説明

測定画素の出力レベル調整方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置

【課題】有効なレベルである、対象試料のスペクトル情報を取得する時間をより短縮することができる。
【解決手段】予め決められた複数の試料の類型候補から対象試料の類型を選択する。また、画素111−6に入射した対象試料からの光に基づく画素111−6の出力レベルを測定する。また、対象試料の類型に関連付けられている、画素111−1〜111−5の出力レベルを調整するレベル調整パラメータの複数の候補から、対象試料の類型に関連付けられているレベル調整パラメータを選択する。また、選択したレベル調整パラメータと画素111−6の出力レベルから、画素111−1〜111−5のレベル調整量を算出する。また、画素111−1〜111−5に入射する対象試料からの光に対応する出力レベルを測定するとき、算出したレベル調整量を用いて出力レベルを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定画素の出力レベル調整方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体のスペクトル情報を高精度に検出するためには、撮影波長帯をより多数のチャネルに分割する必要がある。また、被写体のスペクトル情報を得るためにカラーセンサが用いられる。また、カラーセンサに用いられる読み出し回路として、例えば、特許文献1に記載されている読み出し回路が知られている。なお、以下の説明で、図中の番号は対応する箇所で同じものを用いている。
【0003】
図18は、従来知られているカラーセンサの構成を示した概略図である。図示する例では、カラーセンサ200は、画素&読み出し回路B10−1〜B10−6と、ゲイン回路B20−1〜B20−6と、積分時間演算部38−1〜38−6と、ゲイン演算部39−1〜39−6と、駆動制御回路310とを備えている。また、画素&読み出し回路B10−1〜B10−6は、被写体のスペクトル情報をそれぞれの波長透過帯にわけて検出する画素31−1〜31−6と、基準電圧端子32−1〜32−6と、スイッチ素子33−1〜33−6と、容量素子34−1〜34−6と、演算増幅器35−1〜35−6とを備えている。なお、基準電圧端子32−1〜32−6と、スイッチ素子33−1〜33−6と、容量素子34−1〜34−6と、演算増幅器35−1〜35−6とで構成される部分を読み出し回路30−1〜30−6と呼ぶ。
【0004】
また、図示する例は、画素&読み出し回路B10−1〜B10−6が備える画素31−1〜31−6が、紫色、青色、緑色、黄色、赤色、橙色の6色のうち、いずれかの色の光を検出する例を示している。具体的には、画素&読み出し回路B10−1が備える画素31−1は紫色の光を検出する画素である。また、画素&読み出し回路B10−2が備える画素31−2は青色の光を検出する画素である。また、画素&読み出し回路B10−3が備える画素31−3は緑色の光を検出する画素である。また、画素&読み出し回路B10−4が備える画素31−4は黄色の光を検出する画素である。また、画素&読み出し回路B10−5が備える画素31−5は赤色の光を検出する。また、画素&読み出し回路B10−6が備える画素31−6は橙色の光を検出する。
【0005】
カラーセンサ200は、被写体からの光を、画素31−1〜31−6に入射して、基準電圧端子32−1〜32−6に印加された基準電圧を基準にスイッチ素子33−1〜33−6で積分時間を制御し、容量素子34−1〜34−6で光電流に応じた電圧変化として積分し、演算増幅器35−1〜35−6の出力端子に出力する。
【0006】
また、カラーセンサ200は、演算増幅器35−1〜35−6の出力端子の出力変化をゲイン回路B20−1〜B20−6で増幅して読み出す。なお、画素&読み出し回路B10−1〜B10−6のそれぞれの積分時間は、駆動制御回路310から送られた情報により、積分時間演算部38−1〜38−6が計算する。また、ゲイン回路B20−1〜B20−6のそれぞれのゲインは、駆動制御回路310から送られた情報により、ゲイン演算部39−1〜39−6が計算する。これにより、積分時間演算部38−1〜38−6と、ゲイン演算部39−1〜39−6とにより設定された積分時間とゲインとで、出力端子37−1〜37−6から出力信号が出力される。
【0007】
なお、出力端子37−1〜37−6から出力される電圧Voutは、基準電圧をVrefとし、画素31−1〜31−6で発生する光電流をIPDとし、スイッチ素子33−1〜33−6を開いて光電流IPDを積分する時間をTINTとし、容量素子34−1〜34−6の容量値をCとし、ゲイン回路B20−1〜B20−6の増幅率をGとすると、(1)式のように表すことができる。
【0008】
【数1】

【0009】
図19は、特許文献1に開示されている方法で、6色のうち、いずれかの色の光を検出する画素31−1〜31−6の出力の積分時間を基準となる積分時間の整数倍に変化させた際における、出力端子37−1〜37−6から出力される信号の出力レベルの例を示したグラフである。図示するグラフの縦軸は、出力端子37−1〜37−6から出力される、画素31−1〜31−6の出力信号に基づいた信号の出力レベルを示している。なお、信号の出力レベルが、ノイズレベル以上かつ飽和レベル以下の出力レベルであれば、スペクトル情報を取得する際に用いることができる信号である。なお、ノイズレベルは、ノイズと区別をすることができない位、小さな出力レベルとする。また、飽和レベルは、カラーセンサが備える容量素子の容量値を超える位、大きな出力レベルとする。以下、ノイズレベル以上かつ飽和レベル以下の出力レベルを有効レベルと記述する。また、図示するグラフの横軸は、1回目〜6回目の読み出しにおいて、画素31−1〜31−6の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−1〜37−6を示している。
【0010】
具体的には、横軸における(1)は、1回目〜6回目の読み出しにおいて、紫色の光を検出する画素31−1の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−1を示し、横軸(1)に対応する縦軸の値は、出力端子37−1から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(2)は、1回目〜6回目の読み出しにおいて、青色の光を検出する画素31−2の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−2を示し、横軸(2)に対応する縦軸の値は、出力端子37−2から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(3)は、1回目〜6回目の読み出しにおいて、緑色の光を検出する画素31−3の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−3を示し、横軸(3)に対応する縦軸の値は、出力端子37−3から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(4)は、1回目〜6回目の読み出しにおいて、黄色の光を検出する画素31−4の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−4を示し、横軸(4)に対応する縦軸の値は、出力端子37−4から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(5)は、1回目〜6回目の読み出しにおいて、赤色の光を検出する画素31−5の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−5を示し、横軸(5)に対応する縦軸の値は、出力端子37−5から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(6)は、1回目〜6回目の読み出しにおいて、橙色の光を検出する画素31−6の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−6を示し、横軸(6)に対応する縦軸の値は、出力端子37−6から出力される信号の出力レベルを示す。
【0011】
また、図示する例では、1回目の読み出しにおける積分時間を、基準となる積分時間(基準積分時間)の6倍の時間としている。また、2回目の読み出しにおける積分時間を、基準積分時間の5倍の時間としている。また、3回目の読み出しにおける積分時間を、基準積分時間の4倍の時間としている。また、4回目の読み出しにおける積分時間を、基準積分時間の3倍の時間としている。また、5回目の読み出しにおける積分時間を、基準積分時間の2倍の時間としている。また、6回目の読み出しにおける積分時間を、基準積分時間の1倍の時間としている。
【0012】
このように、各画素31−1〜31−6の出力信号の積分時間を、基準となる積分時間の整数倍に変化させて、各画素31−1〜31−6の出力信号に基づいた出力レベルを複数回読み出すことで、全ての画素31−1〜31−6の出力信号に基づいた出力レベルを有効なレベルとして取得することができる。図示する例では、出力端子37−1から出力される、画素31−1の出力信号に基づいた信号の出力レベルについては、6回目の読み出しで有効な出力レベルを取得している。他の出力端子37−2〜37−6の出力レベルについては図示するとおりである。なお、図示するグラフにおいて、有効ではない出力レベルには×印を付している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第6349623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、各画素31−1〜31−6の出力信号の積分時間を、基準となる積分時間の整数倍に変化させて、各画素31−1〜31−6の出力信号に基づいた出力レベルを複数回読み出すため、例えば図19中に×印で示したように有効ではない出力レベルが生じる。そのため、全ての画素31−1〜31−6の出力信号に基づいた出力レベルを有効なレベルとして取得するためには、どうしても無効な読み出しが生じてしまい、出力レベルを複数回読み出す必要があるため取得時間が長くなるという問題がある。
【0015】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、被写体のスペクトル情報を取得する時間をより短縮することができる測定画素の出力レベル調整方法、カラーセンサおよびバーチャルスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、予め決められた複数の試料の類型候補から対象試料の類型を選択する第1のステップと、基準画素に入射した前記対象試料からの光に基づく当該基準画素の出力レベルを測定する第2のステップと、前記対象試料の類型に関連付けられている、測定画素の出力レベルを調整するレベル調整パラメータの複数の候補から、前記第1のステップで選択した前記対象試料の類型に関連付けられている前記レベル調整パラメータを選択する第3のステップと、前記レベル調整パラメータと前記基準画素の出力レベルから、前記測定画素のレベル調整量を算出する第4のステップと、前記測定画素に入射する前記対象試料からの光に対応する出力レベルを測定するとき、前記レベル調整量を用いて出力レベルを調整する第5のステップと、を有することを特徴とする測定画素の出力レベル調整方法である。
【0017】
また、本発明の測定画素の出力レベル調整方法において、前記測定画素は複数あり、前記複数の測定画素は互いに異なる分光感度特性を有し、前記基準画素の感度は、全ての検出波長において前記複数の測定画素の感度よりも高いことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の測定画素の出力レベル調整方法において、前記出力レベルの測定は、前記測定画素が出力する信号を蓄積部に蓄積し、当該信号を当該蓄積部に蓄積した蓄積時間に応じた信号量に基づく出力レベルの測定であり、前記レベル調整パラメータは、前記測定画素が検出する光の波長に応じた係数であり、前記レベル調整量は、前記蓄積時間であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の測定画素の出力レベル調整方法において、前記出力レベルの測定は、前記測定画素が出力する信号を増幅部が増幅した信号に基づく出力レベルの測定であり、前記レベル調整パラメータは、前記測定画素が検出する光の波長に応じた係数であり、前記レベル調整量は、前記増幅部のゲインであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の測定画素の出力レベル調整方法において、前記出力レベルの測定は、前記測定画素が出力する信号を蓄積部に蓄積し、当該信号を当該蓄積部に蓄積した蓄積時間に応じた信号量に基づく信号レベルを、増幅部が増幅した信号レベルに基づく出力レベルの測定であり、前記レベル調整パラメータは、前記測定画素が検出する光の波長に応じた係数であり、前記レベル調整量は、前記蓄積時間と前記増幅部のゲインとの組であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の測定画素の出力レベル調整方法において、前記複数の試料の類型候補は、前記対象試料の採取部位と前記対象試料の染色方法との少なくとも一方により分類されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の測定画素の出力レベル調整方法において、前記第1のステップではさらに、前記対象試料を特定するコード情報を読み取り、当該コード情報で特定される前記対象試料の類型を選択することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の測定画素の出力レベル調整方法において、前記第1のステップでは、メモリに保存された前記複数の試料の類型候補を検索して前記対象試料の類型を選択することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、予め決められた複数の試料の類型候補から対象試料の類型を選択する部位情報入力部と、前記対象試料からの光が入射し、基準となる出力信号を生成する基準画素と、前記基準画素が生成した前記出力信号の出力レベルを測定する第1の測定部と、前記対象試料からの光が入射し、前記対象試料のスペクトルに対応する出力信号を生成する測定画素と、前記測定画素が生成した前記出力信号に基づいて前記対象試料のスペクトル情報を測定する第2の測定部と、前記対象試料の類型に関連付けられている、測定画素の出力レベルを調整するレベル調整パラメータの複数の候補から、前記部位情報入力部が選択した前記対象試料の類型に関連付けられている前記レベル調整パラメータを選択する選択部と、前記レベル調整パラメータと前記基準出力レベルから、前記測定画素のレベル調整量を算出する演算部と、を備え、前記第2の測定部は、前記スペクトル情報を測定する際に、前記演算部が算出した前記レベル調整量を用いて前記出力信号の出力レベルを調整することを特徴とするカラーセンサである。
【0025】
また、本発明は、カラーセンサを備えることを特徴とするバーチャルスライド装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、予め決められた複数の試料の類型候補から対象試料の類型を選択する。また、基準画素に入射した対象試料からの光に基づく当該基準画素の出力レベルを測定する。また、対象試料の類型に関連付けられている、測定画素の出力レベルを調整するレベル調整パラメータの複数の候補から、対象試料の類型に関連付けられているレベル調整パラメータを選択する。また、選択したレベル調整パラメータと基準画素の出力レベルから、測定画素のレベル調整量を算出する。また、測定画素に入射する対象試料からの光に対応する出力レベルを測定するとき、算出したレベル調整量を用いて出力レベルを調整する。
【0027】
これにより、基準画素の出力レベルの測定を行うことで、測定画素の出力レベルを有効なレベルとなるように調整するための出力レベル調整量を算出することができる。従って、基準画素の出力レベルの測定と、測定画素の出力レベルの測定との2回の測定を行うだけで、有効なレベルである、対象試料のスペクトル情報を取得することができ、対象試料のスペクトル情報を取得する時間をより短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるバーコードが付されたスライドガラスの概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における病理サンプルの例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における積分時間係数表のデータ構造を示した概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサが備える画素の配置を示した概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における画素の分光特性を示したグラフである。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサの出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるカラーセンサから出力される信号の出力レベルを示したグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるゲイン係数表のデータ構造を示した概略図である。
【図11】本発明の第2の実施形態におけるカラーセンサの出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態におけるカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図13】本発明の第3の実施形態におけるゲイン・積分時間係数表のデータ構造を示した概略図である。
【図14】本発明の第3の実施形態におけるカラーセンサの出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。
【図15】本発明の第4の実施形態におけるカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図16】本発明の第4の実施形態におけるカラーセンサの出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。
【図17】本発明の第5の実施形態におけるバーチャルスライド装置の構成を示したブロック図である。
【図18】従来知られているカラーセンサの構成を示した概略図である。
【図19】従来知られているカラーセンサから出力される信号の出力レベルを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるカラーセンサ1の構成を示した概略図である。図示する例では、カラーセンサ1は、画素&読み出し回路11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6(演算部)と、ゲイン演算部14−1〜14−6と、積分時間選択部15(選択部)と、出力端子17−1〜17−6とを備えている。また、カラーセンサ1には、部位情報入力部16が接続されている。
【0030】
画素&読み出し回路11−1〜11−5は、被写体のスペクトル情報をそれぞれの波長透過帯にわけて検出する画素111−1〜111−5(測定画素)と、基準電圧端子112−1〜112−5と、スイッチ素子113−1〜113−5と、容量素子114−1〜114−5(蓄積部)と、演算増幅器115−1〜115−5とを備えている。また、画素&読み出し回路11−6は、被写体からの光を検出する画素111−6(基準画素)と、基準電圧端子112−6と、スイッチ素子113−6と、容量素子114−6と、演算増幅器115−6とを備えている。なお、基準電圧端子112−1〜112−6と、スイッチ素子113−1〜113−6と、容量素子114−1〜114−6と、演算増幅器115−1〜115−6とで構成される部分を読み出し回路110−1〜110−6と呼ぶ。また、請求項に係る第1の測定部は、例えば、読み出し回路110−6とゲイン回路12−6とに対応する。また、請求項に係る第2の測定部は、例えば、読み出し回路110−1〜110−5とゲイン回路12−1〜12−5に対応する。
【0031】
また、画素&読み出し回路11−1が備える画素111−1は、紫色の光を検出するように紫色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、画素&読み出し回路11−2が備える画素111−2は、青色の光を検出するように青色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、画素&読み出し回路11−3が備える画素111−3は、緑色の光を検出するように緑色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、画素&読み出し回路11−4が備える画素111−4は、黄色の光を検出するように黄色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、画素&読み出し回路11−5が備える画素111−5は、赤色の光を検出するように赤色の光を透過するフィルタが塗布された画素である。また、画素&読み出し回路11−6が備える画素111−6は、全ての光を検出するように、フィルタが塗布されていない画素である。この構成により、画素&読み出し回路11−1〜11−6の読み出し回路110−1〜110−6は、画素111−1〜111−6の出力信号を読み出す。
【0032】
ゲイン回路12−1〜12−6は、画素&読み出し回路11−1〜11−5が読み出した画素111−1〜111−6の出力信号を、ゲイン演算部14−1〜14−6が算出したゲインに基づいて増幅する。積分時間演算部13−1〜13−6は、積分時間を算出する。ゲイン演算部14−1〜14−6は、ゲインを算出する。積分時間選択部15は、フィルタ無し出力係数を特定する。また、積分時間選択部15は、記憶部151を備えており、記憶部151が記憶する積分時間係数表に基づいて積分時間係数を特定する。記憶部151は積分時間係数表を記憶する。積分時間係数表については後述する。出力端子17−1〜17−6は、ゲイン回路12−1〜12−6が増幅した信号を出力する
【0033】
部位情報入力部16は、入力部を備えており、ユーザから部位情報(対象試料の類型)の入力を受け付ける。また、部位情報入力部16は、入力を受け付けた部位情報をカラーセンサ1の積分時間選択部15に入力する。部位情報は、カラーセンサ1がスペクトル情報を取得する病理サンプル(対象試料)の部位(例えば、肺や肝臓や乳腺など)を示す情報である。なお、部位情報入力部16は、入力部の代わりにバーコードリーダを備え、病理サンプルが載置されたスライドガラスに付されたバーコードを読み取ることで、部位情報の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0034】
図2は、本実施形態におけるバーコードが付されたスライドガラスの概略図である。図示する例では、スライドガラス212の上に、病理サンプル211が載置されている。また、スライドガラス212の左上部に、バーコード213が付されている。バーコード213は、スライドガラス212の上に載置されている病理サンプルの部位情報を示す。部位情報入力部16がバーコードリーダを備えている場合、スライドガラス212に付されているバーコード213を読み取ることで、病理サンプル211の部位情報の入力を受け付けることができる。
【0035】
図3は、本実施形態における病理サンプルの例を示した図である。図3(1)は、病理サンプル「肝臓」を示した図である。また、図3(2)は、病理サンプル「脾臓」を示した図である。また、図3(3)は、病理サンプル「肺」を示した図である。病理サンプルの部位により色が異なるため、病理サンプルによってスペクトル情報の傾向が異なる。例えばHE染色液を用いた場合、肝臓は細胞質が多くピンク色となる。また、図示するように、脾臓は細胞核が多く紫色となる。また、肺は細胞核も細胞質もない空と呼ばれる部分が多く白色となる。
【0036】
このように、病理サンプルの部位によって色が異なる。そのため、病理サンプルの色に合わせたスペクトルを取得することができるように、病理サンプルの特性に合わせて、各色の光を検出する画素111−1〜111−5から信号を読み出す際の積分時間や、読み出した信号のゲインを調整することで、有効な出力レベルの被写体のスペクトル情報を取得することができる。なお、染色液によっても、病理サンプルのスペクトル情報の傾向が異なるため、部位情報には、病理サンプルの部位情報だけではなく、病理サンプルに用いる染色液の名称を含めるようにしても良い。
【0037】
次に、カラーセンサ1の動作手順について説明する。カラーセンサ1は、病理サンプルからの光を、画素111−1〜111−6に入射して、基準電圧端子112−1〜112−6に印加された基準電圧を基準にスイッチ素子113−1〜113−6で積分時間を制御し、容量素子114−1〜114−6で光電流に応じた電圧変化として積分し、演算増幅器115−1〜115−6の出力端子に出力する。この出力は、画素111−1〜111−5に入射した光量に応じた電圧の変化である。
【0038】
また、カラーセンサ1は、演算増幅器115−1〜115−6の出力端子の出力変化を、ゲイン回路12−1〜12−6でスイッチングノイズを除去しつつ増幅して読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−6の出力端子は積分時間選択部15に接続され、ゲイン回路12−1〜12−6の出力信号が積分時間選択部15に入力される。
【0039】
本実施形態では、画素111−1〜111−5の出力信号を、読み出し回路110−1〜110−5が読み出す際の積分時間は、積分時間選択部15が特定したフィルタ無し出力係数と積分時間係数とに基づいて、積分時間演算部13−1〜13−5が算出する。積分時間演算部13−1〜13−5が積分時間を算出する方法については後述する。また、本実施形態では、画素111−6の出力信号を、読み出し回路110−6が読み出す際の積分時間は一定である。また、本実施形態では、ゲイン回路12−1〜12−6のゲインは一定である。これにより、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6とにより設定された積分時間とゲインとに応じた出力信号が、出力端子17−1〜17−6から出力される。
【0040】
次に、記憶部151が記憶する積分時間係数表について説明する。図4は、本実施形態における積分時間係数表のデータ構造を示した概略図である。積分時間係数表は、「部位」と、「画素」と、「積分時間係数(レベル調整パラメータ)」とのデータ項目を有しており、各データ項目のデータを行毎に関連付けて記憶する。
【0041】
データ項目「部位」は、部位情報を記憶する。データ項目「画素」は、画素111−1〜111−5が検出する光の種類を記憶する。データ項目「積分時間係数」は、同一の行のデータ項目「部位」に記憶されている部位情報で特定される病理サンプルに関して、同一の行のデータ項目「画素」に記憶されている光を検出する画素111−1〜111−5で光スペクトルを取得する場合に、ノイズレベル以上かつ飽和レベル以下の出力レベルとなる積分時間を算出するための積分時間係数を記憶する。
【0042】
図示する例では、行101のデータ項目「部位」に記憶されている値は「肝臓」であり、行101のデータ項目「画素」に記憶されている値は「紫」であり、行101のデータ項目「積分時間係数」に記憶されている値は「3.2」である。これは、肝臓の病理サンプルのスペクトルを、紫色の光を検出する画素111−1が取得する場合の積分時間係数は「3.2」であることを示している。なお、他の行については図示するとおりである。
【0043】
次に、積分時間演算部13−1〜13−5が積分時間(レベル調整量、蓄積時間)を算出する方法について説明する。積分時間の算出方法としては、以下の式を用いて算出する方法がある。
(積分時間)=(フィルタ無し出力係数)×(積分時間係数)×(基本積分時間)
【0044】
なお、フィルタ無し出力係数は、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力値がノイズレベル以上かつ飽和レベル以下となるように補正する係数であり、積分時間選択部15が、画素111−6の出力値に基づいて算出する。本実施形態では、フィルタ無し出力係数を、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力値が飽和レベルと同一の値となるように補正する係数とする。例えば、飽和レベルが「100」であり、画素111−6の出力値が「200」である場合、積分時間選択部15が算出するフィルタ無し出力係数は「0.5」である。また、本実施形態では、基本積分時間を「1.00E−04(s)」とする。
【0045】
上述した式を用いて、積分時間演算部13−1〜13−5は積分時間を算出する。また、読み出し回路110−1〜110−5は、積分時間演算部13−1〜13−5が算出した積分時間で画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した画素111−1〜111−5の出力信号を、所定のゲインに基づいて増幅して出力端子17−1〜17−5から出力させる。これにより、カラーセンサ1は、飽和レベル以下かつノイズレベル以上である病理サンプルのスペクトル情報を取得することができる。
【0046】
次に、カラーセンサ1が備える画素111−1〜111−6の配置について説明する。図5は、本実施形態のカラーセンサ1が備える画素111−1〜111−6の配置を示した概略図である。図示する例では、全ての光を検出するようにフィルタが塗布されていない画素111−6が上段左に配置されている。また、紫色の光を検出するように紫色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−1が上段中央に配置されている。また、青色の光を検出するように青色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−2が上段右に配置されている。また、緑色の光を検出するように緑色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−3が下段左に配置されている。また、黄色の光を検出するように黄色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−4が下段中央に配置されている。また、赤色の光を検出するように赤色の光を透過するフィルタが塗布された画素111−5が下段右に配置されている。なお、画素111−1〜111−6の配置は図示する配置に限らず、任意の配置としてもよい。
【0047】
次に、画素111−1〜111−6の分光特性について説明する。図6は、本実施形態の画素111−1〜111−6の分光特性を示したグラフである。図示するグラフは、紫色の光を検出する画素111−1に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1001と、青色の光を検出する画素111−2に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1002と、緑色の光を検出する画素111−3に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1003と、黄色の光を検出する画素111−4に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1004と、赤色の光を検出する画素111−5に塗布されたフィルタの透過率を示した曲線1005と、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率を示した曲線1006とを示している。このように、各カラーフィルタを透過する光の波長は異なる。また、フィルタが塗布されていない場合の光の透過率は、フィルタが塗布されている場合の透過率よりも全ての波長帯にわたって高い。そのため、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力は、フィルタが塗布されている画素111−1〜111−5の出力と比較して、どの波長の光が入射されても最も高い出力変化を示す。
【0048】
次に、本実施形態におけるカラーセンサ1の出力レベルの調整手順について説明する。図7は、本実施形態におけるカラーセンサ1の出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。
(ステップS101)ユーザは、病理サンプルのスペクトル情報の取得を開始する場合、部位情報を部位情報入力部16に入力する。部位情報入力部16は、ユーザによって入力された部位情報の入力を受け付ける。その後、ステップS102の処理に進む。
【0049】
(ステップS102)1回目の読み出しを行い、積分時間選択部15は、ゲイン回路12−6が出力する、全ての色の光を検出する画素111−6の出力に基づいた出力レベルを取得する。以下、ゲイン回路12−6の出力レベルを基準画素の出力レベルと記述する。その後、ステップS103の処理に進む。
【0050】
(ステップS103)積分時間選択部15は、ステップS102で取得した基準画素の出力レベルに基づいて、フィルタ無し出力係数を特定する。また、積分時間選択部15は、記憶部151が記憶している積分時間係数表から、ステップS101で部位情報入力部16が入力を受け付けた部位情報で特定される積分時間係数を、画素111−1〜111−5毎に選択する。その後、ステップS104の処理に進む。
【0051】
(ステップS104)積分時間演算部13−1〜13−5は、ステップS103で積分時間選択部15が特定したフィルタ無し出力係数と積分時間係数とに基づいて、読み出し回路110−1〜110−5が画素111−1〜111−5の出力を読み出す際の積分時間を算出する。その後、ステップS105の処理に進む。
(ステップS105)2回目の読み出しを行い、読み出し回路110−1〜110−5は、ステップS104で算出した積分時間に基づいて、画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、予め決められているゲインに応じて、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した出力信号を増幅し、出力端子17−1〜17−5から出力させる。その後、処理を終了する。
【0052】
上述したように、本実施形態によれば、1回目の読み出しで、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力に基づいた出力レベルを読み出す。そして、積分時間選択部15は、1回目の読み出しで取得した画素111−6の出力に基づいた出力レベルに基づいてフィルタ無し出力係数を特定する。また、積分時間選択部15は、部位情報入力部16が入力を受け付けた部位情報と、記憶部151が記憶している積分時間係数表とに基づいて積分時間係数を特定する。また、積分時間演算部13−1〜13−5は、フィルタ無し出力係数と積分時間係数とに基づいて、画素111−1〜111−5の出力信号がノイズレベル以上かつ飽和レベル以下となるように、読み出し回路110−1〜110−5が画素111−1〜111−5の出力を読み出す際の積分時間を算出する。
【0053】
そして、2回目の読み出しにおいて、読み出し回路110−1〜110−5は、積分時間演算部13−1〜13−5が算出した積分時間に基づいて、画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した画素111−1〜111−5の出力信号を、所定のゲインに基づいて増幅して出力端子17−1〜17−5から出力させる。
【0054】
図8は、上述した方法で画素111−1〜111−6の出力信号を読み出した場合における、出力端子17−1〜17−6から出力される出力レベルの例を示したグラフである。図示するグラフの縦軸は、出力端子17−1〜17−6から出力される、画素111−1〜111−6の出力信号に基づいた信号の出力レベルを示している。なお、信号の出力レベルが、ノイズレベル以上かつ飽和レベル以下の出力レベルであれば、スペクトル情報を取得する際に用いることができる信号である。また、図示するグラフの横軸は、1回目および2回目の読み出しにおいて、画素111−1〜111−6の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子17−1〜17−6を示している。
【0055】
具体的には、横軸における(1)は、1回目および2回目の読み出しにおいて、紫色の光を検出する画素111−1の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子17−1を示し、横軸(1)に対応する縦軸の値は、出力端子17−1から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(2)は、1回目および2回目の読み出しにおいて、青色の光を検出する画素111−2の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子17−2を示し、横軸(2)に対応する縦軸の値は、出力端子17−2から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(3)は、1回目および2回目の読み出しにおいて、緑色の光を検出する画素111−3の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子17−3を示し、横軸(3)に対応する縦軸の値は、出力端子17−3から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(4)は、1回目および2回目の読み出しにおいて、黄色の光を検出する画素111−4の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子17−4を示し、横軸(4)に対応する縦軸の値は、出力端子17−4から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(5)は、1回目および2回目の読み出しにおいて、赤色の光を検出する画素111−5の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子17−5を示し、横軸(5)に対応する縦軸の値は、出力端子17−5から出力される信号の出力レベルを示す。また、横軸における(6)は、1回目および2回目の読み出しにおいて、フィルタが塗布されていない画素31−6の出力信号に基づいた信号を出力する出力端子37−6を示し、横軸(6)に対応する縦軸の値は、出力端子37−6から出力される信号の出力レベルを示す。
【0056】
図示する例では、1回目の読み出しでは、出力端子17−2から出力される、青色を検出する画素111−2の出力信号に基づいた信号の出力レベルと、出力端子17−3から出力される、緑色を検出する画素111−3の出力信号に基づいた信号の出力レベルと、出力端子17−4から出力される、黄色を検出する画素111−4の出力信号に基づいた信号の出力レベルとが、ノイズレベル以下の値である無効な出力レベルである。また、2回目の読み出しでは、出力端子17−1〜17−5から出力される画素111−1〜111−5の出力信号に基づいた信号の出力レベルは、全てノイズレベル以上かつ飽和レベル以下である。
【0057】
このように、カラーセンサ1の積分時間選択部15は、1回目の読み出しで、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力信号に基づいた信号を取得し、この信号に基づいてフィルタ無し出力係数を算出する。また、積分時間選択部15は、部位情報入力部16に入力された部位情報に基づいて、積分時間係数を特定する。また、積分時間演算部13−1〜13−5は、フィルタ無し出力係数と積分時間係数とを用いて、画素111−1〜111−5の出力信号がノイズレベル以上かつ飽和レベル以下となる積分時間を算出する。
【0058】
そして、2回目の読み出しで、カラーセンサ1の読み出し回路110−1〜110−5は、積分時間演算部13−1〜13−5が算出した積分時間に基づいて画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した画素111−1〜111−5の出力信号を、所定のゲインに基づいて増幅して出力端子17−1〜17−5から出力させる。出力端子17−1〜17−5から出力される出力レベルは、病理サンプルのスペクトル情報である。従って、カラーセンサ1は、2回の読み出しを行うだけで、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得することができ、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得するために必要な時間をより短縮することができる。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。図9は、本実施形態におけるカラーセンサ2の構成を示した概略図である。図示する例では、カラーセンサ2は、画素&読み出し回路11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6(増幅部)と、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6(演算部)と、ゲイン選択部25(選択部)と、出力端子17−1〜17−6とを備えている。また、カラーセンサ2には、部位情報入力部16が接続されている。
【0060】
画素&読み出し回路11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6と、部位情報入力部16と、出力端子17−1〜17−6とは、第1の実施形態における各部と同様の構成である。また、カラーセンサ2の画素&読み出し回路11−1〜11−6が備える画素111−1〜111−6の配置も、第1の実施形態における画素111−1〜111−6の配置と同様の配置である。また、画素111−1〜111−6の分光特性も第1の実施形態における画素111−1〜111−6の分光特性と同様の特性である。ゲイン選択部25は、フィルタ無し出力係数を特定する。また、ゲイン選択部25は、記憶部251を備えており、記憶部251が記憶するゲイン係数表に基づいてゲイン係数を特定する。記憶部251はゲイン係数表を記憶する。ゲイン係数表については後述する。
【0061】
本実施形態では、ゲイン回路12−1〜12−5のゲインは、ゲイン選択部25が特定したフィルタ無し出力係数とゲイン係数とに基づいて、ゲイン演算部14−1〜14−5が算出する。ゲイン演算部14−1〜14−5がゲインを算出する方法については後述する。また、本実施形態では、ゲイン回路12−6のゲインは一定である。また、本実施形態では、画素111−1〜111−5の出力信号を、読み出し回路110−1〜110−5が読み出す際の積分時間は一定である。これにより、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6とにより設定された積分時間とゲインとに応じた出力信号が、出力端子17−1〜17−6から出力される。
【0062】
次に、記憶部251が記憶するゲイン係数表について説明する。図10は、本実施形態におけるゲイン係数表のデータ構造を示した概略図である。ゲイン係数表は、「部位」と、「画素」と、「ゲイン係数(レベル調整パラメータ)」とのデータ項目を有しており、各データ項目のデータを行毎に関連付けて記憶する。
【0063】
データ項目「部位」と「画素」とは、第1の実施形態における積分時間係数表の各データ項目と同様である。データ項目「ゲイン係数」は、同一の行のデータ項目「部位」に記憶されている部位情報で特定される病理サンプルを、同一の行のデータ項目「画素」に記憶されている光を検出する画素111−1〜111−5で光スペクトルを取得する場合に、ノイズレベル以上かつ飽和レベル以下の出力レベルとなるゲインを算出するためのゲイン係数を記憶する。
【0064】
図示する例では、行207のデータ項目「部位」に記憶されている値が「肺」であり、行207のデータ項目「画素」に記憶されている値が「紫」であり、行207のデータ項目「ゲイン係数」に記憶されている値が「1.5」である。これは、肺の病理サンプルのスペクトルを、紫色の光を検出する画素111−1が取得する場合のゲイン係数は「1.5」であることを示している。なお、他の行については図示するとおりである。
【0065】
次に、ゲイン演算部14−1〜14−5がゲイン(レベル調整量)を算出する方法について説明する。ゲインの算出方法としては、以下の式を用いて算出する方法がある。
(ゲイン)=(フィルタ無し出力係数)×(ゲイン係数)×(基本ゲイン)
【0066】
なお、フィルタ無し出力係数は、第1の実施形態における積分時間の算出式におけるフィルタ無し係数と同様である。また、本実施形態では、基本ゲインを「1.0」とする。
【0067】
上述した式を用いて、ゲイン演算部14−1〜14−5はゲインを算出する。また、読み出し回路110−1〜110−5は、所定の積分時間で画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した画素111−1〜111−5の出力信号を、ゲイン演算部14−1〜14−5が算出したゲインに基づいて増幅して出力端子17−1〜17−5から出力させる。これにより、カラーセンサ2は、飽和レベル以下かつノイズレベル以上である病理サンプルのスペクトル情報を取得することができる。
【0068】
次に、本実施形態におけるカラーセンサ2の出力レベルの調整手順について説明する。図11は、本実施形態におけるカラーセンサ2の出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。ステップS201の処理は、第1の実施形態の図7に示したステップS101の処理と同様の処理である。
【0069】
(ステップS202)1回目の読み出しを行い、ゲイン選択部25は、ゲイン回路12−6が出力する、全ての色の光を検出する画素111−6の出力に基づいた出力レベルを取得する。その後、ステップS203の処理に進む。
(ステップS203)ゲイン選択部25は、ステップS202で取得した基準画素の出力レベルに基づいて、フィルタ無し出力係数を特定する。また、ゲイン選択部25は、記憶部251が記憶しているゲイン係数表から、ステップS201で部位情報入力部16が入力を受け付けた部位情報で特定されるゲイン係数を、画素111−1〜111−5毎に選択する。その後、ステップS204の処理に進む。
【0070】
(ステップS204)ゲイン演算部14−1〜14−5は、ステップS203でゲイン選択部15が特定したフィルタ無し出力係数とゲイン係数とに基づいて、ゲイン回路12−1〜12−5のそれぞれのゲインを算出する。その後、ステップS205の処理に進む。
(ステップS205)2回目の読み出しを行い、読み出し回路110−1〜110−5は、予め決められている積分時間に基づいて、画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、ステップS204でゲイン演算部14−1〜14−5が算出したゲインに基づいて、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した出力信号を増幅し、出力端子17−1〜17−5から出力させる。その後、処理を終了する。
【0071】
上述したように、本実施形態によれば、カラーセンサ2のゲイン選択部25は、1回目の読み出しで、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力信号に基づいた信号を取得し、この信号に基づいてフィルタ無し出力係数を算出する。また、ゲイン選択部25は、部位情報入力部16に入力された部位情報に基づいて、ゲイン係数を特定する。また、ゲイン演算部14−1〜14−5は、フィルタ無し出力係数とゲイン係数とを用いて、画素111−1〜111−5の出力信号がノイズレベル以上かつ飽和レベル以下となるゲインを算出する。
【0072】
そして、2回目の読み出しにおいて、カラーセンサ2の読み出し回路110−1〜110−5は、所定の積分時間で画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した画素111−1〜111−5の出力信号を、ゲイン演算部14−1〜14−5が算出したゲインに基づいて増幅して出力端子17−1〜17−5から出力させる。出力端子17−1〜17−5から出力される出力レベルは、病理サンプルのスペクトル情報である。従って、カラーセンサ2は、2回の読み出しを行うだけで、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得することができ、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得するために必要な時間をより短縮することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図12は、本実施形態におけるカラーセンサ3の構成を示した概略図である。図示する例では、カラーセンサ3は、画素&読み出し回路11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6(演算部)と、ゲイン演算部14−1〜14−6(演算部)と、ゲイン・積分時間選択部35(選択部)と、出力端子17−1〜17−6とを備えている。また、カラーセンサ3には、部位情報入力部16が接続されている。
【0074】
画素&読み出し回路11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6と、部位情報入力部16と、出力端子17−1〜17−6とは、第1の実施形態における各部と同様の構成である。また、カラーセンサ3の画素&読み出し回路11−1〜11−6が備える画素111−1〜111−6の配置も、第1の実施形態における画素111−1〜111−6の配置と同様の配置である。また、画素111−1〜111−6の分光特性も第1の実施形態における画素111−1〜111−6の分光特性と同様の特性である。ゲイン・積分時間選択部35は、フィルタ無し出力係数を特定する。また、ゲイン・積分時間選択部35は、記憶部351を備えており、記憶部351が記憶するゲイン・積分時間係数表に基づいてゲイン係数と積分時間係数とを特定する。記憶部351はゲイン・積分時間係数表を記憶する。ゲイン・積分時間係数表については後述する。
【0075】
本実施形態では、画素111−1〜111−5の出力信号を、読み出し回路110−1〜110−5が読み出す際の積分時間は、ゲイン・積分時間選択部35が特定したフィルタ無し出力係数と積分時間係数とに基づいて、積分時間演算部13−1〜13−5が算出する。また、本実施形態では、画素111−6の出力信号を、読み出し回路110−6が読み出す際の積分時間は一定である。また、本実施形態では、ゲイン回路12−1〜12−5のゲインは、ゲイン・積分時間選択部35が特定したフィルタ無し出力係数とゲイン係数とに基づいて、ゲイン演算部14−1〜14−5が算出する。また、本実施形態では、ゲイン回路12−6のゲインは一定である。これにより、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6とにより設定された積分時間とゲインとに応じた出力信号が、出力端子17−1〜17−6から出力される。
【0076】
次に、記憶部351が記憶するゲイン・積分時間係数表について説明する。図13は、本実施形態におけるゲイン・積分時間係数表のデータ構造を示した概略図である。ゲイン・積分時間係数表は、「部位」と、「画素」と、「ゲイン係数」と、「積分時間係数」とのデータ項目を有しており、各データ項目のデータを行毎に関連付けて記憶する。
【0077】
データ項目「部位」と、「画素」と、「積分時間係数」とは、第1の実施形態における積分時間係数表の各データ項目と同様である。また、データ項目「ゲイン係数」は、第2の実施形態におけるゲイン係数表のデータ項目「ゲイン係数」と同様である。
【0078】
図示する例では、行313のデータ項目「部位」に記憶されている値が「脾臓」であり、行313のデータ項目「画素」に記憶されている値が「紫」であり、行313のデータ項目「ゲイン係数」に記憶されている値が「1.5」であり、行313のデータ項目「積分時間係数」に記憶されている値が「3.2」である。これは、脾臓の病理サンプルのスペクトルを、紫色の光を検出する画素111−1が取得する場合のゲイン係数は「1.5」であり、積分時間係数は「3.2」であることを示している。なお、他の行については図示するとおりである。
【0079】
次に、積分時間演算部13−1〜13−5が積分時間を算出する方法と、ゲイン演算部14−1〜14−5がゲインを算出する方法とについて説明する。積分時間の算出方法は、第1の実施形態における方法と同様の方法である。また、ゲインの算出方法は、第2の実施形態における方法と同様の方法である。
【0080】
上述した方法を用いて、ゲイン演算部14−1〜14−5はゲインを算出する。また、上述した方法を用いて、積分時間演算部13−1〜13−5は積分時間を算出する。また、読み出し回路110−1〜110−5は、積分時間演算部13−1〜13−5が算出した積分時間で画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した画素111−1〜111−5の出力信号を、ゲイン演算部14−1〜14−5が算出したゲインに基づいて増幅して出力端子17−1〜17−5から出力させる。これにより、カラーセンサ3は、飽和レベル以下かつノイズレベル以上である病理サンプルのスペクトル情報を取得することができる。
【0081】
次に、本実施形態におけるカラーセンサ3の出力レベルの調整手順について説明する。図14は、本実施形態におけるカラーセンサ3の出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。ステップS301の処理は、第1の実施形態の図7に示したステップS101の処理と同様の処理である。
【0082】
(ステップS302)1回目の読み出しを行い、ゲイン・積分時間選択部35は、ゲイン回路12−6が出力する、全ての色の光を検出する画素111−6の出力に基づいた出力レベルを取得する。その後、ステップS303の処理に進む。
(ステップS303)ゲイン・積分時間選択部35は、ステップS302で取得した基準画素の出力レベルに基づいて、フィルタ無し出力係数を特定する。また、ゲイン・積分時間選択部35は、記憶部351が記憶しているゲイン・積分時間係数表から、ステップS301で部位情報入力部16が入力を受け付けた部位情報で特定されるゲイン係数と積分時間係数とを、画素111−1〜111−5毎に選択する。その後、ステップS304の処理に進む。
【0083】
(ステップS304)ゲイン演算部14−1〜14−5は、ステップS303でゲイン・積分時間選択部35が特定したフィルタ無し出力係数とゲイン係数とに基づいて、ゲイン回路12−1〜12−5のそれぞれのゲインを算出する。また、積分時間演算部13−1〜13−5は、ステップS303でゲイン・積分時間選択部35が特定したフィルタ無し出力係数と積分時間係数とに基づいて、読み出し回路110−1〜110−5が画素111−1〜111−5の出力を読み出す際の積分時間を算出する。その後、ステップS305の処理に進む。
【0084】
(ステップS305)2回目の読み出しを行い、読み出し回路110−1〜110−5は、ステップS304で積分時間演算部13−1〜13−5が算出した積分時間に基づいて、画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、ステップS304でゲイン演算部14−1〜14−5が算出したゲインに基づいて、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した出力信号を増幅し、出力端子17−1〜17−5から出力させる。その後、処理を終了する。
【0085】
上述したように、本実施形態によれば、カラーセンサ3のゲイン・積分時間選択部35は、1回目の読み出しで、フィルタが塗布されていない画素111−6の出力信号に基づいた信号を取得し、この信号に基づいてフィルタ無し出力係数を算出する。また、ゲイン・積分時間選択部35は、部位情報入力部16に入力された部位情報に基づいて、ゲイン係数と積分時間係数とを特定する。また、積分時間演算部13−1〜13−5は、フィルタ無し出力係数と積分時間係数とを用いて、画素111−1〜111−5の出力信号がノイズレベル以上かつ飽和レベル以下となる積分時間を算出する。また、ゲイン演算部14−1〜14−5は、フィルタ無し出力係数とゲイン係数とを用いて、画素111−1〜111−5の出力信号がノイズレベル以上かつ飽和レベル以下となるゲインを算出する。
【0086】
そして、2回目の読み出しにおいて、カラーセンサ3の読み出し回路110−1〜110−5は、積分時間演算部13−1〜13−5が算出した積分時間に基づいて画素111−1〜111−5の出力信号を読み出す。また、ゲイン回路12−1〜12−5は、読み出し回路110−1〜110−5が読み出した画素111−1〜111−5の出力信号を、ゲイン演算部14−1〜14−5が算出したゲインに基づいて増幅して出力端子17−1〜17−5から出力させる。出力端子17−1〜17−5から出力される出力レベルは、病理サンプルのスペクトル情報である。従って、カラーセンサ3は、2回の読み出しを行うだけで、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得することができ、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得するために必要な時間をより短縮することができる。
【0087】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図面を参照して説明する。図15は、本実施形態におけるカラーセンサ4の構成を示した概略図である。図示する例では、カラーセンサ4は、画素&読み出し回路11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6と、ゲイン・積分時間選択部35と、部位情報判定部46と、出力端子17−1〜17−6とを備えている。
【0088】
画素&読み出し回路11−1〜11−6と、ゲイン回路12−1〜12−6と、積分時間演算部13−1〜13−6と、ゲイン演算部14−1〜14−6と、ゲイン・積分時間選択部35と、出力端子17−1〜17−6とは、第3の実施形態における各部と同様の構成である。また、カラーセンサ4の画素&読み出し回路11−1〜11−6が備える画素111−1〜111−6の配置も、第3の実施形態における画素111−1〜111−6の配置と同様の配置である。また、画素111−1〜111−6の分光特性も第3の実施形態における画素111−1〜111−6の分光特性と同様の特性である。なお、ゲイン回路12−1〜12−6の出力は部位情報判定部46にも接続されており、ゲイン回路12−1〜12−6の出力は、部位情報判定部46にも入力される。
【0089】
部位情報判定部46は、部位特定情報記憶部461(メモリ)を備えており、ゲイン回路12−1〜12−6の出力値と、部位特定情報記憶部461が記憶する部位特定情報とに基づいて、病理サンプルの部位情報を特定する。なお、記憶部461が記憶する部位特定情報は、各部位毎に、ゲイン回路12−1〜12−5が出力する、画素111−1〜111−5の出力信号に基づいた信号を、ゲイン回路12−6が出力する、画素111−6の出力信号に基づいた信号で割った値である、画素111−1〜111−5の出力信号に基づいた信号と画素111−6の出力信号に基づいた信号との比と、部位情報とを関連付けて予め記憶した情報である。
【0090】
以下、部位情報判定部46が病理サンプルの部位情報を特定する方法について説明する。部位情報判定部46は、ゲイン回路12−1〜12−6が出力する、画素111−1〜111−6の出力信号に基づいた信号を取得する。そして、部位情報判定部46は、画素111−1〜111−5の出力信号に基づいた信号を、画素111−6の出力信号に基づいた信号で割ることで、画素111−1〜111−5の出力信号に基づいた信号と、画素111−6の出力信号に基づいた信号との比をそれぞれ算出する。そして、部位情報判定部46は、算出した比の組み合わせに一番近い組み合わせを、部位特定情報記憶部461が記憶する部位特定情報から検出する。そして、部位情報判定部46は、検出した組み合わせと関連付けて部位特定情報記憶部461に記憶されている部位情報を、病理サンプルの部位情報であると判定する。
【0091】
次に、本実施形態におけるカラーセンサ4の出力レベルの調整手順について説明する。図16は、本実施形態におけるカラーセンサ4の出力レベルの調整手順を示したフローチャートである。
(ステップS401)病理サンプルのスペクトル情報の取得を開始する場合、1回目の読み出しを行い、部位情報判定部46は、ゲイン回路12−1〜12−6が出力する、画素111−1〜111−6の出力信号に基づいた信号を取得する。また、部位情報判定部46は、画素111−1〜111−5の出力信号に基づいた信号と、画素111−6の出力信号に基づいた信号との比をそれぞれ算出する。その後、ステップS402の処理に進む。
【0092】
(ステップS402)部位情報判定部46は、ステップS401の処理で算出した、画素111−1〜111−5の出力信号に基づいた信号と、画素111−6の出力信号に基づいた信号との比の組み合わせに一番近い組み合わせを、部位特定情報記憶部461が記憶する部位特定情報から検出する。そして、部位情報判定部46は、検出した組み合わせと関連付けて部位特定情報記憶部461に記憶されている部位情報を、病理サンプルの部位情報であると判定する。その後、ステップS403の処理に進む。
【0093】
(ステップS403)ゲイン・積分時間選択部35は、ステップS401で取得した基準画素の出力レベルに基づいて、フィルタ無し出力係数を特定する。また、ゲイン・積分時間選択部35は、記憶部351が記憶しているゲイン・積分時間係数表から、ステップS402で部位情報判定部46が判定した病理サンプルの部位情報で特定されるゲイン係数と積分時間係数とを画素111−1〜111−5毎に選択する。その後、ステップS404の処理に進む。
ステップS404〜ステップS405の処理は、第3の実施形態の図14に示したステップS304〜ステップS305の処理と同様の処理である。
【0094】
上述したように、本実施形態によれば、1回目の読み出しを行い、部位情報判定部46は、病理サンプルの部位情報を特定する。これにより、ユーザが部位情報を入力することなく、カラーセンサ4は被写体の部位情報を特定することができる。従って、本実施形態におけるカラーセンサ4は、第3の実施形態におけるカラーセンサ3の効果に加えて、ユーザの操作を簡略化することができるという効果を得ることができる。
【0095】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図17は、本実施形態におけるバーチャルスライド装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、バーチャルスライド装置500は、カラーセンサ5と、対物レンズ81と、ハーフミラー82と、RGBイメージセンサ83と、画像処理部84とを備える。
【0096】
カラーセンサ5は、第1の実施形態〜第4の実施形態に記載されたカラーセンサ1〜4のうち、いずれかのカラーセンサ1〜4と同様であり、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得することができ、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得するために必要な時間をより短縮することができる。対物レンズ81は、病理サンプルに照射された光を集光する。ハーフミラー82は、対物レンズカラーの光をカラーセンサ5とRGBセンサ83との方向に分割する。RGBイメージセンサ83は、対物レンズ81とハーフミラー82とを介して投影された病理サンプル像に基づいた画像を生成する。画像処理部84は、カラーセンサ5が取得した病理サンプルのスペクトル情報に基づいて、RGBイメージセンサ83が取得した画像に対して補正等の画像処理を行う。
【0097】
上述したとおり、本実施形態によれば、カラーセンサ5は、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得することができ、有効な出力レベルである病理サンプルのスペクトル情報を取得するために必要な時間を短縮することができる。そのため、バーチャルスライド装置500は、補正された画像をより迅速に取得することができる。
【0098】
以上、この発明の第1の実施形態から第5の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0099】
例えば、上述した例では、カラーセンサ1〜5は、フィルタが塗布されている画素として5個の画素111−1〜111−5を備えているが、これに限らず、カラーセンサ1〜5は、フィルタが塗布されている画素を複数個備えていればよい。
【符号の説明】
【0100】
1〜5・・・カラーセンサ、11−1〜11−6・・・画素&読み出し回路、12−1〜12−6・・・ゲイン回路、13−1〜13−6・・・積分時間演算部、14−1〜14−6・・・ゲイン演算部、15・・・積分時間選択部、16・・・部位情報入力部、17−1〜17−6・・・出力端子、25・・・ゲイン選択部、35・・・ゲイン・積分時間選択部、46・・・部位情報判定部、81・・・対物レンズ、82・・・ハーフミラー、83・・・RGBイメージセンサ、84・・・画像処理部、110−1〜110−6・・・読み出し回路、111−1〜111−6・・・画素、112−1〜112−6・・・基準電圧端子、113−1〜113−6・・・スイッチ素子、114−1〜114−6・・・容量素子、115−1〜115−6・・・演算増幅器、151,251,351・・・記憶部、211・・・病理サンプル、212・・・スライドガラス、213・・・バーコード、461・・・部位特定情報記憶部、500・・・バーチャルスライド装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた複数の試料の類型候補から対象試料の類型を選択する第1のステップと、
基準画素に入射した前記対象試料からの光に基づく当該基準画素の出力レベルを測定する第2のステップと、
前記対象試料の類型に関連付けられている、測定画素の出力レベルを調整するレベル調整パラメータの複数の候補から、前記第1のステップで選択した前記対象試料の類型に関連付けられている前記レベル調整パラメータを選択する第3のステップと、
前記レベル調整パラメータと前記基準画素の出力レベルから、前記測定画素のレベル調整量を算出する第4のステップと、
前記測定画素に入射する前記対象試料からの光に対応する出力レベルを測定するとき、前記レベル調整量を用いて出力レベルを調整する第5のステップと、
を有することを特徴とする測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項2】
前記測定画素は複数あり、
前記複数の測定画素は互いに異なる分光感度特性を有し、
前記基準画素の感度は、全ての検出波長において前記複数の測定画素の感度よりも高い
ことを特徴とする請求項1に記載の測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項3】
前記出力レベルの測定は、前記測定画素が出力する信号を蓄積部に蓄積し、当該信号を当該蓄積部に蓄積した蓄積時間に応じた信号量に基づく出力レベルの測定であり、
前記レベル調整パラメータは、前記測定画素が検出する光の波長に応じた係数であり、
前記レベル調整量は、前記蓄積時間である
ことを特徴とする請求項1に記載の測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項4】
前記出力レベルの測定は、前記測定画素が出力する信号を増幅部が増幅した信号に基づく出力レベルの測定であり、
前記レベル調整パラメータは、前記測定画素が検出する光の波長に応じた係数であり、
前記レベル調整量は、前記増幅部のゲインである
ことを特徴とする請求項1に記載の測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項5】
前記出力レベルの測定は、前記測定画素が出力する信号を蓄積部に蓄積し、当該信号を当該蓄積部に蓄積した蓄積時間に応じた信号量に基づく信号レベルを、増幅部が増幅した信号レベルに基づく出力レベルの測定であり、
前記レベル調整パラメータは、前記測定画素が検出する光の波長に応じた係数であり、
前記レベル調整量は、前記蓄積時間と前記増幅部のゲインとの組である
ことを特徴とする請求項1に記載の測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項6】
前記複数の試料の類型候補は、前記対象試料の採取部位と前記対象試料の染色方法との少なくとも一方により分類されている
ことを特徴とする請求項1に記載の測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項7】
前記第1のステップではさらに、前記対象試料を特定するコード情報を読み取り、当該コード情報で特定される前記対象試料の類型を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項8】
前記第1のステップでは、メモリに保存された前記複数の試料の類型候補を検索して前記対象試料の類型を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の測定画素の出力レベル調整方法。
【請求項9】
予め決められた複数の試料の類型候補から対象試料の類型を選択する部位情報入力部と、
前記対象試料からの光が入射し、基準となる出力信号を生成する基準画素と、
前記基準画素が生成した前記出力信号の出力レベルを測定する第1の測定部と、
前記対象試料からの光が入射し、前記対象試料のスペクトルに対応する出力信号を生成する測定画素と、
前記測定画素が生成した前記出力信号に基づいて前記対象試料のスペクトル情報を測定する第2の測定部と、
前記対象試料の類型に関連付けられている、測定画素の出力レベルを調整するレベル調整パラメータの複数の候補から、前記部位情報入力部が選択した前記対象試料の類型に関連付けられている前記レベル調整パラメータを選択する選択部と、
前記レベル調整パラメータと前記基準出力レベルから、前記測定画素のレベル調整量を算出する演算部と、
を備え、
前記第2の測定部は、前記スペクトル情報を測定する際に、前記演算部が算出した前記レベル調整量を用いて前記出力信号の出力レベルを調整する
ことを特徴とするカラーセンサ。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーセンサ
を備えることを特徴とするバーチャルスライド装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−149917(P2012−149917A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7138(P2011−7138)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】