測定方法、測定装置及びプログラム
【課題】被測定面の形状測定に有利な技術を提供する。
【解決手段】円形外形の被測定面の形状を測定する測定方法であって、被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させ被測定面の複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし(S304)、部分領域のそれぞれを測定して形状データを取得する取得ステップ(S306)と、部分領域のそれぞれの形状データから被測定面の形状を算出する算出ステップとを有し、輪郭部分領域のそれぞれについて被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、被測定面の複数の中心の位置から回転する被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、第2ステップで求めた回転軸の位置及び複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際のステージの回転角度を用いて、複数の部分領域のそれぞれの形状データをつなぎ合わせて被測定面の形状を求める第3ステップ(S314)とを有する。
【解決手段】円形外形の被測定面の形状を測定する測定方法であって、被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させ被測定面の複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし(S304)、部分領域のそれぞれを測定して形状データを取得する取得ステップ(S306)と、部分領域のそれぞれの形状データから被測定面の形状を算出する算出ステップとを有し、輪郭部分領域のそれぞれについて被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、被測定面の複数の中心の位置から回転する被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、第2ステップで求めた回転軸の位置及び複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際のステージの回転角度を用いて、複数の部分領域のそれぞれの形状データをつなぎ合わせて被測定面の形状を求める第3ステップ(S314)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定面の形状を測定する測定方法、測定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ミラーやレンズなどの光学素子の表面(被測定面)の形状を測定する技術として、被測定面を複数の部分領域に分割してその形状を測定し、各部分領域の形状データをつなぎ合わせるスティッチ法が知られている。スティッチ法は、小口径の視野(測定領域)を有する測定装置を用いて大口径の被測定面を測定することができるため、大口径の視野を有する測定装置を用いる場合よりも装置コストの観点から優位である。但し、スティッチ法では、各部分領域の形状を測定する際に、被測定面を移動(傾斜、回転、平行移動など)させるため、各部分領域の形状データの位置関係を厳密に制御する必要がある。
【0003】
従って、スティッチ法においては、被測定面を回転させたときの回転軸の位置や各部分領域の形状データの横倍率などに高い精度が要求され、その校正に関する技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、複数の部分領域のうち互いに重なり合う領域における誤差を低減させるように、設置誤差、系統誤差、位置ずれなどを校正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6956657号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、被測定面を回転させたときの回転軸の位置を校正することはできるが、かかる回転軸の位置を求めるための計算負荷(計算量)が多く、その校正に多大な時間を要してしまう。また、計算負荷を低減するために、高性能な処理装置や被測定面を回転させたときの回転軸の位置を計測する校正用計測装置を用いることも考えられるが、装置コストの向上を招いてしまう。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、被測定面の外周の輪郭を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面を回転させたときの回転軸の位置を求めることを可能とし、被測定面の形状の測定に有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての測定方法は、円形外形の被測定面の形状を測定する測定方法であって、前記被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを前記測定装置で測定して形状データを取得する取得ステップと、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データから前記被測定面の形状を算出する算出ステップと、を有し、前記算出ステップは、前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求める第3ステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、被測定面の外周の輪郭を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面を回転させたときの回転軸の位置を求めることを可能とし、被測定面の形状の測定に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一側面としての測定装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す測定装置におけるステージの可動軸を示す図である。
【図3】図1に示す測定装置による被測定面の形状の測定を説明するためのフローチャートである。
【図4】被測定面に対して設定される部分領域を説明するための図である。
【図5】部分領域の形状データをつなぎ合わせたときの形状データの位置関係の一例を示す図である。
【図6】部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図である。
【図7】部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。
【図8】各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図である。
【図9】部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図である。
【図10】各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図である。
【図11】部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。
【図12】部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
本発明は、光学素子の表面などの被測定面の形状を測定する際に、被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域の形状データをつなぎ合わせるスティッチ法を用いる。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一側面としての測定装置1の構成を示す概略図である。測定装置1は、円形外形の被測定面SPを含む被測定物を保持するステージ110と、透過型の球面原器122を含む干渉計120と、測定装置1の全体を制御する制御部130とを有する。
【0014】
ステージ110は、可動軸として、被測定面SPを傾斜させる際の軸となる傾斜軸RYと、被測定面SPを回転させる際の軸となるステージ回転軸RZと、被測定面SPを平行移動させる際の軸となる平行移動軸SX、SY及びSZとを有する。干渉計120は、球面原器122の参照面で反射された光と被測定面SP(詳細には、被測定面SPの全体を覆うように設定された複数の部分領域のうちの1つの部分領域)で反射された光RWとの干渉縞を検出する。制御部130は、ステージ110の移動を制御する。また、制御部130は、干渉計120で検出された干渉縞を形状データに変換する。従って、制御部130は、干渉計120と協同して、ステージ110をステージ回転軸RZを中心として回転させて被測定面SPの各部分領域を干渉計120の視野に位置決めし、各部分領域を測定して形状データを取得する取得部として機能する。更に、制御部130は、被測定面SPの各部分領域の形状データから被測定面SPの形状を算出する処理部としても機能する。
【0015】
図2は、測定装置1におけるステージ110の可動軸を示す図である。図2(a)は、本実施形態におけるステージ座標系を示している。図2(a)に示すように、θy傾斜軸RYを基準としたy軸回りの傾斜角をθy、θx回転軸RXを基準としたx軸回りの傾斜角をθxとする。また、平行移動軸SZを(θx,θy)傾斜させたθz回転軸をRZとし、θz回転軸RZ回りの回転軸をθzとする。本実施形態では、RX回りの傾斜を用いないため、θyとθzとを用いて座標(θyθz座標系)を表す。図2(b)は、図2(a)に示すステージ座標系をzx平面に投影したものを示している。被測定面SPを傾斜軸RY回りに傾斜させ、θz回転軸RZ回りに回転させることで、被測定面SPにおいて測定対象とする部分領域を選択する(即ち、干渉計120の視野に位置決めする)ことができる。この際、傾斜軸RYと被測定面SPの中心(曲率中心)とが一致していない場合には、傾斜軸RY回りの傾斜によって、球面原器122と被測定面SPとの位置関係がずれることになる。このような場合には、平行移動軸SX及びSZに沿って被測定面SPを移動させて位置調整を行う必要がある。傾斜軸RY回りの傾斜とθz回転軸RZ回りの回転とを繰り返すことで、被測定面SPの全ての部分領域を測定することができる。
【0016】
図3は、測定装置1による被測定面SPの形状の測定を説明するためのフローチャートである。図3に示す各処理は、制御部130が測定装置1の各部を統括的に制御することで行われる。
【0017】
S302では、被測定面SPに対して、隣接する部分領域が重なり、且つ、被測定面SPの全体を覆うように、複数の部分領域を設定する。被測定面SPに対して設定される部分領域は、被測定面SPのサイズ及び曲率半径、干渉計120、球面原器122などに応じて異なる。
【0018】
図4は、被測定面SPに対して設定される部分領域を説明するための図である。図4(d)は、被測定面SPに対して設定される部分領域の配置例を示しており、円形外形の被測定面SPに対して円形の部分領域が2次元的に配置されている。各部分領域を測定することで取得される形状データは、XY直交座標系上の2次元配列であり、θyθz座標系と対応させるためには、座標変換が必要となる。換言すれば、各部分領域の形状データは、図4(e)に示すように、ステージ110をθy傾斜させて測定することで取得される形状データである。全ての部分領域の形状データを1つの共通の投影平面Pに投影した形状データに座標変換すると、被測定面SPの中心に設定された部分領域を除く部分領域の形状データは、真円からずれた楕円となる。図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、被測定面SPの各部分領域を測定することで取得される形状データE1、E2及びE0の一例を示している。図4(a)は、ステージ110を傾斜軸RY回りにθy傾斜させることで測定できる部分領域の形状データE1を示している。この場合、ステージ110を傾斜軸RY回りにθy傾斜させて部分領域を測定しているため、形状データE1を投影平面Pに投影する際に座標変換が必要となる。図4(b)は、ステージ110を傾斜軸RY回りにθy傾斜し、θz回転軸RZ回りにθz回転させることで測定できる部分領域の形状データE2を示している。この場合、ステージ110をθz回転軸RZ回りにθz回転させて部分領域を測定しているため、座標変換に加えてθz回転軸RZ回りの逆回転も必要となる。図4(c)は、被測定面SPの中心に位置する部分領域の形状データE0を示している。この場合、ステージ110を傾斜軸RY回りに傾斜させておらず、θz回転軸RZ回りに回転もさせていないため、座標変換は不要である。
【0019】
S304では、被測定面SPと干渉計120との相対的な位置関係を変更して、干渉計120の視野に対して部分領域を位置決めする。具体的には、ステージ110を傾斜させたり回転させたりすることで、被測定面SPに対して設定された複数の部分領域のうち1つの部分領域(測定対象の部分領域)を干渉計120の視野に位置決めする。
【0020】
S306では、干渉計120の視野に位置決めされた部分領域を干渉計120で測定して、かかる部分領域の形状データを取得する。
【0021】
S308では、被測定面SPに対して設定された全ての部分領域について形状データを取得したかどうかを判定する。全ての部分領域について形状データを取得していない場合には、S304に移行して、次の測定対象の部分領域を干渉計120の視野に位置決めする。また、全ての部分領域について形状データを取得している場合には、S310に移行する。
【0022】
S310では、S304乃至S308を経て取得された部分領域の形状データの座標変換を行う。なお、部分領域の形状データの座標変換については、図4を参照して説明した通りである。
【0023】
S312では、S304乃至S308を経て取得された部分領域の形状データの回転軸(の位置)及び横倍率を校正する。例えば、図4(b)に示す形状データE2は、ステージ110をθz回転軸RZ回りに回転させて取得されたデータである。従って、このような形状データをつなぎ合わせるためには、ステージ110の回転によって回転する被測定面SPの回転の中心である回転軸(の位置)を求め、かかる回転軸を中心として部分領域の形状データを逆回転させる必要がある。この際、部分領域を測定するときのステージ110のステージ回転軸の位置と形状データをつなぎ合わせるときの被測定面SPの回転軸の位置とが一致していない場合には、各部分領域の形状データの位置関係にずれが生じてしまう。
【0024】
図5(a)乃至図5(c)は、部分領域の形状データをつなぎ合わせたときの形状データの位置関係の一例を示す図である。図5(b)は、部分領域を測定するときのステージ110のステージ回転軸の位置と形状データをつなぎ合わせるときの被測定面SPの回転軸の位置とが一致している場合の形状データの位置関係を示している。図5(a)及び図5(c)は、部分領域を測定するときのステージ110のステージ回転軸の位置と形状データをつなぎ合わせるときの被測定面SPの回転軸の位置とが一致していない場合の形状データの位置関係を示している。図5(a)乃至図5(c)に示す太線は、部分領域の形状データの輪郭を示しており、図5(a)及び図5(c)を参照するに、部分領域の形状データの回転軸の校正が必要なことがわかる。
【0025】
部分領域の形状データの回転軸の校正について説明する。複数の部分領域のうち被測定面SPの外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域の形状データから、ステージ110の回転によって回転する被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める。特に、本実施形態では、複数の部分領域のうち被測定面SPの中心から等角度で位置する少なくとも3つの輪郭部分領域を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める。ここでは、被測定面SPの中心から等角度で位置する3つの輪郭部分領域(即ち、3回回転対称の位置関係にある輪郭部分領域)を選択するものとする。
【0026】
図6は、部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図であって、輪郭部分領域の形状データに含まれる輪郭の一部に対応する輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置と被測定面SPの回転の中心である回転軸との関係を示す図である。SP1、SP2及びSP3は、同一の被測定面SPであるが、ここでは、ステージ110のθzの値によって区別し、その円周上に三角形のマークB1、B2及びB3を示している。換言すれば、マークB1は被測定面SP1の向きを示し、マークB2は被測定面SP2の向きを示し、マークB3は被測定面SP3の向きを示している。Aは、干渉計120の一回の測定範囲、即ち、干渉計120の視野を示している。
【0027】
例えば、図6に示す位置関係において、被測定面SP1を干渉計120で測定すると、それに対応して輪郭部分領域の形状データE1が取得される。また、図6に示す位置関係において、被測定面SP2を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として120度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE2が取得される。同様に、図6に示す位置関係において、被測定面SP3を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として240度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE3が取得される。形状データE1、E2及びE3は、被測定面SP1を、位置OCを中心として回転して測定されたデータである。従って、形状データE1、E2及びE3をつなぎ合わせるためには、形状データE1、E2及びE3を、位置OCを中心として逆回転させる必要があるが、位置OCは、データ上では特定できない。そこで、本実施形態では、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を利用して、位置OC(即ち、ステージ110の回転によって回転する被測定面SP1の回転の中心である回転軸の位置)を求める。
【0028】
まず、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3の座標変換を行う。本実施形態では、被測定面の外周の輪郭に注目している。上述したように、部分領域の形状データは、被測定面(ステージ)を傾斜させて取得しているため、円形外形を斜め上から見た形状となり、その外形は楕円となる。従って、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を座標変換することなく、位置OCを求めると、誤差を含むことになる。そこで、被測定面(ステージ)を傾斜させて取得した輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を、傾斜角θy=0の座標系(投影平面P)に統一するように投影することで、この問題を回避することができる。
【0029】
形状データE1に含まれる円弧は、被測定面SP1の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP1の中心の位置O1が得られる。また、形状データE2に含まれる円弧は、被測定面SP2の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP2の中心の位置O2が得られる。同様に、形状データE3に含まれる円弧は、被測定面SP3の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP3の中心の位置O3が得られる。なお、円弧の中心を求める方法としては、例えば、円弧上の任意の3点を選択し、かかる3点を円を求める方法、或いは、円弧上の任意の2点を選択し、かかる2点のそれぞれにおける接線に対して垂直な直線が交わる点を求める方法などがある。また、円弧の中心を求める方法としては、円弧上の数点を選択し、かかる数点から等距離にある位置を求める方法もある。
【0030】
本実施形態では、上述したように、被測定面の中心から等角度(120度)で位置する3つの輪郭部分領域を選択している。従って、位置OCは、以下の式(1)に示すように、位置O1、O2及びO3の平均(即ち、位置O1、O2及びO3から等距離にある位置)として求めることができる。式(1)では、位置O1、O2及びO3のそれぞれの座標を(x1,y1)、(x2,y2)及び(x3,y3)とし、位置OCの座標を(xc,yc)としている。
【0031】
【数1】
【0032】
なお、本実施形態では、3つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めているが、輪郭部分領域の数は3つに限定されるものではない。例えば、被測定面の中心から等角度で位置するn(nは2以上の整数)個の輪郭部分領域を選択すればよく、2つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよいし、4つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよい。
【0033】
部分領域の形状データの横倍率uの校正について説明する。横倍率uとは、被測定面SPの半径と複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた被測定面SPの複数の中心の位置(例えば、O1、O2、O3)から輪郭までの距離との比率である。従って、横倍率uは、既知である被測定面SPの半径rs[mm]、被測定面SPのデータ上の半径rd[画素]を用いて校正することができる。本実施形態では、部分領域の形状データの回転軸を校正する際に、被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OCを求めている。従って、輪郭部分領域の形状データにおいて、被測定面SPの外周の輪郭(輪郭データ)上の任意の点と位置OCとの間の画素数を求めることで、被測定面SPのデータ上の半径rdを求めることができる。このようにして、部分領域の形状データの横倍率uは、rs/rd[mm/画素]で校正することができる。
【0034】
図3に戻って、S314では、S304乃至S308を経て取得された部分領域の形状データをつなぎ合わせる。具体的には、S312で求めた被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び横倍率uや各部分領域を位置決めする際のステージ110の回転角度を用いて、複数の部分領域のそれぞれの形状データをつなぎ合わせる。
【0035】
図7は、部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。図7を参照するに、まず、被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び横倍率uを用いて、被測定面SPの一部の領域に対応する各部分領域の形状データEを、被測定面SPに対して部分領域を設定した際の条件(部分領域設定条件)に応じて配置する。部分領域設定条件は、ステージ110の傾斜角度θy及び回転角度θzで定義され、これを、被測定面SPを2次元に投影した座標面に相当するxy座標([mm単位])に変換する。部分領域の形状データEを配置する際には、干渉計120における座標([画素]単位)に従う。かかる変換において、S312で求めた被測定面SPの横倍率uを適用する。
【0036】
次に、部分領域設定条件に応じて配置した部分領域の形状データE’を、S312で求めた被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OCを中心として回転させて(例えば、測定時の回転方向とは逆方向に回転させて)形状データE’’とする。このような処理を各部分領域の形状データEに対して行うことで、図8(a)に示すように、各部分領域の形状データをつなぎ合わせることができる。図8(a)は、各部分領域の形状データの回転軸及び横倍率を校正した場合を示している。また、各部分領域の形状データの回転軸を校正していない場合を図8(b)に示す。図8(a)及び図8(b)において、OC’は、各部分領域の形状データを回転させるときの回転の中心の位置を示している。SPは、被測定面を示し、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが理想的に行われた結果に相当する。SP’は、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが行われた結果を示している。図8(a)を参照するに、SPとSP’とが一致しており、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが理想的に行われていることがわかる。一方、図8(b)では、SPとSP’とが一致しておらず、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが理想的に行われていない。換言すれば、各部分領域の形状データの回転軸を校正していない場合には、各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることができない。
【0037】
このように、本実施形態によれば、比較的容易な計算でありながら、被測定面SPの外周の輪郭の一部を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面SPを回転させたときの回転軸の位置OCや横倍率uを短時間で求めることができる。従って、測定装置1は、装置コストの向上を招くことなく、部分領域の形状データの回転軸や横倍率を校正しながら各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることが可能であり、被測定面SPの形状を高精度に測定することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、複数の部分領域のうち被測定面SPの中心から等角度で位置する少なくとも3つの輪郭部分領域を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める方法について説明した。本実施形態では、複数の部分領域のうち少なくとも3つの輪郭部分領域(即ち、任意の輪郭部分領域)を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める方法について説明する。ここでは、3つの輪郭部分領域を選択するものとする。
【0039】
図9は、部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図であって、輪郭部分領域の形状データに含まれる輪郭の一部に対応する輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置と被測定面SPの回転の中心である回転軸との関係を示す図である。SP1、SP2及びSP3は、同一の被測定面SPであるが、ここでは、ステージ110のθzの値によって区別し、その円周上に三角形のマークB1、B2及びB3を示している。換言すれば、マークB1は被測定面SP1の向きを示し、マークB2は被測定面SP2の向きを示し、マークB3は被測定面SP3の向きを示している。
【0040】
例えば、図9に示す位置関係において、被測定面SP1を干渉計120で測定すると、それに対応して輪郭部分領域の形状データE1が取得される。また、図9に示す位置関係において、被測定面SP2を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として90度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE2が取得される。同様に、図9に示す位置関係において、被測定面SP3を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として240度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE3が取得される。形状データE1、E2及びE3は、被測定面SP1を、位置OCを中心として回転して測定されたデータである。従って、形状データE1、E2及びE3をつなぎ合わせるためには、形状データE1、E2及びE3を、位置OCを中心として逆回転させる必要があるが、位置OCは、データ上では特定できない。そこで、本実施形態では、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を利用して、位置OC(即ち、ステージ110の回転によって回転する被測定面SP1の回転の中心である回転軸の位置)を求める。
【0041】
まず、第1の実施形態と同様に、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3の座標変換を行う。
【0042】
形状データE1に含まれる円弧は、被測定面SP1の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP1の中心の位置O1が得られる。また、形状データE2に含まれる円弧は、被測定面SP2の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP2の中心の位置O2が得られる。同様に、形状データE3に含まれる円弧は、被測定面SP3の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP3の中心の位置O3が得られる。
【0043】
本実施形態では、位置O1、O2及びO3を円周上に有する円Cを求める。位置O1、O2及びO3のそれぞれの座標を(x1,y1)、(x2,y2)及び(x3,y3)とし、位置OCの座標を(xc,yc)とし、円Cの半径をrとすると、以下の式(2)の関係が成り立つ。
【0044】
【数2】
【0045】
式(2)を連立して解くと、位置OCの座標(xc,yc)は、以下の式(3)で求められる。このように、本実施形態では、位置O1、O2及びO3を円周上に有する円Cの中心の位置を位置OCとして求めている。
【0046】
【数3】
【0047】
部分領域の形状データの横倍率uの校正について説明する。本実施形態では、まず、仮の横倍率u’を設定し、S312で求めた被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び仮の横倍率u’を用いて、各部分領域の形状データを配置する。図10(a)は、横倍率uが適正である場合において、各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図であり、図10(b)は、横倍率uが適正でない場合において、各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図である。形状データE1に含まれる輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置はO1である。同様に、形状データE2乃至E6のそれぞれに含まれる輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置は、O2乃至O6である。
【0048】
位置O1乃至O6を円周上に有する円Cを考え、本実施形態では、円Cの半径に基づいて横倍率uを求める。図10(a)に示すように、横倍率uが適正である場合には、円Cの半径は0(ゼロ)となる。従って、円Cの半径が0となるように、横倍率uを求めればよい。例えば、形状データE1が実空間上のs[mm]の位置に相当するデータであるものとし、仮の横倍率u’[mm/画素]を設定したとする。この場合、形状データ上における円Cの半径がt[画素]であれば、実際の横倍率uは、以下の式(4)で求められる。
【0049】
【数4】
【0050】
図11は、部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。図11を参照するに、まず、各部分領域の形状データEを、位置OCを中心として回転させて形状データE’とする。そして、形状データE’を、横倍率u及び部分領域設定条件に応じて配置して形状データE’’とする。このような処理を各部分領域の形状データEに対して行うことで、図8(a)に示すように、各部分領域の形状データをつなぎ合わせることができる。
【0051】
このように、本実施形態によれば、比較的容易な計算でありながら、被測定面SPの外周の輪郭の一部を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面SPを回転させたときの回転軸の位置OCや横倍率uを短時間で求めることができる。従って、測定装置1は、装置コストの向上を招くことなく、部分領域の形状データの回転軸や横倍率を校正しながら各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることが可能であり、被測定面SPの形状を高精度に測定することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、S310において、部分領域の形状データの座標変換を行っているが、部分領域の形状データの座標変換は必ずしも行わなくてもよい。部分領域の形状データの座標変換を行わない場合、部分領域の形状データは、円形外形を斜め上から見た形となるため、上述したように、その外形は楕円となる。但し、その扁平率はそれほど大きいものではなく、近似的には、円形と考えても問題ない。
【0053】
そこで、本実施形態では、部分領域の形状データを座標変換することなく、円形外形であるものとみなして、被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める。このように、楕円弧を円弧と近似すると、図9に示す円Cの半径は、形状データを座標変換した場合と異なる。但し、被測定面SPの各部分領域を測定する際の傾斜角度θyが同じであれば、傾斜による形状データの歪みは全ての部分領域について同様に現れる。従って、部分領域の形状データを座標変換しなくても、図9に示す円Cの中心の位置に関しては同じ結果となる。部分領域の形状データの回転軸の校正において必要となるのは図9に示す円Cの中心の位置であるため、部分領域の形状データを座標変換しなくても、部分領域の形状データの回転軸の校正は可能である。但し、部分領域の形状データの横倍率の校正に関しては、図9に示す円Cの半径が必要となるため、部分領域の形状データの座標変換を行うか、図9に示す円Cの半径を求めた後に座標変換に伴う誤差を補正する必要がある。
【0054】
本実施形態では、本実施形態では、複数の部分領域のうち少なくとも4つの輪郭部分領域(即ち、任意の輪郭部分領域)を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める方法について説明する。
【0055】
図12は、部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図であって、輪郭部分領域の形状データに含まれる輪郭の一部に対応する輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置と被測定面SPの回転の中心である回転軸との関係を示す図である。SP1、SP2、SP3及びSP4は、同一の被測定面SPであるが、ここでは、ステージ110のθzの値によって区別し、その円周上に三角形のマークB1、B2、B3及びB4を示している。Aは、干渉計120の一回の測定範囲、即ち、干渉計120の視野を示している。
【0056】
例えば、図12に示す位置関係において、被測定面SP1を干渉計120で測定すると、それに対応して輪郭部分領域の形状データE1が取得される。また、図12に示す位置関係において、被測定面SP2を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として90度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE2が取得される。同様に、図12に示す位置関係において、被測定面SP3を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として240度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE3が取得される。更に、図12に示す位置関係において、被測定面SP4を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として315度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE4が取得される。
形状データE1、E2、E3及びE4は、被測定面SP1を、位置OCを中心として回転して測定されたデータである。従って、形状データE1、E2、E3及びE4をつなぎ合わせるためには、形状データE1、E2、E3及びE4を、位置OCを中心として逆回転させる必要があるが、位置OCは、データ上では特定できない。そこで、本実施形態では、輪郭部分領域の形状データE1、E2、E3及びE4を利用して、位置OC(即ち、ステージ110の回転によって回転する被測定面SP1の回転の中心である回転軸の位置)を求める。
【0057】
形状データE1に含まれる円弧は、被測定面SP1の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP1の中心の位置O1が得られる。また、形状データE2に含まれる円弧は、被測定面SP2の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP2の中心の位置O2が得られる。同様に、形状データE3に含まれる円弧は、被測定面SP3の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP3の中心の位置O3が得られる。更に、形状データE4に含まれる円弧は、被測定面SP4の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP4の中心の位置O4が得られる。
【0058】
本実施形態では、4つの位置O1、O2、O3及びO4からの距離のばらつきが最も小さくなる位置を被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置として求める。具体的には、位置O1、O2、O3及びO4から等距離にある位置を求める。まず、適当な位置の座標をO0(x0,y0)とすると、かかる適当な位置の座標O0から位置On(n=1〜4)までの距離は、以下の式5で表される。
【0059】
【数5】
【0060】
式(5)において、r1〜r4のばらつきが最小となるように、O0(x0,y0)を校正することで、位置OC(xc,yc)が得られる。換言すれば、min(σ(rn))となるように、O0(x0,y0)を求めればよい。
【0061】
また、適当な位置の座標O0から位置On(n=1〜4)までの距離は、回転軸などの機械的なブレの影響によって、必ずしも一定とはならず、ばらつく可能性もなる。従って、適当な位置の座標O0から位置On(n=1〜4)までの距離の平均値を基準とし、かかる基準との誤差を機械的な誤差として補正することもできる。
【0062】
なお、本実施形態では、4つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めているが、輪郭部分領域の数は4つに限定されるものではない。例えば、全ての輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよいし、一部の輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよい。
【0063】
本実施形態では、部分領域の形状データの横倍率uは校正されているものとする。そして、第1の実施形態や第2の実施形態と同様に、被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び横倍率uや各部分領域を位置決めする際のステージ110の回転角度を用いて、複数の部分領域のそれぞれの形状データをつなぎ合わせる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、比較的容易な計算でありながら、被測定面SPの外周の輪郭の一部を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面SPを回転させたときの回転軸の位置OCや横倍率uを短時間で求めることができる。従って、測定装置1は、装置コストの向上を招くことなく、部分領域の形状データの回転軸や横倍率を校正しながら各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることが可能であり、被測定面SPの形状を高精度に測定することができる。
【0065】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定面の形状を測定する測定方法、測定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ミラーやレンズなどの光学素子の表面(被測定面)の形状を測定する技術として、被測定面を複数の部分領域に分割してその形状を測定し、各部分領域の形状データをつなぎ合わせるスティッチ法が知られている。スティッチ法は、小口径の視野(測定領域)を有する測定装置を用いて大口径の被測定面を測定することができるため、大口径の視野を有する測定装置を用いる場合よりも装置コストの観点から優位である。但し、スティッチ法では、各部分領域の形状を測定する際に、被測定面を移動(傾斜、回転、平行移動など)させるため、各部分領域の形状データの位置関係を厳密に制御する必要がある。
【0003】
従って、スティッチ法においては、被測定面を回転させたときの回転軸の位置や各部分領域の形状データの横倍率などに高い精度が要求され、その校正に関する技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1には、複数の部分領域のうち互いに重なり合う領域における誤差を低減させるように、設置誤差、系統誤差、位置ずれなどを校正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6956657号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、被測定面を回転させたときの回転軸の位置を校正することはできるが、かかる回転軸の位置を求めるための計算負荷(計算量)が多く、その校正に多大な時間を要してしまう。また、計算負荷を低減するために、高性能な処理装置や被測定面を回転させたときの回転軸の位置を計測する校正用計測装置を用いることも考えられるが、装置コストの向上を招いてしまう。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、被測定面の外周の輪郭を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面を回転させたときの回転軸の位置を求めることを可能とし、被測定面の形状の測定に有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての測定方法は、円形外形の被測定面の形状を測定する測定方法であって、前記被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを前記測定装置で測定して形状データを取得する取得ステップと、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データから前記被測定面の形状を算出する算出ステップと、を有し、前記算出ステップは、前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求める第3ステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、被測定面の外周の輪郭を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面を回転させたときの回転軸の位置を求めることを可能とし、被測定面の形状の測定に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一側面としての測定装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す測定装置におけるステージの可動軸を示す図である。
【図3】図1に示す測定装置による被測定面の形状の測定を説明するためのフローチャートである。
【図4】被測定面に対して設定される部分領域を説明するための図である。
【図5】部分領域の形状データをつなぎ合わせたときの形状データの位置関係の一例を示す図である。
【図6】部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図である。
【図7】部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。
【図8】各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図である。
【図9】部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図である。
【図10】各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図である。
【図11】部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。
【図12】部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
本発明は、光学素子の表面などの被測定面の形状を測定する際に、被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域の形状データをつなぎ合わせるスティッチ法を用いる。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一側面としての測定装置1の構成を示す概略図である。測定装置1は、円形外形の被測定面SPを含む被測定物を保持するステージ110と、透過型の球面原器122を含む干渉計120と、測定装置1の全体を制御する制御部130とを有する。
【0014】
ステージ110は、可動軸として、被測定面SPを傾斜させる際の軸となる傾斜軸RYと、被測定面SPを回転させる際の軸となるステージ回転軸RZと、被測定面SPを平行移動させる際の軸となる平行移動軸SX、SY及びSZとを有する。干渉計120は、球面原器122の参照面で反射された光と被測定面SP(詳細には、被測定面SPの全体を覆うように設定された複数の部分領域のうちの1つの部分領域)で反射された光RWとの干渉縞を検出する。制御部130は、ステージ110の移動を制御する。また、制御部130は、干渉計120で検出された干渉縞を形状データに変換する。従って、制御部130は、干渉計120と協同して、ステージ110をステージ回転軸RZを中心として回転させて被測定面SPの各部分領域を干渉計120の視野に位置決めし、各部分領域を測定して形状データを取得する取得部として機能する。更に、制御部130は、被測定面SPの各部分領域の形状データから被測定面SPの形状を算出する処理部としても機能する。
【0015】
図2は、測定装置1におけるステージ110の可動軸を示す図である。図2(a)は、本実施形態におけるステージ座標系を示している。図2(a)に示すように、θy傾斜軸RYを基準としたy軸回りの傾斜角をθy、θx回転軸RXを基準としたx軸回りの傾斜角をθxとする。また、平行移動軸SZを(θx,θy)傾斜させたθz回転軸をRZとし、θz回転軸RZ回りの回転軸をθzとする。本実施形態では、RX回りの傾斜を用いないため、θyとθzとを用いて座標(θyθz座標系)を表す。図2(b)は、図2(a)に示すステージ座標系をzx平面に投影したものを示している。被測定面SPを傾斜軸RY回りに傾斜させ、θz回転軸RZ回りに回転させることで、被測定面SPにおいて測定対象とする部分領域を選択する(即ち、干渉計120の視野に位置決めする)ことができる。この際、傾斜軸RYと被測定面SPの中心(曲率中心)とが一致していない場合には、傾斜軸RY回りの傾斜によって、球面原器122と被測定面SPとの位置関係がずれることになる。このような場合には、平行移動軸SX及びSZに沿って被測定面SPを移動させて位置調整を行う必要がある。傾斜軸RY回りの傾斜とθz回転軸RZ回りの回転とを繰り返すことで、被測定面SPの全ての部分領域を測定することができる。
【0016】
図3は、測定装置1による被測定面SPの形状の測定を説明するためのフローチャートである。図3に示す各処理は、制御部130が測定装置1の各部を統括的に制御することで行われる。
【0017】
S302では、被測定面SPに対して、隣接する部分領域が重なり、且つ、被測定面SPの全体を覆うように、複数の部分領域を設定する。被測定面SPに対して設定される部分領域は、被測定面SPのサイズ及び曲率半径、干渉計120、球面原器122などに応じて異なる。
【0018】
図4は、被測定面SPに対して設定される部分領域を説明するための図である。図4(d)は、被測定面SPに対して設定される部分領域の配置例を示しており、円形外形の被測定面SPに対して円形の部分領域が2次元的に配置されている。各部分領域を測定することで取得される形状データは、XY直交座標系上の2次元配列であり、θyθz座標系と対応させるためには、座標変換が必要となる。換言すれば、各部分領域の形状データは、図4(e)に示すように、ステージ110をθy傾斜させて測定することで取得される形状データである。全ての部分領域の形状データを1つの共通の投影平面Pに投影した形状データに座標変換すると、被測定面SPの中心に設定された部分領域を除く部分領域の形状データは、真円からずれた楕円となる。図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、被測定面SPの各部分領域を測定することで取得される形状データE1、E2及びE0の一例を示している。図4(a)は、ステージ110を傾斜軸RY回りにθy傾斜させることで測定できる部分領域の形状データE1を示している。この場合、ステージ110を傾斜軸RY回りにθy傾斜させて部分領域を測定しているため、形状データE1を投影平面Pに投影する際に座標変換が必要となる。図4(b)は、ステージ110を傾斜軸RY回りにθy傾斜し、θz回転軸RZ回りにθz回転させることで測定できる部分領域の形状データE2を示している。この場合、ステージ110をθz回転軸RZ回りにθz回転させて部分領域を測定しているため、座標変換に加えてθz回転軸RZ回りの逆回転も必要となる。図4(c)は、被測定面SPの中心に位置する部分領域の形状データE0を示している。この場合、ステージ110を傾斜軸RY回りに傾斜させておらず、θz回転軸RZ回りに回転もさせていないため、座標変換は不要である。
【0019】
S304では、被測定面SPと干渉計120との相対的な位置関係を変更して、干渉計120の視野に対して部分領域を位置決めする。具体的には、ステージ110を傾斜させたり回転させたりすることで、被測定面SPに対して設定された複数の部分領域のうち1つの部分領域(測定対象の部分領域)を干渉計120の視野に位置決めする。
【0020】
S306では、干渉計120の視野に位置決めされた部分領域を干渉計120で測定して、かかる部分領域の形状データを取得する。
【0021】
S308では、被測定面SPに対して設定された全ての部分領域について形状データを取得したかどうかを判定する。全ての部分領域について形状データを取得していない場合には、S304に移行して、次の測定対象の部分領域を干渉計120の視野に位置決めする。また、全ての部分領域について形状データを取得している場合には、S310に移行する。
【0022】
S310では、S304乃至S308を経て取得された部分領域の形状データの座標変換を行う。なお、部分領域の形状データの座標変換については、図4を参照して説明した通りである。
【0023】
S312では、S304乃至S308を経て取得された部分領域の形状データの回転軸(の位置)及び横倍率を校正する。例えば、図4(b)に示す形状データE2は、ステージ110をθz回転軸RZ回りに回転させて取得されたデータである。従って、このような形状データをつなぎ合わせるためには、ステージ110の回転によって回転する被測定面SPの回転の中心である回転軸(の位置)を求め、かかる回転軸を中心として部分領域の形状データを逆回転させる必要がある。この際、部分領域を測定するときのステージ110のステージ回転軸の位置と形状データをつなぎ合わせるときの被測定面SPの回転軸の位置とが一致していない場合には、各部分領域の形状データの位置関係にずれが生じてしまう。
【0024】
図5(a)乃至図5(c)は、部分領域の形状データをつなぎ合わせたときの形状データの位置関係の一例を示す図である。図5(b)は、部分領域を測定するときのステージ110のステージ回転軸の位置と形状データをつなぎ合わせるときの被測定面SPの回転軸の位置とが一致している場合の形状データの位置関係を示している。図5(a)及び図5(c)は、部分領域を測定するときのステージ110のステージ回転軸の位置と形状データをつなぎ合わせるときの被測定面SPの回転軸の位置とが一致していない場合の形状データの位置関係を示している。図5(a)乃至図5(c)に示す太線は、部分領域の形状データの輪郭を示しており、図5(a)及び図5(c)を参照するに、部分領域の形状データの回転軸の校正が必要なことがわかる。
【0025】
部分領域の形状データの回転軸の校正について説明する。複数の部分領域のうち被測定面SPの外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域の形状データから、ステージ110の回転によって回転する被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める。特に、本実施形態では、複数の部分領域のうち被測定面SPの中心から等角度で位置する少なくとも3つの輪郭部分領域を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める。ここでは、被測定面SPの中心から等角度で位置する3つの輪郭部分領域(即ち、3回回転対称の位置関係にある輪郭部分領域)を選択するものとする。
【0026】
図6は、部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図であって、輪郭部分領域の形状データに含まれる輪郭の一部に対応する輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置と被測定面SPの回転の中心である回転軸との関係を示す図である。SP1、SP2及びSP3は、同一の被測定面SPであるが、ここでは、ステージ110のθzの値によって区別し、その円周上に三角形のマークB1、B2及びB3を示している。換言すれば、マークB1は被測定面SP1の向きを示し、マークB2は被測定面SP2の向きを示し、マークB3は被測定面SP3の向きを示している。Aは、干渉計120の一回の測定範囲、即ち、干渉計120の視野を示している。
【0027】
例えば、図6に示す位置関係において、被測定面SP1を干渉計120で測定すると、それに対応して輪郭部分領域の形状データE1が取得される。また、図6に示す位置関係において、被測定面SP2を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として120度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE2が取得される。同様に、図6に示す位置関係において、被測定面SP3を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として240度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE3が取得される。形状データE1、E2及びE3は、被測定面SP1を、位置OCを中心として回転して測定されたデータである。従って、形状データE1、E2及びE3をつなぎ合わせるためには、形状データE1、E2及びE3を、位置OCを中心として逆回転させる必要があるが、位置OCは、データ上では特定できない。そこで、本実施形態では、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を利用して、位置OC(即ち、ステージ110の回転によって回転する被測定面SP1の回転の中心である回転軸の位置)を求める。
【0028】
まず、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3の座標変換を行う。本実施形態では、被測定面の外周の輪郭に注目している。上述したように、部分領域の形状データは、被測定面(ステージ)を傾斜させて取得しているため、円形外形を斜め上から見た形状となり、その外形は楕円となる。従って、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を座標変換することなく、位置OCを求めると、誤差を含むことになる。そこで、被測定面(ステージ)を傾斜させて取得した輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を、傾斜角θy=0の座標系(投影平面P)に統一するように投影することで、この問題を回避することができる。
【0029】
形状データE1に含まれる円弧は、被測定面SP1の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP1の中心の位置O1が得られる。また、形状データE2に含まれる円弧は、被測定面SP2の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP2の中心の位置O2が得られる。同様に、形状データE3に含まれる円弧は、被測定面SP3の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP3の中心の位置O3が得られる。なお、円弧の中心を求める方法としては、例えば、円弧上の任意の3点を選択し、かかる3点を円を求める方法、或いは、円弧上の任意の2点を選択し、かかる2点のそれぞれにおける接線に対して垂直な直線が交わる点を求める方法などがある。また、円弧の中心を求める方法としては、円弧上の数点を選択し、かかる数点から等距離にある位置を求める方法もある。
【0030】
本実施形態では、上述したように、被測定面の中心から等角度(120度)で位置する3つの輪郭部分領域を選択している。従って、位置OCは、以下の式(1)に示すように、位置O1、O2及びO3の平均(即ち、位置O1、O2及びO3から等距離にある位置)として求めることができる。式(1)では、位置O1、O2及びO3のそれぞれの座標を(x1,y1)、(x2,y2)及び(x3,y3)とし、位置OCの座標を(xc,yc)としている。
【0031】
【数1】
【0032】
なお、本実施形態では、3つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めているが、輪郭部分領域の数は3つに限定されるものではない。例えば、被測定面の中心から等角度で位置するn(nは2以上の整数)個の輪郭部分領域を選択すればよく、2つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよいし、4つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよい。
【0033】
部分領域の形状データの横倍率uの校正について説明する。横倍率uとは、被測定面SPの半径と複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた被測定面SPの複数の中心の位置(例えば、O1、O2、O3)から輪郭までの距離との比率である。従って、横倍率uは、既知である被測定面SPの半径rs[mm]、被測定面SPのデータ上の半径rd[画素]を用いて校正することができる。本実施形態では、部分領域の形状データの回転軸を校正する際に、被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OCを求めている。従って、輪郭部分領域の形状データにおいて、被測定面SPの外周の輪郭(輪郭データ)上の任意の点と位置OCとの間の画素数を求めることで、被測定面SPのデータ上の半径rdを求めることができる。このようにして、部分領域の形状データの横倍率uは、rs/rd[mm/画素]で校正することができる。
【0034】
図3に戻って、S314では、S304乃至S308を経て取得された部分領域の形状データをつなぎ合わせる。具体的には、S312で求めた被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び横倍率uや各部分領域を位置決めする際のステージ110の回転角度を用いて、複数の部分領域のそれぞれの形状データをつなぎ合わせる。
【0035】
図7は、部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。図7を参照するに、まず、被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び横倍率uを用いて、被測定面SPの一部の領域に対応する各部分領域の形状データEを、被測定面SPに対して部分領域を設定した際の条件(部分領域設定条件)に応じて配置する。部分領域設定条件は、ステージ110の傾斜角度θy及び回転角度θzで定義され、これを、被測定面SPを2次元に投影した座標面に相当するxy座標([mm単位])に変換する。部分領域の形状データEを配置する際には、干渉計120における座標([画素]単位)に従う。かかる変換において、S312で求めた被測定面SPの横倍率uを適用する。
【0036】
次に、部分領域設定条件に応じて配置した部分領域の形状データE’を、S312で求めた被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OCを中心として回転させて(例えば、測定時の回転方向とは逆方向に回転させて)形状データE’’とする。このような処理を各部分領域の形状データEに対して行うことで、図8(a)に示すように、各部分領域の形状データをつなぎ合わせることができる。図8(a)は、各部分領域の形状データの回転軸及び横倍率を校正した場合を示している。また、各部分領域の形状データの回転軸を校正していない場合を図8(b)に示す。図8(a)及び図8(b)において、OC’は、各部分領域の形状データを回転させるときの回転の中心の位置を示している。SPは、被測定面を示し、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが理想的に行われた結果に相当する。SP’は、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが行われた結果を示している。図8(a)を参照するに、SPとSP’とが一致しており、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが理想的に行われていることがわかる。一方、図8(b)では、SPとSP’とが一致しておらず、各部分領域の形状データのつなぎ合わせが理想的に行われていない。換言すれば、各部分領域の形状データの回転軸を校正していない場合には、各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることができない。
【0037】
このように、本実施形態によれば、比較的容易な計算でありながら、被測定面SPの外周の輪郭の一部を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面SPを回転させたときの回転軸の位置OCや横倍率uを短時間で求めることができる。従って、測定装置1は、装置コストの向上を招くことなく、部分領域の形状データの回転軸や横倍率を校正しながら各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることが可能であり、被測定面SPの形状を高精度に測定することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、複数の部分領域のうち被測定面SPの中心から等角度で位置する少なくとも3つの輪郭部分領域を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める方法について説明した。本実施形態では、複数の部分領域のうち少なくとも3つの輪郭部分領域(即ち、任意の輪郭部分領域)を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める方法について説明する。ここでは、3つの輪郭部分領域を選択するものとする。
【0039】
図9は、部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図であって、輪郭部分領域の形状データに含まれる輪郭の一部に対応する輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置と被測定面SPの回転の中心である回転軸との関係を示す図である。SP1、SP2及びSP3は、同一の被測定面SPであるが、ここでは、ステージ110のθzの値によって区別し、その円周上に三角形のマークB1、B2及びB3を示している。換言すれば、マークB1は被測定面SP1の向きを示し、マークB2は被測定面SP2の向きを示し、マークB3は被測定面SP3の向きを示している。
【0040】
例えば、図9に示す位置関係において、被測定面SP1を干渉計120で測定すると、それに対応して輪郭部分領域の形状データE1が取得される。また、図9に示す位置関係において、被測定面SP2を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として90度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE2が取得される。同様に、図9に示す位置関係において、被測定面SP3を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として240度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE3が取得される。形状データE1、E2及びE3は、被測定面SP1を、位置OCを中心として回転して測定されたデータである。従って、形状データE1、E2及びE3をつなぎ合わせるためには、形状データE1、E2及びE3を、位置OCを中心として逆回転させる必要があるが、位置OCは、データ上では特定できない。そこで、本実施形態では、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3を利用して、位置OC(即ち、ステージ110の回転によって回転する被測定面SP1の回転の中心である回転軸の位置)を求める。
【0041】
まず、第1の実施形態と同様に、輪郭部分領域の形状データE1、E2及びE3の座標変換を行う。
【0042】
形状データE1に含まれる円弧は、被測定面SP1の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP1の中心の位置O1が得られる。また、形状データE2に含まれる円弧は、被測定面SP2の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP2の中心の位置O2が得られる。同様に、形状データE3に含まれる円弧は、被測定面SP3の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP3の中心の位置O3が得られる。
【0043】
本実施形態では、位置O1、O2及びO3を円周上に有する円Cを求める。位置O1、O2及びO3のそれぞれの座標を(x1,y1)、(x2,y2)及び(x3,y3)とし、位置OCの座標を(xc,yc)とし、円Cの半径をrとすると、以下の式(2)の関係が成り立つ。
【0044】
【数2】
【0045】
式(2)を連立して解くと、位置OCの座標(xc,yc)は、以下の式(3)で求められる。このように、本実施形態では、位置O1、O2及びO3を円周上に有する円Cの中心の位置を位置OCとして求めている。
【0046】
【数3】
【0047】
部分領域の形状データの横倍率uの校正について説明する。本実施形態では、まず、仮の横倍率u’を設定し、S312で求めた被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び仮の横倍率u’を用いて、各部分領域の形状データを配置する。図10(a)は、横倍率uが適正である場合において、各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図であり、図10(b)は、横倍率uが適正でない場合において、各部分領域の形状データをつなぎ合わせた状態を示す図である。形状データE1に含まれる輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置はO1である。同様に、形状データE2乃至E6のそれぞれに含まれる輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置は、O2乃至O6である。
【0048】
位置O1乃至O6を円周上に有する円Cを考え、本実施形態では、円Cの半径に基づいて横倍率uを求める。図10(a)に示すように、横倍率uが適正である場合には、円Cの半径は0(ゼロ)となる。従って、円Cの半径が0となるように、横倍率uを求めればよい。例えば、形状データE1が実空間上のs[mm]の位置に相当するデータであるものとし、仮の横倍率u’[mm/画素]を設定したとする。この場合、形状データ上における円Cの半径がt[画素]であれば、実際の横倍率uは、以下の式(4)で求められる。
【0049】
【数4】
【0050】
図11は、部分領域の形状データのつなぎ合わせを説明するための図である。図11を参照するに、まず、各部分領域の形状データEを、位置OCを中心として回転させて形状データE’とする。そして、形状データE’を、横倍率u及び部分領域設定条件に応じて配置して形状データE’’とする。このような処理を各部分領域の形状データEに対して行うことで、図8(a)に示すように、各部分領域の形状データをつなぎ合わせることができる。
【0051】
このように、本実施形態によれば、比較的容易な計算でありながら、被測定面SPの外周の輪郭の一部を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面SPを回転させたときの回転軸の位置OCや横倍率uを短時間で求めることができる。従って、測定装置1は、装置コストの向上を招くことなく、部分領域の形状データの回転軸や横倍率を校正しながら各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることが可能であり、被測定面SPの形状を高精度に測定することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、S310において、部分領域の形状データの座標変換を行っているが、部分領域の形状データの座標変換は必ずしも行わなくてもよい。部分領域の形状データの座標変換を行わない場合、部分領域の形状データは、円形外形を斜め上から見た形となるため、上述したように、その外形は楕円となる。但し、その扁平率はそれほど大きいものではなく、近似的には、円形と考えても問題ない。
【0053】
そこで、本実施形態では、部分領域の形状データを座標変換することなく、円形外形であるものとみなして、被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める。このように、楕円弧を円弧と近似すると、図9に示す円Cの半径は、形状データを座標変換した場合と異なる。但し、被測定面SPの各部分領域を測定する際の傾斜角度θyが同じであれば、傾斜による形状データの歪みは全ての部分領域について同様に現れる。従って、部分領域の形状データを座標変換しなくても、図9に示す円Cの中心の位置に関しては同じ結果となる。部分領域の形状データの回転軸の校正において必要となるのは図9に示す円Cの中心の位置であるため、部分領域の形状データを座標変換しなくても、部分領域の形状データの回転軸の校正は可能である。但し、部分領域の形状データの横倍率の校正に関しては、図9に示す円Cの半径が必要となるため、部分領域の形状データの座標変換を行うか、図9に示す円Cの半径を求めた後に座標変換に伴う誤差を補正する必要がある。
【0054】
本実施形態では、本実施形態では、複数の部分領域のうち少なくとも4つの輪郭部分領域(即ち、任意の輪郭部分領域)を選択し、かかる輪郭部分領域の形状データから被測定面SPの回転の中心である回転軸を求める方法について説明する。
【0055】
図12は、部分領域の形状データの回転軸の校正を説明するための図であって、輪郭部分領域の形状データに含まれる輪郭の一部に対応する輪郭データが示す被測定面SPの中心の位置と被測定面SPの回転の中心である回転軸との関係を示す図である。SP1、SP2、SP3及びSP4は、同一の被測定面SPであるが、ここでは、ステージ110のθzの値によって区別し、その円周上に三角形のマークB1、B2、B3及びB4を示している。Aは、干渉計120の一回の測定範囲、即ち、干渉計120の視野を示している。
【0056】
例えば、図12に示す位置関係において、被測定面SP1を干渉計120で測定すると、それに対応して輪郭部分領域の形状データE1が取得される。また、図12に示す位置関係において、被測定面SP2を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として90度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE2が取得される。同様に、図12に示す位置関係において、被測定面SP3を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として240度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE3が取得される。更に、図12に示す位置関係において、被測定面SP4を干渉計120で測定すると(即ち、被測定面SP1を、位置OCを中心として315度回転させて測定すると)、それに対応して輪郭部分領域の形状データE4が取得される。
形状データE1、E2、E3及びE4は、被測定面SP1を、位置OCを中心として回転して測定されたデータである。従って、形状データE1、E2、E3及びE4をつなぎ合わせるためには、形状データE1、E2、E3及びE4を、位置OCを中心として逆回転させる必要があるが、位置OCは、データ上では特定できない。そこで、本実施形態では、輪郭部分領域の形状データE1、E2、E3及びE4を利用して、位置OC(即ち、ステージ110の回転によって回転する被測定面SP1の回転の中心である回転軸の位置)を求める。
【0057】
形状データE1に含まれる円弧は、被測定面SP1の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP1の中心の位置O1が得られる。また、形状データE2に含まれる円弧は、被測定面SP2の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP2の中心の位置O2が得られる。同様に、形状データE3に含まれる円弧は、被測定面SP3の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP3の中心の位置O3が得られる。更に、形状データE4に含まれる円弧は、被測定面SP4の外周の輪郭の一部に対応する輪郭データであり、その中心から、被測定面SP4の中心の位置O4が得られる。
【0058】
本実施形態では、4つの位置O1、O2、O3及びO4からの距離のばらつきが最も小さくなる位置を被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置として求める。具体的には、位置O1、O2、O3及びO4から等距離にある位置を求める。まず、適当な位置の座標をO0(x0,y0)とすると、かかる適当な位置の座標O0から位置On(n=1〜4)までの距離は、以下の式5で表される。
【0059】
【数5】
【0060】
式(5)において、r1〜r4のばらつきが最小となるように、O0(x0,y0)を校正することで、位置OC(xc,yc)が得られる。換言すれば、min(σ(rn))となるように、O0(x0,y0)を求めればよい。
【0061】
また、適当な位置の座標O0から位置On(n=1〜4)までの距離は、回転軸などの機械的なブレの影響によって、必ずしも一定とはならず、ばらつく可能性もなる。従って、適当な位置の座標O0から位置On(n=1〜4)までの距離の平均値を基準とし、かかる基準との誤差を機械的な誤差として補正することもできる。
【0062】
なお、本実施形態では、4つの輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めているが、輪郭部分領域の数は4つに限定されるものではない。例えば、全ての輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよいし、一部の輪郭部分領域の形状データを利用して位置OCを求めてもよい。
【0063】
本実施形態では、部分領域の形状データの横倍率uは校正されているものとする。そして、第1の実施形態や第2の実施形態と同様に、被測定面SPの回転の中心である回転軸の位置OC及び横倍率uや各部分領域を位置決めする際のステージ110の回転角度を用いて、複数の部分領域のそれぞれの形状データをつなぎ合わせる。
【0064】
このように、本実施形態によれば、比較的容易な計算でありながら、被測定面SPの外周の輪郭の一部を含む輪郭部分領域の形状データから被測定面SPを回転させたときの回転軸の位置OCや横倍率uを短時間で求めることができる。従って、測定装置1は、装置コストの向上を招くことなく、部分領域の形状データの回転軸や横倍率を校正しながら各部分領域の形状データを正しくつなぎ合わせることが可能であり、被測定面SPの形状を高精度に測定することができる。
【0065】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形外形の被測定面の形状を測定する測定方法であって、
前記被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを前記測定装置で測定して形状データを取得する取得ステップと、
前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データから前記被測定面の形状を算出する算出ステップと、
を有し、
前記算出ステップは、
前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、
前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、
前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求める第3ステップと、
を有することを特徴とする測定方法。
【請求項2】
前記複数の輪郭部分領域は、前記被測定面の中心から等角度で位置する少なくとも3つの輪郭部分領域を含み、
前記第2ステップでは、前記少なくとも3つの輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の少なくとも3つの中心の位置から等距離にある位置を前記回転軸の位置として求めることを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記複数の輪郭部分領域は、少なくとも3つの輪郭部分領域を含み、
前記第2ステップでは、前記少なくとも3つの輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の少なくとも3つの中心の位置を円周上に有する円を特定し、前記円の中心の位置を前記回転軸の位置として求めることを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項4】
前記複数の輪郭部分領域は、少なくとも4つの輪郭部分領域を含み、
前記第2ステップでは、前記少なくとも4つの輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の少なくとも4つの中心の位置からの距離のばらつきが最も小さくなる位置を前記回転軸の位置として求めることを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項5】
前記算出ステップは、前記被測定面の半径と前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から前記輪郭の一部までの距離との比率を求める第4ステップを含み、
前記第3ステップでは、前記比率も用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求めることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項6】
前記第3ステップでは、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データを、前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置を中心として回転させたときに、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置が重なるように、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データを校正しながらつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求めることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項7】
円形外形の被測定面の形状を測定する測定装置であって、
前記被測定面を保持するステージと、
前記ステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを測定して形状データを取得する取得部と、
前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データから前記被測定面の形状を算出する処理部と、を有し、
前記処理部は、
前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求め、
前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求め、
前記被測定面の回転の中心として求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求めることを特徴とする測定装置。
【請求項8】
円形外形の被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを前記測定装置で測定することで取得された形状データから前記被測定面の形状を算出する算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記算出方法は、
前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、
前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、
前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求める第3ステップと、
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
円形外形の被測定面の形状を測定する測定方法であって、
前記被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを前記測定装置で測定して形状データを取得する取得ステップと、
前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データから前記被測定面の形状を算出する算出ステップと、
を有し、
前記算出ステップは、
前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、
前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、
前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求める第3ステップと、
を有することを特徴とする測定方法。
【請求項2】
前記複数の輪郭部分領域は、前記被測定面の中心から等角度で位置する少なくとも3つの輪郭部分領域を含み、
前記第2ステップでは、前記少なくとも3つの輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の少なくとも3つの中心の位置から等距離にある位置を前記回転軸の位置として求めることを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記複数の輪郭部分領域は、少なくとも3つの輪郭部分領域を含み、
前記第2ステップでは、前記少なくとも3つの輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の少なくとも3つの中心の位置を円周上に有する円を特定し、前記円の中心の位置を前記回転軸の位置として求めることを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項4】
前記複数の輪郭部分領域は、少なくとも4つの輪郭部分領域を含み、
前記第2ステップでは、前記少なくとも4つの輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の少なくとも4つの中心の位置からの距離のばらつきが最も小さくなる位置を前記回転軸の位置として求めることを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
【請求項5】
前記算出ステップは、前記被測定面の半径と前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から前記輪郭の一部までの距離との比率を求める第4ステップを含み、
前記第3ステップでは、前記比率も用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求めることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項6】
前記第3ステップでは、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データを、前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置を中心として回転させたときに、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置が重なるように、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データを校正しながらつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求めることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の測定方法。
【請求項7】
円形外形の被測定面の形状を測定する測定装置であって、
前記被測定面を保持するステージと、
前記ステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを測定して形状データを取得する取得部と、
前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データから前記被測定面の形状を算出する処理部と、を有し、
前記処理部は、
前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求め、
前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求め、
前記被測定面の回転の中心として求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求めることを特徴とする測定装置。
【請求項8】
円形外形の被測定面を保持するステージをステージ回転軸を中心として回転させて、前記被測定面の全体を覆うように設定された複数の部分領域のそれぞれを測定装置の視野に位置決めし、前記複数の部分領域のそれぞれを前記測定装置で測定することで取得された形状データから前記被測定面の形状を算出する算出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記算出方法は、
前記複数の部分領域のうち前記被測定面の外周の輪郭の一部をそれぞれ含む複数の輪郭部分領域を選択し、前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて、前記形状データに含まれる前記輪郭の一部に対応する輪郭データが示す前記被測定面の中心の位置を求める第1ステップと、
前記複数の輪郭部分領域のそれぞれについて求めた前記被測定面の複数の中心の位置から、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージ回転軸を中心とした前記ステージの回転によって回転する前記被測定面の回転の中心である回転軸の位置を求める第2ステップと、
前記第2ステップで求めた前記回転軸の位置、及び、前記複数の部分領域のそれぞれを位置決めする際の前記ステージの回転角度を用いて、前記複数の部分領域のそれぞれの前記形状データをつなぎ合わせて前記被測定面の形状を求める第3ステップと、
を有することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−24781(P2013−24781A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161364(P2011−161364)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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