説明

温水パイプユニット、温水循環システム、及び床暖房フロア

【課題】温水パイプ20Aからその周りの空間に放熱される熱量を抑えることにより、床材50の裏面に形成された凹溝51の深さを浅くし、これにより、床材強度を高めることができる温水パイプユニットを提供する。
【解決手段】温水パイプユニット1Aは、床下地面Cに載置されるアルミ製の基材シート10と、基材シート10の上面に、所定のパイプパターンで配置された樹脂製の温水パイプ20Aと、温水パイプ20Aを収容するパイプ収容溝31を有し、パイプ収容溝31に温水パイプ20Aを収容した状態で基材シート10を覆う上部カバー30と、を少なくとも備える。温水パイプ20Aの表面には、アルミ製のフィルム3Aが被覆されており、フィルム3Aは、基材シート10に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を用いて床を暖房するに好適な温水パイプユニット、それを用いた温水循環システム、及び床暖房フロアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床下地面の上に配設された温水パイプに温水を通湯することにより、床の暖房をおこなう温水式の床暖房フロアは一般的に知られている。温水パイプは、施工の容易さから、パネル状の温水パイプユニットにして用いられることが多い。例えば、図9aおよび図9b(図9aのA−A線矢視断面図)に示すように、温水パイプユニット90は、床下地面Cに載置される平面視矩形状の断熱性を有した断熱基材91を備えており、断熱基材91の上面91aには、パイプ溝92が形成されている。パイプ溝92は、温水が循環するように、所定のパターンに形成されており、その溝のパターンに合わせて、温水パイプ93が折り曲げて収納されている。さらに、断熱基材91の上面の全面91aには、温水パイプ93に接触するように、アルミニウムなどの金属製シート94が貼付けられている。さらに、特許文献1には、このような構造において、温水パイプに金属製のフィルムが被覆されたものが提案されている。
【0003】
この種の温水パイプユニット90は床下地面Cに必要枚数だけ敷き詰められ、各温水パイプユニット90とボイラなどの熱源95との間に閉じた温水の循環流路を形成し、床暖房フロア用の温水循環システム97が構築される。さらに、敷き詰めた温水パイプユニット群の上には木質系床材98が敷設されて、温水式の床暖房フロア9とされる。
【0004】
しかしながら、図9a、bに示す床暖房フロア9を床下地面に敷設した場合には、木質系床材98のみを敷設したものに比べ、断熱基材91の厚み分、フロア高さが高くなってしまう。このことを鑑みて、これまでに出願人は、例えば、図10aおよび図10b(図10aのB−B線矢視断面図)に示すような、床下地面Cの断熱性を利用した温水パイプユニット1を提案してきた(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
具体的には、温水パイプユニット1は、床下地面Cに載置された金属製の基材シート10を備えている。基材シート10は平面視矩形状であり、その上に、複数列の直線状部21とその両端側のUターン部22とを有するパイプパターンに形成された長尺の温水パイプ20がほぼ全面にわたって配置される。この温水パイプ20を覆うように、基材シート10と同じ大きさでありかつパイプ収容溝31を備えた上部カバー30が、パイプ収容溝31に温水パイプ20を収容した状態で載置され、基材シート10と上部カバー30の少なくとも4周囲の部分が適宜の粘着剤を用いて粘着積層されることにより、全体が一体化されている。
【0006】
さらに、床暖房フロア2の温水パイプユニット1に敷設される木質系床材50の裏面には、上方からパイプ収容溝31に収容された温水パイプ20を覆うように、そのパターンに沿った凹溝51が形成されている。このようにして、図10a、bの床暖房フロア5は、床下地面Cの断熱性を利用する構造となっているので、図9a、bに示す断熱基材91が不要となり、床下地面に敷設した床暖房フロアの高さの増加を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−030723号公報
【特許文献2】特開2004−244992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図10a、bの床暖房フロア5を用いた場合、温水パイプ20に流れる温水から放熱される熱の一部は、パイプ周壁から基材シート10に直接伝達されると同時に、その周りの空間に放熱される。温水パイプ20の放熱量は、通湯される温水の温度に依存するため、この放熱量の差により床表面に温度ムラが発生するおそれがある。
【0009】
そこで、床材50の凹溝51の溝深さは、床材50と上部カバー30との間に断熱空間Sが形成されるように、上部カバー30の凸部32を収容できる溝深さよりも深いものとなっている。これにより、温水パイプ周りに放熱される熱は、基材シート10に均一に伝達される。このような断熱効果をより高めるためには、溝深さはより深い方が好ましい。しかしながら、床材50の凹溝51をより深くすることは、床材50の強度低下にも繋がり、さらには、敷設後のフロア表面に凹溝形状が映し出されるおそれもある。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温水パイプからその周りの空間に放熱される熱量を抑えることにより、床材裏面に形成された凹溝の深さを浅くし、これにより、床材強度を高めるとともに、床材裏面の凹溝形状がフロア表面に映し出されることのない温水パイプユニット、及びそれを用いた床暖房フロアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明に係る温水パイプユニットは、床下地面に載置される金属製の基材シートと、該基材シートの上面に、所定のパイプパターンで配置された樹脂製の温水パイプと、該温水パイプを収容するパイプ収容溝を有し、該パイプ収容溝に温水パイプを収容した状態で前記基材シートを覆う上部カバーと、を少なくとも備えた温水パイプユニットであって、前記温水パイプの表面には、金属製のフィルムが被覆されており、該フィルムは、前記基材シートに当接していることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、温水パイプを流れる温水の熱は、温水パイプの周壁から、温水パイプに被覆された金属製のフィルムに伝達され、さらに、その熱は基材シートに伝達される。これにより、温水パイプからその周りの空間に放熱される熱量を抑えることができる。この結果、上部カバーのうち温水パイプを収容した部分と、床材との間の断熱空間が不要となり、床材裏面の凹溝の溝深さをこれまでに比べて浅くすることができるので、床材強度を高めることができる。
【0013】
また、温水パイプの周壁から周囲の空間に放熱されていた熱の一部は、フィルムを介して基材シートに伝達されるので、これまでの温度より低い温度の温水を通湯しても、床表面温度を同程度にすることができ、省エネ化を図ることができる。
【0014】
金属製のフィルムは、温水パイプから放熱される熱を、基材シートに伝達することができるのであれば、特にその被覆箇所は限定されず、例えば、温水の導入口から排出口までの温水パイプすべてに被覆してもよく、また部分的に被覆してもよい。
【0015】
しかしながら、より好ましい態様としては、前記温水パイプの温水の導入口から排出口までの温水流路のうち、少なくとも温水流路の中央から前記排出口までの下流側温水パイプに、前記フィルムが被覆されている。これにより、上流側に比べてより温度の低い下流側の温水の熱伝達効率を高め、下流側の床表面温度を上流側に近づけることができる。
【0016】
また、この態様では、パイプの配置(ハイプパターン)は特に限定されるものではないが、さらにより好ましい態様としては、前記下流側温水パイプは、前記導入口から温水流路の中央までの上流側温水パイプに沿って、並設するように配置されている。このように、下流側温水パイプと上流側温水パイプとを並設するように配置することにより、床表面全体の温度ムラをさらに低減することができる。
【0017】
さらに、好ましい態様としては、温水パイプの表面積に対する前記フィルムの占有率が、温水が流れる方向に沿って増加するように、前記フィルムが被覆されている。これにより、温水が流れる方向に沿って、段階的に基材シートへの熱伝達を高め、温水が流れる方向に沿った床表面の温度差を低減することができる。
【0018】
このようなフィルムの占有率は、例えば、テープ状のフィルムを、ピッチを変えて温水パイプに巻きつけたり、異なる幅のフィルムを所定のピッチでパイプに巻きつけたりして達成することができる。しかしながら、より好ましくは、前記フィルムは、前記温水パイプに螺旋状に巻き付けられており、前記フィルムの螺旋のピッチは、温水が流れる方向に沿って小さくなっている。このように、温水パイプにフィルムを螺旋状に巻き付けることにより、螺旋のピッチを変えて、容易にフィルムの占有率を変更することができる。
【0019】
また、本発明として、上述した温水パイプユニットと、温水パイプユニットの温水パイプに温水が循環するように接続されたヒートポンプ熱源と、を備えた床暖房フロア用の温水循環システムをも開示する。上述したように、温水パイプにフィルムを被覆することにより、温水パイプユニット通過前後の温水の温度差を、これまでのものに比べて大きくすることができ、これによりヒートポンプ熱源の熱変換効率をさらに高めることができる。
【0020】
さらに、温水循環システムに、上部カバーに収容された温水パイプを覆うように凹溝が形成された床材を、温水パイプユニットの上方に載置することにより、床暖房フロアとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、温水パイプからその周りの空間に放熱される熱量を抑えることにより、床材裏面に形成された凹溝の深さを浅くし、これにより、床材強度を高めることができ、凹溝形状がフロア表面に映し出されることのない床暖房フロアを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第一の形態の床暖房システムの一例を説明する図であり、図1aは、床暖房システムの斜視図、図1bは、図1aのC−C線に沿う断面図。
【図2】図1に示す温水パイプへフィルムの被覆を説明する図であり、図2aは、直線状部の被覆を説明する図、図2bは、Uターン部の被覆を説明する図。
【図3】図1に示す温水パイプへのフィルムの被覆の変形例であり、図3aは、パイプ長手方向に沿ったフィルムの被覆を説明する図、図3bは、U字状のフィルムの被覆を説明する図、図3cは、図3bに示すフィルムを用いた場合の図1aのC−C線に沿う断面図。
【図4】本発明に係る第二の形態の床暖房システムの一例を説明する図であり、図4aは、温水パイプのパイプパターンを示した図、図4bは、フィルムの被覆状態を示した図。
【図5】本発明に係る第三の形態の床暖房システムの一例を説明する図であり、図5aは、温水パイプのパイプパターンを示した図、図5b〜dは、図5aのA部〜C部におけるフィルムの被覆状態を示した図。
【図6】図5に示す温水パイプへのフィルムの被覆の変形例であり、図6a〜cは、図5aのA部〜C部におけるフィルムの被覆状態を示した図。
【図7】図5に示す温水パイプへのフィルムの被覆の別の変形例であり、図7a〜cは、図5aのA部〜C部におけるフィルムの被覆状態を示した図。
【図8】本発明に係る第四の形態の床暖房システムの一例を説明する図であり、図8aは、温水パイプのパイプパターンを示した図、図8b〜dは、図8aのA部〜C部におけるフィルムの被覆状態を示した図。
【図9】従来の床暖房システムの一例を説明する図であり、図9aは、床暖房システムの斜視図、図9bは、図9aのA−A線に沿う断面図。
【図10】従来の床暖房システムの一例を説明する図であり、図10aは、床暖房システムの斜視図、図10bは、図10aのB−B線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、いくつかの実施の形態に基づき本発明を説明する。図1は、本発明に係る第一の形態の床暖房システム5Aの一例を説明する図であり、図1aは、床暖房システム5Aの模式的な斜視図、図1bは、図1aのC−C線に沿う断面図である。図2は、温水パイプ20Aへのフィルムの被覆を説明する図であり、図2aは、直線状部21の被覆、図2bは、Uターン部22の被覆、を説明する図である。
【0024】
なお、第一の形態に係る床暖房システム5Aは、温水パイプユニット1Aの温水パイプ20Aに「フィルム」が被覆されていることを除いて、例えば図10a、bに基づき一例を説明した従来知られた床暖房システム5と同様であってよい。従って、同じ部材には同じ符号を付すことにより、床暖房システム本体の詳細な説明は省略する。
【0025】
図1に示す床暖房システム5の温水パイプユニット1Aにおいて、温水の導入口20aから排出口20bまでのパイプ全長に亘って、温水パイプ20Aの表面にアルミ製フィルム3Aが被覆され、フィルム3Aの一部は、基材シート10に当接している。フィルム3Aは、図2aに示すように、アルミ製のテープ3aを、温水パイプ20Aの表面に等ピッチで螺旋状に巻き付けたものである。
【0026】
ここで、温水パイプ20Aは、架橋ポリエチレンなどの樹脂製のパイプであり、これに巻かれるテープ3aとしては、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、アルミラミネートフィルムなどを挙げることができるが、熱伝導性の高い金属を含むテープであれば、特にその金属の種類は限定されない。また、基材シート10は、100μm程度のアルミ箔等の金属シートからなる。
【0027】
温水パイプユニット1Aの製造時には、図1aのパイプパターンとなるように、フィルム3Aが巻かれた温水パイプ20Aを、図2bに示すように、Uターン部22で折り曲げながら基材シート10に接着する。接着された温水パイプ20Aの上に、パイプ収容溝31に温水パイプ20Aを収容するように上部カバー30を載置し、上部カバー30を基材シート10に接着する。
【0028】
このとき、温水パイプ20AのUターン部22は、直線状の温水パイプにテープ3aを巻き付けた後これを屈曲しているので、その形状は保持され易い。また、樹脂製の温水パイプ20Aに、金属製のフィルム3Aが被覆されているので、温水パイプ20Aと基材シート10との接着性を高めることができる。このように、フィルム3Aを被覆することにより、これまでに比べ、所望のパイプパターンに温水パイプ20Aを配置し易く、接着後の配置状態を維持し易くなる。また、温水パイプ20Aの熱膨張による基材シート10からの飛び出しを抑えることができ、その対策を講じる必要がなくなる。
【0029】
このようにして、得られた温水パイプユニット1Aに、温水が循環するようにヒートポンプ熱源60を接続して、温水循環システム4Aとし、さらに、温水パイプユニット1Aに、木質系床材50を覆い床暖房フロア5Aとする。
【0030】
このような床暖房フロア5Aに温水を循環させた場合、温水パイプ20Aの周壁の熱を、フィルム3Aから基材シート10に伝達することができる(図1bの矢印参照)。これにより、温水パイプ20A周りの空間に放熱される熱量を抑えられる。この結果、床材50の凹溝51の溝深さを、これまでに比べて浅くし、床材強度を高めることができる。
【0031】
さらに、基材シート10に熱が伝達されることにより、基材シート10の放熱性が高まるので、従来よりも低い温度(例えば55℃よりも低い温度)で通湯しても、同程度の床表面温度を得ることができる。
【0032】
また、温水の熱の伝達効率が高まることにより、これまでに比べて、より低い温度の温水を通湯しても、温水パイプユニット1Aの通過前後の温水温度の差がより大きくなるので、ヒートポンプ熱源60の熱変換効率を向上させ、省エネを図ることができる。
【0033】
ここで、フィルムの被覆は、図3aの如く、例えば、パイプ長に沿った長さのフィルム3Bを準備し、フィルム3Bの対向する辺3cが、パイプ長さ方向Lに沿って重なるように、フィルム3Bを温水パイプに被覆してもよい。また、図3bの如く、端部3dが外側に屈曲したU字状のフィルム3Cを準備し、これを上方から温水パイプに被覆してもよい。この場合、図3cに示すように、フィルム3Cの端部3dが、基材シート10に当接するので、矢印の如く、フィルム3Cの熱が基材シート10に伝達される。
【0034】
図4は、本発明に係る第二の形態の床暖房システム5Bの一例を説明する図であり、図4aは、温水パイプ20Aのパイプパターンを示した図、図4bは、フィルム3Aの被覆状態を示した図である。第二の形態は、第一の形態に比べ、温水パイプ20Aの温水の導入口20aから排出口20bまでの温水流路のうち、温水流路の中央20cから排出口20bまでの下流側温水パイプ23Bに、フィルム3Aが被覆されている点のみが相違する。
【0035】
ここで、温水パイプユニット1Bに温水を通湯した際には、下流側温水パイプ23Bを流れる温水の温度は、上流側温水パイプ23Aの温水の温度よりも低い。本形態では、下流側温水パイプ23Bに、図4bの如くフィルム3Aに被覆したので、下流の温水の熱は、これまでより多く基材シートに伝達され、その結果、下流側の床表面温度を上流側に近づけることができる。特に、下流側温水パイプ23Bは、上流側温水パイプ23Aに沿って、並設するように配置されているので、床表面全体の温度ムラを低減することができる。なお、フィルムの被覆を、先に述べた図3a、bに示すようにしてもよい。
【0036】
図5は、第三の形態の床暖房システム5Cの一例を説明する図であり、図5aは、温水パイプ20Aのパイプパターンを示した図、図5b〜d、図5aのA部〜C部におけるフィルム3Aの被覆状態を示した図である。図6及び図7は、図5に示す温水パイプ20Aへのフィルム3B,3Cの被覆の変形例であり、図6a〜c及び図7a〜cは、図5aのA部〜C部におけるフィルム3B,3Cの被覆状態を示している。
【0037】
第三の形態は、第一の形態に比べ、温水流路に応じて、温水パイプ20Aの表面積に対するフィルム3Aの占有率を変更した点が相違する。具体的には、温水パイプ20Aにおいて、導入口20aから排出口20bまでの温水の流れ方向Fに進むに従って、単位長さあたりの温水パイプ20Aの表面積に対するフィルム3Aの占有率が増加している。この占有率の増加は、図5b〜図5dに示すように、フィルム3Aの螺旋のピッチを、温水が流れる方向Fに沿って小さく(P1>P2>P3)することにより達成することができる。ここでは、図5bの上流側(A部)では占有率は数%、図5cの流路中央近傍(B部)では占有率ほぼ50%、5dの下流側(C部)では略100%となっている。
【0038】
このように、流れ方向に沿って、段階的にフィルムの占有率を増加させることにより、温水が流れる方向Fに沿った床表面の温度差を低減することができる。なお、図6a〜図6cに示すように、巻き付けるフィルム3Bの幅Tbと、巻き付ける間隔Pbを変更してもよく、図7a〜図7cに示すように、U字状フィルム3Cの幅Tcと、その配置間隔Pcを変更してもよい。
【0039】
図8は、第四の形態の床暖房システム5Dの一例を説明する図であり、図8aは、温水パイプ20Bのパイプパターンを示した図、図8b〜dは、図8aのA部〜C部におけるフィルム3Aの被覆状態を示した図である。
【0040】
第四の形態は、第一の形態に比べ、パイプパターンが相違している点、および温水パイプ20Bの表面積に対するフィルム3Aの占有率を変更した点が相違する。具体的には、温水パイプ20Bの導入口20aと排出口20bとが対角に配置されており、上流側温水パイプ23Cと下流側温水パイプ23Dとが、横並びに配置されている。さらに、導入口20aから排出口20bに進むに従って、図8b〜dに示すように、螺旋のピッチを小さくすることにより(P4>P5>P6)、単位長さあたりの温水パイプ20Bの表面積に対するフィルム3Aの占有率が増加している。このようにして、温水が流れる方向Fに沿って段階的にフィルム3Aの占有率を増加させることにより、上流側と下流側との床表面の温度差を低減することができる。なお、フィルムの占有率の変更は、図6または図7に示すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1A〜1D:温水パイプユニット,3A〜3C:フィルム、4A:温水循環システム,5A〜5D:床暖房フロア,10:基材シート,20A,20B:温水パイプ,20a:温水パイプの導入口,20b:温水パイプの排出口,20c:温水流路の中央,21:直線状部,22:Uターン部,23A、23C:上流側温水パイプ,23B、23D:下流側温水パイプ,30:上部カバー,31:パイプ収容溝,50:木質系床材,51:凹溝,60:ヒートポンプ熱源,C:床下地面,F:温水が流れる方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地面に載置される金属製の基材シートと、該基材シートの上面に、所定のパイプパターンで配置された樹脂製の温水パイプと、該温水パイプを収容するパイプ収容溝を有し、該パイプ収容溝に温水パイプを収容した状態で前記基材シートを覆う上部カバーと、を少なくとも備えた温水パイプユニットであって、
前記温水パイプの表面には、金属製のフィルムが被覆されており、該フィルムは、前記基材シートに当接していることを特徴とする温水パイプユニット。
【請求項2】
前記温水パイプの温水の導入口から排出口までの温水流路のうち、少なくとも温水流路の中央から前記排出口までの下流側温水パイプに、前記フィルムが被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の温水パイプユニット。
【請求項3】
前記下流側温水パイプは、前記導入口から温水流路の中央までの上流側温水パイプに沿って、並設するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の温水パイプユニット。
【請求項4】
前記温水パイプの表面積に対する前記フィルムの占有率が、温水が流れる方向に沿って増加するように、前記フィルムが被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の温水パイプユニット。
【請求項5】
前記フィルムは、前記温水パイプに螺旋状に巻き付けられており、前記フィルムの螺旋のピッチは、温水が流れる方向に沿って小さくなっていることを特徴とする請求項4に記載の温水パイプユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の温水パイプユニットと、該温水パイプユニットの温水パイプに、温水が循環するように接続されたヒートポンプ熱源と、を備えることを特徴とする温水循環システム。
【請求項7】
請求項6に記載の温水循環システムと、該温水循環システムの温水パイプユニットの上方から上部カバーに収容された温水パイプを覆う凹溝が形成された床材と、を備える床暖房フロア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−112335(P2011−112335A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271796(P2009−271796)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】