバネ50が圧縮され、固定ユニット40全体を水平方向にスラ
イドさせることができ、もって固定器具41の挟持部44を接触部25から遠ざける方向
(挟持部44と接触部25との間隔を広げる方向)に移動させることができる。
【0018】
次に、これら構成による作用について述べる。
まず、温度検出ユニット22の鍋21への装着方法につき説明する。
鍋21に温度検出ユニット22を装着するために、まず温度検出ユニット22の操作部
材42をバネ50を圧縮させながら移動ガイド部47を接触部25側にスライドさせて、
挟持部44を接触部25から遠ざけるようにして、挟持部44と接触部25との間隔を広
げる。
そして、操作部材42をスライドさせたまま、鍋21の側部をその上方から挟持部44
と接触部25との隙間に挿入させて、該側部の上端面に固定部43を載置させる。
【0019】
次に操作部材42を離すと固定ユニット40はバネ50の付勢により、自動的に通常の
位置に戻る方向に移動し、その際、図1に示すように挟持部44と接触部25とが鍋21
の側部を挟み込む状態となり、温度検出ユニット22が鍋21に装着される。この状態が
、鍋21に温度検出ユニット22が装着されてなる調理容器20である。
この状態では、バネ50の弾性により、挟持部44が鍋21の側部の内側から、接触部
25が外側から挟み込む力が生じ、接触部25は鍋21の側部外面に密着する状態となる

その際、接触部25の接触面に比べ少し外に出ている温度センサ26は、クッション2
8が圧縮されることにより、収納部27に全体が収納され、接触面と略同一面となる。し
たがって、温度センサ26は鍋21の側部外面に密着して、鍋21の温度を直接検出する
ことができる。
【0020】
次に鍋21を加熱している際の装着した温度検出ユニット22について説明する。
鍋21に装着している温度検出ユニット22の赤外線送信器35の位置をトッププレー
ト3の透光部7の上方に位置するように合わせる。
そして温度検出ユニット22の電源スイッチ36をON操作することにより、処理回路
30が駆動し、温度センサ26が鍋21側部外面の表面温度を検出し、処理回路30はそ
の温度情報を赤外線通信の情報に変換して、赤外線送信器35に送り、赤外線送信器35
から下方に向かって送信する。
この送信した赤外線温度情報は、トッププレート3の透光部7を通過し、赤外線受光部
10がその赤外温度線情報を受光する。
そして誘導加熱調理器2の制御部11はその赤外線温度情報と、操作パネル5で指示さ
れた加熱情報とに基づいて駆動部12に命令し、駆動部12はこの制御部11の命令によ
り誘導加熱コイル8に入力する電圧を制御して、加熱量を調整し適切な加熱調理を行う。
【0021】
以上の構成により、温度検出ユニット22は、温度センサ26を鍋21と接触する接触
部25に設け、接触部25との間隔を調節可能な挟持部44を付勢手段であるバネ50に
より、接触部25側に付勢するように設けたため、鍋21に着脱可能に装着でき、簡単に
温度検出できるとともに、さまざまな種類の鍋21に対応して装着することができる。そ
のため、鍋21に温度センサ26を着脱不能に固定する必要が無く、固定するための加工
コストの削減が可能となる。
【0022】
また、挟持部44を接触部25側に付勢するように設けたため、接触部25の接触面が
鍋21の外面に圧着した状態で接触し、温度センサ26が正確な表面温度を検出すること
ができる。
また温度センサ26を接触部25の収納部27に弾性クッション28を介して、温度セ
ンサ26の一部が接触部25の接触面より外方に出るように収納したので、温度検出ユニ
ット22を鍋21に装着した際、挟持部44と接触部25との挟み込む力により、クッシ
ョン28が圧縮され、温度センサ26を鍋21の側面に密着させることができる。そのた
め、鍋21の側部の曲率が異なる鍋21などにも温度センサ26を接触させることができ
正確に温度が検出できる。
また、調理容器20についても上記作用効果と同様であり、調理容器20に、温度検出
ユニット22を、温度センサ26を接触面に設け、接触面との間隔を調節可能な挟持部4
4を付勢手段により、接触部25側に付勢するように構成したため、鍋21に着脱可能に
装着でき、鍋21に温度センサ26を固定する必要が無く、固定するための加工コストの
削減ができる。
さらに、調理容器20は、温度検出ユニット22を鍋21に装着した構成からなり、且
つ着脱可能に装着できるため、調理容器20は鍋21から温度検出ユニット22をはずし
て収納したり、洗うことができるため使用勝手がよい。
【0023】
なお、延出部24は適宜設計変更可能で、延出部24をさらに延ばして形成し、使用者
が握れるような取手部分を形成してもよい。これによれば、使用者は調理中も延出部24
を握ることができ、調理容器20を容易に動かすことができる。
その他、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、実施に際して本発明の要旨を
逸脱しない範囲で種々変更して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】誘導加熱調理器と調理容器の縦断面図。
【図2】誘導加熱調理器の全体の外観図。
【図3】調理容器の斜視図。
【図4】温度検出ユニットの斜視図。
【図5】温度検出ユニットを鍋からはずした通常状態の温度検出ユニット断面図。
【図6】操作部材を移動した状態の温度検出ユニット断面図。
【符号の説明】
【0025】
図中、1はキャビネット、2は誘導加熱調理器、3はトッププレート、4は加熱ケース、
5は操作パネル、6は加熱マーク、7は透光部、8は誘導加熱コイル、9は温度センサ、
10は赤外線受光部、11は制御部、12は駆動部、20は調理容器、21は鍋、22は
温度検出ユニット、23は温度検知部、24は延出部、25は接触部、26は温度センサ
、27は収納部、28はクッション、30は処理回路、31はバッテリ、35は赤外線送
信器、36は電源スイッチ、40は固定ユニット、41は固定器具、42は操作部材、4
3は固定部、44は狭持部、45はスライド溝、46は開口、47は移動ガイド部、50
はバネ、を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋の温度を検出する温度検出ユニットであって、
鍋に接触する接触部と、
接触部の外方に延出して設けられる挟持部と、
前記挟持部を移動させ、接触部と挟持部の間隔を調整する移動手段と、
前記挟持部を接触部方向に付勢させる付勢手段と、
前記接触部に設けられ鍋の側面の温度を検出する温度検知手段と、
前記温度検出手段からの出力信号を赤外線で送信する送信手段とを備え、
前記移動手段により前記挟持部と前記接触部の間隔を調節して、鍋の側部を挟持し、鍋の
温度を検出することを特徴とする温度検出ユニット。
【請求項2】
鍋と鍋の温度を検出する温度検出ユニットとから構成される調理容器であって、
前記温度検出ユニットは、
鍋に接触する接触部と、
接触部の外方に設けられる挟持部と、
前記挟持部を移動させ、接触部と挟持部の間隔を調整する移動手段と、
前記挟持部を接触部方向に付勢させる付勢手段と、
前記接触部に設けられ鍋の側面の温度を検出する温度検知手段と、
前記温度検出手段からの出力信号を赤外線で送信する送信手段とを備え、
前記移動手段により前記挟持部と前記接触部の間隔を調節して、鍋の側部を着脱可能に挟
持することを特徴とする温度検出ユニットを備えた調理容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−234270(P2007−234270A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51582(P2006−51582)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】